説明

笠木接続部分カバー材および笠木端部カバー材

【課題】 笠木の幅に応じて簡単にサイズを変えて使用できる笠木接続部分カバー材を提供すること。
【解決手段】
2つの笠木(91,95)を接続するために用いられる笠木接続部分カバー材であって、一方の笠木91の木口面92と当接する一方側面と当該一方側面とは反対側で他方の笠木95の木口面96と当接する他方側面を有する板状部および当該板状部の長手の側端部の一方に設けられ両笠木(91,95)の各木口面(92,96)の目視可能な部分を所定範囲にわたって覆う被覆部からなる固定本体21と、この固定本体21の短い側端部の一方に接続長さを可変して接続可能で笠木の木口面の目視可能な部分の残りの範囲を覆う各側方蓋部(31,41)とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段壁の上部に施工されて手摺として使用される笠木 同士を接続するために用いるのに好適な笠木接続部分カバー材および笠木の端部をカバーする笠木端部カバー材に関する。
【背景技術】
【0002】
階段壁の上部には、安全等の見地から笠木 が施工されることが一般的であり、笠木同士の接続に際しては、両笠木の木口面に留め加工を施した上で、当該両笠木を接着剤などを用いて直接接続することが行われている。
【0003】
しかしながら、笠木 の木口面に施す留め加工には寸法精度が要求されるため作業性が悪かった。また、笠木 を階段壁上に施工する際や施工後において笠木 の木口面がずれてしまい、笠木 間に段差が発生して美観を損ねることが多かった。
【0004】
このような問題を解決する方策として、次のような発明が提案されている(例えば、特許文献1,2,3参照)。
【0005】
例えば、特許文献1には、図12に示すように、所定の角度をもって異なる方向に施工される2本の笠木 a,bを接続するために用いられる笠木 接続部材10であって、一方の笠木 の木口面が突き合わされる一方の突き合わせ面11を底面とする一方の側面嵌入溝部12と、他方の笠木 の木口面が突き合わされる他方の突き合わせ面13を底面とする他方の側面嵌入溝部14とを有するものが開示されている。
【特許文献1】特開2004−257035号公報
【特許文献2】特開2004−300766号公報
【特許文献3】特開2004−270350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記した特許文献1〜3には、笠木の幅に応じて何種類かのサイズの笠木接続部分カバー材を用意しなければならず、それらの保管に手間とコストが掛かった。また、現場で笠木の幅を変更する場合などに備えて、サイズの異なる笠木接続部分カバー材を現場に何種類も持参しなければならないことも多かったる。
【0007】
本発明の目的は、笠木の幅に応じて簡単にサイズを変えて使用できかつ笠木の木口面に留め加工を施す必要がなく簡単な作業で笠木同士の接続を美観性を向上させつつ簡単に施工できる笠木接続部分カバー材を提供することにある。また、本発明の他の目的は、笠木の端部の大きさに応じて簡単にサイズを変えて使用できかつ笠木の端部の美観性を向上できる笠木端部カバー材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、2つの笠木を接続するために用いられる笠木接続部分カバー材であって、一方の笠木の木口面と一部または全面が当接する一方側面と当該一方側面とは反対側で他方の笠木の木口面と一部または全面が当接する他方側面を有する板状部および当該板状部の長手の側端部の一方に設けられ両笠木の各木口面の目視可能な部分を所定範囲にわたって覆う被覆部からなる固定本体と、この固定本体の短い側端部の一方と接続長さを可変して接続可能で両笠木の各木口面の目視可能な部分の残りの範囲を覆う一方の側方蓋部と、当該固定本体の短い側端部の他方と接続長さを可変して接続可能で両笠木の各木口面の目視可能な部分の残りの範囲を覆う他方の側方蓋部とを設けたことを特徴とする。
【0009】
上記請求項1の発明の場合、両笠木の幅に応じて一方の側方蓋部を接続長さを調整して固定本体の短い側端部の一方と接続し、また、両笠木の幅に応じて他方の側方蓋部を接続長さを調整して固定本体の短い側端部の他方と接続する。これにより、両笠木の各木口面の目視可能な部分のうち所定範囲は被覆部に覆われる。また、両笠木の各木口面の目視可能な部分のうち残りの範囲は両側方蓋部に覆われる。したがって、笠木の幅に応じて簡単にサイズを変えて使用でき、かつ、両笠木の木口面の目視可能部分は覆えるので、当該両笠木を接続部分の美観性を増しつつ簡単に接続できる。
【0010】
請求項2の発明は、笠木の端部を覆い可能な笠木端部カバー材であって、笠木の木口面と一部または全面が当接する内側面を有する板状部および当該板状部の長手方向の側端部の一方に設けられ笠木の端部の目視可能な部分を所定範囲にわたって覆う被覆部からなる固定本体を2つ備え、両固定本体を各被覆部が外方になるように配設した状態で当該両固定本体の短い側端部の一方と接続長さを可変して接続可能で笠木の端部の目視可能な部分の残りの範囲を覆う一方側方蓋部と、当該両固定本体の短い側端部の他方と接続長さを可変して接続可能で笠木の端部の目視可能な部分の残りの範囲を覆う他方側方蓋部と、当該両固定本体の板状部の外側面と係合して取付けられる化粧板材とから成る。
【0011】
上記請求項2の発明の場合、笠木の幅に応じて両側方蓋部を接続長さを調整して固定本体の短い側端部に接続する。そして、化粧板材を固定本体の板状部の外側面と係合して取付ければ当該木口面は完全に覆われる。したがって、笠木の端部の大きさに応じて簡単にサイズを変えて使用できかつ笠木の端部の美観性を向上できる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、笠木の幅に応じて両側方蓋部を接続長さを調整して固定本体の短い側端部に接続すれば、両笠木の各木口面の目視可能な部分は覆われる。したがって、笠木の幅に応じて簡単にサイズを変えて使用でき、かつ、両笠木の木口面の目視可能部分は完全に覆われるので、当該両笠木を接続部分の美観性を増しつつ簡単に接続できる。
【0013】
請求項2の発明によれば、笠木の幅に応じて両側方蓋部を接続長さを固定本体の短い側端部と接続し、また、化粧板材を固定本体の板状部の外側面と係合して取付ければ当該端部は完全に覆われる。したがって、笠木の端部の大きさに応じて簡単にサイズを変えて使用できかつ笠木の端部の美観性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
【0016】
本発明に係る笠木接続部分カバー材は、図1〜図3および図6にしめすように、一方の笠木91および他方の笠木95の各木口面(92,96)の目視可能な部分を所定範囲にわたって覆う板状部22および被覆部25からなる固定本体21と、この固定本体21の短い側端部の一方(この実施形態では側端部21a)に接続長さを可変して接続可能で一方の笠木91および他方の笠木95の各木口面(92,96)の目視可能な部分の残りの範囲を覆う一方の側方蓋部31と、当該固定本体21の短い側端部の他方と接続長さを可変して接続可能で一方の笠木91および他方の笠木95の各木口面(92,96)の目視可能な部分の残りの範囲を覆う他方の側方蓋部32とを設けた構成とされている。
【0017】
より詳しくは、固定本体21は、一方の笠木91の木口面92と一部または全面が当接する一方側面22aと、当該一方側面22aとは反対側で他方の笠木95の木口面96と一部または全面が当接する他方側面22bを有する板状部22を有している。
【0018】
この板状部22の長手の側端部の一方には、一方の笠木91および他方の笠木95の各木口面(92,96)の目視可能な部分を所定範囲にわたって覆う被覆部25が設けられている。被覆部25は、図4に示すように、横断面が傘状に形成されており、一方の笠木91および他方の笠木95の各木口面(92,96)の目視可能な部分を所定範囲にわたって覆い可能に形成されている。さらに詳しくは、被覆部25は、図4(b)に示すように、その横断面が同図の上方に向けて出っ張った多角形状とされている。
【0019】
また、固定本体21の短い側端部(側端部21a,21b)の一方(側端部21a)には、一方の側方蓋部31が接続長さ(長さL2)を可変して接続可能での木口面(92,96)の目視可能な部分の残りの範囲を覆えるように設けられている。一方の側方蓋部31は、図5(A)に示すように、同図中左方の端部から右方の端部までの距離は、L3とされており、当該左方の端部は閉塞されており、かつ、当該右方の端部は開口されている。長さL3は、固定本体21の長さL1に応じて選定される。
【0020】
また、固定本体21の短い側端部の他方(側端部21b)には、他方の側方蓋部32が接続長さ(L2)を可変して接続可能で両笠木(91,95)の木口面(92,96)の目視可能な部分の残りの範囲を覆えるように設けられている。
【0021】
この第1の実施形態では、固定本体21および各側方蓋部(31,32)は、ABS樹脂製とされている。ここで、固定本体21および各側方蓋部(31,32)を、金属や他の樹脂や木で形成してもよい。この実施の形態では、図6に示すように、両笠木(91,95)が一列に接続される場合について述べたが、図7に示すように両笠木(91,95)が所定角度(90°より小さい角度)をなして接続される場合や、図8に示すように直角に接続される場合にも、本発明に係る笠木接続部分カバー材20は有効である。
【0022】
なお、この第1の実施の形態では、両笠木(91,95)の幅(長さL0)は、同じである。上記した長さL2は、使用が予定される笠木の幅よりも短く選定されている。この場合、長さL2は長さL0よりも小さい。例えば、笠木(91,95)の幅(L0)が大きくなれば側方蓋部(31,32)の接続長さ(長さL2)を小さくし、笠木(91,95)の幅(L0)が小さくなれば側方蓋部(31,32)の接続長さ(長さL2)を大きく調整する。
【0023】
上記構成の笠木接続部分カバー材20によれば、笠木(91,95)の幅(L0)に応じて両側方蓋部(31,32)を接続長さを調整して固定本体21の短い側端部に接続すれば、笠木(91,95)の木口面(92,95)は覆われる。したがって、笠木の幅に応じて簡単にサイズを変えて使用でき、かつ、両笠木(91,95)の接続部分の美観性を増すことができる。
【0024】
(第2の実施の形態)
【0025】
第2の実施の形態に係る笠木端部カバー材50は、図9〜図11に示される。
【0026】
かかる笠木端部カバー材50は、笠木98の端部99の目視可能な部分を所定範囲にわたって覆う固定本体51を2つ備え、両固定本体(51,51)の各被覆部99が外方になるように配設した状態で当該両固定本体(51,51)の短い側端部の一方(側端部51a)と接続長さを可変して接続可能で笠木98の端部99の目視可能な輪郭部分の残りの範囲を覆う一方側方蓋部61と、当該両固定本体(51,51)の短い側端部の他方(側端部51b)と接続長さを可変して接続可能で笠木98の端部99の目視可能な部分の残りの範囲を覆う他方側方蓋部71と、当該両固定本体(51,51)の板状部52の外側面と係合して取付けられる化粧板材81とから構成されている。
【0027】
上記構成の笠木端部カバー材50によれば、笠木98の端部99の大きさに応じて簡単にサイズを変えて使用できかつ笠木98の端部99の美観性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る笠木接続部分カバー材を説明するための図である。
【図2】固定本体と各側方蓋部とを説明するための図である。
【図3】笠木の端部と固定本体と各側方蓋部との位置関係を説明するための図である。
【図4】固定本体を示す図である。
【図5】側方蓋部を説明するための図である。
【図6】本発明に係る笠木接続部分カバー材の使用形態(1)を説明するための図である。
【図7】本発明に係る笠木接続部分カバー材の使用形態(2)を説明するための図である。
【図8】本発明に係る笠木接続部分カバー材の使用形態(3)を説明するための図である。
【図9】本発明に係る笠木端部カバー材を説明するための図である。
【図10】笠木端部カバー材の全体構成を説明するための図である。
【図11】笠木端部カバー材の使用形態を説明するための図である。
【図12】従来の接続部分カバー材を説明するための図である。
【符号の説明】
【0029】
20 笠木接続部分カバー材
21 固定本体
22 板状部
25 被覆部
31 一方の側方蓋部
41 他方の側方蓋部
50 笠木接続部分カバー材
51 固定本体
52 板状部
55 被覆部
61 一方の側方蓋部
61 他方の側方蓋部
71 化粧板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの笠木を接続するために用いられる笠木接続部分カバー材であって、
一方の笠木の木口面と一部または全面が当接する一方側面と当該一方側面とは反対側で他方の笠木の木口面と一部または全面が当接する他方側面を有する板状部および当該板状部の長手の側端部の一方に設けられ両笠木の各木口面の目視可能な部分を所定範囲にわたって覆う被覆部からなる固定本体と、この固定本体の短い側端部の一方と接続長さを可変して接続可能で両笠木の各木口面の目視可能な部分の残りの範囲を覆う一方の側方蓋部と、当該固定本体の短い側端部の他方と接続長さを可変して接続可能で両笠木の各木口面の目視可能な部分の残りの範囲を覆う他方の側方蓋部とを設けたことを特徴とする笠木接続部分カバー材。
【請求項2】
笠木の端部を覆い可能な笠木端部カバー材であって、
笠木の木口面と一部または全面が当接する内側面を有する板状部および当該板状部の長手方向の側端部の一方に設けられ笠木の端部の目視可能な部分を所定範囲にわたって覆う被覆部からなる固定本体を2つ備え、両固定本体を各被覆部が外方になるように配設した状態で当該両固定本体の短い側端部の一方と接続長さを可変して接続可能で笠木の端部の目視可能な部分の残りの範囲を覆う一方側方蓋部と、当該両固定本体の短い側端部の他方と接続長さを可変して接続可能で笠木の端部の目視可能な部分の残りの範囲を覆う他方側方蓋部と、当該両固定本体の板状部の外側面と係合して取付けられる化粧板材とから成る笠木端部カバー材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−224541(P2007−224541A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−45038(P2006−45038)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(594155872)株式会社オリエント (7)
【Fターム(参考)】