説明

符号化方法および符号化装置、並びに復号方法および復号装置

【課題】伝送情報のBERや未検出誤り確率を低減することができるようにする。
【解決手段】基本符号変換表に従った仮符号化において、仮符号語の始端部分および終端部分における1の最大連続数を2、かつ、仮符号語の始端部分および終端部分における0の最大連続数を4以上10以下に制限し、違反時符号変換表に従った符号化において、符号語接続点における0の最大連続数が7以上となったとき、仮符号語の始端部分または終端部分において0の連続数が4以上となるいずれか一方の仮符号語のみについて、仮符号語の始端部分の3ビットまたは仮符号語の終端部分の3ビットを、0から1に変換することで、伝送情報のBERや未検出誤り確率を低減することができるようになる。本発明は、各種の機器に使用される符号の符号化器に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、符号化方法および符号化装置、並びに復号方法および復号装置に関し、特に、伝送情報のビット誤り率(BER(bit error rate))や未検出誤り確率を低減するために用いて好適な符号化方法および符号化装置、並びに復号方法および復号装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの記録再生装置や通信装置においては、一般的に、入力情報系列を符号化した符号系列を伝送することにより、デジタル伝送情報のBERの低減が図られている。
【0003】
図1は、従来の記録装置11と再生装置12からなる記録再生システム1の構成を示すブロック図である。
【0004】
図1においては、まず、ユーザ側の情報系列(入力情報系列)は、符号化部21に入力され、k/nの比で符号化されて符号系列となる。ただしここで、kは情報語長、nは符号語長、そしてk/nは符号率あるいは符号化率と呼ばれる。また、符号化においては、暗号化、誤り訂正符号化、またはRLL(run-length limited)符号化等、複数の符号化が組み合わされることが多い。
【0005】
符号化列は、記録部22に入力され、記録部22において光ピックアップあるいは磁気ヘッド等を用いて、図示しない記録媒体上に記録される。ここでは、記録部22からの記録信号は、再生装置12に入力される。
【0006】
記録装置11からの記録信号は、再生装置12の再生部31に入力され、再生部31においてアナログ光ピックアップあるいは磁気ヘッド等によって、図示しない記録媒体からアナログ再生信号に変換される。これらのアナログ再生信号は、図示しないアナログ等化器を用いて所定の目標等化特性に等化された後、A/D(analog/digital)変換部32において、デジタル再生信号に毎時刻変換される。なお、A/D変換部32には、図示しない位相同期回路が含まれる。
【0007】
デジタル再生信号は、符号検出部33において、検出符号系列またはその事後確率情報系列に変換された後、復号部34に入力され、n/kの比で検出情報語に復号され、検出情報系列となる。
【0008】
ただし、アナログ等化器による等化が十分でない場合には、A/D変換部32と符号検出部33との間に、デジタル等化器が設けられる場合もある。また近年、符号検出部33においては、ビタビ検出器等の軟判定検出器を用いるのが一般的である。さらに、復号部34において繰り返し復号法を用いる場合には、符号検出部33において事後確率検出器が用いられる場合がある。
【0009】
なお、図1では、従来の記録装置11と再生装置12からなる記録再生システム1について説明したが、記録部22の代わりに送信部が設けられた送信装置と、再生部31の代わりに受信部が設けられた受信装置からなる送受信システムにおいても、符号化部21、A/D変換部32、符号検出部33、復号部34により行われる処理は同様である。
【0010】
ところで、図1の記録装置11における符号化部21に用いられる符号としては、様々な符号が検討されており、ストレージシステムでは、一般的に、RLL符号と誤り訂正符号とが連接されて用いられることが多い。
【0011】
誤り訂正符号としては、リードソロモン(Reed-Solomon)符号が古くから実用化されており、通信システムでは、近年、高い誤り訂正能力を有する低密度パリティ検査(low-density parity-check)符号も実用化されている。
【0012】
RLL符号としては、NRZI(non-return to zero on one)変調前の符号系列において、ビット0の最大連続数(最大ランレングス)がk個、ビット0の最小連続数(最小ランレングス)がd個に制限された符号が、一般的に、(d,k)RLL符号と呼ばれる。ただしここで、NRZI変調とは、記録あるいは送信信号極性を、ビット1で反転、ビット0で保持する変調方式のことである。
【0013】
また、NRZI変調前の符号系列において、ビット1の最大連続数を2以上で有限とした符号は、MTR(maximum transition run)符号と呼ばれている。ビット1の最大連続数が1の符号は、古くから知られている最小ランレングス制限符号と同じであるため、一般的には、そのような符号はMTR符号と呼ばれていない。
【0014】
MTR符号に関する技術としては、例えば、非特許文献1および特許文献1に、その内容が開示されている。
【0015】
【非特許文献1】J. Moon and B. Brickner, IEEE Trans. Magn. 32, p. 3992, 1996
【特許文献1】米国特許,J. Moon and B. Brickner, US5859601, Jan. 1999
【0016】
非特許文献1および特許文献1では、MTR=2の符号について、最大ラン8以上ならば、符号化率7/8の符号構成が可能である事が述べられている。
【0017】
上述した、符号化列におけるビット1の最大連続数を示すMTRという表現は、非特許文献1において初めて与えられたが、ビット1の最大連続数が有限とされた符号は、それ以前にも知られている。MTR符号の特徴は、ビット1の最大連続数を短く制限する事により、パーシャルレスポンス等化された受信信号の検出器トレリスにおいて、自乗ユークリッド距離の小さな符号系列を除去または減少させ、システムに符号化利得を与える事にある。たとえ符号においてビット1の最大連続数が制限されていても、その値が大きいと、その符号化利得は非常に小さくなる。このため、一般的には、符号化利得向上のためにビット1の最大連続数が2個以上4個以下程度に制限された符号を、MTR符号と呼ぶことが多い。
【0018】
ビット1の最大連続数が2個以上4個以下に制限されたMTR符号の性能は、例えば非特許文献2にその詳細が開示されている。
【非特許文献2】E. Soljanin, “Application of Distance Enhancing Codes,” IEEE Trans. Magn., vol. 37, No.2, pp. 762-767, Mar. 2001.
【0019】
受信信号の信号対雑音比(SNR(signal to noise ratio))が仮に一定ならば、MTR制限が強い、すなわち、ビット1の最大連続数が小さいほうが符号検出器において大きな利得を得ることができるが、一般的にはMTR制限を強くすると達成できる符号化率が低くなり、SNRが劣化する。このため、符号においてどの程度のMTR制限がよいかは、用いられるシステムの信号伝達特性と相関する。
【0020】
図2は、符号系列に最大ランレングス制限を与えない場合における、符号のシャノン容量(Shannon capacity)のMTR制限数依存性をあらわす表である。
【0021】
ここで、シャノン容量とは、ある符号に制限を与えた場合に、その符号の達成し得る理論上の最大符号化率である。つまり、理論上は、シャノン容量以下の符号化率の符号を設計する事が可能である。ただしここで、MTR制限は、例えば偶数ビット目を2,奇数ビット目を3とした時変(time varying)構造とするとする方法も知られているが、図2の表においてはそのような場合は考慮していない。
【0022】
図2の符号のシャノン容量のMTR制限数依存性の表に示すように、符号系列に最大ランレングス制限を与えない場合において、シャノン容量は、MTR=1では0.6942となり、MTR=2では0.8791となり、MTR=3では0.9468となり、MTR=4では0.9752となり、MTR=5では0.9881となる。
【0023】
ところで、殆どのストレージシステムや通信システムでは、内部でバイト(8ビット)単位の処理が行われるため、RLL符号の情報語長は8の倍数であるほうが、それらのシステムにおいて都合のよい場合が多い。そこで、情報語長が1バイトの倍数となる符号を仮定すると、図2の表より、例えば、MTR=2では、8/10変換(符号化率:0.8),MTR=3では、16/17変換(符号化率:0.9411・・・),MTR=4では、32/33変換(符号化率:0.9696・・・)の各符号を設計することが、各々可能である事が分かる。ただし、実際のシステムに用いられる符号においては、通常、符号系列の最大ランレングスも同時に制限する必要がある。このため、用いられる符号に付与される最大ランレングス制限によっては、同じMTR制限でも、これらのような高い符号化率の符号は設計できない場合もある。
【0024】
そのような、符号系列の最大ランレングスを11に制限した、MTR=3の(0,11)16/17 RLL符号の一例は、例えば、非特許文献3に開示されている。
【0025】
【非特許文献3】T. Nishiya, K. Tsukano, T. Hirai, S. Mita and T. Nara, “Rate 16/17 Maximum Transition Run (3;11) Code on an EEPRML Channel with an Error-Correcting Postprocessor,” IEEE Trans. Magn., Vol. 35, No. 5, pp. 4378-4386, Sep. 1999.
【0026】
非特許文献3に開示されている16/17符号は、情報語が基本符号変換表に従って仮符号語に変換された後、符号語の先読み(look ahead)を必要とする違反時符号変換表に従い、該仮符号語が符号語に変換される、可変長符号(variable-length code)である。
【0027】
なお、可変長符号は、符号語の先読みを必要としない固定長符号(fixed-length code)と比較して、一般的に、符号化率の高い、あるいは同じ符号化率でも符号長の短い、効率のよい符号を設計できることが多いという特徴を有している。
【0028】
ここで、非特許文献3に開示されている、16/17符号の符号化方法の概要を以下に説明する。
【0029】
まず、16ビット情報語は、仮符号語中での0の最大連続数が10、かつ、仮符号語中での1の最大連続数が3、かつ、仮符号語の始端(先端)および終端(後端)での1の最大連続数が2となるように、基本符号変換表に従って17ビット仮符号語へ変換される。ただし、このような制限を満たす17ビット系列は65,546個存在し、その中から216=65,546個が基本符号変換表中の仮符号語として選択されるが、このままでは符号接続点において、MTR=3,k=11の各制限に違反する場合があるので、次に、これらの符号制限に違反した場合に、違反時符号変換表に従って符号化を行う。
【0030】
図3は、非特許文献3に開示されている、符号語接続点における8ビットの違反時符号変換表である。なお、図3において、コンマの記号(,)は連続する2符号語の境界を示している。
【0031】
図3の違反時符号変換表においては、規則番号1は、ある仮符号語1の終端4ビットが0011で、仮符号語1に続く仮符号語2の始端4ビットが1100であった場合には、仮符号語1の終端4ビットを0111、仮符号語2の始端4ビットを0100に各々変換して、最終的な符号語として符号化することを表わしている。
【0032】
同様にして、規則番号2は、仮符号語1の終端4ビットが0011,仮符号語2の始端4ビットが1101であった場合には、それらのビットを、0111,0101に各々変換し、規則番号3は、仮符号語1の終端4ビットが1011,仮符号語2の始端4ビットが1100であった場合には、それらのビットを、1010,1110に各々変換し、規則番号4は、仮符号語1の終端4ビットが1011,仮符号語2の始端4ビットが1101であった場合には、それらのビットを、1000,1110に各々変換し、規則番号5は、仮符号語1の終端4ビットが0000,仮符号語2の始端4ビットが0000であった場合には、それらのビットを、0010,1100に各々変換することを表わしている。
【0033】
また、規則番号6は、仮符号語1の終端4ビットが0000,仮符号語2の始端4ビットが0001であった場合には、それらのビットを、0000,1110に各々変換し、規則番号7は、仮符号語1の終端4ビットが0000,仮符号語2の始端4ビットが0010であった場合には、それらのビットを、0111,0010に各々変換し、規則番号8は、仮符号語1の終端4ビットが0000,仮符号語2の始端4ビットが0011であった場合には、それらのビットを、0111,0110に各々変換し、規則番号9は、仮符号語1の終端4ビットが1000,仮符号語2の始端4ビットが0000であった場合には、それらのビットを、0111,0000に各々変換し、規則番語10は、仮符号語1の終端4ビットが0100,仮符号語2の始端4ビットが0000であった場合には、それらのビットを、0100,1110に各々変換し、規則番号11は、仮符号語1の終端4ビットが1100,仮符号語2の始端4ビットが0000であった場合には、それらのビットを、0110,1110に各々変換することを表わしている。
【0034】
以上のように、非特許文献3では、符号接続点において制限に違反した場合、図3の違反時符号変換表に従って符号化を行う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
可変長符号は、符号化率の高い符号を設計しやすい反面、その最大誤り伝播長が、情報語長が同じ固定長符号のそれよりも長くなり易いという問題がある。
【0036】
ここで最大誤り伝播長とは、符号系列中に1ビット誤りが起きたとき、情報系列へ誤り伝播する最大の長さである。一般的に、固定長符号の復号時の最大誤り伝播長は、1情報語の長さと等しいが、可変長符号のそれは2情報語以上となる。この最大誤り伝播長の問題は、情報語長が長くなればなる程、システムへの悪影響が大きくなる。例えば、上記非特許文献3に開示されている、16/17符号では、復号時の最大誤り伝播長は2情報語、すなわち32ビットとなる。
【0037】
符号における誤り伝播長の長さは、できるだけ短いほうがよい。情報語長を一定に保ったまま符号を固定長変換符号として設計すれば、誤り伝播長を短くする事ができるが、その場合、所望の符号制限を得るために必要な符号語長が長くなり、符号化率が劣化してしまう場合が多い。可変長符号において復号時の誤り伝播長をできるだけ短くできればよいが、これまで、誤り伝播長が1情報語以下となるような可変長符号の符号化方法は知られていない。
【0038】
また一方で、非特許文献3に開示されている、16/17 RLL符号は、ビット1の最大連続数、すなわちMTRの値は3と比較的短いものの、ビット0の最大連続数、すなわち最大ランレングスは11と比較的長い。
【0039】
ところで、PLL(phase-locked loop)等を含めたシステム全体の安定化のためには、一般的には、RLL符号の最大ランレングスはできるだけ短いほうが望ましい。例えば、システムにおいてDC(direct current)にヌル(直流成分がゼロ)のある等化方式を用いた場合、符号の最大ランレングスは再生信号期待値の最大ゼロ連続に比例するため、最大ランレングスが長いと、周波数偏差の大きなシステムほど、PLLが不安定になりやすい傾向にある。一般的に、磁気テープシステムでは、ハードディスクや光ディスクシステム等のディスクシステムと比べて、再生信号の周波数偏差が大きい。また、特に、ロータリトランスを用いた磁気テープシステムでは、ロータリトランスの低域遮断特性のために、低い周波数の信号は記録されにくい傾向がある。このため、符号の最大ランレングスが長いと、磁気テープへのオーバライト時に、前の記録データの消し残りが起きやすく、オーバライト雑音が大きくなりやすい。
【0040】
このように、RLL符号は、用いられるシステムによっては、システムのロバスト性を含めた性能向上のため、最大ランレングスのできるだけ小さいものが望まれる場合がある。
【0041】
しかしながら、符号化率が16/17以上と高く、かつ、符号の最大ランレングスが10以下となるようなMTR制限を有するRLL符号の具体的な符号化方法は、これまでに知られていなかった。
【0042】
例えば、上記特許文献1では、MTR=2の符号について、どの程度の符号化率のときにどの程度の最大ランレングス制限が可能なのか検討されているが、MTR=3およびMTR=4の各符号については何も言及されていない。また、上記非特許文献2では、MTR=3およびMTR=4の各符号について検討されているが、符号の最大ランレングスについては何も言及されていない。
【0043】
すなわち、上述したような従来の提案では、MTR=3およびMTR=4の各符号について、どの程度の符号化率のときにどの程度の最大ランレングス制限が可能なのかは、必ずしも明らかではなかった。
【0044】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、可変長符号において、効率のよいRLL符号を符号化することを可能にすると共に、復号時の誤り伝播長を短くする事ができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0045】
本発明の第1の側面の符号化方法は、符号化時に、少なくとも1情報語または1符号語以上の先読みを行う可変長変換符号を行う符号化装置の符号化方法において、復号時に1符号語単位で復号可能となるように符号化するステップを含む。
【0046】
情報語に仮符号語が割り当てられた基本符号変換表に従って、情報語を仮符号語に変換し、前記基本符号変換表において禁止された符号変換規則であって、現時刻の仮符号語または先読みした仮符号語のいずれか一方の仮符号語のみを変換する前記符号変換規則が定められた違反時符号変換表に従って、仮符号語を符号語に変換することができる。
【0047】
前記基本符号変換表に従って、前記仮符号語の始端部分および終端部分における1の最大連続数を2、かつ、前記仮符号語の始端部分および終端部分における0の最大連続数を4以上10以下に制限されるように変換し、前記違反時符号変換表に従って、符号語接続点における0の最大連続数が7以上となったとき、前記仮符号語の始端部分または終端部分において0の連続数が4以上となるいずれか一方の前記仮符号語のみについて、前記仮符号語の始端部分の3ビットまたは前記仮符号語の終端部分の3ビットを、0から1に変換することができる。
【0048】
前記符号化において、符号化率を16/17とすることができる。
【0049】
前記符号化において、符号化率を24/25とすることができる。
【0050】
本発明の第1の側面の符号化装置は、符号化時に、少なくとも1情報語または1符号語以上の先読みを行う可変長変換符号を行う符号化装置において、情報語に仮符号語が割り当てられた基本符号変換表に従って、前記仮符号語の始端部分および終端部分における1の最大連続数を2、かつ、前記仮符号語の始端部分および終端部分における0の最大連続数を4以上10以下に制限されるように変換する第1の変換手段と、前記基本符号変換表において禁止された符号変換規則であって、現時刻の仮符号語または先読みした仮符号語のいずれか一方の仮符号語のみを変換する前記符号変換規則が定められた違反時符号変換表に従って、符号語接続点における0の最大連続数が7以上となったとき、前記仮符号語の始端部分または終端部分において0の連続数が4以上となるいずれか一方の前記仮符号語のみについて、前記仮符号語の始端部分の3ビットまたは前記仮符号語の終端部分の3ビットを、0から1に変換する第2の変換手段とを備える。
【0051】
前記符号化において、符号化率を16/17とすることができる。
【0052】
前記符号化において、符号化率を24/25とすることができる。
【0053】
本発明の第1の側面においては、復号時に1符号語単位で復号可能となるように符号化させる。
【0054】
本発明の第2の側面の復号方法は、符号化時に、少なくとも1情報語または1符号語以上の先読みを行う可変長変換符号により符号化された符号語を復号する復号装置の復号方法において、復号時に1符号語単位で復号可能となるように符号化された符号語を復号するステップを含む。
【0055】
情報語に仮符号語が割り当てられた基本符号変換表において禁止された符号変換規則であって、1符号語単位で変換可能となる前記符号変換規則が定められた違反時符号変換表に従って、符号語を仮符号語に変換し、前記基本符号変換表に従って、仮符号語を情報語に変換することができる。
【0056】
前記違反時符号変換表に従って、前記符号語の始端部分または前記符号語の終端部分において1の連続数が3となるとき、前記符号語の始端部分の3ビットまたは前記符号語の終端部分の3ビットを、1から0に変換し、前記仮符号語の始端部分および終端部分における1の最大連続数を2、かつ、前記仮符号語の始端部分および終端部分における0の最大連続数を4以上10以下に制限するように定められた前記基本符号変換表に従って、仮符号語を情報語に変換することができる。
【0057】
前記符号化において、符号化率を16/17とすることができる。
【0058】
前記符号化において、符号化率を24/25とすることができる。
【0059】
本発明の第2の側面の復号装置は、符号化時に、少なくとも1情報語または1符号語以上の先読みを行う可変長変換復号により符号化された符号語を復号する復号装置において、情報語に仮符号語が割り当てられた基本符号変換表において禁止された符号変換規則であって、1符号語単位で変換可能となる前記符号変換規則が定められた違反時符号変換表に従って、前記符号語の始端部分または前記符号語の終端部分において1の連続数が3となるとき、前記符号語の始端部分の3ビットまたは前記符号語の終端部分の3ビットを、1から0に変換する第1の変換手段と、前記仮符号語の始端部分および終端部分における1の最大連続数を2、かつ、前記仮符号語の始端部分および終端部分における0の最大連続数を4以上10以下に制限するように定められた前記基本符号変換表に従って、仮符号語を情報語に変換する第2の変換手段とを備える。
【0060】
前記符号化において、符号化率を16/17とすることができる。
【0061】
前記符号化において、符号化率を24/25とすることができる。
【0062】
本発明の第2の側面においては、復号時に1符号語単位で復号可能となるように符号化された符号語を復号させる。
【発明の効果】
【0063】
以上のように、本発明の第1の側面によれば、可変長符号において、復号時の誤り伝播長を最大で1符号語とすることができる。このため、効率のよいRLL符号を符号化する事を可能にすると共に、復号時の誤り伝播長を短くすることができる。
【0064】
また、本発明の第1の側面によれば、この符号化方法を利用して、最大ランレングスの短いMTR=4のRLL符号化を行うことが可能となる。
【0065】
本発明の第2の側面によれば、可変長符号において、復号時の誤り伝播長を最大で1符号語とすることができる。このため、復号時の誤り伝播長を短くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、明細書または図面に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、明細書または図面に記載されていることを確認するためのものである。従って、明細書または図面中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0067】
本発明の第1の側面の符号化方法は、符号化時に、少なくとも1情報語または1符号語以上の先読みを行う可変長変換符号を行う符号化装置(例えば、図4の記録装置111)の符号化方法において、復号時に1符号語単位で復号可能となるように符号化する(例えば、図9のステップS11およびS12の処理)ステップを含む。
【0068】
情報語に仮符号語が割り当てられた基本符号変換表(例えば、図7の基本符号変換表)に従って、情報語を仮符号語に変換し(例えば、図9のステップS11の処理)、前記基本符号変換表において禁止された符号変換規則であって、現時刻の仮符号語または先読みした仮符号語のいずれか一方の仮符号語のみを変換する前記符号変換規則が定められた違反時符号変換表(例えば、図8の違反時符号変換表)に従って、仮符号語を符号語に変換する(例えば、図9のステップS12の処理)ことができる。
【0069】
前記基本符号変換表に従って、前記仮符号語の始端部分および終端部分における1の最大連続数を2、かつ、前記仮符号語の始端部分および終端部分における0の最大連続数を4以上10以下に制限されるように変換し(例えば、図9のステップS11の処理)、前記違反時符号変換表に従って、符号語接続点における0の最大連続数が7以上となったとき、前記仮符号語の始端部分または終端部分において0の連続数が4以上となるいずれか一方の前記仮符号語のみについて、前記仮符号語の始端部分の3ビットまたは前記仮符号語の終端部分の3ビットを、0から1に変換する(例えば、図9のステップS12の処理)ことができる。
【0070】
本発明の第1の側面の符号化装置は、符号化時に、少なくとも1情報語または1符号語以上の先読みを行う可変長変換符号を行う符号化装置(例えば、図4の記録装置111)において、情報語に仮符号語が割り当てられた基本符号変換表(例えば、図7の基本符号変換表)に従って、前記仮符号語の始端部分および終端部分における1の最大連続数を2、かつ、前記仮符号語の始端部分および終端部分における0の最大連続数を4以上10以下に制限されるように変換する第1の変換手段(例えば、図4の基本符号変換部141)と、前記基本符号変換表において禁止された符号変換規則であって、現時刻の仮符号語または先読みした仮符号語のいずれか一方の仮符号語のみを変換する前記符号変換規則が定められた違反時符号変換表(例えば、図8の違反時符号変換表)に従って、符号語接続点における0の最大連続数が7以上となったとき、前記仮符号語の始端部分または終端部分において0の連続数が4以上となるいずれか一方の前記仮符号語のみについて、前記仮符号語の始端部分の3ビットまたは前記仮符号語の終端部分の3ビットを、0から1に変換する第2の変換手段(例えば、図4の違反時符号変換部142)とを備える。
【0071】
本発明の第2の側面の復号方法は、符号化時に、少なくとも1情報語または1符号語以上の先読みを行う可変長変換符号により符号化された符号語を復号する復号装置(例えば、図4の再生装置112)の復号方法において、復号時に1符号語単位で復号可能となるように符号化された符号語を復号する(例えば、図10のステップS31およびS32の処理)ステップを含む。
【0072】
情報語に仮符号語が割り当てられた基本符号変換表(例えば、図7の基本符号変換表)において禁止された符号変換規則であって、1符号語単位で変換可能となる前記符号変換規則が定められた違反時符号変換表(例えば、図11の違反時符号変換表)に従って、符号語を仮符号語に変換し(例えば、図10のステップS31の処理)、前記基本符号変換表に従って、仮符号語を情報語に変換する(例えば、図10のステップS32の処理)ことができる。
【0073】
前記違反時符号変換表に従って、前記符号語の始端部分または前記符号語の終端部分において1の連続数が3となるとき、前記符号語の始端部分の3ビットまたは前記符号語の終端部分の3ビットを、1から0に変換し(例えば、図10のステップS31の処理)、前記仮符号語の始端部分および終端部分における1の最大連続数を2、かつ、前記仮符号語の始端部分および終端部分における0の最大連続数を4以上10以下に制限するように定められた前記基本符号変換表に従って、仮符号語を情報語に変換する(例えば、図10のステップS32の処理)ことができる。
【0074】
本発明の第2の側面の復号装置は、符号化時に、少なくとも1情報語または1符号語以上の先読みを行う可変長変換復号により符号化された符号語を復号する復号装置(例えば、図4の再生装置112)において、情報語に仮符号語が割り当てられた基本符号変換表(例えば、図7の基本符号変換表)において禁止された符号変換規則であって、1符号語単位で変換可能となる前記符号変換規則が定められた違反時符号変換表(例えば、図11の違反時符号変換表)に従って、前記符号語の始端部分または前記符号語の終端部分において1の連続数が3となるとき、前記符号語の始端部分の3ビットまたは前記符号語の終端部分の3ビットを、1から0に変換する第1の変換手段(例えば、図4の違反時符号変換部151)と、前記仮符号語の始端部分および終端部分における1の最大連続数を2、かつ、前記仮符号語の始端部分および終端部分における0の最大連続数を4以上10以下に制限するように定められた前記基本符号変換表に従って、仮符号語を情報語に変換する第2の変換手段(例えば、図4の基本符号変換部152)とを備える。
【0075】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0076】
図4は、本発明を適用した記録再生システム101の一実施の形態の構成を示すブロック図である。この記録再生システム101は、例えば、ストレージシステムの一例であって、記録装置111と再生装置112からなるシステムである。
【0077】
なお、図4の記録再生システム101において、従来の図1の記録再生システム1と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。すなわち、図4の記録装置111は、符号化部21に代わって、符号化部121が設けられている以外は、図1の記録装置11と同様の構成を有している。また、図4の再生装置112は、復号部34に代わって、復号部131が設けられている以外は、図1の再生装置12と同様の構成を有している。
【0078】
また、図4に示される復号部131においては、図1を用いて説明した従来における場合と同様に、アナログ等化器による等化が十分でない場合、A/D変換部32と符号検出部33との間に、さらに、デジタル等化器を設けるようにしてもよい。
【0079】
記録装置111においては、符号化部121は、入力情報系列に対して、例えば、RLL符号と誤り訂正符号等による符号化処理を施し、符号化により得られた符号系列を記録部22に供給する。
【0080】
符号化部121は、基本符号変換表に従って、情報語を仮符号語に変換する基本符号変換部141と、違反時符号変換表に従って、その仮符号語を符号語に変換する違反時符号変換部142を含むようにして構成される。この基本符号変換表と違反時符号変換表の詳細な説明は後述する。
【0081】
再生装置112においては、復号部131は、符号検出部33から供給される、デジタル再生信号を変換した検出符号系列に復号処理を施し、復号により得られた検出情報系列を出力する。
【0082】
復号部131は、違反時符号変換表に従って、符号語を仮符号語に変換する違反時符号変換部151と、基本符号変換表に従って、その仮符号語を情報語に変換する基本符号変換部152を含むようにして構成される。この基本符号変換表と違反時符号変換表の詳細な説明は後述する。
【0083】
なお、本実施の形態では、記録装置111と再生装置11との2つの装置から構成される記録再生システム101について説明するが、記録装置111と再生装置112とが一体となった記録再生装置であってもよい。
【0084】
ところで、図4の符号化部121によって行われる符号化処理であるが、本出願人は、上述した従来の問題点を踏まえて、MTR=3およびMTR=4の各符号について、どの程度の最大ランレングス制限(最大ラン制限)が可能であるかを調べた。その結果を図5の表に示す。
【0085】
すなわち、図5は、MTR=3およびMTR=4において、符号系列に最大ランレングス制限を与えた場合の、符号のシャノン容量の最大ランレングス依存性をあらわす表である。
【0086】
図5の表に示すように、シャノン容量は、最大ラン制限1のとき、MTR=3では0.5515、MTR=4では0.6174となり、最大ラン制限2のとき、MTR=3では0.7947、MTR=4では0.8376となり、最大ラン制限3のとき、MTR=3では0.8791、MTR=4では0.9146となり、最大ラン制限4のとき、MTR=3では0.9146、MTR=4では0.9468となる。
【0087】
また同様に、シャノン容量は、最大ラン制限5のとき、MTR=3では0.9306、MTR=4では0.9614となり、最大ラン制限6のとき、MTR=3では0.9388、MTR=4では0.9684となり、最大ラン制限7のとき、MTR=3では0.9427、MTR=4では0.9718となり、最大ラン制限8のとき、MTR=3では0.9447、MTR=4では0.9735となる。
【0088】
すなわち、上述したように、図2の表より、MTR=3では、16/17変換(符号化率:0.9411・・・),MTR=4では、32/33変換(符号化率:0.9696・・・)の各符号を設計することが、各々可能である事が分かっていたが、図5の表からは、最大ランレングスが6以下のときには、シャノン限界は、MTR=3では16/17(0.9411・・・)を、MTR=4では32/33(0.9696・・・)を各々下回っており、これらの符号化率の符号は、設計不可能である事が分かる。
【0089】
ただし、MTR=3の16/17符号の最大ランレングスは理論上7まで低減することが可能であるが、これまで具体的に提案されたMTR=3の符号の最大ランレングスは、上記非特許文献3に記載された11である。すなわち、本実施の形態で、符号化方法に用いられる符号は、MTR=4で、かつ、最大ランレングスが4以上10以下となる。
【0090】
つまり、図5の表から、MTR=4の符号は、最大ランレングスが4以上ならば、16/17の符号化率(0.9411・・・)で、最大ランレングスが5以上ならば24/25の符号化率(0.96)で、各々符号を設計することができる事が分かる。従って、MTR=4の符号においては、符号化率が16/17のときの最大ランレングスは4以上であればよいが、本実施の形態では、符号語の候補となる17ビット系列をより多く生成できるよう、最大ランレングス6の場合について、以下に説明する。
【0091】
図6は、MTR=4、かつ、最大ランレングス6の各制限を有する符号系列の10状態の有限状態遷移図(FSTD(finite-state transition diagram))である。
【0092】
図6のFSTDのシャノン容量(MTR=4で最大ランレングス6のシャノン容量)は、図5の表に示したように0.9684であり、16/17の符号化率(0.9411・・・)よりも大きいため、16/17符号を構成できる。
【0093】
なお、図6のFSTDの制限を満たす16/17符号は、固定長変換符号でも構成できるが、本実施の形態では可変長符号として符号化する。その理由は、可変長符号として符号化したほうが、符号語の候補となる17ビット系列がより多くなり、MTRや最大ランレングス制限以外の符号制限を行いやすく、より性能のよい符号を構成できるからである。MTRや最大ランレングス制限以外の符号制限は任意であるが、一般的には、例えば、NRZI変調後の符号系列を1ビットおきに観測したときの最大ランレングス等が考えられる。
【0094】
いま、符号語の始端と終端におけるビット1の最大連続数を2、始端と終端におけるビット0の最大連続数を6、符号語途中におけるビット1の最大連続数を4、符号語途中におけるビット0の最大連続数を6に、各々制限するビット系列を考える。
【0095】
図6のFSTDに示すように、状態1乃至4および状態6乃至9は、「0」と「1」の両方を出力できるが、状態5は「0」だけを出力し、状態10は「1」だけを出力する。これらの条件を前提とすると、ビット0の最大連続数は6を許容しているので(図6のFSTDではビット0の連続数が6を超えることはないので)、始端とした場合にビット1の連続数が2以下となるのは状態3であり、終端とした場合にビット1の連続数が2以下となるのは、状態4と5を除いた、状態1,2,3,6,7,8,9,10である。
【0096】
すなわち、図6のFSTDにおいて、状態3から始まって、状態1,2,3,6,7,8,9,10のいずれかで終わるビット系列を考えと、このような制限を満たす17ビット系列の数は全部で78,943個存在し、この中から216=65,536個の仮符号語を選択する。
【0097】
つまり、図6のFSTDによって仮符号語を割り当てることで、例えば、図7の基本符号変換表(符号変換表)が生成される。すなわち、図7は、本実施の形態における、図6のFSTDによって、65,536(=216)個の情報語に仮符号を割り当てた際の、最初の8語についての基本符号変換表の一例である。
【0098】
図7の基本符号変換表においては、左側の列は16ビットの情報語を示し、右側の列はその16ビットの情報語に対応する17ビットの仮符号語を示している。言い換えれば、図7の基本符号変換表は、情報語に仮符号語を割り当てているとも言える。
【0099】
図7の基本符号変換表においては、上側から1行目は、0000000000000000である16ビットの情報語を、00000100000010001である17ビットの仮符号語に変換することを表わしている。同様に次の行は、0000000000000001の情報語を、00000100000010010の仮符号語に変換し、0000000000000010の情報語を、00000100000010011の仮符号語に変換し、0000000000000011の情報語を、00000100000010100の仮符号語に変換することを表わしている。
【0100】
また、同様にその次の行は、0000000000000100の情報語を、00000100000010101の仮符号語に変換し、0000000000000101の情報語を、00000100000010110の仮符号語に変換し、0000000000000110の情報語を、00000100000011010の仮符号語に変換し、0000000000000111の情報語を、00000100000011011の仮符号語に変換することを表わしている。
【0101】
つまり、図6のFSTDに基づいて生成された、図7の基本符号変換表は、仮符号語の始端部分および終端部分における1の最大連続数を2、かつ、仮符号語の始端部分および終端部分における0の最大連続数を4以上10以下に制限する。
【0102】
なお、図7の基本符号変換表においては、65,536個ある符号変換規則の内の8個の符号変換規則だけを一例として記載しており、さらに、情報語への符号語の割り当ては任意である。
【0103】
このように、本実施の形態では、図7の基本符号変換表に従い、16ビット情報語を、順次17ビット仮符号語に変換する。また、このままでは、符号語接続点における最大ランレングスが12となってしまうので、符号語接続点において最大ランレングス6の制限に違反した場合、符号語の先読みを行ための、図8の違反時符号変換表に従って符号化を行う。
【0104】
図8は、符号語接続点に適用される違反時符号変換表の一例である。なお、図8において、コンマの記号(,)は連続する2符号語の境界を示している。ただしここで、仮符号語接続点におけるビット0の連続が、所望の最大ランレングス制限以下となっている場合は、図8の違反時符号変換表を適用してもしなくてもよい。
【0105】
図8の違反時符号変換表においては、規則番号1は、仮符号語1の終端4ビットが0000で、かつ仮符号語1に続く仮符号語2の始端1ビットが0であった場合には、仮符号語1の終端4ビットを0111,仮符号語の始端1ビットを0に各々変換して、最終的な符号語として符号化することを表わしている。
【0106】
同様にまた、規則番号2は、仮符号語1の終端1ビットが0,かつ仮符号語2の始端4ビットが0000であった場合には、それらのビットを、0,1110に各々変換することを表わしている。
【0107】
ただしここで、仮符号語1の終端4ビットが0000,かつ仮符号語2の始端4ビットが0000であった場合には、図8の規則番号1と規則番号2の違反規則を同時に満たすが、その場合には規則番号1と規則番号2のどちらを優先させてもよい。
【0108】
つまり、図8の違反時符号変換表は、符号語接続点における0の最大連続数が7以上となったとき、仮符号語の始端部分または終端部分において0の連続数が4以上となるいずれか一方の仮符号語のみについて、仮符号語の始端部分の3ビットまたは仮符号語の終端部分の3ビットを、0から1に変換する。また、図8の違反時符号変換表は、仮符号語接続点におけるビット0の連続を最大で6に制限する。
【0109】
ここで、本実施の形態で用いられる、図8の違反時符号変換表の特徴について説明する。なお、ここでは、説明を分かり易くするため、従来用いられていた図3の違反時符号変換表と比較しながら、その特徴について説明する。
【0110】
従来用いられていた、図3の違反時符号変換表は、規則番号6,7,9,10の4つを除いて、符号接続点における2符号語の両方に対して符号変換を施していた。このため、図3の符号変換部分において、復号時に1ビットの誤りが起こると、その誤りが2符号語に伝播してしまうという場合があるという問題があった。このような複数の符号語に跨る誤り伝播の発生は、上記特許文献1に開示されている符号に限らず、可変長符号においては従来ごく一般的なことであった。
【0111】
これに対して、本実施の形態で用いられている、図8の違反時符号変換表は、図3の違反時符号変換表と比べて、より簡単な構成となっているため、符号に与えられる制限は比較的少なく、さらに、符号接続点において、常に2符号語の内の、いずれか一方の符号語にしか第2の符号変換(違反時符号変換)を施していないという特徴がある。このため、本実施の形態の符号化方法を用いた場合には、復号時に、符号系列に1ビットの誤りが起こっても、その誤り伝播は1符号語以内に限られるという特徴がある。
【0112】
すなわち、図8の違反時符号変換表は、MTR制限された可変長符号を、復号時の誤り伝播長が短くなるように符号化することを可能とする。
【0113】
次に、図9のフローチャートを参照して、図8の違反時符号変換表を用いて符号化を行う符号化部121による、符号化処理について説明する。
【0114】
符号化部121は、例えば、入力情報系列(情報語)が入力されたとき、図9のフローチャートの処理を実行する。
【0115】
ステップS11において、基本符号変換部141は、例えば、図7の基本符号変換表に従って、16ビット情報語を、17ビット仮符号語に変換する。
【0116】
ステップS12において、違反時符号変換部142は、例えば、符号語接続点において、最大ランレングス6の制限に違反している場合、例えば、図8の違反時符号変換表に従って、変換を行って、符号化処理は終了する。
【0117】
具体的には、違反時符号変換部142は、図8の違反時符号変換表に従って、例えば、仮符号語1の終端4ビットが0000,仮符号語2の始端1ビットが0である場合には、それらのビットを0111,0に各々変換し、仮符号語1の終端1ビットが0,仮符号語2の始端4ビットが0000である場合には、それらのビットを0,1110に各々変換する。
【0118】
なお、違反時符号変換部142は、最大ランレングス6の制限に違反していない場合には、図8の違反時符号変換表による変換を実行しない。
【0119】
以上のように、本実施の形態では、符号接続点において、常に2符号語の内の、いずれか一方の仮符号語にだけ、図8の違反時符号変換表に従った変換を施すので、復号時に、符号系列の1ビットの誤りが発生したとしても、その誤り伝播を1符号語以内に抑えることができる。
【0120】
ところで、上述した例では、図4の符号化部121によって行われる符号化処理について説明したが、次に、図4の復号部131によって行われる、その符号化された符号系列を復号する処理について説明する。
【0121】
図10は、図4の復号部131による復号処理を説明するフローチャートである。
【0122】
復号部131は、例えば、符号検出部33からデジタル再生信号を変換した検出符号系列(符号語)が供給されたとき、図10のフローチャートの処理を実行する。このとき、符号語は、図4の符号化部121によって、復号時に1符号語単位で復号可能となるように符号化されている。
【0123】
ステップS31において、違反時符号変換部151は、図11の違反時符号変換表に従って変換を行う。
【0124】
ここで、図11は、復号時に、符号語接続点に適用される違反時復号変換表の一例である。なお、図10において、図8と同様に、コンマの記号(,)は連続する2符号語の境界を示している。また、「・・・」は、「0」または「1」のビットを示している。
【0125】
図11の違反時符号変換表においては、規則番号1は、符号語1の終端4ビットが0111であった場合には、その符号語1の終端4ビットを0000に変換することを表わしている。同様にまた、符号語1の始端4ビットが1110であった場合には、その始端4ビットを0000に変換することを表わしている。
【0126】
すなわち、違反時符号変換部151は、図11の違反時符号変換表に従って、例えば、符号語1の終端4ビットが0111である場合には、それらのビットを0000に変換し、符号語1の始端4ビットが1110である場合には、それらのビットを0000に変換する。つまり、図11の違反時符号変換表は、符号語の始端部分および終端部分における1の最大連続数が3となるとき、符号語の始端部分の3ビットまたは符号語の終端部分の3ビットを、1から0に変換する。
【0127】
図10のフローチャートに戻り、ステップS32において、基本符号変換部152は、例えば、図7の基本符号変換表に従って、17ビット仮符号語を、16ビット情報語に変換して、復号処理は終了する。
【0128】
以上のように、本実施の形態では、符号化時に、符号接続点において、常に2符号語の内の、いずれか一方の仮符号語だけに、図8の違反時符号変換表に従った変換が施されているので、復号時に、図11の違反時符号変換表に従った変換を行う際に、符号系列の1ビットの誤りが発生したとしても、その誤り伝播を1符号語以内に抑えることができる。
【0129】
ところで、本実施の形態では、記録装置111と再生装置112からなる記録再生システム101について説明したが、図8と図11の違反時符号変換表は、送信装置211と受信装置212からなる送受信システム201に用いることも可能である。
【0130】
図12は、本発明を適用した送受信システム201の一実施の形態の構成を示すブロック図である。この送受信システム201は、例えば、通信システムの一例であって、送信装置211と受信装置212からなるシステムである。
【0131】
なお、図12の送受信システム201において、図4の記録再生システム101と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。すなわち、図12では、送信装置211は、図4の記録装置111における記録部22に代わって、送信部221が設けられ、受信装置212は、図4の再生装置112における再生部31に代わって、受信部231が設けられている以外は、図4における場合と同様の構成を有している。
【0132】
送信装置211において、送信部221は、符号化部121からの符号系列に対応する信号を、例えば、送信アンテナによって空間に送信する。すなわち、このとき、送受信システム201は、無線通信システムである。
【0133】
受信装置212においては、受信部231は、受信アンテナによって、空間中の信号をアナログ信号に変換する。そのアナログ信号は、A/D変換部32に供給される。
【0134】
以上のような構成を有する送受信システム201においては、図4の記録再生システム101と同様に、送信装置211は、符号化時に、符号接続点において、2符号語の内の、いずれか一方の仮符号語だけに、図8の違反時符号変換表に従った変換を行い、受信装置212は、復号時に、その1符号語単位で復号可能となるように符号化された符号語を、図11の違反時符号変換表に従い復号する。
【0135】
なお、図12の送受信システム201は、送信装置211と受信装置212とが一体となった送受信装置として構成されるようにしてもよい。
【0136】
このように、本実施の形態は、可変長符号の復号誤り伝播長を1符号語内に抑える技術であり、例えば、最大ランレングスの短いMTR=4の符号の符号化を行うことができ、各種ストレージ装置や通信装置に使用される符号の符号化器に適用することができる。
【0137】
例えば、磁気ディスク記録再生装置および磁気テープ記録再生装置等の各種の磁気記録再生装置、光磁気ディスク記録再生装置、相変化光ディスク記録再生装置、および再生専用光ディスク再生装置等の各種の光ディスク装置、並びにテレビ放送、携帯電話機、LAN(Local Area Network)等の各種の通信装置に使用される符号の符号化器に適用し、伝送情報のBERや未検出誤り確率を低減させることができる。
【0138】
なお、本実施の形態では、MTR=4、かつ、最大ランレングス6の16/17符号について説明したが、MTR=4、かつ、最大ランレングス6の24/25符号を構成することも可能である。その場合、例えば、図6のFSTDにおいて、状態3で始まって、状態1,2,3,6,7,8,9,10のいずれかで終わる25ビット系列を選択すると、その数は、全部で16,959,294個存在する。この中から、224=16,777,216個の仮符号語を選択して、基本符号変換表(24/25符号用の基本符号変換表)を生成し、後は上記16/17符号の場合と同様に符号化すればよい。
【0139】
すなわち、符号化時においては、符号化部121は、図7の基本符号変換表の代わりに、この24/25符号用の基本符号変換表に従って、24ビットの情報語を25ビットの仮符号語に変換し、さらに、図8の違反時符号変換表に従って変換を行う。また、復号時においては、復号部131は、図11の違反時符号変換表に従って変換し、さらに、その24/25符号用の基本符号変換表に従って、25ビットの仮符号語を、24ビットの情報語に変換する。
【0140】
これら、16/17符号あるいは24/25符号の符号化・復号回路は、例えばごく一般的な、数え上げ符号化(enumerative source coding)法等を用いて、容易に設計することができる。
【0141】
また、このような最大ランレングスの短いMTR=4の符号は、従来知られているMTR=3の符号と比較して、符号検出器の利得は小さいが、ある程度の検出器利得を保ちつつシステムのロバスト性を向上させることができる。
【0142】
図13は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するパーソナルコンピュータの構成の例を示すブロック図である。CPU(Central Processing Unit)311は、ROM(Read Only Memory)312、または記録部318に記録されているプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM(Random Access Memory)313には、CPU311が実行するプログラムやデータ等が適宜記憶される。これらのCPU311、ROM312、およびRAM313は、バス314により相互に接続されている。
【0143】
CPU311にはまた、バス314を介して入出力インターフェース315が接続されている。入出力インターフェース315には、マイクロホン等よりなる入力部316、ディスプレイ、スピーカ等よりなる出力部317が接続されている。CPU311は、入力部316から入力される指令に対応して各種の処理を実行する。そして、CPU311は、処理の結果を出力部317に出力する。
【0144】
入出力インターフェース315に接続されている記録部318は、例えばハードディスクからなり、CPU311が実行するプログラムや各種のデータを記録する。通信部319は、インターネットやローカルエリアネットワーク等のネットワークを介して外部の装置と通信する。
【0145】
また、通信部319を介してプログラムを取得し、記録部318に記録してもよい。
【0146】
入出力インターフェース315に接続されているドライブ320は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等のリムーバブルメディア321が装着されたとき、それらを駆動し、そこに記録されているプログラムやデータ等を取得する。取得されたプログラムやデータは、必要に応じて記録部318に転送され、記録される。
【0147】
コンピュータにインストールされ、コンピュータによって実行可能な状態とされるプログラムを格納するプログラム記録媒体は、図13に示すように、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリ等よりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア321、または、プログラムが一時的もしくは永続的に格納されるROM312や、記録部318を構成するハードディスク等により構成される。プログラム記録媒体へのプログラムの格納は、必要に応じてルータ、モデム等のインターフェースである通信部319を介して、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の通信媒体を利用して行われる。
【0148】
なお、本明細書において、記録媒体に格納されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0149】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0150】
さらに、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】従来の記録再生システムの構成を示すブロック図である。
【図2】符号系列に最大ランレングス制限を与えない場合における、符号のシャノン容量のMTR制限数依存性をあらわす表を示す図である。
【図3】従来の違反時符号変換表を示す図である。
【図4】本発明を適用した記録再生システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図5】MTR=3およびMTR=4において、符号系列に最大ランレングス制限を与えた場合の、符号のシャノン容量の最大ランレングス依存性をあらわす表を示す図である。
【図6】MTR=4、かつ、最大ランレングス6の各制限を有する符号系列の10状態の有限状態遷移図である。
【図7】基本符号変換表の例を示す図である。
【図8】違反時符号変換表の例を示す図である。
【図9】符号化処理について説明するフローチャートである。
【図10】復号処理について説明するフローチャートである。
【図11】違反時符号変換表の例を示す図である。
【図12】本発明を適用した送受信システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図13】パーソナルコンピュータの構成を説明するブロック図である。
【符号の説明】
【0152】
101 記録再生システム, 111 記録装置, 112 再生装置, 121 符号化部, 131 復号部, 141 基本符号変換部, 142 違反時符号変換部, 151 違反時符号変換部, 152 基本符号変換部, 201 送受信システム, 211 送信装置, 212 受信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化時に、少なくとも1情報語または1符号語以上の先読みを行う可変長変換符号を行う符号化装置の符号化方法において、
復号時に1符号語単位で復号可能となるように符号化する
ステップを含む符号化方法。
【請求項2】
情報語に仮符号語が割り当てられた基本符号変換表に従って、情報語を仮符号語に変換し、
前記基本符号変換表において禁止された符号変換規則であって、現時刻の仮符号語または先読みした仮符号語のいずれか一方の仮符号語のみを変換する前記符号変換規則が定められた違反時符号変換表に従って、仮符号語を符号語に変換する
請求項1に記載の符号化方法。
【請求項3】
前記基本符号変換表に従って、前記仮符号語の始端部分および終端部分における1の最大連続数を2、かつ、前記仮符号語の始端部分および終端部分における0の最大連続数を4以上10以下に制限されるように変換し、
前記違反時符号変換表に従って、符号語接続点における0の最大連続数が7以上となったとき、前記仮符号語の始端部分または終端部分において0の連続数が4以上となるいずれか一方の前記仮符号語のみについて、前記仮符号語の始端部分の3ビットまたは前記仮符号語の終端部分の3ビットを、0から1に変換する
請求項2に記載の符号化方法。
【請求項4】
前記符号化において、符号化率を16/17とする
請求項3に記載の符号化方法。
【請求項5】
前記符号化において、符号化率を24/25とする
請求項3に記載の符号化方法。
【請求項6】
符号化時に、少なくとも1情報語または1符号語以上の先読みを行う可変長変換符号を行う符号化装置において、
情報語に仮符号語が割り当てられた基本符号変換表に従って、前記仮符号語の始端部分および終端部分における1の最大連続数を2、かつ、前記仮符号語の始端部分および終端部分における0の最大連続数を4以上10以下に制限されるように変換する第1の変換手段と、
前記基本符号変換表において禁止された符号変換規則であって、現時刻の仮符号語または先読みした仮符号語のいずれか一方の仮符号語のみを変換する前記符号変換規則が定められた違反時符号変換表に従って、符号語接続点における0の最大連続数が7以上となったとき、前記仮符号語の始端部分または終端部分において0の連続数が4以上となるいずれか一方の前記仮符号語のみについて、前記仮符号語の始端部分の3ビットまたは前記仮符号語の終端部分の3ビットを、0から1に変換する第2の変換手段と
を備える符号化装置。
【請求項7】
前記符号化において、符号化率を16/17とする
請求項6に記載の符号化装置。
【請求項8】
前記符号化において、符号化率を24/25とする
請求項6に記載の符号化装置。
【請求項9】
符号化時に、少なくとも1情報語または1符号語以上の先読みを行う可変長変換符号により符号化された符号語を復号する復号装置の復号方法において、
復号時に1符号語単位で復号可能となるように符号化された符号語を復号する
ステップを含む復号方法。
【請求項10】
情報語に仮符号語が割り当てられた基本符号変換表において禁止された符号変換規則であって、1符号語単位で変換可能となる前記符号変換規則が定められた違反時符号変換表に従って、符号語を仮符号語に変換し、
前記基本符号変換表に従って、仮符号語を情報語に変換する
請求項9に記載の復号方法。
【請求項11】
前記違反時符号変換表に従って、前記符号語の始端部分または前記符号語の終端部分において1の連続数が3となるとき、前記符号語の始端部分の3ビットまたは前記符号語の終端部分の3ビットを、1から0に変換し、
前記仮符号語の始端部分および終端部分における1の最大連続数を2、かつ、前記仮符号語の始端部分および終端部分における0の最大連続数を4以上10以下に制限するように定められた前記基本符号変換表に従って、仮符号語を情報語に変換する
請求項10に記載の復号方法。
【請求項12】
前記符号化において、符号化率を16/17とする
請求項11に記載の復号方法。
【請求項13】
前記符号化において、符号化率を24/25とする
請求項11に記載の復号方法。
【請求項14】
符号化時に、少なくとも1情報語または1符号語以上の先読みを行う可変長変換復号により符号化された符号語を復号する復号装置において、
情報語に仮符号語が割り当てられた基本符号変換表において禁止された符号変換規則であって、1符号語単位で変換可能となる前記符号変換規則が定められた違反時符号変換表に従って、前記符号語の始端部分または前記符号語の終端部分において1の連続数が3となるとき、前記符号語の始端部分の3ビットまたは前記符号語の終端部分の3ビットを、1から0に変換する第1の変換手段と、
前記仮符号語の始端部分および終端部分における1の最大連続数を2、かつ、前記仮符号語の始端部分および終端部分における0の最大連続数を4以上10以下に制限するように定められた前記基本符号変換表に従って、仮符号語を情報語に変換する第2の変換手段と
を備える復号装置。
【請求項15】
前記符号化において、符号化率を16/17とする
請求項14に記載の復号装置。
【請求項16】
前記符号化において、符号化率を24/25とする
請求項14に記載の復号装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2008−219477(P2008−219477A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54172(P2007−54172)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】