説明

第一級アルコールからのカルボン酸の製造方法

【課題】産業上有用な環境に優しい新規酸化反応の提供
【解決手段】
式(1)
【化1】


で表されるオキソアンモニウム塩を用い、共酸化剤として亜塩素酸のアルカリ金属塩を用いる、第一級アルコールからのカルボン酸の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキソアンモニウム塩触媒を用いる、第一級アルコールのカルボン酸への酸化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第一級アルコールからカルボン酸への酸化反応は、医薬品、化学製品などの製造にしばしば用いられる重要な反応のひとつである。
【0003】
従来から、クロム酸塩などの重金属塩酸化剤を用いる方法が長く汎用され、近年になると環境調和思考の高まりから、超原子価ヨウ素試薬を用いる方法や、低環境負荷型の共酸化剤の利用を可能とする触媒的手法(例えば、非特許文献1および2)が開発されてきた。
【0004】
また、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル(以下、TEMPOという)等のニトロキシルラジカル触媒とバルク酸化剤として次亜塩素酸ナトリウム水溶液やヨードベンゼンジアセテートを用いるTEMPO酸化(例えば、非特許文献3および4)や、1-Me-AZADOを用いる酸化(例えば、特許文献2)も低環境負荷型の酸化手法として知られている。
【0005】
亜塩素酸塩をバルク酸化剤として用いた酸化手法としては、TEMPO酸化によって第一級アルコールをアルデヒドに酸化した後、系中に存在する亜塩素酸塩によってアルデヒドがカルボン酸に酸化されるという手法(例えば、特許文献1、非特許文献5、非特許文献6)が開発されてきた。
【0006】
ワンポット酸化反応としては、まず弱塩基性条件下で次亜塩素酸ナトリウム水溶液により第一級アルコールをアルデヒドに酸化し、塩酸で弱酸性条件としたあと、亜塩素酸ナトリウムによってアルデヒドをカルボン酸に酸化する方法(例えば、非特許文献7)が知られている。
【特許文献1】国際特許出願公開第99/52849号公報
【特許文献2】国際特許出願公開第2006/001387号公報
【非特許文献1】Noyori R. et al., Chem Commun. 2003. 1977
【非特許文献2】Kita Y. et al.,Angew. Chem.Int.Ed.2000,vol.39, p1306
【非特許文献3】Anelli, P.L. et al.,J.Org.Chem.,1987, vol.52, p2559
【非特許文献4】Theodore S.Widlanski, et al., J.Org.Chem.,1999, vol.64, p293
【非特許文献5】Mangzhu Zhao et al.,J.Org.Chem.,1999,vol.64,p2564
【非特許文献6】Andreas Kirschning et al., Adv. Synth. Catal.,2005,vol.347,p1423
【非特許文献7】Atsuhiko Zenka, Chem. Pharm. Bull., 2003, vol.51,p888
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来法は、その何れもが基質適応性の観点で依然課題を残しており、広範な基質適応性と環境調和性を併せ持つ実用的な酸化反応の開発が望まれている。そのことは、多くの場合において、依然として第一級アルコールの酸化により一旦アルデヒドを単離し、亜塩素酸ナトリウムを用いたPinnick酸化を組み合わせてカルボン酸を得るという二段階の手法が適用されていることからもうかがえる。特許文献1および非特許文献5に開示された手法は、比較的基質適応性に優れているが、次亜塩素酸ナトリウムと亜塩素酸ナトリウムのそれぞれの水溶液を同時に長時間かけて滴下するという厳密な反応制御、および35〜50℃の加熱条件を必要とするため、実用性の向上が望まれていた。
【0008】
本発明は、近年ある程度の実用性に耐えうる手法として広まりつつある、触媒量のニトロキシルラジカルとバルク酸化剤とを用いるTEMPO酸化を応用し、広範な基質適応性と環境調和性を併せ持ち、簡便で効率の良い第一級アルコールのカルボン酸への酸化反応の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を達成するために鋭意考究した結果、オキソアンモニウム塩を触媒とし、亜塩素酸アルカリ金属塩をバルク酸化剤として用いる本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は
・ 式(1)
【0011】
【化1】



【0012】
(式中、X-はF-、Cl-、Br-、I-を表し、R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキル基、C3-12シクロアルキル基、(直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキル)オキシ基、(C3-12シクロアルキル)オキシ基、(直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキル)チオ基、(C3-12シクロアルキル)チオ基、(直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキル)アミノ基、(C3-12シクロアルキル)アミノ基、ジ(直鎖または分岐鎖であるC1-6アルキル)アミノ基、ジ(C3-6シクロアルキル)アミノ基、直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキルカルボニル基、C3-12シクロアルキルカルボニル基、(直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキル)オキシカルボニル基、(C3-12シクロアルキル)オキシカルボニル基、(直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキル)チオカルボニル基、(C3-12シクロアルキル)チオカルボニル基、(直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキル)アミノカルボニル基、(C3-12シクロアルキル)アミノカルボニル基、ジ(直鎖または分岐鎖であるC1-6アルキル)アミノカルボニル基、ジ(C3-6シクロアルキル)アミノカルボニル基、(直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキル)カルボニルオキシ基、(C3-12シクロアルキル)カルボニルオキシ基、(直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキル)カルボニルチオ基、(C3-12シクロアルキル)カルボニルチオ基、(直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキル)カルボニルアミノ基、(C3-12シクロアルキル)カルボニルアミノ基、ジ(直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキルカルボニル)アミノ基、ジ(C3-12シクロアルキルカルボニル)アミノ基、直鎖または分岐鎖であるC1-6ハロアルキル基、C3-6ハロシクロアルキル基、直鎖または分岐鎖であるC2-6アルケニル基、C3-6シクロアルケニル基、直鎖または分岐鎖であるC2-6ハロアルケニル基、C3-6ハロシクロアルケニル基、直鎖または分岐鎖であるC2-6アルキニル基、直鎖または分岐鎖であるC2-6ハロアルキニル基、Raで置換されていてもよいベンジル基、Raで置換されていてもよいベンジルオキシ基、Raで置換されていてもよいベンジルチオ基、Raで置換されていてもよいベンジルアミノ基、Raで置換されていてもよいジベンジルアミノ基、Raで置換されていてもよいベンジルカルボニル基、Raで置換されていてもよいベンジルオキシカルボニル基、Raで置換されていてもよいベンジルチオカルボニル基、Raで置換されていてもよいベンジルアミノカルボニル基、Raで置換されていてもよいジベンジルアミノカルボニル基、Raで置換されていてもよいベンジルカルボニルオキシ基、Raで置換されていてもよいベンジルカルボニルチオ基、Raで置換されていてもよいベンジルカルボニルアミノ基、Raで置換されていてもよいジ(ベンジルカルボニル)アミノ基、Raで置換されていてもよいアリール基、Raで置換されていてもよいアリールオキシ基、Raで置換されていてもよいアリールチオ基、Raで置換されていてもよいアリールアミノ基、Raで置換されていてもよいジアリールアミノ基、Raで置換されていてもよいアリールカルボニル基、Raで置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基、Raで置換されていてもよいアリールチオカルボニル基、Raで置換されていてもよいアリールアミノカルボニル基、Raで置換されていてもよいジアリールアミノカルボニル基、Raで置換されていてもよいアリールカルボニルオキシ基、Raで置換されていてもよいアリールカルボニルチオ基、Raで置換されていてもよいアリールカルボニルアミノ基、Raで置換されていてもよいジ(アリールカルボニル)アミノ基から選ばれる1以上の置換基を表し、置換基の数が2以上である場合は、それぞれの置換基は同じでも異なっていてもよく、
R3およびR4は一緒になってCH2CHR7CH2を表していてもよく、その場合、CH2CHR7CH2のそれぞれの水素原子はR5で置換されていてもよく、
R6およびR7は、それぞれ独立にR5と同じ意味を表すか、R6およびR7が一緒になって、R5で置換されていてもよいメチレンであってもよく、
Raは、ハロゲン、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、C1-6アルキルスルフェニルC1-6アルキル基、C1-6ハロアルコキシ基、C1-6アルキルスルフェニル基、C1-6アルキルスルフィニル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6ハロアルキルスルフェニル基、C1-6ハロアルキルスルフィニル基、C1-6ハロアルキルスルホニル基、C2-6アルケニル基、C2-6ハロアルケニル基、C2-6アルケニルオキシ基、C2-6ハロアルケニルオキシ基、C2-6アルケニルスルフェニル基、C2-6アルケニルスルフィニル基、C2-6アルケニルスルホニル基、C2-6ハロアルケニルスルフェニル基、C2-6ハロアルケニルスルフィニル基、C2-6ハロアルケニルスルホニル基、C2-6アルキニル基、C2-6ハロアルキニル基、C2-6アルキニルオキシ基、C2-6ハロアルキニルオキシ基、C2-6アルキニルスルフェニル基、C2-6アルキニルスルフィニル基、C2-6アルキニルスルホニル基、C2-6ハロアルキニルスルフェニル基、C2-6ハロアルキニルスルフィニル基、C2-6ハロアルキニルスルホニル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、C1-6アルコキシカルボニル基、C1-6アルキルカルボニル基、C1-6ハロアルキルカルボニル基、C1-6アルキルカルボニルオキシ基、フェニル基、C1-6アルキルアミノ基またはジC1-6アルキルアミノ基であって、置換するRaの数は1〜5個であり、Raが2個以上の場合は、それぞれの置換基は同じでも異なっていてもよい。)で表されるオキソアンモニウム塩を触媒とし、亜塩素酸アルカリ金属塩を共酸化剤とする、第一級アルコールからのカルボン酸の製造方法。
〔2〕R3およびR4が一緒になってCH2CHR7CH2を表し、CH2CHR7CH2のそれぞれの水素原子はR5で置換されていてもよく、R6およびR7が一緒になって、R5で置換されていてもよいメチレンである、〔1〕記載の製造方法。
〔3〕式(2):
【0013】
【化2】



【0014】
(式中、R5は前記と同じ意味を表す)で表されるニトロキシルラジカルをハロゲンと反応させることによる式3:
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、R5およびXは前記と同じ意味を表す)で表されるオキソアンモニウム塩の製造方法。
である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によって、比較的単純な構造の第一級アルコールはもちろん、不飽和結合や電子豊富な芳香族環など種々の官能基を有する第一級アルコールから、塩素化されることなく目的のカルボン酸を簡便且つ効率よく製造することが可能となる。本発明の酸化手法は実験室スケールでの実験のみならず、医薬品や化学製品の工業的な製造にも格段の貢献が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本明細書におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。尚、本明細書中「ハロ」の表記もこれらのハロゲン原子を表す。
【0019】
本明細書におけるCa〜Cbアルキルの表記は、炭素原子数がa〜b個よりなる直鎖または分岐鎖の炭化水素基を表し、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0020】
本明細書におけるCa〜Cbハロアルキルの表記は、炭素原子に結合した水素原子が、ハロゲン原子によって任意に置換された、炭素原子数がa〜b個よりなる直鎖または分岐鎖の炭化水素基を表し、このとき、2個以上のハロゲン原子によって置換されている場合、それらのハロゲン原子は互いに同一でも、または互いに相異なっていてもよい。例えばフルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジフルオロメチル基、クロロフルオロメチル基、ジクロロメチル基、ブロモフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロジフルオロメチル基、ジクロロフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモジフルオロメチル基、ブロモクロロフルオロメチル基、ジブロモフルオロメチル基、2-フルオロエチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモエチル基、2,2-ジフルオロエチル基、2-クロロ-2-フルオロエチル基、2,2-ジクロロエチル基、2-ブロモ-2-フルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル基、2,2-ジクロロ-2-フルオロエチル基、2,2,2-トリクロロエチル基、2-ブロモ-2,2-ジフルオロエチル基、2-ブロモ-2-クロロ-2-フルオロエチル基、2-ブロモ-2,2-ジクロロエチル基、1,1,2,2-テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、1-クロロ-1,2,2,2-テトラフルオロエチル基、2-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエチル基、1,2-ジクロロ-1,2,2-トリフルオロエチル基、2-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロエチル基、2-フルオロプロピル基、2-クロロプロピル基、2-ブロモプロピル基、2-クロロ-2-フルオロプロピル基、2,3-ジクロロプロピル基、2-ブロモ-3-フルオロプロピル基、3-ブロモ-2-クロロプロピル基、2,3-ジブロモプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、3-ブロモ-3,3-ジフルオロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基、2,3-ジクロロ-1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロピル基、2-フルオロ-1-メチルエチル基、2-クロロ-1-メチルエチル基、2-ブロモ-1-メチルエチル基、2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル基、1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル基、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロブチル基、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロブチル基、ノナフルオロブチル基、4-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロブチル基、2-フルオロ-2-メチルプロピル基、2-クロロ-1,1-ジメチルエチル基、2-ブロモ-1,1-ジメチルエチル基、5-クロロ-2,2,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロペンチル基、トリデカフルオロヘキシル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0021】
本明細書におけるCa〜Cbシクロアルキルの表記は、炭素原子数がa〜b個よりなる環状の炭化水素基を表し、3員環から6員環までの単環または複合環構造を形成することが出来る。また、各々の環は指定の炭素原子数の範囲でアルキル基によって任意に置換されていてもよい。例えばシクロプロピル基、1-メチルシクロプロピル基、2-メチルシクロプロピル基、2,2-ジメチルシクロプロピル基、2,2,3,3-テトラメチルシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、2-メチルシクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、2-メチルシクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0022】
本明細書におけるCa〜Cbハロシクロアルキルの表記は、炭素原子に結合した水素原子が、ハロゲン原子によって任意に置換された、炭素原子数がa〜b個よりなる環状の炭化水素基を表し、3員環から6員環までの単環または複合環構造を形成することが出来る。また、各々の環は指定の炭素原子数の範囲でアルキル基によって任意に置換されていてもよく、ハロゲン原子による置換は環構造部分であっても、側鎖部分であっても、或いはそれらの両方であってもよく、さらに、2個以上のハロゲン原子によって置換されている場合、それらのハロゲン原子は互いに同一でも、または互いに相異なっていてもよい。例えば2,2-ジフルオロシクロプロピル基、2,2-ジクロロシクロプロピル基、2,2-ジブロモシクロプロピル基、2,2-ジフルオロ-1-メチルシクロプロピル基、2,2-ジクロロ-1-メチルシクロプロピル基、2,2-ジブロモ-1-メチルシクロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロシクロブチル基、2-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル基、3-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル基、4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0023】
本明細書におけるCa〜Cbアルケニルの表記は、炭素原子数がa〜b個よりなる直鎖または分岐鎖で、且つ分子内に1個または2個以上の二重結合を有する不飽和炭化水素基を表し、例えばビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-メチルエテニル基、2-ブテニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、2-ペンテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、2-エチル-2-プロペニル基、1,1-ジメチル-2-プロペニル基、2-ヘキセニル基、2-メチル-2-ペンテニル基、2,4-ジメチル-2,6-ヘプタジエニル基、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエニル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0024】
本明細書におけるCa〜Cbハロアルケニルの表記は、炭素原子に結合した水素原子が、ハロゲン原子によって任意に置換された、炭素原子数がa〜b個よりなる直鎖または分岐鎖で、且つ分子内に1個または2個以上の二重結合を有する不飽和炭化水素基を表す。このとき、2個以上のハロゲン原子によって置換されている場合、それらのハロゲン原子は互いに同一でも、または互いに相異なっていてもよい。例えば2,2-ジクロロビニル基、2-フルオロ-2-プロペニル基、2-クロロ-2-プロペニル基、3-クロロ-2-プロペニル基、2-ブロモ-2-プロペニル基、3-ブロモ-2-プロペニル基、3,3-ジフルオロ-2-プロペニル基、2,3-ジクロロ-2-プロペニル基、3,3-ジクロロ-2-プロペニル基、2,3-ジブロモ-2-プロペニル基、2,3,3-トリフルオロ-2-プロペニル基、2,3,3-トリクロロ-2-プロペニル基、1-(トリフルオロメチル)エテニル基、3-クロロ-2-ブテニル基、3-ブロモ-2-ブテニル基、4,4-ジフルオロ-3-ブテニル基、3,4,4-トリフルオロ-3-ブテニル基、3-クロロ-4,4,4-トリフルオロ-2-ブテニル基、3-ブロモ-2-メチル-2-プロペニル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0025】
本明細書におけるCa〜Cbシクロアルケニルの表記は、炭素原子数がa〜b個よりなる環状の、且つ1個または2個以上の二重結合を有する不飽和炭化水素基を表し、3員環から6員環までの単環または複合環構造を形成することが出来る。また、各々の環は指定の炭素原子数の範囲でアルキル基によって任意に置換されていてもよく、さらに、二重結合はendo-またはexo-のどちらの形式であってもよい。例えば2-シクロペンテン-1-イル基、3-シクロペンテン-1-イル基、2-シクロヘキセン-1-イル基、3-シクロヘキセン-1-イル基、ビシクロ[2.2.1]-5-ヘプテン-2-イル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0026】
本明細書におけるCa〜Cbハロシクロアルケニルの表記は、炭素原子に結合した水素原子が、ハロゲン原子によって任意に置換された、炭素原子数がa〜b個よりなる環状の、且つ1個または2個以上の二重結合を有する不飽和炭化水素基を表し、3員環から6員環までの単環または複合環構造を形成することが出来る。また、各々の環は指定の炭素原子数の範囲でアルキル基によって任意に置換されていてもよく、さらに、二重結合はendo-またはexo-のどちらの形式であってもよい。また、ハロゲン原子による置換は環構造部分であっても、側鎖部分であっても、或いはそれらの両方であってもよく、2個以上のハロゲン原子によって置換されている場合、それらのハロゲン原子は互いに同一でも、または互いに相異なっていても良い。例えば2-クロロビシクロ[2.2.1]-5-ヘプテン-2-イル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0027】
本明細書におけるCa〜Cbアルキニルの表記は、炭素原子数がa〜b個よりなる直鎖または分岐鎖で、且つ分子内に1個または2個以上の三重結合を有する不飽和炭化水素基を表し、例えばエチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基、2-ペンチニル基、1-メチル-2-ブチニル基、1,1-ジメチル-2-プロピニル基、2-ヘキシニル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0028】
本明細書におけるCa〜Cbハロアルキニルの表記は、炭素原子に結合した水素原子が、ハロゲン原子によって任意に置換された、炭素原子数がa〜b個よりなる直鎖または分岐鎖で、且つ分子内に1個または2個以上の三重結合を有する不飽和炭化水素基を表す。このとき、2個以上のハロゲン原子によって置換されている場合、それらのハロゲン原子は互いに同一でも、または互いに相異なっていても良い。例えば2-クロロエチニル基、2-ブロモエチニル基、2-ヨードエチニル基、3-クロロ-2-プロピニル基、3-ブロモ-2-プロピニル基、3-ヨード-2-プロピニル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0029】
Raで置換されていてもよいアリール基として、フェニル基、o-メチルフェニル基、m-メチルフェニル基、p-メチルフェニル基、o-クロルフェニル基、m-クロルフェニル基、p-クロルフェニル基、o-フルオロフェニル基、p-フルオロフェニル基、o-メトキシフェニル基、p-メトキシフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-シアノフェニル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基、o-ビフェニリル基、m-ビフェニリル基、p-ビフェニリル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基、9-フェナントリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ピラニル基、3−ピラニル基、4−ピラニル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、2−ベンゾチエニル基、3−ベンゾチエニル基、4−ベンゾチエニル基、5−ベンゾチエニル基、6−ベンゾチエニル基、7−ベンゾチエニル基、1−イソベンゾチエニル基、4−イソベンゾチエニル基、5−イソベンゾチエニル基、2−クロメニル基、3−クロメニル基、4−クロメニル基、5−クロメニル基、6−クロメニル基、7−クロメニル基、8−クロメニル基、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、1−イミダゾリル基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、3−ピラゾリル基、4−ピラゾリル基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、3−イソチアゾリル基、4−イソチアゾリル基、5−イソチアゾリル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、3−イソオキサゾリル基、4−イソオキサゾリル基、5−イソオキサゾリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジニル基、2−ピリミジニル基、4−ピリミジニル基、5−ピリミジニル基、3−ピリダジニル基、4−ピリダジニル基、1−インドリジニル基、2−インドリジニル基、3−インドリジニル基、5−インドリジニル基、6−インドリジニル基、7−インドリジニル基、8−インドリジニル基、1−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−インダゾリル基、2−インダゾリル基、3−インダゾリル基、4−インダゾリル基、5−インダゾリル基、6−インダゾリル基、7−インダゾリル基、1−プリニル基、2−プリニル基、3−プリニル基、6−プリニル基、7−プリニル基、8−プリニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、1−フタラジニル基、5−フタラジニル基、6−フタラジニル基、2−ナフチリジニル基、3−ナフチリジニル基、4−ナフチリジニル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、2−キナゾリニル基、4−キナゾリニル基、5−キナゾリニル基、6−キナゾリニル基、7−キナゾリニル基、8−キナゾリニル基、3−シンノリニル基、4−シンノリニル基、5−シンノリニル基、6−シンノリニル基、7−シンノリニル基、8−シンノリニル基、2−プテニジニル基、4−プテニジニル基、6−プテニジニル基、7−プテニジニル基及び3−フラザニル基が挙げられ、
Raで置換されていてもよいベンジル基として、ベンジル基、o-メチルベンジル基、m-メチルベンジル基、p-メチルベンジル基、o-クロルベンジル基、m-クロルベンジル基、p-クロルベンジル基、o-フルオロベンジル基、p-フルオロベンジル基、o-メトキシベンジル基、p-メトキシベンジル基、p-ニトロベンジル基、p-シアノベンジル基が挙げられる。
【0030】
本発明に用いられるオキソアンモニウム塩としては、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2-アザアダマンタン、[3,3,1]-アザビシクロノナン等の骨格を有するものが代表例として挙げられ、特に、2-アザアダマンタン骨格を有するもの、すなわち、一般式(1)において、R3およびR4が一緒になってCH2CHR7CH2を表し、CH2CHR7CH2のそれぞれの水素原子はR5で置換されていてもよく、R6およびR7が一緒になって、R5で置換されていてもよいメチレンである場合、が好ましい。
そのような例としては、例えば、1-メチル-2-アザアダマンタン-N-オキシル(以下、1-Me-AZADOともいう。)のオキソアンモニウム塩、2-アザアダマンタン-N-オキシル(以下、AZADOともいう。)のオキソアンモニウム塩等が挙げられる。
【0031】
そのカウンターイオンとしては、F-、Cl-、Br-、I-が挙げられるが、好ましくはCl-である。
【0032】
本発明に用いられる亜塩素酸のアルカリ金属塩としては、好ましくは、例えば亜塩素酸ナトリウムが挙げられる。
【0033】
本発明では、触媒量のオキソアンモニウム塩によって第一級アルコールが酸化され、ヒドロキシルアミンとアルデヒドを与える。次にアルデヒドは亜塩素酸塩によってカルボン酸へと酸化され、次亜塩素酸塩を副生する。この次亜塩素酸塩によってヒドロキシルアミンがオキソアンモニウム塩に再酸化され、触媒機構を形成すると考えられる。
【0034】
TEMPOと、文献(Shibuya M. et al., J. Am. Chem. Soc.,2006, vol.128, p8412)記載の1-Me-AZADOのオキソアンモニウム塩(以下それぞれTEMPO+Cl-、1-Me-AZADO+Cl-ともいう。)を用い、バルク酸化剤として亜塩素酸ナトリウムを用いた場合の本発明の概念図を示す。但し、本発明はこれに限定されるものではない。なお、oxoammonium saltはオキソアンモニウム塩を、hydroxylamineはヒドロキシルアミンを表す。
【0035】
【化4】

【0036】
本発明は、触媒をオキソアンモニウム塩とすることで、触媒の再生を担う次亜塩素酸ナトリウムが系中で穏和に生成することから、ニトロキシルラジカルをオキソアンモニウムに酸化して反応を開始させるための触媒量の次亜塩素酸ナトリウムの添加を必要とせず、厳密な反応制御を必要としない。
【0037】
また、系中で次亜塩素酸が穏やかに生成することから、一般的な副反応である不飽和結合や電子豊富な芳香環の塩素化も最小限に抑えられる。
【0038】
オキソアンモニウムクロリドは対応するニトロキシルラジカル体もしくはヒドロキシアミン体を塩素と反応させる、またはこれら前駆体を溶媒中で次亜塩素酸ナトリウムと反応させ、系内で発生させることにより調製することができる。
【0039】
例えば、1-Me-AZADO+Cl-を触媒として用いた場合は、室温でも酸化反応が良好に進行する。
【0040】
本発明では、各種第一級アルコールを基質として、触媒量のオキソアンモニウム塩、バルク酸化剤として亜塩素酸ナトリウム、有機溶媒と酸性緩衝液の混合溶媒中、室温で激しく撹拌してワンポットで酸化反応を行うことができる。
【0041】
溶媒としては、反応の進行を阻害しないものであれば制限はないが、例えば、ジクロロメタンが好ましい。
【0042】
緩衝液としては、例えば、リン酸二水素ナトリウム水溶液が好ましい。
【0043】
原料である第一級アルコールとそのアルデヒド体の消失、およびカルボン酸の生成を確認したあと、溶媒の留去、抽出、再結晶、濾過、デカント、カラムクロマトグラフィー等の通常の精製操作により、目的とするカルボン酸を単離することができる。
【0044】
また、反応の進行が遅い場合は、相間移動触媒を添加すると反応が加速する。
【0045】
以下、実施例に基づき、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0046】
実施例1:オキソアンモニウム塩の製造
1‐Me‐AZADO(1920 mg, 11.55 mmol)のCCl4 (23.1 mL, 0.5 M)溶液中に室温下塩素ガスを吹き込み激しく攪拌する。析出した結晶をグラスフィルターにて濾取し、冷却したEt2Oにより洗浄し、減圧下乾燥を行い1‐Me‐AZADO+Cl-を得た(2316 mg, 99%)。
【0047】

実施例2:オキソアンモニウム塩の製造2
臭素を用い、製造例1と同様の手法で1‐Me‐AZADO+Br-(実際のカウンターイオンはBr3-)を得た。
【0048】

実施例3:3-フェニルプロパノールの酸化
3-フェニルプロパノール150mg(1.101mmol)のCH2Cl2(3.7mL)-NaH2PO4水溶液(2.1mL, 0.52M溶液により1.0当量)混合溶液にNaClO2(498mg, 5.507mmol)を加え撹拌した。その後、直ちに1-Me-AZADO+Cl-(11.1mg, 0.05507mmol)を加えて室温下、原料の3-フェニルプロパノール及びアルデヒド体である3-フェニルプロパナールの消失が確認されるまで激しく撹拌した。反応終了後、氷冷下2-メチル-2-ブテン(1.17ml, 11.01mmol)を加え、弱酸性条件下で水層と有機層とに分けた。その有機層に10%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH11とした溶液からイオン型カルボン酸以外の有機物をジエチルエーテルで抽出した。残った水層を10%塩酸によりpH3にして、水層から分子型カルボン酸をジエチルエーテルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムにより乾燥させ、減圧下で溶媒を留去した。
【0049】
残渣を塩化メチレンに溶かし、氷冷下ジアゾメタンを加えてメチルエステル化反応の終了を確認した後、しばらく室温で撹拌した後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:)で精製し、メチルエステルを176mg(収率97%)得た。
【0050】
同様に反応を行った例を、1-Me-AZADO+Cl-を用いた場合とTEMPO+Cl-を用いた場合について示す。なお、表中、alcoholはアルコールを、time[hr]は反応時間(単位:時間)を、yield(%)は収率(%)を表し、ジアゾメタンによるメチルエステルの単離収率で計算した。noteは備考を表し、traceは痕跡量を、Additiveは添加物を、SASSはステアリン酸ナトリウムを、slight chlorinationはわずかに塩素化されたことを表す。Cat.は触媒を表す。
【0051】
【表1】



【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、比較的単純な構造の第一級アルコールはもちろん、不飽和結合や電子豊富な芳香族環など種種の官能基を有する第一級アルコールから、塩素化されることなく目的のカルボン酸を簡便且つ効率よく製造することが可能となるため、医薬品や化学製品の工業的な製造に極めて有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】


(式中、X-はF-、Cl-、Br-、I-を表し、R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキル基、C3-12シクロアルキル基、(直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキル)オキシ基、(C3-12シクロアルキル)オキシ基、(直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキル)チオ基、(C3-12シクロアルキル)チオ基、(直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキル)アミノ基、(C3-12シクロアルキル)アミノ基、ジ(直鎖または分岐鎖であるC1-6アルキル)アミノ基、ジ(C3-6シクロアルキル)アミノ基、直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキルカルボニル基、C3-12シクロアルキルカルボニル基、(直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキル)オキシカルボニル基、(C3-12シクロアルキル)オキシカルボニル基、(直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキル)チオカルボニル基、(C3-12シクロアルキル)チオカルボニル基、(直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキル)アミノカルボニル基、(C3-12シクロアルキル)アミノカルボニル基、ジ(直鎖または分岐鎖であるC1-6アルキル)アミノカルボニル基、ジ(C3-6シクロアルキル)アミノカルボニル基、(直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキル)カルボニルオキシ基、(C3-12シクロアルキル)カルボニルオキシ基、(直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキル)カルボニルチオ基、(C3-12シクロアルキル)カルボニルチオ基、(直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキル)カルボニルアミノ基、(C3-12シクロアルキル)カルボニルアミノ基、ジ(直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキルカルボニル)アミノ基、ジ(C3-12シクロアルキルカルボニル)アミノ基、直鎖または分岐鎖であるC1-6ハロアルキル基、C3-6ハロシクロアルキル基、直鎖または分岐鎖であるC2-6アルケニル基、C3-6シクロアルケニル基、直鎖または分岐鎖であるC2-6ハロアルケニル基、C3-6ハロシクロアルケニル基、直鎖または分岐鎖であるC2-6アルキニル基、直鎖または分岐鎖であるC2-6ハロアルキニル基、Raで置換されていてもよいベンジル基、Raで置換されていてもよいベンジルオキシ基、Raで置換されていてもよいベンジルチオ基、Raで置換されていてもよいベンジルアミノ基、Raで置換されていてもよいジベンジルアミノ基、Raで置換されていてもよいベンジルカルボニル基、Raで置換されていてもよいベンジルオキシカルボニル基、Raで置換されていてもよいベンジルチオカルボニル基、Raで置換されていてもよいベンジルアミノカルボニル基、Raで置換されていてもよいジベンジルアミノカルボニル基、Raで置換されていてもよいベンジルカルボニルオキシ基、Raで置換されていてもよいベンジルカルボニルチオ基、Raで置換されていてもよいベンジルカルボニルアミノ基、Raで置換されていてもよいジ(ベンジルカルボニル)アミノ基、Raで置換されていてもよいアリール基、Raで置換されていてもよいアリールオキシ基、Raで置換されていてもよいアリールチオ基、Raで置換されていてもよいアリールアミノ基、Raで置換されていてもよいジアリールアミノ基、Raで置換されていてもよいアリールカルボニル基、Raで置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基、Raで置換されていてもよいアリールチオカルボニル基、Raで置換されていてもよいアリールアミノカルボニル基、Raで置換されていてもよいジアリールアミノカルボニル基、Raで置換されていてもよいアリールカルボニルオキシ基、Raで置換されていてもよいアリールカルボニルチオ基、Raで置換されていてもよいアリールカルボニルアミノ基、Raで置換されていてもよいジ(アリールカルボニル)アミノ基から選ばれる1以上の置換基を表し、置換基の数が2以上である場合は、それぞれの置換基は同じでも異なっていてもよく、
R3およびR4は一緒になってCH2CHR7CH2を表していてもよく、その場合、CH2CHR7CH2のそれぞれの水素原子はR5で置換されていてもよく、
R6およびR7は、それぞれ独立にR5と同じ意味を表すか、R6およびR7が一緒になって、R5で置換されていてもよいメチレンであってもよく、
Raは、ハロゲン、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、C1-6アルキルスルフェニルC1-6アルキル基、C1-6ハロアルコキシ基、C1-6アルキルスルフェニル基、C1-6アルキルスルフィニル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6ハロアルキルスルフェニル基、C1-6ハロアルキルスルフィニル基、C1-6ハロアルキルスルホニル基、C2-6アルケニル基、C2-6ハロアルケニル基、C2-6アルケニルオキシ基、C2-6ハロアルケニルオキシ基、C2-6アルケニルスルフェニル基、C2-6アルケニルスルフィニル基、C2-6アルケニルスルホニル基、C2-6ハロアルケニルスルフェニル基、C2-6ハロアルケニルスルフィニル基、C2-6ハロアルケニルスルホニル基、C2-6アルキニル基、C2-6ハロアルキニル基、C2-6アルキニルオキシ基、C2-6ハロアルキニルオキシ基、C2-6アルキニルスルフェニル基、C2-6アルキニルスルフィニル基、C2-6アルキニルスルホニル基、C2-6ハロアルキニルスルフェニル基、C2-6ハロアルキニルスルフィニル基、C2-6ハロアルキニルスルホニル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、C1-6アルコキシカルボニル基、C1-6アルキルカルボニル基、C1-6ハロアルキルカルボニル基、C1-6アルキルカルボニルオキシ基、フェニル基、C1-6アルキルアミノ基またはジC1-6アルキルアミノ基であって、置換するRaの数は1〜5個であり、Raが2個以上の場合は、それぞれの置換基は同じでも異なっていてもよい。)で表されるオキソアンモニウム塩を触媒とし、亜塩素酸アルカリ金属塩を共酸化剤とする、第一級アルコールからのカルボン酸の製造方法。
【請求項2】
R3およびR4が一緒になってCH2CHR7CH2を表し、CH2CHR7CH2のそれぞれの水素原子はR5で置換されていてもよく、R6およびR7が一緒になって、R5で置換されていてもよいメチレンである、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
式(2):
【化2】



(式中、R5は前記と同じ意味を表す)で表されるニトロキシルラジカルをハロゲンと反応させることによる式3:
【化3】


(式中、R5およびXは前記と同じ意味を表す)で表されるオキソアンモニウム塩の製造方法。

【公開番号】特開2009−114143(P2009−114143A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291108(P2007−291108)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 刊行物等1 第5回次世代を担う有機化学シンポジウム要旨 日本薬学会 平成19年5月8日 刊行物等2 第42回天然物化学談話会要旨 国立大学法人東北大学 平成19年6月29日 刊行物等3 日本プロセス化学会2007サマーシンポジウム要旨 日本プロセス化学会 平成19年7月9日
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】