説明

第四級オピオイドカルボキサミド

式(A)及び(B)で表される化合物が開示される。本発明の化合物は、治療用オピエートの副作用を改善するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【連邦政府により資金提供を受けた研究】
【0001】
以下の発明は、国立衛生研究所(NIH)/国立薬害研究所(NIDA)によって授与された契約番号R01DA12180の下で、米国政府支援によりなされたものである。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【共同研究契約】
【0002】
本出願に記載される発明は、当該発明がなされた当日に又は当日前に実施された共同研究契約の当事者である、Mark Wentland、Rensselaer Polytechnic Institute及びAlkermes,Incにより又はのためになされたものであり、当該発明は、共同研究契約の範囲内で着手される活動の結果としてなされたものである。
【関連出願の相互参照】
【0003】
本出願は、米国仮出願第60/954,960号(2007年8月9日出願)の優先権を主張する。前記仮出願の全開示が参照することにより本明細書に組み込まれる。
【発明の分野】
【0004】
本発明は、治療用オピエートの末梢性副作用を改善するのに有用なオピオイド受容体結合性化合物に関する。
【発明の背景】
【0005】
1805年のモルヒネの単離以来、オピエートは熱心な研究の対象であり、オピエート又はオピエート様活性を有する何千もの化合物が同定されてきた。ヒトの痛覚脱失を引き起こすために使用される化合物(例えば、モルヒネ)及びヒトの薬物嗜癖を治療するために使用される化合物(例えば、ナルトレキソン及びシクラゾシン)を含む多くのオピオイド受容体相互作用性化合物は、経口バイオアベイラビリティーが乏しく、体内からのクリアランス速度が非常に迅速であるため、有用性には限界があった。これが、ベンゾモルファン類[(例えば、シクラゾシン及びEKC(エチルケトシクラゾシン)]としても知られている2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン類の8位のヒドロキシル基(OH)及びモルフィナン類(例えば、モルヒネ)の対応する3位のOH基の存在によるものであることは多くの実例中で示されてきた。
【化1】

【0006】
これらのヒドロキシル基の高い極性により、親分子の経口吸収が遅延する。更に、8位(又は3位)のOH基は、スルホン化及びグルクロン酸抱合(第II相代謝)を受けやすく、両方とも活性化合物の迅速な排泄を促進し、その結果、活性化合物に対して不都合なほど短い半減期をもたらす。2001年のWentlandの刊行物に至るまでずっと、過去70年の当技術分野における一貫した経験は、8位(又は3位)のOH基の除去又は置換により、薬理学的に不活性な化合物がもたらされたということであった。
【0007】
米国特許第6,784,187号明細書(Wentlandに属する)は、オピオイドのフェノール性OHをCONHにより置き換えることができることを開示した。オピオイドのシクラゾシンシリーズにおいては、8−カルボキサミドシクラゾシン(8−CAC)が、μ及びκオピオイド受容体に対して高い親和性を有することが示された。インビボでの研究においては、8−CACは高い抗侵害受容活性を示し、8−CACとシクラゾシンの両方をマウスに1mg/kg腹腔内投与したときに、シクラゾシンよりもかなり長い活性持続時間を示した(15時間対2時間)。
【0008】
オピオイドアンタゴニストであるナルトレキソンの第四級誘導体は、麻酔性鎮痛薬の鎮痛作用を損なうことなく、モルヒネ及び関連オピエートのような麻酔性鎮痛薬の腸運動阻害副作用を予防又は軽減することが開示されている。例えば、メチルナルトレキソンが、米国特許第4,176,186号明細書(Goldberg et al.に属する)に開示された。しかしながら、腸運動阻害副作用を予防又は阻止するのに必要な用量が比較的高い。従って、低用量で増大した活性を有する化合物を開発する必要性が存在している。
【発明の要約】
【0009】
本発明者らは今、8位(又は3位)のヒドロキシル基を多くの小さい極性中性残基(本明細書ではヒドロキシ基及び低級アルコキシ基を除外するものと定義する)、例えばカルボキサミド基、チオカルボキサミド基、ヒドロキシアミジン基及びホルムアミド基によって置き換える第四級ナルトレキソン塩の誘導体を製造することができることを見出した。更に、本発明者らはまた、カルボキサミド基の窒素原子をかなり大きな比較的非極性の基で置換することができることも見出した。そのような化合物のすべてが、優れたオピオイド結合性を示し、良〜優の末梢性オピオイド拮抗作用活性を所有する。本明細書に記載するベンゾモルファン、モルフィナンカルボキサミド類がオピオイド受容体に対して高い親和性を有するだけでなく、OHの代わりに本明細書に記載する小さい、極性中性残基、例えばカルボキサミド基、チオカルボキサミド基、ヒドロキシアミジン基及びホルムアミド基を含有する化合物は、持続型で、はるかに第II相代謝を受け難く、一般に経口バイオアベイラビリティーが比較的大きい。
【0010】
本発明の化合物は、治療用オピエートの副作用を改善するのに有用である。これらの副作用としては、便秘、悪心/嘔吐(nausea/vomiting(emesis))、咳の抑制(cough suppression)、かゆみ、不快気分及び尿閉(urinary retention)が挙げられる。本発明の化合物はまた、オピオイド治療に関連することがあるか又は関連しないことがある手術後の腸機能を増進させるのに有用でもあり得る。
【0011】
或る観点においては、本発明は、式:
【化2】

で表される2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン−8−カルボキサミド及び2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン−8−カルボキサミド誘導体に関する。
【0012】
前記式において、Gは、極性中性残基から選択され、特に、置換された又は置換されていないアミド基(カルボキサミド基、チオカルボキサミド基、アシルアミン基及びホルムアミド基が挙げられるがこれに限定されるものではない);置換された又は置換されていないアミン基;置換された又は置換されていないアミジン基(例えば、ヒドロキシアミジン基);及び極性中性残基により置換されるアルキル基からなる群から選択することができる。好ましくは、Gは、CONH及びCSNHから選択することができる。
【0013】
例えば、Gは、−CHZ(式中、Zは、極性中性残基、例えばCHOR、CHNRである)、−CN、−NRSO−R、−C(=W)R、−NRCOR、−NRCSR、−SONR、−NR−Q−R、(C=W)NR、C(O)OR、複素環基、置換された複素環基、ヘテロアリール基、及び置換されたヘテロアリール基、例えば
【化3】

(式中、lは、0、1、2、3、4又は5であり;kは、0、1又は2であり;Xは、C、N、S又はOであり、及び
【化4】

は、単結合又は二重結合を表す)であることができ;
、R、Rは、それぞれ独立して:
水素原子;
アリール基;置換されたアリール基;ヘテロアリール基;置換されたヘテロアリール基;
複素環式基又は置換された複素環式基;及び
O、S、若しくはNから選択される0、1、2、若しくは3個以上のヘテロ原子をそれぞれ含有する、置換された若しくは置換されていないアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、又はシクロアルケニル基から選択されるか;
あるいは、R、R及びRは、結合される原子と一緒になって、複素環式基又は置換された複素環式基を形成し;
は、存在しないか、あるいは、(C=O)、(SO)、(C=NH)、(C=S)、又は(CONR)から選択され;
Wは、O、S、NOR又はNRであり;
Yは、薬学的に許容可能な対イオンであり;例えば、Yは、酒石酸塩、クエン酸塩、塩化物又はメタンスルホン酸塩であることができ;
Qは、置換された若しくは置換されていない、飽和若しくは不飽和の脂肪族又は芳香族基、例えば置換された若しくは置換されていない、飽和若しくは不飽和のアルキル基(例えば、C〜C20−アルキル基)、アルケニル基(例えば、C〜C20−アルケニル基)、アルキニル基(例えば、C〜C20−アルキニル基)、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロシクリル基、アリールアルキル基(例えば、そこでは、アリール基はC〜C10−アリール基であり、アルキル基はC〜C20−アルキル基である)、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基又はヘテロアリールアルキル基(例えば、ベンジル基)である。或る実施態様においては、Qは、アルキル基又はベンジル基であり;
及びR2aは、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、ヘテロアリール基、ヒドロキシ基、アミノ基、又はアルコキシ基(好ましくは、水素原子)であるか、あるいは、R及びR2aが一緒になって、=Oであり;
Rは、水素原子であるか、あるいは、置換された若しくは置換されていない、飽和若しくは不飽和の脂肪族又は芳香族基、例えば低級アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロシクリル基、ベンジル基、ヒドロキシアルキル基及び−CHから選択され;
は、水素原子、低級アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロシクリル基、ベンジル基及びヒドロキシアルキル基、例えばシクロアルキル基及びビニル基から選択され;
は、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、低級アルコキシ基か、あるいは、置換された若しくは置換されていない、飽和若しくは不飽和の脂肪族又は芳香族基(例えば、C〜C20アルキル基、並びに、ヒドロキシ基又はカルボニル基(例えば、オキソ基)で置換されるC〜C20アルキル基)から選択され、好ましくは、水素原子及び3−オキソ−5−シクロペンチル−1−ペンタニル基であり;
は、水素原子、あるいは、置換された又は置換されていない低級アルキル基、好ましくは、置換されていない低級アルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基であり;
は、置換された又は置換されていない低級アルキル基、好ましくは置換されていない低級アルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基であり;
は、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、低級アルコキシ基か、あるいは、置換された若しくは置換されていない、飽和若しくは不飽和の脂肪族又は芳香族基から選択され、好ましくは水素原子又はヒドロキシ基であるか;あるいは、
G、R、R、R及び/又はRが一緒になって、1〜3環又は3以上の環を形成することができ、前記環が場合により更なる置換基を有し、及び/又は
Q及びRが一緒になって、1〜3環又は3以上の環を形成することができ、前記環が場合により更なる置換基を有し、及び/又は
Q及びRが一緒になって、1〜3環又は3以上の環を形成することができ、前記環が場合により更なる置換基を有するものである。

前述の構造の下位分類としては下記のものが挙げられる:

II.R、R、R及びRが更なる環を形成しない、上に示す構造で表される2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン類;
【化5】

(式中、G、Q、Y、R、R2a、R、R、R、R及び/又はRは、上に定義したものである。
好ましくは、Rは、水素原子、シクロプロピル基、シクロブチル基、フェニル基、ビニル基、ジメチルビニル基、ヒドロキシシクロプロピル基、フラニル基、及びテトラヒドロフラニル基から選択され;
は、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、低級アルコキシ基、C〜C20アルキル基、及びヒドロキシ基又はカルボニル基で置換されるC〜C20アルキル基から選択され;
は、低級アルキル基であり;
は、低級アルキル基であり;
は、水素原子及びヒドロキシル基から選択される)

IIIa.R及びRが環を形成し、Rが水素原子であるモルフィナン類:
【化6】

(式中、G、Q、Y、R、R2a、R、及びRは、上に定義されるものであり、R19、R20、R21、R22、及びR23は、水素原子、あるいは、置換された若しくは置換されていない脂肪族又は芳香族基であるか、あるいは、一緒になって、複素環式環若しくは炭素環式環を形成することができる。
好ましくは、R19は、水素原子又は低級アルキル基であり;
20は、水素原子、低級アルキル基及びヒドロキシ(低級アルキル)基から選択され;
21は、水素原子であり;
22は、水素原子、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基及び−NR1314から選択されるか;あるいは、R21及びR22が一緒になって、カルボニル置換基(=O)又はビニル置換基(=CH)を形成するか;あるいは、R及びR21が一緒になって、環を形成し;
13及びR14は、独立して、水素原子、C〜Cアルキル基及びC〜Cアシル基から選択され;
23は、水素原子、アルキル基(例えば、メチル基)であるか、又はR19及びR23が一緒になって、第2の結合を形成する)

IIIb.R及びRが環を形成し、Rがヒドロキシ基であるモルフィナン類:
【化7】

(式中、G、Q、Y、R、R2a、R、R、R19、R20、R21、R22、及びR23は、上に定義したものである)

IV.R、R及びRが2環を形成するモルフィナン類:
【化8】

(式中、G、Q、Y、R、R2a、R、R、R19、R20、R21、R22、及びR23は、上に定義したものである)

V.R及びR11が更に第6の環を形成し、その環が飽和又は不飽和のものであることができる(しかし完全には芳香族でない)モルフィナン類:
【化9】

又は
【化10】

(式中、G、Q、Y、R、R2a、R、R、R19、R20、R21、R22、及びR23は、上に定義したものである)
【0014】
前記主要下位分類に加えて、当業者が主要下位分類と密接な関係があると認識する化合物であるが、しかし一般的なマーカッシュ構造では簡単には記載しがたい化合物が存在する。例えば、化合物中で、1以上のR基(例えば、R、R、R及び/又はR)が、上に定義される式のうちの1つのグループを所有し、それにより二量体又はヘテロ二量体化合物を形成するような化合物である。このように、2以上の可変構造要素により形成される「置換基」又は環は、そのような二量体及びヘテロ二量体化合物を含むことを意味している。代わりに又は加えて、1以上のR基のための置換基は、置換されたモルフィナン基(例えば、ナルトレキソン、メチル−ナルトレキソン)、又は、下記チャート1〜3から選択される基などであることができる。
【0015】
別の観点においては、本発明は、Gが式:
【化11】

で表される前述のものに関連する化合物に関する。
【0016】
これらの化合物は、式:
【化12】

(式中、
【化13】

は、1〜3環又は3以上の環のアリール残基又はヘテロアリール残基であり、
Aは、結合又はリンカー、例えば(CH(式中、1以上のCHを、−O−、シクロアルキル基又は−CR1a1bにより置き換えることができる)であり;
1a及びR1bは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基及び低級アルキルチオ基から選択され;
10は、水素原子、あるいは、1又は2の置換基、例えば、独立して、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、(C〜C)アルキル基、(C〜C)アルコキシ基、ハロ(C〜C)アルキル基及びハロ(C〜C)アルコキシ基並びに(C〜C)アルキルチオ基から選択される残基であり;
11は、H又は
【化14】

であり;
【化15】

は、1〜3環のアリール残基又はヘテロアリール残基であり;
A’はリンカー、例えば(CH(式中、1以上のCHを、−O−、シクロアルキル基、−CR1a1b、−C(=O)−又は−NH−により置き換えることができる)であり;
12は、水素原子及び低級アルキル基から選択され;
15は、独立して、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、(C〜C)アルキル基、(C〜C)アルコキシ基、ハロ(C〜C)アルキル基及びハロ(C〜C)アルコキシ基並びに(C〜C)アルキルチオ基から選択される1又は2の残基であり;
mは、0又は整数1〜6であり;
nは、整数1〜6であり;
Q、Y、R、R2a、R、R、R、R、及びRは、上に定義したものである。
好ましくは、Qは、アルキル基及びベンジル基から選択される。
或る実施態様においては、Aは、CH以外のものである)
を有する。
【0017】
前述の構造(VI)の下位分類には、上に概略を説明したものに並列の分類、例えば、2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン類(式中、R4、R5、R6及びR7は、更なる環を形成しない);モルフィナン類(式中、R5及びR6は、1環を形成する);モルフィナン類(式中、R5、R6及びR7は、2環を形成する);及びモルフィナン類(式中、R4及びR21は、飽和又は不飽和などであることができる第6の環を形成する)が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1は、化合物6(腹腔内投与及び経口投与)で処置したマウスに対するPGE誘発性下痢のモルヒネ遮断の阻害を示す、下痢パーセントの用量に対するグラフである。
【0019】
図2は、テイルフリック試験(腹腔内投与及び経口投与)においてモルヒネ誘発性痛覚脱失に対する化合物6の効果を示す、反応潜時(秒単位)の用量に対するグラフである。
【0020】
図3は、ホットプレート試験(腹腔内投与及び経口投与)においてモルヒネ誘発性痛覚脱失に対する化合物6の効果を示す、反応潜時(秒単位)の用量に対するグラフである。
【0021】
図4は、様々な投与形態において化合物6の薬物動態学の結果を示す、用量の分単位時間に対するグラフである。
【0022】
図5は、化合物12(腹腔内投与及び経口投与)で処置したマウスに対するPGE誘発性下痢のモルヒネ遮断の阻害を示す、下痢パーセントの用量に対するグラフである。
【0023】
図6は、化合物14(腹腔内投与及び経口投与)で処置したマウスに対するPGE誘発性下痢のモルヒネ遮断の阻害を示す、下痢パーセントの用量に対するグラフである。
【0024】
図7は、テイルフリック試験(腹腔内投与及び経口投与)においてモルヒネ誘発性痛覚脱失に対する化合物12の効果を示す、反応潜時(秒単位)の用量に対するグラフである。
【0025】
図8は、テイルフリック試験(腹腔内投与)においてモルヒネ誘発性痛覚脱失に対する化合物14の効果を示す、反応潜時(秒単位)の用量に対するグラフである。
【0026】
図9は、ホットプレート試験(腹腔内投与及び経口投与)においてモルヒネ誘発性痛覚脱失に対する化合物12の効果を示す、反応潜時(秒単位)の用量に対するグラフである。
【0027】
図10は、ホットプレート試験(腹腔内投与及び経口投与)においてモルヒネ誘発性痛覚脱失に対する化合物14の効果を示す、反応潜時(秒単位)の用量に対するグラフである。
【発明の詳細な説明】
【0028】
ベンゾモルファン誘導体及びモルフィナン誘導体のフェノール性ヒドロキシル基は、米国特許第6,784,187号及び第7,057,035号明細書、並びに米国特許出願公開第2007/0021457A1号明細書に記載される簡単な柔軟性のある便利なルートにより化学的にカルボキサミド基へ変換することができる。前記文献はすべて参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0029】
或る観点においては、本発明は、式:
【化16】

で表される化合物及びこれらの化合物の様々な誘導体又は修正形態に関するものである。
【0030】
別の観点においては、本発明は、式:
【化17】

で表される化合物に関するものである。
【0031】
或る主要な下位分類においては、R11は、
【化18】

であり、化合物は、式:
【化19】

で表されるビフェニル、及びジアリールエーテルなどである。
【0032】
μ、δ及びκアゴニストである化合物は鎮痛活性を示し;選択的μアゴニストである化合物は下痢止め活性を示し、ジスキネジアの治療に有用であり;μアンタゴニスト及びκアゴニストはヘロイン嗜癖、精神刺激薬(すなわち、コカイン、アンフェタミン類)嗜癖、アルコール嗜癖及びニコチン嗜癖の治療に有用であり;κアゴニストはまた、かゆみ止め薬でもあり、痛覚過敏の治療に有用であることが当該技術分野において知られている。最近、κアゴニストがレトロウイルス感染症の治療にも有用であることが見出された[Peterson et al.Biochem.Pharmacol.61,1141−1151(2001)]。一般に、前記タイプIIIのモルフィナン類の右旋性異性体は、鎮咳薬及び抗痙攣薬として有用である。
【0033】
周知の高い親和性を有するオピオイド受容体リガンドを、次の諸チャートに示す。これらの化合物において、OHをGで置き換えることにより、類似の活性及びよりよいバイオアベイラビリティーを示す化合物を製造することができる。本発明は更に、以下のG−置換された化合物の四級化を含む。
【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【0034】
他のオピオイド受容体リガンドは、Aldrich,J.V.“Analgesics”in Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery,M.E.Wolff ed.,John Wiley & Sons 1996,pages 321−44に記載されている。この開示内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。前述の化合物のうち2つを除くすべてにおいて、本発明に従い、Gにより置き換えられるべき単一のフェノール性OHが存在する。ノルビナルトルフィミン及び361444−66−8においては、2つのフェノール性OHが存在し、そのいずれか又は両方がGにより置き換えられる。同様に、アミノ基窒素原子のいずれか又は両方を四級化することができる。従って、本発明には、1以上のヒドロキシ基部分及びアミノ基窒素原子を含有するオピオイドリガンドを修正するプロセス、すなわち、1以上のヒドロキシ基をアミド基、又は他の極性中性基で置き換えて、アミノ基窒素原子(単数又は複数)を四級化することを含むプロセス、並びに前記プロセスにより製造される生成物が含まれる。
【0035】
本発明の化合物は、オピエートの非CNS介在性副作用を遮断又は逆転するのに有用である。改善される或る特定の副作用は、胃腸運動の阻害である。
【定義】
【0036】
この明細書の全体にわたり、用語及び置換基はその定義を保持する。
【0037】
アルキル基は、直鎖状、分岐状、又は環状炭化水素構造及びその組み合わせを含むことを意味する。組み合わせは、例えば、シクロプロピルメチル基であるだろう。炭化水素基は、元素成分として水素原子及び炭素原子だけからなる任意の置換基を指す。低級アルキル基は、炭素原子1〜6個のアルキル基を指す。低級アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、s−及びt−ブチル基、及びシクロブチル基などが挙げられる。好ましいアルキル基は、C20又はそれ未満のアルキル基である。シクロアルキル基はアルキル基の下位集合であり、シクロアルキル基としては炭素原子3〜8個又は8個以上の環状炭化水素基が挙げられる。シクロアルキル基の例としては、c−プロピル基、c−ブチル基、c−ペンチル基、及びノルボルニル基などが挙げられる。
【0038】
アルケニル基は、少なくとも1つの二重結合を含有する程度に不飽和の非環式炭化水素基を指す。そのような基は、2〜10個又は10個以上の炭素原子を含有し、好ましくは、2〜8個の炭素原子、より好ましくは、2〜6個の炭素原子を含有する。適切なアルケニル基の例としては、プロピレニル基、ブテン−1−イル基、イソブテニル基、ペンテン−1−イル基、2−メチルブテン−1−イル基、3−メチルブテン−1−イル基、ヘキセン−1−イル基、ヘプテン−1−イル基、オクテン−1−イル基、及びアルカジエン基などが挙げられる。
【0039】
アルキニル基は、少なくとも1つの三重結合を含有する程度に不飽和の非環式炭化水素基を指す。そのような基は、2〜10個又は10個以上の炭素原子を含有し、好ましくは、2〜8個の炭素原子、より好ましくは、2〜6個の炭素原子を含有する。適切なアルキニル基の例としては、プロピニル基、ブチン−1−イル基、ペンチン−1−イル基、ブチン−2−イル基、3−メチルブチン−1−イル基、ヘキシン−1−イル基、ヘプチン−1−イル基、及びオクチン−1−イル基などが挙げられる。
【0040】
シクロアルキル基又はシクロアルケニル基は、3〜10個の炭素原子、好ましくは、3〜6個又は6個以上の炭素原子を有する環(又は縮合環系)状の脂環式基を意味する。適切な脂環式基の例としては、シクロプロピル基、シクロプロペニル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘキセニル基などが挙げられる。
【0041】
オキサアルキル基は、1個以上の炭素原子が酸素原子により置き換えられたアルキル残基を指す。例としては、メトキシプロポキシ基、及び3,6,9−トリオキサデシル基などが挙げられる。
【0042】
アルコキシ基又はアルコキシル基は、酸素原子を介して親構造に結合する炭素原子1〜8個又は8個以上の直鎖状、分岐状、環状構造及びその組み合わせの基を指す。例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロピルオキシ基、及びシクロヘキシルオキシ基などが挙げられる。低級アルコキシ基は、1〜4個の炭素原子を含有する基を指す。
【0043】
アシル基は、ホルミル基、並びにカルボニル官能基を介して親構造に結合する炭素原子1、2、3、4、5、6、7及び8個又は8個以上の直鎖状、分岐状、環状構造、飽和、不飽和、芳香族及びその組合わせの基を指す。親への結合点がカルボニル基にとどまる限り、アシル残基の1個以上の炭素原子を、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子により置き換えることができ、又は2個の水素原子を、酸素原子により置き換えるか若しくは割り込まれることができる。例としては、アセチル基、ベンゾイル基、プロピオニル基、イソブチリル基、t−ブトキシカルボニル基、及びベンジルオキシカルボニル基などが挙げられる。低級アシル基は、1〜6個又は6個以上、例えば4個の炭素原子を含有する基を指す。
【0044】
アリール基及びヘテロアリール基は、5若しくは6員の芳香環基又はO、N、若しくはSから選択されるヘテロ原子を0〜3個含有する5若しくは6員の芳香族複素環基;二環式9若しくは10員の芳香環系基又はO、N、若しくはSから選択されるヘテロ原子を0〜3個含有する二環式9若しくは10員の芳香族複素環系基;あるいは、三環式13若しくは14員の芳香環系基又はO、N、若しくはSから選択されるヘテロ原子を0〜3個含有する三環式13若しくは14員の芳香族複素環系基を意味する。芳香族6〜14員の炭素環式環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、インダン、テトラリン、及びフルオレンが挙げられ、5〜10員の芳香族複素環式環としては、例えば、イミダゾール、ピリジン、インドール、チオフェン、チアゾール、フラン、ベンゾイミダゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピリミジン、ピラジン、テトラゾール及びピラゾールが挙げられる。
【0045】
アリールアルキル基又はアラルキル基は、アリール環に結合するアルキル残基を意味する。例は、ベンジル基、及びフェネチル基などである。ヘテロアリールアルキル基は、ヘテロアリール環に結合するアルキル残基を意味する。例としては、例えば、ピリジニルメチル基、及びピリジニルエチル基などが挙げられる。
【0046】
複素環基は、1〜2個若しくは2個以上の炭素原子がヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子)により置き換えられているシクロアルキル残基又はアリール残基を意味する。ヘテロアリール基は、複素環基の下位集合を形成する。本発明の範囲内に入る複素環の例としては、ピロリジン、ピラゾール、ピロール、インドール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ベンゾフラン、ベンゾジオキサン、ベンゾジオキソール(置換基として存在するときは、一般にメチレンジオキシフェニル基という)、テトラゾール、モルホリン、チアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサゾリン、イソオキサゾール、ジオキサン、及びテトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0047】
置換されたアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、又はヘテロシクリル基などは、各残基中の3個までの若しくは3個以上のH原子が、例えば、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、アシル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、フェニル基、ヘテロアリール基、ベンゼンスルホニル基、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、ハロアルコキシ基、カルボキシ基、カルボアルコキシ基(アルコキシカルボニル基ともいう)、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキサミド基(アルキルアミノカルボニル基ともいう)、シアノ基、カルボニル基(オキソ基ともいう)、アセトキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホキシド基、スルホン基、スルホニルアミノ基、アシルアミノ基、アミジノ基、アリール基、ベンジル基、ヘテロシクリル基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、ヒドロキシイミノ基、アルコキシイミノ基、オキサアルキル基、アミノスルホニル基、トリチル基、アミジノ基、グアニジノ基、ウレイド基、及びベンジルオキシ基で置き換えられている、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、又はヘテロシクリル基を指す。
【0048】
用語「薬学的に許容可能な塩」は、その対イオンが薬学的に許容可能な非毒性の酸及び塩に由来する塩を指す。本発明の化合物に適した薬学的に許容可能な塩基付加塩としては、無機酸、有機酸及び(化合物が第四級アンモニウム基を所有するので)水(これが正式に水酸化物アニオンを供給する)が挙げられる。対イオンの例としては、水酸化物、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシレート)、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、炭酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、臭化物、塩化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、粘液酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トリフルオロ酢酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、アセトアミド安息香酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アミノサリチル酸塩、アンヒドロメチレンクエン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、エデト酸カルシウム、ショウノウ酸塩、カンシル酸塩、カプリン酸塩、カプロン酸塩、カプリル酸塩、ケイ皮酸塩、シクラミン酸塩、ジクロロ酢酸塩、エデト酸塩(EDTA)、エジシル酸塩、エンボン酸塩、エストレート、エシレート、フッ化物、ギ酸塩、ゲンチシン酸塩、グルセプテート、グルクロン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、馬尿酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、ラクトビオン酸塩、マロン酸塩、メシレート、ナパジシル酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、オレイン酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、オキソグルタル酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、ペクチネートポリマー(pectinate polymer)、フェニルエチルバルビツル酸塩、ピクリン酸塩、ピドレート、プロピオン酸塩、ロダン化物、サリチル酸塩、セバシン酸塩、ステアリン酸塩、タンニン酸塩、テオクレート(theoclate)、及びトシレートなどが挙げられる。
【0049】
化合物が酸性残基を含有するとき、化合物は、両性イオンとして存在することができる。更に、本発明の化合物に適した薬学的に許容可能な塩基付加塩としては、アンモニウム塩、金属塩(アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛からつくられる)、あるいは、有機塩(リシン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)及びプロカインからつくられる)とが挙げられる。その他の塩基付加塩としては、アレコリン、アルギニン、バリウム、ベネタミン、ベンザチン、ベタイン、ビスマス、クレミゾール、銅、デアノル、ジエチルアミン、ジエチルアミノエタノール、エポラミン、エチレンジアミン、第二鉄、第一鉄、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イミダゾール、イソプロピルアミン、第二マンガン、第一マンガン、メチルグルカミン、モルホリン、モルホリンエタノール、n−エチルモルホリン、n−エチルピペリジン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プリン(複数)、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロラミン、及びトロメタミンからつくられる塩が挙げられる。
【0050】
本発明の化合物は塩であり、従って、対イオンを有するものである。本発明の対イオンは、薬学的に許容可能な対イオンである。薬学的に許容可能な対イオンとしては、例えば、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、及びアニオン性有機化合物が挙げられる。ハロゲン化物としては、ヨウ化物、臭化物、塩化物及びその組み合わせが挙げられる。
【0051】
本発明の化合物が或る塩(例えば、ヨウ化物塩)として製造される場合、アニオン交換カラムを通過させることにより容易に別の塩(例えば、臭化物塩)へ変換することができることは、当業者なら理解するであろう。
【0052】
本明細書に記載する事実上すべての化合物は、1以上の不斉中心を含有し、それにより、鏡像異性体、ジアステレオマー、及び絶対立体化学の用語で、(R)−又は(S)−として定義し得るその他の立体異性体を生じ得る。本発明は、すべてのそのような可能な異性体並びにそれらのラセミ体及び光学的に純粋な形態を含むことを意味する。モルフィナン類及びベンゾモルファン類の左旋性異性体はより強力な抗侵害受容剤であり、一方右旋性異性体は鎮咳薬又は鎮痙薬として有用であり得ることが一般に見出されている。光学的に活性な(R)−及び(S)−異性体は、キラルシントン若しくはキラル試薬を用いて製造することができるか、あるいは、従来技術を用いて分割することができる。本明細書に記載する化合物がオレフィンの二重結合又は他の幾何学的不斉中心を含むときで他に特に指定のない限り、化合物にはE及びZ幾何異性体を両方とも含むことを意味する。同様に、すべての互変異性型も含まれることを意味する。
【0053】
窒素原子に新たに生じたキラル中心の立体配置は、任意に描かれる。描画は、時にはRを意味するかもしれないし、時にはSを意味するかもしれない。これらの描画は、絶対立体化学が決定されたことを示すものと考えるべきではない。キラル分子を形成する窒素原子のアルキル化は(大部分がそうであるが)、一方の異性体を好む可能性があることは認められるであろう。発明者らがキラリティーを検討した若干の例では、NのR立体配置が優勢であり、再結晶時に回収されるジアステレオマーは、NにR立体配置を有する。ある有限量の逆の立体配置も形成され得るし母液中に残っているかもしれないことが仮定される。それが望ましい場合、この異性体及び/又は任意のラセミ混合物又はジアステレオマー混合物を、当業者によく知られている技術によって回収または製造することができる。更に、数個のキラル炭素原子もまた可能である。特許請求の範囲において特に明記しない限り、請求項で中心のキラリティーを描く式を採用しているかどうかにかかわらず、請求項は、両方又は全ての異性体及び混合物を包含することを意味する。
【略語】
【0054】
有機化学者(すなわち当業者)によって利用される略語の包括的リストは、Journal of Organic Chemistryの各巻の第1号に出ている。“Standard List of Abbreviations”と題する表に典型的に示されるリストは、参照することにより本明細書に組み込まれる。以下の略語及び用語は、全体にわたり示された意味を有する:
Ac = アセチル
BNB = 4−ブロモメチル−3−ニトロ安息香酸
Boc = t−ブチルオキシカルボニル
Bu = ブチル
c− = シクロ
CHO = チャイニーズハムスター卵巣
DAMGO = Tyr−ala−Gly−NMePhe−NHCHOH
DBU = ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン
DCM = ジクロロメタン = 塩化メチレン = CHCl
DEAD = アゾジカルボン酸ジエチル
DIC = ジイソプロピルカルボジイミド
DIEA = N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMAP = 4−N,N−ジメチルアミノピリジン
DMF = N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO = ジメチルスルホキシド
DOR = δオピオイド受容体
DPPF = 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
DVB = 1,4−ジビニルベンゼン
EC50 = 50%有効を与える薬物濃度
EEDQ = 2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン
EGTA = エチレングリコール四酢酸
max = (薬物の)最大効果
Fmoc = 9−フルオレニルメトキシカルボニル
GC = ガスクロマトグラフィー
GI = 胃腸
HATU = ヘキサフルオロリン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル
)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム
HOAc = 酢酸
HOBt = ヒドロキシベンゾトリアゾール
IC50 = 50%阻害を与える薬物濃度
max = (薬物の)最大阻害
IP = 腹腔内
IV = 静脈内
KOR = κオピオイド受容体
Me = メチル
mesyl = メタンスルホニル
mNTX = メチル−ナルトレキソン
MOR = μオピオイド受容体
MRL = 最大反応潜時
MTBE = メチルt−ブチルエーテル
NMO = N−メチルモルホリンオキシド
NOESY = 核オーバーハウザー増進分光法
PD = 薬力学的(薬力学)
PEG = ポリエチレングリコール
PGE = プロスタグランジンE
Ph = フェニル
PhOH = フェノール
PfP = ペンタフルオロフェノール
PK = 薬物動態学的(薬物動態学)
PO = 経口投与
PPTS = p−トルエンスルホン酸ピリジニウム
PyBroP = ヘキサフルオロリン酸ブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウム
rt = 室温
sat’d = 飽和
s− = 第二級
SC v = 皮下
t− = 第三級
TBDMS = t−ブチルジメチルシリル
TFA = トリフルオロ酢酸
THF = テトラヒドロフラン
TMOF = オルトギ酸トリメチル
TMS = トリメチルシリル
tosyl = p−トルエンスルホニル
Trt = トリフェニルメチル
U50,488= κアゴニスト
【0055】
目的の基質中の残基では、フェノールから所望のバイオステール(biostere)への変換又は四級化の間に保護及び脱保護が必要となることが起こり得る。「保護」、「脱保護」及び「保護された」官能基に関する用語は、本出願中至る所に出てくる。そのような用語は当業者によく理解されており、一連の試薬を用いる逐次的処理を含むプロセスの文脈において使用される。その場合において、保護基は、保護しなければ官能基が反応するであろうがその反応が望ましくないようなプロセスの工程の間中、官能基をマスクするために使用される基を指す。保護基は、その工程での反応を妨害するが、その後で除去して元の官能基を露出することができる。その除去、即ち「脱保護」は、官能基が妨害する反応(単数)又は反応(複数)の完結後に行なわれる。従って、一連の試薬が下記のように指定されるとき、当業者は、「保護基」として適しているような基を容易に想定することができる。その目的に適した基は、化学分野の標準的教科書、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis by T.W.Greene[John Wiley & Sons,New York,1991]において論じられている。前記教科書は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0056】
本発明の好ましい化合物は、第三級アミン前駆体を適当なアルキル化剤(例えば、ハロゲン化メチル又は硫酸メチル)で四級化することにより製造した:
【化25】

【0057】
本発明の化合物を製造するための出発化合物は、米国特許第6,784,187号及び第7,057,035号明細書、並びに米国特許出願公開第2007/0021457号明細書に記載されたルートの1つにより合成することができる。例えば、以下のとおりである:
【化26】

【化27】

【化28】

【0058】
反応工程式2に示すN−ヒドロキシスクシンイミドエステル中間体(3)は、米国特許第7,057,035号明細書のプロセスにより製造することができる。前記特許明細書は参照することにより本明細書に組み込まれる。次いで、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを、下記の適当なアリールアルキルアミン(4)と反応させる。直接カルボニル化/アミド化を用いる別の方法を、反応工程式3に示す。ジアリール化合物の多くは、反応工程式4に示す鈴木カップリング反応により製造することができる。
【0059】
実験の項
実施例化合物を用いて、インビトロ及びインビボの研究を行なった。インビトロでは、これらの分子の受容体結合及び機能活性が明らかにされる。インビボの研究は、末梢神経系と中枢神経系との相対的な活性を実証するために行なった。或る実施例(化合物6)については、PGE誘発性下痢のモルヒネ遮断を阻害する能力を説明するために薬物動態学研究を行なった。
【0060】
オピオイド受容体結合アッセイ
本発明者らは、このシリーズの化合物のオピオイド受容体結合親和性を検討した。化合物をスクリーニングするために用いた結合アッセイは、以前にNeumeyer et al.,Design and Synthesis of Novel Dimeric Morphinan Ligands for κ and μ Opioid Receptors.J.Med.Chem.2003,46,5162.により報告されたアッセイと同様である。ヒトのオピオイド受容体の一つの型を安定して発現するCHO細胞からの膜タンパク質を、異なる12濃度の化合物とともに、1nM[H]U69,593(κ)、0.25nM[H]DAMGO(μ)又は0.2nM[H]ナルトリンドール(δ)のいずれかの存在下に、最終容積1mLの50mMトリス−HCl(pH7.5)中、25℃でインキュベートした。[H]U69,593及び[H]DAMGOについては、60分のインキュベーション時間を用いた。[H]ナルトリンドールの受容体との会合はもっと遅いので、この放射性リガンドについては、3時間のインキュベーションを用いた。[H]ナルトリンドールとともにインキュベートした試料には更に、10mM MgCl及び0.5mMフェニルメチルスルホニルフルオリドを含有させた。非特異的結合は、10μMナロキソンを含めることにより測定した。Brandelの48ウェルセルハーベスターを用いて、Schleicher & SchuellのNo.32ガラス繊維フィルターを通して試料を濾過することにより、結合を停止させた。その後、フィルターを、3mLの冷50mMトリス−HCl(pH7.5)で3回洗浄して、2mLのエコシンチAシンチレーション液中でカウントした。[H]ナルトリンドール及び[H]U69,593の結合については、フィルターを、使用前少なくとも60分間、0.1%ポリエチレンイミン中に浸漬した。IC50値は、対数プロビット解析への最小二乗適合により計算した。非放射性化合物のK値は、方程式K=(IC50)/1+Sから計算した。この式中、S=(放射性リガンド濃度)/(放射性リガンドのK)である。データは、3回ずつ行なう少なくとも3実験の平均値±SEMである。
【0061】
[35S]GTPγS結合アッセイ
化合物をスクリーニングするために用いたアッセイは、以前にWentland et al.,“Redefining the structure−activity relationships of 2,6−methano−3−benzazocines.Part4.Opioid receptor binding properties of 8−[N−(4’−phenyl)−phenethyl)carboxamido]analogues of cyclazocine and EKC”J.Med.Chem.2006,49,5635.により報告されたアッセイと同様である。最終容積0.5mL中で、異なる12濃度の各試験化合物を、ヒトのκ、δ又はμオピオイド受容体のいずれかを安定して発現するCHO細胞膜15μg(κ)、10μg(δ)又は7.5μg(μ)とともにインキュベートした。アッセイ緩衝液は、50mMトリス−HCl(pH7.4)、3mM MgCl、0.2mM EGTA、3μM GDP、及び100mM NaClからなっていた。[35S]GTPγSの最終濃度は0.080nMであった。非特異的結合は、10μM GTPγSを含めることにより測定した。結合は、膜の添加により開始した。30℃で60分のインキュベーション後、Schleicher & SchuellのNo.32ガラス繊維フィルターを通して、試料を濾過した。フィルターを冷50mMトリス−HCl(pH7.5)で3回洗浄して、2mLのエコシンチシンチレーション液中でカウントした。データは、3回ずつ行なう少なくとも3つの別個の実験の平均Emax及びEC50値±S.E.M.である。Emax値の計算については、基礎の[35S]GTPγS結合を0%に設定した。μオピオイド受容体における化合物のアンタゴニスト活性を定量するために、μオピオイド受容体を発現するCHO膜を、200nMのμアゴニストDAMGO存在下に、異なる12濃度の化合物とともにインキュベートした。κオピオイド受容体における化合物のアンタゴニスト活性を定量するために、κオピオイド受容体を発現するCHO膜を、100nMのκアゴニストU50,488存在下に、化合物とともにインキュベートした。化合物がδ受容体におけるアンタゴニストであるかどうかを決定するために、δ受容体を発現するCHO膜を、10nMのδ選択的アゴニストSNC80存在下に、異なる12濃度の試験化合物とともにインキュベートした。
【0062】
副作用が改善されるべきオピエートの抗侵害受容活性は、Jiang et al.[J.Pharmacol.Exp.Ther.264,1021−1027(1993),page 1022]に記載された方法により評価される。
【0063】
胃腸運動に対する効果は、Gmerek,Debra E.;Cowan,Alan;Woods,James H.“Independent central and peripheral mediation of morphine−induced inhibition of gastrointestinal transit in rats.”Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics(1986),236(1),8−13.により記載された方法により評価される。
【0064】
腸運動性のPGEモデル
新規な末梢作用性オピオイドアンタゴニストの効果を評価するために、本発明者らは、腸運動性のPGE(プロスタグランジンの一種)モデルを用いた。PGEは、マウスに腹腔内(IP)注射(0.1mg/kg)して15分以内に下痢を引き起こす。モルヒネ(1mg/kg)による前処理(30分)で、この効果が遮断される。本発明者らは、末梢作用性オピオイドアンタゴニストが下痢のモルヒネによる遮断を阻害する能力を試験した。
【0065】
各オピオイドアンタゴニストを、モルヒネとともに試験して、モルヒネがPGE誘発性下痢を遮断する能力の用量反応拮抗作用を確かめた。マウス(n=10匹/群)に、新規なオピオイドアンタゴニスト(0〜3mg/kg,IP;0〜30mg/kg,PO)をIP注射又は経口(PO)投与(強制経口)のいずれかで与えてから、プレキシガラス製パイケージ(pie cage)(Braintree Scientific,Braintree,MA)に収容した。各パイケージは10匹までのマウスを入れることができ、直径21.5cmで高さ7.5cmである。個々の部屋は、5cm(底辺)と9cm(長さ)である。初期検討のため、新規なオピオイドアンタゴニスト投与して15分後にモルヒネ(1mg/kg,IP)を投与してから、マウスをパイケージに戻した。30分後にマウスをPGE(0.1mg/kg,IP)で処置し、再びパイケージに戻した。最終観察中に、PGE投与に続く15分後に下痢の有無を記録した。マウスは1回だけ試験した。生理食塩水−生理食塩水(10mL/kg,IP)及び生理食塩水−モルヒネが陽性対照群であり、すべての結果を生理食塩水−モルヒネ処置群と比較した。データは、最終観察時のPGE誘発性下痢を有するマウスのパーセントを表す。
【0066】
テイルフリック抗侵害受容試験
市販のテイルフリック装置(Columbus Instruments,Columbus,OH)を用いて、急性熱刺激に対する抗侵害受容を評価した。テイルフリック試験は、主として末梢性反射反応アッセイであることを意味する。この標準モデルにおいては、マウスを穏やかに拘束して、その尾を熱ビーム上に置く。ビームのスイッチを入れる(瞬間的にオンにする;9.3ワット)とすぐに、反射的に尾を振り動かす(flick)のに必要な時間を記録する。最大反応潜時(maximum response latency;MRL)を10秒に設定して、より長い暴露時間に伴う熱損傷を避ける。10秒後に反応がない場合、マウスを取り出して、最大反応潜時(MRL;10秒)を記録する。
【0067】
モルヒネ(15mg/kg,IP,試験45分前に投与)は、MRL又はほぼMRLを示す。各オピオイドアンタゴニストを、モルヒネとともに試験して、テイルフリック試験におけるモルヒネ誘発性抗侵害受容の用量反応拮抗作用を確かめた。マウス(n=10匹/群)を最初にテイルフリック試験で試験して、ベースライン反応を測定した。マウスが10秒を超えるベースライン反応を有する場合は、試験から除外した。マウスには、オピオイドアンタゴニストの種々の用量を投与した(IP又はPO,テイルフリック試験における試験60分前)。15分後に、マウスにモルヒネを注射した(IP,15mg/kg、テイルフリック試験における試験45分前)。すべての結果を、生理食塩水−モルヒネ処置群の平均反応潜時と比較する。
【0068】
ホットプレート抗侵害受容試験
市販のホットプレート装置(Columbus Instruments,Columbus,OH)を用いて、急性熱刺激に対する抗侵害受容を評価した。ホットプレート試験は、脊柱上の侵害受容アッセイであることを意味する。ホットプレートの手順は、各マウスを加熱表面上に置くこと及びタイマーを始動させることを含む。マウスを個別にホットプレート(25.4cmx25.4cm,動物が逃げるのを防ぐためアクリル箱で囲む);表面温度=55℃)上に置いて、どちらか一方の後足をなめる反応潜時を記録した。最大反応潜時(MRL)を60秒に設定して、より長い暴露時間に伴う潜在性熱損傷を避ける。マウスが熱に反応してどちらか一方の後足をなめるとき、又は60秒が経過した後、マウスを加熱表面から取り出す。反応に対する潜時を記録して、マウスをホームケージに戻す。
【0069】
モルヒネ(15mg/kg,IP,試験45分前に投与)は、MRL又はほぼMRLを与える。各オピオイドアンタゴニストを、モルヒネとともに試験して、モルヒネ誘発性抗侵害受容の用量反応拮抗作用を確かめた。マウス(n=10匹/群)を最初に試験して、ベースライン反応を測定した。マウスが30秒を超えるベースライン反応時間を有する場合、試験から除外した。次いで、マウスにオピオイドアンタゴニストの種々の用量を投与した(IP又はPO,ホットプレート試験による試験60分前)。15分後に、マウスにモルヒネを注射した(IP,15mg/kg,ホットプレート試験による試験45分前)。すべての結果を、生理食塩水−モルヒネ処置群の平均反応潜時と比較する。
【0070】
化合物6(下記を参照のこと)のPK評価のための方法。動物に実施例化合物を投与してから、次の方法を用いて2時間血液試料を集めた。ラットを1〜2%イソフルランで短時間麻酔して、側尾静脈からの血液試料(約250mLの全血)を、EDTAを含有する管中に集めた。管を10Kxgで2分間遠心分離して、血漿を分離した。血漿を、微小遠心バイアル中にピペットで分注して、液体クロマトグラフィー−質量分析/質量分析(LC−MS/MS)(Baranczewski et al.,2006の修正法)により血漿中濃度を測定するまで、−80℃で保存した。これらの研究の定量下限(lower limit of quantitation;LOQ)は、1.0ng/mLであり、アッセイの変動係数は、<4.4%であった。血漿中の実施例化合物の平均濃度を、各時点について計算した。値がLOQ未満であった場合、0値を与えた。
【0071】
生物分析アッセイが開発され、ラット血漿中の実施例化合物の測定に適格であった。手順には、PE/Sciex API 2000質量分析計と連結した高速液体クロマトグラフィー(LC−MS/MS)による、ラット血漿のアセトニトリル沈殿タンパク質抽出液の分析が含まれた。アッセイの標準及び対照は、ブランク血漿にナルトレキソン(Sigma Chemical,St.Louis,MO)を加えることにより調製して、標準用には100ng/mLの濃度になるように調製し、これを各試料分析の間に更に希釈して、アッセイ対照用には80ng/mL、40ng/mL、及び8ng/mLの濃度になるように調製した。抽出は、10mLの内部標準(アセトニトリル中1mg/mLの炭化水素)及び10mLの10mM重炭酸ナトリウム緩衝液を含有する微小遠心管中に、100mLの各標準、試料及び対照を導入することにより行なった。次いで、250mLのアセトニトリルを用いて、タンパク質を沈殿させ、透明な上澄みを取り出し、濃縮乾固して、100mLの移動相緩衝混合液で液状にもどした。分析のために、もどした抽出液5mLを、LC−MS/MSシステム上に注入した。高速液体クロマトグラフィーは、Waters C18の3.5mカラム(XBridge,2.1x50mm i.d.,Milford,MA)を用いて、周囲温度で、均一濃度溶離で行なった。移動相は、10mM酢酸アンモニウム、0.1%水酸化アンモニウム緩衝液(pH9.0+0.5)及びアセトニトリル(45:55,v/v)からなっていた。流量は、0.350mL/minであった。API2000(Applied Biosystems,Forest City,CA)三重四極子は、TurboIon Spray源を備えていた。ナルトレキソン生成物イオンに対するm/z 342→324及び内部標準の生成物イオンに対するm/z 300→199のピーク面積を、正イオンモードを用いて測定した。イオンスプレー電圧を4500Vに設定し、ネブライザーガスを25psiに、ヒーターガスを55psiに、及びプローブ温度を350℃に設定した。データ解析は、Analystソフトウェア(Applied Biosystems,version 1.2)を用いて行なった。標準曲線は、ピーク面積比率(検体/IS)を、重み係数1/yを用い、検体の名目上の濃度に対してプロットした。標準曲線は、1ng/mLから100ng/mLまでの範囲で直線的であり、決定係数(r2)>0.990(n=10)であった。ナルトレキソンに対するLOQを、1ng/mLと定義した。日内の正確さ及び精密さを、同日について、それぞれ80ng/mL、40ng/mL、及び8ng/mLアッセイ対照(各濃度のn=5)の分析により評価した。正確さは、名目上の濃度に対する測定濃度のパーセンテージ比率として計算し、精密さは、変動係数として表した。正確さは、それぞれ86%、100%、及び103%であり、精密さは、それぞれ3.6%、2.9%及び1.9%であった。日内の正確さ及び精密さは、異なる10回の実験にわたり、それぞれ80ng/mL、40ng/mL、及び8ng/mLアッセイ対照に対して(各対照試料に対してn=26)評価した。正確さは、それぞれ103%、103%、及び115%であり、精密さは、それぞれ10.1%、14.1%、及び19.1%であった。凍結及び解凍安定度は、80ng/mL、40ng/mL、及び8ng/mLの濃度のアッセイ対照試料を、−69℃での凍結及び解凍の3サイクルに続いて分析することにより決定した。安定度は、名目上の濃度に対する測定濃度のパーセンテージ比率として表した。%回収率は、サイクル1について97%、サイクル2について100%、及びサイクル3について98%であった。
【0072】
実験結果
本文、表及びグラフにおいては、化合物(cmpds)2、4、6、8、10、12及び14は、次の化合物:
【化29】

を指す。
【0073】
表1においては、下位の数は、化合物がその受容体でより効力があることを示す。例えば、化合物8は、μ受容体に対しては高い親和性を有するが(K=0.91nM)、δ受容体に対しては非常に低い親和性を有する(K=550nM)。
【表1】

【0074】
表2においては、化合物6のIC50(アンタゴニスト活性を示す)は、μ受容体で52nMであり、κ受容体で7800である。これが示すのは、化合物6が、κオピオイド受容体に対するよりもμ受容体で大きい阻害活性を有するということである。化合物6は、μ又はκオピオイド受容体のいずれにおいても何らアゴニスト特性を示さなかった。
【表2】

【0075】
化合物6についてのインビボの結果。腸運動性のPGE2モデル、抗侵害受容のテイルフリックモデル及びホットプレートモデルを用い、2つの薬物投与経路(腹腔内(IP)及び経口(PO))を用いて、マウスにおいて、化合物6を評価した。化合物6の経口及び皮下のバイオアベイラビリティーも、ラットにおいて研究した。この組み合わせの方法により、好ましい特性の組み合わせ、すなわち経口的に活性な、しかも血液脳関門の限られた透過性及び/又は胃腸管からの低吸収性のため比較的弱いCNS活性を有する化合物の同定が可能となる。
【0076】
化合物6のマウスPGE誘発性下痢に対する効果。IP及びPO投与経路の両方を用いて、マウスに化合物6を投与した(図1)。各投与経路により、モルヒネ効果の用量依存性の逆転という結果を得た(注記:このモデルにおいて、モルヒネは、PGE誘発性下痢を阻害する)。重要なことには、両方の投与経路について1〜10mg/kgの用量で、PGE誘発性下痢を遮断する非常に良い活性が観察された。
【0077】
マウステイルフリック抗侵害受容試験における化合物6の効果。テイルフリックアッセイは、主として末梢性反射反応である。化合物6は、IP経路により与えたとき、モルヒネ鎮痛効果の遮断において中程度に効果的であった。しかしながら、このアッセイおいては、PGEモデルとは対照的に、化合物6の経口投与では、モルヒネ効果の遮断においては、非常に低い効果しかなかった。化合物6の10mg/kgの用量では、モルヒネに対する反応に影響がなく、評価した最大用量(30mg/kg)で、モルヒネの効果は、部分的にだけ逆転した(図2)。テイルフリックとPGEの間に観察された違いは、化合物6のより末梢性の、消化管選択的な作用を示す望ましい結果である。
【0078】
マウスホットプレート抗侵害受容試験における化合物6の効果。テイルフリックアッセイとは対照的に、ホットプレートは、脊柱上の侵害受容アッセイを反映すると考えられる。化合物6は、IP経路により与えたとき、モルヒネ鎮痛効果の遮断において、わずかに効果的であった。(図3)。3mg/kgの用量でさえ、著しい用量反応があったのに、ベースラインモルヒネ反応からの変化は約20〜25%しかなかった。最大30mg/kgまでの用量で経口的に与えたとき、化合物6は、モルヒネに対する反応に何ら効果がなかった。これは、化合物6の経口投与が、その脊髄及び中枢治療作用に影響することなく、オピエートの末梢性有害作用を逆転する能力を有するであろうということを示す非常に積極的な結果である。
【0079】
化合物6のラット薬物動態学的(Pharmacokinetic;PK)評価。薬力学的(pharmacodynamic;PD)反応(用いた3種の動物モデルでモルヒネの効果を遮断する能力)と種々の投与経路に続く化合物6の血液濃度との間の可能な関係を調べるために、ラットにおいて吸収及びクリアランスを研究した(図4)。この研究では用量投与後の連続的血液試料採取が可能となるように、ラットを使用した。ラットからのデータは、一般にPKマウスの代理となると考えられる。IVに比較して化合物6の皮下投与の後に、高いバイオアベイラビリティーが観察された。しかしながら、経口投与の後では、化合物6の吸収は低かった。この場合もやはり、これらのデータは、この薬物の経口投与では、オピオイドの治療的鎮痛特性に悪影響を与える危険性が非常に低い状態で、胃腸管に対するオピオイド化合物の副作用を逆転する重大な作用を有し得るという概念を支持するものである。
【0080】
試料化合物のその他の実施例。種々の投与経路を用いる、ラットにおける化合物12及び14の薬理学的プロファイルは、その他の化合物が、腸運動性並びに末梢性(テイルフリック)及び中枢性(ホットプレート)侵害受容のこれらのモデルにおいて、同様の効果を有することを実証する(図5〜10)。
【0081】
PGE試験が、末梢性活性のためのモデルであり、一方、ホットプレート試験が、中枢性活性のためのモデルであることに注意することは重要である。化合物14に対するPGEデータは、3mg/kgのIP投与が、PGE誘発性下痢を遮断するモルヒネの能力を低下させ(上向きの用量反応曲線)、それにより末梢性活性を示唆することを明示する。ホットプレート試験では、用量30mg/kg(PGE試験で必要とされる用量よりも3〜10倍高い用量)まで、ベースラインからの統計的差異が見られないという点で、用量反応曲線のシフトを示す。これは化合物14が弱い中枢性活性を有することを示唆する。テイルフリック試験では、30mg/kgでさえベースラインからの統計的差異がなく、同様の結果を示している。理想的な末梢性アンタゴニストは、消化管だけに影響する(すなわち、下痢を遮断する)が、しかしマウスのオピオイド痛覚脱失(抗侵害受容)の遮断に対しては、中枢性にも(ホットプレート)又は末梢性にも(テイルフリック)いずれにも、ほとんど又は全く影響しない。
【0082】
本発明の化合物は、下記の経路により合成される:
【化30】

【化31】

【0083】
上記及び下記の実施例中のIは、下記のイオン交換樹脂を用いて、Clに交換することができる。同様に、Brを、Clと交換することができる。脱イオン水中のDowex 1x8樹脂−塩化物型(25g,50〜100メッシュ)のスラリーを、ガラスクロマトグラフィーカラム中に充填する。溶液のpHが約6〜7になるまで、水を通過させる。交換されるべき化合物を、水/メタノール(1:2)に溶解して、樹脂上にのせる。生成物含有画分を合わせて、溶媒を減圧下に除去する(水浴25℃)。
【0084】
プロトンNMRスペクトル及び、特定の場合において、13CNMRは、Varian Unity−300又は500 NMR分光計により、CDClに溶解した試料について内部標準物質としてテトラメチルシランを用いて得た。CDOD及びDMSO−dに溶解した試料は、その溶媒を基準とした。プロトンNMR多重度データは、s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、m(多重線)、dd(二重線の二重線)、及びbr(ブロード)で示す。結合定数はヘルツ単位である。直接挿入プローブ化学イオン化質量スペクトルデータは、島津GC−17A GC−MS質量分析計により得た。直接注入エレクトロスプレーイオン化(正電荷イオンモードにおける)質量スペクトルデータは、Agilent 1100シリーズLC/MSDシステム(ドイツ)により得た。融点は、Meltempキャピラリー融点測定装置により測定し、補正しなかった。赤外スペクトルデータは、Perkin−Elmer Paragon 1000FT−IR分光光度計により得た。旋光度データは、Perkin−Elmer 241偏光計から得た。すべての試験化合物及び中間体にアサインした構造は、データと一致した。すべての新規な目的物に対する炭素、水素、及び窒素の元素分析は、Quantitative Technologies Inc.,Whitehouse,NJが実施し、注記した以外は、理論値の±0.4%以内にあった;水又はその他の溶媒の存在は、プロトンNMRにより確認した。反応は、一般にアルゴン又は窒素雰囲気中で行なった。市販品として購入した試薬は、別に断らない限り、精製しないで使用した。次の試薬、即ちN−ヒドロキシスクシンイミド、フェネチルアミン、3−フェニル−1−プロピルアミン、4−アミノビフェニル、酢酸パラジウム、4−フェニルベンジルアミン及びベンジルアミンは、Aldrich Chemical Companyから購入した。次の試薬、即ち2−(4−ビフェニルエチルアミン)は、Trans World Chemicalsから購入した。次の試薬、即ち1,1’−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン(dppf)及びジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物[PdCl(dppf)]は、Strem Chemicals,Incorporatedから購入した。ピリジンは、KOHから蒸留した。アミン類は、Aldrich Chemical Companyから購入して、別に示さない限り、受け入れた状態で使用した。すべてのフラッシュカラムクロマトグラフィーに対して、シリカゲル(Bodman Industries,ICN SiliTech 2−63D 60A,230〜400メッシュ)を使用した。トルエン及びEtOは、ナトリウム金属から蒸留した。THFは、ナトリウム/ベンゾフェノンケチルから蒸留した。ピリジンは、KOHから蒸留した。塩化メチレンは、CaHから蒸留した。DMF及びDMSOは、減圧下にCaHから蒸留した。メタノールは、使用する前に、3Åモレキュラーシーブス上で乾燥した。
【0085】
ナルトレキソンメチオジド[2]。5mLの乾燥アセトンに溶解したナルトレキソン(1,30mg,0.062mmol)を、反応管中のヨードメタン(0.04mL,0.62mmol)に添加した。反応管を密封して、70℃で4日間加熱した。反応経過の間に白色沈殿が生じた。反応の終わりに、混合物を冷却し、濾過して、沈殿を冷アセトンで洗浄した。白色沈殿をメタノール−エーテルから結晶化して、所望の生成物2を結晶性の塩として収率41%で得た:mp215−216℃.HNMR(DMSO−d6,500MHz)δ9.52(s,1H)6.67(s,2H),6.35(s,1H),4.90(s,1H),4.02(s,1H),3.91(m,2H),3.62(s,3H),3.52(d,J=19.5Hz,1H),3.05(m,1H),2.92(m,2H),2.76(m,2H),2.10(m,1H),1.97(m,1H),1.59(m,2H),1.22(m,1H),0.77(m,1H),0.70(m,1H),0.61(m,1H),0.37(m,1H).MS m/z356[(M−I-)+].元素分析 C2126INO4.0.75HOに対する計算値:C,50.77;H,5.58;N,2.82.実測値C,50.49;H,5.70;N,2.71.
【0086】
2D NOESY(DMSO−d6,500MHz,Mixing time=0.6sec,Relax.delay=0.9sec):14−OH基のプロトンと四級化された窒素原子に結合したCH基のプロトンとの間に、交差ピークが観察された。これは、CH基が、6員ピペリジン環に関してアキシアル配座を占め、それによりシクロプロピルメチル基をエクアトリアル位置に置くことを示している。
【0087】
同様の手順を用いて、対応する塩基化合物から出発して、以下のN−メチル第四級化合物を合成した:
【0088】
3−カルボキサミド−ナルトレキソンメチオジド[4]を、3から、白色結晶性固体として、収率43%で得た:mp189−190℃.HNMR(DMSO−d6,500MHz)δ7.77(s,1H),7.66(d,J=8.0Hz,1H),7.07(s,1H),7.00(d,J=8.0Hz,1H),6.46(s,1H),5.29(s,1H),3.99(m,2H),3.71(d,J=21.0Hz,1H),3.65(s,3H),3.28(m,2H),2.97(m,2H),2.79(m,2H),2.14(d,J=14.5Hz,1H),2.02(d,J=11.5Hz,1H),1.71(d,J=12.5Hz,1H),1.55(m,2H),1.24(m,1H),0.79(m,1H),0.73(m,1H),0.62(m,1H),0.40(m,1H).MS m/z383[(M−I-)+].元素分析 C2227IN.0.75HOに対する計算値:C,50.44;H,5.48;N,5.35.実測値C,50.28;H,5.42;N,5.24.
【0089】
3−カルボキサミド−4−ヒドロキシ−ナルトレキソンメチオジド[6]を、5から、白色結晶性固体として収率60%で得た:mp197−198℃.HNMR(DMSO−d6,500MHz)14.50(s,1H),δ8.48(s,1H),8.01(s,1H),7.75(d,J=8.5Hz,1H),6.76(d,J=8.0Hz,1H),6.20(s,1H),3.90(m,2H),3.80(m,1H),3.59(s,3H),3.45(s,2H),3.27(m,1H),2.95(m,1H),2.80(d,J=14.0Hz,1H),2.65(m,2H),2.46(m,1H),2.01(m,3H),1.80(d,J=14Hz,1H),1.21(m,1H),0.77(m,1H),0.70(m,1H),0.59(m,1H),0.38(m,1H).MS m/z385[(M−I-)+].元素分析 C2229IN.0.1HOに対する計算値:C,51.57;H,5.70;N,5.47.実測値C,51.39;H,5.72;N,5.45.
【0090】
2D NOESY(DMSO−d6,500MHz,Mixing time=0.6sec,Relax.delay=0.9sec):14−OH基のプロトンと四級化された窒素原子に結合したCH基のプロトンとの間に、交差ピークが観察された。これは、CH基が、6員ピペリジン環に関してアキシアル配座を占め、それによりシクロプロピルメチル基をエクアトリアル位置に置くことを示している。
【0091】
シクラゾシンメチオジド[8]を、7から、白色結晶性固体として収率74%で得た:mp165−168℃.HNMR(DMSO−d6,500MHz)δ9.20(s,1H),6.99(d,J=8.5Hz,1H),6.67(d,J=2.5Hz,1H),6.64(dd,1H),3.77(s,1H),3.68(dd,1H),3.32(s,3H),3.29(m,1H),3.19−3.06(m,3H),2.66(m,1H),2.47(m,1H),2.21(m,1H),1.40(m,1H),1.36(s,3H),1.16(m,1H),0.84(d,J=6.5Hz,3H),0.74−0.70(m,2H),0.52−0.50(m,1H),0.40−0.37(m,1H).MS m/z286[(M−I-)+].
【0092】
8−カルボキサミド−シクラゾシンメチオジド[10]を、9から、白色結晶性固体として収率70%で得た:mp237−238℃.HNMR(DMSO−d6,500MHz)δ7.95(s,1H),7.81(s,1H),7.73(d,J=7.5Hz,1H),7.33(s,1H),7.26(d,J=8.5Hz,1H),3.84(s,1H),3.72(m,1H),3.33(s,3H),3.29(m,1H),3.25−3.11(m,3H),2.59−2.53(m,2H),2.28(m,1H),1.47(s,3H),1.45(m,1H),1.17(m,1H),0.83(d,J=7.0Hz,3H),0.75−0.69(m,2H),0.52−0.50(m,1H),0.42−0.40(m,1H).MS m/z313[(M−I-)+].
【0093】
(5a)−17−(シクロプロピルメチル)−14−ヒドロキシ−6−オキソ−4,5−エポキシモルフィナン−3−イルトリフルオロメタンスルホネート[P1]:DCM(1L)中のナルトレキソン(30.0g,87.9mmol)、及びトリエチルアミン(36.75mL,87.9mmol)の氷/水で冷却した溶液に、N−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンアミド)を添加した。反応物を、室温で18時間撹拌した。混合物を、減圧下に濃縮して(約500mL)、7%水酸化アンモニウム(400mL)で洗浄した。トリフレート化試薬が全く残らなくなるまで、有機相を2N炭酸ナトリウム溶液で洗浄した(全量8L)。有機相を乾燥(MgSO)した。濾過し、減圧下に溶媒を除去して、(5a)−17−(シクロプロピルメチル)−14−ヒドロキシ−6−オキソ−4,5−エポキシモルフィナン−3−イルトリフルオロメタンスルホネート[P1](38.0g,収率91%)を得た;LC/MS474(M+H)
【0094】
(5a)−17−(シクロプロピルメチル)−14−ヒドロキシ−6−オキソ−4,5−エポキシモルフィナン−3−カルボニトリル[P2]:DMF(500mL−アルゴンで3時間脱気した)中の(5a)−17−(シクロプロピルメチル)−14−ヒドロキシ−6−オキソ−4,5−エポキシモルフィナン−3−イルトリフルオロメタンスルホネート[P1](38.0g,80.3mmol)、シアン化亜鉛(18.85g,160.5mmol)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(8.5g,7.36mmol)の混合物を、アルゴン下に、120℃で3時間加熱した。反応混合物を放置して室温まで戻し、次いで酢酸エチル(1L)で希釈して、セライトパッドを通過させた。溶液を、水(3x1L)で洗浄して、有機相を乾燥(MgSO)した。濾過し、減圧下に溶媒を除去して、粗生成物を得、これをメタノールとともに摩砕して、(5a)−17−(シクロプロピルメチル)−14−ヒドロキシ−6−オキソ−4,5−エポキシモルフィナン−3−カルボニトリル[P2](17.12g,収率61%)を得た;LC/MS(室温12.7分[5〜95%B]),351(M+H)
【0095】
(5a)−17−(シクロプロピルメチル)−14−ヒドロキシ−6−オキソ−4,5−エポキシモルフィナン−3−カルボキサミド[P3]:DMSO(120mL)中の(5a)−17−(シクロプロピルメチル)−14−ヒドロキシ−6−オキソ−4,5−エポキシモルフィナン−3−カルボニトリル[P2](6.0g,17.1mmol)及び炭酸カリウム(7.09g,51.37mmol)の氷/水で冷却した懸濁液に、過酸化水素(25mL,35wt.%/HO)を温度が20℃未満のままであることを保証する速度で滴下した。混合物を2時間撹拌し、次いでDCM(800mL)で希釈した。溶液を水(3x500mL)で洗浄してから、有機相を乾燥(MgSO)した。濾過し、減圧下に溶媒を除去して、粗生成物を得、これメタノールとともに摩砕することにより精製して、(5a)−17−(シクロプロピルメチル)−14−ヒドロキシ−6−オキソ−4,5−エポキシモルフィナン−3−カルボキサミド[P3](4.50g,収率71%)を得た;LC/MS(室温10.1分[5〜95%B]),369(M+H)
【0096】
17−(シクロプロピルメチル)−4,14−ジヒドロキシ−6−オキソモルフィナン−3−カルボキサミド[P4]:エタノール(500mL)中の(5a)−17−(シクロプロピルメチル)−14−ヒドロキシ−6−オキソ−4,5−エポキシモルフィナン−3−カルボキサミド[P3](3.0g,8.15mmol)、亜鉛粉末(2.67g,40.76mmol)、及び塩化アンモニウム(3.05g,57.1mmol)の混合物を、90℃で1時間加熱した。反応混合物を放置して室温まで戻し、次いで濾過した。残留固体を過剰メタノール(500mL)で洗浄し、そのあと7%水酸化アンモニウム(100mL)で洗浄した。合わせた濾液を、減圧下に濃縮して、残渣をジクロロメタンと7%水酸化アンモニウム溶液に分配した。水相を更にDCMで洗浄し、合わせた有機層を乾燥(MgSO)した。濾過し、減圧下に溶媒を除去して、17−(シクロプロピルメチル)−4,14−ジヒドロキシ−6−オキソモルフィナン−3−カルボキサミド[P4](1.45g,収率48%)を得た;LC/MS(室温10.7分[5〜95%B]),371(M+H)
【化32】

【0097】
17−(シクロプロピルメチル)−4,14−ジヒドロキシ−6−メチレンモルフィナン−3−カルボキサミド[11]:水素化ナトリウム(324mg,8.1mmol,鉱油中の60%分散液)を、アルゴン雰囲気下に、ヘキサンで洗浄した。DMSO(5mL)を添加して、混合物を60℃で1時間加熱した。メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(2.89g,8.1mmol)を添加して、同じ温度で1時間撹拌した。DMSO(10mL)中の17−(シクロプロピルメチル)−4,14−ジヒドロキシ−6−オキソモルフィナン−3−カルボキサミド[P4](0.6g,1.62mmol)の溶液を添加して、混合物を65℃で42時間加熱した(18時間後に更に5当量のウィッティヒ試薬を添加した)。反応物を放置して室温まで戻して、酢酸エチル(300mL)と水(300mL)に分配した。有機相をブラインで洗浄して、乾燥(MgSO)した。濾過し、減圧下に溶媒を除去して、残渣を得、これを塩酸(5%)とともに30分間撹拌してから、酢酸エチルで洗浄した。2N水酸化ナトリウム溶液の添加により、水相をpH8に調節し、次いでDCMで抽出して、乾燥(MgSO)した。濾過し、減圧下に溶媒を除去して、残渣を得、これを分取HPLC[Xbridge Prep C18 OBD,30x150mm,5μm;移動相A:10mM NHHCO(pH10),相B:MeCN;流量:50ml/min;カラム温度:30℃;実行時間:25min.]により精製して、17−(シクロプロピルメチル)−4,14−ジヒドロキシ−6−メチレンモルフィナン−3−カルボキサミド[11](180mg,収率30%)を得た;LC/MS(室温13.3分[5〜95%B]),369(M+H)
【0098】
(17R)−17−(シクロプロピルメチル)−4,14−ジヒドロキシ−17−メチル−6−メチレンモルフィナン−17−イウム−3−カルボキサミドクロリド(12)を、11から、収率44%で得た。アセトニトリル(5mL)中の17−(シクロプロピルメチル)−4,14−ジヒドロキシ−6−メチレンモルフィナン−3−カルボキサミド[11](519mg,1.41mmol)の混合物に、ヨードメタン(1.0mL,16.1mmol)を添加した。管を密封して、反応物を90℃で18時間加熱した。反応混合物を放置して室温まで冷却して、固体を濾過により単離し、更にアセトニトリル(10mL)で洗浄し、次いで減圧下に(50℃)乾燥した。脱イオン水中のDowex 1X8樹脂−塩化物型(25g,50〜100メッシュ)のスラリーを、ガラスクロマトグラフィーカラム中に充填した。溶液のpHが約6〜7になるまで、水を通過させた。化合物(439mg,0.86mmol)を、メタノールに溶解して、樹脂上にのせた。生成物含有画分を合わせて、溶媒を減圧下に(水浴25℃)除去して、(17R)−17−(シクロプロピルメチル)−4,14−ジヒドロキシ−17−メチル−6−メチレンモルフィナン−17−イウム−3−カルボキサミドクロリド[12](262mg,収率44%)を得た;LC/MS(室温7.2分[5〜95%B]),383(M).精密質量=418.20;分子量=418.96.
【0099】
17−(シクロプロピルメチル)−4,14−ジヒドロキシモルフィナン−3−カルボキサミド[13]:酢酸(220mL)中の(5a)−17−(シクロプロピルメチル)−14−ヒドロキシ−6−オキソ−4,5−エポキシモルフィナン−3−カルボキサミド[P3](3.74g,10.2mmol)及び亜鉛粉末(33.0g,0.51mol)の混合物に、12N HCl(30mL)を添加した。反応物を125℃で3時間加熱し、次いで放置して室温まで戻した。混合物を、氷/水で冷却した水酸化アンモニウム溶液中に、温度が20℃未満のままであることを保証するような速度で、ゆっくりクエンチした。得られた懸濁液をDCM(3x500mL)で抽出して、乾燥(MgSO)した。濾過し、減圧下に溶媒を除去して、粗生成物を得、これを分取HPLC[Xbridge Prep C18 OBD,30x150mm,5μm;移動相A:10mM NHHCO(pH10),相B:MeCN;流量:50ml/min;カラム温度:30℃;実行時間:25min.]により精製して、17−(シクロプロピルメチル)−4,14−ジヒドロキシモルフィナン−3−カルボキサミド[13](1.07g,収率29%)を得た;LC/MS(室温10.2分[5〜95%B]),357(M+H)
【0100】
(17R)−17−(シクロプロピルメチル)−4,14−ジヒドロキシ−17−メチルモルフィナン−17−イウム−3−カルボキサミドクロリド(14)を、13から、収率67%で得た。アセトニトリル(5mL)中の17−(シクロプロピルメチル)−4,14−ジヒドロキシモルフィナン−3−カルボキサミド[13](260mg,0.73mmol)の混合物に、ヨードメタン(1.0mL,16.1mmol)を添加した。管を密封して、反応物を90℃で18時間加熱した。反応混合物を放置して室温まで冷却して、固体を濾過により単離し、更にアセトニトリル(10mL)で洗浄し、次いで減圧下に(50℃)乾燥した。脱イオン水中のDowex 1X8樹脂−塩化物型(25g,50〜100メッシュ)のスラリーをガラスクロマトグラフィーカラム中に充填した。溶液のpHが約6〜7になるまで、水を通過させた。化合物(312mg,0.63mmol)を水/メタノール(1:2)に溶解して、樹脂上にのせた。生成物含有画分を合わせて、溶媒を減圧下に(水浴25℃)除去して、(17R)−17−(シクロプロピルメチル)−4,14−ジヒドロキシ−17−メチルモルフィナン−17−イウム−3−カルボキサミドクロリド[14](199mg,収率67%)を得た;LC/MS(室温6.7分[5〜50%B]),371(M).精密質量=406.20;分子量=406.95.
【0101】
[6](クロリド)に対する代替方法:アセトニトリル(5mL)中の17−(シクロプロピルメチル)−4,14−ジヒドロキシ−6−オキソモルフィナン−3−カルボキサミド[P4](1g,2.7mmol)の混合物に、ヨードメタン(1.7mL,27mmol)を添加した。管を密封して、反応物を90℃で18時間加熱した。反応混合物を放置して室温まで冷却して、固体を濾過により単離し、更にアセトニトリル(10mL)で洗浄し、次いで減圧下に(50℃)乾燥した。脱イオン水中のDowex 1X8樹脂−塩化物型(20g,50〜100メッシュ)のスラリーをガラスクロマトグラフィーカラム中に充填し、溶液のpHが約6〜7になるまで、水を通過させた。化合物(0.61g,1.19mmol)を水/メタノール(1:2)に溶解して、樹脂上にのせた。生成物含有画分を合わせて、溶媒を減圧下に(水浴30℃)除去して、(17R)−17−(シクロプロピルメチル)−4,14−ジヒドロキシ−17−メチル−6−オキソモルフィナン−17−イウム−3−カルボキサミドクロリド[6(Cl)](0.44g,収率87%)を得た;LC/MS(室温9.6分[0〜20%B]),385(M)
【0102】
[4](クロリド)に対する代替方法:アセトニトリル(5mL)中の(5a)−17−(シクロプロピルメチル)−14−ヒドロキシ−6−オキソ−4,5−エポキシモルフィナン−3−カルボキサミド[P3](0.75g,2.0mmol)の懸濁液に、ヨードメタン(1.2mL,19.3mmol)を添加した。管を密封して、反応物を90℃で18時間加熱した。更にヨードメタン(1mL,16.1mmol)を添加して、混合物を24時間加熱した。反応混合物を放置して室温まで冷却して、固体を濾過により単離し、更にアセトニトリル(10mL)で洗浄し、次いで減圧下に(50℃)乾燥した。脱イオン水中のDowex 1X8樹脂−塩化物型(20g,50〜100メッシュ)のスラリーを、ガラスクロマトグラフィーカラム中に充填した。溶液のpHが約6〜7になるまで、水を通過させた。化合物(0.40g,0.78mmol)を水/メタノール(1:1)に溶解して、樹脂上にのせた。生成物含有画分を合わせて、溶媒を減圧下に(水浴30℃)除去して、(5a,17R)−17−(シクロプロピルメチル)−14−ヒドロキシ−17−メチル−6−オキソ−4,5−エポキシモルフィナン−17−イウム−3−カルボキサミドクロリド[4(Cl)](0.22g,収率67%)を得た;LC/MS(室温5.4分[5〜50%B]),383(M)
【0103】
一般に、上記の化学反応は、周知のコア構造の上に見出される様々な官能基の存在下に正しく機能する。例外があれば、遊離型の6−OHを有するモルヒネ及び同族体であろう。この6−OHは、TBDPS(t−ブチルジフェニルシリル)基により保護することができる[Wentland et al.,“Selective Protection and Functionalization of Morphine...”,J.Med.Chem.43,3558−3565(2000)を参照のこと]。
【0104】
本発明の更なる化合物としては:
【化33】

【化34】

並びに相当するエチル第四級アンモニウム、プロピル第四級アンモニウム及びブチル第四級アンモニウム並びにその塩化物並びにその他の塩も挙げられる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

(式中、
Gは、極性中性残基であり;
Yは、薬学的に許容可能な対イオンであり;
Qは、置換された若しくは置換されていない、飽和若しくは不飽和の脂肪族又は芳香族基であり;
及びR2aは、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、ヘテロアリール基、ヒドロキシ基、アミノ基、又はアルコキシ基であるか、あるいは、R及びR2aが一緒になって、=Oであり;
Rは、水素原子であるか、あるいは、置換された若しくは置換されていない、飽和若しくは不飽和の脂肪族又は芳香族基から選択され;
は、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、低級アルコキシ基、あるいは、置換された若しくは置換されていない、飽和若しくは不飽和の脂肪族又は芳香族基から選択され;
は、水素原子、あるいは、置換された又は置換されていないアルキル基であり;
は、置換された又は置換されていないアルキル基であり;
は、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、低級アルコキシ基、あるいは、置換された若しくは置換されていない、飽和若しくは不飽和の脂肪族又は芳香族基から選択されるか;あるいは、
G、R、R、R及び/又はRが一緒になって、1以上の環を形成することができ、前記環が場合により更なる置換基を有し、及び/又は
Q及びRが一緒になって、1〜3環又は3以上の環を形成することができ、前記環が場合により更なる置換基を有し、及び/又は
Q及びRが一緒になって、1〜3環又は3以上の環を形成することができ、前記環が場合により更なる置換基を有する)
で表される化合物。
【請求項2】
Gが、カルボキサミド基、チオカルボキサミド基、アシルアミン基、ホルムアミド基、アミン基、アミジン基、及び極性中性残基により置換されるアルキル基からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Gが、−CHZ(式中、Zは極性中性残基である)、−CN、−NRSO−R、−C(=W)R、−NRCOR、−NRCSRb、−SONR、−NR−Q−R、−(C=W)NR、−C(O)OR、複素環基、置換された複素環基、ヘテロアリール基、及び置換されたヘテロアリール基であり;
、R、Rが、それぞれ独立して:
(i)水素原子;
(ii)アリール基;置換されたアリール基;ヘテロアリール基;置換されたヘテロアリール基;
(iii)複素環式基又は置換された複素環式基;及び
(iv)O、S、若しくはNから選択される0、1、2、若しくは3以上のヘテロ原子をそれぞれ含有する、置換された若しくは置換されていないアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、又はシクロアルケニル基、
から選択されるか;
あるいは、R、R及びRが、結合される原子と一緒になって、複素環式基又は置換された複素環式基を形成し;
が、存在しないか、あるいは、(C=O)、(SO)、(C=NH)、(C=S)、又は(CONR)から選択され;
Wが、O、S、NOR又はNRである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Gが、CONH又はCSNHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Qが、置換された若しくは置換されていない、飽和若しくは不飽和のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロシクリル基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基又はヘテロアリールアルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Qが、アルキル基又はベンジル基である、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
式:
【化2】

(式中、
Gは、CONH及びCSNHから選択され;
Yは、薬学的に許容可能な対イオンであり;
Qは、アルキル基及びベンジル基から選択され;
及びR2aは、両方とも水素原子であるか、又はR及びR2aが一緒になって、=Oであり;
は、水素原子、低級アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロシクリル基、ベンジル基及びヒドロキシアルキル基から選択され;
は、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、低級アルコキシ基、C〜C20アルキル基、及び、ヒドロキシ基又はカルボニル基で置換されるC〜C20アルキル基から選択され;
Yは、薬学的に許容可能な対イオンであり;
は、低級アルキル基であり;
は、低級アルキル基であり;
は、水素原子及びヒドロキシ基から選択されるか;あるいは、
、R、R及びRが一緒になって、1〜3環を形成することができ、前記環が場合により更なる置換基を有する)
で表される化合物。
【請求項8】
が、水素原子、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、C〜C20アルキル基、及びヒドロキシ基又はカルボニル基で置換されるC〜C20アルキル基から選択され;
が、低級アルキル基であり;
が、低級アルキル基であり;
が、水素原子又はヒドロキシ基である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が、水素原子、シクロプロピル基、シクロブチル基、フェニル基、ビニル基、ジメチルビニル基、ヒドロキシシクロプロピル基、フラニル基、及びテトラヒドロフラニル基から選択され;
が、水素原子及び3−オキソ−5−シクロペンチル−1−ペンタニル基から選択され;
が、メチル基であり;
が、メチル基又はエチル基である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
及びRが環を形成し、Rが、水素原子又はヒドロキシ基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
式:
【化3】

(式中、G、Q、Y、R、R2a、R、及びRは、請求項1に定義されるものであり、R19、R20、R21、R22、及びR23は、水素原子、あるいは、置換された若しくは置換されていない脂肪族又は芳香族基であるか、あるいは、R、R19、R20、R21、R22、及び/又はR23が一緒になって、複素環式環又は炭素環式環を形成することができる)
を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
19が、水素原子又は低級アルキル基であり;
20が、水素原子、低級アルキル基及びヒドロキシ(低級アルキル)基から選択され;
21が、水素原子であり;
22が、水素原子、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基及び−NR1314から選択されるか;あるいは、
21及びR22が一緒になって、カルボニル置換基又はビニル置換基を形成し;
13及びR14が、独立して、水素原子、C〜Cアルキル基及びC〜Cアシル基から選択され;
23が、水素原子、メチル基であるか、又はR19及びR23が一緒になって、第2の結合を形成する、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
式:
【化4】

(式中、G、Q、Y、R、R2a、R、及びRは、請求項1に定義されるものであり、R19、R20、R21、R22、及びR23は、水素原子、あるいは、置換された若しくは置換されていない脂肪族又は芳香族基であるか、あるいは、R、R19、R20、R21、R22、及び/又はR23は、一緒になって、複素環式環又は炭素環式環を形成することができる)
を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
19が、水素原子又は低級アルキル基であり;
20が、水素原子、低級アルキル基及びヒドロキシ(低級アルキル)基から選択され;
21が、水素原子であり;
22が、水素原子、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基及び−NR1314から選択されるか;あるいは
21及びR22が一緒になって、カルボニル置換基又はビニル置換基を形成し;
13及びR14が、独立して、水素原子、C〜Cアルキル基及びC〜Cアシル基から選択され;そして、
23が、水素原子、メチル基であるか、又はR19及びR23が一緒になって、第2の結合を形成する、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
式:
【化5】

(式中、Yは、対イオンである)
で表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
【化6】

【化7】

【化8】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
構造:
【化9】

(構造中、G、Q、Y、R、R2a、R、及びRは、請求項1に定義されるものであり、R19、R20、R21、R22、及びR23は、水素原子、あるいは、置換された若しくは置換されていない脂肪族又は芳香族基であるか、あるいは、R、R19、R20、R21、R22、及び/又はR23が一緒になって、複素環式環又は炭素環式環を形成することができる)
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
19が、水素原子又は低級アルキル基であり;
20が、水素原子、低級アルキル基及びヒドロキシ(低級アルキル)基から選択され;
21が、水素原子であるか、又はR及びR21が一緒になって、第6の環を形成し;
22が、水素原子、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基及び−NR1314から選択されるか;あるいは、
21及びR22が一緒になって、カルボニル置換基又はビニル置換基を形成し;
13及びR14が、独立して、水素原子、C〜Cアルキル基及びC〜Cアシル基から選択され;
23が、水素原子、メチル基であるか、又はR19及びR23が一緒になって、第2の結合を形成する、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
式:
【化10】

(式中、Yは、対イオンである)
で表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
【化11】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
式:
【化12】

(式中、
【化13】

は、1〜3環のアリール残基又はヘテロアリール残基であり;
Aは、結合又はリンカーであり;
10は、1又は2の置換基であり;
11は、H又は
【化14】

であり;
【化15】

は、1〜3環のアリール残基又はヘテロアリール残基であり;
A’は、直接結合又はリンカーであり;
12は、水素原子及び低級アルキル基から選択され;
15は、独立して、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、(C〜C)アルキル基、(C〜C)アルコキシ基、ハロ(C〜C)アルキル基及びハロ(C〜C)アルコキシ基並びに(C〜C)アルキルチオ基から選択される1又は2の残基である)
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
Aが、(CH(式中、1以上のCHを、−O−、シクロアルキル基又は−CR1a1bにより置き換えることができる)であり;
1a及びR1bが、独立して、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基及び低級アルキルチオ基から選択され;
10が、独立して、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、(C〜C)アルキル基、(C〜C)アルコキシ基、ハロ(C〜C)アルキル基、ハロ(C〜C)アルコキシ基及び(C〜C)アルキルチオ基から選択される1又は2の残基であり;
11が、
【化16】

であり;
A’が、(CH(式中、1以上のCHを、−O−、シクロアルキル基、−CR1a1b、−C(=O)−又は−NH−により置き換えることができる)であり;
15が、独立して、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、(C〜C)アルキル基、(C〜C)アルコキシ基、ハロ(C〜C)アルキル基、ハロ(C〜C)アルコキシ基及び(C〜C)アルキルチオ基から選択される1又は2の残基であり;
mが、0又は整数1〜6であり;
nが、整数1〜6である、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
11が、フェニル基であり、R12が、水素原子であり、及びAが、−CHCH−である、請求項21に記載の化合物。
【請求項24】
Aが、(CH(式中、1以上のCHを、−O−、シクロアルキル基又は−CR1a1bにより置き換えることができる)であり;
1a及びR1bが、独立して、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基及び低級アルキルチオ基から選択され;
10が、独立して、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、(C〜C)アルキル基、(C〜C)アルコキシ基、ハロ(C〜C)アルキル基、ハロ(C〜C)アルコキシ基及び(C〜C)アルキルチオ基から選択される1又は2の残基であり;
11が、水素原子であり;
【化17】

が、フェニル基、インドリル基及びベンゾフラニル基から選択される、請求項21に記載の化合物。
【請求項25】
Qが、CHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
オピエートを与えられた患者において、オピエートの副作用を改善する方法であって、前記患者に請求項1に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項27】
前記副作用が、便秘、悪心/嘔吐、咳の抑制、かゆみ、不快気分及び尿閉から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
手術を受けた患者において、手術後の腸機能を増進させる方法であって、前記患者に請求項1に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。

【公表番号】特表2010−535814(P2010−535814A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520325(P2010−520325)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/072632
【国際公開番号】WO2009/023567
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(502263411)レンセラール ポリテクニック インスティチュート (14)
【Fターム(参考)】