説明

第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースから製造されたポリマー

本発明は、第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロース、例えばキトサンおよびキシログルカン、から製造されたポリマーであって、第1アミン官能基化ポリマーがヘミセルロースと共有結合しているポリマー、および該ポリマーを含有する架橋剤組成物に関する。セルロース含有製品を準備する工程;該セルロース製品を、第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロース、例えばキトサンおよびキシログルカン、から製造されたポリマー、ならびに任意の他の添加剤を含むセルロース吸着剤で処理する工程;を含むセルロース含有製品の製造方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製品または布製品の製造時において架橋剤および/またはセルロース吸着剤として使用することができる化学的生成物に関する。セルロース吸着剤は、セルロース製品の製造時または処理時においてセルロースに吸着される薬剤であり、例えば引張強さ、破断点歪み、引張エネルギー吸収、引裂指数、および耐折強さ(二重折り)等の物性を改善させる。本発明はまた、該化学的生成物を含有する、架橋剤組成物および/またはセルロース吸着剤組成物、ならびに紙製品、布製品または板紙製品等のセルロース製品、該セルロース製品の製造方法、および該化学的生成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
紙製品および板紙製品等のセルロース製品の製造時においては、当該製品の性能を改善させるために各種添加剤が使用される。紙製品の強さを改善させるためには架橋剤が使用される。しかし、もっと強い紙製品を提供する必要がある。
【0003】
キトサンは紙製品の製造時において添加剤として使用されている。キトサンの欠点は、非酸性水への溶解性が低いことである。
キシログルカンの布への吸着は非常に遅く、かつ少ない。
【0004】
またセルロースは繊維産業等の他の産業において重要な原料である。紡績工場および織布工場においては、より強い糸が必要である。
【0005】
織布の使用時には、防火性、殺生物特性、例えば抗菌性および殺菌性等の特性を改善させることが必要な場合がある。
【0006】
様々な種類の布などのセルロース含有材料を洗浄するときは、洗濯特性およびクリーニング特性を改善させる必要がある。
【0007】
要約すると、セルロース系製品を改良するための方法および化学的化合物/生成物の必要性が強く存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、セルロース製品の製造時または改質時において、セルロース吸着剤または架橋剤として使用することができ、例えば耐折強さ、引張指数、引張強さ、引張エネルギー吸収性、破断点歪み、弾性率または湿潤強度特性を改善させて、セルロース製品の所望の特性を得ることができる化学的生成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、上記目的は、第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースから製造されたポリマーであって、第1アミン官能基化ポリマーがヘミセルロースと共有結合しているポリマーを提供することにより達成される。
【0010】
上記第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースは、第1アミン官能基化ポリマーの遊離アミノ基とヘミセルロースの還元性末端(reducing end)との間で還元的アミノ化(reductive amination)により相互に結合していてもよい。
【0011】
さらなる目的は、第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースから製造されたポリマーであって、第1アミン官能基化ポリマーがヘミセルロースと共有結合しているポリマーを含有するセルロース含有製品を提供することである。当該セルロース含有製品は、紙、板紙、濾紙、上質紙、バンクノートペーパー、新聞用紙、ライナー板紙、薄葉紙および他の衛生製品、袋用紙、クラフト紙、布、厚紙、糸、例えば綿糸、織編物、不織布、木材製品、パルプ、セルロース系膜、綿製品、リネン製品、アサ製品、アマ製品、ビスコース製品、再生セルロース製品、ラミー製品、バクテリアセルロース製品、セルロース製品またはあらゆる他の非木材系セルロース製品であってもよい。
【0012】
さらに、セルロース含有製品におけるセルロースは、木材、植物、綿、またはあらゆる他の非木材系セルロース、リネン、アサ、アマ、ビスコース、再生セルロース、セルロース誘導体の生成物、ラミー、バクテリアセルロース、およびそれらの混合物に由来するものであってもよい。
【0013】
さらに、セルロース含有製品におけるセルロースは、様々な植物の混合物に由来するものであってもよい。
【0014】
本発明は、架橋剤および/またはセルロース吸着剤としてのポリマーの使用も提供する。
【0015】
本発明の目的は、キトサンおよびキシログルカンから製造された水溶性物質を提供することにより達成される。従って本発明は、キトサンおよびキシログルカンから製造された水溶性物質であって、キトサンがキシログルカンと共有結合している物質に関する。
本発明を以下の図面を用いて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1a】キトサンおよびヘミセルロースから製造されるポリマーの合成方法であって、キトサンをヘミセルロース(hemi)と反応させてヘミセルロース変性キトサンを得る方法を示す。
【図1b】キトサンおよびヘミセルロースから製造された物質の第1アミノ基にR原子団を導入する方法であって、ヘミセルロース変性キトサンをR原子団と反応させてR官能化ヘミセルロース変性キトサンを得る方法を示す。
【図1c】ポリアリルアミンおよびヘミセルロースから製造されるポリマーの合成方法を示す。
【図1d】ポリビニルアミン(ビニルアミン−ビニルホルムアミド共重合体)およびヘミセルロースから製造されるポリマーの合成方法を示す。
【図1e】ポリエチレンイミンおよびヘミセルロースから製造されるポリマーの合成方法を示す。
【図2a】パインパルプから製造された紙の耐折強さ試験の試験結果を示す(Y軸:折り数)。
【図2b】パインパルプから製造された紙の引張指数試験の試験結果を示す(Y軸:Nm/g)。
【図3a】パインパルプから製造された紙の引張指数試験の試験結果を示す(Y軸:Nm/g)。
【図3b】パインパルプから製造された紙の引張強さ指数試験の試験結果を示す(Y軸:MNm/kg)。
【図3c】パインパルプから製造された紙の引張エネルギー吸収試験の試験結果を示す(Y軸:J/m)。
【図3d】パインパルプから製造された紙の破断点歪み試験の試験結果を示す(Y軸:%)。
【図3e】パインパルプから製造された紙の弾性率試験の試験結果を示す(Y軸:GPa)。
【図3f】パインパルプから製造された紙の耐折強さ試験の試験結果を示す(Y軸:折れ数)。
【図3g】パインパルプから製造された紙の湿潤強度試験の試験結果を示す(Y軸:N/m、X軸:時間(分))。
【図4a】未精製パインパルプに対する10%XG15k−MCHの吸着等温線(Y軸:吸着量(mg吸着された10%XG15k−MCH/gパルプ)、X軸:時間(分))。
【図4b】未精製パインパルプに対する20%XGO−LCHの吸着等温線(Y軸:吸着量(mg吸着された20%XGO−LCH/gパルプ)、X軸:時間(分))。
【図4c】未精製パインパルプに対する10%XG15k−PEIの吸着等温線(Y軸:吸着量(mg吸着された10%XG15k−PEI/gパルプ)、X軸:時間(分))。
【図4d】比較のための綿織物に対するXG100kDaの吸着等温線(Y軸:吸着量(mg吸着されたXG100kDa/g綿)、X軸:時間(分))。
【図4e】綿織物に対する20%XGO−LCHの吸着等温線(Y軸:吸着量(mg吸着された20%XGO−LCH/g綿)、X軸:時間(分))。
【図4f】綿織物に対する20%XGO−LCH−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドの吸着等温線(Y軸:吸着量(mg吸着された20%XGO−LCH−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド/g綿)、X軸:時間(分))。
【図5a】各種濾紙に由来するメタニルイエロー溶液(初期濃度0.05mg/ml)の吸光度測定値を浸漬時間の関数として示す(A=吸光度、T=浸漬時間(分)、1=対照濾紙、2=濾紙−20%XGO−LCH、および3=濾紙−20%XGO−LCH−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド)。
【図5b】染料溶液中、24時間後のメタニルイエロー染色濾紙を乾燥させたものの写真であって、左から右にかけて対照濾紙、濾紙−20%XGO−LCH、および濾紙−20%XGO−LCH−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドであり、2種類のメタニルイエロー溶液濃度を用い、上列が0.05mg/ml、下列が0.1mg/mlである。
【図6】20%XGO−LCHが吸着された綿の静的接触角の測定値(CA=静的接触角(°)、T=時間(秒))。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースから製造されたポリマーであって、第1アミン官能基化ポリマーがヘミセルロースと共有結合しているポリマーに関するものである。発明者等は、第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースからポリマーを製造できることを見い出した。このポリマーは、セルロース製品において使用されると、非常に良好な効果を奏する。当該ポリマーはセルロース製品に非常に効率的に吸着され、架橋剤としても作用する。当該ポリマーは、セルロース製品に吸着することもできるし、同時にセルロース中で架橋剤として作用することもできるので、当該ポリマーは架橋剤および/またはセルロース吸着剤であってもよい。本発明はまた、第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースから製造されたポリマーを含有する架橋剤組成物に関する。当該ポリマーはセルロース製品を改質するものとみなすこともできる。従って、当該ポリマーは改質剤とみなすこともできる。第1アミン官能基化ポリマーはヘミセルロースの還元性末端と共有結合していてもよい。
【0018】
本発明はまた、第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースが、第1アミン官能基化ポリマーの遊離アミノ基とヘミセルロースの還元性末端との間で還元的アミノ化により相互に結合しているポリマーにも関する。この態様は本発明に係るポリマーの製造に好適かつ効率的な態様である。
【0019】
本発明はまた、第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースが、第1アミン官能基化ポリマーのアミノ基とヘミセルロースの還元性末端との間でイミン結合により相互に結合しているポリマーにも関する。この態様は当該物質の製造に際し、上記した還元的アミノ化の代わりの態様である。
【0020】
ヘミセルロースは、ほとんど全ての植物の細胞壁に存在する幾つかのヘテロポリマー類、例えば、キシラン、アラビノキシラン、グルクロノキシラン、グルクロノアラビノキシラン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、ガラクトグルコマンナン、およびキシログルカンのうち、いずれのものであってもよい。ヘミセルロースは多くの異なる糖モノマー類を含有する。本発明においては、あらゆる分子量のヘミセルロースを使用できる。
【0021】
ヘミセルロースは、キシラン、アラビノキシラン、グルクロノキシラン、グルクロノアラビノキシラン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、ガラクトグルコマンナン、およびキシログルカンまたはそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0022】
キシランの主鎖はβ−(1→4)−結合D−キシロピラノース残基からなる。キシラン類は、キシロースに加えて、アラビノース、グルクロン酸またはその4−O−メチルエーテル、および酢酸、フェルラ酸、およびp−クマル酸を含有してもよい。分枝の頻度および組成は当該キシランの出所に依存する。本発明によれば、あらゆる種類のキシランを使用してもよい。
【0023】
ガラクトマンナン類は6位の分枝点でα−D−ガラクトースと結合するβ−(1→4)−結合D−マンノピラノース骨格からなる多糖類である。本発明によれば、あらゆる種類のガラクトマンナンを使用してもよい。マンノースとガラクトースとの比率は以下に示すような様々な天然ガムの様々な比率であってもよい。
フェヌグリークガム(fenugreek gum)、マンノース:ガラクトース〜1:1
グアガム(guar gum)、マンノース:ガラクトース〜2:1
タラガム(tara gum)、マンノース:ガラクトース〜3:1
ローカストビーンガム(locust bean gum)またはキャロブガム(carob gum)、マンノース:ガラクトース〜4:1
【0024】
グルコマンナンは少量の分枝鎖がある主として直鎖のポリマーである。構成する糖類は1.6:1の比率でβ−(1→4)−結合するD−マンノースおよびD−グルコースである。グルコマンナンはこんにゃく植物の根または球茎の乾燥重量で40%を構成する。本発明によれば、あらゆる種類のグルコマンナンを使用してもよい。
【0025】
ガラクトグルコマンナンは水溶性のヘミセルロースであり、ガラクトース、グルコースおよびマンノースからなる。多くの針葉樹種、例えばヨーロッパトウヒはガラクトグルコマンナン類が豊富であり、最高で10〜20%で含有する。ガラクトグルコマンナンはβ−(1→4)−結合するマンノース単位およびグルコース単位が任意に分布した骨格とマンノース単位に結合するα−(1→6)−結合ガラクトース単位からなる。マンノースにおけるC2位およびC3位のヒドロキシル基は部分的にアセチル基で置換される。本発明によれば、あらゆる種類のガラクトグルコマンナンを使用してもよい。
【0026】
キシログルカンは、β−(1→4)−結合グルコース残基からなり、その大部分がα−(1→6)−結合キシロース側鎖で置換されている骨格を有する。キシロース残基はたいていガラクトース残基でキャップされ、もしくは時にはその後、フコース残基またはアラビノース残基でキャップされる。キシログルカンの特定構造は植物の科の中で変化する。本発明によれば、あらゆる種類のキシログルカン類を使用してもよい。
【0027】
第1アミン官能基化ポリマーは第1アミンを有するポリマーである。本発明においては、あらゆる種類の構造および分子量のポリマーが使用でき、例えば、線状ポリマー、星形ポリマー、櫛形ポリマー(comb polymers)、ブラシポリマー(brush polymers)、樹枝状ポリマー(dendronized polymers)、はしご状ポリマー(ladders)、デンドリマー(dendrimers)、およびコポリマーが挙げられる。市販の第1アミン官能基化ポリマーとしては、例えば、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、(ビニルアミン−ビニルホルムアミド)コポリマー、ポリ(エチレンイミン)、およびキトサン等のホモポリマーまたはコポリマーが挙げられる。
【0028】
本発明によれば、第1アミン官能基化ポリマーは、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、(ビニルアミン−ビニルホルムアミド)コポリマー、ポリ(エチレンイミン)、およびキトサンまたはそれらの組み合わせを含むホモポリマーまたはコポリマーの群から選択されてもよい。第1アミン官能基化ポリマーはまた、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、(ビニルアミン−ビニルホルムアミド)コポリマー、ポリ(エチレンイミン)、およびキトサンまたはそれらの組み合わせを含む群から選択されてもよい。キトサン類は幅広い種類のものが存在し、あらゆるキトサンが使用されてもよい。ポリアリルアミンを含むポリマーの製造に際しての合成方法を図1cに開示する。図1dでは、ポリビニルアミンを含むポリマーの製造に際しての合成方法を開示する。図1eでは、ポリエチレンイミンおよびヘミセルロースから製造されるポリマーの合成方法の一例を開示する。
【0029】
上記のヘミセルロースおよび上記の第1アミン官能基化ポリマーのあらゆる組み合わせからポリマーを製造してもよい。
【0030】
ヘミセルロースは180Da〜2000kDa以上の分子量を有してもよい。本発明においてヘミセルロースの分子量は、180Da〜20kDa、180Da〜100kDa、180Da〜500kDa、180Da〜1000kDa、180Da〜2000kDa、180Da〜2000kDa以上、1kDa〜2000kDa、10kDa〜2000kDa、20kDa〜2000kDa、50kDa〜2000kDa、100kDa〜2000kDa、500kDa〜2000kDa、10kDa〜2000kDa以上、または20kDa〜2000kDa以上、であってもよい。
【0031】
第1アミン官能基化ポリマーは100Da〜1000kDa以上の分子量を有してもよい。本発明において第1アミン官能基化ポリマーの分子量は、100Da〜20kDa、100Da〜100kDa、100Da〜500kDa、100Da〜1000kDa、100Da〜1000kDa以上、1kDa〜1000kDa、10kDa〜1000kDa、20kDa〜1000kDa、50kDa〜1000kDa、100kDa〜1000kDa、500kDa〜1000kDa、10kDa〜1000kDa以上、または20kDa〜1000kDa以上、であってもよい。
【0032】
本発明に係るポリマーは通常、水溶性物質であるが、必ずしも水溶性とは限らず、溶液のpHに依存する。
当該ポリマーは水溶性を有さなくてもよい。
【0033】
第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースから製造されたポリマーの一例として、例えば、キトサンおよびヘミセルロースから製造されたポリマーを図1aに示す。図1aでは出発物質としてのキトサンも開示される。
【0034】
キトサンはβ−(1→4)−結合するD−グルコサミンおよびN−アセチル−D−グルコサミン(アセチル化単位)が任意に分布してなる線状多糖類であり、天然化合物キチンより化学的に誘導されるものである。キチンにおけるアセチル化度は100%である。キトサンにおけるアセチル化度は0.1〜99.9%で変化し得る。
【0035】
図1aおよび図1bにおいて参照符A、BおよびCはそれぞれアミド原子団(N−アセチル原子団)、アミン原子団およびヘミセルロース置換アミン原子団に関する。これらの原子団は式中、任意の順序で位置する。本発明においては、あらゆるアセチル化度のキトサンを使用することができ、当該アセチル化は0.1〜99.9%、0.1〜50%、5〜40%、10〜30%または20〜26%で変化してもよい。
【0036】
分子量50kDa〜190kDaのキトサンは約300〜1200個のアミノ/アミド基を含有する。N−アセチル化度が約25%のとき、キトサンにおける全アミノ/アミド基のうちの約75〜300個がアセチル化単位に相当する;図1a参照。
【0037】
さらにキトサンは179Da〜375kDaの分子量を有してもよく、キシログルカンは1kDa〜2000kDaの分子量または1.2kDa〜2000kDaの分子量を有しても良い。
キトサンは375kDa以上の分子量を有しても良い。
【0038】
本発明に係るポリマーはキトサンおよびキシログルカンから製造されてもよい。キトサンはキシログルカンと共有結合している。キトサンおよびキシログルカンは、キトサンの遊離アミノ基とキシログルカンの還元性末端との間で還元的アミノ化により相互に結合してもよい。本発明の目的は、キトサンおよびキシログルカンから製造された水溶性物質を含有する架橋剤および/またはセルロース吸着剤組成物を提供することである。
【0039】
架橋剤の好ましい特性は、セルロースに非常によく、かつ迅速に結合できることである。吸着特性はセルロース製品に様々な特性を導入するために利用することもできる。当該ポリマーに対して様々な官能性原子団を遊離アミノ基またはヒドロキシル基により導入することができる。架橋剤は幾つかの官能性原子団を結合させることができ、また当該官能性原子団の密度を制御することができ、このことはセルロース製品の所望特性の水準を制御するのに有利である。このようなセルロースの変性は、例えば洗濯用途で用いられ、セルロース製品に難燃性または抗菌および殺菌特性をもたらすことができる。
【0040】
さらなる目的は、キトサンおよびキシログルカンから製造された水溶性物質を含有する架橋剤および/またはセルロース吸着剤組成物を含むセルロース含有製品を提供することである。しかしながらキトサンおよびキシログルカンから製造された当該物質は水溶性を有さなくてもよい。本発明はキトサンおよびキシログルカンから製造されたポリマーの架橋剤としての使用にも関する。
【0041】
キトサンおよびキシログルカンから製造されたポリマーは驚くほどよく、かつ迅速に紙、パルプおよび布に対して吸着している。第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースから製造されたポリマーは、図4a〜fおよび表3〜4からわかるように、パルプおよび布材料に対して驚くほどよく吸着した。表3および表4では、本発明に係る様々なポリマー類が開示されている。表3および表4では比較用として様々なキシログルカン類が示されている。表3および表4それぞれでは、さらにパルプおよび綿布に吸着された当該ポリマーの割合が開示されている。
【0042】
キシログルカンがキトサンでアミノ化されると、驚くことに、紙製造時に架橋剤として使用したときに、得られる紙製品に対して優れた耐折強さを付与する反応生成物が形成されることを本発明の範囲内において見い出した。さらに、以下の実施例で示される試験では、第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースから製造されたポリマーは、紙シートに適用されたとき、良好な結果を示した。さらに、布に使用されると、布に対する当該ポリマーの吸着は非常に良好である。
【0043】
本発明においては、キシログルカンは少なくとも7個の単糖類(XGO)を含有する少糖類から、少なくとも15000個の単糖類を含有する多糖類(天然キシログルカン)までのものであってもよい。キシログルカンは1kDa〜2000kDaの分子量を有しても良い。
【0044】
本発明によれば、あらゆる種類のキトサンを使用してもよい。分子量が179Da〜375kDa超のキトサンを使用してもよいし、または(シグマ・アルドリッチによれば)分子量が低分子量のキトサンフラグメント(chitosan fragments)を使用してもよい。キトサンフラグメントは合成が容易で、取り扱いが容易である。
【0045】
例えばキトサンおよびキシログルカンから製造された物質は中性pHで水溶性にすることができ、このことは予期しなかったことである。キシログルカンはpHとは関係なく水溶性である。キトサンはpH〜5.9超で水不溶性である。キトサンへのキシログルカンの共有結合により最終生成物が中性pHで水溶性になる。本発明の物質の様々なpHでの溶解性は水溶性ヘミセルロースの分子量および/または置換度を変えることにより制御することができ、このことを表1に示す。キトサンおよびキシログルカンから製造される様々なポリマー類を表1および表2に示す。当該ポリマー類は下記実施例3に従って製造される。+は当該化合物が所定のpHで水溶性であることを示し、−は当該化合物が所定のpHで水不溶性であることを示す。
【0046】
【表1】

【0047】
用語:
XG=キシログルカン
XGO=キシログルカン少糖類(1kDa−1.5kDa)
XGnative=天然キシログルカン
LLCH=超低分子量キトサン(5kDa)
LCH=低分子量キトサン(50kDa−190kDa)
MCH=中分子量キトサン(190kDa−310kDa)
HCH=高分子量キトサン(310kDa−375kDa超)
例:10%XG15kD−LCH
LCHの遊離アミノ基の10%が分子量15kDaのXGと共有結合している。
【0048】
発明者等は、ヘミセルロースを第1アミン官能基化ポリマーと共有結合させるために適用することができる還元的アミノ化の利用方法を開発した。当該合成方法はワンポット法であり、ヘミセルロースを溶解した後、還元条件下、第1アミン官能基化ポリマーのアミノ基と反応させる。再現性は高い。炭水化物の還元性末端との還元的アミノ化はワンポットで行うことができ、イミン形成と還元とが同時に起こる。これは直接式還元的アミノ化として知られており、水中で相対的に安定で、かつ酸性条件下で反応性のある還元剤、例えばシアノボロハイドライドナトリウム(NaBHCN)を用いて行われる。
【0049】
中間体イミンを経るカルボニル基のアミンへの転化を伴う還元的アミノ化によりポリマーを製造してもよい。第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースから製造されたポリマーとして当該イミン中間体を使用することもできる。
【0050】
第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースから製造されたポリマー、例えばキトサン/キシログルカン材料は、中間体イミンを経るカルボニル基のアミンへの転化を伴う還元的アミノ化により製造されてもよい。上述したように、炭水化物の還元性末端との還元的アミノ化はワンポットで行うことができ、イミン形成と還元とが同時に起こる。
【0051】
発明者等は、水溶性キシログルカンのキトサンとの還元的アミノ化方法を開発した。当該合成方法はワンポット法であり、キシログルカン(XG)またはキシログルカン少糖類(XGO)を溶解した後、還元条件下、キトサンのアミノ基と反応させる。
【0052】
第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースから製造されるポリマーは反応混合物中において製造されてもよい。
I)反応混合物を酸性にして(pHを7未満に調整して)、その後、還元条件下でインキュベートする。
II)最後に、アミノ化された水溶性炭水化物を当該炭水化物として使用することもできるし、沈殿により単離することもできるし、濾紙を用いた濾過により精製して低分子量化合物を除去することもできる。
【0053】
第1アミン官能基化ポリマーの一例としてキトサンが挙げられ、ヘミセルロースの一例としてキシログルカンが挙げられる。
【0054】
当該方法の還元条件は、水素雰囲気および触媒、例えば白金、酸化白金等の白金誘導体、またはイミン類およびエナミン類を還元するだけでカルボニル基を還元しない還元剤、例えばシアノボロハイドライドナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、またはピリジンボラン、ジメチルアミンボランまたは2−ピコリンボラン等のアミンボラン錯体、好ましくはシアノボロハイドライドナトリウムであってもよい。
【0055】
I)における反応混合物のpHは、第1アミン官能基化ポリマーが水溶性であるpHに調整されることが好ましい。例えば、キトサンはpHが約5.9以下で水溶性である。キトサンに関する場合、反応混合物は約5.9以下のpHに調整されることが好ましく、または4.5〜5.9のpHに調整できる場合がある。
温度は20℃〜100℃であってよく、ヘミセルロース、第1アミン官能基化ポリマーまたは還元剤の分解を起こすことなく当該反応を加速するためには、好ましくは50〜60℃、最も好ましくは約55℃である。
I)におけるインキュベート時間は5〜350時間であってよい。当該反応の実質的な完了はSECにより決定され、さらに生成物はNMRまたはIRにより確認される。
【0056】
本発明のポリマーの一例として、上記したように、キトサンおよびキシログルカンから製造されたポリマーが挙げられる。当該ポリマーの製造時、キトサンのアミン基がキシログルカンと反応する。キシログルカンと反応するキトサンのアミン基の数は反応条件に応じて変化する。置換度が高いほど、より高い水溶性を与える。ヘミセルロース置換基と反応するキトサンのアミン基の数、図1a中のCは、0.01〜99.9%、0.01〜30%、0.5〜20%、0.5〜15%、0.5〜10%、1〜8%または2〜5%である。同様の割合を、キトサンにおける未反応アミン基に適用することができ、すなわち図1中の式におけるBは0〜99.9%、10〜90%、20〜80%、30〜70%、40〜50%、50〜60%、50〜80%、60〜80%、または65〜75%であってもよい。分子量150kDaのキトサンのアミン基の約4%が、分子量15kDaのキシログルカン置換基と反応するとき、当該キシログルカン/キトサン物質を含有する紙シートの耐折強さ特性は、図2aからわかるように、架橋変性剤の添加なしに製造された対照体よりも5〜6倍良好であることが見い出された。分子量250kDaのキトサンのアミン基の10%が、分子量15kDaのキシログルカン置換基と反応する別の実施例では、当該キシログルカン/キトサン物質を含有する紙シートの耐折強さ特性は、図3fからわかるように、架橋変性剤の添加なしに製造された対照体よりも40倍良好である。
【0057】
本発明はまた、上記ポリマーにおける少なくとも1つのアミン基および/またはヒドロキシル基に対して少なくとも1つの官能性原子団Rが結合しているポリマーに関する。図1bは、R原子団で官能基化された当該ポリマーの一実施態様を示すものであり、当該図においてR原子団はアミンに結合している。R原子団は、イオン性基(ionic groups)、疎水性原子団(hydrophobic groups)、不帯電親水性原子団(uncharged hydrophilic groups)、潜在的反応性原子団(potentially reactive groups)、例えば求電子性原子、求核種を含有する原子団、酵素的反応性原子団、重合反応および/または硬化用モノマー類、発色団、発蛍光団、放射性同位体類、遊離基前駆体および安定遊離基部分、核酸配列、アミノ酸配列、タンパク質またはタンパク質結合剤、レセプター、ホルモン類、ビタミン類、薬剤、固定剤(firming agent)、UV吸収剤、防汚剤(antisoiling agents)、染み抜き剤(stain release agents)、再沈殿防止剤(nonredepositioning agent)、染料分子、放射性原子団(radioactive groups)、香料、酵素、撥油剤、撥水剤、汚れ除去剤(soil release agents)、汚れ忌避剤(soil repellent agents)、染料含有織編物再生染料(dyes including fabric renewing dyes)、着色染料(hueing dyes)、染料中間体、染料固定剤(dye fixatives)、潤滑剤、抗精子剤(anti sperm agent)、織編物用柔軟剤(fabric softeners)、光退色防止剤(photofading inhibitors)、抗しわ剤/アイロン剤(antiwrinkle/ironing agents)、形状保持剤(shape retention agents)、日焼け防止剤(sunscreens)、酸化防止剤、折り目耐性剤(crease resistant agents)、殺菌剤(antimicrobial agents)、皮膚有益剤(skin benefit agents)、抗かび剤(anti-fungal agents)、抗菌剤(anti bacterial agents)、防虫剤(insect repellents)、光漂白剤(photobleaches)、光開始剤(photoinitiators)、感覚剤(sensates)、酵素阻害剤、漂白触媒(bleach catalysts)、消臭剤(odor neutralizing agents)、フェロモン、蛍光増白剤(pheromones fluorescent brighteners)、親油性流体(lipophilic fluids)およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0058】
少なくとも1つのアミン基および/またはヒドロキシル基に対して少なくとも1つの官能性原子団Rが結合しているポリマーは変性ポリマーとして考えることができる。
官能性原子団を加えるための構成は図1bで理解することができる。
【0059】
少なくとも1つの官能性原子団Rは少なくとも1つのアミン基および/またはヒドロキシル基に対して連結基を介して結合していてもよい。
【0060】
Rで示される官能性原子団は、第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースから製造されたポリマーの残留第1アミン基またはヒドロキシル基と結合される。当該結合は、第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースから製造されたポリマーのセルロース含有製品への吸着の前または後で行うことができる。当該官能性原子団は、第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースから製造されたポリマーのアミン基またはヒドロキシル基と、イオン結合してもよいし、または共有結合してもよい。
【0061】
第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースから製造されたポリマーがセルロース系繊維に吸着された場合、当該ポリマーのアミノ基は、セルロース系繊維に既に存在する化学基よりも反応性が高いので、広範囲の他の化学物質(R原子団)を当該繊維表面に結合させるために使用することができる。
【0062】
第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロース、例えばキトサンおよびキシログルカン、から製造され、さらなる官能性原子団を有するまたは有さないポリマーが、セルロース含有繊維、糸または織編物に吸着されると、当該繊維、糸または織編物には、改善された特性が得られる。このように改善される特性としては、例えば、織編物のにおい性能、染み抜き性、汚れ除去性、汚れ忌避性、洗浄性、増白性、染色性、色味性、抗染料退色性、退色した黒色織編物の外観回復性、柔軟性、取扱い性、抗ピリング性、抗しわ性、易アイロン性、折り目耐性、ヒトの皮膚への物質移送性、抗磨耗性、織編物の形状保持性、織編物の引張強さ性能、微生物増殖防止性、菌類または昆虫による攻撃防止性、および/または皮膚の炎症緩和性が挙げられる。紙製品では、耐折強さ性能、引張指数性能、引張強さ性能、引張エネルギー吸収性能、破断点歪み性能、弾性率性能、湿潤強さ性能、着色性能、帯電性能、紙添加剤の保持性能、および疎水性能が改善される。
【0063】
官能性原子団Rは、第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロース、例えばキトサンおよびキシログルカン、から製造されたポリマーの第1アミン基またはヒドロキシル基に対して、直接的に結合されてもよいし、例えばアミドまたはエステル結合を経て、または連結基を経て結合されてもよい。例えば化学反応性の欠如、化学的不相溶性または立体障害等の幾つかの他の状態により、別の方法では相互作用しない化学物質を結合したい場合、連結基が有用である。
【0064】
R原子団として適切な化学原子団の具体例として、イオン性基(カチオン性基、例えば、第4アミノ基、アンモニウム基、カルボカチオン類、スルホニウム基、または金属カチオン類等;アニオン性基、例えば、アルコキシド類、チオレート類、ホスホネート類、カルバニオン類、カルボキシレート類、ボロネート類、スルホネート類、ブンテ塩類(Bunte salts);またはツイッターイオン性基(twitterionic)、例えば、アミノ酸類、イリド類、または同一分子におけるアニオン性基とカチオン性基との他の組み合わせ)またはそれらの非イオン化共役酸または塩基(適切なもの)、疎水性原子団(アルキル炭化水素類、例えば、脂肪アシル基またはアルキル基および不飽和誘導体、またはペルフルオロアルカン類;またはアリール炭化水素類、例えば、芳香族または多環式芳香族炭化水素類またはヘテロ環類)、不帯電親水性原子団(例えば、ポリエチレングリコール等のポリエーテル類)、潜在的反応性原子団(potentially reactive groups)、例えば求電子性原子(例えば、カルボニル化合物類、カルボカチオン類、アルキルハライド類、アセタール類、エポキシ類等)、求核種(例えば、窒素、硫黄、酸素、カルバニオン類等)を含有する原子団、または重合反応および/または硬化用モノマー類(遊離基、例えば、アクリルアミド、ブロモブチレート、ビニル、スチレン、アクリレート類等;またはその他、例えば、求核性試薬または求電子性試薬)、酵素的反応性原子団(例えば、シンナメート類の誘導体)、発色団または発蛍光団(顔料、染料、光学的光沢剤、例えば、C.I.染料、フルオレセイン、スルホローダミン、ピレン)、ビオチン、放射性同位体類、遊離基前駆体および安定遊離基部分(例えば、TEMPO)、核酸配列、アミノ酸配列、タンパク質またはタンパク質結合剤(例えば、親和性リガンド類、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、炭水化物類、抗体類、または酵素基体(enzyme substrate)またはそれらの類似体)、レセプター、ホルモン類、ビタミン類および薬剤が挙げられる。
【0065】
放射性原子団はアミンおよび/またはヒドロキシル基と結合されてもよい。放射能はトレーサー用途および繊維形態学研究に使用することができる。アルキル鎖を取り込む反応は無水酢酸、アルケニル無水コハク酸または無水コハク酸を用いて行うことができる。アルケニル無水コハク酸は一般的な紙の疎水化剤であり、当該原子団の保持率を潜在的に増大させながら、ポリマーを介して繊維表面に特異的に結合することができる。
【0066】
第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースから製造されたポリマーと官能性原子団Rとの結合の前に、官能性原子団Rを含有する化合物は典型的には、アミン、アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、スルホン酸、チオール、アシルハライド、アルケン、ニトロ化合物、ジアゾニウムイオン、アルキルハライド、アルキルトルエンスルホネート、ボロン酸(boronic acid)、アルキルボラン類、アルキルボラン酸(alkyl boranic acid)およびそれらの混合物からなる群から選択される部分を含有する。第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースから製造されたポリマーと官能性原子団Rとは、典型的には、アミド、アゾ化合物、カーボネート、ジスルフィド、エーテル、エステル、ヒドロペルオキシド、イミン、イミド、ニトレート、ホスホジエステル、ホスフェート、スルフィド、スルホン、ケトン、ウレタン、チオエステル、トリアジンおよび/またはスルホンアミド官能基を含む連結基を介して結合されるが、これらの連結基に限定されない。
【0067】
本発明の一実施態様においては、当該官能性原子団は、第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロース、例えばキトサンおよびキシログルカン、から製造されたポリマーに対して、あとで洗浄工程の洗浄段階または乾燥段階中に加水分解される結合により結合される。一実施態様において、このような加水分解はヒドロラーゼ酵素により触媒され、当該ヒドロラーゼ酵素としては、リパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、アミダーゼおよびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
好適な香料の原子団の具体例として、アセチルセドレン、4−アセトキシ−3−ペンチルテトラヒドロピラン、4−アセチル−6−t−ブチル−1,1−ジメチルインダン、5−アセチル−1,1,2,3,3,6−ヘキサメチルインダン、6−アセチル−1−イソプロピル−2,3,3,5−テトラメチルインダン、α−n−アミルシンナミックアルデヒド、アミルサリチレート、オーベピン、オーベピンニトリル、オーランチオン(aurantion)、2−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、2−t−ブチルシクロヘキサノール、3−(p−t−ブチルフェニル)プロパナール、4−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、4−t−ブチル−3,5−ジニトロ−2,6−ジメチルアセトフェノン、4−t−ブチル−シクロヘキサノール、ベンゾインシアムレジノイド(benzoin siam resinoids)、ベンジルベンゾエート、ベンジルアセテート、ベンジルプロピオネート、ベンジルサリチレート、ベンジルイソアミルエーテル、ベンジルアルコール、ベルガモット油、ボルニルアセテート、ブチルサリチレート、カルバクロール、シダーアトラス油、セドリルメチルエーテル、セドリルアセテート、シンナミックアルコール、シンナミルプロピオネート、シス−3−ヘキセノール、シス−3−ヘキセニルサリチレート、シトロネラ油、シトロネロール、シトロネロニトリル、シトロネリルアセテート、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、クロベリーフ油(cloveleaf oil)、クマリン、9−デセン−1−オル、n−デカナール、n−ドデカナール、デカノール、デシルアセテート、ジエチルフタレート、ジヒドロミルセノール、ジヒドロミルセニルホルメート、ジヒドロミルセニルアセテート、ジヒドロテルピニルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、ジメチルベンジルカルビノール、ジメチルヘプタノール、ジメチルオクタノール、ジミルセトール(dimyrcetol)、ジフェニルオキシド、エチルナフチルエーテル、エチルバニリン、エチレンブラシレート、オイゲノール、フロロサイクレン(florocyclene)、ゲラニオール、ゼラニウム油(geranium oil)、ゲラノニトリル(geranonitrile)、ゲラニルニトリル、ゲラニルアセテート、1,1,2,4,4,7−ヘキサメチル−6−アセチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−2−ベンゾピラン、2−n−ヘプチルシクロペンタノン、3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−4,7−メタノール(3)H−インデン−6−イル−プロピオネート、3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−4,7−メタノール(3)H−インデン−6−イルアセテート、4−(4'−ヒドロキシ−4'−メチルペンチル)−3−シクロヘキセンカルバルデヒド、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘリオトロピン、ヘルコリン(Hercolyn)D、ヘキシルアルドン、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘキシルサリチレート、ヘキシルシトロネラール、i−ノニルホルメート、3−イソカンフィルシクロヘキサノール(3-isocamphylcyclohexanol)、4−イソプロピルシクロヘキサノール、4−イソプロピルシクロヘキシルメタノール、インドール、イオノン、イロン、イソアミルサリチレート(isoarnyl salicylate)、イソボルネオール、イソボルニルアセテート、イソブチルサリチレート、イソブチルベンゾエート、イソブチルフェニルアセテート、イソオイゲノール、イソロンギフォラノン、イソメチルイオノン、イソノナノール、イソノニルアセテート、イソプレゴール、ラバンジン油、レモングラス油、リナロール、リナリルアセテート、LRG201、1−メントール、2−メチル−3−(p−イソプロピルフェニル)プロパナール、2−メチル−3−(p−t−ブチルフェニル)プロパナール、3−メチル−2−ペンチル−シクロペンタノン、3−メチル−5−フェニル−ペンタノール、α及びβ−メチルナフチルケトン、メチルイオノン、メチルジヒドロジャスモネート、メチルナフチルエーテル、メチル4−プロピルフェニルエーテル、ムース・デ・シェネ・ユーゴ(Mousse de chene Yugo)、ムスク・アンブレット(Musk ambrette)、ミルテノール、ネロリ油、ノナネジオール−1,3−ジアセテート、ノナノール、ノナノリド−1,4、ノポールアセテート、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−アセチル−ナフタレン、オクタノール、オポポナックスレジノイド(Oppoponax resinoids)、オレンジ油、p−t−アミルシクロヘキサノン、p−t−ブチルメチルヒドロシンナミックアルデヒド、2−フェニルエタノール、2−フェニルエチルアセテート、2−フェニルプロパノール、3−フェニルプロパノール、パラ−メンタン−7−オール、パラ−t−ブチルフェニルメチルエーテル、パチョリ油、ペラルゲン、プチグレン油(petitgrain oil)、フェノキシエチルイソブチレート、フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール(phenylacetaidehyde diethyl acetal)、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール(phenyl acetaidehyde dimethyl acetal)、フェニルエチルn−ブチルエーテル、フェニルエチルイソアミルエーテル(phenylethyl isoarnyl ether)、フェニルエチルフェニルアセテート、ピメントリーフ油、ローズ−d−オキシド、サンダローン、スチラリルアセテート(styrally acetate)、1,1,4,4−テトラメチル−6−アセチル−7−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、3,3,5−トリメチルヘキシルアセテート、3,5,5−トリメチルシクロへキサノール、テルピネオール、テルピニルアセテート、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロリナロール、テトラヒドロムグオール、テトラヒドロミルセノール、タイム油、トリクロロメチルフェニルカルビニルアセテート、トリシクロデセニルアセテート、トリシクロデセニルプロピオネート、10−ウンデセン−1−アール、ガンマ−ウンデカラクトン、10−ウンデセン−1−オール、ウンデカノール、バニリン、ベチベロール、ベチベリルアセテート、ベチバー油、上に列記したアルコールのアセテート及びプロピオネートエステル、芳香族ニトロムスク香料、インダンムスク香料、イソクロマンムスク香料、大環状ケトン、マクロラクトンムスク香料、テトラリンムスク香料、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0069】
好適な酵素の具体例としては、プロテアーゼ、アミラーゼ、β−グルカナーゼ、リパーゼ、ヘミ−セルラーゼ、クチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンリアーゼ、ラムノガラクツロナンリアーゼ、エンド−1,4−ガラクタナーゼ、キシラナーゼ、アラビナナーゼ、α−L−7−アラビノフラノシダーゼ、マンナンエンド−1,4−マンノシダーゼ、βマンノシダーゼ、β−1,3−1,4−グルカナーゼ、ラムノガラクツロナン加水分解酵素、エキソ−ポリガラクツロナーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、グルカン1,3−β−グルコシダーゼ、グルカンエンド−1,6−β−グルコシダーゼ、マンナン5エンド−1,4−β−マンノシダーゼ、エンド−1,4−β−キシラナーゼ、セルロース1,4−セロビオシダーゼ、セロビオヒドロラーゼ、ポリガラクツロナーゼ、アセチル及びメチルエステラーゼ酵素、例えば、ラムノガラクツロナンメチルエステラーゼ、ラムノガラクツロナンアセチルエステラーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、キシランメチルエステラーゼ、アセチルキシランエステラーゼ、フェルロイルエステラーゼ、シンナモイルエステラーゼおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0070】
好適な蛍光増白剤の具体例としては、C.I.蛍光増白剤1〜396、並びにジアミノスチルベンスルホン酸誘導体、ジアリールピラゾリン誘導体、ビスフェニル−ジスチリル誘導体及びこれらの混合物の部類に属するものが挙げられる。蛍光増白剤群を有する第1アミン官能基化ポリマー−ヘミセルロースの具体例は、洗濯処理組成物の一部として洗濯した織編物の白色度知覚を改善するのに適しているか、または紙の白色度知覚を改善するのに適している。
【0071】
好適な撥油剤、撥水剤又は汚れ忌避剤の具体例としては、シリコーン誘導体;フルオロポリマー;ペルフルオロC−C50アルキルアミン;ペルフルオロC−C50カルボン酸;α,β不飽和カルボキシル化モノマーと、オレフィンモノマー、例えばスチレン、α−メチルスチレン(「AMS」)又はブロック化α,β不飽和エステル化カルボキシレート若しくはアミドとの組み合わせを含むオレフィン/アクリル系ポリマー;カルボキシル化ポリマー塩;いくつかのスルホン化物質、例えばスルホン化ヒマシ油、又はホルムアルデヒド/スルホン化フェノール縮合物を含有しても含有しなくてもよい低分子量のカルボキシル化水溶性ポリマー(分子量10,000未満)が挙げられる。
【0072】
好適な染料の具体例としては、C.I.アシッドイエロー1〜262、C.I.アシッドオレンジ1〜181、C.I.アシッドレッド1〜449、C.I.アシッドバイオレット1〜313、C.I.アシッドブルー1〜360、C.I.アシッドグリーン1〜125、C.I.アシッドブラウン1〜474、C.I.アシッドブラック1〜244、C.I.ベーシックイエロー1〜108、C.I.ベーシックオレンジ1〜69、C.I.ベーシックレッド1〜118、C.I.ベーシックバイオレット1〜51、C.I.ベーシックブルー1〜161、C.I.ベーシックグリーン1〜16、C.I.ベーシックブラウン1〜23、C.I.ベーシックブラック1〜11、C.I.ダイレクトイエロー1〜177、C.I.ダイレクトオレンジ1〜122、C.I.ダイレクトレッド1〜277、C.I.ダイレクトバイオレット1〜110、C.I.ダイレクトブルー1〜314、C.I.ダイレクトグリーン1〜105、C.I.ダイレクトブラウン1〜250、C.I.ダイレクトブラック1〜204、C.I.リアクティブイエロー1〜213、C.I.リアクティブオレンジ1〜139、C.I.リアクティブレッド1〜283、C.I.リアクティブバイオレット1〜47、C.I.リアクティブブルー1〜274、C.I.リアクティブグリーン1〜33、C.I.リアクティブブラウン1〜50、C.I.リアクティブブラック1〜51、並びにこれらの混合物及び類似体が挙げられる。
【0073】
好適な染料中間体の具体例としては、8−アミノ−1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸(H酸)、4,4'−ジアミノベンゾスルホンアニリン(DASA)、ガンマ酸(Gama acid)、ブレンナー酸(Broenners acid)、メタフェニレンジアミン4−スルホン酸(MPDSA)(Meta Phenylene diamine 4, Sulphonic Acid)、3,3'−ジクロロベンズアルダジン(DCB)が挙げられる。
【0074】
好適な潤滑剤の例としては、シリコーン、ワックス、並びにスクロースポリエステル、グルコースポリエステル及びセロビオースポリエステルのような糖ポリエステルが挙げられる。
【0075】
好適な織編物用柔軟剤の具体例としては、ジエステル第四級アンモニウム化合物(DEQA)のようなアルキル変性第四級アンモニウム化合物;ポリ四級化アンモニウム化合物;カルボン酸でエステル化されかつ四級化されたトリエタノールアミン(いわゆる「エステルクアット(estrerquat)」)、アミノエステルクアット、カチオン性ジエステル、ベタインエステル、ベタイン、アミノシリコーンを含むシリコーン又はシリコーンエマルション、カチオン性シリコーン、クアット/シリコーン混合物、官能化ポリジメチルシロキサン及びこれらの混合物が挙げられる。
【0076】
好適な光退色防止剤の例としては、UV吸収剤が挙げられる。好適な分子は、一般的に最大吸収の波長において、2000 l mol−1cm−1超過の吸光係数を有する。一般的に、好適なUV吸収剤は、約290〜約370nm、約310〜約350nm、又は更に約330〜約350nmの波長において最大吸収を有する。日焼け防止剤として列記されるUV吸収剤の例は、コスメティック・サイエンス・アンド・テクノロジー・シリーズ(Cosmetic Science and Technology Series)第15巻、サンスクリーン(Sunscreens)第2版、ロウ(Lowe)、ショース(Shoath)及びパタック(Pathak)編集、コスメティック・アンド・トイレタリーズ(Cosmetics and Toiletries)、第102巻、1987年3月、第21〜39頁、並びにエボルーション・オブ・モダンサンスクリーンケミカルズ(Evolution of Modern Sunscreen Chemicals)、第3〜35頁(共にN.A.サース(Saarth))に与えられる。好適なUV吸収剤としては、非放射失活を介する活性化合物;2位及び/又は4位に置換基を持つベンゾフェノン誘導体;置換ベンゾトリアゾール、例えば、水溶性ベンゼンスルホン酸−3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−5−(メチルプロピル)−一ナトリウム塩;3位(ケイ皮酸誘導体)でフェニル置換され、所望により2位にシアノ基を持つアクリレート;サリチレート、有機Ni錯体;ウンベリフェロン;内因性ウロカン酸、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様においては、ビフェニル誘導体、スチルベン誘導体、及びこれらの混合物が有用である。好適なUV−B吸収剤としては、3−ベンジリデンカンファー、3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、3−ベンジリデン−ノルカンファー及びこれらの混合物を包含するカンファー誘導体;4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシルエステル、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−オクチルエステル、4−(ジメチルアミノ)安息香酸アミルエステル及びこれらの混合物を包含する4−アミノ安息香酸誘導体;4−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルエステル、4−メトキシケイ皮酸プロピルエステル、4−メトキシケイ皮酸イソアミルエステル、2−シアノ−3,3−フェニルケイ皮酸2−エチルヘキシルエステル及びこれらの混合物を包含するケイ皮酸のエステル;サリチル酸2−エチルヘキシルエステル、サリチル酸4−イソプロピルベンジルエステル、サリチル酸ホモメンチルエステル及びこれらの混合物を包含するサリチル酸のエステル;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4−メチルベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン及びこれらの混合物を包含するベンゾフェノンの誘導体;4−メトキシベンジルマロン酸ジ−2−エチルヘキシルエステルを包含するベンジルマロン酸のエステル;2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2−エチル−1−ヘキシルオキシ)−1,3,5−トリアジン、オクチルトリアゾン、ジオクチルブタミドトリアゾン及びこれらの混合物を包含するトリアジン誘導体;1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオンを包含するプロパン−1,3−ジオン;ケトトリシクロ−(5.2.1.0)デカン誘導体;2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸並びにこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩及びグルコアンモニウム塩;ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸及びこれらの塩;3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)ベンゼン−スルホン酸及び2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデン)スルホン酸及びこれらの塩が挙げられるがこれらに限定されない。典型的なUV−Aフィルターは、特にベンゾイルメタンの誘導体、例えば1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4'−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン(パーソル(Parsol)1789)、1−フェニル−3−(4'−イソプロピルフェニル)−プロパン−1,3−ジオン及び同様にエナミン化合物である。UV−A及びUV−Bフィルターは、もちろん混合物としても使用できる。
【0077】
好適な酸化防止剤型の光退色防止剤としては、ベンゾフラン、クマリン酸又はそれらの誘導体、例えば2−カルボキシベンゾフラン、並びにビス(p−アミノスルホネート、トリアジン、DABCO誘導体、トコフェロール誘導体、三級アミン及び芳香族置換アルコール、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ビタミンC(アスコルビン酸)及びビタミンEが挙げられる。
【0078】
抗しわ性、折り目耐性、又はアイロン容易化のために適した剤の具体例としては、可融性エラストマー、ポリオルガノシリコーン、立体障害性官能基を持つアミノシリコーン、水溶性シリコーン潤滑剤、及び高分子ナノ粒子が挙げられる。
【0079】
好適な漂白触媒剤の具体例としては、遷移金属の錯体及びジヒドロイソキノリニウム塩のツイッターイオン性又はカチオン性誘導体に基づくものが挙げられる。
【0080】
好適な殺菌剤の具体例としては、PCMX(パラクロロメタキシレノール)、トリクロサン(2,4,4'−トリクロロ−2'−ヒドロキシジフェニルエーテル)、3,4,4'−トリクロロカルバニリド、及びDTBBP(2,t−ブチル−4−シクロヘキシルフェノール)が挙げられる。
【0081】
好適な皮膚有益剤の具体例としては、(a)シリコーンオイル、ゴム及びその変性物、例えば、直鎖状及び環状ポリジメチルシロキサン、アミノ、アルキルアルキルアリール及びアリールシリコーンオイル;(b)ホホバ、大豆、コメヌカ、アボカド、アーモンド、オリーブ、ゴマ、杏仁、ひまし、ココナツ、ミンク油のような天然油脂;カカオ脂、牛脂、ラード;前述の油を水素化して得られる硬化油;並びにミリスチン酸グリセリド及び2−エチルヘキサン酸グリセリドのような合成モノ、ジ及びトリグリセリドを包含する油脂;(c)カルナウバ、鯨蝋、蜜蝋、ラノリン及びこれらの誘導体のようなワックス;(d)疎水性植物抽出物;(e)液体パラフィン、ワセリン、微結晶ワックス、セリシン、スクアレン及び鉱油のような炭化水素;(f)オクタン酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸コレステロール、モノステアリン酸グリセロール、ジステアリン酸グリセロール、トリステアリン酸グリセロール、乳酸アルキル、例えば乳酸ラウリル、クエン酸アルキル及び酒石酸アルキルのようなエステル;(g)魚油、ハッカ、ジャスミン、カンファー、ヌマヒノキ、ビターオレンジピール、リュウ(ryu)、テレビン、シナモン、ベルガモット、温州みかん、菖蒲、松、ラベンダー、月桂樹、クローブ、ヒバ、ユーカリ、レモン、スターフラワー(starflower)、タイム、ペパーミント、ローズ、セージ、メントール、シネオール、オイゲノール、シトラール、シトロネル、ボルネオール、リナロール、ゲラニオール、イブニングプリムローズ、カンファー、チモール、スピラントール、ピネン、リモネン及びテルペノイド油のような精油;(h)コレステロール、セラミド、ショ糖エステル及び疑似セラミドのような脂質;(i)A及びEのようなビタミン、ビタミンCアルキルエステルを包含するビタミンアルキルエステル;(j)メトキシ桂皮酸オクチル及びブチルメトキシベンゾイルメタン(パーソル(Parsol)1789)のような日焼け防止剤;(k)リン脂質;並びに前記構成成分の任意の混合物が挙げられる。
【0082】
好適な抗かび剤の具体例としては、6−アセトキシ−2,4−ジメチル−m−ジオキサン、ジヨウ化メチル−p−トリスルホン、4,4−ジメチルオキサゾリジン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ナトリウム2−メルカプトベンゾチオアゾール、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、亜鉛2−メルカプトベンゾチアゾール、ナトリウム2−ピリジンチオール−1−オキシド、ナトリウム2−ピリジンチオール−1−オキシド及びN−トリクロロメチルチオ−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシイミドが挙げられる。
【0083】
好適な防虫剤の具体例としては、N−アルキルネオアルカンアミド、ここでアルキルは炭素原子1〜4個のものであり、ネオアルカノイル部分は炭素原子7〜14個のものであり、例えば、N−メチルネオデカンアミド;N,N−ジエチルメタトルアミド(DEET)、2−ヒドロキシエチル−n−オクチルスルフィド(MGK 874);N−オクチルビシクロへプテンジカルボキシイミド(MGK 264)、ヘキサヒドロジベンゾフラン(MGK11)、ジ−n−プロピルイソシンコメレート(isocinchomerate)(MGK 326);2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−(n−ブチル)−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジメチルフタレート、ジブチルサクシネート、ピペロニルブトキシド、除虫菊、コーンミント、ペパーミント、アメリカンスペアミント、スコッチスペアミント、レモン油、シトロネラ、シーダーウッド油、パイン油、リモネン、カルボン、ユーカリプトール、リナロール、ゴムカンファー、テルピネオール及びフェンコル酸が挙げられる。
【0084】
好適な光漂白剤の具体例としては、エオシン(Eosin)Y、フォキシン(Phoxine)B、ローズベンガル(Rose Bengal)、C.I.フードレッド14及びこれらの混合物を包含するキサンテン染料、スルホン化亜鉛フタロシアニン及びスルホン化アルミニウムフタロシアニンを包含するフタロシアニン誘導体からなる群から選択される触媒作用的光漂白剤が挙げられる。
【0085】
好適な光開始剤としては、アントラキノン及びナフタキノンのような芳香族1,4−キノン;α−アミノケトン、特にベンゾイル部分を含有するもの、あるいはα−アミノアセトフェノンと呼ばれるもの;α−ヒドロキシケトン、特にα−ヒドロキシアセトフェノン;モノアシル、ビスアシル及びトリスアシルホスフィンオキシド及びスルフィドを包含するリン含有光開始剤;ジアルコキシアセトフェノン;α−ハロアセトフェノン;トリスアシルホスフィンオキシド;ベンゾイン及びベンゾイン系光開始剤、並びにこれらの混合物からなる群から選択される光開始剤が挙げられる。別の態様では、好適な光開始剤としては、2−エチルアントラキノン;ビタミンK3;2−サルフェート−アントラキノン;2−メチル−1−[4−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン;(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン;(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン);1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4(1−メチル)−フェニル]プロパノン;2−4−6−(トリメチルベンゾイル)ジフェニル−ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−ホスフィンオキシド;(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィン酸エチルエステル;及びこれらの混合物からなる群から選択される光開始剤が挙げられる。
【0086】
好適な感覚剤の具体例としては、メントール、メチルラクテート、メトングリセリンアセタール、シクロヘキサノール、5−メチル−2−(1−メチルエテニル)−1,2プロパンジオール、3−[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]−オキシ−1,2−プロパンジオール、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、及びN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサアミドが挙げられる。
【0087】
好適な酵素阻害剤の具体例としては、リパーゼ阻害物質及びセルラーゼ阻害物質が挙げられる。
好適な消臭剤の具体例としては、シクロデキストリン誘導体が挙げられる。
好適なフェロモンの具体例としては、16−アンドロステン及びエストレンステロイドが挙げられる。
【0088】
好適な親油性流体の具体例としては、シロキサン、他のシリコーン、炭化水素、グリコールエーテル、グリセリンエーテルのようなグリセリン誘導体、ペルフルオロ化アミン、ペルフルオロ化溶媒及びハイドロフルオロエーテル溶媒、低揮発性の非フッ素化有機溶媒、ジオール溶媒、環境に優しい他の溶媒、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0089】
第1アミン官能基化ポリマー−ヘミセルロース複合体に結合したときに織編物用柔軟剤、撥水剤、または潤滑剤として作用し得る化合物としては、C−C50アルキルアミン、C−C50脂肪酸、C−C50脂肪アルデヒドおよびシロキサンが挙げられるが、限定されない(ワグナー等(1997年)、アプライド・オルガノメタリック・ケミストリー、第11巻、第523−538頁);実施例12,13,16,17,18,22,および21も参照。汚れ除去剤、染み抜き剤、撥水剤、撥油剤、および防汚剤として作用し得る化合物としては、ペルフルオロC−C50アルキルアミン、ペルフルオロC−C50脂肪酸、ペルフルオロC−C50脂肪アルデヒドおよびアルキルアニリンが挙げられるが、限定されない。UV吸収剤として作用し得る化合物としては、4−アミノ安息香酸およびアニリン誘導体が挙げられる。殺菌剤として作用し得る化合物としては、ジメチルヒダントイン、第4アンモニウム塩、クロルヘキシジン、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール、およびグルコプロタミンが挙げられる(ボーランダー等、US6331607)。蛍光増白剤として作用し得る化合物としては、スチルベン誘導体、1,2−エチレンビスベンズオキサゾール誘導体、2−スチリルベンズオキサゾール誘導体、クマリン誘導体、1,3−ジフェニル−2−ピラゾリン誘導体、およびナフタルアミド(naphthalamide)化合物が挙げられるが、限定されない。これらの化合物はトリアジン化学を用いて結合することができる。
【0090】
本発明はまた、以下の工程を含むセルロース含有製品の製造方法も提供する;
−セルロース繊維のパルプおよび水を含有する組成物を提供する工程;
−本発明に係る架橋剤またはセルロース吸着剤、および任意の他の製紙用添加剤を添加する工程;
−組成物を脱水(dewatering)して繊維ウェブを形成する工程;
−繊維ウェブを乾燥する工程。
【0091】
本発明はさらに、以下の工程を含むセルロース含有製品の製造方法を提供する;
−セルロース含有製品を提供する工程;
−該セルロース製品を、本発明に係る架橋剤またはセルロース吸着剤および任意の他の添加剤で処理する工程。
【0092】
本発明においては、セルロース製品は、紙、板紙、濾紙、上質紙、バンクノートペーパー、新聞用紙、ライナー板紙、薄葉紙および他の衛生製品、袋用紙、クラフト紙または布であってもよい。
【0093】
本発明はまた、セルロース材料の処理用組成物であって、第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースから製造されたポリマーを含有し、該第1アミン官能基化ポリマーがヘミセルロースと共有結合している組成物にも関する。当該ポリマーは上記した全ての特徴を有するものである。発明者等は、驚くべきことに、本発明に係るポリマーを含有する組成物でセルロース材料を処理すると、紙製品および布製品に優れた効果が得られることを見い出した。このことを下記の実施例で示す。
【0094】
当該組成物はキャリアまたはフィラーをさらに含有してもよい。好適なキャリアまたはフィラーとしては、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、水、タルク、ドロマイト、方解石およびクレーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
本発明は、本発明に係るポリマーを含有する組成物であって、該組成物が洗浄用組成物である組成物にも関する。当該ポリマーで処理された布は良好な疎水性を示すことが示された。この特性は洗浄剤において良好な特徴である。布が洗浄されて疎水性表面を有すると、当該布に汚れが付くのが防止される。この特性は洗浄工程中においても、布の使用準備のためにも良好である。
【0096】
洗浄剤とは、あらゆる種類の織編物または布を洗浄またはクリーニングするための洗浄用またはクリーニング用組成物を意味する。当該洗浄剤は液体形態、ゲル形態、ペースト形態または固形形態であってもよい。洗浄剤はまた、時には、シャンプー、例えばじゅうたん用シャンプーと呼ばれるものであってもよい。
【0097】
洗浄用組成物は、固体、流体、固形および/または流体を含有する可溶性パウチ、固形および/または流体を含有する不溶性カプセル、非コートまたはコートタブレット、固形または流体を含浸させた不織布であってもよい。
このような組成物が固体であるとき、当該組成物は粒状洗濯洗剤であってもよい。
当該組成物が固体であるとき、当該組成物は、アジピン酸およびカチオン交換樹脂の混合物においてコートされたタブレット化洗濯洗剤であってもよい。
【0098】
当該組成物が流体であるとき、当該組成物は剪断減粘性構造体(shear-thinning structurant)で増粘された液状洗濯洗剤であってもよい。
当該組成物が流体であるとき、当該組成物は液状の織編物用回復組成物(liquid fabric rejuvenation compositions)であってもよい。
【0099】
当該組成物はあらゆる組み合わせで物質を含有してもよく、また先に例示したあらゆる形態を有しても良い。
【0100】
本発明はさらに、セルロース材料を、本発明に係るポリマーを含有する組成物と接触させることを含むセルロース材料の処理方法にも関する。
当該方法においては、セルロース材料は、木材、紙、パルプ、板紙、濾紙、上質紙、バンクノートペーパー、新聞用紙、ライナー板紙、薄葉紙および他の衛生製品、袋用紙、クラフト紙、布、セルロース系膜、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0101】
セルロース材料は、木材、セルロース、植物、綿、またはあらゆる他の非木材系セルロース、リネン、アサ、アマ、ビスコース、再生セルロース、セルロース誘導体の製品、ラミー、バクテリアセルロース、各種生物、例えば細菌、藻類、またはあらゆる他の非木材系セルロースおよびそれらの混合物に由来するものであってもよい。
【0102】
セルロース材料は、木材、セルロースナノファイバー、例えば超微小繊維化セルロースまたはナノウィスカー、繊維、糸または織編物の形態であってもよい。
当該織編物は不織布または織物であってもよい。
セルロース材料は、紙、パルプまたはセルロース織編物であってもよい。
【0103】
本発明はまた、本発明に係るポリマーで処理されたセルロース含有製品にも関する。処理されたセルロース含有製品とは、当該ポリマーまたは当該ポリマーを含有する組成物で含浸、浸漬、噴霧または処理された製品であって、当該ポリマーが製品中のセルロースに吸着されているものを意味する。
【0104】
本発明はさらに、本発明に係るポリマーの、洗浄剤における添加剤としての使用に関する。
本発明はまた、請求項1〜9のいずれかに記載のポリマーの下記薬剤としての使用に関する;難燃剤、殺生物剤(例えば抗菌剤、殺菌剤、殺精子剤)、疎水化剤、紙添加剤、紙添加剤の保持助剤(retention aid for paper additives)、発泡剤、サイジング剤、凝集剤、防臭剤(odor improving agent)、染み抜き改良剤(stain removal improving agent)、汚れ除去改良剤(soil release improving agent)、汚れ忌避改良剤(soil repellency improving agent)、洗浄剤、増白剤(whitening agent)、染色剤、色味剤(tinting agent)、抗染料退色剤(resistance to dye fading agent)、柔軟剤、抗ピリング剤(resistance to pilling agent)、抗しわ剤、易アイロン剤(ease of ironing agent)、折り目耐性剤、ヒトの皮膚への物質移送剤(transfer of materials to human skin agent)、抗磨耗剤(resistance to abrasion agent)、織編物用形状保持剤(retention of fabric shape agent)、織編物用引張強さ改良剤、微生物増殖防止剤(protection from microbial build-up agent)、菌類または昆虫による攻撃を防止する薬剤(protection from attack by fungi or insects agent)、皮膚の炎症緩和剤、耐折強さ改良剤、引張指数改良剤、引張強さ改良剤、引張エネルギー吸収改良剤、破断点歪み改良剤(strain at break improving agent)、弾性率改良剤、湿潤強度改良剤、着色剤、植物生長促進剤、水濾過剤(water filtration agent)、被膜添加剤(例えばペイント用、接着剤用、ラッカー用、ワニス用添加剤)としての使用。
【0105】
本発明はまた、本発明に係るポリマーの発泡剤としての使用にも関する。本明細書中、発泡剤は発泡体または泡を形成する薬剤に関するものである。良好な発泡特性を有する当該ポリマーは、少なくとも1つのアミン基および/またはヒドロキシル基に結合される官能性原子団Rを少なくとも1つ含有するものであり、当該Rは、例えば、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等の飽和および不飽和脂肪末端またはステリル(steryl)等の長鎖アルキルから選択される。
【0106】
少なくとも1つの官能性原子団Rが少なくとも1つのアミン基および/またはヒドロキシル基に結合され、かつ当該Rが正電荷を含有するポリマーにより、良好な染色特性が得られる。
【0107】
セルロース含有製品は、紙、板紙、濾紙、上質紙、バンクノートペーパー、新聞用紙、ライナー板紙、薄葉紙および他の衛生製品、袋用紙、クラフト紙、布、厚紙、糸、例えば綿糸、織編物、不織布、木材製品、パルプ、セルロース系膜、綿製品、リネン製品、アサ製品、アマ製品、ビスコース製品、再生セルロース製品、ラミー製品、バクテリアセルロース製品、セルロース製品またはあらゆる他の非木材系セルロース製品であってもよい。
【0108】
さらに、セルロース含有製品のセルロースは、各種生物、例えば細菌、藻類、もしくは植物、綿、リネンまたは木材に由来するセルロースであってもよい。
【0109】
植物、藻類および細菌が産生したセルロースをセルロース含有製品に混合して、セルロース含有製品の種々の特性を改善することもできる。セルロース含有製品は、木材セルロース単独、または木材セルロースと他の起源のセルロースとの混合物に由来するセルロースを含有してもよい。上記したように、セルロース含有製品は、木材以外の起源のセルロースを単独で含有してもよい。
【0110】
セルロース含有製品に関する製造発明の対象は、第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロース、例えばキトサンおよびキシログルカン、から製造されたポリマー、ならびに同時かつ/または段階的方法で添加可能な任意の他の添加剤、例えばCMC(カルボキシメチルセルロース)を含有する溶液によりセルロース含有製品を処理することである;実施例11および図3a〜3hも参照。この処理は、当該溶液にセルロース含有製品を浸漬すること、または当該溶液をセルロース含有製品に噴霧することにより行うことができ、その結果、セルロース製品に物質が吸着し、例えば、改善された耐折強さ、抗かび特性、抗菌性、洗濯時の利点、または高難燃性が得られる。
【0111】
本発明はさらに、セルロース材料が、木材、綿、リネン、アサ、アマ、ビスコース、ラミー、またはあらゆる他の非木材系セルロース、およびそれらの混合物から選択される方法にも関する。
【0112】
セルロース材料の繊維または糸は、合成繊維または糸、または木材と混合することができる;例えば綿とスパンデックスとの混合物、再生セルロースと木材との混合物、再生セルロースとポリエステルとの混合物、および綿と木材との混合物。
【0113】
第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロース、例えばキトサンおよびキシログルカン、から製造されたポリマーはセルロースと効率的に結合できる。これにより、第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロース、例えばキトサンおよびキシログルカン、から製造されたポリマーは、セルロース製品中、架橋剤またはセルロース吸着剤として作用することができる。本発明に係るポリマーはセルロース材料、例えば、セルロース材料から製造された繊維、糸または織編物に結合でき、当該セルロース材料の特性を改善する。
【0114】
第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロース、例えばキトサンおよびキシログルカン、により製造されたポリマー、および少なくとも1つの官能性原子団Rが少なくとも1つのアミン基および/またはヒドロキシル基に結合されている変性ポリマーは、織編物用柔軟剤、織編物用回復組成物、乾燥機用シート(dryer sheet)、および/または洗濯用添加剤に使用してもよい。
【0115】
織編物、糸または繊維は、第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースから製造されたポリマーであって、親油性のR原子団と反応したポリマーにより処理されると、疎水性が得られる;実施例12,13,16,17,18,21および22参照。この特性は、例えば、洗濯時において利点である。汚れが、織編物へ戻るのを防止されるので、当該織編物へ付着しない。織編物の使用時に汚れが当該織編物に付着しなくなるので、この特性は処理またはクリーニング後も有利である。従って、このような織編物が、例えば衣類に使用されると、簡単には汚れなくなる。
【0116】
クリーニングとは、例えば上記した洗浄剤でクリーニングまたは洗浄することを意味する。処理は、セルロース材料とのあらゆる種類の接触を意味するものであり、糸、織編物または生地の製造時に行うことができる。
【実施例】
【0117】
【表2】

【0118】
XG=キシログルカン
XGO=キシログルカン少糖類(1.0kDa−1.5kDa)
XGN=天然キシログルカン
LCH=低分子量キトサン(50kDa−190kDa)
MCH=中分子量キトサン(190kDa−310kDa)
HCH=高分子量キトサン(310kDa−375kDa超)
例:10%XG15kD−LCH
LCHの遊離アミノ基の10%が分子量15kDaのXGと共有結合している。
PVAm=ポリビニルアミン
LBG=ローカストビーンガム由来のガラクトマンナン
PIE=ポリエチレンイミン
Xyl=キシラン
PEG=ポリエチレングリコール
PAA=ポリアリルアミン
AraXyl=アラビノキシラン
GlcMan=グルコマンナン
【0119】
実施例1
キトサン(Mw50kDa−190kDa)(1g、0.0067mmol)およびキシログルカン(Mw〜15,000Da)(2.6g、0.17mmol)を、メタノール25mlおよび1%酢酸含有水25mlの混合液に溶解した。pHは約4〜5であった。さらに水50mlを添加し、透明溶液を得た後、シアノボロハイドライドナトリウム(109mg、1.73mmol)を添加した。反応物を55℃で一晩中、撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、1Lのエタノール(95%)中で沈殿させた。沈殿物を採取し、水に再溶解し、エタノール残渣をエバポレーションにより取り出した。得られた溶液を凍結乾燥し、白色固体3.35g(93%)を得た。
【0120】
実施例2
実施例1に由来する生成物を2%吸着させた未精製パインパルプでハンドシート(hand sheet)(60g/cm)を製造した。比較例として2%XG(15000)を使用し、対照として添加剤を吸着させていないシートを使用した。ハンドシートはISO5269−2に従って製造した。当該シートを引張指数および耐折強さについて試験した;図2aおよび図2b参照。耐折強さはISO5626に従って試験し、坪量はISO534に従って試験し、引張強さはISO1924−3:2005に従って試験した。
【0121】
試験結果を図2aおよび図2bに示す。
試験結果は、キトサンおよびキシログルカンから製造された物質(実施例1に従って調製された生成物)の添加により、引張強さが少し増大し、かつ耐折強さが驚くべきことに対照シートの5〜6倍もある紙が得られることを示している。
【0122】
実施例3(キシログルカン−キトサンから製造されるポリマーの一般的な合成方法)
キトサン(Mw5000Da、150000Da、250000Da、または340000Da)を、1〜2%酢酸含有水に溶解した。キシログルカンの添加量は所望の置換の程度に依存するものであり、例えば、Mw250000Daのキトサン1g(0.004mmol)が1090個の遊離アミノ基を有する場合、Mw15000Daのキシログルカンの所望の置換の程度が5%のときは、〜55当量(3.3g;0.22mmol)のキシログルカンを添加するべきである。当該キシログルカンを溶解した場合、例えば55当量のキシログルカン(3.3g;0.22mmol)に対して、NaCNBHを55当量(14mg;0.22mmol)添加し、反応物を55℃で撹拌した。当該反応は、DMSO SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)を用いてキシログルカンピークの消失を観察することにより監視した。24時間反応が進む毎に、同量のNaCNBHを新たに反応物に添加した。反応混合物を室温まで冷却した後、エタノール(95%)中で沈殿させた。沈殿物を採取し、水に再溶解し、エタノール残渣をエバポレーションにより取り出した。得られた溶液を凍結乾燥し、白色固体を得た。合成された化合物の一覧表を表1および表2に示す。
【0123】
実施例4 0.5%LBG−LCH(0.5%GalMan−LCH)
ローカストビーンガム由来のガラクトマンナンの平均分子量は310kDaであり、キトサンの分子量は50−190kDa(計算では150kDaを用いた)であった。キトサン(150kDa)のアミノ基の量は870と見積もり、遊離アミノ基(75%脱アセチル化)は約650であった。
【0124】
ローカストビーンガム(3.36g、0.0108)を、3mLの酢酸を含有するHO300mLに80℃で溶解した。混合物を55℃まで冷却し、キトサン(0.5g、0.0033mmol)およびNaCNBH(50mg、0.79mmol)を添加した。NaCNBHを4回添加しながら(4×50mg)、反応混合物を55℃で4日間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、エタノール(4L)中で沈殿させた。物質を遠心分離により採取し、HOに溶解した。溶液を濃縮して凍結乾燥し、3.82g(99%)を得た。
【0125】
実施例5 10%Xyl−LCH
キシランの平均分子量は16.5kDaであった。
キトサン(1g、0.0067mmol)を、2mLのAcOHを含有するHO200mLに55℃で溶解した。キシラン(7.15g、0.43mmol)およびNaCNBH(50mg、0.79mmol)を添加した。NaCNBHを4回添加しながら(4×50mg)、反応混合物を55℃で5日間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、エタノール(4L)中で沈殿させた。物質を遠心分離により採取し、HOに溶解した。溶液を濃縮して凍結乾燥し、6.5g(80%)を得た。
【0126】
実施例6 5%GlcMan−LCH
グルコマンナン(GlcMan)の平均分子量は136kDaであった。
キトサン(0.25g、0.00167mmol)を、1.5mLのAcOHを含有するHO150mLに55℃で溶解した。GlcMan(2.95g、0.0217mmol)およびNaCNBH(50mg、0.79mmol)を添加した。NaCNBHを4回添加しながら(4×50mg)、反応混合物を55℃で5日間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、エタノール(4L)中で沈殿させた。物質を遠心分離により採取し、HOに溶解した。溶液を濃縮して凍結乾燥し、3.01g(94%)を得た。
【0127】
実施例7 1%AraXyl−LCH
アラビノキシラン(AraXyl)の平均分子量は798kDaであった。
キトサン(0.08g、0.00053mmol)を、1.5mLのAcOHを含有するHO150mLに55℃で溶解した。AraXyl(2.766g、0.0034mmol)およびNaCNBH(50mg、0.79mmol)を添加した。NaCNBHを4回添加しながら(4×50mg)、反応混合物を55℃で5日間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、エタノール(4L)中で沈殿させた。物質を遠心分離により採取し、HOに溶解した。溶液を濃縮して凍結乾燥し、2.51g(88%)を得た。
【0128】
実施例8 10%XG15k−PVAm
ポリビニルアミン(PVAm)(0.2g、0.000588mmol)を、1.5mLのAcOHを含有するHO150mLに55℃で溶解した。XG15kDa(6.21g、0.441mmol)およびNaCNBH(50mg、0.79mmol)を添加した。NaCNBHを4回添加しながら(4×50mg)、反応混合物を55℃で5日間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、エタノール(4L)中で沈殿させた。物質を遠心分離により採取し、HOに溶解した。溶液を濃縮して凍結乾燥し、5.9g(92%)を得た。
【0129】
実施例9 10%XG15k−PEI
ポリエチレンイミン(PEI)(0.5g、0.00067mmol)を、1.5mLのAcOHを含有するHO150mLに55℃で溶解した。XG15kDa(5.8g、0.39mmol)およびNaCNBH(50mg、0.79mmol)を添加した。NaCNBHを4回添加しながら(4×50mg)、反応混合物を55℃で5日間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、エタノール(4L)中で沈殿させた。物質を遠心分離により採取し、HOに溶解した。溶液を濃縮して凍結乾燥し、6.3g(100%)を得た。
【0130】
実施例10 10%XG15k−PAA
ポリアリルアミン(PAA)(0.2g、0.0031mmol)を、1mLのAcOHを含有するHO100mLに55℃で溶解した。XG15kDa(5.26g、0.35mmol)およびNaCNBH(50mg、0.79mmol)を添加した。NaCNBHを4回添加しながら(4×50mg)、反応混合物を55℃で5日間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、エタノール(4L)中で沈殿させた。物質を遠心分離により採取し、HOに溶解した。溶液を濃縮して凍結乾燥し、5.2g(95%)を得た。
【0131】
実施例11
実施例3〜10に由来する生成物を2%吸着させた未精製パインパルプでハンドシート(60g/cm)を製造した。1つの事例では、5%XG15k−LCHの吸着後、ウェットエンド(wet end)でCMCを添加した。ハンドシートはISO5269−2に従って製造した。当該シートを引張指数、引張強さ指数、引張エネルギー吸収、破断点歪み、弾性率、耐折強さおよび湿潤強度について試験した;図3a〜図3h参照。耐折強さはISO5626に従って試験し、坪量はISO534に従って試験し、引張強さはISO1924−3:2005に従って試験した。
【0132】
Bはブランク試験、すなわちいかなるポリマーまたは物質も添加されなかった紙シートを表し、比較のために用いる。XG100k、XGNおよびLCHも比較試験として用いる。ブランクおよびXG100k、XGNおよびLCHと比較して、試験した全てのポリマーは特性を改善させることを示している。しかし幾つかの特定の試験において、幾つかのポリマーは比較試験の結果より低い結果を示している。しかしながら総合的には、当該ポリマーは本実施例に従って試験した特性を改善させることを示していることが図3a〜図3hで理解できる。
【0133】
以下の実施例(実施例12〜22)においては、第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースから製造されたポリマーを、概略的構造式の遊離第1アミン上、R原子団でさらに官能基化する;図1b参照。
【0134】
実施例12 5%XG15k−LCH−ヘキシル
5%XG15k−LCH(0.1g、0.000185mmol)をHO10mLに溶解した。ヘキサナール(44μL、0.36mmol)およびNaCNBH(24mg、0.382mmol)を添加し、酢酸を添加してpHを5にした。混合液を55℃で48時間撹拌した。混合液中の固形分を遠心分離および濾過により取り出した後、生成物をエタノール中で沈殿させた。沈殿物を遠心分離により採取し、水に溶解した。濃縮および凍結乾燥により、生成物を100mg(収率:>98%)得た。本実施例由来の生成物は発泡特性を示した。
【0135】
実施例13 10%XG15k−LCH−ヘキシル
10%XG15k−LCH(2g、0.002mmol)をHO70mLに溶解した。ヘキサナール(479μL、3.99mmol)およびNaCNBH(252mg、4.0mmol)を添加し、酢酸を添加してpHを5にした。混合液を55℃で36時間撹拌した。生成物をエタノール中で沈殿させ、当該物質を遠心分離(4000rpm)により採取した。沈殿物を水に溶解した(溶解しなかった固形分は遠心分離により除去した)。溶液を濃縮して凍結乾燥し、生成物を0.850mg得た(収率:43%)。本実施例由来の生成物は発泡特性を示した。
【0136】
実施例14 10%XG15k−LCH−スクシニル
10%XG15k−LCH(2g、0.002mmol)をHO70mLに溶解した。無水コハク酸(1.3g、13mmol)を0℃で添加し、反応物を0℃で一晩中、撹拌した。溶液をエタノール中に注いだが、沈殿物は形成されなかった。pHが12になって生成物が沈殿し始めるまでNaOH(1M)を添加した(ヒドロキシルエステルを加水分解するため)。pH12で1時間撹拌を継続した後、物質を遠心分離により採取した。生成物を水に溶解し、濃縮および凍結乾燥を行った。収率が高すぎて不幸にも不純物(おそらくコハク酸およびナトリウム塩)の存在を示したので、生成物を連続脱イオン水流のもとで2日間透析した(スペクトラ・ポール・セルロース・エステル(SpectraPor Cellulose Ester)MWCO10.000、フィッシャーGTF社製)。生成物を含有する溶液を濃縮し、凍結乾燥して、生成物を1.065g(収率:53%)得た。
【0137】
実施例15 10%XG15k−LCH−PEG5000
10%XG15k−LCH(2g、0.002mmol)をHO100mLに55℃で溶解した。モノメトキシ−PEG5000−アルデヒド(3.75g、0.75mmol)およびNaCNBH(250mg、3.97mmol)を添加した。酢酸を添加し、pHを5にして、すぐにハードゲルを形成させた。さらに水(200mL)を添加すると、ハードゲルの粘度が低下した。混合物を55℃で一晩中撹拌した。生成物をエタノールに注ぎ、固形分を遠心分離により採取した。ペレットは水に溶解できなかったが、エタノールをとにかく蒸発させ、残渣を凍結乾燥し、生成物を4.42g得た。
【0138】
実施例16 5%XG15k−LCH−オクタノイル
5%XG15k−LCH(0.1g、0.000185mmol)をHO−DMF(1:1)混合液6mLに溶解した。オクタン酸(10μL、0.0631mmol)およびトリエチルアミン(17μL、0.122mmol)を添加した。最後にEDCl(23mg、0.120mmol)を添加し、混合液を室温で一晩中撹拌した。混合液中の固形分を遠心分離により取り出し、透明溶液を採取した。ペレットおよび発泡体を水で洗浄し、混合物をもう一度遠心分離し、透明溶液を採取した。(TLCにより示されるように)生成物を含有する溶液を組み合わせ、エタノール(200mL)中で沈殿させた後、遠心分離して白色物質を得た。当該物質を水に溶解し、エタノールを濃縮により除去した。凍結乾燥した後、生成物を80mg(収率:80%)得た。本実施例由来の生成物は発泡特性を示した。
【0139】
実施例17 5%XG15k−LCH−プロパノイル
5%XG15k−LCH(0.1g、0.000185mmol)をHO−DMF(1:1)混合液6mLに溶解した。プロピオン酸(10μL、0.134mmol)およびトリエチルアミン(34μL、0.244mmol)を添加した。最後にEDCl(48mg、0.250mmol)を添加し、混合液を室温で一晩中撹拌した。透明な反応混合液をエタノール(200mL)中で沈殿させた後、当該物質を遠心分離により採取した。白色物質を水に溶解し、残っているエタノールを濃縮により除去した。固形分がいくらか溶液中にまだ残っており、これらの不純物を遠心分離により除去した。生成物を含有する溶液をもう一度、エタノール(200mL)中で沈殿させ、白色物質を遠心分離により採取し、水に溶解し、濃縮した。溶液を凍結乾燥し、生成物を52mg(収率:52%)得た。本実施例由来の生成物は発泡特性を示した。
【0140】
実施例18 5%XG15k−LCH−ペンタノイル
5%XG15k−LCH(0.1g、0.000185mmol)をHO−DMF(1:1)混合液6mLに溶解した。ペンタン酸(10μL、0.134mmol)およびトリエチルアミン(34μL、0.244mmol)を添加した。最後にEDCl(48mg、0.250mmol)を添加し、混合液を室温で一晩中撹拌した。透明な反応混合液をエタノール(200mL)中で沈殿させた後、当該物質を遠心分離により採取した。白色物質を水に溶解し、残っているエタノールを濃縮により除去した。固形分がいくらか溶液中にまだ残っており、これらの不純物を遠心分離により除去した。ペレット(TLCによれば不純物および生成物)を水で洗浄し、混合物を遠心分離した。透明溶液を組み合わせて溜め、濃縮した後、凍結乾燥して、生成物を70mg(収率:70%)得た。本実施例由来の生成物は発泡特性を示した。
【0141】
実施例19 20%XGO−LCH−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド
20%XGO−LCHにおける遊離アミノ基の量は520であるものと見積もった。全ての遊離アミノ基をグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドと反応させることを目的とした。
20%XGO−LCH(1g、0.00316mmol)をHO30mLに溶解した。グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド(0.88mL、6.56mmol)を添加し、反応物を60℃で一晩中撹拌した。混合物を室温まで冷却し、生成物をエタノール(0.5L)中で沈殿させ、物質を遠心分離により採取した。当該物質を水に溶解し、濃縮し、凍結乾燥して、生成物を1.05g得た。
【0142】
実施例20 20%XGO−LCH−スクシニル
20%XGO−LCHにおける遊離アミノ基の量は520であるものと見積もった。全ての遊離アミノ基を無水コハク酸と反応させることを目的とした。
20%XGO−LCH(1g、0.00316mmol)をHO30mLに溶解した。溶液を0℃まで冷却し、無水コハク酸(0.82g、8.2mmol)を添加し、反応混合物を一晩中、撹拌する一方で、温度を室温にゆっくり到達させた。NaOH(10mL、1M)を添加することにより混合物を塩基性(pH=12)とし、当該混合物を室温で1時間撹拌して、不要なエステル加水分解した。混合物をHCI(1M)でpH7に中和した後、エタノール(0.5L)中で沈殿させた。生成物を遠心分離により採取し、水に溶解し、濃縮し、凍結乾燥して、生成物を1.2g(100%)得た。
【0143】
実施例21 20%XGO−LCH−アセチル
20%XGO−LCH(1g、0.00316mmol)をDMF−HO(1:1)80mLに溶解した。酢酸(0.141mL、2.46mmol)、HOBT(0.05g、0.37mmol)およびEDCl(0.378g、1.97mmol)を添加した。反応混合物を室温で4日間撹拌した。生成物をエタノール中で沈殿させ、遠心分離により採取した。当該物質を水に溶解し、濃縮し、凍結乾燥して、生成物を1.01g得た。
【0144】
実施例22 20%XGO−LCH−オクタノイル
20%XGO−LCH(1g、0.00316mmol)をDMF−HO(1:1)80mLに溶解した。オクタン酸(0.39mL、2.46mmol)、HOBT(0.05g、0.37mmol)およびEDCl(0.378g、1.97mmol)を添加した。反応混合物を室温で4日間撹拌した。生成物をエタノール中で沈殿させ、遠心分離により採取した。当該物質を水に溶解し、濃縮し、凍結乾燥して、生成物を1.01g得た。本実施例由来の生成物は発泡特性を示した。
【0145】
実施例23
未精製パインパルプへのポリマーの一般的な吸着方法。化合物10%XG15k−MCH(図4a)、20%XGO−LCH(図4b)、および10%XG15k−PEI(図4c)については吸着等温線を作成し、表3の化合物については30分後の吸着量を測定した。未精製パルプの乾燥重量は96%であった。パルプ30g(乾燥重量)を水にパルプ濃度15g/Lで4時間浸漬した後、30,000回転で砕解した。パルプスラリーを10g/Lまで希釈した後、特定の化合物を2%(w/w)の配合割合で添加した。機械式オーバーヘッド撹拌器で撹拌しながら、吸着を室温で行った。吸着等温性の反応時間は特定の化合物を添加したときに開始し、サンプルは様々な時間間隔で溶液から取り出した。サンプルは比色定量用三ヨウ化物(colorimetric assay triiodide)(実施例25参照)またはブリリアントレッド(brilliant red)(実施例26参照)で分析した。結果は図4a〜cおよび表3において示すものであり、変性ポリマーがパルプに対して非常によく吸着することがわかる。
【0146】
【表3】

【0147】
実施例24
綿織物(イケア社製ディット(IKEA Ditte))へのポリマーの一般的な吸着方法。化合物XG100kDa(図4d)、20%XGO−LCH(図4e)、および20%XGO−LCH−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム(図4f)については吸着等温線を作成した。表4の化合物については24時間後の吸着量を測定した。各化合物を脱イオン水に溶解し(水400ml中、化合物120mg)、最終濃度0.3mg/mlを得た。溶液をそれぞれ、綿織物(5cm×5cm片)12gが入っている1Lのバッフル・E−フラスコ(baffled E-flask)に注入した。サンプルは様々な時間間隔で溶液から取り出し、ブリリアントレッド定量法(実施例26参照)で分析する。結果は図4d〜fおよび表4において示すものである。図4dではXG100kDa用いて比較試験を行う。図4eおよび図4fでは本発明に係る変性ポリマーは、図4dの比較試験と比較して、高吸着量を、しかも非常に短時間で達成することがわかる。
【0148】
【表4】

【0149】
実施例25
実施例24由来のサンプルを濾過した後、濾液200μlを染料(20%(w/v)NaSO4部+三ヨウ化物溶液1部(0.5%12+1%KI))1mlと混合した。その後、620nmでUV吸光度を測定し、各特定の化合物の標準曲線を用いて所望の化合物の吸着量を算出した;図4d、表3参照。
【0150】
実施例26
ブリリアントレッド定量溶液は、染料溶液5ml、脱イオン水100ml中のチバクロン・ブリリアントレッド(Cibacron Brilliant red)3B−A150mg(1.5mg/ml)、および0.1Mグリシンハイドロクロライド緩衝液95mlからなる混合液である。
実施例23および24由来のサンプル100μlをキュベットに移し、定量溶液1mlを添加する。キュベットに水を100μlだけ添加した後、定量溶液1mlを添加したサンプルで分光光度計を最初に検量した。検量後、実際のサンプルが入ったキュベットを575nm波長にて分光光度計で測定した。図4a〜c、図4e〜fならびに表3および表4参照。
【0151】
実施例27
濾紙(FP)(ワットマン nr.1、φ1.5cm)を20%XGO−LCH(実施例3由来)および20%XGO−LCH−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(実施例19由来)それぞれの1重量%溶液に24時間浸漬することにより、当該濾紙を20%XGO−LCHおよび20%XGO−LCH−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドで処理した。処理した濾紙(FP−20%XGO−LCHおよびFP−20%XGO−LCH−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド)を3日間蒸留水で十分に洗浄した後、オーブンで50℃にて乾燥させた。未処理の対照濾紙および処理した濾紙を負帯電の染料、メタニルイエロー溶液(metanil yellow solution)(濃度0.1mg/mlまたは0.05mg/ml)に浸漬することにより、濾紙上の正帯電のR原子団の取り込み(incorporation)を調査した。サンプルをメタニルイエロー溶液から取り出すことにより、濾紙の染色を24時間行い、その後、UV−分光光度計(λ420nm)を用いて吸光度を測定した。24時間後、メタニルイエロー溶液を除去し、濾紙を蒸留水で濯いだ後、乾燥させた。結果を図5aに示す。図5aより、メタニルイエロー溶液の吸光度の低下が観察できるので、20%XGO−LCHおよび20%XGO−LCH−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドで処理された濾紙は負帯電の染料を吸着したことが認められる。さらに図5bより、対照濾紙は、ポリマーや正電荷含有R原子団を有するポリマーで処理された濾紙ほど染色されなかったことが認められる。
【0152】
実施例28
ミリQ水(MilliQ water)の3μL滴を用いて、バスラー(Basler)社製のA602fカメラを備えたKSVインスツルメント社製のCAM200で静的接触角の測定を行った。接触角はCAMソフトウェアを用いて測定した。静的接触角は0〜300秒の時間の関数として見積もった。化合物20%XGO−LCHが綿織物に吸着されてなる実施例24由来の綿織物上で静的接触角を測定した;図4eも参照。図6に結果を示す。図6の静的接触角からわかるように、疎水性が改善された表面が得られる。このように化合物20%XGO−LCHは綿織物に非常によく吸着された。
未処理の織編物上に置かれた液滴はすぐに当該織編物に吸収されるので、未処理の織編物についての対照試験は行うことができない、と言うことができる。このように未処理の織編物上で接触角を測定することは不可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースから製造されたポリマーであって、第1アミン官能基化ポリマーがヘミセルロースと共有結合しているポリマー。
【請求項2】
第1アミン官能基化ポリマーがヘミセルロースの還元性末端に共有結合している請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースが、第1アミン官能基化ポリマーの遊離アミノ基とヘミセルロースの還元性末端との間で還元的アミノ化により相互に結合している請求項1または2に記載のポリマー。
【請求項4】
第1アミン官能基化ポリマーおよびヘミセルロースが、第1アミン官能基化ポリマーのアミノ基とヘミセルロースの還元性末端との間でイミン結合により相互に結合している請求項1または2に記載のポリマー。
【請求項5】
ヘミセルロースが、キシラン、アラビノキシラン、グルクロノキシラン、グルクロノアラビノキシラン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、ガラクトグルコマンナン、およびキシログルカンまたはそれらの組み合わせを含む群から選択される請求項1〜4のいずれかに記載のポリマー。
【請求項6】
第1アミン官能基化ポリマーが、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、(ビニルアミン−ビニルホルムアミド)コポリマー、ポリ(エチレンイミン)、およびキトサンを含むホモポリマーまたはコポリマー、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1〜5のいずれかに記載のポリマー。
【請求項7】
ヘミセルロースが180Da〜2000kDa以上の分子量を有する請求項1〜6のいずれかに記載のポリマー。
【請求項8】
第1アミン官能基化ポリマーが100Da〜1000kDa以上の分子量を有する請求項1〜7のいずれかに記載のポリマー。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のポリマーであって、該ポリマーにおける少なくとも1つのアミン基および/またはヒドロキシル基に対して少なくとも1つの官能性原子団Rが結合し、該Rが、イオン性基、疎水性原子団、不帯電親水性原子団、潜在的反応性原子団、例えば求電子性原子、求核種を含有する原子団、酵素的反応性原子団、重合反応および/または硬化用モノマー類、発色団、発蛍光団、放射性同位体類、遊離基前駆体および安定遊離基部分、核酸配列、アミノ酸配列、タンパク質またはタンパク質結合剤、レセプター、ホルモン類、ビタミン類、薬剤、固定剤、UV吸収剤、防汚剤、染み抜き剤、再沈殿防止剤、染料分子、放射性原子団、香料、酵素、撥油剤、撥水剤、汚れ除去剤、汚れ忌避剤、染料含有織編物再生染料、着色染料、染料中間体、染料固定剤、潤滑剤、抗精子剤、織編物用柔軟剤、光退色防止剤、抗しわ剤/アイロン剤、形状保持剤、日焼け防止剤、酸化防止剤、折り目耐性剤、殺菌剤、皮膚有益剤、抗かび剤、抗菌剤、防虫剤、光漂白剤、光開始剤、感覚剤、酵素阻害剤、漂白触媒、消臭剤、フェロモン、蛍光増白剤、親油性流体およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリマー。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載のポリマーであって、該ポリマーにおける少なくとも1つのアミン基および/またはヒドロキシル基に対して少なくとも1つの官能性原子団Rが連結基を介して結合し、該Rが、イオン性基、疎水性原子団、不帯電親水性原子団、潜在的反応性原子団、例えば求電子性原子、求核種を含有する原子団、酵素的反応性原子団、重合反応および/または硬化用モノマー類、発色団、発蛍光団、放射性同位体類、遊離基前駆体および安定遊離基部分、核酸配列、アミノ酸配列、タンパク質またはタンパク質結合剤、レセプター、ホルモン類、ビタミン類、薬剤、固定剤、UV吸収剤、防汚剤、染み抜き剤、再沈殿防止剤、染料分子、放射性原子団、香料、酵素、撥油剤、撥水剤、汚れ除去剤、汚れ忌避剤、染料含有織編物再生染料、着色染料、染料中間体、染料固定剤、潤滑剤、抗精子剤、織編物用柔軟剤、光退色防止剤、抗しわ剤/アイロン剤、形状保持剤、日焼け防止剤、酸化防止剤、折り目耐性剤、殺菌剤、皮膚有益剤、抗かび剤、抗菌剤、防虫剤、光漂白剤、光開始剤、感覚剤、酵素阻害剤、漂白触媒、消臭剤、フェロモン、蛍光増白剤、親油性流体およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリマー。
【請求項11】
セルロース材料の処理用組成物であって、請求項1〜10のいずれかに記載のポリマーを含有する組成物。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれかに記載のポリマーを含有する組成物であって、該組成物が洗浄用組成物である組成物。
【請求項13】
セルロース材料の処理方法であって、セルロース材料を請求項11または12に記載の組成物と接触させることを含む方法。
【請求項14】
セルロース材料が、木材、紙、パルプ、板紙、濾紙、上質紙、バンクノートペーパー、新聞用紙、ライナー板紙、薄葉紙および他の衛生製品、袋用紙、クラフト紙、布、セルロース系膜、およびそれらの混合物からなる群から選択される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
セルロース材料におけるセルロースが、木材、セルロース、植物、綿、またはあらゆる他の非木材系セルロース、リネン、アサ、アマ、ビスコース、再生セルロース、セルロース誘導体の製品、ラミー、バクテリアセルロース、各種生物、例えば細菌、藻類、またはあらゆる他の非木材系セルロースおよびそれらの混合物に由来するものである請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
セルロース材料が、木材、セルロースナノファイバー、例えばナノウィスカーおよび超微小繊維化セルロース、繊維、糸または織編物の形態にある請求項13〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
織編物が不織布または織物である請求項13〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
セルロース材料が、紙、パルプまたはセルロース織編物である請求項13〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜10のいずれかに記載のポリマーで処理されたセルロース含有製品。
【請求項20】
請求項1〜10のいずれかに記載のポリマーを含有する架橋剤組成物。
【請求項21】
請求項1〜10のいずれかに記載のポリマーの下記薬剤としての使用;難燃剤、殺生物剤(例えば抗菌剤、殺菌剤、殺精子剤)、疎水化剤、紙添加剤、紙添加剤の保持助剤、発泡剤、サイジング剤、凝集剤、防臭剤、染み抜き改良剤、汚れ除去改良剤、汚れ忌避改良剤、洗浄剤、増白剤、染色剤、色味剤、抗染料退色剤、柔軟剤、抗ピリング剤、抗しわ剤、易アイロン剤、折り目耐性剤、ヒトの皮膚への物質移送剤、抗磨耗剤、織編物用形状保持剤、織編物用引張強さ改良剤、微生物増殖防止剤、菌類または昆虫による攻撃を防止する薬剤、皮膚の炎症緩和剤、耐折強さ改良剤、引張指数改良剤、引張強さ改良剤、引張エネルギー吸収改良剤、破断点歪み改良剤、弾性率改良剤、湿潤強度改良剤、着色剤、植物生長促進剤、水濾過剤、被膜添加剤(例えばペイント用、接着剤用、ラッカー用、ワニス用添加剤)。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図1e】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【図3g】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図4f】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−528228(P2012−528228A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513015(P2012−513015)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際出願番号】PCT/SE2010/050570
【国際公開番号】WO2010/138069
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(502325708)スウェツリー・テクノロジーズ・アクチボラゲット (4)
【氏名又は名称原語表記】SweTree Technologies AB
【Fターム(参考)】