説明

第1剤組成物、及び多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤

【課題】脱色剤又は酸化染毛剤に用いられ、低温安定性を高めることができる第1剤組成物、並びに該第1剤組成物を用いた多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤を提供する。
【解決手段】本発明に係る第1剤組成物は、脱色剤又は酸化染毛剤に用いられる。本発明に係る第1剤組成物は、アルカリ剤である炭酸塩と、カチオン性増粘剤と、2価アルコールとを含む。第1剤組成物が酸化染毛剤に用いられる場合には、本発明に係る第1剤組成物は、酸化染料を含む。本発明に係る多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤は、上記第1剤組成物と、酸化剤を含む第2剤組成物とを少なくとも備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱色剤又は酸化染毛剤に用いられ、アルカリ剤を含む第1剤組成物に関する。また、本発明は、アルカリ剤を含む第1剤組成物と、酸化剤を含む第2剤組成物とを少なくとも備える多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪を脱色又は染色するために、アルカリ剤を含む第1剤組成物と、酸化剤を含む第2剤組成物とを含む2剤式の脱色剤又は酸化染毛剤が広く用いられている。
【0003】
従来の脱色剤又は酸化染毛剤が容器中で混合された混合剤は、クリーム状であることが多い。クリーム状の混合剤は、毛髪に塗布された後、クリーム状のままで毛髪が脱色又は染色されるまで5〜60分程度放置される。毛髪が脱色又は染色された後、混合剤は洗い流される。
【0004】
上記脱色剤又は酸化染毛剤の一例として、下記の特許文献1には、混合された混合剤が、モノエタノールアミン又はヒドロキシエチルアンモニウムイオンと、炭酸イオン又は炭酸水素イオンと、アミノ変性シリコーン又はメチルポリシロキサン類と、カチオン性ポリマーと、酸化染料中間体又は直接染料と、酸化剤とを含む脱色剤又は酸化染毛剤が開示されている。特許文献1の実施例1の第1剤組成物は、モノエタノールアミン、炭酸カリウム、塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体液、アミノ変性シリコーン及び酸化染料中間体などを含む。また、この第1剤組成物は、2−ベンジルオキシエタノール及び95度エタノールを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−23024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の脱色剤又は酸化染毛剤では、混合前の第1剤組成物が、例えば10℃以下の低温下に晒されると、第1剤組成物の性状が変化することがある。より具体的には、低温下に晒された第1剤組成物に、析出物が生じることがある。この析出物は、第1剤組成物の粘度が低いほど、顕著に生じる傾向がある。また、特許文献1に記載の脱色剤又は酸化染毛剤を用いて毛髪を脱色又は染色すると、脱色又は染色された毛髪の滑らかさが低いことがある。
【0007】
本発明の目的は、脱色剤又は酸化染毛剤に用いられ、低温安定性を高めることができる第1剤組成物、並びに該第1剤組成物を用いた多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤を提供することである。
【0008】
本発明の限定的な目的は、低温安定性を高めることができるだけでなく、脱色又は染色後の毛髪の滑らかさを高めることができる第1剤組成物、並びに該第1剤組成物を用いた多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の広い局面によれば、脱色剤又は酸化染毛剤に用いられる第1剤組成物であって、アルカリ剤である炭酸塩と、カチオン性増粘剤と、2価アルコールとを含み、酸化染毛剤に用いられる第1剤組成物である場合には、酸化染料を含む、第1剤組成物が提供される。
【0010】
本発明に係る第1剤組成物のある特定の局面では、第1剤組成物の性状は、液状又はジェル状である。
【0011】
本発明に係る第1剤組成物の他の特定の局面では、第1剤組成物の25℃での粘度は3000mPa・s以下である。
【0012】
本発明に係る第1剤組成物のさらに他の特定の局面では、上記カチオン性増粘剤は、カチオン化セルロースである。
【0013】
本発明に係る第1剤組成物の別の特定の局面では、上記2価アルコールは、炭素数3以上、6以下の2価アルコールである。
【0014】
本発明に係る多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤は、本発明に従って構成された第1剤組成物と、酸化剤を含む第2剤組成物とを少なくとも備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る第1剤組成物は、アルカリ剤である炭酸塩とカチオン性増粘剤と2価アルコールとを含むので、低温安定性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明に係る第1剤組成物は、脱色剤又は酸化染毛剤に用いられる第1剤組成物である。本発明に係る第1剤組成物は、アルカリ剤(A)と、カチオン性増粘剤(B)と、2価アルコール(C)とを含む。本発明に係る第1剤組成物は、アルカリ剤(A)である炭酸塩(A1)を含む。第1剤組成物が酸化染毛剤に用いられる場合には、本発明に係る第1剤組成物は、酸化染料(D)を含む。
【0018】
上記組成の採用により、第1剤組成物の低温安定性を高めることができる。例えば、第1剤組成物が10℃以下の低温下に晒されても、第1剤組成物に変化が生じ難くなり、第1剤組成物に析出物が生じ難くなる。さらに、上記組成の採用により、第1剤組成物を備える脱色剤又は酸化染毛剤を用いて、毛髪を脱色又は染色したときに、脱色又は染色された毛髪の滑らかさを高めることができる。
【0019】
第1剤組成物は、液状であってもよく、ジェル状であってもよく、クリーム状であってもよい。但し、第2剤組成物との混合性に優れているので、第1剤組成物の性状は、液状又はジェル状であることが好ましい。従来の第1剤組成物では、粘度が低いほど、低温安定性が低下する傾向がある。しかし、本発明における上記組成の採用により、第1剤組成物の粘度が低くても、第1剤組成物に変化又は析出物が生じるのを十分に抑制することができる。
【0020】
第1剤組成物の25℃での粘度は、好ましくは3000mPa・s以下、より好ましくは2000mPa・s以下である。第1剤組成物の25℃での粘度が上記上限以下であると、液状又はジェル状の第1剤組成物の流動性がより一層高くなる。本発明に係る第1剤組成物は、25℃の粘度が上記上限以下であっても、低温安定性に充分に優れている。また、第1剤組成物の25℃での粘度は、10mPa・s以上であることが好ましい。第1剤組成物の粘度は、B型粘度計(トキメック社製)を用いて、ロータNo.3、60rpm及び1分の各条件で測定される。
【0021】
本発明に係る第1剤組成物は、脱色剤又は酸化染毛剤に用いられる。本発明に係る第1剤組成物は、酸化剤を含む第2剤組成物とともに好適に用いられる。本発明に係る多剤式の第1剤組成物は、上記第1剤組成物と、酸化剤を含む第2剤組成物とを少なくとも備える。
【0022】
以下、第1剤組成物の詳細、第2剤組成物の詳細、多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤の詳細、並びに該多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤を用いた毛髪の脱色又は染色方法の詳細を説明する。
【0023】
(第1剤組成物)
[アルカリ剤(A)]
本発明に係る第1剤組成物は、アルカリ剤(A)である炭酸塩(A1)を含む。炭酸塩(A1)は、炭酸のアンモニウム塩、炭酸のナトリウム塩、炭酸のカリウム塩及び炭酸のグアニジン塩等が挙げられる。皮膚刺激を低減し、脱色又は染色による毛髪の損傷を抑制し、かつ脱色性又は染色性を効果的に高める観点からは、炭酸塩(A1)は、炭酸のアンモニウム塩であることが好ましい。炭酸塩(A1)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0024】
上記炭酸のアンモニウム塩としては、炭酸アンモニウム及び炭酸水素アンモニウムが挙げられる。皮膚刺激をより一層低減し、脱色又は染色による毛髪の損傷をより一層抑制し、かつ脱色性又は染色性をより一層効果的に高める観点からは、炭酸塩(A1)は、炭酸アンモニウム及び炭酸水素アンモニウムの内の少なくとも1種であることが好ましく、炭酸水素アンモニウムであることがより好ましい。
【0025】
本発明に係る第1剤組成物は、アルカリ剤(A)として、炭酸塩(A1)と、該炭酸塩以外の他のアルカリ剤(A2)とを含んでいてもよい。他のアルカリ剤(A2)としては、アンモニア、イソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及び2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。これら以外のアルカリ剤を用いてもよい。他のアルカリ剤(A2)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0026】
脱色性又は染色性をより一層効果的に高める観点からは、本発明に係る第1剤組成物は、アルカリ剤(A)として、炭酸塩(A1)とアンモニア及びモノエタノールアミンの内の少なくとも1種とを含むことが好ましく、炭酸塩(A1)とアンモニアとを含むことがより好ましい。
【0027】
第1剤組成物中のアルカリ剤(A)である炭酸塩(A1)の含有量は、所望とする脱色性又は染色性などを考慮して適宜調整される。第1剤組成物100質量%中、アルカリ剤(A)である炭酸塩(A1)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、特に好ましくは3質量%以上、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。炭酸塩(A1)の含有量が上記下限以上であると、毛髪の脱色性又は染色性がより一層高くなる。炭酸塩(A1)の含有量が上記上限以下であると、脱色又は染色による毛髪の損傷が少なくなり、かつ皮膚刺激が少なくなる。
【0028】
アルカリ剤(A)として炭酸塩(A1)と炭酸塩以外の他のアルカリ剤(A2)とを併用する場合には、第1剤組成物中のアルカリ剤(A)の含有量は、所望とする脱色性又は染色性などを考慮して適宜調整される。第1剤組成物100質量%中、アルカリ剤(A)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、特に好ましくは3質量%以上、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。アルカリ剤(A)の含有量が上記下限以上であると、毛髪の脱色性又は染色性がより一層高くなる。アルカリ剤(A)の含有量が上記上限以下であると、脱色又は染色による毛髪の損傷が少なくなり、かつ皮膚刺激が少なくなる。
【0029】
アルカリ剤(A)として炭酸塩(A1)と炭酸塩以外の他のアルカリ剤(A2)とを併用する場合には、アルカリ剤(A)100質量%中、炭酸塩(A1)の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、好ましくは99.99質量%以下、より好ましくは99.9質量%以下、更に好ましくは99質量%以下、特に好ましくは95質量%以下である。
【0030】
[カチオン性増粘剤(B)]
本発明に係る第1剤組成物に含まれているカチオン性増粘剤(B)は、塗布時に混合された脱色剤又は酸化染毛剤の毛髪からの垂れ落ちを抑制する効果を、第1剤組成物に付与する。また、カチオン性増粘剤(B)は、例えば、第1剤組成物が液状又はジェル状である場合などに、第1剤組成物と第2剤組成物とを少なくとも備えた脱色剤又は染毛剤の混合時に、粘度を効果的に上昇させる。カチオン性増粘剤(B)は特に限定されない。カチオン性増粘剤(B)として従来公知のカチオン性増粘剤が使用可能である。カチオン性増粘剤(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0031】
カチオン性増粘剤(B)としては、カチオン化セルロース及びカチオン性ポリマー等が挙げられる。混合剤の粘度をより一層良好にし、かつ混合剤の毛髪からの垂れ落ちをより一層抑制する観点からは、カチオン性増粘剤(B)は、カチオン化セルロース及びカチオン性ポリマーの内の少なくとも1種であることがより好ましい。
【0032】
上記カチオン化セルロースの具体例としては、塩化−O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース及び塩化ジアリルジメチルアンモニウム・ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
【0033】
上記カチオン性ポリマーとしては、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル4級アンモニウム塩重合物、ジアリル4級アンモニウム塩/アクリル酸共重合物、ジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物及び4級ポリビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。上記カチオン性ポリマーの具体例としては、塩化−O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアーガム、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体及びビニルピロリドン・ジメチルアミノメタクリレートの硫酸ジメチルによる4級化誘導体等が挙げられる。なお、カチオン性ポリマーには、上記カチオン化セルロースは含まれないこととする。
【0034】
カチオン性増粘剤(B)は、カチオン化セルロースであることが特に好ましい。炭酸塩(A1)とともに用いられるカチオン性増粘剤(B)がカチオン化セルロースである場合には、カチオン性増粘剤(B)がカチオン化セルロースではない他のカチオン性増粘剤である場合と比べて、2価アルコール(C)を用いていない第1剤組成物の低温安定性が悪くなる傾向がある。しかし、炭酸塩(A1)とカチオン化セルロースとを用いた場合でも、2価アルコール(C)をさらに用いることにより、低温安定性を十分に高めることができる。
【0035】
第1剤組成物におけるカチオン性増粘剤(B)の含有量は、第1剤組成物と第2剤組成物とが混合された混合剤の粘度及び性状などを考慮して適宜調整される。第1剤組成物100質量%中、カチオン性増粘剤(B)の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下である。カチオン性増粘剤(B)の含有量が上記下限以上であると、混合剤の粘度が適度に向上し、混合剤がより一層良好なジェル状などの性状になる。カチオン性増粘剤(B)の含有量が上記上限以下であると、過剰なカチオン性増粘剤(B)による脱色阻害又は染色阻害が生じにくくなる。
【0036】
第1剤組成物100質量%中、カチオン性増粘剤(B)の含有量は0.9質量%以上であることが好ましい。カチオン性増粘剤(B)の含有量が0.9質量%以上であると、脱色又は染色された毛髪の滑らかさをより一層高めることができる。
【0037】
[2価アルコール(C)]
本発明に係る第1剤組成物に含まれている2価アルコール(C)は、炭酸塩(A1)とカチオン性増粘剤(B)とを含む第1剤組成物の低温安定性の向上に大きく寄与する成分である。2価アルコール(C)は特に限定されない。2価アルコール(C)として、従来公知の2価アルコールが使用可能である。2価アルコール(C)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0038】
低温安定性をより一層高め、かつ脱色又は染色された毛髪の滑らかさをより一層高める観点からは、2価アルコール(C)の炭素数は、好ましくは3以上、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは6以下である。
【0039】
2価アルコール(C)の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール及び1,2−ドデカンジオール等が挙げられる。
【0040】
低温安定性を更に一層高め、かつ脱色又は染色された毛髪の滑らかさを更に一層高める観点からは、2価アルコール(C)は、炭素数3以上、6以下の2価アルコールであることが好ましく、中でも、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール及び1,3−ブチレングリコールからなる群から選択された少なくとも1種であることがより好ましい。
【0041】
脱色又は染色された毛髪の滑らかさをより一層高める観点からは、2価アルコール(C)は、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール及び1,3−ブチレングリコールからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましく、中でも、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールの内の少なくとも1種であることがより好ましい。
【0042】
第1剤組成物における2価アルコール(C)の含有量は適宜調整される。第1剤組成物における2価アルコールの含有量(C)は、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。2価アルコール(C)の含有量が上記下限以上であると、第1剤組成物の低温安定性、及び脱色又は染色された毛髪の滑らかさがより一層高くなる。2価アルコール(C)の含有量が上記上限以下であると、第1剤組成物のコストが低くなる。
【0043】
[酸化染料(D)]
第1剤組成物が酸化染毛剤に用いられる場合には、第1剤組成物は、酸化染料(D)を含む。酸化染料(D)は、自身の酸化重合により発色する酸化染料前駆体と、酸化染料前駆体との反応により種々の色に発色させるカップラーとの双方を意味する。酸化染料(D)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0044】
上記酸化染料前駆体としては、例えば、フェニレンジアミン類、アミノフェノール類及びジアミノピリジン類、並びにこれらの塩類等が挙げられる。該塩類としては、塩酸塩及び硫酸塩等が挙げられる。
【0045】
上記フェニレンジアミン類としては、p−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、トルエン−3,4−ジアミン、2,5−ジアミノアニソール、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−メチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、6−メトキシ−3−メチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジエチル−2−メチル−p−フェニレンジアミン、N−エチル−N−(ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、2−クロル−6−メチル−p−フェニレンジアミン、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2,6−ジクロル−p−フェニレンジアミン及び2−クロル−6−ブロム−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。上記アミノフェノール類としては、パラアミノフェノール、オルトアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、5−アミノサリチル酸、2−メチル−4−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、2,6−ジメチル−4−アミノフェノール、3,5−ジメチル−4−アミノフェノール、2,3−ジメチル−4−アミノフェノール、2,5−ジメチル−4−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール及び3−クロロ−4−アミノフェノール等が挙げられる。上記ジアミノピリジン類としては、2,5−ジアミノピリジン等が挙げられる。
【0046】
上記カップラーとしては、例えば、レゾルシン、m−アミノフェノール、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、5−アミノ−o−クレゾール、2−メチル−5−ヒドロキシエチルアミノフェノール、2,6−ジアミノピリジン、カテコール、ピロガロール、α−ナフトール、没食子酸及びタンニン酸、並びにこれらの塩類等が挙げられる。
【0047】
第1剤組成物における酸化染料(D)の含有量は、染色性を考慮して適宜調整される。第1剤組成物100質量%中、酸化染料(D)の含有量は0質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下である。酸化染料(D)の含有量が上記下限以上であると、毛髪の染色性がより一層高くなる。酸化染料(D)の含有量が上記上限以下であると、皮膚刺激が少なくなる。
【0048】
[他の成分]
第1剤組成物が酸化染毛剤に用いられる場合には、色調を調色するために、第1剤組成物は、直接染料を含んでいてもよい。直接染料としては、パラニトロオルトフェニレンジアミン、ニトロパラフェニレンジアミン、硫酸パラニトロメタフェニレンジアミン、2−アミノ−5−ニトロフェノール及びピクラミン酸等が挙げられる。
【0049】
本発明に係る第1剤組成物は、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の内の少なくとも1種の界面活性剤成分を含むことが好ましい。本発明に係る第1剤組成物は、液状又はジェル状であり、かつアニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の内の少なくとも1種の界面活性剤成分を含むことが好ましい。この界面活性剤成分の使用により、脱色剤又は酸化染毛剤のジェル状の混合剤を毛髪に塗布した後、毛髪上で泡立てて脱色又は染色処理を施すことができるという、従来にない毛髪の脱色又は染色方法を採用することが可能になる。上記界面活性剤成分は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0050】
上記アニオン性界面活性剤としては、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキルスルホコハク酸、アシル乳酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩及びN−アシルメチルアラニン塩等が挙げられる。これら以外のアニオン性界面活性剤を用いてもよい。
【0051】
上記両性界面活性剤としては、グリシン型両性界面活性剤、アミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤及びスルホベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリニウム型両性界面活性剤、アミンオキサイド型両性界面活性剤及びホスホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。これら以外の両性界面活性剤を用いてもよい。
【0052】
上記グリシン型両面界面活性剤としては、アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩及びN−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルグリシン塩等が挙げられる。上記アミノプロピオン酸型両性界面活性剤としては、アルキルアミノプロピオン酸塩及びアルキルイミノジプロピオン酸塩等が挙げられる。上記アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン及びアルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる、上記スルホベタイン型両性界面活性剤としては、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−プロピルスルホン酸塩、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−(2−ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩及びN−脂肪酸アミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−(2−ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩等が挙げられる。上記イミダゾリニウム型両性界面活性剤としては、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。上記アミンオキサイド型両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。上記ホスホベタイン型両性界面活性剤としては、2−(ジメチルオクチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(ジメチルドデシルアンモニオ)プロピルホスフェート及び2−(ジメチルドデシルアンモニオ)−2−ヒドロキシプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0053】
混合剤の泡立ちを良好にする観点から、界面活性剤成分(A)として、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、高級脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキルスルホコハク酸塩、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−(2−ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイドを用いることが好ましい。界面活性剤成分(A)として、具体的には、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、ラウリル硫酸塩、ミリスチン酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸塩、N−ラウロイルメチルタウリン塩、ラウリルスルホコハク酸塩、ラウリル(2−ヒドロキシスルホプロピル)ジメチルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイドを用いることがより好ましい。なお、上記塩としては、カリウム塩、ナトリウム塩及びトリエタノールアミン塩等が挙げられる。
【0054】
第1剤組成物における上記界面活性剤成分の含有量は、ジェル状の混合剤を泡立てる際の泡立ちなどを考慮して適宜調整される。第1剤組成物100質量%中、界面活性剤成分の含有量は、0質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、好ましくは10質量%以下、より好ましくは6質量%以下である。上記界面活性剤成分の含有量が上記下限以上であると、ジェル状の混合剤を良好に泡立てることができる。上記界面活性剤成分の含有量が上記上限以下であると、過剰な上記界面活性剤成分による脱色阻害又は染色阻害が生じにくくなる。
【0055】
第1剤組成物が酸化染毛剤に用いられる場合には、酸化染料(D)に加えて、還元剤をさらに含むことが好ましい。還元剤は、第1剤組成物が大気暴露された際に、酸化染料の発色を抑制する。
【0056】
上記還元剤は特に限定されない。上記還元剤として従来公知の還元剤が使用可能である。上記還元剤としては、例えば、N−アセチル−L−システイン、L−アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム及びチオグリコール酸等が挙げられる。これらの塩を用いてもよい。還元剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0057】
第1剤組成物100質量%中、還元剤の含有量は0質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。
【0058】
第1剤組成物は、上述した成分以外に、高級脂肪酸、炭化水素、着色剤及び香料等を含んでいてもよい。
【0059】
(第2剤組成物)
第2剤組成物は酸化剤を含む。酸化剤は特に限定されない。酸化剤として、従来公知の酸化剤が使用可能である。酸化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0060】
上記酸化剤としては、過酸化水素、過酸化尿素、過硫酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩、臭素酸塩及び過ヨウ素酸塩等が挙げられる。これら以外の酸化剤を用いてもよい。脱色性及び染色性をより一層高める観点からは、上記酸化剤は、過酸化水素であることが好ましい。
【0061】
上記酸化剤の含有量は、脱色性又は染色性を考慮して適宜調整される。第2剤組成物100質量%中、酸化剤の含有量は好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、好ましくは12質量%以下、より好ましくは6質量%以下である。酸化剤の含有量が上記下限以上であると、毛髪の脱色性又は染色性がより一層高くなる。酸化剤の含有量が上記上限以下であると、毛髪の損傷が少なくなり、かつ皮膚刺激が少なくなる。
【0062】
上記第2剤組成物は、酸化剤の安定剤を含んでいてもよい。該酸化剤の安定剤としては、例えば、フェナセチン及びヒドロキシエタンジホスホン酸等が挙げられる。
【0063】
第2剤組成物は、上述した成分以外に、カチオン性増粘剤、界面活性剤、低級アルコール、高級脂肪酸、炭化水素、多価アルコール、着色剤及び香料等を含んでいてもよい。
【0064】
(多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤の詳細)
本発明に係る多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤は、上記第1剤組成物と、上記第2剤組成物とを少なくとも備える。本発明に係る多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤は、毛髪処理剤である。本発明に係る多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤は、上記第1剤組成物と上記第2剤組成物とを少なくとも備える毛髪処理剤キットである。本発明に係る多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤は、混合されて混合剤として用いられる。上記第1剤組成物及び上記第2剤組成物はそれぞれ、液状又はジェル状であることが好ましい。本発明に係る脱色剤又は酸化染毛剤が混合された混合剤は、ジェル状であることが好ましい。混合剤がジェル状であると、毛髪への塗布時に混合剤の垂れ落ちを抑制することができ、かつ塗布された混合剤の毛髪からの垂れ落ちも抑制することができ、更に毛髪を良好に脱色又は染色することができる。
【0065】
上記第1剤組成物がカチオン性増粘剤(B)を含むので、多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤を混合した混合剤は、容易に良好なジェル状になる。このため、毛髪への塗布時に混合剤がより一層垂れ落ちにくくなる。
【0066】
混合剤がジェル状である場合に、ジェル状である混合剤の25℃での粘度は、200mPa・s以上である。混合剤における「ジェル状」とは、混合剤の25℃での粘度が200mPa・s以上であることをいう。ジェル状である混合剤の25℃での粘度は、10000mPa・s以下であることが好ましい。ジェル状である混合剤の粘度は、B型粘度計(トキメック社製)を用いて、ロータNo.3、60rpm及び1分の各条件で測定される。但し、ロータNo.3、60rpm及び1分の各条件で測定された粘度が4000mPa・s以上である場合には、ジェル状である混合剤の25℃での粘度の値として、ロータNo.3、6rpm及び1分の各条件で測定された値が採用される。
【0067】
混合前の段階で第1剤組成物及び第2剤組成物の内の一方が液状又はジェル状である場合には、混合の初期段階で第1剤組成物又は第2剤組成物の流動性が高いので、第1剤組成物及び第2剤組成物の混合性に優れている。混合前の段階で第1剤組成物及び第2剤組成物の双方が液状である場合には、混合の初期段階で第1剤組成物及び第2剤組成物の双方の流動性が高く、第1剤組成物及び第2剤組成物の混合性により一層優れている。第1剤組成物と第2剤組成物とを均一に混合することによって、脱色むら又は染色むらをより一層抑制することができる。
【0068】
さらに、本発明に係る多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤を混合した混合剤が、液状ではなくジェル状である場合には、毛髪への塗布時に混合剤が垂れ落ちにくい。また、毛髪に塗布する段階で混合剤は泡状ではなくジェル状である場合には、毛髪の根元(生え際)部分であっても、ジェル状の混合剤を容易にかつ十分な量で塗布することができる。
【0069】
さらに、上記第1剤組成物が、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の内の少なくとも1種の界面活性剤成分を含む場合には、ジェル状の混合剤が毛髪に塗布された後に、毛髪に塗布されたジェル状の混合剤を泡立てて泡状にすることができる。このようにジェル状の状態から、シャンプーするような要領で泡立てて泡状の状態にすることで、混合剤を毛髪に均一に付着させることができる。このため、脱色又は染色後の毛髪に脱色むら又は染色むらを生じ難くすることができる。
【0070】
従来の脱色剤又は酸化染毛剤が混合されたクリーム状の混合剤では、粘度が高いので、混合剤を毛髪に均一に付着させにくいことがある。このため、混合剤がクリーム状のままで毛髪が脱色又は染色するまで5〜60分程度放置された後、洗い流されると、脱色むら又は染色むらが生じやすいという問題がある。これに対して、毛髪に塗布されたジェル状の混合剤を泡立てて泡状にすることにより、混合剤を毛髪に均一に付着させることができる。特に、ジェル状の混合剤を施術者が自身の毛髪に塗布する場合にも、すなわちジェル状の混合剤をセルフで使用する場合にも、毛髪に塗布されたジェル状の混合剤を泡立てて泡状にすることにより、混合剤を毛髪にむらなく付着させることができる。従って、毛髪の脱色むら又は染色むらを顕著に抑制できる。
【0071】
本発明に係る多剤氏の脱色剤又は酸化染毛剤は、上記第1剤組成物及び上記第2剤組成物に加えて、第3剤組成物をさらに備えていてもよい。第3剤組成物としては、脱色剤、ヘアリンス剤、ヘアトリートメント剤及びヘアコンディショニング剤等が挙げられる。また、脱色剤などの第3剤組成物と、ヘアリンス剤、ヘアトリートメント剤又はヘアコンディショニング剤等の第4剤組成物とを用いてもよい。
【0072】
第1剤組成物と第2剤組成物とを備える2剤式の脱色剤又は酸化染毛剤である場合には、ジェル状などの混合剤は、第1剤組成物と第2剤組成物とを混合することにより得られ、第1剤組成物と第2剤組成物との混合物である。第1剤組成物と第2剤組成物と第3剤組成物とを備える3剤式の脱色剤又は酸化染毛剤であり、毛髪への塗布前に第1剤組成物と第2剤組成物と第3剤組成物とが混合される場合には、ジェル状などの混合剤は、第1〜第3剤組成物とを混合することにより得られ、第1〜第3剤組成物を含む混合物である。第1剤組成物と第2剤組成物と第3剤組成物とを備える3剤式の脱色剤又は酸化染毛剤であり、毛髪への塗布前に第1剤組成物と第2剤組成物とが混合され、毛髪への塗布前に第3剤組成物が混合されない場合には、ジェル状などの混合剤は、第1剤組成物と第2剤組成物とを混合することにより得られ、第1剤組成物と第2剤組成物との混合物である。
【0073】
塗布時及び塗布後の放置時に混合剤の垂れ落ちをより一層抑制し、かつ脱色性及び染色性をより一層高める観点からは、多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤は、混合された混合剤がジェル状である状態で毛髪に塗布される多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤であることが好ましい。
【0074】
塗布時及び塗布後の放置時に混合剤の垂れ落ちをより一層抑制し、かつ脱色性及び染色性をより一層高める観点からは、多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤は、容器中で混合され、混合された混合剤がジェル状である状態で容器から吐出され、毛髪に塗布される多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤であることが好ましい。
【0075】
脱色むら又は染色むらを抑制し、毛髪を良好に脱色又は染色する観点からは、多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤は、混合された混合剤がジェル状である状態で毛髪に塗布され、毛髪に塗布された混合剤が毛髪上で泡立てられる多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤であることが特に好ましい。
【0076】
第1剤組成物と第2剤組成物とを混合する際の質量比は特に限定されない。第1剤組成物と第2剤組成物とを混合する際の質量比(第1剤組成物:第2剤組成物)は、好ましくは1:10〜10:1、より好ましくは1:5〜5:1、更に好ましくは1:4〜3:1、特に好ましくは1:3〜2:1である。
【0077】
(多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤を用いた毛髪の脱色又は染色方法)
本発明に係る多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤を用いて毛髪を脱色又は染色する際には、多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤を混合し、混合された混合剤を毛髪に塗布する。その後、所定時間放置し、混合剤を洗い流す。
【0078】
本発明に係る多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤が、混合された混合剤がジェル状である状態で毛髪に塗布され、毛髪に塗布された混合剤が毛髪上で泡立てられる多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤である場合には、毛髪を脱色又は染色するために、多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤を混合し、ジェル状の混合剤にし、次に該混合剤をジェル状である状態で毛髪に塗布した後、毛髪に塗布されたジェル状の混合剤を泡立てることが好ましい。
【0079】
混合剤をジェル状である状態で毛髪に塗布することにより、塗布時に混合剤が毛髪から垂れ落ち難くなる。次に、毛髪に塗布されたジェル状の混合剤を毛髪上で泡立てることにより、混合剤を毛髪にむらなく付着させることができる。ジェル状の混合剤を泡立てる際には、ジャンプーする要領で泡立てて、混合剤を毛髪に充分に馴染ませればよい。
【0080】
混合剤を毛髪に塗布してから泡立てるまでの時間は、好ましくは10分以下、より好ましくは5分以下、更に好ましくは3分以下である。
【0081】
混合剤を泡立てない場合には、混合剤を塗布してから毛髪を脱色又は染色するための放置時間は、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上、好ましくは120分以下、より好ましくは60分以下である。混合剤を泡立てる場合には、混合剤を泡立ててから毛髪を脱色又は染色するための放置時間は、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上、好ましくは120分以下、より好ましくは60分以下である。毛髪の脱色又は染色が充分に進行した後、混合剤は毛髪から洗い流され、除去される。
【0082】
上記多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤を容器中で混合し、ジェル状の混合剤にすることが好ましい。この場合には、混合が容易である。また、混合に用いる容器は、第1剤組成物を含む容器又は第2剤組成物を含む容器であることが好ましい。この場合には、新たに容器を用意する必要がなく、第1剤組成物を含む容器に第2剤組成物を入れるか又は第2剤組成物を含む容器に第1剤組成物を入れることにより、多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤を容易に混合できる。混合に用いる容器は、第2剤組成物を含む容器であることがより好ましい。また、混合剤の塗布性をより一層高めるために、混合剤をジェル状である状態で容器から吐出して、毛髪に塗布することが好ましい。
【0083】
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0084】
(実施例1〜5及び比較例1〜4)
下記の表1,2に示す各成分を下記の表1,2に示す含有量で配合し、混合して、第1剤組成物を得た。また、下記の表1,2に示す各成分を下記の表1,2に示す含有量で配合し、混合して、第2剤組成物を得た。得られた第2剤組成物を容器に入れた。実施例1〜5及び比較例1〜4で得られた第1剤組成物及び第2剤組成物はいずれも、液状又はジェル状であった。
【0085】
(評価)
(1)第1剤組成物の粘度
得られた第1剤組成物の粘度を、B型粘度計(トキメック社製)を用いて、ロータNo.3、60rpm及び1分の各条件で測定した。
【0086】
(2)低温安定性
実施例及び比較例で得られた調整直後の第1剤組成物を透明ガラス瓶に充填した。調整直後の第1剤組成物には、析出物は認められなかった。第1剤組成物が充填された透明ガラス瓶を、−3℃の恒温槽で7日間保管した。保管後の第1剤組成物の性状を観察し、低温安定性を下記の判定基準で判定した。
【0087】
[低温安定性の判定基準]
○○:調整直後と比べて、保管後の第1剤組成物に変化が全く認められない
○:調整直後と比べて、保管後の第1剤組成物に変化がほとんど認められない
△:保管後の第1剤組成物に析出がわずかに認められる
×:保管後の第1剤組成物に析出が明らかに認められる
【0088】
(3)脱色又は染毛後の毛髪の滑らかさの官能評価
官能評価パネル20名がそれぞれ、第1剤組成物と第2剤組成物との質量比(第1剤組成物:第2剤組成物)が1:2となるように、第2剤組成物を含む容器中に第1剤組成物を入れ、均一になるまで混合し、混合剤を得た。
【0089】
次に、官能評価パネル20名がそれぞれ、混合剤を容器から吐出し、健常毛を有するウィッグ(レッスンマネキン:ユーカリジャパン社製)の毛の根元付近に混合剤を塗布した。その後、速やかに毛の根元付近に塗布された混合剤を、シャンプーをする要領で泡立てた。泡立ててから30分間放置した。30分間放置した後に、混合剤を温水で洗い流した。次に、タオルドライ及びドライヤーによる温風乾燥を行った。
【0090】
官能評価パネル20名が、脱色又は染色された毛髪の滑らかさについて、下記の判定基準で判定した。
【0091】
[仕上がり感の判定基準]
○○:20名中16名以上が、毛髪の滑らかさに優れていると回答
○:20名中11〜15名が、毛髪の滑らかさに優れていると回答
△:20名中6〜10名が、毛髪の滑らかさに優れていると回答
×:20名中5名以下が、毛髪の滑らかさに優れていると回答
【0092】
第1剤組成物及び第2剤組成物の組成及び評価結果を下記の表1,2に示す。下記の表1,2における各成分の含有量の配合単位は「質量部」である。下記の表1,2における各成分の含有量は全て、原料として配合した配合量を示す。
【0093】
【表1】

【0094】
【表2】

【0095】
なお、上記表1,2において、塩化−O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースは、東邦化学工業社製の商品名「カチナール HC−200」である。ラウリン酸アミドプロピルベタイン(30質量%)は、新日本理化社製の商品名「リカビオン B−300」である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱色剤又は酸化染毛剤に用いられる第1剤組成物であって、
アルカリ剤である炭酸塩と、カチオン性増粘剤と、2価アルコールとを含み、
酸化染毛剤に用いられる第1剤組成物である場合には、酸化染料を含む、第1剤組成物。
【請求項2】
第1剤組成物の性状が、液状又はジェル状である、請求項1に記載の第1剤組成物。
【請求項3】
25℃での粘度が3000mPa・s以下である、請求項1又は2に記載の第1剤組成物。
【請求項4】
前記カチオン性増粘剤が、カチオン化セルロースである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の第1剤組成物。
【請求項5】
前記2価アルコールが、炭素数3以上、6以下の2価アルコールである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の第1剤組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の第1剤組成物と、酸化剤を含む第2剤組成物とを少なくとも備える、多剤式の脱色剤又は酸化染毛剤。

【公開番号】特開2012−106951(P2012−106951A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257505(P2010−257505)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】