説明

第4級アンモニウム化合物及びその利用方法

【解決手段】本発明は、第4級アンモニウム化合物を備え、その第4級アンモニウム化合物にイオン的伝導を生じさせる伝導方法を提供する。好ましくは、第4級アンモニウム化合物をイオン性液体とする。第4級アンモニウム化合物には、実質的に疎水性の領域を含めることができる。また第4級アンモニウム化合物は、多孔質基体の孔内に配置することができる。更に第4級アンモニウム化合物は、物質(例えば液体)が内部に溶け込んだものとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は第4級アンモニウム化合物及びその利用方法に関する。とくにイオン伝導方法、イオン伝導に適する化合物、及びその化合物の具体的構造について言及するが、それらに限定されるものではない。更にイオン性液体を提供し、物質を溶かす方法についても言及する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】国際公開第00/06610号パンフレット
【特許文献2】国際公開第00/06533号パンフレット
【特許文献3】国際公開第00/06658号パンフレット
【特許文献4】国際公開第01/36510号パンフレット
【特許文献5】国際公開第01/40874号パンフレット
【特許文献6】国際公開第01/74919号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
イオン伝導物質の製造又は利用に対する関心が高まっている。様々な種類のイオン伝導ポリマーが知られているが、おそらくナフィオン(登録商標)が最も知られているであろう。しかしポリマーは本質的に固体材料であることが多い。本発明は、所望の用途に応じて物理的属性の調整(適合)が可能な非ポリマー性のイオン伝導物質を提供する。とくに、電解液として使用可能なイオン伝導液を提供する。その他の用途についても説明する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の側面において本発明は、第4級アンモニウム化合物を備え又は供給し、その第4級アンモニウム化合物にイオン伝導を生じさせる伝導方法を提供するものである。
【0005】
好ましくは、第4級アンモニウム化合物をイオン性液体(液相)とする。イオン性液体とは一般に100℃以下で液体の塩類であると理解されている。本発明の幾つかの実施例では室温下におけるイオン性液体、例えば25℃又はそれ以下の温度で液体の塩類とする。第4級アンモニウム化合物を大気圧下の20℃で液体のものとしてもよい。それに代えて、第4級アンモニウム化合物をそのような条件下で固体(固相)のものとしてもよい。
【0006】
第4級アンモニウム化合物は、溶媒との混合物(又は溶解物)として備え又は供給することができる。溶媒により液体混合物の生成を援助し、純粋な第4級アンモニウム化合物と純粋な溶媒とを用いた場合に比して利点が得られる。溶媒の一例は水、アルコール、又は炭酸プロピレンである。典型的には混合物中の溶媒含有量を10重量%以下、好ましくは5重量%以下とするが、溶媒含有量をそれ以上(例えば25重量%又はそれ以上)とすることも可能である。
【0007】
第4級アンモニウム化合物は、陰イオン伝導及び陽イオン伝導(プロトン伝導を含む)による伝導性を示すものとすることができる。
【0008】
特許文献1〜6は、単数又は複数のジエニル末端基を有する複数の化合物の重合により得られるポリマー類を開示している。それらの文献の内容は、すべて引用により本明細書の一部分に含める。これらの文献は、そのポリマー類に対応するモノマー類の調製についても言及しているが、主に開示されたポリマー類の属性について関心を寄せている。しかし驚くべきことに、本発明者らの調査研究によれば、これらの文献に一般的に開示されたポリマー類に対応する幾つかのモノマー類がイオン伝導性を有しており、以下に述べるその他の有用な属性及び用途を有していることが見出された。
【0009】
そこで好ましくは、前述した第4級アンモニウム化合物をジエニル第4級アンモニウムとし、更に好ましくは部分式[I]の基を含むジエニル第4級アンモニウムとする。

式[I]において、R及びRは(CR又はCR10基、CRCR10基、若しくはCR10CR基から相互に依存せず独立に選択され(nは0、1又は2)、R及びRは水素、ハロゲン基又はヒドロカルビル基(炭化水素基)から独立に選択され、R又はR10の何れか一方が水素で他方が電子求引基であるか又はR及びR10が一緒になって電子求引基を形成し、
及びRはCH又CR11(R11は電子求引基)から独立に選択され、
点線は結合の存在又は欠如を表し、Xはそれに接する点線の結合が欠如している場合にCX基であると共にそれに接する点線の結合が存在している場合にCX基であり、Yはそれに接する点線の結合が欠如している場合にCY基であると共にそれに接する点線の結合が存在している場合にCY基であり、X、X、Y及びYは水素又はフッ素から独立に選択され、
は水素又はヒドロカルビル基であり、Zは電荷mの陰イオンである。
【0010】
陰イオンの特性、及び第4級窒素にぶら下がる置換基の特性を変えることにより、化合物の属性を所望の用途に適合させて調整又は仕立てることができる。これにより『用途に特有』なイオン性液体とすることができる。
【0011】
及びRは、好ましくはフルオロ(フッ素)基、クロロ(塩素)基、アルキル基又はH(水素)から独立に選択する。アルキル基の場合はメチル基が最も好ましい。R及びRを共にメチル基とした化合物を調製し、その化合物が高温においても安定していることを確認した。
【0012】
好ましい実施例では、X及びYをそれぞれ点線の結合が欠如しているCX及びCYとする。従って、好ましい化合物は式[IA]の通りである。

式[IA]においてR、R、R、R、R、R、X、X、Y及びYは前述した定義の通りである。
【0013】
本明細書において「アルキル」の用語は、炭素原子の数が20個以下の適宜数、好ましくは6個以下である直鎖又は分岐鎖のアルキル基を意味する。「アルケニル」又は「アルキニル」の用語は、例えば炭素原子の数が2〜20個、例えば2〜6個である不飽和の直鎖又は分岐鎖を意味する。各鎖にはそれぞれ1個以上の二重結合又は三重結合を含めることができる。「アリール」の用語は、フェニル基又はナフチル基のような芳香属基を意味する。
【0014】
「ヒドロカルビル」の用語は、炭素原子と水素原子とを含む任意の構造(炭化水素基)を意味する。例えば、これらの構造をアルキル、アルケニル、アルキニル、フェニル又はナフチルのようなアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルとしてもよい。これらの構造には好適には20個以下、好ましくは10個以下の炭素原子を含める。「複素環」の用語は、例えば4〜20個、好ましくは5〜10個の環状原子を有し、そのうち少なくとも1個がヘテロ原子(酸素、硫黄、窒素等)である芳香族又は非芳香族の環状構造を含む。そのような基の一例には、フリル、チエニル、ピロリル、ピロリジニル、イミダゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ベンズチアゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチエニル又はベンゾフリルが含まれる。
【0015】
「官能基」の用語は、例えばハロゲン、シアノ、ニトロ、オキソ、C(O)、OR、S(O)、NR、OC(O)NR、C(O)NR、OC(O)NR、−NRC(O)、−NRCONR、−C=NOR、−N=CR、S(O)NR、C(S)、C(S)OR、C(S)NR又は−NRS(O)の反応基を意味する。ここで、R、R及びRは水素又は任意に置換されたヒドロカルビル基(炭化水素基)から独立に選択するか、或いはR及びRによって更にS(O)、酸素、窒素のようなヘテロ原子を任意に含む任意に置換された環を形成する。nは1又は2の整数、tは0又は1〜3の整数である。とくに官能基を、例えばハロゲン、シアノ、ニトロ、オキソ、C(O)、OR、S(O)、NR、OC(O)NR、C(O)NR、OC(O)NR、−NRC(O)、−NRCONR、−NRCSNR、−C=NOR、−N=CR、S(O)NR又は−NRS(O)の反応基とする。R、R及びR、n及びtは前述した定義の通りである。
【0016】
本明細書において「ヘテロ原子」の用語は、例えば酸素、窒素又は硫黄原子等の炭素以外の原子を意味する。窒素原子が存在する場合は、一般的にアミノ残基の一部として存在しているので、例えば水素又はアルキルによって置換されているであろう。
【0017】
「アミド」の用語は、一般的にC(O)NR(R及びRは水素又は任意に置換されたヒドロカルビル基)の化学式の基を意味すると理解されている。同様に「スルホンアミド」の用語はS(O)NRの化学式の基を意味する。
【0018】
特定の実施例においてアンモニウム(アミン)部分に付加される単独又は複数の電子求引基の性質は何れも、化合物内の他の官能基の性質と同様に、その活性化に必要な二重結合に対する位置に依存している。「電子求引基」の用語の範囲には、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン基のような原子の置換基が含まれる。
【0019】
11を電子求引基とする場合は、R11をアセチル基のようなアシル基、ニトリル基又はニトロ基とすることが適している。
【0020】
好ましくは、X、X、Y、及びYを全て水素とする。
【0021】
望ましくはR基に水素又はメチル基を含め、とくに望ましくはR基を水素とする。
【0022】
陰イオンZm−の好ましい一例は、ハロゲン化物イオン、ホウ化物イオン、トリフラート(トリフルオロメタンスルホン酸)、PF、HSO、SO、HPO、イミド、又はカルボン酸エステルであり、好ましくは炭素原子の数が5個以下のアルキル基又はペルフルオロアルキル基を有するカルボン酸エステルとし、最も好ましくはオクタン酸又はペルフルオロオクタン酸とする。ヒドロカルビル基又は置換されたヒドロカルビル基部分を有する他の陰イオンとすることも可能であり、分岐ヒドロカルビル基部分を有する陰イオンを含めることもできる。多くの他の陰イオンを利用することもできる。
【0023】
式[I]の基のうち、X及びYを、それぞれ点線の結合が欠如しており且つX、X、Y及びYを全て水素としたCX及びCYとすることができる。
【0024】
第4級アンモニウム化合物は、構造式[II]の化合物とすることができる。

式[II]において、X、Y、R、R、R、R、及び点線の結合は何れも前述した式[I]に関して定義した通りであり、rは1以上の整数であり、Rは原子価rの架橋基(橋かけ基)、任意に置換されたヒドロカルビル基、ペルハロアルキル基、シロキサン基又はアミド基である。
【0025】
式[II]の化合物において、rは1とすることが望ましい。このような化合物は構造式[III]で表すことができる。

式[III]において、X、X、Y、Y、R、R、R、R及びRは何れも式[I]に関して前述した定義した通りであり、R6´は任意に置換されたヒドロカルビル基、ペルハロアルキル基、シロキサン基又はアミド基である。
【0026】
及びR6´を変えることにより、第4級アンモニウム化合物の属性を所望の用途に適合させて調整又は仕立てることができる。こうして『用途に特有』なイオン性液体とすることができる。
【0027】
本発明は他の種類の第4級アンモニウム化合物、例えばrが1より大きい式[II]の化合物に適用することも可能である。典型的な一例は、Rを架橋基(橋かけ基)とすると共にrを2以上の整数とした前述の式[II]の化合物であり、例えばrを2〜8とし、好ましくは2〜4としたものである。とくにrが2の実施例が適している。
【0028】
架橋基(橋かけ基)の一例は、表1に列挙されているように、例えばポリエチレン類、ポリプロピレン類、ナイロン類等のポリマー技術に属するものを含む。架橋(橋かけ)基の更なる一例は特許文献1に記載されている。
【0029】
【表1】

【0030】
好ましい構造式では、R及びR6´を、官能基で任意に置換又は挿入された直鎖又は分岐鎖のアルキル基とすることができる。
【0031】
またR及びR6´は、任意に置換された4個以上の炭素原子を有するヒドロカルビル基とすることができる。好ましくはR及びR6´をアルキル基とし、分岐鎖アルキル基とすることもできるが、更に好ましくは直鎖アルキル基とする。このような化合物は、極性及び非極性(疎水性)の何れの相にも親和性を有する洗浄剤(石鹸)として有効に機能する。R及びR6´には5〜20個の炭素原子を含めることができ、好ましくは8〜14個の炭素原子を含め、更に好ましくは10個の炭素原子を含める。
【0032】
とくに好ましい実施例では、出発物質を構造式[IV]の化合物とする。

【0033】
出発物質は、構造式[V]の化合物としてもよい。

【0034】
式[IV]及び[V]において陰イオンZm−はPF、ペルフルオロオクタン酸、又はトリフラート(トリフルオロメタンスルホン酸)とすることができるが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0035】
はアルキル基とすることができ、好ましくは3個より少ない炭素原子を有するアルキル基とし、更に好ましくはメチル基とする。或いはRを水素としてもよい。Rを水素とした実施例は、プロトン伝導機構を提供するために有用である。
【0036】
及びR6´はペルハロアルキル基とすることができ、例えば1〜3個の炭素原子を有するペルハロメチル基、とくにペルフルオロメチル基とすることができる。
【0037】
第4級アンモニウム化合物には、実質上の疎水性領域を含めることができる。そのような領域によって洗浄剤としての属性を付与し、非極性溶媒を溶け込ませる(又は溶解させる)ことが可能となる。実質上の疎水性領域は任意に置換されたヒドロカルビル基とすることができ、好ましくは4個以上の炭素原子、更に好ましくは5〜20個の炭素原子、最も好ましくは8〜14個の炭素原子を含むアルキル基とすることができる。実質上の疎水性領域はR、R、又はR6´とすることができる。
【0038】
第4級アンモニウム化合物は、例えばセラミック(陶磁)、ゼオライト(沸石)、又はポリマー(重合体)である多孔質基体(ポーラス状基体)の孔内に配置することができる。多孔質基体は微小孔付きとすることができる。例えば、伸長されたPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の微小孔付きポリマー基体を用いることができる。基体は膜としてもよい。
【0039】
第4級アンモニウム化合物が内部に配置された多孔質基体は、イオン伝導膜の形状とすることができる。そのような伝導膜は、例えば燃料電池等の多数の用途を有している。固体(固相)の第4級アンモニウム化合物は、そのような用途にとくに適している。
【0040】
第4級アンモニウム化合物は、物質(例えば液体)が内部に溶け込んだものとすることができる。そのような物質は非極性(疎水性)の液体とすることができ、例えば石油又はディーゼル等の燃料とすることができる。そのような用途には、洗浄剤の属性を有する第4級アンモニウム化合物を用いることができる。
【0041】
それに加えて又は代えて、第4級アンモニウム化合物内に触媒材を溶け込ませることができる。
【0042】
好ましい実施例では、第4級アンモニウム化合物を、燃料電池の一部分としてイオン伝導を行う。
【0043】
他の好ましい実施例では、第4級アンモニウム化合物を、電気化学的プロセス内でイオン伝導を行う。そのような実施例では、液体(液相)の第4級アンモニウム化合物を、電気化学的プロセスにおける水又は非水性の溶媒と置き換えることができる。液体の第4級アンモニウム化合物(以下、第4級アンモニウム化合物液ということがある)は電解液として機能させることができる。第4級アンモニウム化合物液中には、用途に応じて所望のイオン及び/又は他の物を共存させることができる。そのような用途には、電気メッキ、好ましくは金属(アルミニウムやチタン等)の電気メッキ、電気研磨(電気仕上げ)、電気採取、電気合成等が含まれる。第4級アンモニウム化合物には、電気化学的プロセスの一部分として金属化合物を溶け込ませることができる。
【0044】
イオン伝導性第4級アンモニウム化合物を用いた電気化学的プロセスでは、その第4級アンモニウム化合物に電気化学的プロセスで生じた複数の気体(ガス)を溶け込ませることができる。そのような気体が透過できる半透性膜を設けことができ、それにより電気化学的プロセスの周辺部の活動を促進する(刺激する)ことができる。このような実施態様には、不所望な抵抗の激しい動揺(変動)を引き起こす気体の泡(ガス泡)の生成を抑制し又は防ぐことができる利点がある。
【0045】
第4級アンモニウム化合物は、電着法によって堆積(又は被覆)させることができるが、無電解的(化学的)に堆積(又は被覆)させることもできる。無電解的な堆積は、セル横断方向の電位差又は電流の流れを用いることなく第4級アンモニウム化合物を堆積させる無電解メッキ槽内での堆積とすることができる。
【0046】
第2の側面において本発明は、液体(液相)の第4級アンモニウム化合物を備え、その第4級アンモニウム化合物液に物質を接触させてその物質を第4級アンモニウム化合物液に溶け込ませる物質溶解方法を提供するものである。
【0047】
第4級アンモニウム化合物には、1以上の物質を溶け込ませることができる。
【0048】
物質は、極性物質又は非極性物質とすることができる。
【0049】
好ましい実施例では、物質を触媒材とし、例えばプラチナ又はパラジウム等の貴金属である金属製物質とすることができる。こうすれば均一系触媒プロセスを提供することができる。
【0050】
第4級アンモニウム化合物は、本発明の第1の側面において定義されたものとすることができるが、幾つかの実施例では第4級アンモニウム化合物がイオン伝導性であることを必要としない。
【0051】
物質は固体(固相)としてもよく、好ましい実施例ではその固体を電解質とする。
【0052】
それに代えて又は加えて、物質を気体(ガス)としてもよい。気体を溶け込ませる機能は、とくに電気化学的プロセスにおいて有用である。溶け込んだ気体は第4級アンモニウム化合物液から開放することができ、例えば第4級アンモニウム化合物液に加わる大気圧力を変化させることにより気体の開放を制御することができる。
【0053】
それに代えて又は加えて、物質を液体(液相)としてもよい。そのような液体は非極性(疎水性)とすることができる。そのような実施例の第4級アンモニウム化合物は、本発明の第1の側面において定義されたものとすることができる。とくに洗浄剤の属性を有する第4級アンモニウム化合物とすることができ、非極性液体の溶解に適合させることができる。典型的な第4級アンモニウム化合物は実質上の疎水性領域を含む。実質上の疎水性領域によって洗浄剤としての属性を付与し、非極性液体を第4級アンモニウム化合物に溶け込ませることが可能となる。実質上の疎水性領域は、任意に置換されたヒドロカルビル基とすることができる。任意に置換されたヒドロカルビル基はアルキル基とすることができ、好ましくは4個以上の炭素原子、更に好ましくは5〜20個の炭素原子、最も好ましくは8〜14個の炭素原子を含むアルキル基とすることができる。
【0054】
好ましくは、第4級アンモニウム化合物を、前に定義した部分式[I]の基を含むものとする。更に好ましくは、出発物質を前に定義した構造式[III]の化合物とし、R及びR6´を任意に置換されたヒドロカルビル基とする。
【0055】
非極性液体は燃料とすることができ、好ましくは石油又はディーゼルとする。
【0056】
好ましくは、燃料と触媒材とを第4級アンモニウム化合物に溶け込ませる。
【0057】
第4級アンモニウム化合物は、電気化学的プロセス内の電解液として機能させることができる。第4級アンモニウム化合物中には金属塩を溶け込ませることができ、例えば金属メッキ等の電気メッキ、電気研磨(電気仕上げ)、電気採取の用途に利用することができる。
【0058】
それに代えて、第4級アンモニウム化合物を無電解的メッキプロセス等の無電解的堆積(又は被覆)プロセスにおける溶媒として用いることができ、例えば一例として第4級アンモニウム化合物に金属を溶け込ませたのち、その第4級アンモニウム化合物に接触する表面上にメッキを施す。このようなプロセスにより、例えば銅を堆積させる(又は被覆する)ことができる。
【0059】
イオン伝導属性と非極性液体の溶解性能とを共に備えた第4級アンモニウム化合物は非常に有用であり、燃料電池等の用途に用いることができる。
【0060】
他の実施例において、第4級アンモニウム化合物に物質を溶け込ませることにより、共融(共晶)液体を形成することができる。この場合の物質は、液体又は固体とすることができる。
【0061】
他の実施例では、物質が溶け込んだ第4級アンモニウム化合物を重合させるステップを含む。第4級アンモニウム化合物を重合させる方法は、特許文献1〜6に開示されている。好ましい実施例では、物質を廃棄物とする。望ましくは廃棄物を、第4級アンモニウム化合物の重合により形成された固体ポリマーから分離された廃液とする。
【0062】
更に他の実施例では、第4級アンモニウム化合物を化学的又は生化学的反応の溶媒として用い、それに溶け込ませる物質を化学的又は生化学的反応の単独又は複数の試薬とする。化学的反応には有機又は無機合成反応が含まれる。生化学反応には第4級アンモニウム化合物への酵素の溶解を含めることができる。酵素は有機溶媒内において機能停止(不活性化)しうるが、本発明の第4級アンモニウム化合物内においては酵素が機能を維持(活性化)しており、所要の反応を生起させる。このような用途の範囲にはバイオテクノロジーが含まれる。
【0063】
第3の側面において本発明は、液体(液相)の第4級アンモニウム化合物が含まれる混合物を表面に接触させてその表面上に被覆を形成する表面被覆方法を提供するものである。第4級アンモニウム化合物は、本発明の第1の側面において定義されたものとすることができる。
【0064】
好ましい実施例では、混合物を塗料(ペンキ)とする。混合物には、所望の色彩とするための顔料又は他の添加物を含めることができる。それに代えて、第4級アンモニウム化合物の置換基として適当な発色団を設けることにより、第4級アンモニウム化合物それ自体により所望の色彩とすることができる。『不乾性(いつまでも乾燥しない)塗料』とすることにより好ましい用途、例えば防盗用その他の用途が生じる。本発明により提供される多くの第4級アンモニウム化合物は蒸気圧が低い又は無視できるので、湿潤状態の維持が要求される塗料その他の被覆として用いることができる。第4級アンモニウム化合物の性質は、塗料その他の被覆を設けるべき基体又は基質に適合させて調整又は仕立てることができる。第4級アンモニウム化合物に疎水性の置換基を設けることにより、耐候性の向上を図ることができる。
【0065】
幾つかの実施例では、第4級アンモニウム化合物がイオン伝導性であることを必要としない。しかし他の実施例では、第4級アンモニウム化合物をイオン伝導性とすることにより、被覆に伝導性を付与することができる。
【0066】
第4の側面において本発明は、多孔質基体(ポーラス状基体)と、その多孔質気体の孔内に配置されたイオン伝導性第4級アンモニウム化合物とを備えた構造体を提供するものである。第4級アンモニウム化合物及び多孔質基体は、それぞれ本発明の第1の側面において定義されたものとすることができる。
【0067】
第5の側面において本発明は、イオン伝導性第4級アンモニウム化合物を含む燃料電池を提供するものである。第4級アンモニウム化合物は、本発明の第1の側面において定義されたものとすることができる。第4級アンモニウム化合物は固体又は液体とすることができる。
【0068】
第4級アンモニウム化合物が液体である場合は、第4級アンモニウム化合物は電解液として機能する。第4級アンモニウム化合物は、燃料電池に導入された液体燃料を溶け込ませるために用いることができる。液体燃料は石油又はディーゼルとすることができる。また、第4級アンモニウム化合物に触媒材を更に溶け込ませることができ、それによって均一系触媒作用を生起させることができる。触媒の一例はプラチナ又はパラジウムである。
【0069】
第6の側面において本発明は、物質が溶け込んだ第4級アンモニウム化合物液を提供するものである。第4級アンモニウム化合物液は、本発明の第1の側面において定義されたものとすることができる。
【0070】
物質は燃料とすることができる。
【0071】
それに加えて又は代えて、物質を触媒材とすることができる。第4級アンモニウム化合物液はイオン伝導性とすることができる。
【0072】
第7の側面において本発明は、第4級アンモニウム化合物液が含まれる被覆材を提供するものである。第4級アンモニウム化合物液は、本発明の第1の側面において定義されたものとすることができる。
【0073】
被覆材は、塗料(ペンキ)とすることができる。
【0074】
また、第4級アンモニウム化合物はイオン伝導性とすることができる。
【0075】
第8の側面において本発明は、第4級アンモニウム化合物を備え、その第4級アンモニウム化合物に物質を混合して共融(共晶)液体を形成する共融液体の形成方法を提供するものである。
【0076】
第4級アンモニウム化合物は、本発明の第1の側面において定義されたものとすることができる。固体の第4級アンモニウム化合物を用いることも可能であるが、第4級アンモニウム化合物を液体とすることができる。溶け込ませる物体は液体又は固体とすることができる。共融液体の形成を促進するために適当な反応条件、例えば加熱等を用いることができる。物質は第4級アンモニウム化合物の陰イオンと相互作用させることができ、例えば水素結合によって第4級アンモニウム化合物の陰イオンと相互作用する少なくとも1個の水素原子を物質に含めることができる。
【0077】
第9の側面において本発明は、第4級アンモニウム化合物のイオン性液体を可塑化剤として含む可塑化ポリマー材を提供するものである。
【0078】
本発明のイオン性液体は、非常に安定なものとすることができ、蒸気圧を低く又は無視できる程度とすることができる。従来の可塑剤は緩やかに蒸発するのでポリマー材を経年的に壊れやすく(脆く)してひび割れを生じさせることが知られている。本発明は、可塑剤として第4級アンモニウム化合物のイオン性液体を用いることによってこれらの問題を解決することができ、とくに長い使用期間が要求されるポリマーに有益である。
【0079】
第10の側面において本発明は、第4級アンモニウム化合物のイオン性液体をポリマー材の可塑化剤として用いる可塑化方法を提供するものである。
【0080】
第11の側面において本発明は、第4級アンモニウム化合物のイオン性液体を含む潤滑剤を提供するものである。潤滑剤は、第4級アンモニウム化合物のイオン性液体のみで構成してもよいが、他の構成要素を含めてもよい。この潤滑剤は、高温(例えば200℃より高い温度)で使用可能な潤滑剤として用いることができる。
【0081】
第12の側面において本発明は、第4級アンモニウム化合物のイオン性液体を潤滑剤として用いる潤滑化方法を提供するものである。
【0082】
第13の側面において本発明は、特定物質を含む混合試料を第4級アンモニウム化合物のイオン性液体に接触させ、その混合試料から特定物質を選択的に吸収する選択的物質吸収方法を提供するものである。
【0083】
試料は固体、液体、気体、又は複数相が混合したものとすることができ、例えば複数相が単純混合したもの又はコロイド状に分散したものとすることができる。
【0084】
試料の一例は燃料である。
【0085】
特定物質は硫黄含有化合物及び/又は窒素含有化合物とすることができ、例えば燃料中の硫黄及び/又は窒素含有不純物とすることができる。
【0086】
この方法は、例えばガスクロマトグラフィー技術又は液体クロマトグラフィー技術等の分析分離(精製)プロセスの一部分として実施することができる。
【0087】
以上、本発明について説明したが、本発明は前述した構成又は後述する構成の発明的な組み合わせにも拡張される。
【実施例1】
【0088】
式(1)に示す目標分子を調製する。

無水エタノール中に1,10−ジブロモデカン(23.8g)とジアリルアミン(15.4g)とKCO(58.0g)とを混合し、凝縮器上で乾燥用アームにより一晩還流させた。TLC(薄層クロマトグラフィー)を用いて反応の進行を確認した。固体のKBr及び過剰のKCOは、濾過により溶媒から取り除いた。エタノールは、残留ジアリルアミンと共にロータリー式蒸発によって取り除いた。この時点で合成物内に出現する固体のKBrは、ジクロロメタン(DCM)に溶かして濾過することができる。乾燥シリカゲルを用いてアンモニウム化合物を取り出し、ドライDCMにより洗い出した。メタノール又はドライDCM中のアンモニウム化合物の溶液に、ヒドロペルフルオロ酸(HPF)の6M水溶液を加えてpH5〜6程度の混合液とした。最後に、水を蒸発させて第4級アンモニウム化合物を残し、得られた第4級アンモニウム化合物が伝導性であることを確認した。確認された伝導性は100kΩcm−2であった。
【実施例2】
【0089】
ペルフルオロオクタン酸でアニオンを置換することにより、式(1)の目標分子の類似化合物を調製した。この類似化合物の調整方法は、ヒドロペルフルオロ酸(HPF)に代えてペルフルオロオクタン酸の水溶液を用いた点を除き、前述した実施例1の方法と同様である。これにより得られた第4級アンモニウム化合物は、実施例1の第4級アンモニウムよりも僅かに高い伝導性を示すことを確認した。
【実施例3】
【0090】
トリフラートをアニオンとして用いることにより、式(1)の目標分子の類似化合物を調製した。この類似化合物の調整方法は、ヒドロペルフルオロ酸(HPF)に代えてトリフラート(トリフルオロメタンスルホン酸、CFSOH)を用いた点を除き、前述した実施例1の方法と同様である。得られた類似化合物の伝導性は160kΩcm−2であった。
【0091】
ブロモアルカンとジアリルアミンとKCOとを用いた反応スキームは、本発明の様々な用途に用いるモノマーの調製に使用する方法として一般的である。2つのジエニル末端基を有するモノマーを調製する場合は、2箇所で置換されたブロモアルカン(とくにアルキル鎖の何れか一端がブロモ基で置換されたブロモアルカン)を用いる。単独のジエニル末端基を有するモノマーを調製する場合は、1箇所で置換されたブロモアルカンを用いればよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第4級アンモニウム化合物を備え、その第4級アンモニウム化合物にイオン伝導を生じさせてなる伝導方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、前記第4級アンモニウム化合物をイオン性液体としてなる伝導方法。
【請求項3】
請求項2の方法において、前記第4級アンモニウム化合物を大気圧下の20℃で液体のものとしてなる伝導方法。
【請求項4】
請求項1から3の何れかの方法において、前記第4級アンモニウム化合物を溶媒との混合物として備えてなる伝導方法。
【請求項5】
請求項4の方法において、前記混合物中の溶媒含有量を10重量%以下、又は5重量%以下としてなる伝導方法。
【請求項6】
請求項1から5の何れかの方法において、前記第4級アンモニウム化合物をジエニル第4級アンモニウムとしてなる伝導方法。
【請求項7】
請求項6の方法において、前記第4級アンモニウム化合物に部分式[I]の基を含めてなる伝導方法。

(ここで、R及びRは(CR又はCR10基、CRCR10基、若しくはCR10CR基から相互に依存せず独立に選択され(nは0、1又は2)、R及びRは水素、ハロゲン基又はヒドロカルビル基(炭化水素基)から独立に選択され、R又はR10の何れか一方が水素で他方が電子求引基であるか又はR及びR10が一緒になって電子求引基を形成し、
及びRはCH又CR11(R11は電子求引基)から独立に選択され、
点線は結合の存在又は欠如を表し、Xはそれに接する点線の結合が欠如している場合にCX基であると共にそれに接する点線の結合が存在している場合にCX基であり、Yはそれに接する点線の結合が欠如している場合にCY基であると共にそれに接する点線の結合が存在している場合にCY基であり、X、X、Y及びYは水素又はフッ素から独立に選択され、
は水素又はヒドロカルビル基(炭化水素基)であり、Zは電荷mの陰イオンである)
【請求項8】
請求項7の方法において、陰イオンZm−をハロゲン化物イオン、ホウ化物イオン、トリフラート(トリフルオロメタンスルホン酸)、PF、HSO、SO、HPO、イミド、カルボン酸エステル、炭素原子の数が5個以下のアルキル基又はペルフルオロアルキル基を有するカルボン酸エステル、オクタン酸、又はペルフルオロオクタン酸としてなる伝導方法。
【請求項9】
請求項7又は8の方法において、式[I]の基のうちX及びYをそれぞれ点線の結合が欠如しているCX及びCYとし、X、X、Y及びYを全て水素としてなる伝導方法。
【請求項10】
請求項7から9の何れかの方法において、前記第4級アンモニウム化合物を構造式[II]の化合物としてなる伝導方法。

(ここで、X、Y、R、R、R、R、及び点線の結合は何れも請求項7で定義した通りであり、rは1以上の整数であり、Rは原子価rの架橋基(橋かけ基)、任意に置換されたヒドロカルビル基(炭化水素基)、ペルハロアルキル基、シロキサン基又はアミド基である)
【請求項11】
請求項7から10の何れかの方法において、前記第4級アンモニウム化合物を構造式[III]の化合物としてなる伝導方法。

(ここで、X、X、Y、Y、R、R、R、R及びRは何れも請求項7で定義した通りであり、R6´は任意に置換されたヒドロカルビル基(炭化水素基)、ペルハロアルキル基、シロキサン基又はアミド基である)
【請求項12】
請求項10の方法において、rを2としてなる伝導方法。
【請求項13】
請求項10から12の何れかの方法において、R又はR6´を、官能基で任意に置換又は挿入された直鎖又は分岐鎖のアルキル基としてなる伝導方法。
【請求項14】
請求項10から13の何れかの方法において、R及びR6´を、任意に置換された4個以上の炭素原子を有するヒドロカルビル基(炭化水素基)としてなる伝導方法。
【請求項15】
請求項14の方法において、R及びR6´を、アルキル基又は直鎖アルキル基としてなる伝導方法。
【請求項16】
請求項15の方法において、R及びR6´に、5〜20個の炭素原子、8〜14個の炭素原子、又は10個の炭素原子を含めてなる伝導方法。
【請求項17】
請求項15の方法において、前記第4級アンモニウム化合物を構造式[IV]の化合物としてなる伝導方法。

【請求項18】
請求項7から17の何れかの方法において、Rをアルキル基、3個より少ない炭素原子を有するアルキル基、又はメチル基としてなる伝導方法。
【請求項19】
請求項1から18の何れかの方法において、前記第4級アンモニウム化合物に実質上の疎水性領域を含めてなる伝導方法。
【請求項20】
請求項19の方法において、前記実質上の疎水性領域を、任意に置換されたヒドロカルビル基(炭化水素基)としてなる伝導方法。
【請求項21】
請求項20の方法において、前記疎水性領域をアルキル基、4個以上の炭素原子を含むアルキル基、5〜20個の炭素原子を含むアルキル基、又は8〜14個の炭素原子を含むアルキル基としてなる伝導方法。
【請求項22】
請求項10から21の何れかに従属する請求項19から21の何れかの方法において、前記実質上の疎水性領域をR、R、又はR6´としてなる伝導方法。
【請求項23】
請求項1から22の何れかの方法において、前記第4級アンモニウム化合物を多孔状基体の孔内に配置してなる伝導方法。
【請求項24】
請求項23の方法において、前記多孔状基体を微小孔付きとしてなる伝導方法。
【請求項25】
請求項22又は23の方法において、前記多孔状基体をセラミックとしてなる伝導方法。
【請求項26】
請求項22又は23の方法において、前記多孔状基体をゼオライトとしてなる伝導方法。
【請求項27】
請求項22又は23の方法において、前記多孔状基体をポリマーとしてなる伝導方法。
【請求項28】
請求項24に従属する請求項27の方法において、前記基体を、伸長された微小孔付きPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)基体としてなる伝導方法。
【請求項29】
請求項1から28の何れかの方法において、前記第4級アンモニウム化合物を、物質が内部に溶け込んだものとしてなる伝導方法。
【請求項30】
請求項29の方法において、前記物質を非極性液体としてなる伝導方法。
【請求項31】
請求項30の方法において、前記非極性液体を燃料としてなる伝導方法。
【請求項32】
請求項31の方法において、前記燃料を石油又はディーゼルとしてなる伝導方法。
【請求項33】
請求項29から32の何れかの方法において、前記第4級アンモニウム化合物内に触媒材を溶け込ませてなる伝導方法。
【請求項34】
請求項1から33の何れかの方法において、前記第4級アンモニウム化合物を、燃料電池の一部分としてイオン伝導を行うものとしてなる伝導方法。
【請求項35】
請求項1から33の何れかの方法において、前記第4級アンモニウム化合物を、電気化学的プロセス内でイオン伝導を行うものとしてなる伝導方法。
【請求項36】
請求項35の方法において、前記電気化学的プロセスを電気メッキ、電気研磨、又は電気採取としてなる伝導方法。
【請求項37】
液体の第4級アンモニウム化合物を備え、その第4級アンモニウム化合物液に物質を接触させてその物質を第4級アンモニウム化合物液に溶け込ませてなる物質溶解方法。
【請求項38】
請求項37の方法において、前記物質を極性物質としてなる物質溶解方法。
【請求項39】
請求項37の方法において、前記物質を非極性物質としてなる物質溶解方法。
【請求項40】
請求項37から39の何れかの方法において、前記物質を触媒材としてなる物質溶解方法。
【請求項41】
請求項37から40の何れかの方法において、前記物質を固体としてなる物質溶解方法。
【請求項42】
請求項41の方法において、前記物質を電解質としてなる物質溶解方法。
【請求項43】
請求項37から39の何れかの方法において、前記物質を気体としてなる物質溶解方法。
【請求項44】
請求項43の方法において、前記第4級アンモニウム化合物液から溶け込んだ気体を制御可能に開放してなる物質溶解方法。
【請求項45】
請求項37から40の何れかの方法において、前記物質を液体としてなる物質溶解方法。
【請求項46】
請求項39に従属する請求項45の方法において、前記物質を非極性液体としてなる物質溶解方法。
【請求項47】
請求項46の方法において、前記非極性液体を燃料としてなる物質溶解方法。
【請求項48】
請求項47の方法において、前記燃料を石油又はディーゼルとしてなる物質溶解方法。
【請求項49】
請求項40に従属する請求項47又は48の方法において、前記燃料と触媒材とを第4級アンモニウム化合物液に溶け込ませてなる物質溶解方法。
【請求項50】
請求項37の方法において、前記第4級アンモニウム化合物を、電気化学的プロセス内の電解液として機能させてなる物質溶解方法。
【請求項51】
請求項37の方法において、前記第4級アンモニウム化合物を、無電解的堆積プロセスにおける溶媒として用いてなる物質溶解方法。
【請求項52】
請求項45の方法において、共融液体を形成してなる物質溶解方法。
【請求項53】
請求項37から41の何れかの方法において、前記物質が溶け込んだ第4級アンモニウム化合物を重合させるステップを更に含めてなる物質溶解方法。
【請求項54】
請求項53の方法において、前記物質を廃棄物としてなる物質溶解方法。
【請求項55】
請求項54の方法において、前記廃棄物を、前記第4級アンモニウム化合物の重合により形成された固体ポリマーから分離された廃液としてなる物質溶解方法。
【請求項56】
請求項37の方法において、前記第4級アンモニウム化合物を化学的又は生化学的反応の溶媒として用い、前記物質をその化学的又は生化学的反応の単独又は複数の試薬としてなる物質溶解方法。
【請求項57】
請求項56の方法において、前記反応を有機又は無機合成反応としてなる物質溶解方法。
【請求項58】
請求項56の方法において、前記反応を、前記第4級アンモニウム化合物への酵素の溶解を含む生化学反応としてなる物質溶解方法。
【請求項59】
液体の第4級アンモニウム化合物が含まれる混合物を表面に接触させてその表面上に被覆を形成する表面被覆方法。
【請求項60】
請求項59の方法において、前記混合物を塗料としてなる表面被覆方法。
【請求項61】
請求項59又波60の方法において、前記第4級アンモニウム化合物をイオン伝導性とすることにより、前記被覆に伝導性を付与してなる表面被覆方法。
【請求項62】
多孔質基体と、その多孔質気体の孔内に配置された第4級アンモニウム化合物とを備えてなる構造体。
【請求項63】
イオン伝導性第4級アンモニウム化合物を含む燃料電池。
【請求項64】
請求項63の燃料電池において、前記第4級アンモニウム化合物を液体としてなる燃料電池。
【請求項65】
請求項64の燃料電池において、前記燃料電池内の第4級アンモニウム化合物に前記燃料電池に導入された液体燃料を溶け込ませてなる燃料電池。
【請求項66】
請求項64又は65の燃料電池において、前記燃料電池内の第4級アンモニウム化合物に触媒材を溶け込ませてなる燃料電池。
【請求項67】
物質が溶け込んだ第4級アンモニウム化合物液。
【請求項68】
請求項67の第4級アンモニウム化合物液において、前記物質を燃料としてなる第4級アンモニウム化合物液。
【請求項69】
請求項67又は68の第4級アンモニウム化合物液において、前記物質を触媒材としてなる第4級アンモニウム化合物液。
【請求項70】
請求項67から69の何れかの第4級アンモニウム化合物液において、前記第4級アンモニウム化合物をイオン伝導性としてなる第4級アンモニウム化合物液。
【請求項71】
第4級アンモニウム化合物液を含む被覆材。
【請求項72】
請求項71の被覆材において、前記被覆材を塗料としてなる被覆材。
【請求項73】
請求項71又は72の被覆材において、前記第4級アンモニウム化合物をイオン伝導性としてなる被覆材。
【請求項74】
第4級アンモニウム化合物を備え、その第4級アンモニウム化合物に物質を混合して共融液体を形成してなる共融液体の形成方法。
【請求項75】
第4級アンモニウム化合物のイオン性液体を可塑化剤として含む可塑化ポリマー材。
【請求項76】
第4級アンモニウム化合物のイオン性液体をポリマー材の可塑化剤として用いる可塑化方法。
【請求項77】
第4級アンモニウム化合物のイオン性液体を含む潤滑剤。
【請求項78】
第4級アンモニウム化合物のイオン性液体を潤滑剤として用いる潤滑化方法。
【請求項79】
特定物質を含む混合試料を第4級アンモニウム化合物のイオン性液体に接触させ、その混合試料から特定物質を選択的に吸収してなる選択的物質吸収方法。
【請求項80】
請求項79の方法において、前記試料を燃料としてなる選択的物質吸収方法。
【請求項81】
請求項79の方法において、分析分離プロセスの一部分として実施してなる選択的物質吸収方法。
【請求項82】
請求項81の方法において、前記分析分離プロセスをクロマトグラフィー技術としてなる選択的物質吸収方法。
【請求項83】
図面を参照して実質上明細書に記載され又は図面に記載された方法、構造体、燃料電池、第4級アンモニウム化合物液、被覆材、共融液体。

【公表番号】特表2009−531402(P2009−531402A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502199(P2009−502199)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001084
【国際公開番号】WO2007/110621
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(508081097)イオニック・ポリマー・ソリューションズ・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】