説明

第VII因子ポリペプチドの液状水性医薬組成物

【課題】化学的および/または物理的分解に対して安定化された、第VII因子ポリペプチドを含有する液状水性医薬組成物、このような組成物を製造および使用するための方法、並びにかかる組成物を含有するバイアル、および第VII因子反応性症候群の治療法の提供。
【解決手段】少なくとも0.01 mg/mLの第VII因子ポリペプチド(i)と;pHを約4.0〜約9.0の範囲に維持するのに適した緩衝剤(ii)と;-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含んでなる少なくとも一つの安定化剤(iii)、例えばベンズアミジン化合物、アルギニンのようなグアニジン化合物と;を含有してなる、液状水性医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第VII因子ポリペプチドを含有する液状水性医薬組成物、このような組成物を製造および使用するための方法、並びにかかる組成物を含有する容器、および第VII因子反応性症候群の治療におけるこのような組成物の使用に向けられている。更に特定すると、本発明は、化学的および/または物理的分解に対して安定化された液状組成物に関する。
【発明の背景】
【0002】
血漿糖タンパク質である第VII因子(FVII)を含めて、血液凝固プロセスに関与する種々の因子が同定されてきた。凝集は、血管壁の損傷後に、循環する血液に露出される組織因子(TF)と、全FVIIタンパク質量の約1%に対応する量で循環系中に存在するFVIIaとの間の複合体の形成によって開始される。FVIIは、主に一本鎖のチモーゲンとして血漿中に存在し、これはFXaによってその活性形である二本鎖のFVIIaへと開裂される。組換え型の活性化された第VIIa因子(rFVIIa)が、止血促進剤として開発されてきた。RFVIIaの投与は、抗体形成のため他の血液凝固因子で治療できない出血を伴った血友病患者において、迅速かつ非常に有効な止血反応を提供する。第VII因子欠乏を伴う患者、又は正常な凝固系を有するが、過剰な出血をしている患者の出血もまた、FVIIaを用いて首尾よく治療することができる。
【0003】
保存および送達の両方に適した第VII因子の投与形態を得るのが望ましい。理想的には、当該薬物は液体として保存および投与される。或いは、該薬物は凍結乾燥され、次いで患者に使用する前に適切な希釈剤を添加することによって再構成される。理想的には、該薬物は長期間(6月以上)の保存に対して充分な安定性を有する。
【0004】
完成した薬物を液体のまま維持するか、またはそれを凍結乾燥するかの決定は、通常、これらの形態でのタンパク質薬物の安定性に基づくものである。タンパク質の安定性は、なかでもイオン強度、pH、温度、凍結/解凍の反復サイクル数、剪断力への露出等の因子によって影響される可能性がある。変性および凝集(可溶性および不溶性凝集物の形成)を含む物理的不安定性、並びに、例えば少し挙げただけでも加水分解、脱アミノ化および酸化を含む化学的不安定性の結果として、活性タンパク質は失われる。タンパク質医薬の安定性の概説については、例えば、Manning, et al., Pharmaceutical Research 6:903-918 (1989)を参照されたい。
【0005】
タンパク質の不安定性の可能な発生は広範に認められるが、特定のタンパク質の特定の不安定性についての問題を予測することは不可能である。これらの不安定性は何れも、低下した活性、増大した毒性および/または増大した免疫原性をもったタンパク質の副生成物または誘導体の形成を生じる可能性がある。実際に、タンパク質の沈降は、血栓症、投与剤形および投与量の不均一性、並びにシリンジの詰りを生じる可能性がある。更に、例えばN末端における一定のグルタミン酸残基のγカルボキシル化、および炭化水素側鎖の追加のような翻訳後修飾は、保存に際して修飾を受け易い可能性のある潜在的部位を提供する。また、セリンプロテアーゼである第VII因子に特異的なものとして、自己触媒による断片化(酵素的分解)を生じる可能性がある。従って、タンパク質の如何なる組成物の安全性および効率も、その安定性に直接関連している。液体形態における安定性を維持することは、分子運動についての高度に増大した能力およびそれによる分子間相互作用の増大に起因して、一般に凍結乾燥形態での安定性を維持することとは異なっている。濃縮形態での安定性の維持もまた、増大したタンパク質濃度における凝集形成の性向のために、上記のものとは異なる。
【0006】
液状組成物を開発するときは、多くの因子が考慮される。6月未満の短期の場合、液体の安定性は、変性および凝集のような全体の構造的変化の回避に依存する。これらのプロセスは、多くのタンパク質についての文献に記載されており、安定化剤の多くの例が存在する。一つのタンパク質を安定化させる上で有効な薬剤が、実際にはもう一つのタンパク質を不安定化させるように作用することが周知である。タンパク質が全体の構造的変化に対して安定化されたら、長期安定性(例えば6月を越える)の液体組成物の開発は、当該タンパク質を、該タンパク質に特異的な分解に対して更に安定化させることに依存する。分解の更に具体的な種類には、例えば、ジスルフィド結合スクランブリング、一定の残基の酸化、脱アミノ化、環化が含まれる可能性がある。個々の分解種を正確に指摘することは常に可能というわけではないが、微細な変化をモニターするためのアッセイを開発して、問題のタンパク質を独特に安定化させるための特定の賦形剤の能力をモニターする。
【0007】
当該組成物のpHは、注射/注入の際に生理学的に適切な範囲にあることが望ましく、そうでないと、患者の痛みまたは不快感を生じる可能性がある。
【0008】
タンパク質組成物の一般的な概説については、例えば、Cleland et al.: The development of stable protein compositions: A closer look at protein aggregation, deamidation and oxidation, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 1993, 10(4): 307-377;およびWang et al., Parenteral compositions of proteins and peptides: Stability and stabilizers, Journal of Parenteral Science and Technology 1988 (Supplement), 42 (2S)を参照されたい。
【0009】
第VII因子は、幾つかの分解経路、特に凝集(二量体化)、酸化、自己分解開裂(ペプチド骨格のクリッピングまたは「重鎖分解」)を受ける。更に、沈殿を生じる可能性がある。これら反応の多くは、該タンパク質から水を除去することよって、顕著に遅くすることができる。しかし、第VIIa因子の水性組成物の開発は、再構成エラーを排除することによって投与量の精度を高め、また該製品の臨床的使用を単純化することによって患者のコンプライアンスを高める利点を有する。理想的には、第VII因子の組成物は、広範なタンパク質濃度に亘って6月以上安定であるべきである。これは、投与方法における融通性を可能にする。一般に、より高濃度の形態はより低容量の投与を可能にし、これは患者の観点から非常に望ましいものである。液体組成物は、投与および使用の容易さに関して、凍結乾燥製品に比較して多くの利点を有することができる。
【0010】
今日、組換えにより製造された唯一の商業的に入手可能なFVIIポリペプチド組成物は、使用前に再構成される凍結乾燥された第VIIa製品である;これは比較的低濃度、例えば約0.6 mg/mLの第VIIa因子を含有している。NovoSeven(登録商標;Novo Nordisk A/S、デンマーク国)のバイアル(1.2 mg)は、1.2 mgの組換えヒト第VIIa因子、5.84 mgのNaCl、2.94 mgのCaCl2、2 H2O、2.64 mgのグリシルグリシン(GlyGly)、0.14 mgのポリソルベート80、および60.0 mgのマンニトールを含んでいる;それは、注射(FWI)のために2.0 mLの水によってpH 5.5に再構成される。再構成されたときに、タンパク質は使用のために24時間は安定である。従って、そのまま使用でき、または濃縮された液状の第VII因子製品は、現在のところ商業的に入手可能ではない。
【0011】
従って、本発明の目的は、酵素的分解生成物または自己触媒分解生成物のような化学的および/または物理的分解生成物の許容可能な制御をあたえる、第VII因子ポリペプチドの液状水性医薬組成物を提供することである。
【発明の概要】
【0012】
本発明者等は、第VII因子またはその類縁体(「第VII因子ポリペプチド」)が、-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含む少なくとも一つの安定化剤(iii)と共に液状水性医薬組成物として処方されたときに、改善された安定性を示し、それによって実際に使用する前の延長された保存を可能にすることを発見した。
【0013】
従って、本発明の一つの側面は、液状水性医薬組成物であって:
少なくとも0.01 mg/mLの第VII因子ポリペプチド(i)と;
pHを約4.0〜約9.0の範囲に維持するのに適した緩衝剤(ii)と;
-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含んでなる少なくとも一つの安定化剤(iii)と;
を含有してなり、
Z1およびZ2は、-O-、-S-、-NRH-、および単結合からなる群から独立に選択され、ここでのRHは、水素、C1-4-アルキル、アリールおよびアリールメチルからなる群から選択され、またR1およびR2は独立に、水素、任意に置換されたC1-6-アルキル、任意に置換されたC2-6-アルケニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロシクリルから選択されるか、または
Z2およびR2は上記で定義した通りであり、且つ-C=N-Z1-R1がヘテロ環の一部を形成するか、または
Z1およびR1は上記で定義した通りであり、且つ-C-NH-Z2-R2がヘテロ環の一部を形成するか、または
-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2がヘテロ環を形成し、且つここでの-Z1-R1-R2-Z2-は二価の基である組成物に関する。
【0014】
本発明の第二の側面は、第VII因子ポリペプチドの液状水性医薬組成物を調製する方法であって、pHを約4.0〜約9.0の範囲に維持するのに適した緩衝剤(ii);および-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含んでなる少なくとも一つの安定化剤(iii)を含有する溶液中に、少なくとも0.01 mg/mLの濃度の第VII因子を提供する工程を具備し、
Z1およびZ2は、-O-、-S-、-NRH-、および単結合からなる群から独立に選択され、ここでのRHは、水素、C1-4-アルキル、アリールおよびアリールメチルからなる群から選択され、またR1およびR2は独立に、水素、任意に置換されたC1-6-アルキル、任意に置換されたC2-6-アルケニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロシクリルから選択されるか、または
Z2およびR2は上記で定義した通りであり、且つ-C=N-Z1-R1がヘテロ環の一部を形成するか、または
Z1およびR1は上記で定義した通りであり、且つ-C-NH-Z2-R2がヘテロ環の一部を形成するか、または
-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2がへテロ環を形成し、且つここでの-Z1-R1-R2-Z2-は二価の基である方法に関する。
【0015】
本発明の第三の側面は、医薬として使用するための、液状水性医薬組成物に関する。
【0016】
本発明の第四の側面は、第VII因子反応性症候群を治療するための医薬を製造するための、液状水性医薬組成物の使用に関する。
【0017】
本発明の第五の側面は、第VII因子反応性症候群を治療するための方法であって、それを必要としている患者に対して、有効量の液状水性医薬組成物を投与することを含んでなる方法に関する。
【0018】
本発明の第六の側面は、水性医薬組成物と、任意に不活性ガスとを含んでなる気密容器に関する。
【発明の詳細な説明】
【0019】
上記で述べた通り、本発明は、第VII因子ポリペプチドを含有する新規かつ安定化された液状水性医薬組成物の開発にある。更に詳細に言えば、液状水性医薬組成物であって:
少なくとも0.01 mg/mLの第VII因子ポリペプチド(i)と;
pHを約4.0〜約9.0の範囲に維持するのに適した緩衝剤(ii)と;
-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含んでなる少なくとも一つの安定化剤(iii)と;
を含有してなり、
Z1およびZ2は、-O-、-S-、-NRH-、および単結合からなる群から独立に選択され、ここでのRHは、水素、C1-4-アルキル、アリールおよびアリールメチルからなる群から選択され、またR1およびR2は独立に、水素、任意に置換されたC1-6-アルキル、任意に置換されたC2-6-アルケニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロシクリルから選択されるか、または
Z2およびR2は上記で定義した通りであり、且つ-C=N-Z1-R1がヘテロ環の一部を形成するか、または
Z1およびR1は上記で定義した通りであり、且つ-C-NH-Z2-R2がヘテロ環の一部を形成するか、または
-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2がヘテロ環を形成し、且つここでの-Z1-R1-R2-Z2-は二価の基である組成物にある。
【0020】
「C1-6-アルキル」の用語は、1〜6の炭素原子を有し、且つ直鎖状または分岐鎖状であってよい非環式および環式の飽和炭化水素残基を包含するものである。特定の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、シクロプロピルメチル、n-ペンチル、イソペンチル、n-ヘキシル等である。同様に、同様に、「C1-4-アルキル」の用語は、1〜4の炭素原子を有し、且つ直鎖状または分岐鎖状であってよい非環式および環式の飽和炭化水素残基を包含するものである。
【0021】
同様に、「C2-6-アルケニル」の用語は、2〜6の炭素原子を有し、一つの不飽和結合を有し、且つ直鎖状または分岐鎖状であり得る非環式および環式の炭化水素残基を包含するものである。C2-6-アルケニル基の例は、ビニル、アリル、ブタ-1-エン-1-イル、ブタ-2-エン-1-イル、ペンタ-1-エン-1-イル、およびヘキサ-1-エン-1-イルである。
【0022】
C1-6-アルキル基およびC2-6-アルケニル基に関して、「任意に置換された」の用語は、問題の基が、ヒドロキシ、C1-6-アルコキシ(即ち、C1-6-アルキル-オキシ)、C2-6-アルケニルオキシ、オキソ(ケト官能基またはアルデヒド官能基を形成する)、アリール、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルカルボニル、アミノ、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)アミノ、ハロゲンからなる群から選択された基で1回または数回、好ましくは1〜3回だけ置換されてよいことを示すものであり、ここでの如何なるアリールおよびヘテロシクリルも、以下で特に述べる任意に置換されたアリールおよびヘテロシクリルのための置換基で置換されてよい。
【0023】
「ハロゲン」には、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が含まれる。
【0024】
ここで用いるとき、「アリール」の用語は、完全にまたは部分的に芳香族性の炭素環または環系、例えばフェニル、ナフチル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、アントラセニル、フェナントラセニル、ピレニル、ベンゾピレニル、フルオレニルおよびキサンテニルを意味するものであり、中でもフェニルが好ましい例である。
【0025】
「ヘテロシクリル」の用語は、飽和の、部分的に不飽和の、部分的に芳香族性の、または完全に芳香族性の、1以上の炭素原子がヘテロ原子で置換された炭素環または環系を示すものであり、ここでのヘテロ原子は、例えば窒素原子(=N-または-NH)、硫黄原子(-S-)、および/または酸素原子(-O-)である。ヘテロシクリル基の例は、オキサゾリル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、オキサジアゾリル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピペリジニル、クマリル、フリル、キノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾジアゾリル、ベンゾキサゾリル、ジアゾリル、ジアゾリニル、ジアゾリジニル、トリアゾリル、トリアゾリニル、トリアゾリジニル、テトラゾール等である。好ましいヘテロシクリル基は、5員、6員もしくは7員の単環基、例えばオキサゾリル、イソオキサゾリニル、オキサジアゾリル、オキサジアゾリニル、ピロリル、ピロリニル、ジアゾリル、ジアゾリニル、トリアゾリル、トリアゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル等である。
【0026】
「ヘテロ環」の用語は、「ヘテロシクリル」の下で定義される環に対応した環を意味するものである。
【0027】
「アリール」、「ヘテロシクリル」および「ヘテロ環」の用語に関連して、「任意に置換された」の用語は、問題の基が1回または数回、ヒドロキシ(エノール系で存在するときは、互変異性体のケト形で表されてもよい)、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、フェニル、ベンジル、C1-6-アルコキシ、オキソ(これは互変異性体のエノール形で表されてもよい)、カルボキシ、C1-6-アルコキシシカルボニル、C1-6-アルキルカルボニル、アミノ、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)アミノ、ジハロゲン-C1-4-アルキル、トリハロゲン-C1-4-アルキル、およびハロゲンからなる群から選択される基で置換されてもよい。置換基の最も典型的な例は、ヒドロキシル、C1-4-アルキル、フェニル、ベンジル、C1-4-アルコキシシ、オキソ、アミノ、モノ-およびジ-メチルアミノおよびハロゲンである。
【0028】
R1およびR2が独立に、水素、任意に置換されたC1-6-アルキル、任意に置換されたC2-6-アルケニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロシクリルからなる群から選択され得ること以外に、-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフの一部がヘテロ環の一部であり得る一方、該モチーフの他の部分がZ1、Z2、R1およびR2についてそれぞれ定義された意味を有することも可能である。幾つかの興味深い実施形態において、-C=N-Z1-R1は、1,2-ジアゾ−ル環、イソオキサゾール環、1,2,4-トリアゾール環、および1,2,4-オキサジアゾ−ル環からなる群から選択されるヘテロ環の一部を形成してもよく、または-C-NH-Z2-R2が、1,2-ジアゾリン環、イソオキサゾリン環、1,2,4-トリアゾリン環、および1,2,4-オキサジアゾリン環からなる群から選択されるヘテロ環の一部を形成してもよい。このようなヘテロ環は、上記で述べたように置換されてもよい。
【0029】
幾つかの実施形態において、R1およびR2の少なくとも一方は水素、例えば両方が水素である。更に、上記で述べた実施形態と組み合わされてよい幾つかの実施形態において、Z1およびZ2の少なくとも一方は単結合、例えば両方が単結合である。特定の実施形態において、R1およびR2は両方が水素であり、またZ1およびZ2は両方が単結合である。
【0030】
-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフは、安定化剤の(iii)の安定化効果のために特に重要であると考えられる。特に、-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフは、第VII因子ポリペプチドの基質のアルギニン部分を模倣していると思われる。
【0031】
更に特別な実施形態において、安定化剤(iii)は、-C-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含むアミジン化合物、および>N-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含むグアニジン化合物からなる群から選択される少なくとも一つである。
【0032】
幾つかの実施形態において、安定化剤(iii)は、モチーフ-C6H4-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2を含むベンズアミジン類(ここでのC6H4は任意に置換されたベンゼン環を示す)からなる群から選択される少なくとも一つのアミジン化合物であり、その中でベンズアミジン(R1およびR2は水素、Z1およびZ2は単結合である)は特定の実施形態を構成する(実験の節を参照されたい)。
【0033】
他の特定の実施形態において、該ベンズアミジン類は、>N-C6H4-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフ(ここでのC6H4は任意に置換されたベンゼン環を意味する)を含み、即ち、o-アミノ-ベンズアミジン、m-アミノ-ベンズアミジン、またはp-アミノ-ベンズアミジンであり、そのうち現在のところp-アミノ-ベンズアミジンが最も好ましい。
【0034】
p-アミノ-ベンズアミジン類の更なる例は、AventisによるEP 1 162 194 A1(特に、請求項1〜6および段落[0009]〜[0052]に定義されたもの参照)、およびEP 1 270 551 A1(特に請求項1および2、段落[0010]〜[0032]参照)に開示されたものである。
【0035】
もう一つの実施形態において、安定化剤(iii)は、-CH2-NH-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含むグアニジン化合物類からなる群から選択される少なくとも一つのグアニジン化合物である。グアニジン化合物の例は、アルギニン、アルギニン誘導体、および少なくとも一つのアルギニン残基を含む2〜5のアミノ酸残基のペプチドからなる群から選択されるものである。アルギニンは、特定の実施形態を構成する(実験のセクションを参照されたい)。
【0036】
「アルギニン誘導体」の用語は、アルギニンの相同体、N-末端を官能化したアルギニン(例えばN-メチル化およびN-アシル化(例えばアセチル化)された誘導体)、C-末端を官能化したアルギニン(例えばC-アミド化、C-アルキルアミド化、およびC-アルキル化された誘導体)、およびそれらの組合せを包含するものである。
【0037】
上記で述べたように、安定化剤の一つの重要なモチーフは、-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2である。該安定化剤の他の部分もまた、安定化効果および患者の許容性の最適化に関して重要であり得る。典型的には、当該安定化剤は式Y-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2を有し、ここでのYは有機基である。この基Yは、典型的には安定化効果の効率を改善するために選択される。また、基Yは、式-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2の更なる1以上のモチーフを含んでもよい。
【0038】
安定化剤の分子量は、典型的には最大で1000 Da、例えば最大で500 Daである。
【0039】
本発明の化合物は、1以上の不斉中心を有する可能性があり、他に指示しない限り、分離された純粋な、もしくは部分的に精製された立体異性体、またはそのラセミ混合物としての立体異性体(光学異性体)も本発明の範囲内に含まれるものである。
【0040】
安定化剤(iii)の濃度は、典型的には少なくとも1μMである。望ましい(または必要な)濃度は、典型的には選択された一つまたは複数の安定化剤に依存し、より具体的には、選択された安定化剤の第VII因子ポリペプチドに対する結合親和性に依存する。
【0041】
異なる実施形態において、該安定化剤(iii)は、少なくとも5 μM、少なくとも10 μM、少なくとも20μM、少なくとも50μM、少なくとも100μM、少なくとも150μM、少なくとも250μM、少なくとも500μM、少なくとも1 mM、少なくとも2 mM、少なくとも4 mM、少なくとも5 mM、少なくとも8 mM、少なくとも9 mM、少なくとも10 mM、少なくとも15 mM、少なくとも20 mM、例えば、1〜10000μM、10〜10000μM、20〜10000μM、50〜10000μM、10〜5000μM、10〜2000μM、20〜5000μM、20〜2000μM、50〜5000μM、0.1〜100 mM、0.1〜75 mM、0.1〜50 mM、0.1〜10 mM、0.2〜75 mM、0.2〜50 mM、0.2〜20 mM、0.5〜75 mM、または0.5〜50 mMの範囲の濃度で存在する。
【0042】
一つの実施形態において、該安定化剤(iii)はベンズアミジンであり、該薬剤の濃度は少なくとも1 mM、例えば少なくとも2 mMであるが、置換ベンズアミジンは何等かの理由で更に強力である可能性があり、より低濃度で添加できることが想定される。
【0043】
一つの実施形態において、該安定化剤(iii)はベンズアミジンではない。
【0044】
一つの実施形態において、該安定化剤はアルギニンであり、該薬剤の濃度は少なくとも10 mM、例えば少なくとも50 mMである。
【0045】
もう一つの実施形態において、該安定化剤(iii)はp-アミノ-ベンズアミジンであり、該薬剤の濃度は少なくとも0.001 mMである。
【0046】
もう一つの実施形態において、該安定化剤(iii)は、次式のS-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-N-[1-(3-メトキシフェニル)-エチル]-アセタミドであり、
【化1】

【0047】
該薬剤の濃度は少なくとも0.001 mMである。
【0048】
もう一つの実施形態において、該安定化剤(iii)は、次式のS-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-N-(1-フェニルエチル)-アセタミドであり、
【化2】

【0049】
該薬剤の濃度は少なくとも0.001 mMである。
【0050】
もう一つの実施形態において、該安定化剤(iii)は、次式のN-(3-ブロモベンジル)-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-アセタミドであり、
【化3】

【0051】
該薬剤の濃度は少なくとも0.001 mMである。
【0052】
種々の実施形態において、該安定化剤(iii)とFVIIポリペプチドとの間のモル比(薬剤(iii):FVII)は、0.1超、0.5超、1超、2超、5超、10超、25超、100超、250超、1000超、2500超、または5000超、例えば、0.1〜10000、0.1〜5000、0.1〜2500、0.1〜1000、0.1〜250、0.1〜100、0.1〜25、0.1〜10、0.5〜10000、0.5〜5000、0.5〜2500、0.5〜1000、0.5〜250、0.5〜100、0.5〜25、0.5〜10、1〜10000、1〜5000、1〜2500、1〜1000、1〜250、1〜100;1〜25;1〜10、10〜10000、10〜5000、10〜250、1000〜10000、または1000〜5000の範囲である。
【0053】
望ましい濃度は、典型的には選択された1以上の安定化剤に依存し、より詳細には、選択された薬剤の第VII因子ポリペプチドに対する結合親和性に依存する。
【0054】
当該医薬組成物の生物学的効果は、主に第VII因子ポリペプチドの存在に帰せられるものであるが、この第VII因子ポリペプチドと組合せて他の活性成分を含めてもよい。
【0055】
ここで用いる「第VII因子ポリペプチド」の用語は、野生型の第VII因子(即ち、米国特許第4,784,950号に開示されたアミノ酸配列を有するポリペプチド)、並びに野生型第VII因子に比較して実質的に同じかまたは改善された生物学的活性を示す、第VII因子の変異体を包含するものである。「第VII因子」の用語は、その未開裂の形態の第VII因子ポリペプチド(チモーゲン)、並びに、それぞれのバイオ活性形を生じるようにタンパク分解的にプロセッシングされた第VII因子(第VIIa因子と称してもよい)を包含するものである。典型的には、第VII因子は、残基152と153の間で開裂されて第VIIa因子を生じる。また、「第VII因子ポリペプチド」の用語は、第VIIa因子の生物学的活性が実質的に修飾され、または野生形第VIIa因子の活性に比較して幾分低下した変異体を含むポリペプチドをも包含する。これらのポリペプチドには、当該ポリペプチドのバイオ活性を修飾または阻害する特定のアミノ酸配列変化が導入された第VII因子または第VIIa因子が含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
血液凝固における第VIIa因子の生物学的活性は、それが(i)組織因子(TF)に結合する能力、および(ii)第IX因子または第X因子のタンパク分解による開裂を触媒して、活性化された第IX因子または第X因子(それぞれ第IXa因子または第Xa因子)を生じる能力に由来する。
【0057】
本発明の目的について、第VII因子ポリペプチド類の生物学的活性(「第VII因子の生物学的活性」)は、血液凝固を促進する製剤の能力を測定することによって定量すればよい(ここに記載するアッセイ4参照)。このアッセイにおいて、生物学的活性は対照サンプルに対する凝血時間の減少として表され、また1 単位/mLの第VII因子活性を含むプールされたヒト血清標準と比較することにより、「第VII因子単位」に変換される。或いは、第VIIa因子活性は、(i)該第VIIa因子または第VII因子関連ポリペプチドが、脂質膜に埋め込まれたTFおよび第X因子を含んでなる系において活性化された第X因子(第Xa因子)を産生する能力を測定することによって(Persson et al., J. Biol. Chem. 272:19919-19924, 1997);(ii)水系において第X因子の加水分解を測定することによって(“In Vitro Proteolysis Assay”、後述のアッセイ2参照);(iii)表面プラズモン共鳴に基づく装置を使用して、第VIIa因子または第VII因子関連ポリペプチドのTFへの物理的結合を測定することによって(Persson, FEBS Letts. 413:359-363, 1997);(iv)第VIIa因子および/または第VII因子関連ポリペプチドによる合成基質の加水分解を測定することによって(“In Vitro Hydrolysis Assay”、後述のアッセイ1参照);または(v)TF-独立性のインビトロ系におけるトロンビンの発生を測定することによって(後述のアッセイ3参照)、定量してもよい。
【0058】
野生型第VII因子に比較して実質的に同じかまたは改善された生物学的活性を有する第VIIa因子変異体には、上記で説明した凝血アッセイ(アッセイ4)、タンパク分解アッセイ(アッセイ2)、またはTF結合アッセイの1以上で試験したときに、同じ細胞タイプ中で産生された第VIIa因子の比活性の少なくとも約25%、例えば少なくとも約50%、少なくとも約75%、または少なくとも約90%を示すものが包含される。野生型第VIIa因子に対して実質的に低下した生物学的活性を有する第VII因子変異体は、上記で説明した凝血アッセイ(アッセイ4)、タンパク分解アッセイ(アッセイ2)、またはTF結合アッセイの1以上で試験したときに、同じ細胞タイプ中で産生された第VIIa因子の比活性の約25%未満、例えば約10%未満、または約5%未満を示すものである。野生型第VII因子に対して実質的に修飾された生物学的活性を有する第VII因子変異体には、TF-独立性の第X因子タンパク分解活性を示す第VII因子変異体、およびTFに結合するが第X因子を開裂させないものが含まれるが、これらに限定されない。
【0059】
第VII因子の変異体には、野生型の第VII因子と実質的に同じかまたは更に良好なバイオ活性を示すか、または野生型の第VII因子に対して実質的に修飾または低下されたバイオ活性を示すかにかかわらず、1以上のアミノ酸の挿入、欠失または置換によって野生型第VII因子の配列とは異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれるが、これに限定されない。
【0060】
野生型第VII因子と実質的に同じ生物学的活性を有する第VII因子変異体の非限定的な例には、S52A-FVIIa、S60A-FVIIa(Lino et al., Arch. Biochem. Biophys. 352: 182-192, 1998);増大したタンパク分解安定性を示す米国特許第5,580,560号に開示されたFVIIa変異体;残基290および291の間、または残基315および316の間でタンパク分解的に開裂した第VIIa因子(Mollerup et al., Biotechnol. Bioeng. 48:501-505, 1995);第VII因子の酸化形態(Kornfelt et al., Arch. Biochem. Biophys. 363:43-54, 1999);PCT/DK02/00189に開示されたFVII変異体;および増大したタンパク分解的安定性を示すWO 02/38162に開示されたFVII変異体(Scripps Research Institute);修飾されたGla-ドメインを有し、且つ向上した膜結合性を示すWO 99/20767に開示されたFVII変異体(University of Minnesota);およびWO 01/58935に開示されたFVII変異体(Maxygen ApS)が含まれる。
【0061】
野生型FVIIaに比較して増大した生物学的活性を有する第VII因子変異体の非制限的例には、WO 01/83725、WO 02/22776、WO 02/077218、WO 03/27147、WO 03/37932;WO 02/38162 (Scripps Research Institute)に開示されたFVII変異体;およびJP 2001061479に開示された活性の向上したFVIIa変異体(Chemo-Sero-Therapeutic Res Inst.)が含まれる。
【0062】
野生型第VII因子に比較して実質的に減少または修飾された生物学的活性を有する第VII因子には、R152E-FVIIa(Wildgoose et al., Biochem 29:3413-3420, 1990)が含まれる。
【0063】
第VII因子ポリペプチドの例には、野生型の第VII因子、L305V-FVII、L305V/M306D/D309S-FVII、L305I-FVII、L305T-FVII、F374P-FVII、V158T/M298Q-FVII、V158D/E296V/M298Q-FVII、K337A-FVII、M298Q-FVII、V158D/M298Q-FVII、L305V/K337A-FVII、V158D/E296V/M298Q/L305V-FVII、V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、V158D/E296V/M298Q/L305V/K337A-FVII、K157A-FVII、E296V-FVII、E296V/M298Q-FVII、V158D/E296V-FVII、V158D/M298K-FVII、およびS336G-FVII、L305V/K337A-FVII、L305V/V158D-FVII、L305V/E296V-FVII、L305V/M298Q-FVII、L305V/V158T-FVII、L305V/K337A/V158T-FVII、L305V/K337A/M298Q-FVII、L305V/K337A/E296V-FVII、L305V/K337A/V158D-FVII、L305V/V158D/M298Q-FVII、L305V/V158D/E296V-FVII、L305V/V158T/M298Q-FVII、L305V/V158T/E296V-FVII、L305V/E296V/M298Q-FVII、L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII、L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII、L305V/V158D/E296V/K337A-FVII、L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、S314E/K316H-FVII、S314E/K316Q-FVII、S314E/L305V-FVII、S314E/K337A-FVII、S314E/V158D-FVII、S314E/E296V-FVII、S314E/M298Q-FVII、S314E/V158T-FVII、K316H/L305V-FVII、K316H/K337A-FVII、K316H/V158D-FVII、K316H/E296V-FVII、K316H/M298Q-FVII、K316H/V158T-FVII、K316Q/L305V-FVII、K316Q/K337A-FVII、K316Q/V158D-FVII、K316Q/E296V-FVII、K316Q/M298Q-FVII、K316Q/V158T-FVII、S314E/L305V/K337A-FVII、S314E/L305V/V158D-FVII、S314E/L305V/E296V-FVII、S314E/L305V/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T-FVII、S314E/L305V/K337A/V158T-FVII、S314E/L305V/K337A/M298Q-FVII、S314E/L305V/K337A/E296V-FVII、S314E/L305V/K337A/V158D-FVII、S314E/L305V/V158D/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158D/E296V-FVII、S314E/L305V/V158T/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T/E296V-FVII、S314E/L305V/E296V/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、S314E/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII、S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、K316H/L305V/K337A-FVII、K316H/L305V/V158D-FVII、K316H/L305V/E296V-FVII、K316H/L305V/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T-FVII、K316H/L305V/K337A/V158T-FVII、K316H/L305V/K337A/M298Q-FVII、K316H/L305V/K337A/E296V-FVII、K316H/L305V/K337A/V158D-FVII、K316H/L305V/V158D/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158D/E296V-FVII、K316H/L305V/V158T/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T/E296V-FVII、K316H/L305V/E296V/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、K316H/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII、K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、K316Q/L305V/K337A-FVII、K316Q/L305V/V158D-FVII、K316Q/L305V/E296V-FVII、K316Q/L305V/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158T-FVII、K316Q/L305V/K337A/V158T-FVII、K316Q/L305V/K337A/M298Q-FVII、K316Q/L305V/K337A/E296V-FVII、K316Q/L305V/K337A/V158D-FVII、K316Q/L305V/V158D/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158D/E296V-FVII、K316Q/L305V/V158T/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158T/E296V-FVII、K316Q/L305V/E296V/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、K316Q/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII、K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/K337A-FVII、F374Y/V158D-FVII、F374Y/E296V-FVII、F374Y/M298Q-FVII、F374Y/V158T-FVII、F374Y/S314E-FVII、F374Y/L305V-FVII、F374Y/L305V/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158D-FVII、F374Y/L305V/E296V-FVII、F374Y/L305V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/V158T-FVII、F374Y/L305V/S314E-FVII、F374Y/K337A/S314E-FVII、F374Y/K337A/V158T-FVII、F374Y/K337A/M298Q-FVII、F374Y/K337A/E296V-FVII、F374Y/K337A/V158D-FVII、F374Y/V158D/S314E-FVII、F374Y/V158D/M298Q-FVII、F374Y/V158D/E296V-FVII、F374Y/V158T/S314E-FVII、F374Y/V158T/M298Q-FVII、F374Y/V158T/E296V-FVII、F374Y/E296V/S314E-FVII、F374Y/S314E/M298Q-FVII、F374Y/E296V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/K337A/V158D-FVII、F374Y/L305V/K337A/E296V-FVII、F374Y/L305V/K337A/M298Q-FVII、F374Y/L305V/K337A/V158T-FVII、F374Y/L305V/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V-FVII、F374Y/L305V/V158D/M298Q-FVII、F374Y/L305V/V158D/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/E296V/V158T-FVII、F374Y/L305V/E296V/S314E-FVII、F374Y/L305V/M298Q/V158T-FVII、F374Y/L305V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158T/S314E-FVII、F374Y/K337A/S314E/V158T-FVII、F374Y/K337A/S314E/M298Q-FVII、F374Y/K337A/S314E/E296V-FVII、F374Y/K337A/S314E/V158D-FVII、F374Y/K337A/V158T/M298Q-FVII、F374Y/K337A/V158T/E296V-FVII、F374Y/K337A/M298Q/E296V-FVII、F374Y/K337A/M298Q/V158D-FVII、F374Y/K337A/E296V/V158D-FVII、F374Y/V158D/S314E/M298Q-FVII、F374Y/V158D/S314E/E296V-FVII、F374Y/V158D/M298Q/E296V-FVII、F374Y/V158T/S314E/E296V-FVII、F374Y/V158T/S314E/M298Q-FVII、F374Y/V158T/M298Q/E296V-FVII、F374Y/E296V/S314E/M298Q-FVII、F374Y/L305V/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/K337A/S314E-FVII、F374Y/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/K337A/S314E-FVII、F374Y/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/V158D/E296V/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158D/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/S314E-FVII、F374Y/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/V158T/E296V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158T/K337A/S314E-FVII、F374Y/V158T/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/V158T/E296V/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/V158T/M298Q/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158T/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158T/E296V/S314E-FVII、F374Y/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII、F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/V158T/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T-FVII、F374Y/L305V/E296V/K337A/V158T/S314E-FVII、F374Y/L305V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII、S52A-第VII因子、S60A-第VII因子;
R152E-第VII因子、S344A-第VII因子、第VII因子a lacking the Gla domain;およびP11Q/K33E-FVII、T106N-FVII、K143N/N145T-FVII、V253N-FVII、R290N/A292T-FVII、G291N-FVII、R315N/V317T-FVII、K143N/N145T/R315N/V317T-FVII;並びに233Thr〜240Asnのアミノ酸配列における置換、付加または欠失を有するFVII、304Arg〜329Cys のアミノ酸配列における置換、付加または欠失を有するFVII、およびIle153〜Arg223のアミノ酸配列における置換、付加または欠失を有するFVIIが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
幾つかの実施形態において、当該第VII因子ポリペプチドはヒト第VIIa因子(hFVIIa)であり、好ましくは、組換えにより製造されたヒト第VII因子a(rhVIIa)である。
【0065】
他の実施形態において、当該第VII因子ポリペプチドは第VII因子の配列変異体である。
【0066】
幾つかの実施形態において、当該第VII因子ポリペプチドは、野生型ヒト第VII因子とは異なる糖鎖を有する。
【0067】
種々の実施形態、例えば、当該第VII因子ポリペプチドが第VII因子関連ポリペプチド または第VII因子の配列変異体である実施形態において、該第VII因子ポリペプチドの活性と天然のヒト第VIIa因子(野生型FVIIa)の活性との間の比は、本明細書に記載する「インビトロタンパク分解アッセイ」(アッセイ2)で試験したときに、少なくとも約1.25、好ましくは少なくとも約2.0もしくは4.0、最も好ましくは少なくとも約8.0である。
【0068】
幾つかの実施形態において、当該第VII因子ポリペプチドは第VII因子関連ポリペプチド、特に、第VII因子ポリペプチドの活性と天然のヒト第VIIa因子(野生型FVIIa)の活性との間の比が、「インビトロ加水分解アッセイ」(アッセイ1)で試験したときに少なくとも約1.25の変異体であり;他の実施形態では、この比が少なくとも約2.0であり;更なる実施形態では、この比が少なくとも約4.0である。
【0069】
医薬組成物において、当該活性成分の濃度は、多くの場合、単位投与量の適用が患者に対して不必要な不快感を生じさせないようなものであることが望ましい。従って、約2〜10 mLを越える単位投与量は望ましくないことが多い。よって、本発明の目的に関して、第VII因子ポリペプチドの濃度は少なくとも0.01 mg/mLである。別の実施形態において、第VII因子ポリペプチドは、0.01〜20 mg/mL;0.1〜20 mg/mL;0.1〜15 mg/mL;0.1〜10 mg/mL;0.5〜5.0 mg/mL;0.6〜4.0 mg/mL;1.0〜4.0 mg/mL;0.1〜5 mg/mL;0.1〜4.0 mg/mL;0.1〜2 mg/mL;または0.1〜1.5 mg/mLの濃度で存在する。
【0070】
第VIIa因子の濃度は、mg/mLまたはIU/mLとして表すのが便利であり、1 mgは通常は43,000〜56,000単位以上に相当する。
【0071】
ヒト等の哺乳類への直接的な非経腸的投与に有用な液状水性医薬組成物とするためには、通常、該組成物のpH値を一定の限界、例えば約4.0〜約9.0内に維持することが必要とされる。所定の条件下で適切なpH値を保証するために、当該医薬組成物は、pHを約4.0〜約9.0の範囲内に維持するための適切な緩衝剤(ii)を含有する。
【0072】
「緩衝剤」の用語には、溶液のpHを約4.0〜約9.0の許容可能な範囲に維持する薬剤または薬剤の組合せが含まれる。
【0073】
一つの実施形態において、該緩衝剤(ii)は、MES、PIPES、ACES、BES、TES、HEPES、TRIS、ヒスチジン(例えばL-ヒスチジン)、イミダゾール、グリシン、グリシルグリシン、グリシンアミド、リン酸(例えばリン酸ナトリウムまたはカリウム)、酢酸(例えば酢酸アンモニウム、ナトリウムまたはカルシウム)、乳酸、グルタル酸、クエン酸(例えばクエン酸ナトリウムまたはカリウム)、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、およびコハク酸の、酸および塩からなる群から選択される少なくとも一つの成分である。該緩衝剤は、特定の範囲のpH値を提供できる二以上の成分の混合物からなってよいことが理解されるべきである。例として、酢酸および酢酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0074】
緩衝剤の濃度は、当該溶液の好ましいpHを維持するように選択される。種々の実施形態において、緩衝剤の濃度は1〜100 mM;1〜50 mM;1〜25 mM;または2〜20 mMである。
【0075】
一つの実施形態において、該組成物のpHは、約4.0〜約9.0;約5.0〜約9.0;約5.0〜約8.0;例えば約5.0〜約7.5;約5.0〜約7.0;約5.0〜約6.5;約5.0〜約6.0;約5.5〜約7.0;約5.5〜約6.5;約6.0〜約7.0;約6.0〜約6.5;約6.3〜約6.7、または約5.2〜約5.7に保たれる。
【0076】
三つの必須成分に加えて、この液状水性医薬組成物は、該組成物の調製、処方、安定性、または投与のために有益な追加の成分を含有してよい。
【0077】
従って、当外医薬組成物はまた、非イオン性界面活性剤を含有してよい。表面活性剤(洗浄剤としても知られる)には、一般に、当該タンパク質を空気/溶液界面で誘導されるストレス、および溶液/表面に誘導されるストレス(例えばタンパク質凝集を生じる)から保護する薬剤が含まれる。
【0078】
典型的なタイプの非イオン性表面活性剤は、ポリソルベート、ポロクサマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレン/ポリプロピレンブロック共重合体、ポリエチレングリコール(PEG)、ステアリン酸ポリオキシエチレン、およびポリオキシエチレンひまし油である。
【0079】
非イオン性表面活性剤を例示すると、ツイーン(登録商標)、ポリソルベート20、ポリソルベート80、Brij-35(ポリオキシエチレンドデシルエーテル)、ポロクサマー188、ポロクサマー407、PEG8000、プルロニック(登録商標)ポリオール、ポリオキシ-23-ラウリルエーテル、Myrj 49、およびクレモホアAである。
【0080】
一つの実施形態において、非イオン性表面活性剤は、0.005〜2.0重量%の量で存在する。
【0081】
また、当該組成物は更に、張性修飾剤(v)を含有してもよい。
【0082】
ここで使用する「張性修飾剤」の用語には、該溶液の浸透圧に寄与する薬剤が含まれる。該張性修飾剤(v)には、中性塩、アミノ酸、2〜5アミノ酸残基のペプチド、単糖、二糖、多糖、および糖アルコールからなる群から選択される少なくとも一つの薬剤が含まれる。幾つかの実施形態において、当該組成物は二以上のこのような薬剤の組合せを含有する。
【0083】
「中性塩」の用語は、水溶液中に溶解されたときに酸でも塩基でもない塩を意味する。
【0084】
一つの実施形態において、少なくとも一つの張性修飾剤(v)は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、およびマグネシウム塩、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、レブリン酸カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、およびレブリン酸マグネシウムからなる群から選択される中性塩である。
【0085】
更なる実施形態において、張性修飾剤(v)には、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、塩化マグネシウムおよび酢酸マグネシウムからなる群から選択された少なくとも一つとの塩化ナトリウムの組合せが含まれる。
【0086】
更なる実施形態において、張性修飾剤(v)は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、蔗糖、グルコースおよびマンニトールからなる群ぁら選択される少なくとも一つである。
【0087】
異なる実施形態において、張性修飾剤(v)は、少なくとも1 mM、少なくとも5 mM、少なくとも10 mM、少なくとも20 mM、少なくとも50 mM、少なくとも100 mM、少なくとも200 mM、少なくとも400 mM、少なくとも800 mM、少なくとも1000 mM、少なくとも1200 mM、少なくとも1500 mM、少なくとも1800 mM、少なくとも2000 mM、または少なくとも2200 mMの濃度で存在する。
【0088】
一連の実施形態において、張性修飾剤(v)は、5〜2200 mM、例えば25〜2200 mM、50〜2200 mM、100〜2200 mM、200〜2200 mM、400〜2200 mM、600〜2200 mM、800〜2200 mM、1000〜2200 mM、1200〜2200 mM、1400〜2200 mM、1600〜2200 mM、1800〜2200 mM、または2000〜2200 mM;5〜1800 mM、25〜1800 mM、50〜1800 mM、100〜1800 mM、200〜1800 mM、400〜1800 mM、600〜1800 mM、800〜1800 mM、1000〜1800 mM、1200〜1800 mM、1400〜1800 mM、1600〜1800 mM;5〜1500 mM、25〜1400 mM、50〜1500 mM、100〜1500 mM、200〜1500 mM、400〜1500 mM、600〜1500 mM、800〜1500 mM、1000〜1500 mM、1200〜1500 mM;5〜1200 mM、25〜1200 mM、50〜1200 mM、100〜1200 mM、200〜1200 mM、400〜1200 mM、600〜1200 mM、または800〜1200 mMの濃度で存在する。
【0089】
本発明の一つの実施形態において、少なくとも一つの張性修飾剤(v)は、イオン強度修飾剤(v/a)である。
【0090】
ここで使用する「イオン強度修飾剤」の用語には、当該溶液のイオン強度に寄与する薬剤が含まれる。該薬剤には、中性塩、アミノ酸、2〜5アミノ酸残基のペプチドが含まれるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、該組成物は二以上のこのような薬剤を組合せて含有する。
【0091】
イオン強度修飾剤(v/a)の非限定的例は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムのような中性塩である。一つの実施形態において、該薬剤(v/a)は塩化ナトリウムである。
【0092】
「イオン強度」の用語は、式:μ=1/2Σ([i](Zi2))によって定義される溶液のイオン強度(μ)であり、ここでのμはイオン強度、[i]はイオンのミリモル濃度、Zi は当該イオンの電荷(+または−)である(例えば、Solomon, Journal of Chemical Education, 78(12):1691-92, 2001;James Fritz and George Schenk: Quantitative Analytical Chemistry, 1979参照)。
【0093】
ホン発明の異なる実施形態において、当該組成物のイオン強度は、少なくとも50 mM、例えば、少なくとも75 mM、少なくとも100 mM、少なくとも150 mM、少なくとも200 mM、少なくとも250 mM、少なくとも400 mM、少なくとも500 mM、少なくとも650 mM、少なくとも800 mM、少なくとも1000 mM、少なくとも1200 mM、少なくとも1600 mM、少なくとも2000 mM、少なくとも2400 mM、少なくとも2800 mM、または少なくとも3200 mMである。
【0094】
幾つかの特定の実施形態において、張性修飾剤(v)およびイオン強度修飾剤(v/a)の合計濃度は、張性およびイオン強度に影響し得る他の何れかの成分に応じて、1〜1000 mM、例えば 1〜500 mM、1〜300 mM、10〜200 mM、もしくは20〜150 mM;または例えば100〜1000 mM、200〜800 mM、or 500〜800 mMである。
【0095】
一つの実施形態において、当該組成物は等張性であり、もう一つの実施形態では高張性である。
【0096】
「等張性」の用語は、「血清に対して等張性」、即ち、約300±50 milliosmol/kgであることを意味する。この張性は、投与前の当該溶液の浸透圧の尺度であることを意味する。 「高張性」の用語は、血清の生理学的レベルを超える浸透圧レベル、例えば300±50 milliosmol/kgを越えるレベルを指定することを意味する。
【0097】
また、本発明の特定の実施形態は、完全に高濃度のイオン強度修飾剤(v/a)との安定化剤(iii)の組み合わせに関する。その一つの実施形態において、イオン強度修飾剤(v/a)はナトリウム塩、カルシウム塩、およびマグネシウム塩からなる群から選択される。この実施形態において、イオン強度修飾剤(v/a)、即ち、ナトリウム塩、カルシウム塩および/またはマグネシウム塩は、15〜1500 mM、例えば15〜1000 mM、25〜1000 mM、50〜1000 mM、100〜1000 mM、200〜1000 mM、300〜1000 mM、400〜1000 mM、500〜1000 mM、600〜1000 mM、700〜1000 mM;15〜800 mM、25〜800 mM、50〜800 mM、100〜800 mM、200〜800 mM、300〜800 mM、400〜800 mM、500〜800 mM;15〜600 mM、25〜600 mM、50〜600 mM、100〜600 mM、200〜600 mM、300〜600 mM;15〜400 mM、25〜400 mM、50〜400 mM、または100〜400 mMの濃度で存在する。
【0098】
これらの実施形態内において、ナトリウム塩は塩化ナトリウムであってよく、カルシウム塩は、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、およびレブリン酸カルシウムからなる群から選択されてよく、マグネシウム塩は、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、レブリン酸マグネシウム、および強酸のマグネシウム塩からなる群から選択されてよい。更に特殊な実施形態においては、カルシウム塩および/またはマグネシウム塩が塩化ナトリウムと組合せて用いられる。
【0099】
一つの実施形態において、当該組成物は、カルシウム(Ca2+)塩およびマグネシウム(Mg2+)塩、例えば、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、レブリン酸カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、レブリン酸マグネシウム、強酸のマグネシウム塩からなる群から選択される1以上イオン強度修飾剤を含有する。
【0100】
一つの実施形態において、カルシウム(Ca2+)および/またはマグネシウム(Mg2+)は、少なくとも約0.1 μM、例えば少なくとも約0.5 μM、少なくとも約1μM、少なくとも約5μM、少なくとも約10μM、少なくとも約50μM、少なくとも約100μM、少なくとも約1 mM、少なくとも約2 mM、少なくとも約5 mM、または少なくとも約10mMの濃度で存在する。特定の実施形態において、当該組成物は少なくとも2 mMのCa2+を含有する。
【0101】
種々の実施形態において、カルシウムイオン(Ca2+)および/またはマグネシウムイオン(Mg2+)とFVIIポリペプチドとの間の比は、0.001〜750;0.001〜250;0.001〜100;0.001〜10;0.001〜1.0;0.001〜0.5;0.5〜750;0.5〜250;0.5〜100;0.5〜10;0.5〜1.0;0.001〜0.4999;0.005〜0.050である。
【0102】
本発明の一つの実施形態において、第VII因子ポリペプチドに対する非複合体化カルシウム(Ca2+)および/またはマグネシウム(Mg2+)のモル比は、0.5未満、例えば0.001〜0.499の範囲、例としては0.005〜0.050、または0.000〜0.499の範囲、例として0.000〜0.050の範囲、または約0.000である。本発明の一実施形態において、第VII因子ポリペプチドに対する非複合体化カルシウム(Ca2+)のモル比は、0.5未満、例えば0.001〜0.499の範囲、例として0.005〜0.050、または0.000〜0.499の範囲、例として0.000〜0.050の範囲、または約0.000である。
【0103】
ここで用いる「非複合体化カルシウム および/または マグネシウムイオンの濃度」の用語は、カルシウムイオンおよび/またはマグネシウムイオンの全濃度と、カルシウム/マグネシウムのキレート化剤に結合したカルシウムおよび/またはマグネシウムの濃度との間の差を意味するものである。この点において、カルシウムおよび/またはマグネシウムは一定条件の下で第VII因子ポリペプチドに結合または会合するに至ることが予想されるが、第VII因子ポリペプチドは「カルシウム/マグネシウムのキレート化剤」とはみなされない。
もう一つの実施形態において、第VII因子ポリペプチドに対する非複合化カルシウムイオンおよび/またはマグネシウムイオンのモル比は、0.5以上である。もう一つの実施形態において、第VII因子ポリペプチドに対する非複合化カルシウムイオンおよび/またはマグネシウムイオンのモル比は、0.5以上である。もう一つの実施形態において、第VII因子ポリペプチドに対する非複合化カルシウムイオンのモル比は、0.5以上である。
カルシウムイオンおよび/またはマグネシウムイオン(Ca2+)と第VII因子ポリペプチドとの間の低い相対比を得るためには、例えばCa2+および/またはMg2+を除去するのに適した条件下で該組成物をイオン交換材料と接触させることによって、過剰なカルシウムイオンおよび/またはマグネシウムイオンを除去し、またはまたは過剰なカルシウムおよび/またはマグネシウムイオンに結合結合(錯化)させるために、カルシウム/マグネシウムのキレート化剤を添加することが必要または望ましいかもしれない。これは、該製剤化工程の前の処理工程から得られる溶液中において、カルシウムイオンおよび/またはマグネシウムイオンと第VII因子ポリペプチドとの間の比が、上記の制限を越える場合に特に関連している。「カルシウム/マグネシウムのキレート化剤」の例には、EDTA、クエン酸、NTA、DTPA、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、HIMDA、ADAおよびこれらの類似化合物が含まれる。
【0104】
更なる実施形態において、当該組成物は更に抗酸化剤(vi)を含有する。種々の実施形態において、この抗酸化剤は、L-メチオニン、D-メチオニン、メチオニン類縁体、メチオニン-含有ペプチド、メチオニン-相同体、アスコルビン酸、システイン、ホモシステイン、グルタチオン、シスチン、およびシスタチオニンからなる群から選択される。特定の実施形態において、該抗酸化剤はL-メチオニンである。
【0105】
抗酸化剤の濃度は、典型的には0.1〜5.0 mg/mL、例えば0.1〜4.0 mg/mL、0.1〜3.0 mg/mL、0.1〜2.0 mg/ml、または0.5〜2.0 mg/mLである。
【0106】
特定の実施形態において、当該組成物は抗酸化剤を含んでおらず、その代りに大気中の空気を排除することによって、第VII因子ポリペプチドの酸化され易さを抑制する。勿論、抗酸化剤の使用と空気の排除を組合せてもよい。
【0107】
従って、本発明はまた、ここで定義した液状水性医薬組成物および任意に不活性ガスを収容する気密容器(例えば瓶またはカートリッジ(例えばペンアプリケータのためのカートリッジ)を提供する。
【0108】
該不活性ガスは、窒素、アルゴン等からなる群から選択されてよい。この容器(例えば瓶またはカートリッジ)は、典型的にはガラスまたはプラスチック製、特にガラス製であり、任意にゴム製隔壁、または当該薬学的組成物の完全性を維持しながら穿通を可能にする他の閉鎖手段によって閉鎖される。その特定の実施形態において、当該組成物は保存剤(vii)を含有しない。更なる実施形態において、該容器は、例えばラミネートバッグ(例えばアルミニウムのような金属をラミネートしたプラスチックバッグ)のような密封バッグの中に封入された瓶またはカートリッジである。
【0109】
必須の成分、非イオン性表面活性剤(iv)、張性修飾剤(v)および任意の抗酸化剤に加えて、当該医薬組成物は更に保存剤(vii)を含有してもよい。
【0110】
保存剤は、微生物の増殖を遅延させて第VII因子ポリペプチドの「多回使用」パッケージを可能にするために、当該組成物中に含められてよい。保存剤の例には、フェノール、ベンジルアルコール、オルトクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、メチル パラベン、プロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、および塩化ベンゼトニウムが含まれる。該保存剤は、pH範囲および保存剤の種類に応じて、通常は0.1〜20 mg/mLの濃度で含められる。
【0111】
更に、当該組成物はまた、脱アミノ化および異性化を阻止できる1以上の薬剤を含んでよい。
【0112】
一つの実施形態において、当該水性液状の薬剤組成物は、
0.1〜20 mg/mLの第VII因子ポリペプチド(i)と;
pHを約4.0〜約9.0の範囲に維持するのに適した緩衝剤(ii)と;
少なくとも5μMの濃度の、-C6H4-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含んでなる少なくとも一つの安定化剤(iii)と;
非イオン性表面活性剤(iv)と;
少なくとも5 mMの濃度の浸透圧調節剤と;
を含有してなるものである。
【0113】
もう一つの実施形態において、当該液状水性医薬組成物は、
0.1〜10 mg/mLの第VII因子ポリペプチド(i)と;
pHを約4.0〜約9.0の範囲に維持するのに適した緩衝剤(ii)と;
少なくとも500μMの濃度の、-CH2-NH-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含んでなる少なくとも一つの安定化剤(iii)と;
非イオン性表面活性剤(iv)と;
少なくとも5 mMの濃度の少なくとも一つの浸透圧調節剤と;
を含有してなるものである。
【0114】
ここで用いるとき、「約」として特定されるpH値は±0.1であると理解され、例えば約pH 8.0はpH 8.0±0.1を含むものである。
【0115】
パーセンテージは、溶液中に溶解された固体および溶液中に混合された液体の何れを言うときにも、(重量/重量)である。例えばツイーン(登録商標)について、それは100%ストックの重量/溶液の重量である。
【0116】
本発明による組成物は、安定な、好ましくはそのまま使用できる第VII因子ポリペプチドの組成物として有用である。更に、ここに与えられる原理、ガイドラインおよび特定の実施形態は、第VII因子ポリペプチドのバルク保存についても、必要な変更を施して等しく適用可能である。該組成物は、2℃〜8℃の温度で保存したときに、典型的には少なくとも6月間、好ましくは36月まで安定である。該組成物は、2℃〜8℃で少なくとも6月間保存したときに、化学的および/または物理的に安定であり、特に化学的に安定である。
【0117】
「安定である」の用語は、(i)2℃〜8℃で6月間保存した後、本質的に本明細書のアッセイ4に記載したのと同じ一段階凝血アッセイで測定したときに、当該組成物が、初期生物学的活性の少なくとも50%を保持すること、または(ii)2℃〜8℃で6月間保存した後、重鎖分解生成物の含量の増加が、第VII因子ポリペプチドの初期含量の40%(w/w)以下であることを意味するものである。
【0118】
「初期含量」の用語は、当該組成物の調製の再に該組成物に添加された第VII因子ポリペプチドの量に関連する。
【0119】
一つの実施形態において、該安定な組成物は、2〜8℃で6月間保存した後に、その初期生物学的活性の少なくとも70%、例えば少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%を維持する。
【0120】
本発明の種々の実施形態において、当該安定な組成物は更に、少なくとも30日、例えば60日または90日間保存した後、本明細書のアッセイ4に記載したのと本質的に同じ一段階凝血アッセイにより測定したときに、その初期の生物学的活性の少なくとも50%を保持する。
【0121】
種々の実施形態において、当該安定な組成物中における重鎖分解生成物の含量増大は、第VII因子ポリペプチドの初期含量の約30% (w/w)以下、約25% (w/w)以下、約20% (w/w)以下、約15% (w/w)以下、約10% (w/w)以下、約5% (w/w)以下、または約3% (w/w)以下である。
【0122】
重鎖分解生成物の含量を測定するために、サイズ5μmおよび孔サイズ300Åの4.5×250 mmのブチル結合シリカカラム上で逆相HPLCを実施した。カラム温度:70℃。A-緩衝液:0.1% v/vトリフルオロ酢酸。B-緩衝液:0.09% v/v トリフルオロ酢酸、80% v/vアセトニトリル。該カラムは、X〜(X+13)%のBの線形勾配で30分間溶出された。Xは、FVIIaが約26分の保持時間で溶出するように調節された。流速:1.0 mL/min。検出:214 nm。負荷:25μg FVIIa.
第VII因子ポリペプチドの「物理的安定性」の用語は、二量体、オリゴマーまたはポリマー形態での不溶性および/または可溶性の凝集物形成、並びに分子の何等かの構造的変形および変性に関連する。物理的に安定な組成物には、視覚的に透明なまま残る組成物が包含される。当該組成物の物理的安定性は、異なる温度で種々の期間だけ保存した後の視覚的検査および濁度によって評価されることが多い。当該組成物の視覚的検査は、暗い背景において、集光された尖鋭な光の中で行われる。当該組成物は、それが視覚的な濁りを示すときには物理的に不安定として分類される。
【0123】
「化学的安定性」の用語は、加速条件において溶液で保存したときの、第VII因子ポリペプチドにおける何等かの化学的変化の形成に関するものである。その例は、加水分解、脱アミノ化および酸化、並びに第VII因子ポリペプチドの断片の形成を生じる酵素的分解である。特に、硫黄含有アミノ酸は酸化し易く、対応するスルホキシドの形成を伴う。
【0124】
「化学的に安定である」の用語は、一段階凝血アッセイ(アッセイ4)によって測定したときに、2〜8℃で6月間保存した後に、その初期の生物学的活性の少なくとも50%を保持する組成物を言うものである。
【0125】
更なる側面において、本発明はまた、第VII因子ポリペプチドの液状水性医薬組成物を調製する方法であって、pHを約4.0〜約9.0の範囲に維持するのに適した緩衝剤(ii);および-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含んでなる少なくとも一つの安定化剤(iii)を含有する溶液中に、少なくとも0.01 mg/mLの濃度の第VII因子(i)を提供する工程を具備し、
Z1およびZ2は、-O-、-S-、-NRH-、および単結合からなる群から独立に選択され、ここでのRHは、水素、C1-4-アルキル、アリールおよびアリールメチルからなる群から選択され、またR1およびR2は独立に、水素、任意に置換されたC1-6-アルキル、任意に置換されたC2-6-アルケニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロシクリルから選択されるか、または
Z2およびR2は上記で定義した通りであり、且つ-C=N-Z1-R1がヘテロ環の一部を形成するか、または
Z1およびR1は上記で定義した通りであり、且つ-C-NH-Z2-R2がヘテロ環の一部を形成するか、または
-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2がへテロ環を形成し、且つここでの-Z1-R1-R2-Z2-は二価の基である方法を提供する。
【0126】
<使用の方法>
理解されるように、ここで定義した液状水性医薬組成物は医療分野において使用することができる。従って、本発明は特に、医薬として使用するための、更に特定すれば第VII因子反応性症候群を治療するための医薬として使用するための、水生液状の薬学的組成物を提供する。、
その結果として、本発明はまた、第VII因子反応性症候群を治療するための医薬を製造するための、ここに定義した液状水性医薬組成物の使用、並びに、第VII因子反応性症候群を治療するための方法であって、それを必要としている患者に対して、有効量のここに定義した液状水性医薬組成物を投与することを含んでなる方法を提供する。
【0127】
本発明の製剤は、例えば凝血因子欠乏によって生じるもの(血友病A、血友病B、凝固第XI因子欠乏、凝固第VII因子欠乏)、血小板減少症またはフォンビルブラント病によるもの、または凝固因子阻害剤によって生じるもの、脳内出血、または何等かの原因から生じる過剰出血を含む出血障害のような、何等かの第VII因子反応性症候群を治療するために使用してよい。当該製剤また、手術または他の外傷に関連して患者投与されてよく、または抗凝固剤両方を受けている患者に投与されてよい。
【0128】
「有効量」の用語は、望ましい反応を達成するための投与量を滴定できる資格のある医療実務者によって決定されるべき、有効な投与量である。投与量のための考慮因子には、効力、生体利用性、望ましい薬物動態学的/薬力学的プロファイル、治療の条件、患者関連因子(例えば体重、健康状態、年齢など)、併用投与薬(例えば抗凝固剤)の存在、投与の回数、または医療実務者に既知の他の因子が含まれるであろう。
【0129】
「治療」の用語は、疾患、症状または障害と闘うために、患者、例えば哺乳類、特にヒトを管理および治療することとして定義され、当該症候群または合併症の開始を防止するための第VII因子ポリペプチドの投与、当該症候群または合併症を緩和すること、または当該疾患、症状または障害を除去することが含まれる。第VII因子ポリペプチドを含有する本発明による医薬組成物は、このような治療を必要としている患者に対して非経腸的に投与されてよい。非経腸的投与は、シリンジ、任意にはペン様シリンジによる皮下注射、筋肉内注射または静脈注射によって行われてよい。或いは、非経腸的投与は、注入ポンプによって行うことができる。
【0130】
重要な実施形態において、当該医薬組成物は、当該技術において既知の方法に従って、皮下注射、筋肉内注射、または静脈注射に適合される。
【実験】
【0131】
<一般的方法>
第VII因子ポリペプチドの生物学的活性を測定するために適したアッセイ:
本発明による有用な第VII因子は、簡単な予備的インビトロ試験として実施できる適切なアッセイによって選別されてよい。従って、本明細書は第VII因子ポリペプチドの活性についての簡単な試験(「インビトロ加水分解アッセイ」と称する)を開示する。
【0132】
インビトロ加水分解アッセイ(アッセイ1):
天然の(野生型)第VIIa因子および第VII因子ポリペプチド(ここでは両者共に「第VIIa因子」と称する)は、比活性についてアッセイできる。また、それらの比活性を直接比較するために、それらを並行してアッセイしてもよい。このアッセイは、マイクロタイタープレート(MaxiSorp, Nunc, Denmark)中で行われる。発色原物質のD-Ile-Pro-Arg-p-ニトロアニリド(S-2288, Chromogenix, Sweden)、最終濃度 1 mMを、0.1 M NaCl、5 mM CaCl2および1 mg/mL ウシ血清アルブミンを含有する50 mM HEPES、pH 7.4中の第VIIa因子(最終濃度 100 nM)に添加する。405 nmでの吸光度を、SpectraMax(商標名)340 プレートリーダ(Molecular Devices, USA)中で連続的に測定する。20分のインキュベーションの間に生じた吸光度を、酵素を含まないブランクウエル中の吸光度を差引いた後に、第VII因子ポリペプチドおよび野生型第VIIa因子の活性比を計算するために使用する:
比=(第VII因子ポリペプチドの405 nmでの吸光度)
/(野生型第VIIa因子の405 nmでの吸光度)
これに基づいて、活性が天然の第VIIa因子よりも低いか、またはこれに匹敵し、またはこれよりも高い第VII因子ポリペプチド、例えば、第VII因子ポリペプチドの活性および天然の第VII因子(野生型FVII)の活性の比が、約1.0対1.0超である第VII因子を同定してよい。
【0133】
また、第VII因子ポリペプチドの活性は、100〜1000 nMの適切な濃度の第X因子のような生理学的基質を使用して測定してもよく(「インビトロのタンパク分解アッセイ)、この場合は、適切な発色原基質(例えばS-2265)を添加した後に、生成した第Xa因子が測定される。加えて、該活性のアッセイは、生理学的温度で実施してよい。
【0134】
インビトロでのタンパク分解アッセイ(アッセイ2):
天然の(野生型)第VIIa因子および第VII因子ポリペプチド(ここでは両者共に「第VIIa因子」と称する)は、それらの比活性を直接比較するために、それらを並行してアッセイしてよい。このアッセイは、マイクロタイタープレート(MaxiSorp, Nunc, Denmark)中で行われる。0.1 M NaCl、5 mM CaCl2および1 mg/mL ウシ血清アルブミンを含有する100μLのHEPES、pH 7.4中の第VII因子 (10 nM)および第X因子0.8 μM)を、15分間インキュベートする。次いで、0.1 M NaCl、20 mM EDTAおよび1 mg/mLウシ血清アルブミンを含有する50μLの50 mM HEPES、pH 7.4を添加することにより、第X因子の開裂を停止させる。生成した第Xa因子の量を、発色原基質Z-D-Arg-Gly-Arg-p-ニトロアニリド(S-2765, Chromogenix, Sweden)、最終濃度 0.5 mMを添加することにより測定する。405 nmでの吸光度を、SpectraMax(商標名)340 プレートリーダ(Molecular Devices, USA)中で連続的に測定する。20分のインキュベーションの間に生じた吸光度を、酵素を含まないブランクウエル中の吸光度を差引いた後に、第VII因子ポリペプチドおよび野生型第VIIa因子の活性比を計算するために使用する:
比=(第VII因子ポリペプチドの405 nmでの吸光度)
/(野生型第VIIa因子の405 nmでの吸光度)
これに基づいて、活性が天然の第VIIa因子よりも低いか、またはこれに匹敵し、またはこれよりも高い第VII因子ポリペプチド、例えば、第VII因子ポリペプチドの活性および天然の第VII因子(野生型FVII)の活性の間の比が約1.0対1.0超である第VII因子を同定することができる。
【0135】
トロンビン生成アッセイ(アッセイ3):
トロンビンを生成する第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドの能力は、生理学的濃度(血友病Aに似た症状のときには、マイナス第VIII因子)の関連凝固因子および阻害剤、並びに活性化された血小板(本明細書の一部として援用するMonroe et al. (1997) Brit. J. Haematol. 99, 542-547のp. 543に記載されたもの)を含んでなるアッセイ(アッセイ3)においても測定することができる。
【0136】
一段階凝固アッセイ(凝血アッセイ)(アッセイ4);
第VII因子ポリペプチドはまた、一段階凝血アッセイ(アッセイ4)を使用することにより、比活性(「凝血活性」)についてアッセイしてよい。この目的のために、試験すべきサンプルを50 mM PIPES緩衝液(pH 7.5)、0.1% BSA中に希釈し、その40μlを、40μlの第VII因子欠乏血漿、並びに10 mM Ca2+および合成リン脂質を含有する80μlのヒト組換え組織因子と共にインキュベートする。凝集時間(凝血時間)を測定し、平行ラインアッセイにおける参照標準を使用して標準曲線と比較する。
【0137】
第VII因子ポリペプチドの調製および精製:
本発明での使用に適したヒト精製第VIIa因子は、好ましくはDNA組換え技術、例えばHagen et al., Proc.Natl.Acad.Sci. USA 83: 2412-2416, 1986に記載された技術、またはヨーロッパ特許No.0 200 421(ZymoGenetics, Inc.)に記載の技術によって作製される。
【0138】
第VII因子はまた、Broze and Majerus, J.Biol.Chem. 255 (4): 1242-1247, 1980およびHedner and Kisiel, J.Clin.Invest. 71: 1836-1841, 1983に記載された技術によって製造されてよい。これらの方法は、検出可能な量の他の血液凝固因子を伴うことなく、第VII因子を生じる。最終精製工程として追加のゲル濾過を含めることにより、更に精製された第VII因子製剤を得てもよい。次いで、第VII因子は既知の手段、例えば第XIIa因子、第IX因子またはXa因子のような幾つかの異なる血漿タンパク質によって、活性化された第VIIa因子に変換される。或いは、Bjoern et al(Research Disclosure, 269 September 1986, pp. 564-565)が記載したように、第VII因子は、それをMono Q(登録商標)(Pharmacia fine Chemicals)等のようなイオン交換クロマトグラフィーカラムに通すことによって、または溶液中での自己活性化によって活性化されてよい。
【0139】
第VII因子関連ポリペプチドは、野生型第VII因子の修飾によって、または組換え技術によって作製されてよい。野生型第VII因子に比較したときにアミノ酸配列が変化している第VII因子関連ポリペプチドは、既知の手段、例えば部位特異的突然変異誘発により、天然の第VII因子をコードしている核酸において、アミノ酸コドンを変化させることにより、またはアミノ酸コドンの幾つかを除去することにより、野生型第VII因子をコードしている核酸配列を修飾することによって作成されてよい。
【0140】
第VIIa因子分子の機能に重要でない領域外で置換を行うことができ、それでも活性なポリペプチドを生じることが当業者には明らかであろう。第VII因子ポリペプチドの活性にとって必須であり、従って好ましくは置換を受けないアミノ酸残基は、当該技術において既知の方法、例えば部位指向性突然変異誘発またはアラニン走査突然変異誘発(例えばCunningham and Wells, 1989, Science 244: 1081-1085)に従って同定されてよい。後者の技術では、当該分子中の正に帯電された全ての残基に突然変異誘発が導入され、得られた変異体分子は、それぞれ該分子の活性に重要なアミノ酸残基を同定するために、凝固、架橋活性について試験される。基質−酵素相互作用の部位もまた、磁気共鳴分析、結晶学的または光親和性ラベリング等の技術によって決定される三次元構造の解析によって決定することができる(例えば、de Vos et al., 1992, Science 255: 306-312;Smith et al., 1992, Journal of Molecular Biology 224: 899-904;Wlodaver et al., 1992, FEBS Letters 309: 59-64参照)。
【0141】
一つのヌクレオチドをもう一つのヌクレオチドに変換するための、核酸配列への変異の導入は、当該技術において既知の何れかの方法を使用した部位特異的突然変異誘発によって達成されてよい。特に有用なのは、興味の対象である挿入物を備えた超螺旋の二本鎖DNAベクター、および所望の変異を含む二つの合成プライマーを利用する手法である。それぞれが当該ベクターの反対鎖に対して相補的なオリゴヌクレオチドプライマーが、温度サイクルの間に、Pfu DNAポリメラーゼによって伸張する。該プライマーの組み込みに際して、捻れたニックを含む変異したプラスミドが生じる。温度サイクルの後に、該生成物はメチル化および半メチル化されたDNAに特異的なDpnIで処理されて、親DNA鋳型が消化され、変異を含む合成DNAが選択される。変異体を作製、同定および単離するために、当該技術において既知の他の手法、例えば、遺伝子シャッフリングまたはファージディスプレー技術を使用してもよい。
【0142】
ポリペプチドのそれらの起源細胞からの分離は、当該技術において既知の何れかの方法によって達成されてよく、該方法には、所望の生成物を含む細胞培地を付着細胞培養から分離すること;非付着細胞を除去するための遠心分離または濾過等が含まれるが、これらに限定されない。
【0143】
任意に、第VII因子ポリペプチドは更に精製されてよい。精製は、当該技術において既知の何れかの方法によって達成されてよく、該方法には、例えば抗第VII因子抗体カラム上でのアフィニティークロマトグラフィー(例えばWakabayashi et al., J. Biol. Chem. 261:11097, 1986;およびThim et al., Biochem. 27:7785、1988参照);疎水性相互作用クロマトグラフィー;イオン交換クロマトグラフィー;サイズ排除クロマトグラフィー;電気泳動法(例えば、分取用等電点電気泳動(IEF))、溶解度差(例えば硫酸アンモニウム沈殿)、または抽出等が含まれる。一般的には、Scopes, Protein Purification, Springer-Verlag, New York, 1982:およびProtein Purification, J.C. Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publishers, New York, 1989を参照されたい。精製の後に、該製剤は好ましくは10重量%未満、より好ましくは5%未満、最も好ましくは1%未満の、ホスト細胞由来の非第VII因子ポリペプチドを含む。
【0144】
第VII因子ポリペプチドは、第XIIa因子またはトリプシン様の特異性を有する他のプロテアーゼ、例えば第IXa因子、カリクレイン、第Xa因子、およびトロンビンを使用して、タンパク質分解的開裂によって活性化されてよい。例えば、Osterud et al., Biochem. 11:2853 (1972);Thomasの米国特許第4,456,591号;およびHedner et al., J. Clin. Invest. 71:1836 (1983)を参照されたい。或いは、第VII因子ポリペプチドは、それをMono Q(登録商標;Pharmacia)等のようなイオン交換クロマトグラフィーカラムに通すことによって、または溶液中での自己活性化によって活性化されてよい。結果として得られた活性化された第VII因子ポリペプチドは、 次いで本出願において説明したようにして製剤化され、投与されてよい。
【0145】
以下の実施例は本発明の実施を例証するものである。これらの実施例は、零時目的だけのために含められるものであり、如何なる意味でも特許請求の範囲に記載の発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0146】
以下の実施例において、重鎖分解生成物の含量は以下に記載するRP-HPLCによって測定した。
【0147】
逆相HPLCは、粒子サイズ5μmおよび孔サイズ300Åの特許保護された4.5×250 mmのブチル結合シリカカラム上で実施された。カラム温度:70℃。A-緩衝液:0.1% v/v トリフルオロ酢酸。B-緩衝液:0.09% v/v トリフルオロ酢酸、80% v/v アセトニトリル。該カラムを、X〜(X+13)%のBの線形勾配で30分間溶出させた。Xは、第VIIa因子が約26分の保持時間で溶出するように調節された。流速:1.0 mL/min。検出:214 nm。負荷:25 μg FVIIa。
【0148】
以下の実施例において、凝血活性は、本明細書のアッセイ4で説明したのと本質的に同じ一段階凝血アッセイを使用して測定した。
実施例1:
rFVIIaの安定性に対するベンズアミジンの効果を研究するために、以下の製剤を調製した。
【0149】
<製剤 1>:
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM 酢酸ナトリウム
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
50 mM ベンズアミジン
pH = 6.5
<製剤 2>:
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM 酢酸ナトリウム
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
50 mM ベンズアミジン
pH = 7.0
<製剤 3>:
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM 酢酸ナトリウム
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
pH = 6.5
<製剤 4>:
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM 酢酸ナトリウム
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
pH = 7.0
上記の製剤は、既に上記濃度のグリシルグリシン、塩化ナトリウムおよび塩化カルシウムを含有するrFVIIaの1.0 mg/mLバルク溶液に、10 mM ヒスチジン、10 mM 酢酸ナトリウムおよび50 mM ベンズアミジン(製剤1および2についてのみ)を添加することによって調製した。pHは、1M 水酸化ナトリウムおよび1M 塩酸を用いて、最終的にはそれぞれ6.5および7.0に調節した。
【0150】
これらの製剤を5℃および30℃の温度で保存し、表(表1)に示した時点で、重鎖分解生成物の形成についての分析を行った。
【表1】

【0151】
表1から分かるように、5℃で6月保存後、参照製剤(3および4)における重鎖分解生成物含量の増加がそれぞれ34.0%および57.7%であったのに対して、実施例組成物(1および2)における重鎖分解性生物含量の増加は、それぞれ1.4%および4.2%に過ぎなかった。5℃で14月の保存後、実施例組成物(1および2)における重鎖分解生成物の含量は、それぞれ僅か3.0%および8.1%に過ぎなかった。
【0152】
上記重鎖分解生成物の含量は、以下で述べるようにしてRP-HPLCにより決定した。
【0153】
逆相HPLCは、粒子サイズ5μmおよび孔サイズ300Åの特許保護された4.5×250 mmのブチル結合シリカカラム上で実施された。カラム温度:70℃。A-緩衝液:0.1% v/v トリフルオロ酢酸。B-緩衝液:0.09% v/v トリフルオロ酢酸、80% v/v アセトニトリル。該カラムを、X〜(X+13)%のBの線形勾配で30分間溶出させた。Xは、第VIIa因子が薬26分の保持時間で溶出するように調節された。流速:1.0 mL/min。検出:214 nm。負荷:25μg FVIIa。
【0154】
実施例2
rFVIIaの安定性に対するアルギニンの効果を研究するために、以下の溶液を調製した。
【0155】
<製剤 5>:
1.0 mg/mL rFVIIa
25 mM HEPES
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
pH = 7.5
<製剤 6>:
1.0 mg/mL rFVIIa
25 mM HEPES
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
200 mM アルギニン
pH = 7.5
<製剤 7>:
1.0 mg/mL rFVIIa
20 mM ヒスチジン
20 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
pH = 7.0
<製剤 8>
1.0 mg/mL rFVIIa
50 mM ヒスチジン
50 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
200 mM アルギニン
pH = 7.0
<製剤 9>
1.0 mg/mL rFVIIa
50 mM ヒスチジン
50 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
400 mM アルギニン
pH = 7.0
上記の製剤は、既に上記濃度のグリシルグリシン、塩化ナトリウムおよび塩化カルシウムを含有するrFVIIaの1.0 mg/mLバルク溶液に、25 mM HEPES(溶液5および6)およびアルギニン(溶液6、8および9)を添加することにより調製した。pHは、1 M水酸化ナトリウムおよび1 M塩酸を用いて最終的に調節した。
【0156】
これらの製剤を5℃および30℃の温度で保存し、表2に示した時点において、実施例1と同様にして重鎖分解生成物の形成についての分析を行った。
【表2】

【0157】
実施例3
以下の液状水性医薬組成物の製剤が想定される:
A)
rhFVIIa 1 mg/mL (約50,000 IU/mL)
PIPES 15.12 mg/mL (50 mM)
ベンズアミジン 50 mM
ポロクサマー188 0.5 mg/mL
塩化ナトリウム 2.92 mg/mL (50 mM)
塩化カルシウム 2 H2O 1.47 mg/mL (10 mM)
メチオニン 0.5 mg/mL
1 M NaOH/1 M HCl pH 6.5まで添加
B)
rhFVIIa 1 mg/mL (約50,000 IU/mL)
PIPES 15.12 mg/mL (50 mM)
p-アミノベンズアミジン 10 mM
ポロクサマー188 0.5 mg/mL
塩化ナトリウム 2.92 mg/mL (50 mM)
塩化カルシウム 2 H2O 1.47 mg/mL (10 mM)
メチオニン 0.5 mg/mL
1 M NaOH/1 M HCl pH 6.5まで添加
C)
rhFVIIa 1 mg/mL (approx. 50,000 IU/mL)
PIPES 15.12 mg/mL (50 mM)
アルギニン 50 mM
ポロクサマー188 0.5 mg/mL
塩化ナトリウム 2.92 mg/mL (50 mM)
塩化カルシウム 2 H2O 1.47 mg/mL (10 mM)
1 M NaOH/1 M HCl pH 6.5まで添加
D)
rhFVIIa 1 mg/mL (約50,000 IU/mL)
PIPES 15.12 mg/mL (50 mM)
アルギニン 100 mM
ポロクサマー188 0.5 mg/mL
塩化ナトリウム 2.92 mg/mL (50 mM)
塩化カルシウム 2 H2O 1.47 mg/mL (10 mM)
1 M NaOH/1 M HCl pH 6.5まで添加
医薬組成物A〜Dは、その後、窒素またはアルゴンでフラッシュされた滅菌バイアルまたはカートリッジに移すことができ、次いでアルミニウムラミネートされた気密プラスチックバッグの中に包装することができる。
【0158】
実施例4
rFVIIaの安定性に対するベンズアミジンの効果を研究するために、以下の製剤を調製した。
【0159】
<製剤 1>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
pH = 6.5
<製剤 2>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
50 mM ベンズアミジン
pH = 6.5
<製剤 3>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
pH = 7.5
<製剤 4>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
50 mM ベンズアミジン
pH = 7.5
上記製剤は、既に上記濃度のグリシルグリシン、塩化ナトリウムおよび塩化カルシウムを含有するrFVIIaの1.0 mg/mLバルク溶液に、10 mM ヒスチジンおよび50 mM ベンズアミジン(製剤2および4についてのみ)を添加することにより調製した。pHは、1 M水酸化ナトリウムおよび1 M塩酸を用いて、最終的に6.5および7.5にそれぞれ調節した。
【0160】
これらの製剤を5℃の温度で保存し、表1に示した時点において、凝血活性についての分析を行った。
【表3】

【0161】
実施例5
rFVIIaの安定性に対する他の安定化剤の効果を研究するために、以下の製剤を調製した。
【0162】
<製剤 1>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
pH = 6.5
<製剤 2>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
5 mM p-アミノ-ベンズアミジン
pH = 6.5
<製剤 3>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
0.5 mM S-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-N-[1-(3-メトキシフェニル)-エチル]-アセタミド
pH = 6.5
<製剤 4>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
pH = 7.5
<製剤 5>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
5 mM p-アミノ-ベンズアミジン
pH = 7.5
<製剤 6>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
0.5 mM S-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-N-[1-(3-メトキシフェニル)-エチル]-アセタミド
pH = 7.5
上記製剤は、既に上記濃度のグリシルグリシン、塩化ナトリウムおよび塩化カルシウムを含有するrFVIIaの1.0 mg/mLバルク溶液に、10 mM ヒスチジン、5 mM p-アミノ-ベンズアミジン(製剤2および5について)および0.5 mM S-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-N-[1-(3-メトキシフェニル)-エチル]-アセタミド(製剤3および6について)を添加することにより調製した。pHは、それぞれ1 M水酸化ナトリウムおよび1 M塩酸を用いて最終的に6.5および7.5に調節した。
【0163】
これらの製剤を5℃の温度で保存し、凝血活性(表1)および重鎖分解(表2)について、これら表に示した時点において分析を行った。
【表4】

【0164】
実施例6
rFVIIaの安定性に対するベンズアミジンおよびN-(3-ブロモベンジル)-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-アセタミド塩酸塩の効果を研究するために、以下の製剤を調製した。
【0165】
<製剤 1>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
pH = 6.5
<製剤 2>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
50 mM ベンズアミジン
pH = 6.5
<製剤 3>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
50 μM N-(3-ブロモベンジル)-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-アセタミド HCl
pH = 6.5
<製剤 4>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
500 μM N-(3-ブロモベンジル)-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-アセタミド HCl
pH = 6.5
<製剤 5>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
pH = 7.5
<製剤 6>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
50 mM ベンズアミジン
pH = 7.5
<製剤 7>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
50 μM N-(3-ブロモベンジル)-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-アセタミド HCl
pH = 7.5
<製剤 8>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
500 μM N-(3-ブロモベンジル)-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-アセタミド HCl
pH = 7.5
上記製剤は、既に上記濃度のグリシルグリシン、塩化ナトリウムおよび塩化カルシウムを含有するrFVIIaの1.0 mg/mLバルク溶液に、10 mM ヒスチジン、50 mM ベンズアミジン(製剤2および6について)および50/500 μM N-(3-ブロモベンジル)-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-アセタミド HCl(製剤3、4および7、8について)を添加することにより調製した。pHは、1 M水酸化ナトリウムおよび1 M塩酸を用いて、最終的に6.5および7.5にそれぞれ調節した。
【0166】
これらの製剤を5℃および30℃の温度で保存し、表1に示した時点において、凝血活性についての分析を行った。
【表5】

【0167】
実施例7
rFVIIaの安定性に対する他の安定化剤の効果を研究するために、以下の製剤を調製した。
【0168】
<製剤 1>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
pH = 6.5
<製剤 2>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
5 mM p-アミノ-ベンズアミジン
pH = 6.5
<製剤 3>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
0,05 mM S-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-N-[1-(3-メトキシフェニル)-エチル]-アセタミド
pH = 6.5
<製剤 4>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
0,5 mM S-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-N-[1-(3-メトキシフェニル)-エチル]-アセタミド
pH = 6.5
<製剤 5>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
pH = 7.5
<製剤 6>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
5 mM p-アミノ-ベンズアミジン
pH = 7.5
<製剤 7>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
0,05 mM S-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-N-[1-(3-メトキシフェニル)-エチル]-アセタミド
pH = 7.5
<製剤 8>
1.0 mg/mL rFVIIa
10 mM ヒスチジン
10 mM グリシルグリシン
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
0,5 mM S-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-N-[1-(3-メトキシフェニル)-エチル]-アセタミド
pH = 7.5
上記製剤は、既に上記濃度のグリシルグリシン、塩化ナトリウムおよび塩化カルシウムを含有するrFVIIaの1.0 mg/mLバルク溶液に、10 mM ヒスチジン、5 mM p-アミノ-ベンズアミジン(製剤2および6について)、および0,05/0,5 mM S-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-N-[1-(3-メトキシフェニル)-エチル]-アセタミド(製剤3、7および4、8)についてを添加することにより調製した。pHは、それぞれ1 M水酸化ナトリウムおよび1 M塩酸を用いて最終的に6.5および7.5に調節した。
【0169】
これらの製剤を5℃の温度で保存し、凝血活性(表1)および重鎖分解(表2)について、これら表に示した時点で分析を行った。
【表6】

【0170】
実施例8
rFVIIaの安定性に対するS-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-N-[1-(3-メトキシフェニル)-エチル]-アセタミドの効果を研究するために、以下の製剤を調製した。
【0171】
<製剤 1>
1.0 mg/mL rFVIIa
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
10 mM グリシルグリシン
20 mM ヒスチジン
0.5 mg/mL メチオニン
5 mM S-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-N-[1-(3-メトキシフェニル)-エチル]-アセタミド
pH = 6.0
<製剤 2>
1.0 mg/mL rFVIIa
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
10 mM グリシルグリシン
20 mM ヒスチジン
0.5 mg/mL メチオニン
5 mM S-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-N-[1-(3-メトキシフェニル)-エチル]-アセタミド
pH = 6.5
<製剤 3>
1.0 mg/mL rFVIIa
50 mM 塩化ナトリウム
10 mM 塩化カルシウム
10 mM グリシルグリシン
20 mM ヒスチジン
0.5 mg/mL メチオニン
5 mM S-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-N-[1-(3-メトキシフェニル)-エチル]-アセタミド
pH = 7.5
上記製剤は、既に上記濃度のグリシルグリシン、塩化ナトリウムおよび塩化カルシウムを含有するrFVIIaの溶液に、20 mM ヒスチジン、5 mM S-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-N-[1-(3-メトキシフェニル)-エチル]-アセタミド、および0.5 mg/mL メチオニンを添加することにより調製した。pHは、1 M水酸化ナトリウムおよび1 M塩酸を用いて、最終的に6.5および7.5にそれぞれ調節した。
【0172】
これらの製剤を25℃の温度で保存し、凝血活性(表1)および重鎖分解(表2)を、これら表に示した時点で分析した。
【表7】

【0173】
S-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-N-[1-(3-メトキシフェニル)-エチル]-アセタミドを含まない対照製剤は、以下の凝血活性を示す。
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状水性医薬組成物であって:
少なくとも0.01 mg/mLの第VII因子ポリペプチド(i)と;
pHを約4.0〜約9.0の範囲に維持するのに適した緩衝剤(ii)と;
-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含んでなる少なくとも一つの安定化剤(iii)と;
を含有してなり、
Z1およびZ2は、-O-、-S-、-NRH-、および単結合からなる群から独立に選択され、ここでのRHは、水素、C1-4-アルキル、アリールおよびアリールメチルからなる群から選択され、またR1およびR2は独立に、水素、任意に置換されたC1-6-アルキル、任意に置換されたC2-6-アルケニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロシクリルから選択されるか、または
Z2およびR2は上記で定義した通りであり、且つ-C=N-Z1-R1がヘテロ環の一部を形成するか、または
Z1およびR1は上記で定義した通りであり、且つ-C-NH-Z2-R2がヘテロ環の一部を形成するか、または
-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2がヘテロ環を形成し、且つここでの-Z1-R1-R2-Z2-は二価の基である組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物であって、R1およびR2の少なくとも一方が水素である組成物。
【請求項3】
請求項1または2の何れか1項に記載の組成物であって、Z1およびZ2の少なくとも一方が単結合である組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の組成物であって、R1およびR2が両者共に水素であり、且つZ1およびZ2が両者共に単結合である組成物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の組成物であって、前記安定化剤(iii)が、-C-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含むアミド化合物、および >N-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含むグアニジン化合物からなる群から選択される少なくとも一つである組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の組成物であって、前記安定化剤(iii)が、-C6H4-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含んでなるベンズアミジン類からなる群から選択される少なくとも一つのアミジン化合物であり、ここでのC6H4は任意に置換されたベンゼン環を意味する組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の組成物であって、前記ベンズアミジンが、>N-C6H4-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含んでなり、ここでのC6H4は任意に置換されたベンゼン環を意味する組成物。
【請求項8】
請求項5に記載の組成物であって、前記安定化剤(iii)が、-CH2-NH-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含んでなるグアニジン化合物類からなる群から選択される少なくとも一つのグアニジン化合物である組成物。
【請求項9】
請求項8に記載の組成物であって、前記グアニジン化合物類が、アルギニン、アルギニン誘導体、および少なくとも一つのアルギニン残基を含んでなる2〜5アミノ酸のペプチドからなる群から選択される組成物。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載の組成物であって、前記安定化剤が式Y-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2を有し、ここでのYは有機基である組成物。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか1項に記載の組成物であって、前記安定化剤の分子量が1000 Da以下である組成物。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか1項に記載の組成物であって、前記安定化剤(iii)の濃度が1 μM以下である組成物。
【請求項13】
請求項12に記載の組成物であって、前記安定化剤(iii)がベンズアミジンであり、該安定化剤の濃度が少なくとも1 mM、例えば少なくとも2 mMである組成物。
【請求項14】
請求項12に記載の組成物であって、前記安定化剤(iii)がp-アミノ-ベンズアミジンであり、該安定剤の濃度が少なくとも0.001 mMである組成物。
【請求項15】
請求項12に記載の組成物であって、前記安定化剤(iii)がS-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-N-[1-(3-メトキシフェニル)-エチル]-アセタミドであり、該安定化剤の濃度が少なくとも0.001 mMである組成物。
【請求項16】
請求項12に記載の組成物であって、前記安定化剤(iii)がS-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-N-(1-フェニルエチル)-アセタミドであり、該安定化剤の濃度が少なくとも0.001 mMである組成物。
【請求項17】
請求項12に記載の組成物であって、前記安定化剤(iii)がN-(3-ブロモベンジル)-2-[3-(4-カルバムイミドイルフェニル)-ウレイド]-アセタミドであり、該安定化剤の濃度が少なくとも0.001 mMである化合物。
【請求項18】
請求項12に記載の組成物であって、前記安定化剤(iii)がアルギニンであり、該安定化剤の濃度が少なくとも10 mM、例えば少なくとも50 mMである組成物。
【請求項19】
請求項1〜18の何れか1項に記載の組成物であって、前記第VII因子ポリペプチドがヒト第VIIa因子である組成物。
【請求項20】
請求項1〜19の何れか1項に記載の組成物であって、前記第VII因子ポリペプチドがヒト第VII因子の配列変異体である組成物。
【請求項21】
請求項20に記載の組成物であって、前記第VII因子ポリペプチドの活性と本来のヒト第VII因子(野生型FVIIa)の活性との間の比が、「インビトロでのタンパク質分解アッセイ」(アッセイ2)で試験したときに、少なくとも1.25である組成物。
【請求項22】
請求項1〜21の何れか1項に記載の組成物であって、前記第VII因子ポリペプチドが0.01-20 mg/mLの濃度で存在する組成物。
【請求項23】
請求項1〜22の何れか1項に記載の組成物であって、約4.0〜約8.0の範囲のpH値を有する組成物。
【請求項24】
請求項1〜23の何れか1項に記載の組成物であって、前記緩衝剤(ii)が酸、およびMES、PIPES、ACES、BES、TES、HEPES、TRIS、ヒスチジン、イミダゾール、グリシン、グリシルグリシン、グリシンアミド、リン酸、酢酸、乳酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、およびコハク酸からなる群から選択される少なくとも一つの成分を含有する組成物。
【請求項25】
請求項22に記載の組成物であって、前記緩衝剤(ii)の濃度が1〜100 mMである組成物。
【請求項26】
請求項1〜25の何れか1項に記載の組成物であって、更に、非イオン性表面活性剤(iv)を含有する組成物。
【請求項27】
請求項26に記載の組成物であって、前記非イオン性表面活性剤(iv)が、ポリソルベート、ポロクサマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エチレン/ポリプロピレンブロック共重合体、およびポリエチレングリコール(PEG)からなる群から選択される少なくとも一つである組成物。
【請求項28】
請求項26〜27の何れか1項に記載の組成物であって、前記非イオン性表面活性剤(iv)の濃度が0.005〜2重量%である組成物。
【請求項29】
請求項1〜28の何れか1項に記載の組成物であって、浸透圧調節剤(v)を含有する組成物。
【請求項30】
請求項29に記載の組成物であって、前記浸透圧調節剤(v)が、中性塩、アミノ酸、2〜5アミノ酸残基のペプチド、単糖、二糖、多糖、および糖アルコールからなる群から選択される少なくとも一つである組成物。
【請求項31】
請求項29に記載の組成物であって、少なくとも一つの浸透圧調節剤(v)が、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩からなる群から選択される中性塩である組成物。
【請求項32】
請求項30〜31の何れか1項に記載の組成物であって、前記浸透圧調節剤(v)は、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、塩化マグネシウムおよび酢酸マグネシウムからなる群から選択される少なくとも一つと組合された塩化ナトリウムである組成物。
【請求項33】
請求項1〜32の何れか1項に記載の組成物であって、前記浸透圧調節剤(v)が少なくとも1 mMの濃度で存在する組成物。
【請求項34】
請求項1〜33の何れか1項に記載の組成物であって、前記少なくとも一つの浸透圧調節剤(v)がイオン強度調節剤である組成物。
【請求項35】
請求項1〜34の何れか1項に記載の組成物であって、少なくとも50 mMのイオン強度を有する組成物。
【請求項36】
請求項1〜34の何れか1項に記載の組成物であって、300±50ミリオスモル/kgの浸透圧を有する組成物。
【請求項37】
請求項1〜34の何れか1項に記載の組成物であって、更に抗酸化剤(vi)を含有する組成物。
【請求項38】
請求項37に記載の組成物であって、前記抗酸化剤(vi)が、L-メチオニン、D-メチオニン、メチオニン類縁体、メチオニン含有ペプチド、メチオニン相同体、アスコルビン酸、システイン、ホモシステイン、グルタチオン、シスチン、およびシスタチオニンから選択される組成物。
【請求項39】
請求項37〜38の何れか1項に記載の組成物であって、前記抗酸化剤(vi)が0.1〜5.0 mg/mLの濃度で存在する組成物。
【請求項40】
請求項37〜39の何れか1項に記載の組成物であって、更に保存剤(vii)を含有する組成物。
【請求項41】
請求項40に記載の組成物であって、前記保存剤(vii)が、フェノール、ベンジルアルコール、オルトクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、および塩化ベンゼトニウムからなる群から選択される組成物。
【請求項42】
請求項1〜41の何れか1項に記載の液状水性医薬組成物であって:
0.1〜20 mg/mLの第VII因子ポリペプチド(i)と;
pHを約4.0〜約9.0の範囲に維持するのに適した緩衝剤(ii)と;
少なくとも5μMの濃度の、-C6H4-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含んでなる少なくとも一つの安定化剤(iii)と;
非イオン性表面活性剤(iv)と;
少なくとも5 mMの濃度の浸透圧調節剤と;
を含有してなる組成物。
【請求項43】
請求項1〜41の何れか1項に記載の液状水性医薬組成物であって:
0.1〜20 mg/mLの第VII因子ポリペプチド(i)と;
pHを約4.0〜約9.0の範囲に維持するのに適した緩衝剤(ii)と;
少なくとも500μMの濃度の、-CH2-NH-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含んでなる少なくとも一つの安定化剤(iii)と;
非イオン性表面活性剤(iv)と;
少なくとも5 mMの濃度の少なくとも一つの浸透圧調節剤と;
を含有してなる組成物。
【請求項44】
請求項1〜43の何れか1項に記載の液状水性医薬組成物であって、非経腸的投与のために適合される組成物。
【請求項45】
請求項44に記載の組成物であって、皮下注射、筋肉内注射または静脈注射のために適合される組成物。
【請求項46】
第VII因子ポリペプチドの液状水性医薬組成物を調製する方法であって、pHを約4.0〜約9.0の範囲に維持するのに適した緩衝剤(ii);および-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含んでなる少なくとも一つの安定化剤(iii)を含有する溶液中に、少なくとも0.01 mg/mLの濃度の第VII因子を提供する工程を具備し、
Z1およびZ2は、-O-、-S-、-NRH-、および単結合からなる群から独立に選択され、ここでのRHは、水素、C1-4-アルキル、アリールおよびアリールメチルからなる群から選択され、またR1およびR2は独立に、水素、任意に置換されたC1-6-アルキル、任意に置換されたC2-6-アルケニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロシクリルから選択されるか、または
Z2およびR2は上記で定義した通りであり、且つ-C=N-Z1-R1はヘテロ環の一部を形成するか、または
Z1およびR1は上記で定義した通りであり、且つ-C-NH-Z2-R2はヘテロ環の一部を形成するか、または
-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2がへテロ環を形成し、且つここでの-Z1-R1-R2-Z2-は二価の基である方法。
【請求項47】
医薬として使用するための、請求項1〜43の何れか1項に記載の液状水性医薬組成物。
【請求項48】
第VII因子反応性症候群を治療するための医薬を製造するための、請求項1〜43の何れか1項に記載の液状水性医薬組成物の使用。
【請求項49】
第VII因子反応性症候群を治療するための方法であって、それを必要としている患者に対して、有効量の請求項1〜43の何れか1項に記載の液状水性医薬組成物を投与することを含んでなる方法。
【請求項50】
請求項1〜43の何れか1項に記載の液状水性医薬組成物と、任意に不活性ガスとを含んでなる気密容器。
【請求項51】
請求項50に記載の容器であって、前記組成物が抗酸化剤(vii)を含有しない容器。

【公開番号】特開2012−51893(P2012−51893A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−209391(P2011−209391)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【分割の表示】特願2006−522896(P2006−522896)の分割
【原出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(501497563)ノボ ノルディスク ヘルス ケア アクチェンゲゼルシャフト (58)
【Fターム(参考)】