説明

筆記シート及び筆記カード

【課題】キズ擦りや熱圧に強く、インキ吸収性に優れた筆記シート及びその筆記シートを具備した筆記カードを提供する。
【解決手段】筆記シート13は、2軸延伸ポリエステルフィルム層6と筆記アンカー層5と筆記層4とを含み、筆記アンカー層5は、ポリエステル樹脂と、第1の多孔質シリカフィラーとを有し、筆記層4は、アクリルポリオールと、イソシアネートプレポリマーと、第2の多孔質シリカフィラーとを含む硬化物を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記シート及び筆記シートを具備した筆記カードに関するものであって、具体的にはキャッシュカードやクレジットカード、IDカード等に用いられる筆記シートである。
【背景技術】
【0002】
従来から、キャッシュカードやクレジットカード、IDカード等の分野においては、カード裏面に署名や住所などを書くためのサインパネルや備考欄が設けてある。サインパネルの場合、筆記層をIDカード等の一部分に設けるため、スクリーン印刷やサインパネル転写箔にて形成する場合がある。一方、各種免許証などの裏面は、住所を記入したり、各種スタンプや印鑑を押す箇所があったりするためにカードの全面が筆記層である場合が多い。このように、カードの全面が筆記層である場合、予め筆記シートを用意しておき、その筆記シートとカードコアとを接着させて筆記可能なカードを製造する場合も多い。そして、この筆記層には多孔質な材料が用いられる場合もある。上記先行術としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
しかしながら、多孔質な材料を用いて形成された筆記層は一般に脆く、キズ擦りに弱いといった課題がある。また、捺印時の朱肉は、筆記層へ多量のインキを移行するため、従来の筆記層やサインパネルでは滲みが発生しやすく、また、インキを吸収しきれずに筆記層が汚れるといった課題がある。さらに、筆記シートとカードコアと接着させる際、ある程度の熱(例えば、120〜160℃)と圧縮圧力がかかるため、筆記層の材料に含まれる細孔が潰れ、筆記性能が劣化するといった課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−246750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、キズ擦りや熱(例えば、120〜160℃)または圧力に強く、インキ吸収性に優れた筆記シート及びその筆記シートを具備した筆記カードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本願発明の一態様は、2軸延伸ポリエステルフィルム層と、前記2軸延伸ポリエステルフィルム層の一方の面に接して設けられた筆記アンカー層と、前記筆記アンカー層の、前記2軸延伸ポリエステルフィルム層側とは反対側にある面に接して設けられた筆記層とを含み、前記筆記アンカー層は、ポリエステル樹脂と、第1の多孔質シリカフィラーとを有し、前記筆記層は、アクリルポリオールと、イソシアネートプレポリマーと、前記第1の多孔質シリカフィラーとは平均粒径の異なる第2の多孔質シリカフィラーとを含む硬化物を有することを特徴とする筆記シートである。
【0007】
上記態様によれば、従来のカードのオーバーシート部材である塩ビシートやPET−Gシートに代えて、2軸延伸ポリエステルフィルム(延伸PET)層を用いているので、キズや引裂きなどの強度を向上させることができる。また、筆記アンカー層には密着性の強いポリエステル樹脂を用い、筆記層には硬度や耐熱性に優れるアクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーの硬化物を用いている。このため、密着性に優れ、キズ擦りに強い筆記シートを形成することができる。
【0008】
また、本願発明の別の態様は、前記第1の多孔質シリカフィラーは、平均粒径の異なる複数種類の多孔質シリカフィラーから構成されており、前記第2の多孔質シリカフィラーよりも平均粒径の大きな多孔質シリカフィラーを少なくとも含むこととしても良い。
上記態様によれば、筆記アンカー層は単に筆記層の接着性を良くするだけでなく、筆記層だけで吸収しきれなかったインキを吸収する役目を果たす。筆記層は最表面に設けられているので、ボールペンやサインペンなどでの印字品質を維持するため、ある程度の平滑性が求められるため、筆記層内のシリカフィラー(つまり、第2の多孔質シリカフィラー)の粒径を大きくできない。一方、筆記アンカー層は表面からは視認されないので、吸収性を高めるため細孔を大きく、つまり、粒径の大きな多孔質シリカフィラー(つまり、第1の多孔質シリカフィラー)を投入することが望ましい。また、筆記アンカー層は筆記層のインキで上塗りされるため、細孔は埋まって潰れる傾向にあるので、この意味でも複数種類のシリカフィラーを用いて細孔を多くする必要がある。このように設計された筆記シートは、インキ吸収性に優れるため、インキの速乾性が良くなる。
【0009】
また、本願発明の別の態様は、前記第1の多孔質シリカフィラーの含有量は、前記第2の多孔質シリカフィラーの含有量よりも少なく、前記筆記アンカー層中に占める前記第1の多孔質シリカフィラーの割合は、10重量%以上25重量%未満であることとしてもよい。
上記態様によれば、筆記アンカー層の多孔質シリカフィラー含有量は、筆記層に含まれる多孔質シリカフィラーよりも少なく、筆記アンカー層中の多孔質シリカフィラーの占める割合が10重量%以上25重量%未満であるので、筆記アンカー層の密着性向上とインキ吸収性向上とを両立することが可能となる。
なお、樹脂よりも多孔質シリカフィラーの方がインキ吸収性に対する寄与率が高いので、筆記アンカー層中の多孔質シリカフィラーの占める割合が10重量%未満ではインキ吸収性に乏しくなる。
【0010】
また、筆記アンカー層中の多孔質シリカフィラーの占める割合が25重量%以上では本来の筆記アンカー層の意味(上層と下層との密着性を高める)をなさなく、多孔質シリカフィラーの脆さから筆記アンカー層が凝集破壊しやすくなる。
筆記アンカー層の意味は、滲みを抑えるためにシリカ粒径や量が制限される筆記層に代わり、速乾性や液体吸収量を補うことにある。即ち、粒径の大きいものを使用することで、前記能力の他に筆記層の層形成時にも影響し、筆記アンカー層のシリカに細孔(気泡)があることで、筆記層自体も適度に通気性を有するものになる。よって、インキの吸収性が良くなる。なお、表面の細孔と内部の細孔とが繋がっていない場合には速乾性にはならない。
【0011】
また、本願発明の別の態様は、前記第2の多孔質シリカフィラーの平均粒径は、3μm以上10μm未満であり、前記筆記層中に占める前記第2の多孔質シリカフィラーの割合は、15重量%以上30重量%未満であることとしても良い。
上記態様によれば、筆記層の多孔質シリカフィラーの平均粒径は、3μm以上10μm未満であり、且つ筆記層中の多孔質シリカフィラーの占める割合が15重量%以上30重量%未満であるので、筆記シート表面の滑らかさと筆記性との両立が可能となる。
なお、筆記層の多孔質シリカフィラーの平均粒径が3μm未満(ナノシリカも含む)では表面が滑らか過ぎて、鉛筆適正が悪くなる。鉛筆は、芯の黒鉛が削れて、黒鉛が筆記層に付着することで筆記できる。
【0012】
また、朱肉では数ミクロンの顔料が含まれており、細孔を大きくする意味でも3μm以上の平均粒径が必要である。
また、筆記層の多孔質シリカフィラーの平均粒径は10μm以上では、インキ類(例えばサインペン、油性ペン、スタンプ、朱肉など)で滲みが大きくなる。
また、樹脂よりも多孔質シリカフィラーの方がインキ吸収性に対する寄与率が高いので、筆記層中の多孔質シリカフィラーの占める割合が15重量%未満ではインキ吸収性に乏しくなる。
また、筆記層中の多孔質シリカフィラーの占める割合が30重量%以上では多孔質シリカフィラーの脆さから筆記層が凝集破壊しやすく、粘着テープ密着性に欠ける。
【0013】
また、本願発明の他の態様は、カード基板の一方の面に具備された、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の筆記シートと、前記一方の面と反対側にある他方の面に具備された、前記筆記シートに含まれる2軸延伸ポリエステルフィルム層と同一ロットの2軸延伸ポリエステルフィルム層を含む直接昇華染料プリンター対応シートとを有することを特徴とする筆記カードである。
上記態様によれば、上記態様の筆記シートを片面に具備し、他方の片面には同一ロットの2軸延伸フィルムからなる直接昇華染料プリンター対応シートが具備された筆記カードとなるので、ラミネート後の反りなどが発生しないカードとなり、各種免許証などに最適なカードを提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本願発明に係る筆記シートを備えたカードの平面図
【図2】図1に示されたA−B間における断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願発明の実施形態を図1及び図2を参照にして説明する。図1は、本願発明に係る筆記カードの一例を示す平面図である。そして、図2は、図1に示されたA−B間での断面図である。
図1は、筆記シートを具備した非接触ICカード(以下、単に「筆記カード」ともいう。)1を示す。図1では、わかりやすいようにアンテナシート2及びICチップ3を図示しているが、実際にはアンテナシート2及びICチップ3は筆記カード1の中に内蔵されており、視認することはできない。
【0016】
図2に示す筆記カード1は、筆記層4、筆記アンカー層5、2軸延伸白色ポリエステルフィルム層6、カードコア7、ICチップ3、アンテナシート2、接着層8、カードコア7、2軸延伸白色ポリエステルフィルム層6、受像アンカー層9、受像層12をこの順に積層して含んでいる。
筆記層4は、鉛筆、ボールペン、サインペン、油性マーカー、スタンプ、印鑑等を使用した際の筆記性が重要とされ、またその速乾性も要求される。このような筆記層には、ポリビニルアルコールをはじめとして水溶性樹脂を使用されることが一般的であった。しかしながら、カードのJIS規格にもあるように水を使用した試験項目が多い。このため、水溶性樹脂を硬化させた筆記層では、基準を満たす耐水性が得られない場合が多かった。一方、水溶性樹脂以外の樹脂を使用した場合には、筆記時にインク等がはじかれる場合や滲む場合があった。
【0017】
そこで、本願発明ではアクリルポリオールという水酸基を有する樹脂を使用し、親水性である多孔質シリカフィラーを多量に使用することで、溶剤系でありながらも筆記層4にはじきや滲みが発生しないように対応している。また、イソシアネートプレポリマーで硬化させることで耐熱性および強度、密着性を付与している。ここで、イソシアネートプレポリマーとしては、HDI型イソシアネートとポリエステルとのプレポリマーが好ましく、熱の黄変がなく、密着性が改善できる。
【0018】
多孔質シリカフィラー(以下、単に「シリカフィラー」ともいう。)としては、乾式でも湿式どちらのシリカフィラーでも構わないが、有機表面処理がされていないグレードが好ましい。
筆記層4の膜厚は薄いと筆記性が悪く、厚いと密着性や乾燥性が悪い傾向にあり、好ましくは、7μm厚〜30μm厚が最適である。
添加剤としては、ポリエチレンワックスや染料定着剤、酸化防止剤などと添加しても構わない。
【0019】
筆記アンカー層5を構成する樹脂としては、ポリエステルフィルムとの密着性を保つ観点からポリエステル若しくはポリエステルウレタンが好ましい。筆記アンカー層5は単に筆記層4の接着性を良くするだけでなく、筆記層4だけでは吸収しきれなかったインキを吸収する役目を果たす。筆記層4は、筆記カード1の最表面に設けられているので、ボールペンやサインペンなどでの印字品質を維持するため、ある程度の平滑性が求められる。このため、筆記層4内のシリカフィラー(つまり、第2の多孔質シリカフィラー)の粒径を大きくすることはできない。一方、筆記アンカー層5は表面側からは視認されないので、吸収性を高めるためにシリカフィラー(つまり、第1の多孔質シリカフィラー)の細孔を大きく、つまり、粒径の大きなシリカフィラーを投入することが望ましい。また、筆記アンカー層5は筆記層4のインキで上塗りされるため、シリカフィラーの細孔はインクで充填されてしまう傾向にあるので、この意味でも複数種類のシリカフィラーを用いて細孔を多くする必要がある。そのために、例えば、筆記アンカー層5に用いられるシリカフィラーとしては、平均粒径5μm程度のものだけでなく、他に平均粒径が15μm程度のものを混合して使用することが好ましい。
【0020】
なお、筆記層4は、アクリルポリオールと、イソシアネートプレポリマーと、第1の多孔質シリカフィラーとは平均粒径の異なる第2の多孔質シリカフィラーとを含む硬化物で形成されている。
また、第1の多孔質シリカフィラーは、平均粒径の異なる複数種類の多孔質シリカフィラーから構成されており、第2の多孔質シリカフィラーよりも平均粒径の大きな多孔質シリカフィラーを少なくとも含むこととしても良い。
【0021】
また、第1の多孔質シリカフィラーの含有量は、第2の多孔質シリカフィラーの含有量よりも少なく、筆記アンカー層5中に占める第1の多孔質シリカフィラーの割合は、10重量%以上25重量%未満であることとしても良い。
また、第2の多孔質シリカフィラーの平均粒径は、3μm以上10μm未満であり、筆記層4中に占める第2の多孔質シリカフィラーの割合は、15重量%以上30重量%未満であることとしても良い。
【0022】
2軸延伸白色ポリエステルフィルム層6としては、例えば酸化チタンなどの白色顔料が練りこまれた2軸延伸ポリエステルフィルムであれば良い。このフィルム層の最適な厚みは、筆記層4からの応力でカールなどが強く付かないことが好ましく、そのために少なくとも50μm以上188μm以下の範囲のフィルムを使用することが望ましい。従来のカードのオーバーシート部材である塩ビシートやPET−Gシートに代えて、2軸延伸ポリエステルフィルム(延伸PET)を使用するとキズや引裂きなどの強度向上に繋がる。
【0023】
なお、従来の筆記層では筆記層のインキに白色顔料(例えば、酸化チタンや硫化亜鉛)を混ぜて対応してきたが、朱肉や色スタンプの場合、白色顔料の隠蔽性や白さで発色性が低下してしまう。そこで本願発明に係る筆記層4には白色顔料を添加せずに基材である2軸延伸ポリエステルフィルムに混ぜることで発色性を向上させている。
このように設計された筆記シート(つまり、筆記層4と筆記アンカー層5と2軸延伸白色ポリエステルフィルム層6とが積層されたシート)13は、インキ吸収性に優れるため、インキの速乾性が良くなる。また、キズや引裂きなどに対する強度を向上させることができる。
【0024】
受像アンカー層9は、2軸延伸白色ポリエステルフィルム層6と受像層12との密着性が良好な樹脂系であれば良く例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などが最適である。
各種免許証には顔写真を入れるために直接昇華プリンターで印字可能なように受像層12を設けることが多い。このため、受像層12の材料としては、塩ビ樹脂、塩酢ビ樹脂、ブチラール樹脂、エポキシ樹脂などが最適である。
【0025】
本願発明の筆記シート13をカード基板14と貼り合わせする際には、2軸延伸しているフィルムのフィルム配向をカード基板14の表面と裏面とで揃える必要があり、揃えない場合、カード基板14がツイストや反りが生じることがあるので、同じロットの材料を使用することで配向を揃えることが容易になる。
【0026】
[実施例1]
100μm厚の白PETフィルムである三菱化学製ダイヤホイルW900J100上に下記の筆記アンカーインキをマイクログラビア印刷方式でドライ5μm厚になるように形成後、下記の筆記インキをマイクログラビア印刷方式でドライ10μm厚になるように形成した後、60℃で6日間エージングして筆記シート13を得た。続いて、前記白PETフィルムと同じロットのPETフィルムを使用して、下記の受像アンカーインキをマイクログラビア印刷方式でドライ1μm厚形成後、下記受像インキをマイクログラビア印刷方式でドライ1μm厚になるよう形成して受像シート15を得た。
このようにして得られた筆記シート13及び受像シート15を0.5mm厚のPET−Gコアシートの両側にセットして、圧力100kgf/cm温度140℃で30分間熱ラミネートを行い、筆記シート13を具備した筆記カード1を得た。
【0027】
以下、実施例1で用いた材料を示す。
<筆記アンカーインキ>
東洋紡績製ポリエステルインキ(バイロン20SS) 100重量部
富士シリシア製多孔質シリカフィラー サイリシア440 5重量部
エボニックデグサ製TS100 5重量部
<筆記インキ>
三菱レイヨン製アクリルポリオールLR−1503 60重量部
富士シリシア製多孔質シリカフィラー サイリシア440 15重量部
旭化成製HDIイソシアネートプレポリマー24A100 20重量部
【0028】
<受像アンカーインキ>
東洋紡績製ポリエステルインキ(バイロン20SS)
<受像インキ>
日信化学製塩酢ビ ソルバインC 20重量部
東洋インキ製ポリエチレンワックス 添加剤180 20重量部
メチルエチルケトン 100重量部
【0029】
[比較例1]
0.76mm厚の塩ビシートに下記のインキをロールコーターでドライ膜厚10μmになるように形成した。
<筆記インキ>
ポリエステルポリオール系筆記インキ
DIC株式会社製 SFプライマーNo.930マットH白 100重量部
イソシアネート硬化剤
DIC株式会社製 CVLハードナーNo.10 6重量部
このシートを50℃で3日間エージングさせて筆記カードを得た。
【0030】
<評価>
実施例1及び比較例1で得られた筆記カードについて評価を行った。以下、表1に結果を示す。
なお、朱肉捺印適性は、朱肉を用いて捺印し、捺印後の印像を目視観察することにより行った。
また、浸透印捺印適性は、一般的な浸透印を用いて捺印し、捺印後の印像を目視観察することにより行った。
また、油性ペン適性は、油性ペンを用いてサインし、サインを目視観察した。
また、水性サインペン適性は、水性サインペンを用いてサインし、サインを目視観察した。
【0031】
また、油性ボールペン適性は、油性ボールペンを用いてサインし、サインを目視観察した。
また、鉛筆適性は、鉛筆を用いてサインし、サインを目視観察した。
また、コイン傷つき適性は、アルミ製コインで100回擦ることで出来た擦傷の有無を目視観察した。
以上の結果から、実施例で得られた筆記カードは、筆記性や傷つき性について非常に良好な筆記カードであった。また、熱プレス後でも筆記特性が良いことから、耐熱性についても良い事がわかった。
【0032】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0033】
本願発明により、キズ擦りや熱圧に強く、インキ吸収性に優れた筆記シート及びその筆記シートを具備した筆記カードを提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0034】
1 筆記カード
2 アンテナシート
3 ICチップ
4 筆記層
5 筆記アンカー層
6 2軸延伸白色ポリエステルフィルム層
7 カードコア
8 接着層
9 受像アンカー層
12 受像層
13 筆記シート
14 カード基板
15 受像シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2軸延伸ポリエステルフィルム層と、
前記2軸延伸ポリエステルフィルム層の一方の面に接して設けられた筆記アンカー層と、
前記筆記アンカー層の、前記2軸延伸ポリエステルフィルム層側とは反対側にある面に接して設けられた筆記層とを含み、
前記筆記アンカー層は、ポリエステル樹脂と、第1の多孔質シリカフィラーとを有し、
前記筆記層は、アクリルポリオールと、イソシアネートプレポリマーと、前記第1の多孔質シリカフィラーとは平均粒径の異なる第2の多孔質シリカフィラーとを含む硬化物を有することを特徴とする筆記シート。
【請求項2】
前記第1の多孔質シリカフィラーは、平均粒径の異なる複数種類の多孔質シリカフィラーから構成されており、前記第2の多孔質シリカフィラーよりも平均粒径の大きな多孔質シリカフィラーを少なくとも含むことを特徴とする請求項1に記載の筆記シート。
【請求項3】
前記第1の多孔質シリカフィラーの含有量は、前記第2の多孔質シリカフィラーの含有量よりも少なく、
前記筆記アンカー層中に占める前記第1の多孔質シリカフィラーの割合は、10重量%以上25重量%未満であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の筆記シート。
【請求項4】
前記第2の多孔質シリカフィラーの平均粒径は、3μm以上10μm未満であり、
前記筆記層中に占める前記第2の多孔質シリカフィラーの割合は、15重量%以上30重量%未満であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の筆記シート。
【請求項5】
カード基板の一方の面に具備された、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の筆記シートと、
前記一方の面と反対側にある他方の面に具備された、前記筆記シートに含まれる2軸延伸ポリエステルフィルム層と同一ロットの2軸延伸ポリエステルフィルム層を含む直接昇華染料プリンター対応シートとを有することを特徴とする筆記カード。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−245639(P2012−245639A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116978(P2011−116978)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】