説明

筆記具用キャップ

【課題】表面状態の違いにより、ペン先を際立たせて見せることができる加工性も容易となる筆記具用キャップを提供する。
【解決手段】外面が透明度差のある筆記具用キャップ10において、表面が略均一な表面粗さで光沢面を有することを特徴とする筆記具用キャップ。
前記キャップ内面には、光沢部A(16)と梨地部B(17)で構成し、前記光沢部16と前記梨地部17の表面粗さが互いに異なることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具のペン先を保護すると共に、キャップ内部のペン先が視認できる筆記具用キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筆記具用キャップを装飾させるには、複数の部品を組み合わせて装飾させているが、特に、ペン先を強調させる一部品の単純なキャップ構造では装飾させることが容易でない。
そこで、一部品でもペン先を強調させることができる筆記具又は塗布具のキャップが数多く知られている。
【0003】
例えば、1)キャップ本体の側壁に凸レンズ又は凹レンズといったレンズ部を形成した筆記具又は塗布具のキャップ(特許文献1参照)、2)筆記具本体に、合成樹脂製からなるキャップを着脱自在に装着してなるキャップ式筆記具であって、前記キャップの外壁の一部に、微細な凹凸を形成した梨地状の滑り止め部を形成したキャップ式筆記具(特許文献2参照)、3)軸筒本体に弾性体からなるグリップ部材と、そのグリップ部材を覆うようにキャップが着脱自在に取り付けられた軸筒であって、前記グリップ部材の表面に微細な凹凸加工を形成すると共に、キャップの内面にも微細な凹凸加工を形成した軸筒(特許文献3参照)が知られている。
【0004】
しかしながら、特許文献1の筆記具又は塗布具のキャップは、レンズ効果によるもので、表面の外径を変化させてしまい、外観上に美麗さに劣るものである。特許文献2は、表面に梨地加工を施すキャップであるが、触感に劣り、かつ、金型加工上、容易ではないなどの課題がある。特許文献3は、キャップとグリップゴムとの食いつきの回避によるものであり、本発明とは技術的課題及び技術思想が異なるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−86990号公報(実用新案登録請求の範囲、図1〜図6等)
【特許文献2】特開2008−55745号公報(特許請求の範囲、図2等)
【特許文献3】特開2010−155389号公報(特許請求の範囲、図3等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、表面状態の違いにより、ペン先を際立たせて見せることができる加工性も容易となる筆記具用キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記従来の課題等を解決するために、鋭意検討した結果、外面が透明度差のある筆記具用キャップにおいて、表面を特定構造となる面とすることにより、更に詳しくは、キャップの内面を特定構造となる面とすることにより、上記目的の筆記具用キャップが得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0008】
すなわち、本発明は、次の(1)〜(4)に存する。
(1) 外面が透明度差のある筆記具用キャップにおいて、表面が略均一な表面粗さで光沢面を有することを特徴とする筆記具用キャップ。
(2) 前記キャップの内面は、光沢部と梨地部で構成され、前記光沢部と前記梨地部の表面粗さが互いに異なることを特徴とする請求項1記載の筆記具キャップ。
(3) 前記光沢部の表面粗さが算術平均粗さRa0.2μm以下で、梨地部の表面粗さが算術平均粗さRa0.2μmより大きいことを特徴とする請求項2記載の筆記具用キャップ。
(4) 請求項1〜3の何れか一つに記載の筆記具用キャップをペン先に装着したことを特徴とする筆記具。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、表面状態の違いにより、ペン先を際立たせて見せることができる加工性も容易となる筆記具用キャップが提供される。
請求項2及び3の発明によれば、キャップの外側ではなく、キャップ内面に表面粗さが互いに異なる光沢部と梨地部で構成することにより、光沢部で窓部となるエリアを設けることでペン先を際立たせることができ、しかも、成形品の外面で光沢部と梨地部を構成すると加工の手間が大きいが、成形品の内面に加工する場合は手間が少なく、また、キャップ外形状や表面状態を均一にできるため、自動機、等における組立工程を阻害しないなどの量産性にも優れるという利点を有する。
請求項4の発明によれば、上記効果を有する筆記具用キャップをペン先に装着した筆記具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の筆記具用キャップの一例を示す各図面であり、(a)は正面図、(b)は(a)の中央縦断面図、(c)は(a)の簡略図である。
【図2】本発明の筆記具用キャップの一例を示す各図面であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)は(a)の中央縦断面図、(e)は(a)の簡略図である。
【図3】本発明の筆記具用キャップをペン先に装着した筆記具の一例を示す各図面であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図4】(a)及び(b)は、本発明の筆記具用キャップをペン先に装着した筆記具の図2に対応した各縦断面図である。
【図5】本発明の筆記具用キャップをペン先から脱着した筆記具の一例を示す各図面であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図、(e)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
図1及び図2は、本発明の筆記具用キャップの一例を示す各図面であり、図1(a)〜(c)は正面図、その中央縦断面図及び簡略図であり、図2(a)〜(e)は平面図、左側面図、右側面図、平面図の中央縦断面図及び簡略図である。
本実施形態の筆記具用キャップ10は、外面が透明度差のある筆記具用キャップから構成されるものであり、表面が略均一な表面粗さで光沢面を有するものである。
この筆記具用キャップ10は、筒状型の外キャップ部11と、筆記具のペン先を保護する内キャップ部12と、上記外キャップ部10と内キャップ部12とを連結する肩部13とを有するものである。内キャップ部12内には、開口部側に筆記具本体のペン先部を嵌合保持する環状の嵌合保持部14と嵌合片15とが形成されている。
【0012】
この筆記具用キャップ10において、キャップ内面は、図1及び図2に示すように、光沢部Aと梨地部Bで構成され、前記光沢部Aと前記梨地部Bの表面粗さが互いに異なるものとなっている。このキャップ内面を光沢部Aと梨地部Bで構成することにより、光沢部Aの領域は外側から視認できる窓部16となるものであり、梨地部Bの領域を外側から視認できない非視認部17となっている。なお、図1中の(c)及び図2(e)において、左側は窓部(視認部)16となるものであるが、その透視された部分は判りやすくするため透視を省略しており、図1(a)及び図2(a)のように、中身が見えるものとなっている。
【0013】
キャップ内面の光沢部Aを形成する方法としては、視認でき光沢面となるように形成できるものであれば、特に限定されない。
また、キャップ内面の梨地部Bを形成する方法としては、非視認部に形成できるものとなるものであれば、特に限定されず、例えば、成形金型へのシボ加工(エッチング加工)や、放電加工、切削によるローレット加工により形成することができ、大量生産による品質安定性やコストの点から、成形金型へのシボ加工(エッチング加工)が望ましい。
前記光沢部Aの表面粗さとしては、上記各加工処理により、JIS B0601:2001に準拠する算術平均粗さRaで0.2μm以下〔0.2≧Ra、三角記号(仕上記号)としては▽▽▽▽〕、好ましくは、0.1μm以下(0.1≧Ra)とし、梨地部Bの表面粗さとしては、算術平均粗さRaで0.2μmより大きく〔0.2<Ra、三角記号(仕上記号)としては▽▽▽より粗い〕、好ましくは、0.2超過〜25(0.2<Ra≦25)μmとすることにより、光沢部Aを光沢面を有する視認性を有する窓部16、梨地部Bを非視認部17とすることができる。この算術平均粗さRaは、粗いほど非視認性を向上させることができるが、内面加工を容易にするため、算術平均粗さRaで25μm以下が好ましい。
また、筆記具用キャップの表面(外面)を略均一な表面粗さで光沢面を有するように形成する方法としては、キャップ内面の光沢部Aと同様、視認でき光沢面となるように形成できるものであれば、特に限定されない。
【0014】
この構造となる筆記具用キャップ10の製造は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等で一体成形することができるものであり、例えば、視認性を有する樹脂であるポリプロピレン(PP)を用いると共に、成形金型において、キャップ内面に光沢部A、梨地部Bを一体成形することにより製造することができる。もしくは、二色成形による光沢部A、梨地部Bの製造や光沢部A、梨地部Bを個別に成形した後、接着等により一体にしても良い。
【0015】
このように構成される本発明となる筆記具用キャップ10では、外面が透明度差のある筆記具用キャップから構成されるものとなり、表面が略均一な表面粗さで光沢面を有し、筆記具用キャップの外側ではなく、内キャップ側に境界を明確に区別化できるペン先を強調できる窓部16及び非視認部17となる各エリアを設けることで窓部16に映ったペン先を際立たせることができる。また、成形品の外面(金型の内面)で梨地部(シボ加工)と光沢の面を作製すると加工の手間が大きくなるが、本発明では、成形品の内面(コアの外面)に加工する場合は手間が少なく、加工性が良好となり、また、キャップの外形状や表面状態を均一にできるため、自動機、等における組立工程を阻害せず、量産性にも優れるなどの利点を有するものとなる。
【0016】
図3〜図5は、本発明となる筆記具用キャップ10をペン先に装着した筆記具の一例を示す各図面である。
この筆記具20は、マーキングペンタイプの筆記具であり、図3〜図5に示すように、本発明となる筆記具用キャップ10以外に、筆記具本体を構成する軸筒25、インク吸蔵体30、中継芯35、ペン先40とを備えている。なお、本発明となる筆記具用キャップ10以外の筆記具本体、ペン先等の構成は、特に限定されるものではない。
【0017】
軸筒25は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等で形成されるものであり、図3〜図5に示すように、筆記具用インクを含浸したインク吸蔵体30を収容する有底筒状の後軸26と、ペン先40を固着する先軸27とを有している。
後軸26は、例えば、PP等からなる合成樹脂を使用して長い有底楕円筒形に成形され、筆記具の本体(軸筒)として機能する。この後軸26は、図4に示すように、後端側内部にインク吸蔵体30の後端部を保持する保持片からなる保持部材28が設けられており、後軸全体及び後述する先軸は不透明又は透明(及び半透明)に成形されるが、外観上や実用上の観点からいずれを採用しても良い。また、後軸26の開口部に先軸27が嵌合等により固着される構造となっている。
【0018】
先軸27は、図4に示すように、後方側に後軸26の開口部に嵌合する環状の嵌合部27aと、前方側に肩部27b、ペン先40の本体部41を固着する筒状の嵌入部27cとを有すると共に、上記嵌合部27a内にはインク吸蔵体30の前端部を保持する保持片からなる保持部材27dが設けられている。この構造の先軸27は、例えば、PP等からなる合成樹脂などで成形されるものである。
【0019】
インク吸蔵体30は、水性インク、油性インクなどの筆記具用インクを含浸したものであり、例えば、天然繊維、獣毛繊維、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂などの1種又は2種以上の組み合わせからなる繊維束、フェルト等の繊維束を加工したもの、また、スポンジ、樹脂粒子、焼結体等の多孔体を含むものである。このインク吸蔵体35は、軸筒25の本体部となる後軸26内に収容保持されている。
また、用いるインク組成は特に限定されず、アンダーラインペン等ではインクに蛍光色素、例えば、ベーシックバイオレット11、ベーシックイエロー40などを含有させることできる。
【0020】
中継芯35は、インク吸蔵体30のインクを後述する保持体55に設けたインク誘導部50に供給する中継用の芯体となるものであり、インク吸蔵体30の前方側の凹部に嵌入する構造となっている。この中継芯35は、インク吸蔵体30と同様に繊維束、フェルト等の繊維束を加工した繊維束芯、または、硬質スポンジ、樹脂粒子焼結体等からなる樹脂粒子多孔体、スライバー芯等の連続気孔(流路)を有するものであり、インク吸蔵体30に含浸されたインクを中継芯35を介して保持体55のインク誘導部50へ供給できるものであれば、特にその形状、構造等は限定されるものでない。この中継芯35の断面形状としては、例えば、円、楕円、正方形、長方形、台形、平行四辺形、ひし形、カマボコ形、半月形の形状が挙げられ、本実施形態では、断面形状が円形状となっている。
【0021】
ペン先40は、図3〜図5に示すように、筆記部となるペン芯45と、該ペン芯45を保持し、筆記部にインクを供給するためのインク誘導部50を有する保持体55とを備えると共に、保持体55には後方側に中継芯を保持する筒状部41を有する本体部42が連設されている。この本体部42の外周面にはフランジ部43が設けられ、筒状部41の入口は中継芯30を嵌入保持する嵌入保持部となっている。
この構造のペン先40では、インク吸蔵体30からのインクを中継芯35、インク誘導部50、ペン芯45へと毛管力作用により連続的に供給できる構造となっている。
【0022】
このペン先40全体又は保持体55は、視認性を有する材料、例えば、PP、PE、PET、PEN、ナイロン(6ナイロン、12ナイロン等の一般的なナイロン以外に非晶質ナイロン等を含む)、アクリル、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ABS等の材料の一種類、または、耐久性、視認性の点などから、2種類以上の材料を用いて射出成形、ブロー成形などの各種成形法により成形することができる。なお、可視光線透過率は、多光源測色計を用いて反射率を測定することで求めることができる。
【0023】
筆記部となるペン芯45は、保持体55の先端部に固着されるものであり、例えば、各種繊維束を樹脂加工した繊維芯、または、各種のプラスチック粉末ななど焼結したポーラス体(焼結芯)などからなるものである。ペン芯45の形状としては、例えば、外観形状がチゼル形状、砲弾形状、円柱、楕円柱、立方体、直方体などの形状が挙げられ、本実施形態では、チゼル形状となっている。
保持体55内部には、図3及び図5に示すように、長手方向の中央にインク誘導部50が貫通する形で1本設けられている。このインク誘導部50は、筆記具用インクが入った状態で、視認部として機能しないものである。また、インク誘導部50以外の保持体55が視認部を形成する面となるものである。
【0024】
この筆記具20では、上記構成及び効果を奏する筆記具用キャップ10が先軸27に装着することにより、ペン先を保護すると共に、キャップ内部のペン先が効果的に視認できるものとなる。
また、この筆記具20では、上記保持体55が、視認性を有する材料で構成されているので、当該保持体55においてインキ誘導部50以外の全面(全体)が図5等に示すように、筆記方向を視認できる視認部となるものであり、視認部の面積比率を、先軸27先端部より突出したペン先の40%以上、視認部の面積比率を、50%以上にすることができ、筆記方向に書いてある文字を確実に読むことができる十分な視認性が付与することができると共に、終筆まで使用可能な筆記具が提供されるものとなる。
なお、上記形態では、筆記具本体の軸筒などを断面楕円状に形成したが、円形状、三角形状、四角形以上の方形状にしても良いものである。
【実施例】
【0025】
次に、実施例により、本発明を更に詳述するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0026】
〔実施例1〕
(筆記具用キャップの構成:図1及び図2準拠)
図1及び図2に準拠する外キャップ部と、内キャップ部と、肩部13とを有する筆記具用キャップを成形する金型を用いると共に、筆記具用キャップを構成する樹脂材料として、ポリプロピレン(PP)を用いて成形することにより作製した。成形金型には、キャップ内面に、光沢部Aと梨地部Bを構成できるように、表面粗さが互いに異なるように、シボ加工(エッチング処理)した。
外キャップ部の大きさ:幅方向長さ1.5cm、長手方向長さ2.8cm、肉厚1mmの楕円状の開口面、全長3.2cm
内キャップ部の大きさ:内径φ8mmの開口面
【0027】
得られた筆記具用キャップの表面粗さ(算術平均粗さRa)の測定は、レーザ顕微鏡(株式会社キーエンス製 VK―8500)を用いて、平滑化条件設定(フィルタサイズ3×3、フィルタタイプ単純平均、実行回数1回)、レンズ倍率100倍、白黒超深度モード、その他の設定は標準仕様に準ずることにより表面粗さ測定により行った。キャップ10を切り取り、内面の下端部付近1ヶ所の0.2mm四方をピッチ0.001mm間隔で測定した。
また、以下において、算出された算術平均粗さRaの端数は、測定箇所によるバラツキとサンプルのバラツキにより、小数点3桁目を四捨五入した。なお、透明度差に対する評価方法は、本願発明者による目視(外観検査)である。
キャップ内面となる光沢部Aの算術平均粗さRaは0.08μm、梨地部Bの算術平均粗さRaは2.31μmであった。また、キャップ外面の算術平均粗さRaは0.09μmであり、外面は透明度差のあるものであり、表面が略均一な表面粗さで光沢面を有するものである。
【0028】
(筆記具の構成:図3〜図5準拠)
(ペン先の構成)
筆記部ペン芯:PE製焼結芯、気孔率60%、上辺長さ5mm、下辺長さ6mm、高さ3mm、前端面の両側を面取り加工
保持体(本体部含む):ABS製、可視光線透過率85%〔スガ試験機社製、多光源分光測色計(MSC−5N)にて反射率を測定し、可視光線透過率とした。〕
ペン先の視認部面積(面積比率)の算出は、成形品の実寸法を測定することにより行い、面積比率は90%であった。長さ:11mm、厚さ3.2mm、幅方向長さ6.8mm
インク誘導部:円筒形状、直径:0.7mm、長さ7.1mm、インクが入った状態の可視光線透過率27%であった。
(ペン先以外の筆記具部材の構成)
中継芯 :PET繊維束、気孔率65%、φ3×24mm
インク吸蔵体:PET繊維束、気孔率85%、φ13×55mm
筆記具本体:ポリプロピレン(PP)製
ペン芯と保持体の接着は下記により行った。
ペン芯は、保持体にペン芯を面取り部側から装着した状態で、有機溶剤(酢酸エチル)をしみ込ませ、乾燥させることで接着した。
【0029】
(インク組成)
インクとして、下記組成の蛍光桃インクを使用した。
色材 :VCトナー桃(御国色素社製) 30質量部
湿潤剤:グリセリン 25質量部
防腐剤:バイオエース(ケイアイ化成社製) 0.7質量部
イオン交換水 44.3質量部
【0030】
このように構成される本発明の実施例1となる筆記具用キャップでは、外面が透明度差のある筆記具用キャップから構成されるものとなり、表面が略均一な表面粗さで光沢面を有し、筆記具用キャップの外側ではなく、内キャップ側に境界を明確に区別化できるペン先を強調できる窓部及び非視認部となる各エリアを設けることで、窓部でペン先を際立たせることができることが判った。また、成形品の外面(金型の内面)で梨地部(シボ加工)と光沢の面を作製すると加工の手間が大きくなるが、本実施例では成形品の内面(コアの外面)に加工する場合は手間が少なく、加工性が良好となり、また、キャップの外形状や表面状態を均一にできるため、自動機、等における組立工程を阻害せず、量産性にも優れることが判った。
この実施例1の筆記具用キャップを装着した筆記具を用いて、文字の上に筆記したところ、筆記時に視認部を介して向こう側の見え方を目視にて確認したところ、視認性が十分であり、非常に見やすく、筆記方向に書いてある文字を読みながら筆記することができた。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の筆記具用キャップでは、アンダーラインペン、ペイントマーカー、油性マーカー、水性マーカー、ボールペンなどの筆記具のペン先を保護すると共に、キャップ内部のペン先が効果的に視認に使用することができる。
【符号の説明】
【0032】
10 筆記具用キャップ
11 外キャップ部
12 内キャップ部
16 光沢部
17 梨地部
30 インク吸蔵体
35 中継芯
40 ペン先
45 ペン芯
50 インク誘導部
55 保持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面が透明度差のある筆記具用キャップにおいて、表面が略均一な表面粗さで光沢面を有することを特徴とする筆記具用キャップ。
【請求項2】
前記筆記具用キャップの内面は、光沢部と梨地部で構成され、前記光沢部と前記梨地部の表面粗さが互いに異なることを特徴とする請求項1記載の筆記具キャップ。
【請求項3】
前記光沢部の表面粗さが算術平均粗さRa0.2μm以下で、梨地部の表面粗さが算術平均粗さRa0.2μmより大きいことを特徴とする請求項2記載の筆記具用キャップ。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一つに記載の筆記具用キャップをペン先に装着したことを特徴とする筆記具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−103398(P2013−103398A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248315(P2011−248315)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000005957)三菱鉛筆株式会社 (692)