説明

筆記具

【課題】外部よりインキ色を容易に視認可能な筆記具を提供するものである。
【解決手段】少なくとも軸筒または口先部が透明または半透明からなる筆記具において、前記透明または半透明からなる軸筒または口先部の内壁部に、インキ色と同色の部材の少なくとも一部を前記内壁部に接した状態で配設し、外部よりインキ色を視認可能としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、外部からインキ色を視認可能な筆記具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の筆記具は、筆記具のインキ色を確認するために、軸筒や軸筒の把持部に配設したグリップ部材等の外装の色をインキ色と同一としていた。しかし、近年、軸筒やグリップ部材をスケルトン調やメタリック調にするなど筆記具におけるカラー展開が盛んであり、例えば、黒色インキのインキ収容管を、赤の半透明や不透明の軸筒に収容する等、インキ色と異なる色の軸筒内に収容することが間々ある。
【0003】こうした筆記具のインキ色を確認するための手段として、例えば、実開平7−40183号公報の「ボールペン」に開示されているように、チップホルダーをインキ色と同一とし、外部から視認可能なように構成してなるものは知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、チップホルダーを外部から視認可能とするには口先部が透明のもの、または常にチップホルダーが外部に露出しているものに限られ、口先部が不透明のものは勿論のこと、ノック式筆記具等の口先部内にコイルスプリングを配設してなるものでは、チップホルダーを外部から視認できない、または視認し難く、使用者がインキ色を把握できないことが間々あった。
【0005】本発明は上記問題を鑑み、外部よりインキ色を容易に視認可能な筆記具を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも軸筒または口先部が透明または半透明からなる筆記具において、前記透明または半透明からなる軸筒または口先部の内壁部に、インキ色と同色の部材の少なくとも一部を前記内壁部に接した状態で配設し、外部よりインキ色を視認可能としたことを特徴としたものである。
【0007】または、前記軸筒または口先部が、インキ色と異なる有彩色の半透明からなることを特徴としたものである。
【0008】または、前記インキ色と同色の部材の少なくとも一部が、前記内壁部に接した状態で交換可能に配設したことを特徴としたものである。
【0009】または、前記筆記具が、筆記先端部操出機構による操出式の筆記具であることを特徴としたものである。
【0010】本発明の軸筒とは、一般的に知られている筆記具を構成する部材のことであり、口先部とは、例えば口金や口プラのように筆記先端部が突出する開口部を有する部分であり、軸筒と別体あるいは一体に形成してあってもよい。
【0011】また、筆記先端部操出機構とは、回転式やノック式(回転カム型、係子型、ハートカム型)等、一般的に知られている筆記具における操出機構のことであり、本発明の操出式の筆記具とは、こうした操出機構を用いて、非筆記時には筆記先端部が口先部内に待機した状態で、筆記時には操出機構により筆記先端部を口先部の先端開口部より突出させ、筆記可能となる筆記具のことである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。本実施の形態では便宜上、ノック式の筆記具として説明するが、本発明はこれら実施の形態に制限されるものではない。
【0013】図1、2に示すノック式筆記具1は、先ず、赤色の半透明の前軸2と後軸3からなる軸筒本体をエチレンニトリルスチレン樹脂(AS樹脂)で成形し、前軸2の外径が軸筒外径より小径に形成した把持部に、グリップ部材12を配設し、前軸2と後軸3を螺合して軸筒本体を形成し、この軸筒本体内に回転カム5からなる繰出機構を具備してノック式筆記具1を得る。該繰出機構は、従来から知られているもので、簡単に説明すると、後軸3の内壁部に回転カム5を前後に摺動案内し回転させるためのカム溝(図示せず)を形成し、このカム溝に、回転カム5に形成した突起5aを係合して配設してある。回転カム5の後端には、前記回転カムを摺動し回転を付与するためのカム部(図示せず)を先端に有し、外周面に突部6aを形成したノック体6を、ノック体6の突部6aを前記カム溝に係合し、後端部が後軸の後端3bの開口部より外方に突出した状態に配設した構造である。
【0014】軸筒内の回転カム5の前方には、チップホルダー8の先端にボール10を回転自在に抱持したボールペンチップ9からなる筆記先端部を嵌着してなるインキ収容管7をスプリング11により軸筒後端3b方向へ付勢して、摺動自在に配設してある。インキ収容管7には黒色の筆記具用インキ(図示せず)を収容してある。
【0015】後軸3の内壁部に段部14を形成し、該段部14にインキ色と同色の黒色からなる円筒状の部材4を交換可能に圧入装着して配設した構造である。円筒状の部材4は、後軸3の内壁部3aに接した状態で配設しているので、インキ色(黒)と異なる有彩色(赤)の半透明の軸筒であっても、外部からのインキ色の確認が容易にできるようになった。さらに円筒状の部材4を交換可能に配設することにより、インキ色に準じて円筒状の部材4を変更することにより、同一の軸筒で様々なインキ色に対応することができるので好ましい。
【0016】ノック式筆記具1は、非筆記時には筆記先端部が口先部15内に待機した状態で、ノック体6を押圧することにより、回転カムによる繰出機構によって筆記先端部を口先部の先端開口部2aより突出させ、筆記可能とすることができる。また、後軸3にはクリップ部材16を有する頭冠部13を装着してある。
【0017】図3、4に示す第2の実施の形態の筆記具21は、第1の実施の形態と同様の回転カム機構かなるノック式筆記具であり、先ず、青色の半透明の前軸22と後軸23からなる軸筒本体をエチレンニトリルスチレン樹脂(AS樹脂)で成形し、前軸22の外径が軸筒外径より小径に形成した把持部に、グリップ部材12を配設し、前軸22と後軸23を螺合して軸筒本体を形成し、この軸筒本体内に回転カム5からなる繰出機構を具備してノック式筆記具21を得る。
【0018】前軸22と一体に形成した口先部25の内壁部に段部34を形成し、該段部34にインキ色と同色の赤色からなる円筒状の部材24を交換可能に圧入装着した構造である。円筒状の部材24は、口先部の内壁部25aに接した状態で配設し、口先部25を半透明で形成しているので、スプリング11を配設してあっても、外部よりインキ色を容易に視認可能である。
【0019】ノック式の筆記具21は、実施例1と同様に非筆記時には筆記先端部が口先部25内に待機した状態で、ノック体6を押圧することにより、回転カムによる繰出機構によって筆記先端部を口先部の先端開口部22aより突出させ、筆記可能とすることができる。また、後軸23にはクリップ部材16を有する頭冠部13を装着してある。
【0020】本発明のインキ色と同色の部材の形状は前記した円筒状に限らず、少なくとも部材の一部が軸筒の内壁部に接するように形成してあれば特に限定されるものではない。また、部材を配設する場所も特に限定されるものではなく、透明または半透明である軸筒または口先部の内壁部に接した状態であればよく、配設方法も圧入や係子など特に限定されないが前述したように交換可能に配設するほうが好ましい。また、軸筒の形状も実施例に示した、前軸と後軸を螺合するものに限るものではなく、従来から知られている筆記具の軸筒を適宜選択して使用することができる。
【0021】
【発明の効果】本発明による筆記具の軸筒は、前述したような構成なので、透明または半透明からなる軸筒または口先部内にインキ色と同色の部材を配設してあるので、外部から容易にインキ色を確認することができる筆記具を提供することができた。
【0022】また、ノック式筆記具においては、不使用時にチップ先端部が口先部内に待機した状態で、さらに口先部内等にスプリングを配設してあっても外部から容易にインキ色を確認することができるので特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第一の実施の形態の筆記具を示す、縦断面図である。
【図2】図1における要部拡大図である。
【図3】本発明における第二の実施の形態の筆記具を示す、縦断面図である。
【図4】図3における要部拡大図である。
【符号の説明】
1、21 筆記具
2、22 前軸
2a、22a 先端開口部
3、23 後軸
3a 後軸内壁部
3b 軸筒後端部
4、24 部材
5 回転カム
6 ノック体
7 インキ収容管
8 チップホルダー
9 ボールペンチップ
14、34 段部
15、25 口先部
25a 口先部内壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】少なくとも軸筒または口先部が透明または半透明からなる筆記具において、前記透明または半透明からなる軸筒または口先部の内壁部に、インキ色と同色の部材の少なくとも一部を前記内壁部に接した状態で配設し、外部よりインキ色を視認可能としたことを特徴とする筆記具。
【請求項2】前記軸筒または口先部が、インキ色と異なる有彩色の半透明からなることを特徴とする請求項1に記載の筆記具。
【請求項3】前記インキ色と同色の部材の少なくとも一部が、前記内壁部に接した状態で交換可能に配設したことを特徴とする請求項1ないし2に記載の筆記具。
【請求項4】前記筆記具が、筆記先端部操出機構による操出式の筆記具であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の筆記具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2001−334788(P2001−334788A)
【公開日】平成13年12月4日(2001.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−157917(P2000−157917)
【出願日】平成12年5月29日(2000.5.29)
【出願人】(000005027)株式会社パイロット (6)
【Fターム(参考)】