筆記具
【課題】 非筆記時において、キャップを筆記具本体の尾端側外周面に装着する際に、筆記具本体の外周面にこすり傷ができることがなく、装着時のフィーリングも好ましい筆記具を提供する。
【解決手段】 キャップを筆記具本体の尾端側に装着可能な筆記具において、キャップが装着される筆記具本体１０の尾端側外周面１０ａを緩やかなテーパー面にするとともに、キャップ本体２０の合口側内周面２０にエラストマーからなる環弾性部材２５を固着し、キャップの筆記具本体の尾端側への装着時において、この環状弾性部材を筆記具本体の尾端側外周の緩やかなテーパー面に嵌合させる。
【解決手段】 キャップを筆記具本体の尾端側に装着可能な筆記具において、キャップが装着される筆記具本体１０の尾端側外周面１０ａを緩やかなテーパー面にするとともに、キャップ本体２０の合口側内周面２０にエラストマーからなる環弾性部材２５を固着し、キャップの筆記具本体の尾端側への装着時において、この環状弾性部材を筆記具本体の尾端側外周の緩やかなテーパー面に嵌合させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、筆記時にキャップを筆記具本体の尾端側に装着可能な筆記具に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
例えば万年筆のように水性インキを使用する筆記具は、非筆記時にインキの蒸発を防止するためにキャップでペン体を密封することが多いが、筆記時はキャップを筆記具本体の尾端側に装着すると、筆記終了時にキャップを探す必要がなく、使い勝手がよくて便利であるので、キャップを筆記具本体の尾端側に装着可能に設計されることが多い。このため、万年筆などにおいては、筆記具本体の尾端側外周面およびキャップ本体の合口側内周面を緩やかなテーパー面とし、テーパー面同士が嵌合して装着される構造が採用されることが多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
万年筆などの筆記具においては、筆記具本体とキャップ本体がアクリル樹脂などで成形されることが多いが、前述のテーパー面同士が嵌合する筆記具においては、キャップを筆記具本体の尾端側に装着したり取り外すときに筆記具本体の外周面とキャップ本体の内周面とが相対的に摺動するので筆記具本体の外周面にこすり傷ができやすい。ことに、キャップを筆記具本体の尾端側に差し込むときや引き抜くときに、キャップを少し回転させながら差し込んだり引き抜く傾向があるが、筆記具本体やキャップ本体の真円度が不十分であると、回転に伴いこすり傷が発生しやすい。そして、筆記具本体の外周面にこすり傷ができると、外見上著しく見苦しくなる不具合がある。ことに超高級な万年筆などにおいては、筆記具本体の外周面に蒔絵などを施すことがあるが、この場合は外周面が平滑でないのでキャップの装着や取り外し時にこすり傷ができやすく、超高級万年筆においてはこのこすり傷は致命的な欠陥になる。また、装着時に筆記具本体とキャップ本体の合成樹脂同士がこすり合わされるので、キャップ装着のフィーリングが好ましくない不具合がある。そして、合成樹脂同士の嵌合では摩擦抵抗が小さく、キャップが筆記具本体の尾端から不意に脱落することがある。
【０００４】
そこで本発明は、非筆記時において、キャップを筆記具本体の尾端側外周面に装着する際に、筆記具本体の外周面にこすり傷ができることがなく、装着時のフィーリングも好ましい筆記具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
かかる目的を達成するために、本発明は、キャップを筆記具本体の尾端側に装着可能な筆記具において、キャップが装着される筆記具本体の尾端側外周面を緩やかなテーパー面にするとともに、キャップ本体の合口側内周面にエラストマーからなる環状弾性部材を固着し、キャップの筆記具本体の尾端側への装着時において、この環状弾性部材を筆記具本体の尾端側外周の緩やかなテーパー面に嵌合させる。
【発明の効果】
【０００６】
キャップを筆記具本体の尾端側へ装着する時、エラストマーからなる環状弾性部材が筆記具本体の尾端側外周の緩やかなテーパー面に摺動しながら嵌合するので、筆記具本体の外周面にこすり傷ができることがなく、また、装着時のフィーリングも好ましい筆記具とすることができる。そして、エラストマーからなる環状弾性部材は合成樹脂からなる筆記具本体の外周面との摩擦抵抗が大きいので、キャップが筆記具本体の尾端から不意に脱落することもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
図面は万年筆に本発明を適用した例を示すが、図１において、筆記具本体１０はアクリル樹脂にて略有底筒状に成形されたものであり、尾端側外周面１０ａは緩やかなテーパー面になつている。筆記具本体１０の先端開口には先口１２が固着され、先口１２からペン体１３が突出している。また、筆記具本体１０の先端にねじ溝１１が形成されている。筆記具本体１０内には図示しないインキカートリッジが収容されており、インキカートリッジ内の水性インキがペン体１３に供給されて筆記に供される。
【０００８】
キャップ本体２０もアクリル樹脂で筒状に成形されたものであり、合口側内周面２０ａも緩やかなテーパー面であり、その先端にはねじ溝２４が形成されている。また、合口側内周面２０ａには環状の凹溝が形成されており、この凹溝にオレフィン系のエラストマーで成形された環状弾性部材２５が嵌め込まれ状態で固着されている。環状弾性部材２５の表面は、自由状態において合口側内周面２０ａよりも少し突出している。キャップ本体２０内には内キャップ２３が配置されている。また、クリップ２２が尾栓２１によってキャップ本体２０に固定されている。
【０００９】
非筆記時においては、図１に示すように、筆記具本体１０のねじ溝１とキャップ本体２０のねじ溝２４を螺合すると、内キャップ２３の先端縁が先口１２の先端面１２ａに衝合してペン体１３を密封し、インキの蒸発を防止する。
次に、筆記するときはキャップを取り外し、図２に示すように、筆記具本体１０の尾端側に差し込むと、尾端側外周面１０ａに環状弾性部材２５が摺動して嵌着される。このとき、環状弾性部材２５がエラストマーで成形されているので、筆記具本体１０やキャップ本体２０の真円度が十分でなく、また、また少しキャップを回転するようにして押し込んでも、筆記具本体１０の尾端側外周面１０ａにこすり傷ができることかない。また、アクリル樹脂などの合成樹脂同士が摺動する場合に比べて、装着時のフィーリングが良好である。そして、尾端側外周面１０ａと環状弾性部材２５との摩擦抵抗も大きいので嵌着力も大きくなってキャップか不意に脱落することも防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１０】
【図１】本発明実施例の非筆記時における一部を切り欠いた正面図である。
【図２】本発明実施例の筆記時における一部を切り欠いた正面図である。
【符号の説明】
【００１１】
１０ 筆記具本体
１０ａ 尾端側外周面
１１ ねじ溝
１２ 先口
１３ ペン体
２０ キャップ本体
２０ａ 合口側内周面
２１ 尾栓
２２ クリップ
２３ 内キャップ
２４ ねじ溝
２５ 環状弾性部材
【技術分野】
【０００１】
本発明は、筆記時にキャップを筆記具本体の尾端側に装着可能な筆記具に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
例えば万年筆のように水性インキを使用する筆記具は、非筆記時にインキの蒸発を防止するためにキャップでペン体を密封することが多いが、筆記時はキャップを筆記具本体の尾端側に装着すると、筆記終了時にキャップを探す必要がなく、使い勝手がよくて便利であるので、キャップを筆記具本体の尾端側に装着可能に設計されることが多い。このため、万年筆などにおいては、筆記具本体の尾端側外周面およびキャップ本体の合口側内周面を緩やかなテーパー面とし、テーパー面同士が嵌合して装着される構造が採用されることが多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
万年筆などの筆記具においては、筆記具本体とキャップ本体がアクリル樹脂などで成形されることが多いが、前述のテーパー面同士が嵌合する筆記具においては、キャップを筆記具本体の尾端側に装着したり取り外すときに筆記具本体の外周面とキャップ本体の内周面とが相対的に摺動するので筆記具本体の外周面にこすり傷ができやすい。ことに、キャップを筆記具本体の尾端側に差し込むときや引き抜くときに、キャップを少し回転させながら差し込んだり引き抜く傾向があるが、筆記具本体やキャップ本体の真円度が不十分であると、回転に伴いこすり傷が発生しやすい。そして、筆記具本体の外周面にこすり傷ができると、外見上著しく見苦しくなる不具合がある。ことに超高級な万年筆などにおいては、筆記具本体の外周面に蒔絵などを施すことがあるが、この場合は外周面が平滑でないのでキャップの装着や取り外し時にこすり傷ができやすく、超高級万年筆においてはこのこすり傷は致命的な欠陥になる。また、装着時に筆記具本体とキャップ本体の合成樹脂同士がこすり合わされるので、キャップ装着のフィーリングが好ましくない不具合がある。そして、合成樹脂同士の嵌合では摩擦抵抗が小さく、キャップが筆記具本体の尾端から不意に脱落することがある。
【０００４】
そこで本発明は、非筆記時において、キャップを筆記具本体の尾端側外周面に装着する際に、筆記具本体の外周面にこすり傷ができることがなく、装着時のフィーリングも好ましい筆記具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
かかる目的を達成するために、本発明は、キャップを筆記具本体の尾端側に装着可能な筆記具において、キャップが装着される筆記具本体の尾端側外周面を緩やかなテーパー面にするとともに、キャップ本体の合口側内周面にエラストマーからなる環状弾性部材を固着し、キャップの筆記具本体の尾端側への装着時において、この環状弾性部材を筆記具本体の尾端側外周の緩やかなテーパー面に嵌合させる。
【発明の効果】
【０００６】
キャップを筆記具本体の尾端側へ装着する時、エラストマーからなる環状弾性部材が筆記具本体の尾端側外周の緩やかなテーパー面に摺動しながら嵌合するので、筆記具本体の外周面にこすり傷ができることがなく、また、装着時のフィーリングも好ましい筆記具とすることができる。そして、エラストマーからなる環状弾性部材は合成樹脂からなる筆記具本体の外周面との摩擦抵抗が大きいので、キャップが筆記具本体の尾端から不意に脱落することもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
図面は万年筆に本発明を適用した例を示すが、図１において、筆記具本体１０はアクリル樹脂にて略有底筒状に成形されたものであり、尾端側外周面１０ａは緩やかなテーパー面になつている。筆記具本体１０の先端開口には先口１２が固着され、先口１２からペン体１３が突出している。また、筆記具本体１０の先端にねじ溝１１が形成されている。筆記具本体１０内には図示しないインキカートリッジが収容されており、インキカートリッジ内の水性インキがペン体１３に供給されて筆記に供される。
【０００８】
キャップ本体２０もアクリル樹脂で筒状に成形されたものであり、合口側内周面２０ａも緩やかなテーパー面であり、その先端にはねじ溝２４が形成されている。また、合口側内周面２０ａには環状の凹溝が形成されており、この凹溝にオレフィン系のエラストマーで成形された環状弾性部材２５が嵌め込まれ状態で固着されている。環状弾性部材２５の表面は、自由状態において合口側内周面２０ａよりも少し突出している。キャップ本体２０内には内キャップ２３が配置されている。また、クリップ２２が尾栓２１によってキャップ本体２０に固定されている。
【０００９】
非筆記時においては、図１に示すように、筆記具本体１０のねじ溝１とキャップ本体２０のねじ溝２４を螺合すると、内キャップ２３の先端縁が先口１２の先端面１２ａに衝合してペン体１３を密封し、インキの蒸発を防止する。
次に、筆記するときはキャップを取り外し、図２に示すように、筆記具本体１０の尾端側に差し込むと、尾端側外周面１０ａに環状弾性部材２５が摺動して嵌着される。このとき、環状弾性部材２５がエラストマーで成形されているので、筆記具本体１０やキャップ本体２０の真円度が十分でなく、また、また少しキャップを回転するようにして押し込んでも、筆記具本体１０の尾端側外周面１０ａにこすり傷ができることかない。また、アクリル樹脂などの合成樹脂同士が摺動する場合に比べて、装着時のフィーリングが良好である。そして、尾端側外周面１０ａと環状弾性部材２５との摩擦抵抗も大きいので嵌着力も大きくなってキャップか不意に脱落することも防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１０】
【図１】本発明実施例の非筆記時における一部を切り欠いた正面図である。
【図２】本発明実施例の筆記時における一部を切り欠いた正面図である。
【符号の説明】
【００１１】
１０ 筆記具本体
１０ａ 尾端側外周面
１１ ねじ溝
１２ 先口
１３ ペン体
２０ キャップ本体
２０ａ 合口側内周面
２１ 尾栓
２２ クリップ
２３ 内キャップ
２４ ねじ溝
２５ 環状弾性部材
【特許請求の範囲】
【請求項１】
キャップを筆記具本体の尾端側に装着可能な筆記具において、
キャップが装着される筆記具本体の尾端側外周面が緩やかなテーパー面であるとともに、キャップ本体の合口側内周面にエラストマーからなる環状弾性部材が固着され、キャップの筆記具本体の尾端側への装着時において、該環状弾性部材が筆記具本体の尾端側外周の緩やかなテーパー面に嵌合することを特徴とする筆記具。
【請求項１】
キャップを筆記具本体の尾端側に装着可能な筆記具において、
キャップが装着される筆記具本体の尾端側外周面が緩やかなテーパー面であるとともに、キャップ本体の合口側内周面にエラストマーからなる環状弾性部材が固着され、キャップの筆記具本体の尾端側への装着時において、該環状弾性部材が筆記具本体の尾端側外周の緩やかなテーパー面に嵌合することを特徴とする筆記具。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２００６−３０５７３６（Ｐ２００６−３０５７３６Ａ）
【公開日】平成１８年１１月９日（２００６．１１．９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−１２７２９１（Ｐ２００５−１２７２９１）
【出願日】平成１７年４月２６日（２００５．４．２６）
【出願人】（０００００２３１４）セーラー万年筆株式会社 (49)
【公開日】平成１８年１１月９日（２００６．１１．９）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年４月２６日（２００５．４．２６）
【出願人】（０００００２３１４）セーラー万年筆株式会社 (49)
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