説明

筆記支援装置、筆記支援方法、およびプログラム

【課題】クラウドソーシングの活用によって、聴覚障害者の聞き取りの支援を行ない得る、筆記支援装置、筆記支援方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】筆記支援装置100は、授業中の映像データ及び音声データを取得する教師端末2のアドレス、生徒端末6のアドレスを格納する、格納部1と、口述筆記を行なう筆記者としての参加の申請を受け付け、参加申請があった場合に、参加申請を行なった筆記者が使用する端末のアドレスを筆記者端末4のアドレスとして格納部1に格納する、筆記者申し込み受付部13と、格納部1に、筆記者端末4のアドレスが登録されているかどうかを判定し、登録されている場合に、教師端末2に対して、映像データ及び音声データの筆記者端末4への送信を指示し、筆記者端末4に対して、作成したテキストデータの生徒端末6への送信を指示する、制御部14とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、聴覚障害者に対する口述筆記を支援するための、筆記支援装置、筆記支援方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及により、複数の利用者間での、映像、音声、テキストの通信及び共有が、安価にまたは無料で実現されている。例えば、PC(Personal Computer)にスカイプ(登録商標)と呼ばれる通信ソフトをインストールし、これを起動すれば、任意のインターネット利用者間で、無料の通話が可能になる。また、スカイプを使用した場合は、音声通話のみならず、Webカメラの設置によって映像の送受信も可能になり、更には、相互にキーボードから入力するテキスト画面の共有(チャット)も可能になる。
【0003】
このような、スカイプをはじめとする新しい通信手段、Yahoo社が提供するブログのような情報発信手段を通じて、不特定多数の人同士で、協力をしあう活動及び仕組みが様々な分野で実現されている。このような活動及び仕組みは、「クラウドソーシング(Crowd Sourcing))と呼ばれることがある。なお、ここでの「クラウド(Crowd)」は、「群集」の意味であって、クラウドコンピューティングの「クラウド(Cloud):雲の意味」とは、日本語のカタカナ標記では同じであるが、英語での意味及びスペルは全く異なるものである。
【0004】
具体的なクラウドソーシングの例としては、アクセシビリティ(Accessibility)が挙げられる。アクセシビリティとは、障害者を含む誰もが、様々な製品、建物、サービスなどを支障なくできるかどうか、またはその度合を意味する。つまり、クラウドソーシングは、身体障害者が健常者と同レベルのサービスを受容するための活動(アクセシビリティ分野での活動)において、期待されている。
【0005】
例えば、視覚障害者は、Webページにおいて、テキストで書かれている部分については、音声合成ソフトウェアを使ってテキスト部分を自動的に読み上げることにより、内容を理解することができるが、写真及び画像ファイルが貼付けられている部分については、理解できない。
【0006】
一方、HTML言語では、写真ファイルおよび画像ファイルの所に、タグによって、その内容をテキストで記載することができる仕組みが用意されている。従って、視覚障害者が読むことを想定して、このタグを使って写真ファイルおよび画像ファイルの内容がテキストで記述されていると、上記の読み上げソフトは、このタグを認識し、注釈情報として写真および画像などのテキスト部分も読み上げることとなる。例えば、「夕暮れの富士山を撮影した写真を掲載しています」と、写真のところにテキストが記述されている場合が挙げられる。こうすることで、視覚障害者は、写真および画像がどういう内容のものなのかを、概略知ることができるようになる。
【0007】
但し、このようなタグをすべての写真ファイルおよび画像ファイルの裏側に用意することは、困難でもあり、視覚障害者が内容を十分に理解できない場合もある。このような視覚障害者における困難の解決を支援するため、鳥取県とIBM社とが新たなサービスを発表している(例えば、非特許文献1参照)。
【0008】
具体的には、非特許文献1では、視覚障害者は、特定のホームページを読んでいるときに、写真および画像の部分で理解の困難に遭遇すると、そのことを通知する。そして、この通知を見た不特定の健常者である第三者は、その写真および画像の部分を参照して、その内容についての書き込みを行なう。これにより、視覚障害者の困難の解決が支援されるものと考えられる。
【0009】
非特許文献1に開示されたサービスは、鳥取県のホームページに限定して開始されている。もちろん、全てのWebページの作成者が、最初から完全に、写真および画像のテキスト部分を準備していれば、または視覚障害者からのクレームがあったとしても、Webページの作成者がすぐに対応できれば、このようなサービスは必要ないとも考える。但し、これらのことを実現するのは、必ずしも容易ではないので、このような不特定の第三者による善意をベースとしたクラウドソーシングのサービスの存在意義がある。
【0010】
続いて、聴覚障害者へのサービスについて説明する。例えば、聴覚障害者が小学生であった場合、この児童は、授業における先生の口の動きを読み取ることで、発話の内容を理解しようと努力する。但し、先生が、常に、その子供から先生の口の動きが良く見える方向を向いてくれるとは限らないし、口の動きを読むだけでは、発話の内容を理解できないことも多い。
【0011】
そのため、音声認識装置を教室に用意しておき、音声認識装置によって、先生および他の児童の発話を認識し、認識結果を文字に変換して、ディスプレイに表示するようにしたシステムが検討されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】「公共ウェブサイトのアクセシビリティ向上事業に着手」、[online]、2010年8月2日、IBM社プレスリリース、[2011年3月31日検索]、インターネット<URL:http://www-06.ibm.com/jp/press/2010/08/0201.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述の音声認識システムを教室に配置すれば、聴覚障害を持った児童の理解支援に大いに役立つと期待されるが、現在の音声認識の技術では、音声認識には間違いが含まれるため、このようなシステムの実現は困難であると考えられる。
【0014】
つまり、対象が大人の場合であれば、多くの音声認識の間違いを含んだ文字情報を見ても、頭の中で「本当はこういう意味なんだけど、同音異義語を音声認識装置が誤解して、こういう結果が出たんだな」というような知的な解釈を行い、訂正後の内容で理解しつつ使うことが可能である。
【0015】
しかし、対象が、小学生のような子供の場合であれば、このような理解と訂正をしつつ、多くの間違いを含んだ音声認識装置の出力を利用するのには、困難を伴うと考えられる。従って、このような状況下では、音声認識装置以外によって授業内容の理解を支援するシステムが求められている。
【0016】
本発明の目的の一例は、上記問題を解消し、クラウドソーシングの活用によって、聴覚障害者の聞き取りの支援を行ない得る、筆記支援装置、筆記支援方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の一側面における筆記支援装置は、授業中の映像データ及び音声データを取得する教師用の端末、生徒用の端末、および口述筆記を行なう筆記者用の端末の間で通信を行う、筆記支援装置であって、
前記教師用の端末のアドレス、および前記生徒用の端末のアドレスを格納する、格納部と、
前記筆記者としての参加の申請を受け付け、参加申請があった場合に、参加申請を行なった筆記者が使用する端末のアドレスを、前記筆記者用の端末のアドレスとして前記格納部に格納する、筆記者申し込み受付部と、
前記格納部に、前記筆記者用の端末のアドレスが登録されているかどうかを判定し、
登録されている場合に、前記教師用の端末に対して、取得した前記映像データ及び前記音声データの前記筆記者用の端末への送信を指示し、更に、前記筆記者用の端末に対して、前記筆記者が作成したテキストデータの前記生徒用の端末への送信を指示する、制御部と、
を備えている、ことを特徴とする。
【0018】
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面における筆記支援方法は、授業中の映像データ及び音声データを取得する教師用の端末、生徒用の端末、および口述筆記を行なう筆記者用の端末を用いて、筆記支援を行なうための方法であって、
(a)前記教師用の端末のアドレス、および前記生徒用の端末のアドレスを、記憶装置に格納する、ステップと、
(b)前記筆記者としての参加の申請を受け付け、参加申請があった場合に、参加申請を行なった筆記者が使用する端末のアドレスを、前記筆記者用の端末のアドレスとして前記記憶装置に格納する、ステップと、
(c)前記記憶装置に、前記筆記者用の端末のアドレスが登録されているかどうかを判定し、
登録されている場合に、前記教師用の端末に対して、取得した前記映像データ及び前記音声データの前記筆記者用の端末への送信を指示し、更に、前記筆記者用の端末に対して、前記筆記者が作成したテキストデータの前記生徒用の端末への送信を指示する、ステップと、
を有する、ことを特徴とする。
【0019】
更に、上記目的を達成するため、本発明の一側面におけるプログラムは、授業中の映像データ及び音声データを取得する教師用の端末、生徒用の端末、および口述筆記を行なう筆記者用の端末を用いて、コンピュータによって、筆記支援を行なうためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)前記教師用の端末のアドレス、および前記生徒用の端末のアドレスを、記憶装置に格納する、ステップと、
(b)前記筆記者としての参加の申請を受け付け、参加申請があった場合に、参加申請を行なった筆記者が使用する端末のアドレスを、前記筆記者用の端末のアドレスとして前記記憶装置に格納する、ステップと、
(c)前記記憶装置に、前記筆記者用の端末のアドレスが登録されているかどうかを判定し、
登録されている場合に、前記教師用の端末に対して、取得した前記映像データ及び前記音声データの前記筆記者用の端末への送信を指示し、更に、前記筆記者用の端末に対して、前記筆記者が作成したテキストデータの前記生徒用の端末への送信を指示する、ステップと、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明における、筆記支援装置、筆記支援方法、およびプログラムによれば、クラウドソーシングの活用によって、聴覚障害者の聞き取りの支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施の形態における筆記支援装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1における筆記支援装置の会話開始時の動作を示すフロー図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1における筆記支援装置の会話終了時の動作を示すフロー図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態1における筆記支援装置が授業の開始及び終了を管理するために行う動作を示すフロー図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態における筆記支援装置の授業申し込み受け付け時の動作を示すフロー図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態における筆記支援装置の筆記者申し込み受け付け時の動作を示すフロー図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態2における筆記支援装置の構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態3における筆記支援装置の構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態3における筆記支援装置の動作を示すフロー図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態4における筆記支援装置の構成を示すブロック図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態4における筆記支援装置の動作を示すフロー図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態1〜4における筆記支援装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【図13】図13は、本発明の原理の概要を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(発明の概要)
上述した課題を解決するため、本発明においては、クラウドソーシングの考え方が導入される。以下に、図13を用いて、本発明の概要について説明する。図13は、本発明の原理を説明するための説明図である。
【0023】
ある授業があり、そこに聴覚障害者の生徒がいた場合を想定する。この場合において、図13に示すように、先生にマイクを取付、先生と黒板とを写すカメラを設置し、授業中に、マイクの音声とカメラの映像とを、インターネットを介して、全く別の場所にいる筆記者のPCに送信する。
【0024】
筆記者は、先生の姿および黒板に書かれた情報を参考にして、マイクから聞こえる先生の声を、口述筆記する。その口述筆記の内容は、インターネットを介して、生徒のもつディスプレイに表示される。生徒は、そのディスプレイを見ることで、先生の発話を知ることができる。また、授業中に、先生と別の生徒との間でやり取りが行なわれたときは、口述筆記者は、それについても口述筆記してもよい。
【0025】
例えば、口述筆記者が、
先生: この足し算わかった人、手をあげて
生徒: はい
先生: はい、佐藤君。
生徒: 35です。
のように、口述筆記することで、聴覚障害の生徒に、教室のやりとりを伝えることが出来る。
【0026】
図13に示すシステムを実現するためには、まず、先生、生徒、筆記者の間で、音声および映像を相互に送受信する仕組(以下「通信基盤」と呼ぶ。)が必要である。このような通信基盤としては、背景術の欄で述べた、スカイプが挙げられ、その他、下記の参考資料に記載のマイクロソフト社のWindows(登録商標) Messengerも挙げられる。
参考資料:マイクロソフト社Webページ
<http://windowslive.jp.msn.com/messenger.htm>
【0027】
更に、図13に示すシステムを実現するため、その上位に、授業の開催に際して、口述筆記をしてくれる人の募集または依頼を行なうことと、ボランティアとして応募してくれた人が参加を申告することと、を相互に開示する一種の出会いの場を提供する必要がある。
【0028】
ここで、相互協力をする当事者の居場所はどこであっても構わない。たとえば、授業が東京で行われ、口述筆記する人は北海道にいても実現可能である。但し、時間的には、授業と同時に口述筆記をしてもらう必要があるので、特定の授業の日時に時間の余裕のある人が口述筆記を応募してくれる必要がある。そのため、授業の募集は、カレンダー的に時系列で表現しておくことが一覧性の観点からは望ましい。
【0029】
本発明は、先ず、以上の通信基盤の仕組と出会いの場とを一体にして実現する筆記支援装置を提案する。また、本発明は、このシステムに、授業の開始の直前に授業を開始する旨を関係者に自動通知する仕組みを追加することができる。
【0030】
更に、本発明は、授業の開催に際して、ボランティアの応募がなかった場合に、先生の音声と教室の映像を保存しておき、後になって、ボランティアの第3者が、口述筆記が行なわれていない過去の授業を見つけた場合に、空いている時間に、その音声と映像をダウンロードして口述筆記を行い、その結果をアップロードできる仕組みを追加することもできる。また、本発明は、同様に、授業の開催に際して、ボランティアの応募がなかった場合に、音声データを音声認識することによって、授業内容のテキストを生成する仕組みを追加することもできる。
【0031】
なお、類似の既存システムとして、日本遠隔コミュニケーション支援協会のIPtalk(http://iptalk.web.infoseek.co.jp/参照)が知られている。このシステムは、既に聴覚障害者向けに無料で提供されているパソコン要約筆記用ソフトウェアであり、このシステムを用いることにより、ネットワークで接続された複数の端末間で音声、映像、文字データを共有することができる。
【0032】
また、本発明では、通信基盤部分については、インターネットを利用した既存の技術を用いるのに対して、IPTalkでは、通信基盤部分が内蔵されている。IPTalkは、その設計思想として、気心の知り合っている人々の間で、相互協力関係を行うことを前提としたシステムだからである。IPTalkでは、授業および講演において、実時間での口述筆記のみが前提となる。
【0033】
一方、本発明では、全く見ず知らずの人が相互協力を行なうことを想定され、更に、カレンダー機能を内蔵していることが特徴である。その結果、必ずしも、全ての授業または講演に対して、実時間で口述筆記をする人が現れないことも当然の状況として想定されており、その場合の対処方法として、上述した事後に口述筆記をする仕組み、および音声認識によって口述筆記をする仕組みがある。
【0034】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における、筆記支援装置、筆記支援方法、およびプログラムについて、図1〜図6を参照しながら説明する。
【0035】
[装置構成」
最初に、本実施の形態1における筆記支援装置の構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態における筆記支援装置の構成を示すブロック図である。
【0036】
図1に示すように、本実施の形態における筆記支援装置100は、授業中の映像データ及び音声データを取得する教師用の端末2と、生徒用の端末6と、口述筆記を行なう筆記者用の端末4との間で通信を行う。これらはインターネットなどのネットワーク101を介して接続されている。
【0037】
なお、本実施の形態において、生徒用の端末6を使う生徒は、主に聴覚障害を持った生徒である。また、以降において、教師用の端末を「教師端末」と表記し、筆記者用の端末を「筆記端末」と表記し、生徒用の端末を「生徒端末」と表記する。
【0038】
また、図1に示すように、筆記支援装置100は、主に、格納部1と、筆記者申込受付部13と、制御部14とを備えている。このうち、格納部1は、教師端末2のアドレス、および生徒端末6のアドレスを格納している。
【0039】
筆記者申込受付部13は、広く一般から、筆記者としての参加の申請を受け付ける。そして、筆記者申込受付部13は、参加申請があった場合に、参加申請を行なった筆記者が使用する端末のアドレスを、筆記者端末4のアドレスとして格納部1に格納する。
【0040】
制御部14は、まず、格納部1に、筆記者用の端末のアドレスが登録されているかどうかを判定する。そして、判定の結果、登録されている場合は、制御部14は、教師端末2に対して、取得した映像データ及び音声データの筆記者端末4への送信を指示する。更に、この場合において、制御部14は、筆記者端末4に対しては、筆記者が口述筆記によって作成したテキストデータの生徒用端末6への送信を指示する。
【0041】
以上のように、本実施の形態では、聴覚障害を持った生徒がいる場合に、授業において口述筆記を行うことができる人を公募によって探すことができ、応募してくれた筆記者から生徒に対して授業の内容をテキストで送信することができる。本実施の形態によれば、クラウドソーシングの活用によって、聴覚障害者の聞き取りの支援を行なうことができる。
【0042】
ここで、本実施の形態1における筆記支援装置100の構成について更に具体的に説明する。図1に示すように、本実施の形態1では、筆記支援装置100は、格納部1、筆記者申込受付部13、及び制御部14に加えて、現在時刻を常に保持するタイマー10と、新規の授業の開催の申込を受け付ける授業申し込み受付部12とを更に備えている。
【0043】
また、制御部14は、会話開始制御部8と、会話終了制御部9と、授業開始終了制御部11とを備えている。このうち、会話開始制御部8は、会話開始時(授業開始時)からの会話において、教師端末2、生徒端末6、及び筆記者端末4の制御を行う。会話終了制御部9は、会話終了時(授業終了時)における教師端末2、生徒端末6、及び筆記者端末4の制御の制御を行う。また、授業開始終了制御部11は、格納部1に登録されている各授業の開始と終了とを管理し、会話開始制御部8及び会話終了制御部9の起動を制御している。
【0044】
格納部1は、本実施の形態1では、更に、授業の状況を特定する情報も格納する。具体的には、格納部1は、図1に示すように、授業毎に、授業ID、授業の開始日時、授業の終了日時、授業状態、筆記化状態、教師端末アドレス、生徒端末アドレス、筆記者端末アドレス、授業ファイル、筆記ファイル、の各項目からなるレコードを格納している。本実施の形態1において、格納部1は、レコードの追加、参照、一部の変更が容易な点から、データベースによって実現されているのが好ましい。
【0045】
また、図1の例では、4つのレコードが示されている。このうち、授業ID=1のレコードは、すでに授業は終了し、授業には、口述筆記者が参加し、授業の映像ファイルおよび音声ファイルと、音声ファイルを文字データに変換した筆記ファイルとが既に登録ずみであることを示している。
【0046】
また、授業ID=2のレコードは、授業は終了したが、口述筆記をしてくれる人がいなかったため、未だ、授業内容を筆記したファイルが存在していないことを示している。授業ID=3のレコードは、ちょうど、今授業中であるため、口述筆記者は参加しているが、未だ筆記ファイルが未作成(完成していない)の状態であることを示している。授業ID=4のレコードは、まだ授業が開催されておらず、且つ、口述筆記者の応募がまだない状況を示している。
【0047】
教師端末2には、マイクとカメラとが接続されている。教師端末2は、外部からの開始指示によって起動されると、マイク入力とカメラ入力とを受け取り、音声ファイルと映像ファイルとを筆記支援装置100に送信する。また、教師端末2は、外部から終了を指示されると、送信処理を終了する。
【0048】
具体的には、教師端末2は、PCに、スカイプおよびWindows messengerといった、複数の端末間での音声、映像、文字の送信および受信を実現する通信ソフトを組み込むことによって実現できる。また、教師端末2に接続されるカメラとしては、Webカメラが挙げられる。
【0049】
また、教師端末2は、教師端末のアドレスを格納する教師端末アドレス格納部3を備えている。図1の例では、教師端末のアドレスとして、「Teacher1」が格納されている。なお、教師端末アンドレス格納部3は、例えば、PCに接続可能な不揮発性のメモリによって実現できる。
【0050】
筆記者端末4には、ディスプレイ、スピーカ、キーボードが接続されている。筆記者端末4は、外部からの開始指示によって起動されると、教師端末2から送信される音声ファイルおよび映像ファイルを受信する。そして、筆記者端末4は、音声ファイルをスピーカで再生し、映像ファイルをディスプレイに出力する。また、筆記者端末4は、筆記者4がキーボードから入力するテキストデータを、筆記支援装置100に対して継続して送信し、外部から終了を指示されると、送信処理を終了する。
【0051】
具体的には、筆記者端末4も、教師端末2と同様に、PCに、スカイプ、Windows messengerといった、複数の端末間での音声、映像、文字の送信および受信を実現する通信ソフトを組み込むことによって実現できる。また、筆記者端末4に接続されるディスプレイ、スピーカ、キーボードは、PCに一般的に使用されるものであっても良い。
【0052】
また、筆記者端末4は、筆記者端末4のアドレスを格納する筆記者端末アドレス格納部5を備えている。図1の例では、筆記者端末アドレスとして、「Dictator1」が格納されている。なお、筆記者端末アドレス格納部5は、例えば、PCに接続可能な不揮発性のメモリによって実現できる。
【0053】
生徒端末6には、ディスプレイとスピーカとが接続されている。生徒端末6は、外部から開始指示によって起動されると、筆記者端末4から送信されるテキストデータを受信し、受信したテキストデータを、継続してディスプレイに出力する。また、生徒端末6は、外部から終了を指示されると、受信処理を終了する。
【0054】
具体的には、生徒端末6も、教師端末2および筆記者端末4と同様に、PCに、スカイプ、Windows messengerといった、複数の端末間での音声、映像、文字の送信および受信を実現する通信ソフトを組み込むことによって実現できる。また、生徒端末6に接続されるディスプレイおよびスピーカは、PCに一般的に使用されるものであっても良い。
【0055】
また、生徒端末6は、生徒端末6のアドレスを格納する生徒端末アドレス格納部7を備えている。図1の例では、生徒端末アドレスとして、「Student1」が格納されている。なお、生徒端末アドレス格納部7は、例えば、PCに接続可能な不揮発性のメモリによって実現できる。
【0056】
[動作説明]
次に、本発明の実施の形態1における筆記支援装置100の動作について図2〜図6を用いて説明する。以下の説明においては、適宜図1を参酌する。また、本実施の形態1では、筆記支援装置100を動作させることによって、筆記支援方法が実施される。よって、本実施の形態1における筆記支援方法の説明は、以下の筆記支援装置100の動作説明に代える。
【0057】
最初に、本実施の形態1における筆記支援装置100の会話開始時(授業開始時)の動作について図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態1における筆記支援装置の会話開始時の動作を示すフロー図である。
【0058】
図2に示すように、まず、会話開始制御部8は、授業開始終了制御部11から送受信のセッション開始指示を、授業IDとともに受け取る(ステップS1)。次に、会話開始制御部8は、格納部1に格納されているレコードを調べ、「授業ID」項目において、受け取った授業IDの値を有するレコードを特定し、特定したレコードの「授業状態」項目に「授業中」と入力する(ステップS2)。
【0059】
次に、会話開始制御部8は、レコードの「筆記者端末アドレス」項目の値が「未定」であるかどうかを判定する(ステップS3)。
【0060】
ステップS3の判定の結果、「未定」でない場合は、会話開始制御部8は、まず、レコードの「教師端末アドレス」項目のアドレスを持つ教師端末2を起動し、教師端末2の送信内容(教師端末2が取得する映像データおよび音声データ)を筆記者端末4へ送ることを指示する(ステップS6)。
【0061】
次に、会話開始制御部8は、「生徒端末アドレス」項目のアドレスを持つ生徒端末6を起動する(ステップS7)。次に、会話開始制御部8は、「筆記者端末アドレス」項目のアドレスを持つ筆記者端末4を起動して、筆記者端末4の送信内容(筆記者端末4で作成されるテキストデータ)を生徒端末6へ送ることを指示する(ステップS8)。
【0062】
次に、会話開始制御部8は、教師端末2から送られてくる送信内容を追記的に、レコードの「授業ファイル」項目に格納し(ステップS9)、筆記者端末6の送信内容を追記的にレコードの「筆記ファイル」項目に格納する(ステップS10)。
【0063】
なお、本実施の形態では、「授業ファイル」項目および「筆記ファイル」項目には、通常の数値ではなく、音声ファイルオブジェクトおよびテキストファイルオブジェクトを格納する必要がある。従って、実際には、これらの項目には、ファイルのパス名のみが保存されていても良い。この場合、ファイルの実態は、格納部1からの参照先に存在するデータとなる。但し、本実施の形態では、説明のため、論理的に、これらの項目にファイルが直接格納されていることとしている。
【0064】
また、ステップS3の判定の結果、「未定」である場合は、会話開始制御部8は、レコードの「教師端末アドレス」項目のアドレスを持つ教師端末2と、「生徒端末アドレス」項目のアドレスを持つ生徒端末6と、を起動する。(ステップS4)。その後、会話開始制御部8は、教師端末2の送信内容を追記的に、レコードの「授業ファイル」項目に格納する(ステップS5)。
【0065】
ステップS3およびS4の処理は、この授業の筆記を申し出る人が誰もいなかった場合に実行されるが、この場合は、授業の様子を記録した映像データと音声データとの格納部1への格納だけが行われる。また、ステップS1〜S10に述べた会話開始制御部8による処理は、次に述べる会話終了制御部9による処理が開始されるまで実行される。
【0066】
次に、本実施の形態における筆記支援装置100の会話終了時(授業終了時)の動作について図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態1における筆記支援装置の会話終了時の動作を示すフロー図である。
【0067】
図3に示すように、まず、会話終了制御部9は、授業開始終了制御部11から送受信のセッション終了指示を、授業IDとともに受け取る(ステップS11)。次に、会話終了制御部9は、格納部1のレコードを調べ、「授業ID」項目において、受け取った授業IDの値を有するレコードを特定し、レコードの「授業状態」項目に「終了」と入力する(ステップS12)。
【0068】
次に、会話終了制御部9は、レコードの「筆記者端末アドレス」項目の値が「未定」であるかどうかを判定する(ステップS13)。
【0069】
ステップS13の判定の結果、未定でない場合は、会話終了制御部9は、レコードの「教師端末アドレス」項目のアドレスを持つ教師端末2と、「生徒端末アドレス」項目のアドレスを持つ生徒端末6と、「筆記者端末アドレス」項目のアドレスを持つ筆記者端末4とに対して、送受信セッションの終了を通知する(ステップS16)。
【0070】
その後、会話終了制御部9は、格納部1において、「授業ファイル」項目と、「筆記ファイル」項目のとのファイルをそれぞれクローズさせ(ステップS17)、さらに、「筆記化状態」項目に「作成」を書き込み(ステップS18)、処理を終了する。
【0071】
一方、ステップS13の判定の結果、未定である場合は、会話終了制御部9は、レコードの「教師端末アドレス」項目のアドレスを持つ教師端末2に対して、送受信セッションの終了を通知して終了させる(ステップS14)。その後、会話終了制御部9は、「授業ファイル」項目のファイルをクローズさせ(ステップS15)、処理を終了する。
【0072】
次に、本実施の形態1における筆記支援装置100が授業の開始及び終了を管理する際の動作について図4を用いて説明する。図4は、本発明の実施の形態1における筆記支援装置が授業の開始及び終了を管理するために行う動作を示すフロー図である。
【0073】
図4に示すように、まず、授業開始終了制御部11は、定期的に、タイマー10によって起動され(ステップS21)、格納部1に、開始日時が経過していないレコードが存在しているかどうかを判定する(ステップS22)。
【0074】
ステップS22の判定の結果、開始日時が経過していないレコードが存在している場合は、授業開始終了制御部11は、開始日時が経過していないレコードを取り出す(ステップS23)。そして、授業開始終了制御部11は、そのレコードの授業開始日時項目の値が、タイマー10が保持している現在時刻と一致しているかどうかを判定する(ステップS24)。
【0075】
次に、ステップS24の判定の結果、一致しない場合は、授業開始終了制御部11は、再度、ステップS22を実行する。一方、一致する場合は、授業開始終了制御部11は、レコードの授業IDを引数にして会話開始制御部8にセッション開始を指示し(ステップS25)、その後、再度、ステップS22を実行する。
【0076】
また、ステップS22の判定の結果、開始日時が経過していないレコードが存在していない場合は、授業開始終了制御部11は、新たに、最初から格納部1に格納されているレコードを取り出す用意をする(ステップS26)。
【0077】
そして、授業開始終了制御部11は、格納部1のすべてのレコードの授業終了日時項目の値を調べ、終了日時が経過していないレコードが存在しているかどうかを判定する(ステップS27)。
【0078】
ステップS27の判定の結果、終了日時が経過していないレコードが存在していない場合(全てのレコードの終了日時が経過している場合)は、授業開始終了制御部11は、処理を終了する。
【0079】
一方、ステップS27の判定の結果、終了日時が経過していないレコードが存在している場合は、授業開始終了制御部11は、終了日時が経過していないレコードを取り出す(ステップS28)。そして、授業開始終了制御部11は、そのレコードの授業終了日時項目の値が、タイマー10の保持する現在時刻と一致しているかどうかを判定する(ステップS29)。
【0080】
次に、ステップS29の判定の結果、一致しない場合は、授業開始終了制御部11は、再度、ステップS27を実行する。一方、一致する場合は、授業開始終了制御部11は、レコードの授業IDを引数にして会話終了制御部9にセッション終了を指示し、その後、再度、ステップS27を実行する。
【0081】
次に、本実施の形態における筆記支援装置100の授業の申し込みの受け付け時の動作について図5を用いて説明する。図5は、本発明の実施の形態における筆記支援装置の授業申し込み受け付け時の動作を示すフロー図である。
【0082】
図5に示すように、まず、授業申し込み受付部12は、新規の授業開催申請を、授業の開始日時、終了日時、授業を指導する教師の端末アドレス、及び授業に参加する生徒の端末アドレスと共に受け付ける(ステップS31)。
【0083】
次に、授業申し込み受付部12は、一意の授業識別番号を作成し(ステップS32)、これを用いて新規のレコードを作成する(ステップS33)。そして、授業申し込み受付部12は、新規に作成したレコードを格納部1に格納する(ステップS34)。
【0084】
具体的には、ステップS33では、授業申し込み受付部12は、「授業ID」項目に一意の授業識別番号、「開始日時」項目に授業の開始日時、「終了日時」項目に授業の終了日時、「授業状態」項目に「予定」、「筆記化状態」項目に「未作成」を格納する。また、授業申し込み受付部12は、「教師端末アドレス」項目に授業を指導する教師が利用する端末アドレス、「生徒端末アドレス」項目に授業に参加する生徒が利用する端末アドレスを格納する。さらに、授業申し込み受付部12は、「筆記者端末アドレス」項目に「未定」、「授業ファイル」項目に「不在」、「筆記ファイル」項目に「不在」を、それぞれ格納する。
【0085】
次に、本実施の形態1における筆記支援装置100の筆記者申し込み受け付け時の動作について図6を用いて説明する。図6は、本発明の実施の形態における筆記支援装置の筆記者申し込み受け付け時の動作を示すフロー図である。
【0086】
図6に示すように、まず、筆記者申し込み受付部13は、特定の授業への筆記参加申請を、その授業ID及び授業へ参加する筆記者の筆記者端末アドレスと共に受け付ける(ステップS41)。具体的には、ステップS41では、筆記者申し込み受付部13は、インターネット上でWebサイトを提供することによって、授業毎に、筆記者を公募することができる。
【0087】
次に、筆記参加申請を受け付けた場合は、筆記者申し込み受付部13は、格納部1のレコードを検索し、ステップS41で受け付けた授業IDを保持するレコードを特定する(ステップS42)。
【0088】
その後、筆記者申し込み受付部13は、ステップS42で特定したレコードにおける「筆記者アドレス」項目に、授業へ参加する筆記者の筆記者端末アドレスを格納する(ステップS43)。ステップS41〜S43の実行により、筆記者が授業に参加できる状態となる。
【0089】
また、本実施の形態1におけるプログラムは、コンピュータに、図2に示すステップS1〜S10、図3に示すS11〜S18、図4に示すS21〜S30、図5に示すS31〜S34、図6に示すS41〜S43を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態1における筆記支援装置100と筆記支援方法とを実現することができる。
【0090】
この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、会話開始制御部8、会話終了制御部9、授業開始終了制御部11、授業申し込み受付部12、及び筆記者申し込み受付部13として機能し、処理を行なう。また、コンピュータに備えられたハードディスク等の記憶装置が、格納部1として機能する。
【0091】
また、本実施の形態1では、筆記支援装置100は、複数台のコンピュータによって実現されていてもよい。例えば、会話開始制御部8、会話終了制御部9、授業開始終了制御部11、授業申し込み受付部12、及び筆記者申し込み受付部13が、それぞれ別々のコンピュータによって実用されていても良い。
【0092】
[実施の形態1における効果]
以上のように、本実施の形態1では、筆記支援装置100は、聴覚障害の生徒を持つ学校などで、例えば、カレンダー表示などによって、授業毎に、口述筆記の協力募集及び協力状況を広く公開することができる。つまり、筆記支援装置100は、ボランティアの口述筆記者を広く世界に求めるクラウドソーシングを実現する仕組みを提供している。また、本実施の形態1では、その仕組みは、スカイプといった既存の通信ソフトを利用することにより、比較的低コストで実現される。
【0093】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2における、筆記支援装置、筆記支援方法、およびプログラムについて、図7を参照しながら説明する。図7は、本発明の実施の形態2における筆記支援装置の構成を示すブロック図である。
【0094】
図7に示すように、本実施の形態2における筆記支援装置102は、実施の形態1において図1に示した筆記支援装置100の構成に加えて、警告通知時間保持部21と、通知部22とを備えている。
【0095】
警告通知時間保持部21は、授業開始前に関係者に授業の開始直前であることを通知する際のタイミング、すなわち、通知時点と開始時点との差の時間を保持している。例えば、授業の開始1時間前に、教師、生徒、筆記者に授業開始を事前通知する場合であれば、警告通知時間保持部21は、「1時間(60分)」というデータを保持する。また、本実施の形態では、図7に示すように、事前に装置の管理者が「60分」に設定している。
【0096】
通知部22は、定期的にタイマー10によって起動される。そして、通知部22は、起動されると、格納部1の全てのレコードの授業開始日時項目の値を特定し、特定した開始日時とタイマー10の保持する現在時刻とを対比する。そして、通知部22は、両者の時間差が、警告通知時間保持部21が保持する時間と一致するレコードが存在する場合は、レコードの教師端末アドレス項目、生徒端末アドレス項目、筆記者端末アドレス項目のアドレス値を特定する。
【0097】
その後、通知部22は、特定したアドレスを送信先として、授業開始が間近であることを通知する。通知は、例えば、電子メール等によって行うことができる。また、以降および図7においては、通知部22は、「授業開始前通知部」22と表記する。
【0098】
なお、本実施の形態2においても、筆記支援装置102を動作させることによって、筆記支援方法が実施される。よって、本実施の形態2における筆記支援方法の説明は、上述した筆記支援装置102の動作説明に代える。
【0099】
また、本実施の形態2におけるプログラムは、コンピュータに、実施の形態1で述べた各ステップと、上記の動作とを実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態2における筆記支援装置102と筆記支援方法とを実現することができる。
【0100】
この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、会話開始制御部8、会話終了制御部9、授業開始終了制御部11、授業申し込み受付部12、筆記者申し込み受付部13、及び授業開始前通知部22として機能し、処理を行なう。また、コンピュータに備えられたハードディスク等の記憶装置が、格納部1および警告通知時間保持部21として機能する。
【0101】
また、本実施の形態2においても、筆記支援装置102は、複数台のコンピュータによって実現されていてもよい。例えば、会話開始制御部8、会話終了制御部9、授業開始終了制御部11、授業申し込み受付部12、筆記者申し込み受付部13、及び授業開始前通知部22が、それぞれ別々のコンピュータによって実用されていても良い。
【0102】
[実施の形態2における効果]
以上のように、本実施の形態2では、筆記支援装置102は、授業の直前に関係者に自動的に通知を行うことができる。本実施の形態2によれば、授業の参加者(教師、生徒、口述筆記者)が授業への参加準備を滞りなく行うことを支援することができる。
【0103】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3における、筆記支援装置、筆記支援方法、およびプログラムについて、図8および図9を参照しながら説明する。
【0104】
[装置構成」
最初に、本実施の形態3における筆記支援装置の構成について図8を用いて説明する。図8は、本発明の実施の形態3における筆記支援装置の構成を示すブロック図である。
【0105】
図8に示すように、本実施の形態3における筆記支援装置103は、筆記者申し込み受付部32を備えており、筆記者申し込み受付部32の機能の点で、実施の形態1において図1に示した筆記支援装置100と異なっている。また、筆記支援装置103は、ネットワーク101を介して、事後筆記者端末31と接続されている。以下、相違点について説明する。
【0106】
筆記者申し込み受付部32は、制御部14によって、筆記者用の端末のアドレスが登録されていないと判定された授業について、更に、筆記者としての参加の申請を受け付ける。そして、筆記者申し込み受付部32は、参加申請があった場合に、参加申請を行なった筆記者が使用する端末31(以下「事後筆記者端末」と表記する。)のアドレスを、当該授業についての筆記者端末のアドレスとして格納部1に格納する。
【0107】
また、筆記者申し込み受付部32は、この場合、事後筆記者端末31のアドレスに、当該授業について格納されている教師用の端末が取得した映像データ及び音声データを送信する。更に、この場合も、制御部14は、事後筆記者端末31に対して、筆記者が作成したテキストデータの生徒端末6及び筆記支援装置103への送信を指示する。
【0108】
なお、事後筆記者端末31は、上述したように、授業の終了後に、筆記者が、すでに終了した授業の映像データおよび音声データをダウンロードして、口述筆記を行った結果をアップロードする時に使用する端末である。事後筆記端末31も、図1に示した筆記者端末4と同様に、PCに、スカイプ、Windows messengerといった、複数の端末間での音声、映像、文字の送信および受信を実現する通信ソフトを組み込むことによって実現できる。
【0109】
また、事後筆記者端末31に接続されるディスプレイ、スピーカ、キーボードも、PCに一般的に使用されるものであれば良い。更に、筆記者は、事後筆記端末31を介して、映像データと音声データとを指定し、ディスプレイとスピーカとでデータを再生する一方で、キーボードを用いて口述筆記を行ない、テキストデータを生成する。
【0110】
[動作説明]
次に、本発明の実施の形態3における筆記支援装置103の動作について図9を用いて説明する。図9は、本発明の実施の形態3における筆記支援装置の動作を示すフロー図である。以下の説明においては、適宜図8を参酌する。また、本実施の形態3では、筆記支援装置103を動作させることによって、筆記支援方法が実施される。よって、本実施の形態3における筆記支援方法の説明は、以下の筆記支援装置103の動作説明に代える。
【0111】
図9に示すように、まず、筆記者申し込み受付部32は、既に過去に実施されている特定の授業に対する口述筆記の参加申請を、当該授業の授業IDおよび筆記者の端末アドレスと共に受け付ける(ステップS51)。
【0112】
次に、筆記者申し込み受付部32は、格納部1に格納されているレコードの中から、ステップS51で受け付けた授業IDを、授業ID項目の値として保持しているレコードを特定する(ステップS52)。
【0113】
次に、筆記者申し込み受付部32は、レコードの「筆記化状態」項目の値が「作成」となっているかどうかを判定する(ステップS53)。ステップS53の判定の結果、「作成」となっている場合は、筆記者申し込み受付部32は、ステップS51の参加申請を無効とし(ステップS54)、処理を終了する。
【0114】
一方、ステップS53の判定の結果、「作成」となっていない場合は、筆記者申し込み受付部53は、レコードの「授業ファイル」項目のファイルを取り出し、事後筆記端末31のアドレスに、取り出したファイルを送信する(ステップS55)。
【0115】
次に、制御部14は、事後筆記端末31から、対応するテキストデータが送られてくると受信し、これをレコードの「筆記ファイル」項目に格納し(ステップS56)、さらに、レコードの筆記化状態項目を「作成」とし(ステップS57)、処理を終了する。
【0116】
また、本実施の形態3におけるプログラムは、コンピュータに、実施の形態1で述べた各ステップと、図9に示したステップS51〜S57とを実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態3における筆記支援装置103と筆記支援方法とを実現することができる。
【0117】
この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、会話開始制御部8、会話終了制御部9、授業開始終了制御部11、授業申し込み受付部12、および筆記者申し込み受付部32として機能し、処理を行なう。また、コンピュータに備えられたハードディスク等の記憶装置が、格納部1として機能する。
【0118】
また、本実施の形態3においても、筆記支援装置103は、複数台のコンピュータによって実現されていてもよい。例えば、会話開始制御部8、会話終了制御部9、授業開始終了制御部11、授業申し込み受付部12、および筆記者申し込み受付部32が、それぞれ別々のコンピュータによって実用されていても良い。
【0119】
[実施の形態3における効果]
以上のように、本実施の形態3にでは、授業のときに口述筆記者が登録されていなくても、後から、口述筆記を実行することができる。このため、本実施の形態3によれば、生徒は、授業の後で、効果的に復習を行なうことができる。
【0120】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4における、筆記支援装置、筆記支援方法、およびプログラムについて、図10および図11を参照しながら説明する。
【0121】
[装置構成」
最初に、本実施の形態4における筆記支援装置の構成について図10を用いて説明する。図10は、本発明の実施の形態4における筆記支援装置の構成を示すブロック図である。
【0122】
図10に示すように、本実施の形態4における筆記支援装置104は、会話開始制御部43を備えており、会話開始制御部43の機能の点で、実施の形態1において図1に示した筆記支援装置100と異なっている。また、筆記支援装置104は、ネットワーク101を介して、自動筆記者端末41と接続されている。以下、相違点について説明する。
【0123】
自動筆記者端末41は、自動筆記者端末41は、音声データを受け取ると、それをテキストデータに変換する処理(音声認識処理)を実行する音声認識装置を有している。自動筆記者端末41は、外部から開始指示と共に起動されると、教師端末2から送信される音声データを受信し、これを自動認識装置に入力として与え、対応するテキストデータを出力させる。また、自動筆記者端末41は、出力されたテキストデータを、継続して筆記支援装置104に送信する。また、自動筆記者端末41は、外部から終了を指示されると、処理を終了する。
【0124】
また、自動筆記者端末41は、自動筆記者端末41のアドレスを格納する自動筆記者端末アドレス格納部42を備えている。筆記支援装置104は、このアドレスから、この端末が音声認識装置を使った筆記者端末であることを判別する。図10の例では、自動筆記者端末アドレスとして、「Auto-speech-translator1」が格納されている。なお、自動筆記者端末アドレス格納部42は、不揮発性のメモリによって実現できる。
【0125】
また、本実施の形態4では、会話開始制御部43は、筆記者端末4のアドレスが登録されていないと判定した場合に、格納部1において、当該判定の対象となった授業の筆記者端末4のアドレスとして、自動筆記者端末41のアドレスを格納させる。そして、会話開始制御部43は、教師端末2に対して、取得した音声データの自動筆記者端末41への送信を指示し、自動筆記者端末41に対して、音声データから得られた認識結果(テキストデータ)の生徒端末6への送信を指示する。
【0126】
[動作説明]
次に、本発明の実施の形態4における筆記支援装置104の動作について図11を用いて説明する。図11は、本発明の実施の形態4における筆記支援装置の動作を示すフロー図である。以下の説明においては、適宜図10を参酌する。また、本実施の形態4では、筆記支援装置104を動作させることによって、筆記支援方法が実施される。よって、本実施の形態4における筆記支援方法の説明は、以下の筆記支援装置104の動作説明に代える。
【0127】
図11に示すように、まず、会話開始制御部43は、授業開始終了制御部11から送受信のセッション開始指示を、授業IDとともに受け取る(ステップS61)。次に、会話開始制御部43は、格納部1に格納されているレコードを調べ、「授業ID」項目において、受け取った授業IDの値を有するレコードを特定し、特定したレコードの「授業状態」項目に「授業中」と入力する(ステップS62)。
【0128】
次に、会話開始制御部43は、レコードの「筆記者端末アドレス」項目の値が「未定」であるかどうかを判定する(ステップS63)。
【0129】
ステップS63の判定の結果、「未定」でない場合は、会話開始制御部43は、ステップS70〜S74を実行する。なお、ステップS70〜S74は、図2に示したステップS6〜S10と同様のステップである。
【0130】
一方、ステップS63の判定の結果、「未定」である場合は、会話開始制御部43は、レコードの「筆記者端末アドレス」に自動筆記者端末アドレス格納部42のアドレスを格納する(ステップS64)。
【0131】
次に、会話開始制御部43は、レコードの「教師端末アドレス」項目のアドレスを持つ教師端末を起動し、教師端末2の送信内容を自動筆記者端末41へ送ることを指示する(ステップS65)。
【0132】
次に、会話開始制御部43は、「生徒端末アドレス」項目のアドレスを持つ生徒端末6を起動する(ステップS66)。次に、会話開始制御部43は、「筆記者端末アドレス」項目のアドレスを持つ自動筆記者端末41を起動し、生成したテキストデータを生徒端末6に送信することを指示する(ステップS67)。
【0133】
次に、会話開始制御部43は、教師端末2から送られてくる送信内容を追記的に、レコードの「授業ファイル」項目に格納し(ステップS68)、自動筆記者端末41の送信するテキストデータを追記的にレコードの「筆記ファイル」項目に格納する(ステップS69)。以上のステップS61〜S74の処理により、筆記者端末4が登録されていない場合は、音声認識によるテキストデータが作成され、これが生徒端末6へと送信される。
【0134】
また、本実施の形態4におけるプログラムは、コンピュータに、図3に示すS11〜S18、図4に示すS21〜S30、図5に示すS31〜S34、図6に示すS41〜S43、図11に示すステップS61〜S74、を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態4における筆記支援装置104と筆記支援方法とを実現することができる。
【0135】
この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、会話開始制御部43、会話終了制御部9、授業開始終了制御部11、授業申し込み受付部12、及び筆記者申し込み受付部13として機能し、処理を行なう。また、コンピュータに備えられたハードディスク等の記憶装置が、格納部1として機能する。
【0136】
また、本実施の形態4では、筆記支援装置104は、複数台のコンピュータによって実現されていてもよい。例えば、会話開始制御部43、会話終了制御部9、授業開始終了制御部11、授業申し込み受付部12、及び筆記者申し込み受付部13が、それぞれ別々のコンピュータによって実用されていても良い。
【0137】
[実施の形態4における効果]
以上のように、本実施の形態4では、授業のときに口述筆記者がいない場合は、人間のボランティアの代わりに、音声認識装置が使用される。この場合、得られるテキストデータの品質は、人が行なう場合に比べて低下する可能性はあるが、何らかのヒントになると考えられる。つまり、テキストデータが全く作成されないよりも、生徒に理解力の向上に貢献できる。また、教師は、音声認識結果を確認し、これが正しくない場合は、授業中に生徒に正しい内容を伝達することができ(例えば、黒板に字を書く等)、誤りを補正することができ、この点からも生徒の理解力の向上を図ることができる。
【0138】
ここで、実施の形態1〜4におけるプログラムを実行することによって、筆記支援装置を実現するコンピュータについて図12を用いて説明する。図12は、本発明の実施の形態1〜4における筆記支援装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【0139】
図12に示すように、コンピュータ110は、CPU111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。
【0140】
CPU111は、記憶装置113に格納された、本実施の形態におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置である。また、本実施の形態におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、本実施の形態におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであっても良い。
【0141】
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクの他、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置が挙げられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボード及びマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、及びコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
【0142】
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash)及びSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記憶媒体、又はCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記憶媒体が挙げられる。
【0143】
上述した実施の形態の一部又は全部は、以下に記載する(付記1)〜(付記15)によって表現することができるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0144】
(付記1)
授業中の映像データ及び音声データを取得する教師用の端末、生徒用の端末、および口述筆記を行なう筆記者用の端末の間で通信を行う、筆記支援装置であって、
前記教師用の端末のアドレス、および前記生徒用の端末のアドレスを格納する、格納部と、
前記筆記者としての参加の申請を受け付け、参加申請があった場合に、参加申請を行なった筆記者が使用する端末のアドレスを、前記筆記者用の端末のアドレスとして前記格納部に格納する、筆記者申し込み受付部と、
前記格納部に、前記筆記者用の端末のアドレスが登録されているかどうかを判定し、
登録されている場合に、前記教師用の端末に対して、取得した前記映像データ及び前記音声データの前記筆記者用の端末への送信を指示し、更に、前記筆記者用の端末に対して、前記筆記者が作成したテキストデータの前記生徒用の端末への送信を指示する、制御部と、
を備えている、ことを特徴とする筆記支援装置。
【0145】
(付記2)
前記筆記者申し込み受付部が、授業毎に、前記参加の申請を受け付け、
前記格納部が、授業毎に、前記教師用の端末のアドレス、前記生徒用の端末のアドレス、および前記筆記者用の端末のアドレスを格納し、
前記制御部が、授業毎に、前記格納部に、前記筆記者用の端末のアドレスが登録されているかどうかを判定する、
付記1に記載の筆記支援装置。
【0146】
(付記3)
前記格納部が、授業毎に、授業の開始日時を格納しており、
当該筆記支援装置が、
授業毎に、前記格納部に格納されている当該授業の開始日時と現在の時刻とを対比し、両者の時間差が設定値となった場合に、該当する授業についての、前記教師用の端末のアドレス、前記生徒用の端末のアドレス、および前記筆記者用の端末のアドレスに、当該授業の開始を通知する、通知部を更に備えている、
付記2に記載の筆記支援装置。
【0147】
(付記4)
前記格納部が、更に、授業毎に、前記教師用の端末が取得した前記映像データ及び前記音声データを格納しており、
前記筆記者申し込み受付部が、
前記制御部によって、前記筆記者用の端末のアドレスが登録されていないと判定された授業について、更に、前記筆記者としての参加の申請を受け付け、参加申請があった場合に、参加申請を行なった筆記者が使用する端末のアドレスを、当該授業についての前記筆記者用の端末のアドレスとして前記格納部に格納すると共に、前記筆記者用の端末のアドレスに、当該授業について格納されている前記教師用の端末が取得した前記映像データ及び前記音声データを送信する、
付記2または3に記載の筆記支援装置。
【0148】
(付記5)
当該筆記支援装置が、音声認識処理を実行する音声認識装置に接続されており、
前記制御部が、前記筆記者用の端末のアドレスが登録されていないと判定した場合に、前記格納部において、当該判定の対象となった授業の前記筆記者用の端末のアドレスとして、前記音声認識装置のアドレスを格納させ、
そして、前記教師用の端末に対して、取得した前記音声データの前記音声認識装置への送信を指示し、前記音声認識装置に対して、前記音声データから得られた認識結果の前記生徒用の端末への送信を指示する、付記2〜4のいずれかに記載の筆記支援装置。
【0149】
(付記6)
授業中の映像データ及び音声データを取得する教師用の端末、生徒用の端末、および口述筆記を行なう筆記者用の端末を用いて、筆記支援を行なうための方法であって、
(a)前記教師用の端末のアドレス、および前記生徒用の端末のアドレスを、記憶装置に格納する、ステップと、
(b)前記筆記者としての参加の申請を受け付け、参加申請があった場合に、参加申請を行なった筆記者が使用する端末のアドレスを、前記筆記者用の端末のアドレスとして前記記憶装置に格納する、ステップと、
(c)前記記憶装置に、前記筆記者用の端末のアドレスが登録されているかどうかを判定し、
登録されている場合に、前記教師用の端末に対して、取得した前記映像データ及び前記音声データの前記筆記者用の端末への送信を指示し、更に、前記筆記者用の端末に対して、前記筆記者が作成したテキストデータの前記生徒用の端末への送信を指示する、ステップと、
を有する、ことを特徴とする筆記支援方法。
【0150】
(付記7)
前記(b)のステップで、授業毎に、前記参加の申請を受け付け、
前記記憶装置が、授業毎に、前記教師用の端末のアドレス、前記生徒用の端末のアドレス、および前記筆記者用の端末のアドレスを格納しており、
前記(c)のステップで、授業毎に、前記記憶装置に、前記筆記者用の端末のアドレスが登録されているかどうかを判定する、
付記6に記載の筆記支援方法。
【0151】
(付記8)
前記記憶装置が、授業毎に、授業の開始日時を格納しており、
(d)授業毎に、前記記憶装置に格納されている当該授業の開始日時と現在の時刻とを対比し、両者の時間差が設定値となった場合に、該当する授業についての、前記教師用の端末のアドレス、前記生徒用の端末のアドレス、および前記筆記者用の端末のアドレスに、当該授業の開始を通知する、ステップを更に有する、
付記7に記載の筆記支援方法。
【0152】
(付記9)
(e)前記記憶装置に、授業毎に、前記教師用の端末が取得した前記映像データ及び前記音声データを格納する、ステップと、
(f)前記(c)のステップで、前記筆記者用の端末のアドレスが登録されていないと判定された授業について、更に、前記筆記者としての参加の申請を受け付け、参加申請があった場合に、参加申請を行なった筆記者が使用する端末のアドレスを、当該授業についての前記筆記者用の端末のアドレスとして前記記憶装置に格納すると共に、前記筆記者用の端末のアドレスに、当該授業について格納されている前記教師用の端末が取得した前記映像データ及び前記音声データを送信する、ステップと、
を更に有する、付記7または8に記載の筆記支援方法。
【0153】
(付記10)
更に、音声認識処理を実行する音声認識装置を用い、
(g)前記(c)のステップで、前記筆記者用の端末のアドレスが登録されていないと判定した場合に、前記記憶装置において、当該判定の対象となった授業の前記筆記者用の端末のアドレスとして、前記音声認識装置のアドレスを格納させ、
そして、前記教師用の端末に対して、取得した前記音声データの前記音声認識装置への送信を指示し、前記音声認識装置に対して、前記音声データから得られた認識結果の前記生徒用の端末への送信を指示する、ステップを更に有する、
付記7〜9のいずれかに記載の筆記支援方法。
【0154】
(付記11)
授業中の映像データ及び音声データを取得する教師用の端末、生徒用の端末、および口述筆記を行なう筆記者用の端末を用いて、コンピュータによって、筆記支援を行なうためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)前記教師用の端末のアドレス、および前記生徒用の端末のアドレスを、記憶装置に格納する、ステップと、
(b)前記筆記者としての参加の申請を受け付け、参加申請があった場合に、参加申請を行なった筆記者が使用する端末のアドレスを、前記筆記者用の端末のアドレスとして前記記憶装置に格納する、ステップと、
(c)前記記憶装置に、前記筆記者用の端末のアドレスが登録されているかどうかを判定し、
登録されている場合に、前記教師用の端末に対して、取得した前記映像データ及び前記音声データの前記筆記者用の端末への送信を指示し、更に、前記筆記者用の端末に対して、前記筆記者が作成したテキストデータの前記生徒用の端末への送信を指示する、ステップと、
を実行させるプログラム。
【0155】
(付記12)
前記(b)のステップで、授業毎に、前記参加の申請を受け付け、
前記記憶装置が、授業毎に、前記教師用の端末のアドレス、前記生徒用の端末のアドレス、および前記筆記者用の端末のアドレスを格納しており、
前記(c)のステップで、授業毎に、前記記憶装置に、前記筆記者用の端末のアドレスが登録されているかどうかを判定する、
付記11に記載のプログラム。
【0156】
(付記13)
前記記憶装置が、授業毎に、授業の開始日時を格納しており、
(d)授業毎に、前記記憶装置に格納されている当該授業の開始日時と現在の時刻とを対比し、両者の時間差が設定値となった場合に、該当する授業についての、前記教師用の端末のアドレス、前記生徒用の端末のアドレス、および前記筆記者用の端末のアドレスに、当該授業の開始を通知する、ステップを更に前記コンピュータに実行させる、
付記12に記載のプログラム。
【0157】
(付記14)
(e)前記記憶装置に、授業毎に、前記教師用の端末が取得した前記映像データ及び前記音声データを格納する、ステップと、
(f)前記(c)のステップで、前記筆記者用の端末のアドレスが登録されていないと判定された授業について、更に、前記筆記者としての参加の申請を受け付け、参加申請があった場合に、参加申請を行なった筆記者が使用する端末のアドレスを、当該授業についての前記筆記者用の端末のアドレスとして前記記憶装置に格納すると共に、前記筆記者用の端末のアドレスに、当該授業について格納されている前記教師用の端末が取得した前記映像データ及び前記音声データを送信する、ステップと、
を更に前記コンピュータに実行させる、付記12または13に記載のプログラム。
【0158】
(付記15)
更に、音声認識処理を実行する音声認識装置を用い、
(g)前記(c)のステップで、前記筆記者用の端末のアドレスが登録されていないと判定した場合に、前記記憶装置において、当該判定の対象となった授業の前記筆記者用の端末のアドレスとして、前記音声認識装置のアドレスを格納させ、
そして、前記教師用の端末に対して、取得した前記音声データの前記音声認識装置への送信を指示し、前記音声認識装置に対して、前記音声データから得られた認識結果の前記生徒用の端末への送信を指示する、ステップを更に前記コンピュータに実行させる、
付記12〜14のいずれかに記載のプログラム。
【産業上の利用可能性】
【0159】
以上のように、本発明によれば、クラウドソーシングの活用によって、聴覚障害者の聞き取りの支援を行うことができる。本発明は、聴覚障害者の支援を行なうシステムに有用である。
【符号の説明】
【0160】
1 格納部
2 教師端末
3 教師端末アドレス格納部
4 筆記者端末
5 筆記者端末アドレス格納部
6 生徒端末
7 生徒端末アドレス格納部
8 会話開始制御部
9 会話終了制御部
10 タイマー
11 授業開始終了制御部
12 授業申し込み受付部
13 筆記者申し込み受付部
14 制御部
21 警告通知時間保持部
22 授業開始前通知部(通知部)
31 事後筆記端末
32 筆記者申し込み受付部
41 自動筆記者端末(音声認識装置)
42 自動筆記者端末アドレス格納部
43 会話開始制御部(実施の形態4)
100 筆記支援装置(実施の形態1)
101 ネットワーク
102 筆記支援装置(実施の形態2)
103 筆記支援装置(実施の形態3)
104 筆記支援装置(実施の形態4)
110 コンピュータ
111 CPU
112 メインメモリ
113 記憶装置
114 入力インターフェイス
115 表示コントローラ
116 データリーダ/ライタ
117 通信インターフェイス
118 入力機器
119 ディスプレイ装置
120 記録媒体
121 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
授業中の映像データ及び音声データを取得する教師用の端末、生徒用の端末、および口述筆記を行なう筆記者用の端末の間で通信を行う、筆記支援装置であって、
前記教師用の端末のアドレス、および前記生徒用の端末のアドレスを格納する、格納部と、
前記筆記者としての参加の申請を受け付け、参加申請があった場合に、参加申請を行なった筆記者が使用する端末のアドレスを、前記筆記者用の端末のアドレスとして前記格納部に格納する、筆記者申し込み受付部と、
前記格納部に、前記筆記者用の端末のアドレスが登録されているかどうかを判定し、
登録されている場合に、前記教師用の端末に対して、取得した前記映像データ及び前記音声データの前記筆記者用の端末への送信を指示し、更に、前記筆記者用の端末に対して、前記筆記者が作成したテキストデータの前記生徒用の端末への送信を指示する、制御部と、
を備えている、ことを特徴とする筆記支援装置。
【請求項2】
前記筆記者申し込み受付部が、授業毎に、前記参加の申請を受け付け、
前記格納部が、授業毎に、前記教師用の端末のアドレス、前記生徒用の端末のアドレス、および前記筆記者用の端末のアドレスを格納し、
前記制御部が、授業毎に、前記格納部に、前記筆記者用の端末のアドレスが登録されているかどうかを判定する、
請求項1に記載の筆記支援装置。
【請求項3】
前記格納部が、授業毎に、授業の開始日時を格納しており、
当該筆記支援装置が、
授業毎に、前記格納部に格納されている当該授業の開始日時と現在の時刻とを対比し、両者の時間差が設定値となった場合に、該当する授業についての、前記教師用の端末のアドレス、前記生徒用の端末のアドレス、および前記筆記者用の端末のアドレスに、当該授業の開始を通知する、通知部を更に備えている、
請求項2に記載の筆記支援装置。
【請求項4】
前記格納部が、更に、授業毎に、前記教師用の端末が取得した前記映像データ及び前記音声データを格納しており、
前記筆記者申し込み受付部が、
前記制御部によって、前記筆記者用の端末のアドレスが登録されていないと判定された授業について、更に、前記筆記者としての参加の申請を受け付け、参加申請があった場合に、参加申請を行なった筆記者が使用する端末のアドレスを、当該授業についての前記筆記者用の端末のアドレスとして前記格納部に格納すると共に、前記筆記者用の端末のアドレスに、当該授業について格納されている前記教師用の端末が取得した前記映像データ及び前記音声データを送信する、
請求項2または3に記載の筆記支援装置。
【請求項5】
当該筆記支援装置が、音声認識処理を実行する音声認識装置に接続されており、
前記制御部が、前記筆記者用の端末のアドレスが登録されていないと判定した場合に、前記格納部において、当該判定の対象となった授業の前記筆記者用の端末のアドレスとして、前記音声認識装置のアドレスを格納させ、
そして、前記教師用の端末に対して、取得した前記音声データの前記音声認識装置への送信を指示し、前記音声認識装置に対して、前記音声データから得られた認識結果の前記生徒用の端末への送信を指示する、請求項2〜4のいずれかに記載の筆記支援装置。
【請求項6】
授業中の映像データ及び音声データを取得する教師用の端末、生徒用の端末、および口述筆記を行なう筆記者用の端末を用いて、筆記支援を行なうための方法であって、
(a)前記教師用の端末のアドレス、および前記生徒用の端末のアドレスを、記憶装置に格納する、ステップと、
(b)前記筆記者としての参加の申請を受け付け、参加申請があった場合に、参加申請を行なった筆記者が使用する端末のアドレスを、前記筆記者用の端末のアドレスとして前記記憶装置に格納する、ステップと、
(c)前記記憶装置に、前記筆記者用の端末のアドレスが登録されているかどうかを判定し、
登録されている場合に、前記教師用の端末に対して、取得した前記映像データ及び前記音声データの前記筆記者用の端末への送信を指示し、更に、前記筆記者用の端末に対して、前記筆記者が作成したテキストデータの前記生徒用の端末への送信を指示する、ステップと、
を有する、ことを特徴とする筆記支援方法。
【請求項7】
授業中の映像データ及び音声データを取得する教師用の端末、生徒用の端末、および口述筆記を行なう筆記者用の端末を用いて、コンピュータによって、筆記支援を行なうためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)前記教師用の端末のアドレス、および前記生徒用の端末のアドレスを、記憶装置に格納する、ステップと、
(b)前記筆記者としての参加の申請を受け付け、参加申請があった場合に、参加申請を行なった筆記者が使用する端末のアドレスを、前記筆記者用の端末のアドレスとして前記記憶装置に格納する、ステップと、
(c)前記記憶装置に、前記筆記者用の端末のアドレスが登録されているかどうかを判定し、
登録されている場合に、前記教師用の端末に対して、取得した前記映像データ及び前記音声データの前記筆記者用の端末への送信を指示し、更に、前記筆記者用の端末に対して、前記筆記者が作成したテキストデータの前記生徒用の端末への送信を指示する、ステップと、
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−215962(P2012−215962A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79315(P2011−79315)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.COMPACTFLASH
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)