説明

等方的な接着フィルムおよびその製造方法、接着フィルムを用いたフレキシブル金属積層板

【課題】寸法変化の発生が抑制された接着フィルム、および金属箔を張り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板を提供する。
【解決手段】厚みが3〜10μmのポリイミドフィルムの少なくとも片面に厚みが1〜5μmの熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を有する接着フィルムであって、該接着フィルムの分子配向度が1.3以下であることを特徴とする接着フィルムであり、ポリイミドフィルムの引張弾性率が4〜7GPa、100〜200℃の線膨張係数が5〜25ppmである接着フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けた接着フィルム、及びこの接着フィルムの製造方法。さらには、この接着フィルムに金属箔を張り合わせて得られるフレキシブル金属積層板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス製品の軽量化、小型化、高密度化にともない、各種プリント基板の需要が伸びているが、中でも、フレキシブル積層板(フレキシブルプリント配線板(FPC)等とも称する)の需要が特に伸びている。フレキシブル積層板は、絶縁性フィルム上に金属箔からなる回路が形成された構造を有している。
【0003】
上記フレキシブル積層板は、一般に、各種絶縁材料により形成され、柔軟性を有する絶縁性フィルムを基板とし、この基板の表面に、各種接着材料を介して金属箔を加熱・圧着することにより貼りあわせる方法により製造される。上記絶縁性フィルムとしては、ポリイミドフィルム等が好ましく用いられている。上記接着材料としては、エポキシ系、アクリル系等の熱硬化性接着剤が一般的に用いられている(これら熱硬化性接着剤を用いたFPCを以下、三層FPCともいう)。
【0004】
熱硬化性接着剤は比較的低温での接着が可能であるという利点がある。しかし今後、耐熱性、屈曲性、電気的信頼性といった要求特性が厳しくなるに従い、熱硬化性接着剤を用いた三層FPCでは対応が困難になると考えられる。これに対し、絶縁性フィルムに直接金属層を設けたり、接着層に熱可塑性ポリイミドを使用したFPC(以下、二層FPCともいう)が提案されている。この二層FPCは、三層FPCより優れた特性を有し、今後需要が伸びていくことが期待される。
【0005】
二層FPCに用いるフレキシブル金属張積層板の作製方法としては、金属箔上にポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を流延、塗布した後イミド化するキャスト法、スパッタ、メッキによりポリイミドフィルム上に直接金属層を設けるメタライジング法、熱可塑性ポリイミドを介してポリイミドフィルムと金属箔とを貼り合わせるラミネート法が挙げられる。この中で、ラミネート法は、対応できる金属箔の厚み範囲がキャスト法よりも広く、装置コストがメタライジング法よりも低いという点で優れている。ラミネートを行う装置としては、ロール状の材料を繰り出しながら連続的にラミネートする熱ロールラミネート装置またはダブルベルトプレス装置等が用いられている。上記の内、生産性の点から見れば、熱ロールラミネート法をより好ましく用いることができる。
【0006】
従来の三層FPCをラミネート法で作製する際、接着層に熱硬化性樹脂を用いていたため、ラミネート温度は200℃未満で行うことが可能であった(特許文献1参照)。これに対し、二層FPCは熱可塑性ポリイミドを接着層として用いるため、熱融着性を発現させるために200℃以上、場合によっては400℃近くの高温を加える必要がある。そのため、ラミネートされて得られたフレキシブル金属張積層板に残留歪みが発生し、エッチングして配線を形成する際、並びに部品を実装するために半田リフローを行う際に寸法変化となって現れる。
【0007】
特にラミネート法の一例を挙げると、ポリイミドフィルム上に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設ける際に、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を流延、塗布した後に連続的に加熱してイミド化を行い、金属箔を貼り合わせる方法があるが、イミド化の工程だけでなく、金属層を張り合わせる際も連続的に加熱加圧を行うため、材料は張力がかけられた状態で加熱環境下に置かれることが多い。その結果、フレキシブル積層板から金属箔をエッチングする際と、半田リフローを通して加熱する際にこの歪みが解放され、これらの工程の前後で寸法変化となって現れる場合が多かった。
【0008】
近年、電子機器の小型化、軽量化を達成するために、基板に設けられる配線は微細化が進んでおり、実装する部品も小型化、高密度化されたものが搭載される。そのため、微細な配線を形成した後の寸法変化が大きくなると、設計段階での部品搭載位置からずれて、部品と基板とが良好に接続されなくなるという問題が生じる。
【0009】
そこで、ラミネート圧力の制御や、接着フィルムの張力制御により、寸法変化を抑える試みがなされている(特許文献2または3参照)。しかしながら、これらの手段により寸法変化は改善されるものの、まだ充分ではなく、更なる寸法変化の改善が求められている。
【0010】
また、これまではフレキシブル金属張積層板の寸法変化は、フィルム流れ方向(MD方向)とフィルム横断方向(TD方向)のみが重要視されていたが、配線の微細化が進むにつれ、MD・TD方向だけではなくMDから左右45度に向いた方向についてもフレキシブル金属張積層板の寸法変化が求められるようになってきており、これらを満足するフレキシブル金属張積層板が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平9−199830号公報
【特許文献2】特開2002−326308号公報
【特許文献3】特開2002−326280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、寸法変化の発生が抑制された接着フィルム、および金属箔を張り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板を提供することにある。また、フィルムと金属箔とを加熱、加圧しながら張り合わるラミネート法で連続的に作製した際に寸法変化の発生が抑制されたフレキシブル金属張積層板が得られる接着フィルム、及びそれに金属箔を貼り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板、並びにその製造方法を提供することにある。さらには、前記ラミネート法で金属箔と張り合わせた場合に、得られる金属張積層板の全幅において寸法変化率の安定性に優れる接着フィルム、それに金属箔を貼り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板、並びにその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、厚みが3〜10μmのポリイミドフィルムの少なくとも片面に厚みが1〜5μmの接着層を有する接着フィルムであって、該接着フィルムの配向度が1.3以下を満足する場合に、FCCLおよびFPCの製造工程で発生する寸法変化を抑制する、特にフィルムの斜め方向の寸法変化を抑制することができることを見出した。具体的には、FCCLの銅箔をエッチングしてパターニングする工程、パターニングしたFPCを加熱する工程である。
【0014】
また、特に、連続的に生産される接着フィルムにおいては、全幅において接着フィルムの配向度が1.3以下を満足する場合に、例えば、熱可塑性ポリイミドのイミド化時や、金属箔とのラミネート時における熱応力の発生を緩和し、寸法変化の発生を効果的に抑制できることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
すなわち、下記の新規な接着フィルムおよびフレキシブル金属張積層板およびその製造方法により上記課題を解決しうる。
1)厚みが3〜10μmのポリイミドフィルムの少なくとも片面に厚みが1〜5μmの熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を有する接着フィルムであって、該接着フィルムの分子配向度が1.3以下であることを特徴とする接着フィルム。
2)ポリイミドフィルムの引張弾性率が4〜7GPa、100〜200℃の線膨張係数が5〜25ppmであることを特徴とする1)に記載の接着フィルム。
3)ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けた接着フィルムであって、該接着フィルムは、フィルム幅が250mm以上でありかつ、連続的に生産されると共に、全巾において配向度が1.3以下であることを特徴とする接着フィルム。
4)1)〜3)のいずれかに記載の接着フィルムが、ポリイミドフィルムに熱可塑性ポリイミドの有機溶剤溶液もしくは該熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の有機溶剤溶液を塗布・加熱・乾燥することにより得られる接着性フィルムの製造方法。
5)1)〜4)のいずれか一項に記載の接着フィルムに金属箔を貼り合わせて得られることを特徴とする、フレキシブル金属張積層板。
【発明の効果】
【0016】
本発明の接着フィルムおよびフレキシブル金属張積層板は、寸法変化の発生が抑制されており、特にラミネート法における寸法変化の発生も効果的に抑制できる。
【0017】
具体的には、(1)金属箔を除去する前後の寸法変化率について、フィルム長手方向(MD方向)から左右45度の方向、各々の寸法変化率を小さくできるとともに、MD方向から右45度方向および左45度方向の寸法変化の差異を小さくすることができ、例えば、0.10%以下の範囲とすることが可能である。
【0018】
また、(2)金属箔を除去する前後の寸法変化率と金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率の累積値について、MD方向から右45度方向および左45度方向の、各々の累積値を小さくできるとともに、MD方向から右45度方向および左45度方向の累積値の差異を小さくすることができ、例えばMD方向から右45度方向および左45度方向の差異が0.10%以下の範囲とすることが可能である。
【0019】
従って、微細な配線を形成したFPC等にも好適に用いることが可能で、位置ずれ等の問題を改善できる。特に、連続的に生産される幅250mm以上の接着フィルムの場合には、上述の寸法変化率が小さいのみならず、フィルムの全幅における寸法変化率が安定しているという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】寸法変化並びに分子配向度測定サンプル図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について、以下に説明する。
【0022】
本発明に係る接着フィルムは、厚みが3〜10μmのポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けて成ることを特徴とする。
【0023】
以下、本発明の接着フィルムを構成するポリイミドフィルム、接着層、接着性フィルムの製造、フレキシブル金属張積層板、フレキシブル金属張積層板の製造の順で説明する。
(I)本発明の接着フィルムを構成するポリイミドフィルム
本発明に係る接着フィルムにおける、ポリイミドフィルムは、例えば、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を重合する工程、得られたポリアミド酸と有機溶剤を含む組成物を支持体上に連続的に流延・塗布し、ゲルフィルムを形成する工程、ゲルフィルムを支持体から引き剥がしゲルフィルムの両端を固定する工程、フィルムの両端を固定しながら加熱炉内を搬送する工程、を含む製造方法を採用することができ、その一例を以下に例示する。
(第一の方法)
第一の方法は、
(A)ポリアミド酸を重合する工程
(B)ポリアミド酸及び有機溶媒を含む組成物を支持体上に流延・塗布後、ゲルフィルムを形成する工程、
(C)該ゲルフィルムを引き剥がし、両端を固定する工程
(D)フィルムの両端を固定しながら加熱炉内を搬送する工程、
を含むポリイミドフィルムの製造方法である。
【0024】
(A)工程
(A)工程は、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を重合する工程である。ポリアミド酸の製造方法としては公知の方法を用いることができ、通常、芳香族酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種を、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解させて、得られた有機溶媒溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらの有機溶媒溶液は通常5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得る。
【0025】
重合方法としてはあらゆる公知の方法を用いることができるが、特に好ましい重合方法として次のような方法が挙げられる。すなわち、
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
などのような方法である。これらの方法は、単独で用いてもよいし、部分的に組み合わせて用いることもできる。
【0026】
ここで、本発明にかかるポリアミド酸有機溶媒組成物に用いられる材料について説明する。本発明において用いうる適当な酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物を含み、これらを単独または、任意の割合の混合物が好ましく用い得る。
【0027】
酸二無水物成分として、FPCに必要なフィルム特性、線膨張係数、弾性率、耐薬品性、吸水率、吸湿膨張係数、をコントロールできるという点から、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0028】
本発明にかかるポリアミド酸において使用し得る適当なジアミンとしては、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、パラフェニレンジアミン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3‘−ジメチルベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン及びそれらの類似物などが挙げられる。
【0029】
ジアミン成分として、剛直構造を有するジアミンと柔構造を有するアミンを併用することもできる。得られるフィルムの持つ線膨張係数の値をコントロールするには、剛構造のジアミンの使用比率が大きくなると線膨張係数を小さくでき、柔構造を有するアミンの使用比率が大きくなると、線膨張係数を小さくすることができる。
本発明において、剛直構造を有するジアミンとは、
【0030】
【化1】

【0031】
式中のR2は
【0032】
【化2】

【0033】
で表される2価の芳香族基からなる群から選択される基であり、式中のR3は同一または異なってH−,CH3−、−OH、−CF3、−SO4、−COOH、−CO-NH2、Cl−、Br−、F−、及びCH3O−からなる群より選択される何れかの1つの基である)
で表されるものをいう。
【0034】
また、柔構造を有するジアミンとは、エーテル基、スルホン基、ケトン基、スルフィド基などの柔構造を有するジアミンであり、好ましくは、下記一般式(2)で表されるものである。
【0035】
【化3】

【0036】
(式中のR4は、
【0037】
【化4】

【0038】
で表される2価の有機基からなる群から選択される基であり、式中のR5は同一または異なって、H−,CH3−、−OH、−CF3、−SO4、−COOH、−CO-NH2、Cl−、Br−、F−、及びCH3O−からなる群より選択される1つの基である。)
柔構造を有するジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパンが好ましい。
【0039】
剛構造を有するジアミンとしてはパラフェニレンジアミンが好ましい。
本発明において用いられるポリイミドフィルムは、上記の範囲の中で所望の特性を有するフィルムとなるように適宜芳香族酸二無水物および芳香族ジアミンの種類、配合比を決定して用いることにより得ることができる。
【0040】
特に本願発明においては、ポリイミドフィルムの引張弾性率が4〜7GPa、100〜200℃の線膨張係数が5〜25ppmの物性を満たすポリイミドフィルムとしては、第一のポリイミドフィルムとして、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ピロメリット酸二無水物、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、パラフェニレンジアミンからなるポリイミドフィルムであり、全酸二無水物を100モルとした場合にp-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)の混合割合は30〜70モル、ピロメリット酸二無水物の混合割合は30〜70モル、全ジアミン成分を100モルとした場合に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを30〜70モル、パラフェニレンジアミンを30〜70モルの混合割合で含有するポリイミドフィルムを用いることが望ましい。
【0041】
更に、第二のポリイミドフィルムとして、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、パラフェニレンジアミンからなるポリイミドフィルムであり、全酸二無水物を100モルとした場合に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の混合割合は20〜80モル、ピロメリット酸二無水物の混合割合は20〜80モル、全ジアミン成分を100モルとした場合に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを30〜70モル、パラフェニレンジアミンを30〜70モルの混合割合で含有するポリイミドフィルムを用いることが望ましい。
【0042】
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、ポリアミド酸を溶解する溶媒であればいかなるものも用いることができるが、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用い得る。
【0043】
(B)工程
(B)ポリアミド酸及び有機溶媒を含む組成物(ポリアミド酸溶液ともいう)を支持体上に流延・塗布後、ゲルフィルムを形成する工程、である。(B)工程で用いる組成物は、ポリアミド酸と反応しうる反応剤など、その他の成分を添加した組成物を用いてもよい。
【0044】
これらポリアミド酸溶液をポリイミドに転化する方法については従来公知の方法を用いることができる。この方法には熱イミド化法と化学イミド化法が挙げられる。熱イミド化法は、上記の脱水剤及びイミド化触媒を作用させることなく、加熱によってのみイミド化を促進させる方法である。加熱条件は、ポリアミド酸の種類、フィルムの厚さ等により、変動し得る。化学イミド化法は、ポリアミド酸有機溶媒溶液に、脱水剤及びイミド化触媒とを作用させる方法である。脱水剤としては、例えば無水酢酸などの脂肪族酸無水物、無水安息香酸などの芳香族酸無水物などが挙げられる。イミド化触媒としては、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリンなどの複素環式第3級アミン類などが挙げられる。
【0045】
これらの中で、特に脱水剤としては無水酢酸、イミド化触媒としてイソキノリンを用いるのが好ましい。ポリアミド酸有機溶媒溶液のアミック酸1モルに対して無水酢酸はモル比で1.0〜4.0、好ましくは1.2〜3.5、更に好ましくは1.5〜2.5加えるのがよく、イソキノリンはポリアミド酸有機溶媒溶液のアミック酸1モルに対してモル比で0.1〜2.0、好ましくは0.2〜1.5、更に好ましくは0.3〜1.2、特に好ましくは0.3〜1.1の割合で加えると良好なポリイミドフィルムが得られる。
【0046】
(B)工程において特に好ましいのは、脱水剤とイミド化触媒をポリアミド酸有機溶媒溶液に混合する化学イミド化法が好ましい。連続的に製造されるポリイミドフィルムの製造方法としてはフィルムをフィルム端部を保持しつつテンター炉に搬入し乾燥・加熱する際に、脱水剤とイミド化触媒を用いない熱イミド化法ではテンター炉前半にてフィルムが含有溶剤が蒸発することに伴い収縮するが、この収縮力に対しフィルムが脆くフィルム端部を保持する冶具からフィルムが破断するなどの製造トラブルが発生しやすく、熱イミド化法のみの製造は不適である。
【0047】
また、摺動性、熱伝導性、導電性、耐コロナ性、ループスティフネス等のフィルムの諸特性を改善する目的でフィラーを添加することもできる。フィラーとしてはいかなるものを用いても良いが、好ましい例としてはシリカ、酸化チタン、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、雲母などが挙げられる。
【0048】
フィラーの粒子径は改質すべきフィルム特性と添加するフィラーの種類によって決定されるため、特に限定されるものではないが、一般的には平均粒径が0.05〜100μm、好ましくは0.1〜75μm、更に好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは0.1〜25μmである。粒子径がこの範囲を下回ると改質効果が現れにくくなり、この範囲を上回ると表面性を大きく損なったり、機械的特性が大きく低下したりすることがある。また、フィラーの添加部数についても改質すべきフィルム特性やフィラー粒子径などにより決定されるため特に限定されるものではない。一般的にフィラーの添加量はポリイミド100重量部に対して0.01〜100重量部、好ましくは0.01〜90重量部、更に好ましくは0.02〜80重量部である。フィラー添加量がこの範囲を下回るとフィラーによる改質効果が現れにくく、この範囲を上回るとフィルムの機械的特性が大きく損なわれる可能性がある。フィラーの添加は、
1.重合前または途中に重合反応液に添加する方法
2.重合完了後、3本ロールなどを用いてフィラーを混錬する方法
3.フィラーを含む分散液を用意し、これをポリアミド酸有機溶媒溶液に混合する方法
などいかなる方法を用いてもよいが、フィラーを含む分散液をポリアミド酸溶液に混合する方法、特に製膜直前に混合する方法が製造ラインのフィラーによる汚染が最も少なくすむため、好ましい。フィラーを含む分散液を用意する場合、ポリアミド酸の重合溶媒と同じ溶媒を用いるのが好ましい。また、フィラーを良好に分散させ、また分散状態を安定化させるために分散剤、増粘剤等をフィルム物性に影響を及ぼさない範囲内で用いることもできる。
【0049】
このようにして得られた組成物を、支持体上に連続的に流延・塗布する。支持体としては、該溶液樹脂により溶解することが無く、該合成樹脂溶液の有機溶剤溶液を除去するために要する加熱にも耐えうる支持体であればどのような支持体でも用いることができる。特に好ましくは、金属板を繋ぎ合わせて作製した、エンドレスベルトもしくは金属ドラムが溶液状の塗布液を乾燥させる上で好ましい。尚、エンドレスベルトもしくはドラムの材質は、金属が好ましく用いられ中でも、SUS材が好ましく用いられる。表面には、クロム、チタン、ニッケル、コバルト等の金属にてメッキを施したものを用いることで表面上の溶剤の密着性が向上する、或いは、乾燥した有機絶縁性フィルムが剥離しやすくなるのでメッキ処理を施すことが好ましい。エンドレスベルト、金属ドラム上は平滑な表面を有することが好ましいが、エンドレスベルト上もしくは金属ドラム上には無数の凸凹を作製して用いることも可能である。エンドレスベルトもしくは金属ドラム上に加工される凸凹の直径は0.1μm〜100μmで深さが0.1〜100μmであることが好ましい。金属表面に凸凹を作製することで有機絶縁性フィルムの表面に微細な突起を作製することが可能となり、該突起によりフィルム同士の摩擦による傷の発生、もしくは、フィルム同士のすべり性を向上させることが可能となる。
【0050】
本願発明におけるゲルフィルムとは、ポリアミド酸溶液を加熱・乾燥させて一部の有機溶剤もしくは反応生成物(これらを残存成分と称する)が高分子フィルム中に残存している高分子樹脂フィルムをゲルフィルムと称する。ポリイミドフィルムの製造工程においては、ポリアミド酸溶液を溶解している有機溶剤、イミド化触媒、脱水剤、反応生成物(脱水剤の吸水成分、水)がゲルフィルム中の残存成分として残る。ゲルフィルム中に残存する残存成分割合は、該ゲルフィルム中に存在する乾燥後のゲルフィルムの重量(即ち固形分重量)a(g)に対して残存する残存成分重量b(g)を算出した際に、残存成分割合cは下記の算出式で算出される値であり、該残存成分割合が500%以下であることが好ましく、さらに好ましくは50%以上300%以下、特に好ましくは80%以上200%以下であることが好ましい。
c=b/a×100 ・・・(式1)
500%以上の場合には、面内における残存成分割合のバラツキが相対的に大きくなり、得られるフィルムの特性を均一に制御することが困難な場合がある。
【0051】
フィルム面内における、残存成分割合のバラツキは、所定の残存成分割合をXとした場合、下記(式2)で表される範囲内であることが、分子の配向を制御したフィルムを得やすいという点から好ましい。
0.8X≦X≦1.2X ・・・ (式2)
Xを(式2)の範囲内に制御するには、支持体上での乾燥を、例えば、ジェットノズル方式で乾燥する場合には、熱風をフィルムに対してできるだけ垂直に吹き付ける、支持体上のフィルム幅よりも広い範囲で熱風を吹き付ける、あるいはフィルム幅方向においてできるだけ温度を一定にする、などの方法が挙げられる。
【0052】
乾燥後のゲルフィルムの重量aと残存成分重量bの算出方法は、100mm×100mmのゲルフィルム重量dを測定した後に、該ゲルフィルムを450℃のオーブン中で20分乾燥した後、室温まで冷却後、重量を測定し完全乾燥合成樹脂重量aとする。残存成分重量bは、ゲルフィルム重量dと完全乾燥合成樹脂重量aからb=d−aの算出式より算出される。
【0053】
ゲルフィルムを製造する工程において、支持体上で加熱・乾燥させる際の温度・風速・排気速度は残存成分割合が上記範囲内になるように決定することが好ましい。特に、ポリイミドフィルムの製造過程においては50〜200℃の範囲の温度で高分子と有機溶剤を含有した有機溶剤溶液を加熱・乾燥させることが好ましく、特に好ましくは50〜160℃で加熱・乾燥させることが好ましい。また、ポリアミド酸有機溶媒溶液と脱水剤・イミド化触媒の混合物を支持体上にキャストする際、キャスト時の支持体の温度は150度以下が好ましい。150度以上であると、脱水剤・イミド化触媒がキャスト直後より蒸発し、化学イミド化が満足に進行せず得られるフィルムが脆くなり不適である。
【0054】
加熱・乾燥温度は、用いる有機溶剤・脱水剤・イミド化触媒尚、乾燥時間は、20秒〜30分の範囲内で乾燥させ、多段式の温度管理で乾燥させることが好ましい。
【0055】
(C)工程
(C)工程は、ゲルフィルムを支持体から引き剥がし連続的にゲルフィルムの両端を固定する工程である。ゲルフィルムを支持体から引き剥がしロールツゥロールにてゲルフィルムを搬送しテンター炉に搬送するが、支持体からゲルフィルムを引き剥がした後ロールツゥロールにて搬送する際のゲルフィルムへの加熱は80度以下が好ましい。更に好ましくは50度以下が好ましい。上記範囲以上であると、ゲルフィルムが熱により溶剤蒸発に起因する収縮を生じゲルフィルム端部が反り、その後のテンター炉でのフィルム端部保持に不具合が生じる。また、ゲルフィルムTD方向に収縮することでフィルムの面内配向挙動がフィルム巾方向で不均一となり、結果として得られるフィルムの物性、特に機械特性(弾性率、線膨張係数、吸湿膨張係数など)がフィルム巾方向で不均一となる傾向にある。また、支持体から引き剥がされてフィルムの両端を固定するまでのゲルフィルムの弾性率が重要であり、この(C)工程での弾性率は2GPa以下であることが好ましい。好ましくは1GPa以下である。
【0056】
本願発明における、ゲルフィルムの端部を固定する工程とは、ピンシート、クリップ等の一般にフィルムの製造装置において用いられる把持装置を用いてゲルフィルムの端部を把持する工程である。
【0057】
(D)工程
(D)工程は、フィルムの両端を固定しながら加熱炉内を搬送する工程である。(D)工程での加熱温度は、最高雰囲気温度が450℃以上であることが、ポリイミドフィルムと熱可塑性ポリイミドとの接着性の点から好ましい。さらに好ましくは、500℃以上である。雰囲気温度とは、遠赤ヒーターテンターにおいては炉内で走行するフィルム近傍の温度である。熱風循環型のテンターにおいては循環する熱風の温度のことを言う。
【0058】
(D)工程の加熱工程は、熱風処理または輻射熱線処理であることがフィルムを巾方向(TD方向)に均一に加熱できる点から好ましい。また、熱風処理と輻射熱線処理の組み合わせであることもフィルムを巾方向(TD方向)に均一に加熱できるの点から好ましい。(D)工程の加熱処理が熱風処理である場合には、500℃以上の熱風処理であることが好ましく、輻射熱線処理である場合には、480℃以上の輻射熱線処理であることが好ましい。
【0059】
上記熱風処理において、フィルムに熱風を当てる方法として熱風炉を用いる場合、どのような熱風炉を用いてもよいが、一例として熱風炉が考えられる。また、上記輻射熱線処理において、フィルムに輻射熱線を当てる方法として輻射熱線ヒーター炉を用いる場合、どのような輻射熱線ヒーター炉を用いてもよいが、一例として輻射熱線ヒーター炉が考えられる。なお、ここでいう輻射熱線とは、どのようなものを用いてもよいが、一例として赤外線、遠赤外線等が挙げられる。また、熱風や輻射熱線をフィルムに当てる方法として熱風炉や輻射熱線ヒーター炉を単独で、もしくは複数の炉を組み合わせて用いる他に、熱風と輻射熱線を同時にフィルムに当てることができる炉ことも可能である。また、面内配向挙動制御(フィルム巾方向での機械的特性の均一化)という観点では、ゲルフィルムをフィルム端部保持冶具に固定した後、ゲルフィルムをTD方向に延伸しつつテンター炉へ搬入することが好ましい。テンター炉に搬入されてからTD方向に延伸すると、ゲルフィルム含有の残存成分の蒸発によるフィルム収縮と機械的にTD方向に延伸される応力を制御することが困難であり好ましくない
炉内に搬送される際のゲルフィルムに与えるMD方向に与えられる張力はフィルム1mあたりにかけられる張力を算出することで、1〜20kg/mであることが好ましく、特に好ましくは1〜15kg/mであることが好ましい。張力が1kg/m以下の場合にはフィルムを安定して搬送することが難しく、フィルムを把持して安定したフィルムが製造しにくくなる傾向にある。また、フィルムにかける張力が20kg/m以上の場合には、特に、フィルムの端部において分子配向を制御しにくくなる傾向にある。
【0060】
炉内に搬送されるゲルフィルムに与える張力発生装置としては、ゲルフィルムに荷重をかける荷重ロール、ロールの回転速度を調整して荷重を変化させるロール、ゲルフィルムを2つのロールで挟み込み張力の制御を行う二ップロールを用いる方式等の種々の方法を用いてゲルフィルへの張力を調整することができる。
【0061】
尚、フィルムに与える張力はポリイミドフィルムの厚みにより上記範囲内で適宜調整することが好ましい。フィルム厚みとしては、1〜200μmの厚みが好ましく、特に好ましくは1〜100μmであることが好ましい。
【0062】
本願発明に好適に用いられる加熱炉は、フィルム上面もしくは下面、或いは、両面から100℃以上の熱風をフィルム全体に噴射して加熱する方式の熱風炉、もしくは、遠赤外線を照射してフィルムを焼成する遠赤外線発生装置を備えた遠赤外線炉が用いられる。加熱工程においては、段階的に温度を上げて焼成することが好ましく、その為に、熱風炉、もしくは、遠赤外線炉、もしくは、熱風炉と遠赤外線炉を混在させながら数台連結して焼成する段階式の加熱炉を用いることが好ましい。各炉の間には、前炉からの熱を次炉へ伝えないために、各炉を仕切るための装置が備え付けられていることが好ましい。
【0063】
また、FCCL並びにFPCに用いられる有機絶縁性フィルムの全面内での厚みは、以下の範囲内が接着剤塗布加工性並びにFPC加工工程の寸法変化率の観点で好ましい。
厚み規定について
所望の厚み(中心値)をTミクロンとすると、
(A)フィルム全面内にて、T−T×0.10ミクロン以上、かつ、T+T×0.10ミクロン以下
(B)フィルム流れ方向(MD方向)については、最大値−最小値=T×0.15ミクロン以下
(C)フィルム流れ方向と直交方向(TD方向)については、最大値−最小値=T×0.15ミクロン以下
上記(A)〜(C)を同時に満たすことが好ましい。
【0064】
(III)熱可塑性ポリイミドを含有する接着層
本発明に係る接着フィルムの接着層に含有される熱可塑性ポリイミドとしては、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミドイミド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリエステルイミド等を好適に用いることができる。中でも、低吸湿特性の点から、熱可塑性ポリエステルイミドが特に好適に用いられる。
【0065】
また、既存の装置でラミネートが可能であり、かつ得られる金属張積層板の耐熱性を損なわないという点から考えると、本発明における熱可塑性ポリイミドは、150〜300℃の範囲にガラス転移温度(Tg)を有していることが好ましい。なお、Tgは動的粘弾性測定装置(DMA)により測定した貯蔵弾性率の変曲点の値により求めることができる。
【0066】
熱可塑性ポリイミドは、前駆体であるポリアミド酸をイミド化することにより得られる。熱可塑性ポリイミドの前駆体についても、特に限定されるわけではなく、公知のあらゆるポリアミド酸を用いることができる。また、その製造に関しても、公知の原料や反応条件等を用いることができる。また、必要に応じて無機あるいは有機物のフィラーを添加しても良い。
【0067】
(IV)接着性フィルムの製造
本発明の接着フィルムは、上述の連続的に生産された特定のポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けることにより得られる。その具体的な製造方法としては、基材フィルムとなるポリイミドフィルムに接着層を形成する方法、又は接着層をシート状に成形し、これを上記ポリイミドフィルムに貼り合わせる方法等が好適に例示される。このうち、前者の方法を採る場合、接着層に含有される熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を完全にイミド化してしまうと、有機溶媒への溶解性が低下する場合があることから、ポリイミドフィルム上に上記接着層を設けることが困難となる場合がある。従って、上記観点から、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する溶液を調製して、これを基材フィルムに塗布し、次いでイミド化する手順を採った方がより好ましい。
【0068】
ポリアミド酸溶液をポリイミドフィルムに流延、塗布する方法については特に限定されず、ダイコーター、リバースコーター、ブレードコーター等、既存の方法を使用することができる。接着層は連続的に形成する場合に、本発明の効果が顕著となる。すなわち、上述のようにして得られたポリイミドフィルムを巻き取り、これを繰り出して、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含む溶液を、連続的に塗布する方法である。また、前記ポリアミド酸溶液には、用途に応じて、例えば、フィラーのような他の材料を含んでもよい。また耐熱性接着フィルム各層の厚み構成については、用途に応じた総厚みになるように適宜調整すれば良い。また、必要に応じて、接着層を設ける前にコロナ処理、プラズマ処理、カップリング処理等の各種表面処理をコアフィルム表面に施しても良い。
【0069】
この時のイミド化の方法としては、熱キュア法若しくはケミカルキュア法のどちらも用いることができる。いずれのイミド化手順を採る場合も、イミド化を効率良く進めるために加熱を行うが、その時の温度は、(熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度−100℃)〜(ガラス転移温度+200℃)の範囲内に設定することが好ましく、(熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度−50℃)〜(ガラス転移温度+150℃)の範囲内に設定することがより好ましい。熱キュアの温度は高い方がイミド化が起こりやすいため、キュア速度を速くすることができ、生産性の面で好ましい。但し、高すぎると熱可塑性ポリイミドが熱分解を起こすことがある。一方、熱キュアの温度が低すぎると、ケミカルキュアでもイミド化が進みにくく、キュア工程に要する時間が長くなってしまう。
【0070】
イミド化時間に関しては、実質的にイミド化および乾燥が完結するに十分な時間を取ればよく、一義的に限定されるものではないが、一般的には1〜600秒程度の範囲で適宜設定される。また、接着層の熔融流動性を改善する目的で、意図的にイミド化率を低くする及び/又は溶媒を残留させることもできる。
【0071】
イミド化する際にかける張力としては、MD方向に対して、フィルム厚みが25μmの場合、1kg/m〜15kg/mの範囲内とすることが好ましく、5kg/m〜10kg/mの範囲内とすることが特に好ましい。フィルム厚みが変更される場合は、それにあわせて適宜変更すればよい。張力が上記範囲より小さい場合、フィルム搬送時にたるみが生じ、均一に巻き取れない等の問題が生じることがある。逆に上記範囲よりも大きい場合、接着フィルムに強い張力がかかった状態で高温まで加熱されるため、コアフィルムをMD配向させていたとしても接着フィルムに熱応力が発生し、寸法変化に影響を与えることがある。
【0072】
FPCの耐熱性や、耐屈曲性の観点から、接着層の厚みは、0.5μm以上、10μm以下が好ましい。接着層の厚みは小さいほど、コアフィルムの線膨張係数の影響が大きくなる傾向にある。
【0073】
好ましい接着層の厚みバラツキは、所望の厚みをTとしたとき、
0.7×T<T<1.3×T
となっていることが好ましい。接着層の厚みは、接着フィルム全体に影響を与えるからである。
【0074】
接着フィルム製造方法の第二の方法は、多層ダイを用いて、異なる種類のポリイミドワニスまたは/及びポリイミド前駆体であるポリアミド酸有機溶媒溶液を押出成形する共押出成膜法や、スライドダイを用いた方法、異なる種類のポリイミドワニスを逐次塗工する方法等が挙げられる。
【0075】
(V)フレキシブル金属張積層板およびその製造方法
本発明に係るフレキシブル金属張積層板は、上記接着フィルムに金属箔を貼り合わせることにより得られる。使用する金属箔としては特に限定されるものではないが、電子機器・電気機器用途に本発明のフレキシブル金属張積層板を用いる場合には、例えば、銅若しくは銅合金、ステンレス鋼若しくはその合金、ニッケル若しくはニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる箔を挙げることができる。一般的なフレキシブル金属張積層板では、圧延銅箔、電解銅箔といった銅箔が多用されるが、本発明においても好ましく用いることができる。なお、これらの金属箔の表面には、防錆層や耐熱層あるいは接着性を向上させる為にカップリング剤処理等を実施しても良い。本発明において、上記金属箔の厚みについては特に限定されるものではなく、その用途に応じて、十分な機能が発揮できる厚みであればよい。
【0076】
本発明の接着フィルムは、金属箔との貼り合わせを、例えば、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置或いはダブルベルトプレス(DBP)による連続処理により行う場合に、特に顕著に効果を発現する。また、接着フィルムは、適当なフィルム幅にスリットした後、金属箔と連続的に張り合わせもよいが、フィルム幅が250mm以上である場合、寸法変化率が小さく、また、全幅において寸法変化率が安定するため、本発明の効果を特に発現しやすい態様といえる。
【0077】
金属層との張り合わせは、装置構成が単純であり保守コストの面で有利であるという点から、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いることが好ましい。
【0078】
このような熱ロールラミネート装置を用いる場合は、寸法変化となって現れやすい。従って、本発明の接着フィルムは、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置によって張り合わせを行う場合に、顕著に効果を発現する。ここでいう「一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置」とは、材料を加熱加圧するための金属ロールを有している装置であればよく、その具体的な装置構成は特に限定されるものではない。
【0079】
上記熱ラミネートを実施する手段の具体的な構成は特に限定されるものではないが、得られる積層板の外観を良好なものとするために、加圧面と金属箔との間に保護材料を配置することが好ましい。保護材料としては、熱ラミネート工程の加熱温度に耐えうるものであれば特に限定されず、非熱可塑性ポリイミドフィルム等の耐熱性プラスチック、銅箔、アルミニウム箔、SUS箔等の金属箔等を好適に用いることができる。中でも、耐熱性、再利用性等のバランスが優れる点から、非熱可塑性ポリイミドフィルムがより好ましく用いられる。また、厚みが薄いとラミネート時の緩衝並びに保護の役目を十分に果たさなくなるため、非熱可塑性ポリイミドフィルムの厚みは75μm以上であることが好ましい。
また、この保護材料は必ずしも1層である必要はなく、異なる特性を有する2層以上の多層構造でも良い。
【0080】
上記熱ラミネート手段における被積層材料の加熱方式は特に限定されるものではなく、例えば、熱循環方式、熱風加熱方式、誘導加熱方式等、所定の温度で加熱し得る従来公知の方式を採用した加熱手段を用いることができる。同様に、上記熱ラミネート手段における被積層材料の加圧方式も特に限定されるものではなく、例えば、油圧方式、空気圧方式、ギャップ間圧力方式等、所定の圧力を加えることができる従来公知の方式を採用した加圧手段を用いることができる。
【0081】
上記熱ラミネート工程における加熱温度、すなわちラミネート温度は、接着フィルムのガラス転移温度(Tg)+50℃以上の温度であることが好ましく、接着フィルムのTg+100℃以上がより好ましい。Tg+50℃以上の温度であれば、接着フィルムと金属箔とを良好に熱ラミネートすることができる。またTg+100℃以上であれば、ラミネート速度を上昇させてその生産性をより向上させることができる。
【0082】
また、加熱温度は、200℃以上、さらには、300℃以上である場合に特に顕著に発明の効果を発現する。本発明の接着フィルムは、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けており、これにより耐熱性を付与することができる。通常、接着層に熱可塑性ポリイミドを用いると、熱融着性を発現させるために200℃以上、場合によっては400℃近くの高温を加える必要がある。そのため、ラミネートされて得られたフレキシブル金属張積層板に残留歪みが発生し、エッチングして配線を形成する際、並びに部品を実装するために半田リフローを行う際に寸法変化となって現れる場合があった。本発明の接着フィルムは、ポリイミドフィルムとして全幅において特定の物性を有するフィルムを用いているため、高温で積層しても、寸法変化率が小さく、かつ全幅において寸法変化率が安定したフレキシブル金属積層板が得られる。
【0083】
上記熱ラミネート工程におけるラミネート速度は、0.5m/分以上であることが好ましく、1.0m/分以上であることがより好ましい。0.5m/分以上であれば十分な熱ラミネートが可能になり、1.0m/分以上であれば生産性をより一層向上することができる。
【0084】
上記熱ラミネート工程における圧力、すなわちラミネート圧力は、高ければ高いほどラミネート温度を低く、かつラミネート速度を速くすることができる利点があるが、一般にラミネート圧力が高すぎると得られる積層板の寸法変化が悪化する傾向がある。また、逆にラミネート圧力が低すぎると得られる積層板の金属箔の接着強度が低くなる。そのためラミネート圧力は、49〜490N/cm(5〜50kgf/cm)の範囲内であることが好ましく、98〜294N/cm(10〜30kgf/cm)の範囲内であることがより好ましい。この範囲内であれば、ラミネート温度、ラミネート速度およびラミネート圧力の三条件を良好なものにすることができ、生産性をより一層向上することができる。
【0085】
上記ラミネート工程における接着フィルム張力は、0.01〜4N/cm、さらには0.02〜2.5N/cm、特には0.05〜1.5N/cmが好ましい。張力が上記範囲を下回ると、ラミネートの搬送時にたるみや蛇行が生じ、均一に加熱ロールに送り込まれないために外観の良好なフレキシブル金属張積層板を得ることが困難となることがある。逆に、上記範囲を上回ると、接着層のTgと貯蔵弾性率の制御では緩和できないほど張力の影響が強くなり、寸法安定性が劣ることがある。
【0086】
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を得るためには、連続的に被積層材料を加熱しながら圧着する熱ラミネート装置を用いることが好ましいが、この熱ラミネート装置では、熱ラミネート手段の前段に、被積層材料を繰り出す被積層材料繰出手段を設けてもよいし、熱ラミネート手段の後段に、被積層材料を巻き取る被積層材料巻取手段を設けてもよい。これらの手段を設けることで、上記熱ラミネート装置の生産性をより一層向上させることができる。上記被積層材料繰出手段および被積層材料巻取手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、例えば、接着フィルムや金属箔、あるいは得られる積層板を巻き取ることのできる公知のロール状巻取機等を挙げることができる。
【0087】
さらに、保護材料を巻き取ったり繰り出したりする保護材料巻取手段や保護材料繰出手段を設けると、より好ましい。これら保護材料巻取手段・保護材料繰出手段を備えていれば、熱ラミネート工程で、一度使用された保護材料を巻き取って繰り出し側に再度設置することで、保護材料を再使用することができる。また、保護材料を巻き取る際に、保護材料の両端部を揃えるために、端部位置検出手段および巻取位置修正手段を設けてもよい。これによって、精度よく保護材料の端部を揃えて巻き取ることができるので、再使用の効率を高めることができる。なお、これら保護材料巻取手段、保護材料繰出手段、端部位置検出手段および巻取位置修正手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、従来公知の各種装置を用いることができる。
【0088】
本発明で言う配向度とは、王子計測機器株式会社製分子配向計MOA6015を用いてフィルム面内の分子配向度を測定した場合の、MOR値及びMORc値(フィルムの厚み補正を75μm換算値で補正した値)により確認することできる。
【0089】
MOR−c値はMOR値を厚み換算した値であり、本測定器で得られるMOR値を下式(1)を用いて厚みを75μmに換算したものとする。
MOR−c=(tc/t×(MOR−1))+1 ・・・ 式(1)
ここで、t =試料の厚み
tc=補正したい基準厚さ(75μm)
MOR=上述の測定により得られた値
MOR−c=補正後のMOR値
上記式中、75をtcに代入して、補正後のMOR値を求める。得られたMCR−cの値は、MOR−cが、1.000に近いほど等方的フィルムであることを表す。
【0090】
鋭意検討の結果、接着フィルムのMOR−c値と該接着フィルムを用いたフレキシブル金属張積層板の寸法変化が相関を示し、具体的には、接着フィルムのMOR−c値が増大すると該接着フィルムを用いたフレキシブル金属張積層板の寸法変化も増大することを見出した。
【0091】
本発明にかかる製造方法により得られるフレキシブル金属張積層板においては、金属箔を除去する前後の寸法変化率、並びに金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率の合計値が、MD方向から右45度方向および左45度方向共に−0.10〜+0.10の範囲にあることが非常に好ましい。金属箔除去前後の寸法変化率は、エッチング工程前のフレキシブル金属張積層板における所定の寸法およびエッチング工程後の所定の寸法の差分と、上記エッチング工程前の所定の寸法との比で表される。加熱前後の寸法変化率は、エッチング工程後のフレキシブル金属張積層板における所定の寸法および加熱工程後の所定の寸法の差分と、上記加熱工程前の所定の寸法との比で表される。
【0092】
寸法変化率がこの範囲内から外れると、フレキシブル金属張積層板において、微細な配線を形成した後、並びに部品搭載時の寸法変化が大きくなってしまい、設計段階での部品搭載位置からずれる場合がある。その結果、実装する部品と基板とが良好に接続されなくなるおそれがある。換言すれば、寸法変化率が上記範囲内であれば、部品搭載に支障がないと見なすことが可能になる。
【0093】
上記寸法変化率の測定方法は特に限定されるものではなく、フレキシブル金属張積層板において、エッチングまたは加熱工程の前後に生じる寸法の増減を測定できる方法であれば、従来公知のどのような方法でも用いることができる。
【0094】
なお、寸法変化率を測定する際のエッチング工程の具体的な条件は特に限定されるものではない。すなわち、金属箔の種類や形成されるパターン配線の形状等に応じてエッチング条件は異なるので、本発明において寸法変化率を測定する際のエッチング工程の条件は従来公知のどのような条件であってもよい。同様に、加熱工程においても、250℃で30分間加熱がなされれば良く、具体的な条件は特に限定されない。
【0095】
本発明にかかる製造方法によって得られるフレキシブル金属張積層板は、前述したように、金属箔をエッチングして所望のパターン配線を形成すれば、各種の小型化、高密度化された部品を実装したフレキシブル配線板として用いることができる。もちろん、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、金属箔を含む積層体であれば、種々の用途に利用できることはいうまでもない。
【実施例】
【0096】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例におけるポリイミドフィルムの分子配向度並びにフレキシブル金属張積層板の寸法変化率の評価法は次の通りである。
(寸法変化率)
JIS C6481 5.16に基づいて、フレキシブル積層板に4つの穴を形成し、各穴のそれぞれの距離を測定した。次に、エッチング工程を実施してフレキシブル積層板から金属箔を除去した後に、20℃、60%RHの恒温室に24時間放置した。その後、エッチング工程前と同様に、上記4つの穴について、それぞれの距離を測定した。金属箔除去前における各穴の距離の測定値をD1とし、金属箔除去後における各穴の距離の測定値をD2として、次式によりエッチング前後の寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)={(D2−D1)/D1}×100
続いて、エッチング後の測定サンプルを250℃で30分加熱した後、20℃、60%RHの恒温室に24時間放置した。その後、上記4つの穴について、それぞれの距離を測定した。加熱後における各穴の距離の測定値をD3として、次式により加熱前後の寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)={(D3−D2)/D2}×100
なお、上記寸法変化率は、MD方向から右45度方向および左45度方向の双方について測定した。
(配向度)
本発明で言う配向度とは、王子計測機器株式会社製分子配向計MOA6015を用いてフィルム面内の分子配向度を測定した場合の、MOR値及びMORc値(フィルムの厚み補正を75μm換算値で補正した値)により確認することできる。
MOR−c値はMOR値を厚み換算した値であり、本測定器で得られるMOR値を下式(1)を用いて厚みを75μmに換算したものとする。
MOR−c=(tc/t×(MOR−1))+1 ・・・ 式(1)
ここで、t =試料の厚み
tc=補正したい基準厚さ(75μm)
MOR=上述の測定により得られた値
MOR−c=補正後のMOR値
上記式中、75をtcに代入して、補正後のMOR値を求める。得られたMCR−cの値は、MOR−cが、1.000に近いほど等方的フィルムであることを表す。従って、MCR−cの値は、面内分子配向を簡便に表す指標として用いうる。
分子配向度並びに寸法変化の測定位置は図1に示す。
(弾性率)
ASTM D882に準拠し実施した。
(実施例1)
(ポリイミドフィルムの製造方法)
DMF溶液中にて、4,4'−ジアミノジフェニルエーテルとパラフェニレンジアミンを粉体にて投入溶解させ、その後p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)を粉体にて攪拌・溶解(攪拌時間60分)後、ピロメリット酸二無水物を粉体にて攪拌・溶解させた。その後、ピロメリット酸二無水物をDMFに溶解させた溶液(固形分濃度6%)を徐々に添加し粘度が23度にて3000ポイズに達したところで添加・攪拌を終了した。尚、上記モノマーのモル比率(粉体投入のみ)は、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル/パラフェニレンジアミン/p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)/ピロメリット酸二無水物=50/50/50/48。
【0097】
この重合溶液を約0℃に冷却した上で、ポリアミド酸有機溶媒溶液のアミド酸1モルに対して1.8モル%の無水酢酸、0.9モル%のイソキノリン、および、ポリアミド酸有機溶媒溶液100重量部に対し25重量部のDMFの混合溶液を添加し充分に攪拌した後、約0℃に保ったダイより押し出して、エンドレスベルト上に流延塗布し、140℃以下の温度で加熱・乾燥し残存成分割合160%のゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをエンドレスベルトより引き剥がし、ロールツーロールで搬送し(搬送中ゲルフィルムは40℃以下に保った)、フィルム両端を連続的にシートに搬送するピンシートに固定した。なお、このときのゲルフィルムの弾性率を測定したところ、0.15GPaであった。その後、熱風加熱炉・遠赤加熱炉・熱風徐冷炉に搬送し、徐冷炉から搬出されたところでフィルムをピンシートより引き剥がし、巻き取って約1.6m巾の10umのポリイミドフィルムを得た。尚、加熱炉に搬送中フィルムの巾は一定とした。得られたポリイミドフィルムの弾性率は6.0GPaであった。
(熱可塑性ポリイミド前駆体の製造方法)
DMFに粉体にて2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(以下、BAPPともいう。)を加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、粉体にて3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAともいう。)を徐々に添加した。続いて、粉体にて3,3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物(以下、TMEGともいう。)を添加し、氷浴下で30分間撹拌した。
【0098】
その後、TMEGをDMFに溶解させた溶液(固形分濃度9%)を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、熱可塑性ポリイミド前駆体ポリアミド酸溶液を得た。尚、上記モノマーのモル比率(粉体投入のみ)は、BAPP/BPDA/TMEG=100/80/20。
(接着フィルム・フレキシブル金属張積層板の製造方法)
上記で得られた熱可塑性ポリイミド前駆体ポリアミド酸溶液を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈後、上記ポリイミドフィルムの両面に熱可塑性ポリイミド層(接着層)の最終片面厚みが4umとなるようにポリアミド酸を塗布した後、140度で1分間加熱を行った。続いて、張力5kg/mにて雰囲気温度390度にて20秒間加熱イミド化を行い接着フィルムを得た。得られた接着フィルムの弾性率は5.4GPaであった。得られた接着フィルムの両側に18um圧延銅箔(BHY−22B−T ジャパンエナジー製)をさらに銅箔の両外側に保護材料(アピカル125NPI:株式会社カネカ製)を用いて、ポリイミドフィルムの張力0.4N/cm、ラミネート温度360度、ラミネート圧力196N/cm、ラミネート速度1.5m/minの条件で連続的に熱ラミネートを行い、フレキシブル金属張積層板を作製した。
(実施例2)
(ポリイミドフィルムの製造方法)
DMF溶液中にて、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテルとパラフェニレンジアミンを粉体にて投入溶解させ、その後p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)を粉体にて攪拌・溶解(攪拌時間60分)後、ピロメリット酸二無水物を粉体にて攪拌・溶解させた。その後、ピロメリット酸二無水物をDMFに溶解させた溶液(固形分濃度6%)を徐々に添加し粘度が23度にて3000ポイズに達したところで添加・攪拌を終了した。尚、尚、上記モノマーのモル比率(粉体投入のみ)は、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル/パラフェニレンジアミン/p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)/ピロメリット酸二無水物=50/50/50/48。
【0099】
この重合溶液を約0℃に冷却した上で、約0℃に冷却したポリアミド酸有機溶媒溶液のアミド酸1モルに対して1.8モル%の無水酢酸、0.9モル%のイソキノリン、および、ポリアミド酸有機溶媒溶液100重量部に対し25重量部のDMFの混合溶液を添加し充分に攪拌した後、約0℃に保ったダイより押し出して、エンドレスベルト上に流延塗布し、140℃以下の温度で加熱・乾燥し残存成分割合120%のゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをエンドレスベルトより引き剥がし、ロールツーロールで搬送し(搬送中ゲルフィルムは40℃以下に保った)、フィルム両端を連続的にシートに搬送するピンシートに固定した。なお、このときのゲルフィルムの弾性率を測定したところ、0.3GPaであった。その後、、熱風加熱炉・遠赤加熱炉・熱風徐冷炉に搬送し徐冷炉から搬出されたところでフィルムをピンシートより引き剥がし、巻き取って約1.6m巾の7.5umのポリイミドフィルムを得た。尚、加熱炉に搬送中フィルムの巾は一定とした。得られたポリイミドフィルムの弾性率は6.0GPaであった。
(熱可塑性ポリイミド前駆体の製造方法)
DMFに粉体にて2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(以下、BAPPともいう。)を加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、粉体にて3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAともいう。)を徐々に添加した。続いて、粉体にて3,3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物(以下、TMEGともいう。)を添加し、氷浴下で30分間撹拌した。
【0100】
その後、TMEGをDMFに溶解させた溶液(固形分濃度9%)を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、熱可塑性ポリイミド前駆体ポリアミド酸溶液を得た。尚、上記モノマーのモル比率(粉体投入のみ)は、BAPP/BPDA/TMEG=282/268/9。
(接着フィルム・フレキシブル金属張積層板の製造方法)
上記で得られた熱可塑性ポリイミド前駆体ポリアミド酸溶液を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈後、上記ポリイミドフィルムの両面に熱可塑性ポリイミド層(接着層)の最終片面厚みが4umとなるようにポリアミド酸を塗布した後、140度で1分間加熱を行った。続いて、張力5kg/mにて雰囲気温度390度にて20秒間加熱イミド化を行い接着フィルムを得た。得られた接着フィルムの弾性率は5.4GPaであった。得られた接着フィルムの両側に18um圧延銅箔(BHY−22B−T ジャパンエナジー製)をさらに銅箔の両外側に保護材料(アピカル125NPI:株式会社カネカ製)を用いて、ポリイミドフィルムの張力0.4N/cm、ラミネート温度360度、ラミネート圧力196N/cm、ラミネート速度1.5m/minの条件で連続的に熱ラミネートを行い、フレキシブル金属張積層板を作製した。
(実施例3)
(ポリイミドフィルムの製造方法)
DMF溶液中にて、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテルとパラフェニレンジアミンを粉体にて投入溶解させ、その後p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)を粉体にて攪拌・溶解(攪拌時間60分)後、ピロメリット酸二無水物を粉体にて攪拌・溶解させた。その後、ピロメリット酸二無水物をDMFに溶解させた溶液(固形分濃度6%)を徐々に添加し粘度が23度にて3000ポイズに達したところで添加・攪拌を終了した。尚、尚、上記モノマーのモル比率(粉体投入のみ)は、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル/パラフェニレンジアミン/p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)/ピロメリット酸二無水物=55/45/55/43。
【0101】
この重合溶液を約0℃に冷却した上で、約0℃に冷却したポリアミド酸有機溶媒溶液のアミド酸1モルに対して1.8モル%の無水酢酸、0.9モル%のイソキノリン、および、ポリアミド酸有機溶媒溶液100重量部に対し25重量部のDMFの混合溶液を添加し充分に攪拌した後、約0℃に保ったダイより押し出して、エンドレスベルト上に流延塗布し、140℃以下の温度で加熱・乾燥し残存成分割合90%のゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをエンドレスベルトより引き剥がし、ロールツーロールで搬送し(搬送中ゲルフィルムは40℃以下に保った)、フィルム両端を連続的にシートに搬送するピンシートに固定した。なお、このときのゲルフィルムの弾性率を測定したところ、0.9GPaであった。その後、熱風加熱炉・遠赤加熱炉・熱風徐冷炉に搬送し徐冷炉から搬出されたところでフィルムをピンシートより引き剥がし、巻き取って約1.6m巾の9umのポリイミドフィルムを得た。尚、加熱炉に搬送中フィルムの巾は一定とした。得られたポリイミドフィルムの弾性率は5.5GPaであった。
(熱可塑性ポリイミド前駆体の製造方法)
DMFに粉体にて2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(以下、BAPPともいう。)を加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、粉体にて3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAともいう。)を徐々に添加した。続いて、粉体にて3,3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物(以下、TMEGともいう。)を添加し、氷浴下で30分間撹拌した。
【0102】
その後、TMEGをDMFに溶解させた溶液(固形分濃度9%)を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、熱可塑性ポリイミド前駆体ポリアミド酸溶液を得た。尚、上記モノマーのモル比率(粉体投入のみ)は、BAPP/BPDA/TMEG=282/268/9。
(接着フィルム・フレキシブル金属張積層板の製造方法)
上記で得られた熱可塑性ポリイミド前駆体ポリアミド酸溶液を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈後、上記ポリイミドフィルムの両面に熱可塑性ポリイミド層(接着層)の最終片面厚みが4umとなるようにポリアミド酸を塗布した後、140度で1分間加熱を行った。続いて、張力5kg/mにて雰囲気温度390度にて20秒間加熱イミド化を行い接着フィルムを得た。得られた接着フィルムの弾性率は5.4GPaであった。得られた接着フィルムの両側に18um圧延銅箔(BHY−22B−T ジャパンエナジー製)をさらに銅箔の両外側に保護材料(アピカル125NPI:株式会社カネカ製)を用いて、ポリイミドフィルムの張力0.4N/cm、ラミネート温度360度、ラミネート圧力196N/cm、ラミネート速度1.5m/minの条件で連続的に熱ラミネートを行い、フレキシブル金属張積層板を作製した。
(実施例4)
(ポリイミドフィルムの製造方法)
DMF溶液中にて、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテルとパラフェニレンジアミンを粉体にて投入溶解させ、その後p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)を粉体にて攪拌・溶解(攪拌時間60分)後、ピロメリット酸二無水物を粉体にて攪拌・溶解させた。その後、ピロメリット酸二無水物をDMFに溶解させた溶液(固形分濃度6%)を徐々に添加し粘度が23度にて3000ポイズに達したところで添加・攪拌を終了した。尚、尚、上記モノマーのモル比率(粉体投入のみ)は、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル/パラフェニレンジアミン/p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)/ピロメリット酸二無水物=45/55/45/53。
【0103】
この重合溶液を約0℃に冷却した上で、約0℃に冷却したポリアミド酸有機溶媒溶液のアミド酸1モルに対して1.8モル%の無水酢酸、0.9モル%のイソキノリン、および、ポリアミド酸有機溶媒溶液100重量部に対し25重量部のDMFの混合溶液を添加し充分に攪拌した後、約0℃に保ったダイより押し出して、エンドレスベルト上に流延塗布し、140℃以下の温度で加熱・乾燥し残存成分割合60%のゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをエンドレスベルトより引き剥がし、ロールツーロールで搬送し(搬送中ゲルフィルムは40℃以下に保った)、フィルム両端を連続的にシートに搬送するピンシートに固定した。なお、このときのゲルフィルムの弾性率を測定したところ、2GPaであった。その後、熱風加熱炉・遠赤加熱炉・熱風徐冷炉に搬送し徐冷炉から搬出されたところでフィルムをピンシートより引き剥がし、巻き取って約1.6m巾の9umのポリイミドフィルムを得た。尚、加熱炉に搬送中フィルムの巾は一定とした。得られたポリイミドフィルムの弾性率は5.6GPaであった。
(熱可塑性ポリイミド前駆体の製造方法)
DMFに粉体にて2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(以下、BAPPともいう。)を加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、粉体にて3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAともいう。)を徐々に添加した。続いて、粉体にて3,3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物(以下、TMEGともいう。)を添加し、氷浴下で30分間撹拌した。
【0104】
その後、TMEGをDMFに溶解させた溶液(固形分濃度9%)を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、熱可塑性ポリイミド前駆体ポリアミド酸溶液を得た。尚、上記モノマーのモル比率(粉体投入のみ)は、BAPP/BPDA/TMEG=282/268/9。
(接着フィルム・フレキシブル金属張積層板の製造方法)
上記で得られた熱可塑性ポリイミド前駆体ポリアミド酸溶液を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈後、上記ポリイミドフィルムの両面に熱可塑性ポリイミド層(接着層)の最終片面厚みが4umとなるようにポリアミド酸を塗布した後、140度で1分間加熱を行った。続いて、張力5kg/mにて雰囲気温度390度にて20秒間加熱イミド化を行い接着フィルムを得た。得られた接着フィルムの弾性率は5.4GPaであった。得られた接着フィルムの両側に18um圧延銅箔(BHY−22B−T ジャパンエナジー製)をさらに銅箔の両外側に保護材料(アピカル125NPI:株式会社カネカ製)を用いて、ポリイミドフィルムの張力0.4N/cm、ラミネート温度360度、ラミネート圧力196N/cm、ラミネート速度1.5m/minの条件で連続的に熱ラミネートを行い、フレキシブル金属張積層板を作製した。
(比較例1)
(ポリイミドフィルムの製造方法)
DMF溶液中にて、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテルとパラフェニレンジアミンを粉体にて投入溶解させ、その後p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)を粉体にて攪拌・溶解(攪拌時間60分)後、ピロメリット酸二無水物を粉体にて攪拌・溶解させた。その後、ピロメリット酸二無水物をDMFに溶解させた溶液(固形分濃度6%)を徐々に添加し粘度が23度にて3000ポイズに達したところで添加・攪拌を終了した。尚、尚、上記モノマーのモル比率(粉体投入のみ)は、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル/パラフェニレンジアミン/p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)/ピロメリット酸二無水物=50/50/50/48。
【0105】
この重合溶液を約0℃に冷却した上で、約0℃に冷却したポリアミド酸有機溶媒溶液のアミド酸1モルに対して1.8モル%の無水酢酸、0.9モル%のイソキノリン、および、ポリアミド酸有機溶媒溶液100重量部に対し25重量部のDMFの混合溶液を添加し充分に攪拌した後、約0℃に保ったダイより押し出して、エンドレスベルト上に流延塗布し、140℃以下の温度で加熱・乾燥し残存成分割合35%のゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをエンドレスベルトより引き剥がし、ロールツーロールで搬送し(搬送中ゲルフィルムは60℃に保った)、フィルム両端を連続的にシートに搬送するピンシートに固定した。なお、このときのゲルフィルムの弾性率を測定したところ、3GPaであった。その後、熱風加熱炉・遠赤加熱炉・熱風徐冷炉に搬送し徐冷炉から搬出されたところでフィルムをピンシートより引き剥がし、巻き取って約1.6m巾の10umのポリイミドフィルムを得た。尚、加熱炉に搬送中フィルムの巾は一定とした。得られたポリイミドフィルムの弾性率は5.9GPaであった。
(熱可塑性ポリイミド前駆体の製造方法)
DMFに粉体にて2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(以下、BAPPともいう。)を加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、粉体にて3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAともいう。)を徐々に添加した。続いて、粉体にて3,3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物(以下、TMEGともいう。)を添加し、氷浴下で30分間撹拌した。
【0106】
その後、TMEGをDMFに溶解させた溶液(固形分濃度9%)を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、熱可塑性ポリイミド前駆体ポリアミド酸溶液を得た。尚、上記モノマーのモル比率(粉体投入のみ)は、BAPP/BPDA/TMEG=282/268/9。
(接着フィルム・フレキシブル金属張積層板の製造方法)
上記で得られた熱可塑性ポリイミド前駆体ポリアミド酸溶液を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈後、上記ポリイミドフィルムの両面に熱可塑性ポリイミド層(接着層)の最終片面厚みが4umとなるようにポリアミド酸を塗布した後、140度で1分間加熱を行った。続いて、張力5kg/mにて雰囲気温度390度にて20秒間加熱イミド化を行い接着フィルムを得た。得られた接着フィルムの弾性率は5.4GPaであった。得られた接着フィルムの両側に18um圧延銅箔(BHY−22B−T ジャパンエナジー製)をさらに銅箔の両外側に保護材料(アピカル125NPI:株式会社カネカ製)を用いて、ポリイミドフィルムの張力0.4N/cm、ラミネート温度360度、ラミネート圧力196N/cm、ラミネート速度1.5m/minの条件で連続的に熱ラミネートを行い、フレキシブル金属張積層板を作製した。
【0107】
【表1】

【0108】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の接着フィルムは、寸法変化の発生が抑制されており、特にラミネート法における寸法変化の発生も効果的に抑制できるので、フレキシブル金属張積層板に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚みが3〜10μmのポリイミドフィルムの少なくとも片面に厚みが1〜5μmの熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を有する接着フィルムであって、該接着フィルムの分子配向度が1.3以下であることを特徴とする接着フィルム。
【請求項2】
ポリイミドフィルムの引張弾性率が4〜7GPa、100〜200℃の線膨張係数が5〜25ppmであることを特徴とする請求項1に記載の接着フィルム。
【請求項3】
ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けた接着フィルムであって、該接着フィルムは、フィルム幅が250mm以上でありかつ、連続的に生産されると共に、全巾において配向度が1.3以下であることを特徴とする接着フィルム。
【請求項4】
請求項1〜3記載のいずれか一項に記載の接着フィルムが、ポリイミドフィルムに熱可塑性ポリイミドの有機溶剤溶液もしくは該熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の有機溶剤溶液を塗布・加熱・乾燥することにより得られる接着性フィルムの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4記載のいずれか一項に記載の接着フィルムに金属箔を張り合わせて得られることを特徴とするフレキシブル金属積層板。



【図1】
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【公開番号】特開2013−67810(P2013−67810A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−263634(P2012−263634)
【出願日】平成24年11月30日(2012.11.30)
【分割の表示】特願2005−285292(P2005−285292)の分割
【原出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】