説明

筋肉増強器具及びその制御方法

【課題】受圧袋やチューブを必要とすることなく、ベルトが筋肉に付与する加圧力を正確に測定することができる筋肉増強器具を提供する。
【解決手段】所定の加圧力を使用者の四肢の少なくとも一つに付与して血流を阻害することにより四肢の筋肉を増強するために用いられる筋肉増強器具1であって、四肢の少なくとも一つに巻き付けられて筋肉に加圧力を付与するベルト10と、筋肉に加圧力を付与した状態におけるベルト10のループ形状を維持するファスナ40と、ベルト10の巻付けの際にベルト10に作用する引張力を測定する引張力センサ60と、引張力センサ60で測定した引張力が所定の閾値を超えた時点で自動的に動作を開始するように構成され筋肉に付与した加圧力を測定する加圧力センサと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋肉増強器具及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、血流阻害による負荷を筋肉に付与することにより効率良く筋肉の増強を行うことができる加圧筋力トレーニング方法が提案され、実用化されている(特許文献1参照)。かかる筋力トレーニング方法においては、ベルトで使用者の四肢(腕や脚)の特定部位を締め付けて筋肉に加圧力を付与する筋肉増強器具が使用されている。
【0003】
このような筋肉増強器具を用いて加圧筋力トレーニング方法を実施するには、増強する筋肉の特定部位に対してある程度正確な位置での正確な加圧力の付与が不可欠である。このため、近年においては、ベルトが筋肉に付与する加圧力を受圧袋内のガス圧として得て、それを伝達手段により感圧素子に伝達し、その伝達された圧力を感圧素子で測定する加圧力測定装置を備えた筋肉増強器具が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2670421号公報
【特許文献2】特許第2796277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記した従来の加圧力測定装置を備えた筋肉増強器具は、加圧力に応じて内部のガス圧が変化する受圧袋と、感圧素子等が収納された測定タンクと、をチューブ(中空弾性管)を介して連通接続する必要があることから、器具全体が大掛かりで嵩張るものとなり、特にチューブによってトレーニングが妨げられる虞があった。
【0006】
また、前記した従来の筋肉増強器具においては、ベルトの端部に配置された測定タンクにチューブを介して受圧袋を接続しており、チューブの長さが限られることから、受圧袋もまたベルトの端部近傍に配置せざるを得ない、という制約がある。このように受圧袋がベルトの端部近傍に配置されると、受圧袋と使用者の腕(又は脚)との間に間隙が形成されてしまうことがあり、かかる場合には、筋肉に付与されている加圧力を受圧袋によって正確に検知することができなくなるという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、受圧袋やチューブを必要とすることなく、ベルトが筋肉に付与する加圧力を正確に測定することができる筋肉増強器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明に係る筋肉増強器具は、所定の加圧力を使用者の四肢の少なくとも一つに付与して血流を阻害することにより四肢の筋肉を増強するために用いられる筋肉増強器具であって、四肢の少なくとも一つに巻き付けられて筋肉に加圧力を付与するベルトと、筋肉に加圧力を付与した状態におけるベルトのループ形状を維持する形状維持部材と、ベルトに作用する引張力を測定する引張力測定器と、引張力測定器で測定した引張力が所定の閾値を超えた時点で自動的に動作するように構成され筋肉に付与した加圧力を測定する加圧力測定装置と、を備えるものである。
【0009】
かかる構成を採用すると、ベルトの巻付けの際にベルトに作用する引張力が所定の閾値を超えた場合に、加圧力測定装置を自動的に動作させ加圧力を測定することができる。従って、加圧力測定装置を動作させるためのスイッチ等を別途設けたり操作したりする必要がなく、例えばベルトを使用者の上腕に巻き付けた直後から加圧力の測定を開始させることができる。そして、本筋肉増強器具は、従来の筋肉増強器具のような受圧袋やチューブを必要としないため、器具全体としてコンパクトとなり、トレーニングの際に使用し易いものとなっている。
【0010】
本筋肉増強器具において、ベルトの筋肉に面する側の長手方向略中央領域に配置され筋肉に付与した加圧力に対応する電気信号を出力する感圧素子と、感圧素子で出力した電気信号に基づいて加圧力を算出する算出部と、を有する加圧力測定装置を採用することができる。
【0011】
かかる構成を採用すると、加圧力測定装置の感圧素子がベルトの長手方向略中央部領域(ベルトの端部から離れた位置)に配置されているため、例えばベルトを使用者の上腕に巻き付けベルトの端部を把持して加圧力を付与する際に、ベルトの端部から離れた位置にある感圧素子を上腕に確実に密着させることができる。従って、感圧素子と人体との間に間隙が形成されることに起因して加圧力が正確に測定されないという事態を未然に回避することができ、加圧力の測定精度を向上させることができる。
【0012】
また、本筋肉増強器具において、感圧素子を、ベルトの内面側の長手方向略中央領域に所定間隔をおいて複数配置することが好ましい。かかる場合において、加圧力測定装置の算出部は、感圧素子で出力した複数の電気信号に基づいて加圧力の平均値を算出することができる。
【0013】
かかる構成を採用すると、感圧素子を複数配置し、これら複数の感圧素子で出力した複数の電気信号に基づいて加圧力の平均値を算出することができる。従って、単一の感圧素子で加圧力の測定を行う場合と比較すると、測定誤差が生じる可能性を低減させることができ、加圧力の測定精度をさらに向上させることができる。
【0014】
また、本筋肉増強器具において、起動後において引張力測定器で測定した引張力が所定の閾値以下となった時点で自動的に動作を停止するように構成されている加圧力測定装置を採用することができる。
【0015】
かかる構成を採用すると、ベルトに作用する引張力が所定の閾値以下となった場合に加圧力測定装置の動作を自動的に停止させることができる。従って、加圧力測定装置を停止させるためのスイッチ等を別途設けたり操作したりする必要がなく、ベルトを外した直後から加圧力の測定を停止させることができる。また、電力の供給を受けて動作する加圧力測定装置を採用した場合には、この自動停止機能を採用することによって電力の無駄な消費を抑制することができる。
【0016】
また、本筋肉増強器具において、各種情報を記憶するように構成された情報記憶媒体と、加圧力測定装置の算出部で算出した加圧力を情報記憶媒体に記憶させる記憶制御部と、をさらに備えることができる。
【0017】
かかる構成を採用すると、加圧力測定装置の算出部によって算出された加圧力(実行加圧力)を、情報記憶媒体に記憶させることができる。従って、実行加圧力の大きさを事後的に確認することができる。
【0018】
また、本筋肉増強器具において、加圧力測定装置の動作中に算出部で算出した加圧力の最大値を情報記憶媒体に記憶させる記憶制御部を採用することができる。
【0019】
かかる構成を採用すると、加圧力測定装置の動作中における実行加圧力の最大値を事後的に確認することができる。
【0020】
また、本筋肉増強器具において、加圧力測定装置の算出部で算出した加圧力が適正加圧力を超えかつその状態が一定時間継続した場合に、その旨を情報記憶媒体に記憶させる記憶制御部を採用することもできる。
【0021】
かかる構成を採用すると、実行加圧力が適正加圧力を超える状態が一定時間継続した場合に、その旨を情報記憶媒体に記憶させることができる。従って、使用者は、適正加圧力を超える実行加圧力が一定時間継続して付与された事実を事後的に確認することができる。
【0022】
また、本筋肉増強器具において、各種情報を表示するための表示器と、加圧力測定装置の算出部で算出した加圧力を含む各種情報を表示器に表示する表示制御部と、をさらに備えることができる。また、ベルトの一方の端部に、ベルトの巻付けの際にベルトの他方の端部を通してベルトを折り返すための折返部を設けておき、この折返部の近傍に表示器を配置することが好ましい。
【0023】
かかる構成を採用すると、表示器が折返部の近傍に配置されているため、使用者は、表示器に表示された情報を容易に視認することができる。例えば、使用者は、ベルトを上腕に巻き付け、ベルトの一方の端部に設けられた折返部にベルトの他方の端部を通してベルトを折り返しながら筋肉に加圧力を付与する際に、折返部の近傍(使用者が最も視認し易い位置)に表示器が配置されていることから、加圧力等の情報を容易に視認することができる。
【0024】
また、本筋肉増強器具において、加圧力測定装置の算出部で算出した加圧力と、所定の適正加圧力と、の双方を表示器に表示する表示制御部を採用することができる。
【0025】
かかる構成を採用すると、実行加圧力と適正加圧力との双方を表示器に表示することができる。従って、使用者は、実行加圧力と適正加圧力とを容易に比較することができ、実行加圧力を適正加圧力に一致させるように加圧力を調整することができる。
【0026】
また、本筋肉増強器具において、加圧力測定装置の算出部で算出した加圧力が適正加圧力を超えかつその状態が一定時間継続した場合に、所定の警告情報を表示器に表示する表示制御部を採用することもできる。
【0027】
かかる構成を採用すると、実行加圧力が適正加圧力を超える状態が一定時間継続した場合に、所定の警告情報を表示器に表示して使用者に報知することができる。
【0028】
また、本筋肉増強器具において、音声を出力するための音声出力器と、加圧力測定装置の算出部で算出した加圧力が所定の適正加圧力を超えかつその状態が一定時間継続した場合に、所定の警告音を前記音声出力器から出力する音声制御部と、をさらに備えることができる。
【0029】
かかる構成を採用すると、実行加圧力が適正加圧力を超える状態が一定時間継続した場合に、所定の警告音を音声出力器から出力して使用者に報知することができる。
【0030】
また、本筋肉増強器具において、自己の動作回数を計測する起動回数計測部を有する加圧力測定装置を採用するとともに、この起動回数計測部で計測した動作回数が所定の適正加圧力の有効期間に対応する所定回数を超えた場合に所定の警告音を音声出力器から出力する音声制御部を備えることができる。
【0031】
かかる構成を採用すると、筋肉増強器具の使用回数(加圧力測定装置の動作回数)が所定回数を超えた場合に、使用者毎に設定された適正加圧力の有効期間が経過したものとして、所定の警告音を音声出力器から出力して使用者に報知することができる。従って、使用者は、設定されていた適正加圧力の有効期間が経過したことを知ることができ、新たな適正加圧力を設定し直すことができる。
【0032】
また、本筋肉増強器具において、加圧力測定装置の起動回数計測部で計測した動作回数が筋肉増強器具の耐用期間に対応する所定回数を超えた場合に所定の警告音を音声出力器から出力する音声制御部を採用することもできる。
【0033】
かかる構成を採用すると、筋肉増強器具の使用回数(加圧力測定装置の動作回数)が所定回数を超えた場合に、筋肉増強器具の耐用期間が経過したものとして、所定の警告音を音声出力器から出力して使用者に報知することができる。従って、使用者は、筋肉増強器具の耐用期間が経過して新たな筋肉増強器具を購入すべき時期が到来したことを知ることができる。
【0034】
また、本筋肉増強器具において、加圧力測定装置は、起動回数計測部で計測した動作回数が筋肉増強器具の耐用期間に対応する所定回数を超えた場合に自己の機能を停止させる機能停止部を有することができる。
【0035】
かかる構成を採用すると、筋肉増強器具の使用回数(加圧力測定装置の動作回数)が所定回数を超えた場合に、筋肉増強器具の耐用期間が経過したものとして、加圧力測定装置の機能を停止させることができる。従って、耐用期間が経過した筋肉増強器具を使用者が誤って使用することを未然に防ぐことができる。
【0036】
また、本発明に係る制御方法は、所定の加圧力を使用者の四肢の少なくとも一つに巻き付けられて前記四肢の筋肉に加圧力を付与するベルトと、筋肉に加圧力を付与した状態におけるベルトのループ形状を維持する形状維持部材と、ベルトに作用する引張力を測定する引張力測定器と、筋肉に付与した加圧力を測定する加圧力測定装置と、を備える筋肉増強器具の制御方法であって、引張力測定器で測定した引張力が所定の閾値を超えた時点で加圧力測定装置の動作を自動的に開始させる動作開始工程を含むものである。
【0037】
かかる方法を採用すると、ベルトの巻付けの際にベルトに作用する引張力が所定の閾値を超えた場合に、加圧力測定装置の動作を自動的に開始させて加圧力を測定することができる。従って、加圧力測定装置を動作させるためのスイッチ等を別途設けたり操作したりする必要がなく、例えばベルトを使用者の上腕に巻き付けた直後から加圧力の測定を開始させることができる。
【0038】
本制御方法は、動作開始工程を経た後に引張力測定器で測定した引張力が所定の閾値以下となった時点で加圧力測定装置の動作を自動的に停止させる動作停止工程を含むことができる。
【0039】
かかる方法を採用すると、ベルトに作用する引張力が所定の閾値以下となった場合に加圧力測定装置の動作を自動的に停止させることができる。従って、加圧力測定装置を停止させるためのスイッチ等を別途設けたり操作したりする必要がなく、ベルトを外した直後から加圧力の測定を停止させることができる。
【0040】
また、本制御方法は、加圧力測定装置の測定した加圧力を情報記憶媒体に記憶させる情報記憶工程を含むことができる。
【0041】
かかる方法を採用すると、加圧力測定装置によって測定された加圧力(実行加圧力)を情報記憶媒体に記憶させることができるので、実行加圧力の大きさを事後的に確認することができる。
【0042】
また、本制御方法は、加圧力測定装置で測定した加圧力と、所定の適正加圧力と、の双方を表示器に表示する情報表示工程を含むことができる。
【0043】
かかる方法を採用すると、加圧力測定装置によって測定された加圧力(実行加圧力)と適正加圧力との双方を表示器に表示することができる。従って、使用者は、実行加圧力と適正加圧力とを容易に比較することができ、実行加圧力を適正加圧力に一致させるように加圧力を調整することができる。
【0044】
また、本制御方法の情報表示工程では、加圧力測定装置で測定した加圧力が適正加圧力を超えかつその状態が一定時間継続した場合に、所定の警告情報を表示器に表示することもできる。
【0045】
かかる方法を採用すると、実行加圧力が適正加圧力を超える状態が一定時間継続した場合に、所定の警告情報を表示器に表示して使用者に報知することができる。
【0046】
また、本制御方法は、加圧力測定装置で測定した加圧力が所定の適正加圧力を超えかつその状態が一定時間継続した場合に、所定の警告音を音声出力器から出力する適正加圧力超過警告音出力工程を含むことができる。
【0047】
かかる方法を採用すると、実行加圧力が適正加圧力を超える状態が一定時間継続した場合に、所定の警告音を音声出力器から出力して使用者に報知することができる。
【0048】
また、本制御方法は、加圧力測定装置の動作回数を計測する動作回数計測工程と、動作回数計測工程で計測した動作回数が所定の適正加圧力の有効期間に対応する所定回数を超えた場合に所定の警告音を音声出力器から出力する有効期間超過警告音出力工程と、を含むことができる。
【0049】
かかる方法を採用すると、筋肉増強器具の使用回数(加圧力測定装置の動作回数)が所定回数を超えた場合に、使用者毎に設定された適正加圧力の有効期間が経過したものとして、所定の警告音を音声出力器から出力して使用者に報知することができる。従って、使用者は、設定されていた適正加圧力の有効期間が経過したことを知ることができ、新たな適正加圧力を設定し直すことができる。
【0050】
また、本制御方法は、動作回数計測工程で計測した動作回数が筋肉増強器具の耐用期間に対応する所定回数を超えた場合に所定の警告音を音声出力器から出力する耐用期間超過警告音出力工程を含むこともできる。
【0051】
かかる方法を採用すると、筋肉増強器具の使用回数(加圧力測定装置の動作回数)が所定回数を超えた場合に、筋肉増強器具の耐用期間が経過したものとして、所定の警告音を音声出力器から出力して使用者に報知することができる。従って、使用者は、筋肉増強器具の耐用期間が経過して新たな筋肉増強器具を購入すべき時期が到来したことを知ることができる。
【0052】
また、本制御方法は、動作回数計測工程で計測した動作回数が筋肉増強器具の耐用期間に対応する所定回数を超えた場合に加圧力測定装置の機能を停止させる機能停止工程を含むことができる。
【0053】
かかる方法を採用すると、筋肉増強器具の使用回数(加圧力測定装置の動作回数)が所定回数を超えた場合に、筋肉増強器具の耐用期間が経過したものとして、加圧力測定装置の機能を停止させることができる。従って、耐用期間が経過した筋肉増強器具を使用者が誤って使用することを未然に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0054】
本発明によれば、受圧袋やチューブを必要とすることなく、ベルトが筋肉に付与する加圧力を正確に測定することができる筋肉増強器具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態に係る筋肉増強器具の内面を表す図である。
【図2】図1に示す筋肉増強器具の外面を表す図である。
【図3】図1に示す筋肉増強器具の側面図である。
【図4】図1に示す筋肉増強器具の情報処理装置の機能的構成を説明するためのブロック図である。
【図5】図1に示す筋肉増強器具の使用方法を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施形態に係る筋肉増強器具の内面を表す図である。
【図7】図6に示す筋肉増強器具の外面を表す図である。
【図8】図6に示す筋肉増強器具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0057】
まず、図1〜図4を用いて、本発明の実施形態に係る筋肉増強器具1の構成について説明する。
【0058】
本実施形態に係る筋肉増強器具1は、所定の加圧力を使用者の四肢の少なくとも一つに付与して血流を阻害することにより四肢の筋肉を増強する「加圧筋力トレーニング」に使用されるものであり、図1〜図3に示すように、ベルト10と、ベルト10の一方の端部10aに取り付けられた薄型筐体状の情報処理装置20と、を備えている。
【0059】
ベルト10は、使用者の四肢の少なくとも一つに巻き付けられて筋肉に加圧力を付与する帯状の部材であり、例えば伸縮性を有する素材で構成されている。ベルト10の長さ及び幅は、使用者の体格や巻き付ける部位に応じて適宜設定することができる。
【0060】
ベルト10の内面(人体に密着する側の面)11の長手方向略中央領域には、図1に示すように、所定間隔をおいて配置された複数の感圧素子30が取り付けられている。感圧素子30は、筋肉に付与した加圧力に対応する電気信号を出力するものであり、本発明における加圧力測定装置(加圧力センサ)を構成する。各感圧素子30から出力された電気信号は、図示されていない電線を介して情報処理装置20に送られて、加圧力の算出に使用されることとなる。
【0061】
ベルト10の外面(外側に露出する面)12には、図2に示すように、面ファスナ40が設けられている。面ファスナ40は、筋肉に加圧力を付与した状態におけるベルト10のループ形状を維持するものであり、本発明における形状維持部材として機能する。面ファスナ40を設ける位置はベルト10の長さ等に応じて適宜設定することができる。ベルト10の内面11に面ファスナ40を設けてもよい。
【0062】
ベルト10の一方の端部10aには、情報処理装置20を介してバックル50が取り付けられている。バックル50は、ベルト10の巻付けの際にベルトの他方の端部10bを通してベルト10を折り返すためのものであり、本発明における折返部として機能する。情報処理装置20とバックル50との接続部には、引張力センサ60が設けられている。引張力センサ60は、ベルト10を使用者の四肢に巻き付ける際にベルト10に作用する引張力を測定するものであり、本発明における引張力測定器として機能する。引張力センサ60で測定された引張力に係る情報は、情報処理装置20のオン/オフ制御に使用される。
【0063】
情報処理装置20は、各種処理を行うCPUや制御プログラムを記録したメモリを有する小型コンピュータシステムであり、加圧力算出や各種制御を行うものである。情報処理装置20には、図2及び図3に示すように、デジタル表示器70と、各種音声を出力するための音声出力器80と、メモリカード90を装着するためのメモリ装着部91と、を有している。また、情報処理装置20の外面(外側に露出する面)にはソーラバッテリ20aが設けられており、情報処理装置20は、光を受けてソーラバッテリ20aで発生した電力により駆動されるようになっている。
【0064】
デジタル表示器70は、情報処理装置20の外面に配置されており、測定された加圧力等の各種情報を表示するものである。なお、情報処理装置20の外面には、所定の警告情報を表示するための警告表示器71が設けられている。これらデジタル表示器70及び警告表示器71は、バックル50の近傍に配置されており、筋肉増強器具1を使用する使用者が視認し易いようになっている。
【0065】
音声出力器80及びメモリ装着部91は、図3に示すように、情報処理装置20の側面に配置されている。メモリカード90は、本発明における情報記憶媒体に相当するものであり、情報処理装置20に対して取り外し可能になっている。本実施形態においては、使用者に適した加圧力(適正加圧力)が加圧筋力トレーニングの指導者によってメモリカード90に予め入力されている。
【0066】
ここで、情報処理装置20の機能的構成について説明する。情報処理装置20は、図4に示すように、動作制御部21、動作回数計測部22、算出部23、記憶制御部24、表示制御部25、音声制御部26及び機能停止部27を有している。
【0067】
情報処理装置20の動作制御部21は、引張力センサ60で測定した引張力をモニタリングし、引張力が所定の閾値(例えば15mmHg)を超えた時点で自動的に情報処理装置20の動作を開始させるように機能するものである。一方、動作制御部21は、情報処理装置20の動作中に引張力センサ60で測定した引張力が所定の閾値以下となった場合には、その時点で自動的に情報処理装置20の動作を停止させるように機能する。
【0068】
情報処理装置20の動作回数計測部22は、動作制御部21によって情報処理装置20が自動的に動作を開始した回数を計測するように機能するものである。なお、本実施形態における動作回数計測部22は、情報処理装置20が自動的に動作を開始してから自動的に動作を停止するまでの時間が所定時間を下回る場合には、その動作をカウントしない計測補正機能を有している。このため、ベルト装着時における複数回の引張り動作がカウントされないようになっている。
【0069】
情報処理装置20の算出部23は、感圧素子30から出力された電気信号に基づいて筋肉に付与した加圧力を算出するものであり、感圧素子30とともに本発明における加圧力測定装置(加圧力センサ)を構成する。本実施形態における算出部23は、複数の感圧素子30から出力された複数の電気信号に基づいて複数の加圧力を算出した後、これら複数の加圧力の平均値を算出している。
【0070】
情報処理装置20の記憶制御部24は、算出部23で算出した加圧力を、メモリ装着部91に装着したメモリカード90に書き込む(記憶させる)ように機能するものである。本実施形態における記憶制御部24は、情報処理装置20の動作中に算出部23で算出した加圧力の最大値をメモリカード90に書き込む。また、記憶制御部24は、算出部23で算出した加圧力が適正加圧力を超えかつその状態が一定時間(例えば10秒)継続した場合に、その旨をメモリカード90に書き込む。
【0071】
情報処理装置20の表示制御部25は、算出部23で算出した加圧力を含む各種情報をデジタル表示器70に表示するように機能するものである。本実施形態における表示制御部25は、算出部23で算出した加圧力と、メモリカード90から読み込んだ適正加圧力と、の双方をデジタル表示器70に表示する。また、表示制御部25は、算出部23で算出した加圧力が適正加圧力を超えかつその状態が一定時間(例えば10秒)継続した場合に、警告表示器71において警告ランプ(警告情報)の点滅表示を行う。
【0072】
情報処理装置20の音声制御部26は、算出部23で算出した加圧力が適正加圧力を超えかつその状態が一定時間(例えば10秒)継続した場合に、所定の警告音を音声出力器80から出力する。また、本実施形態における音声制御部26は、動作回数計測部22で計測した動作回数が所定の適正加圧力の有効期間(例えば3ヶ月間)に対応する所定回数を超えた場合に、所定の警告音(例えば「指導者から適正圧の指導をお受け下さい。」という音声)を音声出力器80から出力する。さらに、音声制御部26は、動作回数計測部22で計測した動作回数が筋肉増強器具1の耐用期間(例えば5年間)に対応する所定回数を超えた場合に、所定の警告音(例えば「長い間のご愛顧に感謝申し上げます。新規器具と交換して下さい。」という音声)を音声出力器80から出力する。
【0073】
情報処理装置20の機能停止部27は、動作回数計測部22で計測した動作回数が筋肉増強器具1の耐用期間(例えば5年間)に対応する所定回数を超えた場合に、情報処理装置20の全機能を停止させる。これにより、耐用期間が経過した筋肉増強器具1を使用者が誤って使用することを未然に防ぐことができる。
【0074】
次に、図5のフローチャートを用いて、本実施形態に係る筋肉増強器具1の使用方法について説明する。なお、本使用方法には、筋肉増強器具1の制御方法が含まれる。
【0075】
まず、使用者は、筋肉増強を望む筋肉を含む四肢の少なくとも一つ(例えば上腕二頭筋を含む左上腕)の心臓に近い部位に、筋肉増強器具1のベルト10を巻き付け、ループ形状を作る(ベルト巻付工程:S1)。この際、ベルト10の一方の端部10aに取り付けられたバックル50に、ベルト10の他方の端部10bを通してベルト10を折り返す。なお、この時点で、筋肉増強器具1の情報処理装置20のメモリ装着部91には、適正加圧力が指導者によって予め入力されたメモリカード90が装着されているものとする。
【0076】
次いで、使用者は、バックル50に通したベルト10の他方の端部10bを把持しながらベルト10を締め付ける(ベルト締付工程:S2)。この締め付けによりベルト10に作用する引張力が所定の閾値(例えば15mmHg)を超えると、筋肉増強器具1の情報処理装置20が自動的に動作を開始する(動作開始工程:S3)。動作を開始した情報処理装置20の算出部23は、感圧素子30から出力された電気信号に基づいて筋肉に付与した加圧力を算出する(加圧力測定工程:S4)。そして、情報処理装置20の表示制御部25は、算出部23で算出した加圧力(実行加圧力)と、メモリカード90から読み込んだ適正加圧力と、の双方をデジタル表示器70に表示する(情報表示工程:S5)。
【0077】
続いて、使用者は、デジタル表示器70を視認することにより実行加圧力が適正加圧力と一致しているかどうかを確認する。実行加圧力が適正加圧力と一致しない場合には、使用者は、バックル50に通したベルト10の他方の端部10bを把持しながらベルト10の締付力を調整し、実行加圧力を適正加圧力と一致させる(加圧力調整工程:S6)。なお、この調整の際にベルト10に作用する引張力が所定の閾値以下となったとしても、動作回数計測部22の計測補正機能により、その動作はカウントされないようになっている。
【0078】
ベルト10の締付力調整中に、実行加圧力が適正加圧力を超え、かつ、その状態が一定時間(例えば10秒)継続した場合には、情報処理装置20の警告表示器71に警告ランプが点滅するとともに、音声出力器80から所定の警告音が出力される(適正加圧力超過警告音出力工程:S7)。このため、使用者は、実行加圧力が適正加圧力を超える状態が一定時間継続したことを知ることができる。
【0079】
使用者は、実行加圧力が適正加圧力と一致したことを確認した後、面ファスナ40を用いてベルト10のループ形状を維持する。これにより、適正加圧力と同一の実行加圧力が所望の筋肉に付与されることとなる(加圧力維持工程:S8)。その後、使用者は、ベルト10のループ形状を維持したまま(ベルト10が筋肉に付与する実行加圧力を一定に維持したまま)軽い運動を行う。このように実行加圧力を一定に維持することにより、筋肉に流れる血流を一定にかつ適切に阻害することができ、安全に筋肉の増強を図ることができる(運動工程:S9)。
【0080】
運動中においては、実行加圧力の最大値がメモリカード90に書き込まれる。また、何らかの要因により実行加圧力が適正加圧力を超える状態が一定時間(例えば10秒)継続した場合には、その旨がメモリカード90に書き込まれるようになっている(情報記憶工程:S10)。運動終了後に使用者が面ファスナ40を外してベルト10の締付力を緩め、ベルト10に作用する引張力が所定の閾値以下となると、情報処理装置20の動作は自動的に停止する(動作停止工程:S11)。
【0081】
以上のように筋肉増強器具1を用いて運動を行った場合には、情報処理装置20の動作が動作回数計測部22によりカウントされる(動作回数計測工程:S12)。以後、同様の運動を行う毎に情報処理装置20の動作がカウントされ、動作回数が所定の適正加圧力の有効期間(例えば3ヶ月間)に対応する所定回数を超えた場合には、所定の警告音(例えば「指導者から適正圧の指導をお受け下さい。」という音声)が音声出力器80から出力される(有効期間超過警告音出力工程:S13)。これにより、使用者は、設定されていた適正加圧力の有効期間が経過したことを知ることができ、新たな適正加圧力を設定し直すことができる。
【0082】
さらに、動作回数が筋肉増強器具1の耐用期間(例えば5年間)に対応する所定回数を超えた場合には、所定の警告音(例えば「長い間のご愛顧に感謝申し上げます。新規器具と交換して下さい。」という音声)が音声出力器80から出力される(耐用期間超過警告音出力工程:S14)。これにより、使用者は、筋肉増強器具1の耐用期間が経過して新たな筋肉増強器具を購入すべき時期が到来したことを知ることができる。なお、動作回数が筋肉増強器具1の耐用期間(例えば5年間)に対応する所定回数を超えた場合には、情報処理装置20の全機能が自動的に停止する(機能停止工程:S15)。このため、耐用期間が経過した筋肉増強器具1を使用者が誤って使用することを未然に防ぐことができる。
【0083】
以上説明した実施形態に係る筋肉増強器具1においては、ベルト10の巻付けの際にベルト10に作用する引張力が所定の閾値を超えた場合に、情報処理装置20を自動的に動作させ加圧力を測定することができる。従って、情報処理装置20を動作させるためのスイッチ等を別途設けたり操作したりする必要がなく、例えばベルト10を使用者の上腕に巻き付けた直後から加圧力の測定を開始させることができる。そして、本筋肉増強器具1は、従来の筋肉増強器具のような受圧袋やチューブを必要としないため、器具全体としてコンパクトとなり、トレーニングの際に使用し易いものとなっている。
【0084】
また、以上説明した実施形態に係る筋肉増強器具1においては、感圧素子30がベルト10の長手方向略中央部領域(ベルト10の端部10a・10bから離れた位置)に配置されているため、例えばベルト10を使用者の上腕に巻き付けベルト10の端部10bを把持して加圧力を付与する際に、ベルト10の端部10a・10bから離れた位置にある感圧素子30を上腕に確実に密着させることができる。従って、感圧素子30と人体との間に間隙が形成されることに起因して加圧力が正確に測定されないという事態を未然に回避することができ、加圧力の測定精度を向上させることができる。
【0085】
また、以上説明した実施形態に係る筋肉増強器具1においては、感圧素子30を複数配置し、これら複数の感圧素子30で出力した複数の電気信号に基づいて加圧力の平均値を算出することができる。従って、単一の感圧素子で加圧力の測定を行う場合と比較すると、測定誤差が生じる可能性を低減させることができ、加圧力の測定精度をさらに向上させることができる。
【0086】
また、以上説明した実施形態に係る筋肉増強器具1においては、ベルト10に作用する引張力が所定の閾値以下となった場合に情報処理装置20の動作を自動的に停止させることができる。従って、情報処理装置20を停止させるためのスイッチ等を別途設けたり操作したりする必要がなく、ベルト10を外した直後から加圧力の測定を停止させることができる。また、かかる自動停止機能を採用することによって電力の無駄な消費を抑制することができる。
【0087】
また、以上説明した実施形態に係る筋肉増強器具1においては、情報処理装置20の算出部23によって算出された加圧力(実行加圧力)の最大値を、メモリカード90に記憶させることができる。従って、情報処理装置20の動作中における実行加圧力の最大値を事後的に確認することができる。
【0088】
また、以上説明した実施形態に係る筋肉増強器具1においては、実行加圧力が適正加圧力を超える状態が一定時間継続した場合に、その旨をメモリカード90に記憶させることができる。従って、使用者は、適正加圧力を超える実行加圧力が一定時間継続して付与された事実を事後的に確認することができる。
【0089】
また、以上説明した実施形態に係る筋肉増強器具1においては、デジタル表示器70がバックル50の近傍に配置されているため、使用者は、デジタル表示器70に表示された情報を容易に視認することができる。例えば、使用者は、ベルト10を上腕に巻き付け、ベルト10の一方の端部10aに取り付けられたバックル50にベルト10の他方の端部10bを通してベルト10を折り返しながら筋肉に加圧力を付与する際に、バックル50の近傍(使用者が最も視認し易い位置)にデジタル表示器70が配置されていることから、加圧力等の情報を容易に視認することができる。
【0090】
また、以上説明した実施形態に係る筋肉増強器具1においては、実行加圧力と適正加圧力との双方をデジタル表示器70に表示することができる。従って、使用者は、実行加圧力と適正加圧力とを容易に比較することができ、実行加圧力を適正加圧力に一致させるように加圧力を調整することができる。
【0091】
また、以上説明した実施形態に係る筋肉増強器具1においては、実行加圧力が適正加圧力を超える状態が一定時間継続した場合に、所定の警告情報を警告表示器71に表示して使用者に報知することができる。
【0092】
また、以上説明した実施形態に係る筋肉増強器具1においては、実行加圧力が適正加圧力を超える状態が一定時間継続した場合に、所定の警告音を音声出力器80から出力して使用者に報知することができる。
【0093】
また、以上説明した実施形態に係る筋肉増強器具1においては、その使用回数(情報処理装置20の動作回数)が所定回数を超えた場合に、使用者毎に設定された適正加圧力の有効期間が経過したものとして、所定の警告音を音声出力器80から出力して使用者に報知することができる。従って、使用者は、設定されていた適正加圧力の有効期間が経過したことを知ることができ、新たな適正加圧力を設定し直すことができる。
【0094】
また、以上説明した実施形態に係る筋肉増強器具1においては、その使用回数(情報処理装置20の動作回数)が所定回数を超えた場合に、その耐用期間が経過したものとして、所定の警告音を音声出力器80から出力して使用者に報知することができる。従って、使用者は、筋肉増強器具1の耐用期間が経過して新たな筋肉増強器具を購入すべき時期が到来したことを知ることができる。
【0095】
また、以上説明した実施形態に係る筋肉増強器具1においては、その使用回数(情報処理装置20の動作回数)が所定回数を超えた場合に、その耐用期間が経過したものとして、情報処理装置20の機能を停止させることができる。従って、耐用期間が経過した筋肉増強器具1を使用者が誤って使用することを未然に防ぐことができる。
【0096】
なお、以上説明した実施形態においては、情報処理装置20とバックル50との接続部に引張力センサ60を配置した例を示したが、引張力センサ60の位置はこれに限られるものではない。例えば、図6〜図8に示すように、バックル50の孔を形成する枠部51に引張力センサ60を配置することもできる。また、以上説明した実施形態においては、ソーラバッテリ20aによって発生させて電力で情報処理装置20を駆動した例を示したが、ソーラバッテリ20aに代えてボタン電池等を採用することもできる。
【0097】
また、以上説明した実施形態においては、記憶制御部24が、情報処理装置20の動作中に算出部23で算出した加圧力の最大値をメモリカード90に書き込む例を示したが、算出部23で算出した加圧力を、情報処理装置20の動作開始時からの経過時間に対応させてメモリカード90に書き込むこともできる。このようにすると、実行加圧力の時間履歴を事後的に確認することができる。また、情報処理装置20の動作開始時から一定時間(例えば5分間)経過する毎に、その一定時間(5分間)において算出部23で算出した加圧力の最大値をメモリカード90に書き込んでもよい。このようにすると、情報処理装置20の動作開始時から一定時間毎の実行加圧力の最大値を事後的に確認することができる。
【0098】
また、以上説明した実施形態においては、情報処理装置20の算出部23で算出した加圧力をメモリカード90に書き込んで管理する例を示したが、算出部23で算出した加圧力を無線通信手段を介して外部装置に送信し、この外部装置で管理してもよい。
【0099】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、この実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。すなわち、前記実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前記実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0100】
1…筋肉増強器具
10…ベルト
20…情報処理装置
22…動作回数計測部
23…算出部(加圧力測定装置、加圧力センサ)
24…記憶制御部
25…表示制御部
26…音声制御部
27…機能停止部
30…感圧素子(加圧力測定装置、加圧力センサ)
40…面ファスナ(形状維持部材)
50…バックル(折返部)
60…引張力センサ(引張力測定器)
70…デジタル表示器
71…警告表示器
80…音声出力器
90…メモリカード(情報記憶媒体)
S3…動作開始工程
S5…情報表示工程
S7…適正加圧力超過警告音出力工程
S10…情報記憶工程
S11…動作停止工程
S12…動作回数計測工程
S13…有効期間超過警告音出力工程
S14…耐用期間超過警告音出力工程
S15…機能停止工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の加圧力を使用者の四肢の少なくとも一つに付与して血流を阻害することにより前記四肢の筋肉を増強するために用いられる筋肉増強器具であって、
前記四肢の少なくとも一つに巻き付けられて前記筋肉に加圧力を付与するベルトと、
前記筋肉に加圧力を付与した状態における前記ベルトのループ形状を維持する形状維持部材と、
前記ベルトに作用する引張力を測定する引張力測定器と、
前記引張力測定器で測定した引張力が所定の閾値を超えた時点で自動的に動作を開始するように構成され前記筋肉に付与した加圧力を測定する加圧力測定装置と、
を備える、
筋肉増強器具。
【請求項2】
前記加圧力測定装置は、前記ベルトの前記筋肉に面する側の長手方向略中央領域に配置され前記筋肉に付与した加圧力に対応する電気信号を出力する感圧素子と、前記感圧素子で出力した電気信号に基づいて加圧力を算出する算出部と、を有するものである、
請求項1に記載の筋肉増強器具。
【請求項3】
前記感圧素子は、前記長手方向略中央領域に所定間隔をおいて複数配置されるものであり、
前記算出部は、前記感圧素子で出力した複数の電気信号に基づいて前記加圧力の平均値を算出するものである、
請求項2に記載の筋肉増強器具。
【請求項4】
前記加圧力測定装置は、その起動後において前記引張力測定器で測定した引張力が所定の閾値以下となった時点で自動的にその動作を停止するように構成されている、
請求項2又は3に記載の筋肉増強器具。
【請求項5】
各種情報を記憶するように構成された情報記憶媒体と、
前記加圧力測定装置の前記算出部で算出した加圧力を前記情報記憶媒体に記憶させる記憶制御部と、
をさらに備える、
請求項2から4の何れか一項に記載の筋肉増強器具。
【請求項6】
前記記憶制御部は、前記加圧力測定装置の動作中に前記算出部で算出した加圧力の最大値を前記情報記憶媒体に記憶させるものである、
請求項5に記載の筋肉増強器具。
【請求項7】
前記記憶制御部は、前記加圧力測定装置の前記算出部で算出した加圧力が所定の適正加圧力を超えかつその状態が一定時間継続した場合に、その旨を前記情報記憶媒体に記憶させるものである、
請求項5又は6に記載の筋肉増強器具。
【請求項8】
各種情報を表示するための表示器と、
前記加圧力測定装置の算出部で算出した加圧力を含む各種情報を前記表示器に表示する表示制御部と、
をさらに備える、
請求項2から7の何れか一項に記載の筋肉増強器具。
【請求項9】
前記ベルトの一方の端部には、前記ベルトの巻付けの際に前記ベルトの他方の端部を通して前記ベルトを折り返すための折返部が設けられており、
前記表示器は、前記折返部の近傍に配置されている、
請求項8に記載の筋肉増強器具。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記加圧力測定装置の前記算出部で算出した加圧力と、所定の適正加圧力と、の双方を前記表示器に表示するものである、
請求項8又は9に記載の筋肉増強器具。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記加圧力測定装置の前記算出部で算出した加圧力が前記適正加圧力を超えかつその状態が一定時間継続した場合に、所定の警告情報を前記表示器に表示するものである、
請求項10に記載の筋肉増強器具。
【請求項12】
音声を出力するための音声出力器と、
前記加圧力測定装置の前記算出部で算出した加圧力が所定の適正加圧力を超えかつその状態が一定時間継続した場合に、所定の警告音を前記音声出力器から出力する音声制御部と、
をさらに備える、
請求項2から11の何れか一項に記載の筋肉増強器具。
【請求項13】
前記加圧力測定装置は、自己の動作回数を計測する動作回数計測部を有し、
音声を出力するための音声出力器と、
前記加圧力測定装置の前記動作回数計測部で計測した動作回数が所定の適正加圧力の有効期間に対応する所定回数を超えた場合に所定の警告音を前記音声出力器から出力する音声制御部と、
をさらに備える、
請求項1から12の何れか一項に記載の筋肉増強器具。
【請求項14】
前記音声制御部は、前記加圧力測定装置の前記動作回数計測部で計測した動作回数が前記筋肉増強器具の耐用期間に対応する所定回数を超えた場合に所定の警告音を前記音声出力器から出力するものである、
請求項13に記載の筋肉増強器具。
【請求項15】
前記加圧力測定装置は、前記動作回数計測部で計測した動作回数が前記筋肉増強器具の耐用期間に対応する所定回数を超えた場合に自己の機能を停止させる機能停止部を有する、
請求項14に記載の筋肉増強器具。
【請求項16】
使用者の四肢の少なくとも一つに巻き付けられて前記四肢の筋肉に加圧力を付与するベルトと、
前記筋肉に加圧力を付与した状態における前記ベルトのループ形状を維持するファスナと、
前記ベルトの一方の端部に設けられ前記ベルトに作用する引張力を測定する引張力センサと、
前記引張力センサで測定した引張力が所定の閾値を超えた時点で自動的に動作するように構成され前記筋肉に付与した加圧力を測定する加圧力センサと、
を備える、
筋肉増強器具。
【請求項17】
所定の加圧力を使用者の四肢の少なくとも一つに巻き付けられて前記四肢の筋肉に加圧力を付与するベルトと、前記筋肉に加圧力を付与した状態における前記ベルトのループ形状を維持する形状維持部材と、前記ベルトに作用する引張力を測定する引張力測定器と、前記筋肉に付与した加圧力を測定する加圧力測定装置と、を備える筋肉増強器具の制御方法であって、
前記引張力測定器で測定した引張力が所定の閾値を超えた時点で前記加圧力測定装置の動作を自動的に開始させる動作開始工程を含む、
筋肉増強器具の制御方法。
【請求項18】
前記動作開始工程を経た後に前記引張力測定器で測定した引張力が所定の閾値以下となった時点で前記加圧力測定装置の動作を自動的に停止させる動作停止工程を含む、
請求項17に記載の筋肉増強器具の制御方法。
【請求項19】
前記加圧力測定装置の測定した加圧力を情報記憶媒体に記憶させる情報記憶工程を含む、
請求項17又は18に記載の筋肉増強器具の制御方法。
【請求項20】
前記加圧力測定装置で測定した加圧力と、所定の適正加圧力と、の双方を前記表示器に表示する情報表示工程を含む、
請求項17から19の何れか一項に記載の筋肉増強器具の制御方法。
【請求項21】
前記情報表示工程では、前記加圧力測定装置で測定した加圧力が前記適正加圧力を超えかつその状態が一定時間継続した場合に、所定の警告情報を前記表示器に表示する、
請求項20に記載の筋肉増強器具の制御方法。
【請求項22】
前記加圧力測定装置で測定した加圧力が所定の適正加圧力を超えかつその状態が一定時間継続した場合に、所定の警告音を音声出力器から出力する適正加圧力超過警告音出力工程を含む、
請求項17から21の何れか一項に記載の筋肉増強器具の制御方法。
【請求項23】
前記加圧力測定装置の動作回数を計測する動作回数計測工程と、
前記動作回数計測工程で計測した動作回数が所定の適正加圧力の有効期間に対応する所定回数を超えた場合に所定の警告音を音声出力器から出力する有効期間超過警告音出力工程と、を含む、
請求項17から22の何れか一項に記載の筋肉増強器具の制御方法。
【請求項24】
前記加圧力測定装置の動作回数を計測する動作回数計測工程と、
前記動作回数計測工程で計測した動作回数が前記筋肉増強器具の耐用期間に対応する所定回数を超えた場合に所定の警告音を音声出力器から出力する耐用期間超過警告音出力工程と、を含む、
請求項17から23の何れか一項に記載の筋肉増強器具の制御方法。
【請求項25】
前記加圧力測定装置の動作回数を計測する動作回数計測工程と、
前記動作回数計測工程で計測した動作回数が前記筋肉増強器具の耐用期間に対応する所定回数を超えた場合に前記加圧力測定装置の機能を停止させる機能停止工程と、を含む、
請求項17から24の何れか一項に記載の筋肉増強器具の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−106633(P2013−106633A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251493(P2011−251493)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【特許番号】特許第4919366号(P4919366)
【特許公報発行日】平成24年4月18日(2012.4.18)
【出願人】(596137195)