説明

筋萎縮性側索硬化症のための脳室内タンパク質送達

筋萎縮性側索硬化症は、神経栄養因子、IGF−1の脳室内投与を使用することでうまく処置され得る。投与はゆっくりと実施されて、最大限の効果を達成し得る。血液脳関門の両側で効果は見られていることから、本発明は、脳および骨格筋の両方に影響を及ぼす、筋萎縮性側索硬化症のための送達手段を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野
本発明は、筋萎縮性側索硬化症の分野に関する。特に、本発明は、タンパク質療法によるこの疾患の処置および/または予防に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の概要
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、脊髄、脳幹および大脳皮質において運動ニューロンが次第に変性する、致死性の疾患である。上位運動ニューロンの減少は、下行性上脊髄神経支配の減少の原因であり、下位運動ニューロンの減少は、骨格筋の神経支配の減少の原因である。認知障害がしばしば観察されている。ALSの症状としては、労作時/安静時呼吸困難、起座呼吸、弱い咳、便秘、少ない声量、質の低い睡眠、起床時の頭痛、日中の眠気、無呼吸、窒息性スペル(spell)、騒々しい呼吸、食事に伴う咳、不器用、攣縮、筋痙攣、虚弱、発話不明瞭、発話および嚥下に伴う困難、ならびに病理学的な笑いまたは号泣が挙げられる。ALSは、女性より男性で頻出し、患者数は加齢とともに増加する。
【0003】
ALSには、孤発性、家族性およびパシフィック(Pacific)を含む多くの型が存在する。家族性ALSの罹患者の約1/4が、SOD遺伝子、すなわち、Cu/Znスーパーオキシドジスムターゼ−1酵素をコードする遺伝子中に点変異を含んでいる。ヒトにおいて、100を超えるそのような点変異が同定されている。これらの変異は野生型の対立遺伝子に対して優性であるので、「機能獲得型」変異として特徴付けられる。さらに、変異のうち少なくともいくつかは酵素活性に影響を及ぼさないようである。
【0004】
強力な治療上の神経保護因子の全身性送達は、これまで期待はずれであった。近年、IGF−1をコードするウイルスベクターの末梢筋肉への送達は、マウスモデルにおいて疾患の進行に対して有益な効果を示している。これは、ウイルス粒子の逆行輸送のおかげであるとされている。腰髄へのIGF−1のくも膜下腔内投与は、マウスモデルにおいて有効であって、運動能力を改善し、疾患の発症を遅延させ、生存期間を延ばすことが見出されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当該分野において、患者においてALSを処置する方法が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの実施態様によれば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を有する患者は、インスリン様増殖因子−1(IGF−1)を投与することにより処置される。患者への投与は、脳への脳室内送達を介して実施される。ALS疾患の進行を低減させることに十分な量のIGF−1が投与される。第1の態様において、本発明は、患者においてALSを処置および/または予防するための方法を提供し、該方法は脳室内送達を介して患者の脳にIGF−1を投与する工程を包含する。関連する態様において、本発明は、患者におけるALSの処置および/または予防用の医薬品の製造のためのIGF−1の使用を提供し、ここで、処置および予防はIGF−1の脳への脳室内投与を含む。
【0007】
本発明の別の態様は、筋萎縮性側索硬化症を有する患者を処置するためのキットである。キットは、インスリン様増殖因子−1(IGF−1)、および患者の1つ以上の脳室への該インスリン様増殖因子−1(IGF−1)の送達用カテーテルを含む。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、筋萎縮性側索硬化症を有する患者を処置するためのさらなるキットである。キットは、インスリン様増殖因子−1(IGF−1)、および患者の1つ以上の脳室への該インスリン様増殖因子−1(IGF−1)の送達用ポンプを含む。本発明のキットのいずれも、カテーテルおよびポンプの両方を含み得る。本発明において使用されるカテーテルまたはポンプのいずれも、医薬品の脳への脳室内投与のために詳細に設計されるか、適応され得る。
【0009】
本願明細書を読む際に当業者に明らかであるこれらまたは別の実施態様は、当該分野に筋萎縮性側索硬化症の処置のための方法およびキットを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施では、別に示さない限り、免疫学、分子生物学、微生物学、細胞生物学および組換えDNAの分野において当業者に公知である従来技術を用いる。例えば、Sambrook, Fritsch and Maniatis, MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2nd edition (1989);CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY (F. M. Ausubel, et al. eds., (1987));the series METHODS IN ENZYMOLOGY (Academic Press, Inc.): PCR 2: A PRACTICAL APPROACH (M.J. MacPherson, B.D. Hames and G.R. Taylor eds. (1995)), Harlow and Lane, eds. (1988) ANTIBODIES, A LABORATORY MANUAL、およびANIMAL CELL CULTURE (R.I. Freshney, ed. (1987))を参照のこと。
【0011】
本願明細書および特許請求の範囲で使用する単数形「a」、「an」および「the」は、特に明示しない限り、複数形への言及も含む。例えば、用語「細胞」は、その混合物を含む複数の細胞を含む。
【0012】
本明細書で使用する用語「含む」は、組成物および方法が記載の成分/要素を含むことを意味することが意図されており、他のものを除外することを意味するわけではない。組成物および方法を定義するために「〜から本質的になる」を使用する場合、配合物/組合せに本質的な意義を有する他の成分を除くことを意味する。従って、本願明細書で定義する成分から本質的になる組成物は、単離および精製法由来の微量夾雑物、リン酸緩衝化生理食塩水などの医薬上許容される担体、保存料などを除外しない。「〜からなる」は、他の成分の微量成分を除外すること、および本発明による組成物または医薬品を投与する実質的な方法工程を除外することを意味する。このような一時的な各用語によって定義する実施態様は、本発明の範囲内である。
【0013】
範囲を有する数字による全ての指示(例えば、pH、温度、時間、濃度および分子量)は、プラスまたはマイナスに0.1変動する近似値である。常に記載するわけではないものの、数字による全ての指示には用語「約」が付されていることが理解されるべきである。また、常に明確に記載されるわけではないものの、本明細書に記載される試薬は単に例示であって、当該分野において公知の等価物もまた、使用され得る。
【0014】
用語「治療上」、「治療有効量」およびその類語は、対象においてALSなどの疾患の1つ以上の症状の発症の予防もしくは遅延、軽減、あるいはALSなどの運動ニューロン疾患に付随する細胞病理などの神経病理の是正などの、所望される生物学的結果の実現をもたらすタンパク質、IGF−1などの物質の量をいう。用語「治療上の是正」は、対象において1つ以上の症状の発症の予防もしくは遅延、または軽減をもたらす是正の程度をいう。有効量は、公知の実験方法によって決定され得る。
【0015】
「組成物」または「医薬品」はまた、IGF−1などの有効薬剤、および検出可能な薬剤または標識などの不活性であるか、またはアジュバント、希釈剤、結合剤、安定剤、緩衝剤、塩、親油性溶媒、保存料、アジュバントなどもしくはそれらの物質の2つ以上の混合物などの活性である化合物あるいは組成物などの担体または他の材料の組み合わせを含むことが意図される。担体は、好ましくは医薬上許容される。担体としては、医薬賦形剤および添加剤、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質および炭水化物(例えば、単糖、二糖、三糖、四糖およびオリゴ糖を含む糖、アルジトールなどの誘導体化糖、アルドン酸、エステル化糖など;および多糖または糖ポリマー)が挙げられ、単独または1〜99.99重量または容量%の組み合わせを含む、単独または組み合わせで存在し得る。例示的なタンパク質賦形剤としては、ヒト血清アルブミン(HSA)などの血清アルブミン、組換えヒトアルブミン(rHA)、ゼラチン、カゼインなどが挙げられる。緩衝化能力内でも機能し得る代表的なアミノ酸/抗体成分としては、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテームなどが挙げられる。炭水化物賦形剤としては本発明の範囲内であることが意図され、例として、限定するものではないが、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D−マンノース、ソルボースなどの単糖;ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなどの二糖;ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプンなどの多糖;およびマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルチトール)およびミオイノシトールなどのアルジトールが挙げられる。
【0016】
用語担体としてはまた、緩衝剤もしくはpH調整剤またはそれらを含む組成物が挙げられ;典型的には、緩衝剤は有機酸または塩基から調製される塩である。代表的な緩衝剤としては、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、カルボン酸、酒石酸、コハク酸、アセチル酸またはフタル酸、Tris、トロメタミンハイドロクロライドの塩などの有機酸塩、またはリン酸緩衝液が挙げられる。さらなる担体としては、ポリビニルピロリドン、フィコール(ポリマー糖)、デキストレート(dextrate)(例えば、2−ヒドロキシプロピル−クアドラツル−シクロデキストリンなどのシクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、香味料、抗菌剤、甘味料、抗酸化剤、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN 20」および「TWEEN 80」などのポリソルベート)、脂質(例えば、リン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)およびキレート剤(例えば、EDTA)などの重合体賦形剤/添加剤が挙げられる。
【0017】
本明細書で使用する用語「医薬上許容される担体」としては、標準的な医薬担体のいずれでもよく、リン酸緩衝化生理食塩水、水および油/水または水/油乳濁液などの乳濁液、ならびに種々の型の湿潤剤などが挙げられる。本発明により製造および/または使用され、かつIGF−1を含む組成物および医薬品としては、ビボでの使用に許容されることをさらなる条件として、安定剤および保存料および上記の任意の担体が挙げられる。担体、安定剤およびアジュバントの例として、Martin REMINGTON’S PHARM. SCI., 15th Ed. (Mack Publ. Co., Easton (1975) and Williams & Williams, (1995)およびthe ”PHYSICIAN’S DESK REFERENCE”, 52nd ed., Medical Economics, Montvale, N.J. (1998)を参照のこと。
【0018】
「対象」、「個体」または「患者」は本明細書において互換的に使用され、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトをいう。哺乳動物としては、限定するものではないが、マウス、ラット、サル、ヒト、家畜、運動競技動物およびペットが挙げられる。
【0019】
本明細書で使用する用語「調節する」は、増強、増大、減少または低減させるなどの、効果または結果の量または強度を変動させることを意味する。
【0020】
本明細書で使用する用語「寛解させる」は、「軽減させる」と同義であって、低減または軽減させることを意味する。例えば、疾患または障害の症状をより耐え易くすることによって疾患が寛解され得る。
【0021】
ヒトの脳の構造を同定するために、例えば、The Human Brain: Surface, Three Dimensional Sectional Anatomy With MRI, and Blood Supply, 2nd ed., eds. Deuteron et al., Springer Vela, 1999;Atlas of the Human Brain, eds. Mai et al., Academic Press; 1997;およびCo Planar Stereotaxic Atlas of the Human Brain: 3 Dimensional Proportional System: An Approach to Cerebral Imaging, eds. Tamarack et al., Thyme Medical Pub., 1988を参照のこと。マウスの脳の構造を同定するために、例えば、The Mouse Brain in Stereotaxic Coordinates, 2nd ed., Academic Press, 2000を参照のこと。
【0022】
ALSを有する対象へのIGF−1の脳室内送達は、中枢神経系の状態の改善をもたらす。この改善は、ボーラス送達と比較して送達速度がゆっくりとした場合に特に当てはまる。ALSを処置するために特に有用なタンパク質は、配列番号1および2は配列番号2にて示されるインスリン様増殖因子(IGF−1)のアイソフォームAおよびBである。他のアイソフォームもまた使用され得る。本発明により単独または互いに組み合わせて使用され得る異なるタンパク質としては、IGF−1、VEGFおよびGDNFが挙げられる。
【0023】
インスリン様増殖因子(IGF−1)遺伝子は複合体構造を有しており、当該分野において周知である。インスリン様増殖因子(IGF−1)遺伝子は、遺伝子の転写から生じる選択的スプライシングを受けた少なくとも2つのmRNA産物を有している。IGF−1AまたはIGF−1Eaを含むいくつかの名前で知られる153アミノ酸ペプチド、IGF−1BまたはIGF−1Ebを含むいくつかの名前で知られる196アミノ酸ペプチドが存在する。IGF−1の成熟型は、70アミノ酸ペプチドである。IGF−1EaおよびIGF−1Eb両方が70アミノ酸ペプチドを含むが、カルボキシル末端伸長部分の配列および長さで異なる。IGF−1EaおよびIGF−1Ebのペプチド配列は、配列番号1および2でそれぞれ表される。ヒトIGF−1のゲノム型または機能型cDNA、ならびにIGF−1遺伝子およびその産物に関するさらなる情報は、Unigene Accession No. NM_00618にて利用可能である。対立形質変異体は、1つまたは少数(代表的には、5残基未満、4残基未満、3残基未満)のアミノ酸が異なる。
【0024】
IGF−1の特定のアミノ酸配列が配列番号1および配列番号2にて各々示されているが、ヒトの集団における正常な変異体などの、活性を保持するそれらの配列の変異体もまた使用され得る。代表的には、これらの正常な変異体は、配列番号1または配列番号2にて示される配列と1または2残基異なるだけである。使用されるべき変異体は、配列番号1または配列番号2と少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一であるべきである。疾患に付随するか、または活性を減少させる変異体は、使用されるべきでない。前駆体型(pre型、pro型またはprepro型)もまた、インビボでのプロセッシングのために投与され得る。1つの実施態様において、IGF−1タンパク質は、当該分野において周知の方法を使用して産生される、タンパク質の組換え型である。別の実施態様において、組換え型はヒトIGF−1タンパク質の組換え型である。
【0025】
理論に限定されることなく、IGF−1は、脳脊髄幹の異なるレベルで多くのその作用に起因する、ALSの処置のための治療タンパク質である(例えば、Dore et al., Trends Neurosci, 1997, 20:326-331を参照のこと)。脳において、IGF−1は、ニューロンおよびグリアの両方のアポトーシスを減少させ、鉄、コルヒチン、カルシウム不安定剤、過酸化物およびサイトカインにより誘導される毒性に対してニューロンを保護すると考えられている。また、IGF−1は、神経伝達物質アセチルコリンおよびグルタミン酸塩の放出を調節すると考えられている。IGF−1はまた、神経フィラメント、チューブリンおよびミエリン塩基性タンパク質の発現を誘導すると考えられている。脊髄において、IGF−1は、ChAT活性を調節し、コリン作動性表現型の減少を減弱させ、運動ニューロンの出芽を増強し、ミエリン形成を増加させ、脱髄を抑制し、運動ニューロンの増殖および前駆細胞からの分化を刺激し、シュワン細胞への分化、成熟および増殖を促進すると考えられている。筋肉において、IGF−1は、神経筋接合部でのアセチルコリン受容体クラスター形成を誘導し、神経筋機能および筋力を増加させると考えられている。
【0026】
本発明によるキットは、別々の成分の集合である。それらの成分が1つの容器中に包装され得る一方で、それらの要素は別々に副包装(subpackage)され得る。1つの容器は区画に分けられてもよい。典型的には、説明書一式がキットに添付され、IGF−1を脳室内に送達するための説明が提供される。説明書は、印刷物、電子形態、説明ビデオもしくはDVD、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、包装中で提供されるアドレスを有するインターネット、これらの手段の組合せであり得る。IGF−1、1つ以上のカニューレもしくはカテーテル、および/またはポンプに加え、希釈剤、緩衝剤、溶媒、テープ、ネジおよびメンテナンス用具などの他の成分が提供され得る。
【0027】
本発明の方法によって処置される集団は、限定するものではないが、ALSを有するか、または発達させる危険性を有する患者である。
【0028】
IGF−1タンパク質は、ALSによって引き起こされる症状を抑制、減弱、予防または寛解させることに有用な医薬組成物に組み入れられ得る。医薬組成物は、ALSに罹患している患者またはALSを発達させる危険のある対象に投与される。組成物は、医薬上許容される担体中にタンパク質の治療または予防量を含むべきである。医薬担体は、ポリペプチドを患者に送達することの適切で、適合性で非毒性の任意の物質であってもよい。滅菌の水、アルコール、脂肪およびワックスが、担体として使用され得る。医薬上許容されるアジュバント、緩衝化剤、分散剤などもまた、医薬組成物に組み入れられ得る。担体は、脳室内注射または注入による投与やほかのものに適切な任意の形態(この形態は静脈内またはくも膜下腔内投与にも適切であり得る)でタンパク質と組み合わせられ得る。適切な担体としては、例えば、生理食塩水、静菌性水、Cremophor EL.TM. (BASF, Parsippany, N.J.)、またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、他の塩類溶液、デキストロース溶液、グリセロール溶液、石油、動物、植物または合成起源の油(ピーナッツ油、ダイズ油、鉱物油またはゴマ油)を用いて作製したものなどの水および油乳濁液が挙げられる。人工CSFが担体として使用され得る。担体は、好ましくは、滅菌であって発熱物質を含まない。医薬組成物中のタンパク質濃度は広範に、すなわち、組成物全体の少なくとも約0.01重量%から、約0.1重量%、約1重量%、約20重量%またはそれ以上まで変動し得る。
【0029】
IGF−1、VEGFまたはGDNFの脳室内投与について、組成物は滅菌でなければなく、液体であるべきである。組成物は製造および貯蔵条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の混入作用に逆らって保存されなければならない。微生物の作用の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどの種々の抗菌剤または抗真菌剤によって達成され得る。多くの場合、組成物中には、糖、マンニトールなどのポリアルコール、ソルビトールおよび塩化ナトリウムなどの等張剤が含まれることが好ましい。
【0030】
IGF−1、VEGFまたはGDNFタンパク質は、脳室のいずれか1つに注入され得る。脳室は、脳脊髄液(CSF)で満たされている。CSFは脳室を満たす透明な液体であって、くも膜下腔に存在し、脳および脊髄を囲んでいる。CSFは、脈絡叢により産生され、脳近傍の組織液のウィーピング(weeping)または透過を介して、脳室に至る。脈絡叢は、側脳室底および第三および第四脳室を裏打ちする構造である。ある研究は、脈絡叢が1日に400〜600ccsの液体を産生可能であって、これは1日に4回中枢神経系腔を満たす量に一致することを示している。成人において、この液体の容量を計算すると、125〜150ml(4〜5オンス)である。CSFは、連続的に形成され、循環し、吸収されている。ある研究は、約430〜450ml(ほぼ2カップ)のCSFが毎日産生され得ることを示している。ある計算によれば、産生は成人で毎分約0.35mlであって、乳児で毎分0.15ml程度であると予測されている。側脳室の脈絡叢は、CSFの大部分を産生している。CSFは、モンロー孔を通って第三脳室に流れ込み、そこで産生されたものに添加され、シルビウス水道を通って第四脳室に至る。第四脳室がさらなるCSFが添加され;次いで、液体はマジャンディ孔およびルシュカ孔を通って、くも膜下腔に移動する。次いで、脳底を循環し、脊髄周辺を下り、大脳半球上を上昇する。CSFは、くも膜絨毛および脳内の血管洞を介して血液に入り、それによって中枢神経系だけでなく、血流にも脳室に注入されたタンパク質を強力に送達し得る。
【0031】
IGF−1の投与量は、特定のタンパク質およびそのビボでの特定の活性、投与経路、医学的状態、患者の年齢、体重または性別、IGF−1または他の神経栄養増殖因子またはビヒクルの成分に対する患者の感受性、および主治医が容易に考慮可能な他の要素に依存して、個体ごとにいくぶん変動し得る。
【0032】
投与速度は、一回分の用量の投与がボーラスとして投与され得るような速度である。一回分の用量はまた、約1〜5分間、約5〜10分間、約10〜30分間、約30〜60分間、約1〜4時間にわたって注入され得るか、または4、5、6、7または8時間超を費やしてもよい。一回分の用量の投与に、1分超、2分超、5分超、10分超、20分超、30分超、1時間超、2時間超または3時間以上要してもよい。出願人らは、タンパク質のボーラスでの脳室内投与が有効であるものの、ゆっくりとした注入が非常に有効であることを観察している。出願人らは操作の特定の理論のいずれにも縛られることを望んでいないが、脳脊髄液(CSF)の代謝回転に起因して、ゆっくりとした注入が有効であると考えている。文献に記載される予測および計算は異なるものの、ヒトでの脳脊髄液は、約4、5、6、7または8時間以内に代謝回転されると考えられている。本発明のゆっくりとした注入を測定した場合、CSFの代謝回転時間とほぼ同じかまたはより長い。代謝回転時間は対象の種、大きさおよび年齢に依存し得るが、当該分野で公知の方法を使用して決定され得る。注入は、1または2日の期間にわたって継続してもよい。患者は、1週間に1回、2週間に1回など、1月に1、2もしくは3回、またはそれ以上の頻度で処置され得る。
【0033】
CSFは、くも膜絨毛および脳内の血管洞を介して血液に入り、それによって下位運動ニューロンおよび骨格筋に、注入されたタンパク質が送達される。症状の低減は劇的であって、患者の手足の虚弱の低減、対象の発話の不明瞭の低減、対象の嚥下困難の低減、および対象の呼吸困難の低減の1つの低減が挙げられ得る。処置したALS患者の生存期間は、処置していない対象と比較して、増加し得る。
【0034】
10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%より高い低減が達成され得る。達成された低減は、患者間、または1人の患者における症状間ですら、必ずしも一定でなくてよい。
【0035】
1つの実施態様において、IGF−1の投与には、対象または患者の側脳室の一方または両方へのタンパク質の注入が伴う。側脳室への注入によって、タンパク質はもっとも多くのCSFが産生される脳の部位に送達される。タンパク質はまた、2つ以上の脳室に注入されてもよい。処置は、1つの標的部位あたり1回の注入からなってもよく、繰り返してもよい。複数の注入/注射部位が使用され得る。例えば、タンパク質が投与される脳室としては、側脳室および第四脳室が挙げられ得る。いくつかの実施態様において、IGF−1を含む組成物は、第1の投与部位に加えて、第1の投与部位の反対側または同じ側であってもよい別の部位に投与される。
【0036】
特定の脳室などの中枢神経系の特定の領域(例えば、脳の側脳室または第四脳室)にタンパク質を含む溶液または他の組成物を特異的に送達するために、溶液または他の組成物は定位微量注入により投与され得る。例えば、手術当日、患者は所定の位置に固定した(頭蓋骨にねじくぎで取り付けた)定位支持枠を有する。定位支持枠を有する脳(基準点となる標識にMRI適合性である)を、高解像度MRIを使用して撮像する。次いで、MRI画像は定位脳ソフトウェアを実行するコンピュータに移される。一連の冠状、矢状および軸方向胃画像を用いて、ベクター注入の標的部位および軌道を決定する。ソフトウェアを、軌道を定位枠に適切な3次元座標に直接変換する。穿頭孔を侵入部位上に開け、定位脳装置を所定の深さで植え込んだ針とともに局在させる。次いで、医薬上許容される担体中のタンパク質溶液を注入する。直接可視化の下での表面上の皮層への適用または定位脳でない他の適用など、さらなる投与経路を使用してもよい。
【0037】
ポンプは、対象の脳室に治療タンパク質をゆっくりと注入するための1つの手段である。そのようなポンプは、例えばAlzet(Cupertino, CA)またはMedtronic (Minneapolis, MN)から市販されている。所望により、ポンプは埋込式である。タンパク質を投与するための別の従来法は、カニューレまたはカテーテルを使用することである。カニューレまたはカテーテルは、複数の投与間で時間を空ける場合に使用され得る。カニューレおよびカテーテルは、定位的に埋め込まれ得る。長期にわたる複数投与は、ALSを有する典型的な患者を処置するために使用される。カテーテルおよびポンプは、別々または組み合わせて使用してもよい。
【0038】
本発明は、運動ニューロン損傷で苦しむ対象において運動機能を調節、是正または増大させるための方法を提供する。説明のみを目的として、対象は、労作時/安静時呼吸困難、起座呼吸、弱い咳、便秘、少ない声量、質の低い睡眠、起床時の頭痛、日中の眠気、無呼吸、窒息性スペル(spell)、騒々しい呼吸、食事に伴う咳、不器用、攣縮、筋痙攣、虚弱、発話不明瞭、発話および嚥下に伴う困難、ならびに病理学的な笑いまたは号泣などの筋萎縮性側索硬化症(ALS)の1つ以上の症状に罹患してもよい。
【0039】
複雑な運動行為を編成し、実行する能力は、大脳皮質の運動野、すなわち運動皮質由来のシグナルに依存している。皮質性の運動指令は、2つの路を下行する。皮質延髄路線維は、顔面筋を動かす脳幹中の運動核を制御し、皮質脊髄線維は、体幹筋肉および手足の筋肉を神経支配する脊髄運動ニューロンを制御している。大脳皮質はまた、下行性脳幹経路に作用することで、脊髄運動活動に間接的に影響を及ぼしている。
【0040】
一次運動野は、ブロードマン領域(4)中の中心前回沿いに位置している。脊髄にまで突出している皮質ニューロンの軸索は、約100万本の軸索を含む大きな線維束である皮質脊髄路中を一緒に走っている。これら軸索の約1/3は、前頭葉の中心前回から生じている。別の1/3は領域6から生じている。残りは、体性感覚皮質中の領域3、2および1から生じており、後角を通る求心性入力の伝達を調節している。
【0041】
皮質脊髄線維は皮質延髄とともに内包の後肢を通って、中脳の腹側部分に至る。皮質脊髄線維と皮質延髄は、脳橋において、脳橋神経核の間を通る小さな神経束に分離する。それらは髄質中で再編成されて、延髄錐体を形成する。皮質脊髄繊維の約3/4が髄質および脊髄の接合部分にある錐体交叉の正中線と交差する。交差した線維は、脊髄の側柱(背側外側の柱)の背面部分を下って、外側皮質脊髄路を形成する。交差しない線維は、前皮質脊髄路として前柱を下行する。
【0042】
皮質脊髄路の外側および腹側への分離は、脳幹の外側および内側の系として脊髄の灰白質の同じ領域で終結する。外側皮質脊髄路は、前角の外側部分中の運動核および中間帯中の介在ニューロンにまで主に突出している。前皮質脊髄路は、腹側正中細胞柱、および体軸筋を神経支配する運動ニューロンを含む中間帯の隣接部分の両方にまで突出している。
【0043】
深部小脳核と呼ばれる内側(室頂)核、挿入(中位)核および外側(歯状)核といった灰白質は、小脳の深部である。本明細書で使用する用語「深部小脳核」はこれら3つの領域の総称である。
【0044】
所望により、ヒトの脳構造を別の哺乳動物の脳の類似の構造と相関させてもよい。例えば、ヒトおよび齧歯動物を含む大部分の哺乳動物は、前側海馬への突出が嗅内皮質の内側部分内のニューロンから生じているのに対して、外側および内側嗅内皮質両方の外側部分におけるニューロンが海馬の背側または中隔極(septal pole)にまで突出しており、嗅内−海馬突出が類似の組織分布を示している(Principles of Neural Science, 4th ed., eds Kandel et al., McGraw Hill, 1991; The Rat Nervous System, 2nd ed., ed. Paxinos, Academic Press, 1995)。さらに、嗅内皮質のII層細胞は、歯状回にまで突出しており、歯状回の分子層の外側2/3において終結している。III層細胞由来の軸索は、海馬のアンモン角領域CA1およびCA3の両方にまで突出している。
【0045】
上記の開示は、本発明を一般的に記載するものである。本明細書にて開示する全ての文献を、出典明示によって明確に援用する。さらなる理解が以下の詳細な実施例を参照することによって得られるが、実施例は本発明を説明するだけであって、本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0046】
動物モデル
ヒトALS関連のSOD1変異を用いる、運動ニューロン疾患を発症している成人のトランスジェニック動物モデルがいくつか開発されている。これらのモデルは、前臨床での治療研究に有用である。よく用いられ既に確立されているモデルは、マウスにて導入遺伝子としてSOD1G93A対立遺伝子を用いる。Gurney, ME, et al., Science, 264: 1772-1775, 1994; and Tu, P.H. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 3155-3160 (1996)。この対立遺伝子は、家族性ALSを有する何人かのヒト患者において初めて見出された。Li, B. et al., Brain Res. Mol. Brain Res. 111, 155-164, 2003。これらのマウスはALSの表現型の特徴を共有している。そのようなマウスは、the Jackson Laboratory, Bar Harbor, Maineから入手可能である。
【実施例2】
【0047】
SOD1G93AマウスにおけるrhIGF−1の脳室内注入
目的:組換えヒトIGF−1(rhIGF−1)の脳室内注入がALS疾患の進行に対して有している影響を決定すること。
【0048】
方法:12〜13週齢のSOD1G93Aマウスに留置ガイドカニューレを定位的に埋め込む。14週齢で、ポンプに接続している注入プローブ(ガイドカニューレの内側に取り付ける)を使用し、4日間連続して24時間にわたってrhIGF−1をマウスに注入する(n=5)。注入直前に、凍結乾燥させたrhIGF−1を人工脳脊髄液(CSF)に溶解する。注入3日後に、マウスを屠殺する。屠殺したマウスにエタノール(>150mg/kg)を過剰投与し、次いで、PBSまたは4%パラホルムアルデヒドにて還流する。運動ニューロンを組織学的に試験する。実験の生存段階の間、IGF−1の血清レベルを定期的に評価する。ALS疾患の進行を経時的に評価する。
【実施例3】
【0049】
SOD1G93AマウスにおけるrhIGF−1の脳室内送達
目的:6時間の注入期間での最低有効用量を決定すること。
【0050】
方法:12〜13週齢のSOD1G93Aマウスに留置ガイドカニューレを定位的に埋め込む。14週齢で、6時間にわたってrhIGF−1またはCSF(人工脳脊髄液)をマウスに注入する。6時間の注入直後に、それぞれの用量レベル由来の2匹のマウスを4%パラホルムアルデヒドにて還流して、脳内のタンパク質の分布を評価した(これらのマウスから血液を回収して、血清IGF−1レベルを評価する)。各群の残りのマウスを注入の1週間後に屠殺する。運動ニューロンを組織学的に試験する。実験の生存段階の間、IGF−1の血清レベルを定期的に評価する。ALS疾患の進行を経時的に評価する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、ヒトの脳の断面図を示しており、脳室を示している。
【図2】図2Aおよび2Bは、それぞれ脳室の側面図および上面図を示す。
【図3】図3は、脳室への注射を示している。
【図4】図4は、くも膜絨毛を通る上矢状静脈洞および循環血への最終的な吸収を伴う脳室を通るCSFの流れを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)を有する患者を処置する方法であって、脳室内送達を介して、ALS疾患の進行を低減させることに十分な量のインスリン様増殖因子−1(IGF−1)を患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項2】
投与量が生存期間を増加させることに十分である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
投与量が手足の虚弱を低減させることに十分である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
投与量が発話不明瞭を低減させることに十分である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
投与量が嚥下困難を低減させることに十分である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
投与量が呼吸困難を低減させることに十分である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
投与量が睡眠時無呼吸を低減させることに十分である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
インスリン様増殖因子−1(IGF−1)を投与する工程を包含し、該IGF−1が好ましくはヒトインスリン様増殖因子(IGF−1)である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
脳への脳室内送達が、インスリン様増殖因子−1(IGF−1)を患者の側脳室に注射することによって実施される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
脳への脳室内送達が、インスリン様増殖因子−1(IGF−1)を患者の側脳室に注射することによって実施される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
脳への脳室内送達が、インスリン様増殖因子−1(IGF−1)を患者の側脳室および第四脳室に注射することによって実施される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
インスリン様増殖因子−1(IGF−1)が、配列番号1または2にて示されるインスリン様増殖因子−1(IGF−1)と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を共有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
インスリン様増殖因子−1(IGF−1)が、配列番号1または2にて示されるインスリン様増殖因子−1(IGF−1)と少なくとも96%のアミノ酸配列同一性を共有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
インスリン様増殖因子−1(IGF−1)が、配列番号1または2にて示されるインスリン様増殖因子−1(IGF−1)と少なくとも97%のアミノ酸配列同一性を共有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
インスリン様増殖因子−1(IGF−1)が、配列番号1または2にて示されるインスリン様増殖因子−1(IGF−1)と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を共有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
インスリン様増殖因子−1(IGF−1)が、配列番号1または2にて示されるインスリン様増殖因子−1(IGF−1)と少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を共有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
インスリン様増殖因子−1(IGF−1)が、配列番号1にて示される配列を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
インスリン様増殖因子−1(IGF−1)が、配列番号2にて示される配列を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
投与する工程が複数の注入を含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
投与する工程が、一回分の用量の投与に4時間超を費やすような速度で実施される、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
投与する工程が、一回分の用量の投与に5時間超を費やすような速度で実施される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
投与する工程が、一回分の用量の投与に6時間超を費やすような速度で実施される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
投与する工程が、一回分の用量の投与に7時間超を費やすような速度で実施される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
投与する工程が、一回分の用量の投与に8時間超を費やすような速度で実施される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
以下を含む、筋萎縮性側索硬化症を有する患者を処置するためのキット:
インスリン様増殖因子−1(IGF−1);および
該インスリン様増殖因子−1(IGF−1)を患者の脳室に送達させるためのカテーテル。
【請求項26】
以下を含む、筋萎縮性側索硬化症を有する患者を処置するためのキット:
インスリン様増殖因子−1(IGF−1);および
該インスリン様増殖因子−1(IGF−1)を患者の脳室に送達させるためのポンプ。
【請求項27】
前記インスリン様増殖因子−1(IGF−1)を患者の脳室に送達させるためのポンプをさらに含む、請求項25記載のキット。
【請求項28】
インスリン様増殖因子−1(IGF−1)が好ましくはヒトインスリン様増殖因子−1(IGF−1)である、請求項25または26に記載のキット。
【請求項29】
インスリン様増殖因子−1(IGF−1)が、配列番号1または2にて示されるインスリン様増殖因子−1(IGF−1)と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を共有する、請求項25または26に記載のキット。
【請求項30】
インスリン様増殖因子−1(IGF−1)が、配列番号1または2にて示されるインスリン様増殖因子−1(IGF−1)と少なくとも96%のアミノ酸配列同一性を共有する、請求項25または26に記載のキット。
【請求項31】
インスリン様増殖因子−1(IGF−1)が、配列番号1または2にて示されるインスリン様増殖因子−1(IGF−1)と少なくとも97%のアミノ酸配列同一性を共有する、請求項25または26に記載のキット。
【請求項32】
インスリン様増殖因子−1(IGF−1)が、配列番号1または2にて示されるインスリン様増殖因子−1(IGF−1)と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を共有する、請求項25または26に記載のキット。
【請求項33】
インスリン様増殖因子−1(IGF−1)が、配列番号1または2にて示されるインスリン様増殖因子−1(IGF−1)と少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を共有する、請求項25または26に記載のキット。
【請求項34】
インスリン様増殖因子−1(IGF−1)が、配列番号1または2にて示される配列を有する、請求項25または26に記載のキット。
【請求項35】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の処置または予防用医薬品の製造のためのインスリン様増殖因子−1(IGF−1)の使用であって、医薬品は脳室内送達を介して脳に投与されるものである、使用。
【請求項36】
インスリン様増殖因子−1(IGF−1)がヒトインスリン様増殖因子−1(IGF−1)である、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
インスリン様増殖因子−1(IGF−1)が、配列番号1または2にて示される配列を有する、請求項35に記載の使用。
【請求項38】
一回分の用量の医薬品の投与に4時間超、より好ましくは5時間超、より好ましくは6時間超、より好ましくは7時間超、そしてもっとも好ましくは8時間超を費やす、請求項35〜37のいずれか1項に記載の使用。
【請求項39】
医薬品が脳の側脳室または第四脳室のいずれか一方または両方に投与されるものである、請求項35〜38のいずれか1項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−523819(P2009−523819A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551446(P2008−551446)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/001599
【国際公開番号】WO2007/084743
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(500579888)ジェンザイム・コーポレーション (34)
【Fターム(参考)】