説明

筋萎縮性側索硬化症の予防及び治療のための医薬

【課題】運動ニューロンにおけるADAR2活性賦活作用を有し、孤発性ALSの予防及び/又は治療に有用な医薬を提供する。
【解決手段】(a)ロイコマイシン類及びオレアンドマイシン類、(b)シクロホスファミド類、並びに(c)インターフェロンα類からなる群から選ばれる物質を有効成分として含む孤発性筋萎縮性側索硬化症の治療及び/又は予防のための医薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は筋萎縮性側索硬化症の予防及び/又は治療のための医薬に関するものである。
【背景技術】
【0002】
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis、本明細書において「ALS」の略称を用いる場合がある)は運動ニューロンが選択的に変性する原因未解明の神経変性疾患であり、中年以降に誘因なく始まる進行性かつ重篤な筋肉の萎縮と筋力低下をきたす。この疾患は極めて進行が速く、半数以上の患者が発症後3年以内に呼吸筋麻痺により死亡する。1年間に人口10万人当たり2人程度(特に60歳以上では20人-30人とも言われている)が発症し、決して稀な疾患ではないが、現在のところ有効な治療法は確立されていない。
【0003】
ALSの10%程度を占める遺伝性ALSではその一部に原因遺伝子が同定されている。例えば、常染色体優性遺伝のALS1では21番染色体上のSOD1(スーパーオキシドジスムターゼ1遺伝子)に突然変異を有しており、この原因遺伝子の関与は遺伝性ALSの20%程度を占めるとされている。ALSの病因が未だ解明されていないことから、ALSに対する医薬の開発は主として家族性ALSの動物モデルである変異SOD1トランスジェニック動物を用いて行われている。しかしながら、ALSの90%程度は遺伝性が認められない孤発性ALSであり、この孤発性ALSは家族性ALSとは本質的に異なるメカニズムにより発症する可能性があることから、従来の開発研究ではALSの大部分を占める孤発性ALSについて有効な医薬を生み出せない可能性が高い。
【0004】
孤発性ALSについては、RNA編集酵素であるADAR2(adenosine deaminase acting on RNA type 2)の活性低下によりグルタミン酸受容体サブタイプであるAMPA受容体を形成するサブユニットの一つであるGluR2 のQ/R 部位で本来生ずべきRNA編集が起こらないこと、この孤発性ALSに疾患特異的な分子変化は変異SOD1による家族性ALSには見出されず孤発性ALSに疾患特異的に認められることから、このADAR2の活性低下が運動ニューロン死の直接原因であることが示唆されている。また、運動ニューロンではGluR2 Q/R 部位のRNA編集率が100%未満になると緩徐な神経細胞死に陥ることも明らかにされた。従って、運動ニューロンにおけるADAR2活性を賦活し、GluR2 Q/R 部位のRNA編集率を100%に回復することにより孤発性ALSの治療が可能になるものと考えられる。
【0005】
本発明者らは、ADAR2活性賦活作用を有する物質を効率よくスクリーニング可能な培養細胞TetHeLaG2m細胞を樹立することに成功し、この細胞を用いてイミプラミンなど数種の抗うつ薬が運動ニューロンにおけるADAR2活性を賦活する作用を有することを見出した(Neurosci. Res., 64, pp.251-258, 2009)。しかしながら、他の薬剤がADAR2の活性賦活作用を有する可能性については上記刊行物には示唆ないし教示がない。また、本発明者らは、培養細胞を用いてcytoplasmic fragile X mental retardation protein interacting protein 2(CYFIP2) RNAのK/E部位がADAR2特異的にRNA編集を受けることを報告しているが(Neurosci. Res., 61, pp.201-206, 2008)、ADAR2ノックアウトマウス脳ホモジネートでこの部位における編集が特異的に低下することも報告されており,in vivoでも同様の活性があることが確かめられている(RNA, 14, pp.1110-1118, 2008)。
【0006】
なお、ALSに対する薬物療法の試みとして、マクロライド系抗生物質をグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)産生促進剤として用いる方法(特開2002-47206号公報)が知られており、具体的なマクロライド系抗生物質としては18員環マクロライドであるコンカナマイシンA及び16員環マクロライドであるバフィロマイシンについての言及がある。また、インターフェロンβ(INFβ1a)による治療の試みについては有効性が認められなかったとの報告がある(NEUROLOGY, 54, pp.469-474, 2000)。シクロホスファミドについては、有効性が認められないとする報告(J. Neurol. Sci., 124, pp.84-87,1994; Arch. Neurol., 43, pp.383-384, 1986)及び一過性に有効であるとの報告(J. Neurol. Sci., 150, pp.167-172, 1997)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-47206号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Nature, 427, 801, 2004
【非特許文献2】Neurosci. Res., 54, 11, 2006
【非特許文献3】J. Mol. Med., 83, pp.110-120, 2005
【非特許文献4】Amyotroph. Lateral Scler. Other Motor Neuron Disord., 6, pp.131-144,2005
【非特許文献5】Neurosci. Res., 61, pp.201-206, 2008
【非特許文献6】Neurosci. Res., 64, pp.251-258, 2009
【非特許文献7】RNA, 14, pp.1110-1118, 2008
【非特許文献8】NEUROLOGY, 54, pp.469-474, 2000
【非特許文献9】J. Neurol. Sci., 124, pp.84-87,1994
【非特許文献10】Arch. Neurol., 43, pp.383-384, 1986
【非特許文献11】J. Neurol. Sci., 150, pp.167-172, 1997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、運動ニューロンにおけるADAR2活性賦活作用を有し、孤発性ALSの予防及び/又は治療に有用な医薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行い、TetHeLaG2m細胞を用いて運動ニューロンにおけるADAR2活性を賦活する作用を有する物質をスクリーニングし、数種の新たな候補物質を得た。また、本発明者らはADAR2活性賦活作用を有する抗うつ薬を野生型マウスに全身投与した場合に運動ニューロンにおけるADAR2活性が上昇することをADAR2 特異的基質CYFIP2を用いて K/E部位におけるRNA編集率の上昇から明らかにし、この手法を上記の候補化合物に適用することにより、これらの候補化合物がイン・ビボ試験においてもADR2活性賦活作用を有することを確認した。
【0011】
さらに本発明者らは、ADAR2 遺伝子をヘテロ接合となるようにコンディショナルノックアウトしたマウスの解析からADAR2活性の50%程度の低下がGluR2 Q/R 部位のRNA編集異常を介して運動ニューロン死を引き起こすことを明らかにし、この知見を基にして、スクリーニングにより得られた上記の候補化合物がADAR2コンディショナルマウスヘテロ接合体においてGluR2 Q/R 部位のRNA編集率を上昇させることを確認し、これらの化合物が孤発性ALSの予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として有用であることを確認した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
【0012】
すなわち、本発明により、(a)ロイコマイシン類及びオレアンドマイシン類、(b)シクロホスファミド類、並びに(c)インターフェロンα類からなる群から選ばれる物質を有効成分として含む孤発性筋萎縮性側索硬化症の治療及び/又は予防のための医薬が提供される。
【0013】
本発明のさらに好ましい態様によれば、オレアンドマイシン類がロキシスロマイシン、その塩、又はそのエステルである上記の医薬;ロイコマイシン類がロイコマイシンA3(ジョサマイシン)、その塩、又はそのエステルである上記の医薬;シクロホスファミド類がシクロホスファミド又は4-ヒドロキシシクロホスファミドである上記の医薬;及びインターフェロンα類がインターフェロンα、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、又はそれらのポリオキシエチレングリコール誘導体である上記の医薬が提供される。
【0014】
別の観点からは、本発明により、上記の医薬の製造のための(a)ロイコマイシン類及びオレアンドマイシン類、(b)シクロホスファミド類、並びに(c)インターフェロンα類からなる群から選ばれる物質の使用、及び孤発性筋萎縮性側索硬化症の治療及び/又は予防方法であって、(a)ロイコマイシン類及びオレアンドマイシン類、(b)シクロホスファミド類、並びに(c)インターフェロンα類からなる群から選ばれる物質の予防及び/又は治療有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法が提供される。
【0015】
さらに別の観点からは、本発明により、孤発性筋萎縮性側索硬化症の治療及び/又は予防のための医薬の有効成分として有用な物質のスクリーニング方法であって、ヘテロ接合ADAR2コンディショナルノックアウト動物、好ましくはヘテロ接合ADAR2コンディショナルノックアウトマウスにおいてGluR2 Q/R 部位のRNA編集率を上昇させる物質を候補化合物として選抜する工程を含む方法が提供される。また、上記の工程に加えて、又は上記の工程に代えて、野生型動物、好ましくは野生型マウスにおいてADAR2 特異的基質CYFIP2のK/E部位におけるRNA編集率を上昇させる物質を候補化合物として選抜する工程を含む方法が提供される。
【0016】
また、上記のヘテロ接合ADAR2コンディショナルノックアウト動物も本発明により提供される。この動物の好ましい態様によれば、マウスADAR2遺伝子adarb1の活性基をコードするエキソン7、8、及び9を挟むようにLoxP部位を挿入した遺伝子をヘテロ接合で有しており、運動ニューロン特異的にCreリコンビナーゼを発現する上記のコンディショナルノックアウト動物;運動ニューロン特異的に時限的にCreリコンビナーゼを発現する上記のコンディショナルノックアウト動物が提供される。動物としてはマウスが好ましく、小胞性アセチルコリントランスポータのプロモータ依存性にCreリコンビナーゼを発現するマウスがより好ましい。さらに、本発明により、上記のスクリーニングに用いるためのヘテロ接合ADAR2コンディショナルノックアウト動物も提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明により提供される医薬は運動ニューロンにおけるADAR2活性賦活作用を有しており、孤発性筋萎縮性側索硬化症の予防及び/又は治療に有用である。本発明の医薬を用いることにより、ADAR2活性の低下によるGluR2 Q/R 部位のRNA編集異常を抑制してALSの発症を予防することができ、また該RNA編集異常によりすでにALSを発症した患者に対してはGluR2 Q/R 部位のRNA編集率を上昇させることによりALSの進行を阻止し、ALSの症状を緩和するなど有効な治療を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】野生型マウスにジョサマイシン、シクロホスファミド、及びインターフェロンαを7日間連続全身投与した後、脊髄単一運動ニューロンにおいてADAR2特異基質CYFIP2の K/E部位RNA編集率を測定した結果を示した図である。図中、1)は全サンプルにおける編集率の平均値、2)は編集率が100%であったサンプルの割合、及び3)は上記2)から計算により求めた編集率が100%であるニューロンの割合の予測値を示す。
【図2】ヘテロ接合ADAR2コンディショナルノックアウトマウスの作成方法を示した概念図である。1)の上図はadarb1遺伝子の活性基(deaminase)部分を挟むようにイントロン6,イントロン9にLoxP部位を挿入した遺伝子構造を示し、得られた遺伝子改変マウスの遺伝子型をPCRにより確認した結果を下図に示す。(図2(1)下図)。2)は小胞性アセチルコリントランスポータのプロモータ依存性にCreリコンビナーゼを発現する変異マウスVAChT-Cre.Fast及びVAChT-Cre.Slowにおける運動ニューロン特異的なCreリコンビナーゼの発現を示した図である。
【図3】LoxP、Neo-PLUS selection cassetteを挿入したマウスadarb1遺伝子の核酸配列を示した図である。カセットを挟むSfil部位は下線で示し、5'及び3'LoxP部位は太字で示し、5'及び3'FRT部位を太字のイタリックで示した。flox領域(2623bp、エクソン7-9: nt 14, 452-17, 075 from the contig above)はHindIII/AscI部位(イタリック、下線)にサブクローニングした。
【図4】6ヵ月齢のADAR2flox/flox /VAChT-Creマウス脊髄前角をイン・シチュ・ハイブリダイゼーションで調べた結果を示した図である。
【図5】GluR2 Q/R 部位のRNA編集率を測定した結果を示した図である。
【図6】ADAR2 flox/flox /VAChT-Cre.Fastマウスにおける進行性の運動ニューロン死を示した図である。
【図7】運動ニューロン死が編集型GluR2の発現により阻止されることを示した図である。
【図8】ADAR2活性の半減によりGluR2のRNA編集が低下して運動ニューロン死が引き起こされることを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の医薬はALSの治療及び/又は予防のための医薬であって、(a)ロイコマイシン類及びオレアンドマイシン類、(b)シクロホスファミド類、並びに(c)インターフェロンα類からなる群から選ばれる物質を有効成分として含むことを特徴としている。本発明の医薬は孤発性ALSを適用対象とすることができるが、家族性ALSに投与して有効性を示す場合もある。
【0020】
ロイコマイシン類としては、天然又は半合成のロイコマイシン類を用いることができるが、典型的には、例えばロイコマイシン(LM:キタサマイシンと呼ばれる場合もある)A1、A3(ジョサマイシン)、A4、A5、A6、A7、A8、及びA9、並びにそれらの任意の混合物を挙げることができる。本発明においてはロイコマイシン類としてスピラマイシン(SPM)又はミデカマイシン(MDM)などを用いることもできる。さらに、これらのロイコマイシン類の生理学的に許容されるその塩、又はそれらのエステルを用いることができる。
【0021】
ロイコマイシン類のエステルとしては、例えばプロピオン酸ジョサマイシン、3"-O-プロピオニルロイコマイシン(ロキタマイシン:RKM)、アセチルスピラマイシンI、II、若しくはIII、又は酢酸ミデカマイシンなどを挙げることができるが、これらに限定されることはない。生理学的に許容される塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの鉱酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩などの有機酸塩などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。ロイコマイシン類としては、遊離形態の物質若しくはその塩又はそれらのエステルの水和物又は溶媒和物を用いてもよい。ロイコマイシン類としては、ロイコマイシンA3(ジョサマイシン)又はプロピオン酸ジョサマイシンが好ましく、特に好ましいのはロイコマイシンA3である。
【0022】
本発明の医薬の有効成分として利用可能なロイコマイシン類の一例を以下に示すが、本発明の医薬の有効成分はこれらのロイコマイシン類に限定されることはない(出典:「今日の新薬-近代医薬品の変遷」、深井三郎著、株式会社薬業時報社発行、平成7年3月15日、第903頁)。ロイコマイシン類は16員環マクロライドに分類されるが、本発明の医薬の有効成分として16員環マクロライドに包含されるマクロライド(ただしバフィロマイシンを除く)を用いることができる場合もある。
【0023】
【化1】

【0024】
オレアンドマイシン類としては、天然又は半合成のオレアンドマイシン類を用いることができる。典型的には、例えばエリスロマイシン類(例えばエリスロマイシンAなど)、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、又はオレアンドマイシンなどを挙げることができるが、これらに限定されることはない。さらに、これらのオレアンドマイシン類の生理学的に許容されるその塩、又はそれらのエステルを用いることができる。
【0025】
オレアンドマイシン類のエステルとしては、例えば、エリスロマイシンプロピオネート、エリスロマイシンエストレート、トリアセチルオレアンドマイシン(トロレアンドマイシン)などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。生理学的に許容される塩としては、上記のロイコマイシン類について言及した塩などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。オレアンドマイシン類としては、遊離形態の物質若しくはその塩又はそれらのエステルの水和物又は溶媒和物を用いてもよい。オレアンドマイシン類としてはロキシスロマイシンが好ましい。
【0026】
本発明の医薬の有効成分として利用可能なオレアンドマイシン類の一例を以下に示すが、本発明の医薬の有効成分はこれらのオレアンドマイシン類に限定されることはない(出典:「今日の新薬-近代医薬品の変遷」、深井三郎著、株式会社薬業時報社発行、平成7年3月15日、第899頁)。オレアンドマイシン類は14員環マクロライドに分類されるが、本発明の医薬の有効成分として14員環マクロライドに包含されるマクロライドを用いることができる場合もある。
【0027】
【化2】

【0028】
シクロホスファミド類としては、シクロホスファミド若しくはその活性代謝物である4-ヒドロキシシクロホスファミド、イホスファミド(ifosfamide)などのビス(2-クロロエチル)アミノ基を有するオキサアザホスホリン化合物を挙げることができるが、これらのうちシクロホスファミドが好ましい。シクロホスファミド類としては水和物又は溶媒和物を用いてもよい。
【0029】
インターフェロンα類としては、アイソフォームであるIFN-α1、α2、α4、α5、α6、α7、α8、α10、α13、α14、α16、α17、及びα21並びにそのが知られているが、例えば、インターフェロンα、インターフェロンα2a、インターフェロンα2bなどを用いることが好ましい。インターフェロンα類としては、培養リンパ球由来のインターフェロンα類のほか、遺伝子組み換えにより製造されたインターフェロンα類を用いてもよい。また、体内での作用時間の延長を目的としてインターフェロンαのポリエチレングリコール(PEG)誘導体も提供されているが、このような誘導体を本発明の医薬の有効成分として用いてもよい。
【0030】
本発明の医薬としては、上記の有効成分を含む医薬がすでに市販されている場合には、該医薬をそのまま本発明の医薬として使用することもできるが、市販されていない医薬については、所望の有効成分を適宜の製剤用添加物と組み合わせて、有効成分の種類に応じて経口投与用又は非経口投与用の医薬組成物として調製して投与することができる。一般的にはロイコマイシン類は経口投与用医薬組成物又は非経口投与用(例えば静脈内投与用)医薬組成物として提供されることが好ましく、シクロホスファミド類については経口投与用医薬組成物又は非経口投与用(例えば静脈内投与用)医薬組成物として提供されることが好ましく、インターフェロンα類については非経口投与用(好ましくは筋肉内投与用)医薬組成物として提供されることが好ましい。経口投与用医薬組成物の種類は特に限定されないが、例えば、錠剤やカプセル剤などを挙げることができる。
【0031】
本発明の医薬は運動ニューロンにおけるADAR2活性賦活作用を有しており、筋萎縮性側索硬化症のうち特に孤発性筋萎縮性側索硬化症の予防及び/又は治療に有用である。いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、本発明の医薬はADAR2活性の低下によるGluR2 Q/R 部位のRNA編集率低下を抑制し、及び/又はGluR2 Q/R 部位のRNA編集率を上昇させることができる。本明細書において用いられる「予防」の用語は主としてALSの発症の阻止を意味しており、「治療」の用語は主としてALSにおける各種症状の進行阻止、又はALSにおける各種症状の緩和や緩解などを意味しているが、これらの用語はいかなる意味においても限定的に解釈してはならず、最も広義に解釈しなければならない。本発明の医薬は、例えば痴呆を伴うALSなどにも適用可能である。
【0032】
本発明の医薬の作用は、例えば下記の実施例に具体的に示した方法により確認することができる。本発明の医薬のGluR2 Q/R 部位のRNA編集率に対する作用をイン・ビトロで確認する手法としては、例えば、Neurosci. Res., 64, pp.251-258, 2009に具体的に示された培養細胞TetHeLaG2m細胞を用いる方法を採用することができる。また、イン・ビボにおけるADAR2活性賦活作用は、例えば、(a)野生型マウスを用いて、本発明の医薬を全身投与した場合に運動ニューロンにおけるADAR2活性が上昇することをADAR2特異的基質CYFIP2の K/E部位におけるRNA編集率の上昇から確認する方法;及び(b)ADAR2についてヘテロ接合となるようにコンディショナルノックアウトした動物を用いて、本発明の医薬が脊髄運動ニューロンのADAR2活性を増加させること、及び運動ニューロン死を抑制することなどを確認する方法などを採用することができる。方法(b)においてモデル動物の種類は特に限定されないが、好ましくはヘテロ接合ADAR2コンディショナルノックアウトマウスなどを挙げることができ、その具体的な作出方法については実施例に具体的に示した。
【0033】
本発明の医薬の投与量は特に限定されないが、ロイコマイシン類及びオレアンドマイシン類については経口投与においては100〜2,000 mg程度、静脈内投与などの非経口投与においては50〜1,000 mg程度であり、シクロホスファミド類については経口投与において10〜500 mg程度、静脈内投与などの非経口投与においては1〜200 mg程度であり、インターフェロンα類については筋肉内投与などの非経口投与において100万〜2,000万国際単位程度である。もっとも、投与量は上記の範囲に限定されることはなく、患者の年齢や体重、予防又は治療の目的、症状の程度などに応じて適宜選択することが可能である。また、投与経路も上記に例示した経路に限定されることはなく、有効成分の種類などに応じて適宜の投与経路を選択できることは言うまでもない。
【0034】
別の観点から提供される本発明の方法によれば、ADAR2についてヘテロ接合となるようにコンディショナルノックアウトした動物、好ましくはヘテロ接合ADAR2コンディショナルノックアウトマウスを用いて、被検化合物についてイン・ビボスクリーニングを行うことにより、GluR2 Q/R 部位のRNA編集率を上昇させることによりニューロン、好ましくは脳、脊髄、運動ニューロンにおいてADAR2活性を上昇させる候補化合物を選抜することができ、これらの候補化合物からALSに対して予防及び/又は治療効果を有する新たな医薬の有効成分を取得することが可能になる。このヘテロ接合ノックアウト動物を用いると、上記の編集率の測定のほか、被検化合物についての神経細胞死に対する抑止効果を測定することができ、より具体的には行動変化、神経細胞数・前根の軸索数の形態的計測、ウェスタン・ブロッティングによる特異的細胞死マーカーの発現低減などを確認することも可能である。
【0035】
ヘテロ接合ADAR2コンディショナルノックアウト動物は、常法に従って、ADAR2遺伝子のエキソンを挟むようにLoxP部位を挿入した遺伝子を動物胚に導入し、キメラ動物を経てヘテロ接合遺伝子改変動物を作成した後、例えば運動ニューロンにおいて時限的にCrerecombinase (Cre)を発現する変異動物と上記の遺伝子変異動物とを交配することにより、コンディショナルノックアウト動物を作成することができる。この手法は当業者に周知であり、適宜の改変又は修飾を加えて行うことが可能である。また、この方法の具体例を本明細書の実施例に具体的に示したので、当業者は所望のヘテロ接合ADAR2コンディショナルノックアウト動物を容易に作成することが可能である。この動物では、成長過程のある時期以降においてADAR2遺伝子の片方がノックアウトされてヘテロ接合となり、GluR2 Q/R部位におけるRNA編集率がほぼ50%程度に低下するが、この動物においてGluR2 Q/R部位におけるRNA編集率を上昇させることができる被検化合物はADAR2活性を賦活化する作用を有しているものと考えられる。
【0036】
さらに、このコンディショナルノックアウト動物におけるGluR2 Q/R部位におけるRNA編集率の上昇に加えて、野生型マウスに被検化合物を投与し、ADAR2に対する特異的基質であるCYFIP2のK/E部位でのRNA編集率上昇を評価する方法を採用することにより、より確実なスクリーニングを行うことができる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1
GluR2 Q/R 部位のRNA編集率はADAR2により特異的に触媒されている。ADAR2 のGluR2 Q/R 部位のRNA編集活性を測定するための培養系としてTetHeLaG2m細胞(Neurosci. Res., 64, pp.251-258, 2009)を用いた。この細胞は、GluR2遺伝子の Q/R部位を含むエクソン11、Q/R 部位に相補的な配列ECSを含むイントロン11の一部、及びエクソン12からなるミニGluR2遺伝子をTetHeLa細胞に導入することにより得られた細胞から、安定してミニGluR2遺伝子を発現しており、かつそのQ/R部位の編集率がほぼ50%になる株をクローニングして得た細胞株である。
【0038】
このTetHeLaG2m細胞に対して、ロキシスロマイシン(「ルリッド」(登録商標)、サノフィー・アベンティス株式会社)、ジョサマイシン(「ジョサマイシン」(登録商標)、アステラス製薬株式会社)、4-ヒドロキシシクロホスファミド(シクロホスファミドの活性代謝物)、及びインターフェロンαを0.1〜10μM濃度(インターフェロンαについては100〜10万単位/ml)で24時間暴露させた後に、ミニ遺伝子のQ/R 部位のRNA編集率の変化をRNA抽出及びRT-PCR、並びにそのPCR産物を制限酵素処理した断片の定量により測定した。これらの各操作はNeurosci. Res., 64, pp.251-258, 2009に記載された方法に従って行なった。この結果、いずれの薬剤についても対照に比べて20%以上のRNA編集率上昇が認められた。
【0039】
【表1】

【0040】
例2
野生型マウス(C57Bl/6J系、雄性、16週齢、平均体重20g)にジョサマイシン、シクロホスファミド、及びインターフェロンαを7日間連続全身投与した後、脊髄単一運動ニューロンにおいてADAR2特異基質CYFIP2の K/E部位RNA編集率を測定した。マウスには各被検薬剤を皮下投与し(一日投与量として体重1 kgあたり各100 mg、20 mg、及び100万単位)、断頭後マウスの脳・脊髄を取り出し、総RNAを定法により抽出した。RT-PCR後、その産物の制限酵素MseI処理により得られた消化断片の定量によりK/E部位のRNA編集率を算定した。
【0041】
各薬剤を投与したマウス脳について、ADAR2特異基質CYFIP2の K/E部位RNA編集率を測定した結果を以下の表2に示す。同じ個体の脊髄からレーザーミクロディセクターにより単一運動ニューロンを切り出し、3ニューロンから得たRNAを1サンプルとし、同様の方法によりRNA編集率を求めた各群3個体から得た60サンプル(1個体20サンプル)における編集率の結果を散布図として図1に示す。図中、1)は 全サンプルにおける編集率の平均値、2)は編集率が100%であったサンプルの割合、及び3)は上記2)から計算により求めた編集率が100%であるニューロンの割合の予測値を示す。矢印は編集率が100%であったサンプルを示す。
【0042】
生理的食塩水を投与したコントロールでは編集率が100%を示したサンプル数は5.4%にすぎなかったが、薬剤投与により、その割合はジョサマイシン、シクロホスファミド、インターフェロンα投与群ではそれぞれ25%、10%、及び20%に上昇していた。この結果は、これらの薬剤投与によりADAR2活性が賦活し、CYFIP2 K/E部位の編集率が上昇したことを意味している。従って、これらの結果から、ジョサマイシン、シクロホスファミド、及びインターフェロンαはいずれもマウスニューロンにおいてADAR2特異基質CYFIP2の K/E部位RNA編集率を上昇させる作用を有していることが確認された。
【0043】
【表2】

* p<0.05
【0044】
例3
(a)コンディショナルADAR2ノックアウトマウスの作成
ADAR2遺伝子の129/SvEvマウス相同遺伝子であるadarb1遺伝子の活性基(deaminase)部分を挟むようにイントロン6、イントロン9にLoxP部位(▲)を挿入し(図2(1)上図)、さらにSelection cassetteとしてFRT部位で挟んだネオマイシン抵抗性遺伝子(Neo)をイントロン9に挿入したベクターをpBluescript SKII(-)を用いて構築した。LoxP、Neo-PLUS selection casseteを挿入したマウスadarb1遺伝子の核酸配列を図3及び配列表の配列番号1に示す。得られた遺伝子を定法によりC57BL/6マウス由来の桑実胚に導入し、キメラマウスを経てノックアウトマウスを作成した。遺伝子型をPCRにより確認した(図2(1)下図)。
【0045】
小胞性アセチルコリントランスポータのプロモータ依存性にCreリコンビナーゼ(Cre)を発現する変異マウスVAChT-Cre.Fast及びVAChT-Cre.Slowと上記で得られたADAR2flox/floxマウスとを交配することにより、ADAR2 flox/flox /VAChT-Cre.Fastマウス及びADAR2 flox/flox /VAChT-Cre.Slowマウスを得た。VAChT-Creマウスは運動ニューロン選択的にCreリコンビナーゼを発現するが、Fast系では生後5週までに40-70%の運動ニューロンに発現し、Slow系では生後8ヶ月で約50%の運動ニューロンに発現する(図2(2))。
【0046】
6ヵ月齢のADAR2 flox/flox /VAChT-Creマウス脊髄前角をイン・シチュ・ハイブリダイゼーションで調べたところ、野生型(Ctl)では全ての運動ニューロンにおいてADAR2遺伝子が発現していたのに対し、ADAR2 flox/flox /VAChT-Creマウスでは一部の運動ニューロンにおいてADAR2 遺伝子発現が欠損していた(図4左上)。さらに、運動ニューロンを切り出してGluR2 mRNA のQ/R 部位のRNA編集率を測定したところ、ADAR2を欠損した運動ニューロンでは編集率が0%、ADAR2を発現している運動ニューロンでは編集率が100%であり、ADAR2活性が失活していることが確認された。また、この遺伝子のノックアウトがCre依存性であることも確認した。このマウスは進行性の筋力低下を示し(図4右上)、Creの発現以降の時期にロータロッド及び上肢握力の低下が認められ、この症状は5〜6ヵ月齢までの間に進行した(図4右下)。図中、黒丸はADAR2 flox/flox /VAChT-Cre.Fastマウス、白丸はADAR2 flox/flox /VAChT-Cre.Slowマウスを示す。体重には顕著な減少は認められなかったが、生存期間は対照群に比べて有意に短縮していた(図4右下)。
【0047】
2ヵ月齢のADAR2 flox/flox /VAChT-Cre.Fastマウス運動ニューロン3個を1サンプルとしてRT-PCRと制限酵素処理によるGluR2 Q/R 部位のRNA編集率を測定した結果を図5(上)に示す。横軸はGluR2 Q/R部位のRNA編集率、縦軸はサンプル数を示す。編集率0%のサンプル及び100%のサンプルのほか、30%前後及び70%前後のサンプルの存在も認められた。ADAR2が欠損したニューロンの編集率は0%であるところから、0%のグループは1サンプル中の3個全てのニューロンにおいてADAR2が欠損していることを意味し(0:3)、100%のグループは全てのニューロンにおいてADAR2が発現していることを意味する(3:0)。中間のサンプルは3個中の2個のニューロン(1:2)又は1個のニューロン(2:1)でのみADAR2が発現していることを意味する。サンプルを4群に分け、ADAR2遺伝子、Cre、及びADAR2 mRNAの発現を調べたところ、編集率0%のグループではCre依存性にADAR2がノックアウトされていることが確認された。図5中、Ctl1はADAR2 flox/floxマウス、Ctl2はVAChT-Cre.Fastマウスの結果を示す。
【0048】
図6にはADAR2 flox/flox /VAChT-Cre.Fastマウスにおける進行性の運動ニューロン死を示した。脊髄の形態では、一部の大径前角細胞においてADAR2の発現が欠損しており、細胞質に空泡をもつ運動ニューロンが認められた。脊髄前根は萎縮し、軸索変性及び軸索数の減少が認められ、大径前角細胞(AHC)数は2ヵ月齢以降進行性に減少し、特にADAR2を発現しない細胞のみが減少していた(図6左下)。週齢と共にGFAP(アストロサイトのマーカー)の免疫活性が上昇していたが、これは神経細胞脱落に伴いアストロサイトが反応性に増殖していることを示している。また、ミクログリアのマーカーであるMAC2は6ヵ月が最も著明であり、この時期に細胞死に伴うミクログリアの反応が最も強いことを示している。
【0049】
ADAR2缺損がGluR2 Q/R 部位以外のRNA編集異常により神経細胞死を引き起こしている可能性を除外するために、ADAR2活性なしに編集型GluR2 を発現するGluR2 遺伝子においてQ/R部位がグルタミン(CAG)ではなくアルギニン(CGG)をコードするように遺伝子を改変したGluR-B(R)マウスとADAR2 flox/flox /VAChT-Cre.Fastマウスとを交配した。得られたADAR2 flox/flox /VAChTCre.Fast/GluR-B(R/R)マウスにおける行動変化及び神経細胞死を検討したところ、6ヵ月齢においてADAR2 flox/flox /VAChT-Cre.Fastマウス(図7のA)では40%以上の運動ニューロンが脱落し、ロータロッドスコア及び上肢握力が顕著に低下していたのに対し、ADAR2 flox/flox x/VAChT-Cre.Fast/GluR-B(R/R)マウス(A/G)では対照マウスと比較して運動ニューロン数及び行動とも変化が認められなかった。従って、ADAR2欠損により生ずるRNA編集異常のうち運動ニューロン死に関わるものはGluR2 Q/R 部位のみであることが明らかになった。
【0050】
孤発性ALS患者の剖検脊髄における検討ではADAR2 mRNAの発現が前角でのみ著減しているが、完全に発現が消失しているわけではない(図8左上)。ADAR2遺伝子の片方のみをノックアウトしたヘテロ接合体ADAR2flox/+/VAChT-Cre.Fastマウスの運動ニューロンにおけるGluR2 Q/R 部位のRNA編集率を調べたところ、およそ20%の運動ニューロンで100%未満であった。対照群では全ての運動ニューロンにおいて100%の編集率を示すことから、ヘテロマウスにおける片方のADAR2遺伝子のみを発現する運動ニューロンの約半数ではADAR2活性が低下し、この部位のRNA編集を完全に行えないことが明らかになった。
【0051】
このヘテロマウスにおける運動ニューロン数を12ヵ月齢で検討したところ、ホモ接合体マウスに比べると軽度ではあるものの、対照群に比して有意な神経細胞数の減少が認められ、アストロサイトの増殖も認められた。ニューロン数の減少の程度と,未編集型GluR2 を発現するニューロン数が一致していること、及び編集型GluR2 のみを発現するニューロン数は経時的に変化しないことから、ADAR2活性が低下してGluR2 Q/R 部位のRNA編集が100%行われないと神経細胞死の原因になることが示された。また,ADAR2の発現が50%に低下すると未編集型GluR2 を発現する運動ニューロンが出現することが明らかとなり、孤発性ALSに見られるADAR2 mRNA発現レベルの低下は、GluR2 Q/R 部位のRNA編集異常を引き起こすに足るレベルであることが明らかになった。従って、このヘテロマウスは孤発性ALSの分子病態を反映するモデルであり、ADAR2活性賦活を目指したALSの予防及び/又は治療のための医薬の開発ツールとして有用であることが示された。
【0052】
例4
例3で得たADAR2ヘテロ接合体ADAR2 flox/+/VAChT-Cre.Fastマウスに例2と同様にしてジョサマイシン、シクロホスファミド、及びインターフェロンαを7日間連続全身投与した後、運動ニューロンにおいてGluR2 Q/R部位のRNA編集率を測定した。各群3個体、計60サンプルの平均値±標準偏差として結果を以下の表3に示す。これらの結果から、ジョサマイシン、シクロホスファミド、及びインターフェロンαはいずれもマウスニューロンにおいてGluR2 Q/R部位のRNA編集率を上昇させる作用を有していることが確認された。
【0053】
【表3】

* p<0.05、** p<0.01、*** p<0.001

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ロイコマイシン類及びオレアンドマイシン類、(b)シクロホスファミド類、並びに(c)インターフェロンα類からなる群から選ばれる物質を有効成分として含む孤発性筋萎縮性側索硬化症の治療及び/又は予防のための医薬。
【請求項2】
オレアンドマイシン類がロキシスロマイシン、その塩、又はそのエステルであり、ロイコマイシン類がロイコマイシンA3(ジョサマイシン)、その塩、又はそのエステルであり、シクロホスファミド類がシクロホスファミド又は4-ヒドロキシシクロホスファミドであり、インターフェロンα類がインターフェロンα、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、又はそれらのポリオキシエチレングリコール誘導体である請求項1に記載の医薬。
【請求項3】
孤発性筋萎縮性側索硬化症の治療及び/又は予防のための医薬の有効成分として有用な物質のスクリーニング方法であって、ヘテロ接合ADAR2コンディショナルノックアウト動物においてGluR2 Q/R 部位のRNA編集率を上昇させる物質を候補化合物として選抜する工程を含む方法。
【請求項4】
上記の工程に加えて、又は上記の工程に代えて、野生型動物においてADAR2 特異的基質CYFIP2のK/E部位におけるRNA編集率を上昇させる物質を候補化合物として選抜する工程を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ヘテロ接合ADAR2コンディショナルノックアウト動物。
【請求項6】
ADAR2遺伝子のエキソンを挟むようにLoxP部位を挿入した遺伝子をヘテロ接合で有しており、運動ニューロン特異的にCreリコンビナーゼを発現する請求項5に記載のコンディショナルノックアウト動物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−197229(P2012−197229A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175128(P2009−175128)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度 厚生労働省「こころの健康科学 筋萎縮性側索硬化症に対する特異治療法の開発」事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】