説明

筐体、この筐体を含む電気カプリング、およびこの電気カプリングを含む車両

【課題】小型で、電気接点の修復が容易であり、故障や誤動作が生じることのない筐体、この筐体を含む電気カプリング、および、この電気カプリングを備える車両を提供する。
【解決手段】筐体40の外部ケーブルに電気的に接続させるため、電子部品42と、部品42を外部から機械的に絶縁する壁44、壁44の1つの外面に配設されている少なくとも1つの電気接続パッド18、20、22、24を含む筐体に関する。電気接続パッドは、筐体内の部品42に電気的に接続され、筐体の壁44の一部を構成し、筐体の外部に露出する表面を有するプリント配線基板50を含み、前記表面に直接食刻される外面60、62は、前記外部ケーブルに接続し、前記面は、前記電子部品に電気的に接続されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体、この筐体により形成される電気カプリング、およびこの電気結合を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術における筐体は、
−電子部品と、
−前記電子部品を外部から機械的に隔離する複数の壁と、
−前記複数の壁の1つの外面に設けられ、1つ以上のケーブル、または他のタイプの電気配線(バー、プレート等)に、前記筐体の外で電気的に結合され、前記筐体内に設けられている前記電子部品に電気的に結合される少なくとも1つの電気接続パッドとを備えている。
【0003】
従来技術の筐体では、この電気接続パッドを種々の形状とすることができる。
−例えば、コネクタのピンの形状である。このコネクタは、必要に応じて、互いに絶縁された複数の接続パッドを組み合わせることができる。この方法では、2つの部分からなるコネクタが必要である。ひとつの部分は、筐体の壁に一体に接合され、他の可動部分は、筐体の外でケーブルに固定して接合される。この方法は、着脱操作において、高い機能性および信頼性が得られるという利点がある。しかしながら、特に高電流に適用する場合(約10A以上の電流を含む)、非常に大きくかつ高価となる欠点がある。
−例えば、おおむね真鍮や銅で形成され、かつ電流が、筐体の壁を通過しうるねじ、ナット、および金属ベースの形状である。
【0004】
金属ベースは、壁に対して電気的に絶縁されるように構成され、壁の一方から他方に至っている。金属ベースは、筐体内において、ねじを電子部品に結合する電気導体に電気的に結合されている。ねじは、筐体の外面より垂交して突出している。ねじは、金属ベースに機械的に固定されている。ねじは、一般に、金属ベースに電気的に接続され、かつ筐体の壁から絶縁される金属(電気導体)で形成されている。
【0005】
筐体の外面上において、金属ベースは、ねじの軸と直交する支持面を有している。
【0006】
筐体の外に設けられているケーブルは、筐体のねじに係合可能であり、前記支持面に支持可能な突出部において終端としている。次に、ナットは、突出部をねじに固定し、突出部および金属ベース間の電気接点、すなわち、筐体内の電子部品との電気接点を構成している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
突出部と支持面との間の接触面は、これらの2つの構成要素間の境界における電気抵抗が過大とならないようにしなければならない。これは、そのため、筐体の外面から大きく突出する大きな接続システムの形状となる。
【0008】
さらに、ねじとの電気接点は、ナット、ねじおよびこれらの連携により構成されている。従って、電流のための通路が存在する。線路抵抗は、結合トルクと、ねじおよびナットの表面状態と、腐食状態とに依存する。従って、電気接点は、修復が困難であり、また、経時的に劣化して故障や誤動作の原因となる。
【0009】
本発明の目的は、上記した欠点の少なくとも1つを克服した、改善された筐体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明の目的は、前記接続パッドが、
−前記筐体の前記壁の一部を構成し、前記筐体の外部に露出する1つの面を有するプリント配線基板と、
−外部の前記ケーブルと直接に接触し、前記筐体内の電子部品に電気的に結合され、前記筐体の外部に露出している前記プリント配線基板の前記面に食刻されている少なくとも1つの外部電気接続面とを備えている筐体を提供することにある。
【0011】
上記の筐体において、前記外部電気接続面(例えば、電源接続面)は、接続システムが前記外部の面と直交する方向におけるスペースを増加させることのない、電気ケーブルを有する接続パッドの電気接触面である。従って、前記筐体の外面と直交する方向における全スペースを制限した接続パッドを提供することができる。
【0012】
さらに、このように構成されている前記接続システムは、著しく簡単で安価である。
【0013】
この筐体の実施形態は、以下の特徴の1つ以上を備えている。
・前記接続パッドは、
−前記プリント配線基板の上に食刻されている接地面と、
−前記電気接続面と前記接地面との間に結合されている少なくとも1つのコモンモードフィルタリングキャパシタとを備え、
・前記コモンモードフィルタリングキャパシタは、表面実装キャパシタであり、
・前記接続パッドは、
−前記筐体の内部に露出している前記プリント配線基板の内面に食刻されている内部電気接続面と、
−永久電気カプリングを提供するために、前記外部電気接続面の一方の面と、前記内部電気接続面の他方の面とに固定して接合されている複数の導電性横材とを備え、
・前記電気接続面は、少なくとも1cmの長さに対して、少なくとも1cmの幅を有し、
・前記接続パッドは、前記外部電気接続面に対する外部ケーブルの取り外し可能なアタッチメント機構を含んでいる。
【0014】
前記筐体の実施形態は、さらに次の利点を有している。
−同じプリント配線基板に食刻された電気接続面と接地面との間にキャパシタを配置することにより、このキャパシタの配線における望ましくないインダクタンスを制限し、それにより、コモンモードにおける電磁フィルタリングを改善することができる。
−表面実装キャパシタを使用することにより、望ましくない配線インダクタンスの値をさらに減少させ、従って、電磁場適合性(EMC)の分野における前記筐体の有効な作用に貢献するため、コモンモードにおける電磁フィルタリングをさらに改善している。
−前記外部電気接続面および内部電気接続面を結合する導電性横材を使用することにより、経時的な修復性および信頼性のある電流の通路を提供し、如何なる締結力にも殆ど依存していない。
−表面領域が1cm2よりも大きい面を使用することにより、前記コモンモードフィルタリングキャパシタ、またはキャパシタに対する低いインピーダンスの高周波配線を提供する。
−取り外し可能なアタッチメント機構を使用することにより、外部の前記ケーブルの装着および離脱を、可逆的に行うことができる。
【0015】
また、本発明の目的は、電気カプリングであって、
−電気接触面を有する突出部を終端とする少なくとも1つのケーブルと、
−外部電気接続平面が前記突出部の電気接触面に直接支持されている筐体とを備えているものを提供することにある。
【0016】
この電気カプリングの実施形態は、次の特徴を備えることがある。
−電気カプリングは、同じ接続パッドに電気的に接続されている2つの外部ケーブルを有し、前記各外部ケーブルは、電気接触面を有する突出部で終端している。
−前記接続パッドの外部電気接続面は、前記2つの外部ケーブルの前記突出部の接触面に対して延在しており、直接かつ同時に、前記外部電気接続面上に互いに並んで支持されている。
【0017】
さらに、この外部電気接続面の実施形態は、次の利点を有している。
−互いに並んでいる前記外部ケーブルの突出部の配置により、前記プリント配線基板の外面と直交する方向において、前記接続システムの厚さは減少している。
【0018】
また、本発明の別の目的は、前記電気カプリングを有する車両を提供することである。
【0019】
本発明の限定されない実施形態、および添付の図面を参照して、以下の説明を読むことにより、本発明を明確に理解することができると思う。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】電源筐体を有する車両の概略図である。
【図2】図1の電源筐体における接続システムの略断面図である。
【図3】図2の接続システムに使用されるプリント配線基板の平面図である。
【図4】図2の接続システムに使用されるプリント配線基板の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
これらの図面において、同じ符号は、同じ構成要素を示している。
【0022】
以下の説明において、当業者に周知の特徴および機能については、詳細に言及しない。
【0023】
図1は、自動車等の車両2を示す。この車両2は、車両2の駆動輪を回転させる電気モータ6に電力を供給する電源システム4を備えている。図1では、簡単にするため、1つの駆動輪8のみを示している。
【0024】
電源システム4は、
−電圧Ueに対して電流Ieを生成可能な燃料電池10と、
−接続パッド18、20が燃料電池10に電気的に直接結合されているDC/DCコンバータ12と、
−接続パッド26、28が、DC/DCコンバータ12の接続パッド22、24に直接接続されている電気化学バッテリ14と、
−接続パッド30、32が、DC/DCコンバータ12の接続パッド22、24に電気的に直接接続されているインバータ16とを備えている。
【0025】
以下において、2つの構成要素が互いに結合されている、と言うときは、電気カプリングであることを意味している。
【0026】
また、これらの2つの構成要素が互いに「直接」接続されているとは、電気接続が他の電気負荷を介さずになされることを意味している。一般に、このことは、直流電流がこれらを通過するとき、線路抵抗が1Ω/mよりも遙かに小さい電気導体による直接電気配線に対応する。
【0027】
ここで、ケーブルまたは導体は、電源電流を低下させることなく供給できる場合、「電源」ケーブルまたは導体と言う。電源電流は、好ましくは、25A〜100Aよりも大きい。
【0028】
また、接続パッド22、24は、電気待避線34、36により接続パッド30、32に接続されている。
【0029】
インバータ16は、直流電圧Usから、電気モータ6を駆動するための三相電流および三相電圧を生成する。
【0030】
DC/DCコンバータ12は、燃料電池10より供給される電圧Ueから電圧Usを生成する。
【0031】
従って、インバータ16は、電気化学バッテリ14で規定される電圧Usと、DC/DCコンバータ12および電気化学バッテリ14から供給される電流とによって駆動される。
【0032】
DC/DCコンバータ12は、図2にさらに詳細に示す筐体40を構成している。
【0033】
電圧Ueおよび電流Ieを、電圧Usおよび電流Isに変換するのに必要な全ての電子部品42は、筐体40内に収容されている。図面を簡単にするため、これらの電子部品42は、ブロックで示してある。
【0034】
筐体40の外郭は、複数の壁44によって境界が定められる。壁44は、電子部品42を外部から機械的に絶縁するため、電子部品42を完全に囲繞している。ここで、これらの壁44は、接地された導電材料から形成されている。従って、筐体40は、電子部品42のスイッチングによって筐体40の外に放射される電磁波の伝播を防止するファラデー箱を構成している。
【0035】
壁44は、接続システム48を備えている。接続システム48は、接続パッド18、20、22、24を備えている。
【0036】
簡単にするため、図2では、接続パッド18、22に対応する接続システム48のみを詳細に示している。接続パッド20、24を構成するために使用される接続システム48は、詳細に説明した接続パッド18、22と同様である。
【0037】
壁44の1つは、プリント配線基板50により閉塞される開口部を有する。従って、プリント配線基板50は、この壁44の一部を構成し、電子部品42を機械的に絶縁している。プリント配線基板50は、前記開口部の周縁に、自由度のない状態で固定されている。例えば、プリント配線基板50は、ねじ52、54により壁44に固定されている。
【0038】
プリント配線基板50は、筐体40の外部を向く外面55と、筐体40の内部を向く内面56とを有する。外側および内側の電気接続面は、外面55および内面56にそれぞれ食刻されている。一般に、これらの電源面は、銅で形成されている。これらの電源面は、幅および長さが1cmよりも大きく、好ましくは、2cmよりも大きい導電性の通路である。ここで、外面は、プリント配線基板50の反対側に位置する内側面と同じ寸法である。これらの外側面および内側面は、電気的な絶縁材料から形成されたプレート58によって分離されている。
【0039】
図2には、2つの外面60、62と、2つの対応する内面64、66とを示している。外面60および内面64は、接続パッド22に属している。外面62および内面66は、接続パッド18に属している。
【0040】
外面60は、突出部72、74の各面68、70に、直接かつ同時に接触している。突出部72、74は、電源ケーブル76、78の各末端部を構成している。電源ケーブル76は、接続パッド22と電気化学バッテリ14の接続パッド26とを結合している。電源ケーブル78は、接続パッド22とインバータ16の接続パッド30とを結合している。
【0041】
例えば、突出部72、74は、電源ケーブル76、78の端部がかしめられた突起である。突出部72、74は、銅等の導電材料から形成されている。
【0042】
各突出部72、74は、面68、70に垂直な軸線84、86に沿ってそれぞれ延在するビアホール80、82を有している。これらのビアホール80、82は、取付ねじを装着しうるように構成されている。
【0043】
突出部72、74は、並んで配設され、各面68、70は、外面60に直接に支持されている。面68、70は、これらの突出部72、74における電源電流を減少させることのない通路を確保するのに十分な表面領域を有している。この目的を達成するために、各面68、70は、例えば1cm以上の長さと、1cm以上の幅を有している。
【0044】
外面60の長さおよび幅は、突出部72、74を並べて配設するのに十分である。外面60の長さおよび幅は、面68、70の全表面領域よりも大きな表面領域となるように選択している。
【0045】
外面60は、電気的な導電材料からなる横材またはビアホールにより内面64と結合されている。図2には、3つの横材90、92、94が示されている。各横材90、92、94は、外面55および内面56に対して垂直に延在している。これらの横材90、92、94は、外面60から内面64まで延在している。横材90、92、94は、部品42と突出部72、74が装着される外面60との間の経時的な修復性および信頼性のある電流の通路を提供している。横材90、92、94を通過する電流の通路は、締結力や表面状態に依存しない。
【0046】
これらの横材90、92、94は、例えば金属被覆されたホールである。横材90、92、94の数は、これらの各横材90、92、94の断面と同様に、外面60から内面64に流れる電源電流の強度の関数に基づいて選択される。より具体的には、横材90、92、94の数および断面は、発熱を制限するように選択される。
【0047】
また、プリント配線基板50は、突出部72、74を外面60から取り外し可能なアタッチメント機構を備えている。この目的を達成するために、ビアホール96、98が、プリント配線基板50を貫通して形成されている。これらのビアホール96、98は、軸線84、86に沿って延在している。ビアホール96、98は、プリント配線基板50の一方の面から、他方の面へ厚さ方向に横切っている。ナット100は、ビアホール96の開口部の回りの内面64に半田付けされている。同様に、ナット102は、ビアホール98の開口部の回りの内面64に半田付けされている。これらのナット100、102は、ねじ104、106がそれぞれ装着されるように構成されている。これらの組み付けられた位置において、ねじ104、106は、それぞれビアホール80、96および82、98を貫通し、突出部72、74の面68、70を外面60に配置する。図2では、ねじ106のみが組み付けられた位置に配置されている。一方、ねじ104は、取り外した位置で示されている。取り外した位置では、ねじ104は、まだビアホール80、96に挿入されていないか、または、ナット100に螺合されていない。
【0048】
ねじおよびナットは、銅またはスチールのような電導材料により形成されている。このように、外部ケーブルから供給されるか、または、配分される電源電流は、ねじ104、106およびナット100、102と同様に、横材90、92、94により外面60から内面64に流れる。
【0049】
さらに、ナット102は、内面64を電子部品42に接続する電気導体110に半田付けされている。
【0050】
このように構成されている接続パッド22は、また、電気待避線34の機能を果たす。突出部72、74が、同時にこの外面60に接触して配置されているため、これらの突出部72、74は、この外面60により互いに接続されている。このことは、筐体40とは機械的に独立な電気待避線34を使用する必要が無いことを意味している。
【0051】
外面62は、燃料電池10に連結される電源ケーブル122の末端部を構成する突出部120に直接電気的に接触している。電源ケーブル122を電子部品42に結合するために使用される接続パッド18は、外面62および内面66が並んだ2つの突出部72、74を受け入れるように構成されていないことを除き、接続パッド22と同一である。従って、この接続パッド18については、ここでは詳細に説明しない。
【0052】
また、接続システム48は、接続パッド18、22、およびこれらの接続パッド18、22が結合される突出部72、74、120を保護するための蓋130を有する。この蓋130は、各電源ケーブル76、78、122の突出部72、74、120を電気的に互いに絶縁するように構成されている内部分割壁132、134を有する。これらの内部分割壁132、134は、突出部72、74、120の1つのプリント配線基板50に対する取付状態に不具合があるときに、2つの突出部72、74または120間の短絡を防止する。この目的を達成するために、蓋130および内部分割壁132、134は、この絶縁機能を実現するものである。例えば、これらは、電気的な絶縁材料から形成することができる。また、これらは、接続システム48のEMC反応を改善することを目的とする金属材料から形成することができる。この場合、突出部72、74、120間、および、突出部72、74、120と蓋130との間の絶縁機能は、例えば、絶縁層を内部に並べ、または、いかなる場合においても絶縁を保証するように、寸法を十分に大きく、かつ十分に頑丈にした蓋130により提供される。蓋130は、適切な手段により、プリント配線基板50または壁44に固定される。
【0053】
図3は、プリント配線基板50の外面55を示す。
【0054】
図3には、既に説明した外面60、62に加えて、外面140、150が示されている。例えば、外面140は、接続パッド24を形成するために使用される。外面150は、接続パッド20を形成するために使用される。これらの接続パッド20、24は、接続パッド18、20と同様であり、従って、ここでは詳細に説明しない。
【0055】
これらの外面60、62、140、150の外側において、プリント配線基板50の外面55は、絶縁材料(プレート)58だけで構成されている。
【0056】
図3において、横材90、92、94等の円は、外面を内面に接続する異なる横材の位置を示している。
【0057】
図4は、プリント配線基板50の内面56を示す。図4には、内面64、66に加えて、内面160、162を示してある。これらの内面160、162は、それぞれ接続パッド24、20を形成するために使用される。この内面160、162は、外面55と対向し、かつ同じ寸法である。
【0058】
内面160、162は、内面64、66と同じ機能を果たすが、ここでは詳細に説明しない。
【0059】
内面56は、外面55とは異なり、内面64、66、160、162に加えて、接続部166により壁44に結合される接地面164を備えている。この接地面164は、絶縁材料(プレート)58の一片により、内面64、66、160、162から電気的に絶縁されている。この接地面164は、それぞれの内面64、66、160、162において、これらの内面64、66、160、162の1つと接地面164との間の直接の短絡を防止できる絶縁距離を同時に維持する一方、各内面64、66、160,162の近くを通過する。
【0060】
コモンモードフィルタリングキャパシタ170〜173は、10MHz以上の周波数の電磁外乱をフィルタリングするため、内面64、66、160、162と接地面164との間に半田付けされている。より具体的には、コモンモードフィルタリングキャパシタ170〜173は、接地面164の一方と、内面64、66、160、162の他方との間に、それぞれ半田付けされている。
【0061】
これらのコモンモードフィルタリングキャパシタ170〜173は、表面実装部品(SMCs)であり、従って、対応する導体面に直接半田付けされている金属被覆された端部を備えている。これらのコモンモードフィルタリングキャパシタ170〜173の配置は、コモンモードにおける電磁フィルタリングの効果を改善している。実際、コモンモードフィルタリングキャパシタ170〜173は、配線を最小にするべく、外部ケーブルと接地面164との間の接続部166に極めて接近して配置されている。これにより、これらの配線システムにより生じる寄生インダクタンスは減少する。
【0062】
より具体的には、内面64、66、160、162は、非常に大きな表面領域を有している。すなわち、各内面64、66、160、162の長さおよび幅は、いずれも1cmよりも大きい。そのため、コモンモードフィルタリングキャパシタ170〜173に対する高周波、低インピーダンス配線を可能となっている。このように、各内面64、66、160、162と接地面164との間の全体的な望ましくないインダクタンスは、10nHよりも小さい。従って、コモンモードにおける外乱電流は、ファラデー箱として機能する筐体40の壁44に対するこれらの減結合キャパシタにより、10MHzよりも高い周波数まで回避される。
【0063】
このことは、ねじと筐体の壁44との間に、1つ以上のキャパシタを半田付けしてなる先行技術の方法と比較すると、大きな利点となる。従来技術の方法では、アタッチメントの10nH/cmの範囲である接続部のアタッチメントの望ましくないインダクタンスによって制限される。先行技術では、配線の突出部の望ましくないインピーダンスにより、ファラデー箱として機能する壁44に対し、10MHzからキャパシタが寄生電流を、これ以上厳密に回避することはできない。
【0064】
他に多くの実施形態が可能である。例えば、プリント配線基板50を、配線が食刻された2層よりも多い層を備えるプリント配線基板に置換することができる。このようなプリント配線基板は、突出部に直接接触する少なくとも1つの外面と、筐体40の内部に設けられる電気導体に直接接触する少なくとも1つの内面とを有する。また、このプリント配線基板は、外面と内面と間に設けられる1つ以上の中間層を有する。導体の配線は、外面および内面を柔軟に結合しうるこれらの中間層に食刻される。
【0065】
反対に、プリント配線基板50は、電源面を有し、導電材料から形成されている全ての配線が食刻される単一の層を有するプリント配線基板と置換することができる。この実施形態では、内部の電源面は省略される。外面140等の接地面は、この単一層に食刻され、コモンモードフィルタリングキャパシタ170〜173等のキャパシタは、コモンモードにおける電磁外乱を除去するため、図4に示すように、半田付けされることが好ましい。
【0066】
外部ケーブルの突出部は、ナットおよびボルトを用いることなく、外面に固定することができる。例えば、電源ケーブルの突出部は、前記外面に直接半田付けされる。
【0067】
外部ケーブルは、電源電圧または如何なる他の所望の電位を供給するために用いることができる。一般に、接続される全ての接続部に様々な電位があるのと同じく、多数の電気接続外面がある。
【0068】
表面実装は、コモンモードフィルタリングキャパシタには必要ない。また、これらは、従来の半田付けによって固定されて構成されるアタッチメントを備えるキャパシタとすることができる。
【0069】
また、保護蓋は、外面55の形状の自由度を確保するともに、各突出部に倣わせて、上部の外面55の全体に配設される熱収縮シートにより形成することができる。また、保護蓋は、電源面上および外面55の突出部上に絶縁材料の成形物により形成することができる。
【0070】
筐体40は、この筐体40の異なる面に配設される複数のプリント配線基板を備えることができる。
【0071】
筐体40の内部にあり、各パッドを電子部品42に接続する電気導体は、電源電流を筐体40の内部に供給可能な電源ケーブルまたは1組のバーである。
【0072】
変形例では、接地面は、筐体40の壁44から電気的に隔離されている。
【0073】
筐体40は、電源部品以外の電子部品のみを有するものとすることもある。
【0074】
また、上記の筐体40は、単独で弱い電流を供給するために適した外部ケーブルの接続に適用することができる。
【0075】
上記の説明は、筐体40によって外部から絶縁され、外部ケーブルと結合するように構成されている電子部品を備える如何なる筐体にも適用される。この筐体は、自動車の利用に限定されない。またこの筐体は、DC/DCコンバータの筐体に限定されるものでもない。例えば、インバータの筐体とすることもできる。この筐体は、図1を参照して説明したもののような形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0076】
2 車両
4 電源システム
6 電気モータ
8 駆動輪
10 燃料電池
12 DC/DCコンバータ
14 電気化学バッテリ
16 インバータ
18、20、22、24、26、28、30、32 接続パッド
34、36 電気待避線
40 筐体
42 電子部品
44 壁
48 接続システム
50 プリント配線基板
52、54、104、106 ねじ
55 外面
56 内面
58 プレート
60、62 外面
64、66 内面
68、70 面
72、74 突出部
76、78 電源ケーブル
80、82、96、98 ビアホール
84、86 軸線
90、92、94 横材
100、102 ナット
110 導体
120 突出部
122 電源ケーブル
130 蓋
132、134 内部分割壁
140 外面
150 外面
160 内面
162 内面
164 接地面
166 接続部
170〜173 コモンモードフィルタリングキャパシタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品(42)と、
前記電子部品を外部から機械的に隔離する複数の壁(44)と、
前記複数の壁の1つの外面に設けられ、ケーブルに筐体の外で電気的に結合され、前記筐体内に設けられている前記電子部品(42)に電気的に結合されている少なくとも1つの電気接続パッド(18、20、22、24)とを備える筐体において、
前記電気接続パッドは、
前記筐体の壁(44)の一部を構成し、前記筐体の外部に露出される1つの面を有するプリント配線基板(50)と、
外部の前記ケーブルと直接接触し、前記電子部品(42)に電気的に結合され、前記面に食刻されている少なくとも1つの外部電気接続平面(60、62、140、150)
とを備えることを特徴とする筐体。
【請求項2】
前記電気接続パッドは、
前記プリント配線基板(50)の上に食刻される接地平面(164)と、
前記電気接続平面と前記接地平面との間に結合される少なくとも1つのコモンモードフィルタリングキャパシタ(170〜173)とを備えることを特徴とする請求項1記載の筐体。
【請求項3】
前記コモンモードフィルタリングキャパシタ(170〜173)は、表面実装キャパシタであることを特徴とする請求項2記載の筐体。
【請求項4】
前記電気接続パッドは、
前記筐体の内部に露出される前記プリント配線基板(50)の内面に食刻されている内部電気接続平面(64、66、160、162)と、
−恒久的電気結合を提供するために、前記外部電気接続面(60、62)の一方の面と、前記内部電気接続平面(64、66)の他方の面とに固定して接合される複数の導電性横材(90、92、94)とを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項5】
前記電気接続面(60、62、64、66、140、150、160、162)は、少なくとも1cmの長さに対して、少なくとも1cmの幅を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項6】
前記電気接続パッドは、前記外部電気接続面に対する外部の前記ケーブルの取り外し可能なアタッチメント機構(10、102、104、106)を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項7】
電気接触面を有する突出部(72、74、120)を終端とする少なくとも1つのケーブル(76、78、122)を備え、
外部電気接続面(60、62、140、150)は、前記突出部の接触面に直接支持されている、請求項1〜6のいずれか1項に係る筐体を備えることを特徴とする電気カプリング。
【請求項8】
前記電気カプリングは、同じ電気接続パッドに電気的に接続されている2つの外部ケーブル(76、78)を有し、前記各外部ケーブルは、前記電気接触面を有する前記突出部(72、74)で終端し、
前記電気接続パッドの外部電気接続面(60)の前記面は、前記2つの外部ケーブルの前記突出部の接触面に対して十分に延在し、直接かつ同時に、前記外部電気接続平面上に互いに並んで支持されていることを特徴とする請求項7記載の電気カプリング。
【請求項9】
請求項7または8に係る電気接続面を備えることを特徴とする車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−520658(P2012−520658A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500208(P2012−500208)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053309
【国際公開番号】WO2010/106027
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(511226579)プジョー シトロエン オートモービル (1)
【出願人】(510132347)コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴ (51)
【出願人】(511227370)ソプラノ インダストリー (1)
【Fターム(参考)】