筐体のシール構造およびシール方法
【課題】コストを低く抑えるとともに、シール機能を維持できる筐体のシール構造およびシール方法を提供する。
【解決手段】本体部13と蓋部11とからなる筐体10について、本体部13の開口部を蓋部11で覆ってシールする筐体のシール構造において、少なくとも本体部13および蓋部11のうち一方または双方のシール面11c,13cに付着させる樹脂膜12を有し、樹脂膜12を付着させた後、本体部13の開口部を蓋部11で覆ってシールする構成とする。この構成によれば、樹脂膜12の付着は目的部位(シール面11c,13cのうち一方または双方を少なくとも含む)にのみ行えばよく、ガスケットをカットする際に生じる不要部分が無くなるので、コストを低く抑えることができる。また、上記目的部位にのみ樹脂膜12を付着させればよいので、樹脂膜12の剥がれ等がなく、シール機能を確実に維持できる。
【解決手段】本体部13と蓋部11とからなる筐体10について、本体部13の開口部を蓋部11で覆ってシールする筐体のシール構造において、少なくとも本体部13および蓋部11のうち一方または双方のシール面11c,13cに付着させる樹脂膜12を有し、樹脂膜12を付着させた後、本体部13の開口部を蓋部11で覆ってシールする構成とする。この構成によれば、樹脂膜12の付着は目的部位(シール面11c,13cのうち一方または双方を少なくとも含む)にのみ行えばよく、ガスケットをカットする際に生じる不要部分が無くなるので、コストを低く抑えることができる。また、上記目的部位にのみ樹脂膜12を付着させればよいので、樹脂膜12の剥がれ等がなく、シール機能を確実に維持できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体部と蓋部とからなる筐体のシール構造およびシール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、コンプレッサーにかかる本体部および蓋部のシール面(合わせ面を意味する。以下同じ。)にメタル製のガスケットを介在させて、コンプレッサーをシールする技術の一例が開示されている(例えば特許文献1を参照)。このガスケットは、シール面からの取り外しを容易にするとともに、取り外し後のガスケットを再利用可能とするために、フッ素ゴム水性塗料を塗布する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平03−067865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、本体部および蓋部のシール面にガスケットを介在させる構造では、ガスケットをシール面に合わせてカットする必要がある。打ち抜かれた部分は不要部分として廃材となるため、コストが嵩む。また、シール面に合わせてカットする際には、せっかく塗布したフッ素ゴム水性塗料が取れる場合がある。この場合には、取れた部位でシール機能を失ってしまうという問題点がある。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みてなしたものであり、コストを低く抑えるとともに、シール機能を維持できる筐体のシール構造およびシール方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、本体部と蓋部とからなる筐体について、前記本体部の開口部を前記蓋部で覆ってシールする筐体のシール構造において、前記本体部および前記蓋部のうち一方または双方のシール面に付着させる樹脂膜を有し、前記樹脂膜を付着させた後、前記本体部の開口部を前記蓋部で覆ってシールすることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、本体部のシール面に樹脂膜を付着させるか、蓋部のシール面に樹脂膜を付着させるか、いずれか一方または双方を予め行う。樹脂膜の付着後、本体部の開口部を蓋部で覆ってシールする。樹脂膜の付着は目的部位(少なくともシール面)にのみ行えばよく、ガスケットをカットする際に生じる不要部分が無くなるので、コストを低く抑えることができる。また、シール面にのみ樹脂膜を付着させればよいので、樹脂膜の剥がれ等がなく、シール機能を確実に維持できる。
【0008】
なお、「筐体」は本体部と蓋部とを有していれば任意である。例えば、本体部の開口部から内部に収容物(例えば基板,機器,部品等)を収容する中空状部材に限らず、所要の機能を実現するための部材や部品(例えばピストンやクランクシャフト等)を内蔵する構造物(例えばエンジン等)を含むものとする。「樹脂膜」は、シール面に付着してシール機能を奏する樹脂素材で形成される膜であれば任意である。樹脂素材は、例えばゴム(フッ素ゴム水性塗料等を含む。)や、付着する際に液状やゲル状の物質(一例として加熱して溶融させたポリプロピレン,ポリエチレン,エポキシ等)等が該当する。さらには、弾性機能を奏する弾性物質や、粘着力を奏する粘着物質等であるのが望ましい。「少なくともシール面に付着させる」とは、シール面のみに付着させてもよく、シール面およびシール面以外の部位(内面や外面等)の双方に付着させてもよいことを意味する。「付着」の方法は、シール面に樹脂膜を形成できれば任意の方法でよい。例えば、液状樹脂を塗装する方法や、ゲル状樹脂を塗布する方法等が該当する。「シール」は本体部を蓋部で覆って内外を遮断する状態であるが、一般的には締結手段(例えばボルトおよびナットや、雄ネジおよび雌ネジ等)や係止手段等を用いて組み立てる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記樹脂膜は、シール面以外の部位であって、前記本体部および前記蓋部のうち一方または双方にさらに付着させることを特徴とする。この構成によれば、筐体の内部に収容する収容物によって発生する音が外部(すなわち筐体外)に漏れるのを防止することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記樹脂膜は、弾性物質であることを特徴とする。この構成によれば、樹脂膜の表面に多少の凹凸がある場合や、樹脂膜に接する本体部や蓋部のシール面に多少の凹凸がある場合でも、本体部と蓋部とを密着してシールすることができる。したがって、シール機能をより確実に維持できる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記樹脂膜は、液状樹脂の塗装およびゲル状樹脂の塗布のうち一方また双方により、前記シール面に付着させることを特徴とする。この構成によれば、液状樹脂を塗装したり、ゲル状樹脂を塗布したりすればよい。シール面に絞って行えばよいので、原材料の使用を最小限に抑えることができる。したがって、無駄がなくなるので、コストを低く抑えることができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記本体部および前記蓋部のうち一方または双方は、鉄,アルミニウムおよびマグネシウムのうちいずれかの原材料を用いて形成することを特徴とする。この構成によれば、鉄,アルミニウムおよびマグネシウムによって形成されるシール面は、樹脂膜を付着させやすい。したがって、付着をさせ易くする工程(例えばシール面に凹凸を付す工程等)が不要になるので、コストを低く抑えることができる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記本体部および前記蓋部のうち一方または双方であって、前記樹脂膜の側面に対向する壁部を備えることを特徴とする。「樹脂膜の側面に対向する」部位は、本体部と蓋部との狭圧によって樹脂膜が膨出するのを阻止する部位である。この構成によれば、締結等によって本体部と蓋部との狭圧によって圧縮された樹脂膜は、その一部(特に側面)が膨出するが、壁部によって阻止される。したがって、シール性を向上させることができる。
【0014】
請求項7に記載の発明は、本体部と蓋部とからなる筐体について、前記本体部の開口部を前記蓋部で覆ってシールする筐体のシール方法において、前記本体部および前記蓋部のうち一方または双方のシール面に樹脂膜を付着させる膜付着工程と、前記膜付着工程の後、前記本体部の開口部を前記蓋部で覆ってシールするシール工程とを有することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、膜付着工程では、本体部のシール面に樹脂膜を付着させるか、蓋部のシール面に樹脂膜を付着させるか、いずれか一方または双方を行う。膜付着工程の後にシール工程を行うことで、本体部の開口部を蓋部で覆ってシールする。膜付着工程では樹脂膜の付着をシール面にのみ行えばよく、ガスケットをカットする際に生じる不要部分が無くなるので、コストを低く抑えることができる。また、シール面にのみ樹脂膜を付着させればよいので、樹脂膜の剥がれ等がなく、シール機能を確実に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のシール構造を模式的に示す部分断面図である。
【図2】蓋部のシール面に塗装により樹脂膜を形成する例を示す側面図である。
【図3】本体部(開口部)を蓋部で覆ってシールする例を示す部分断面図である。
【図4】蓋部の内部側に樹脂膜を形成する例を示す部分断面図である。
【図5】本体部(開口部)を蓋部で覆ってシールする例を示す部分断面図である。
【図6】本体部内側に壁部を形成する例を示す部分断面図である。
【図7】本体部内側と蓋部外側とに壁部を形成する例を示す部分断面図である。
【図8】本体部のシール面に樹脂膜を形成する例を示す部分断面図である。
【図9】本体部と蓋部の両シール面に樹脂膜を形成する例を示す部分断面図である。
【図10】蓋部の内外両側に樹脂膜を形成する例を示す部分断面図である。
【図11】周縁部位を有しない本体部の一例を示す部分断面図である。
【図12】蓋部のシール面に塗布により樹脂膜を形成する例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお、各図に示す部材の厚みは正確ではなく、分かり易くするために特に樹脂膜を厚く描いている。
【0018】
〔実施の形態1〕
実施の形態1は、シール面の一方にのみ樹脂膜を付着させる例であって、図1,図2,図3を参照しながら説明する。図1には、シール構造を模式的に部分断面図で示す。図2には、蓋部のシール面に塗装により樹脂膜を付着する例を側面図で示す。図3には、本体部(開口部)を蓋部で覆ってシールする例を部分断面図で示す。
【0019】
図1に示す筐体10は、開口部を有する本体部13と、当該開口部を覆う蓋部11とからなる。この筐体10は、本体部13の開口部から内部に収容物(例えば基板や部品等)を収容する中空状部材である。本体部13および蓋部11のうち一方または双方は、鉄,アルミニウムおよびマグネシウムのうちいずれかの原材料(金属)を用いて形成する。原材料は一種類のみでもよく、二種類以上を組み合わせた合金でもよい。また、これらの原材料を用いて形成するのは、本体部13や蓋部11の全体でもよく、一部(特に後述するシール面11c,13c)のみでもよい。
【0020】
本体部13の開口部周縁には、外側(図面左側)に向けて突起させた周縁部位13aを有する。この周縁部位13aには、シール面13cと、後述する雄ネジ14による締結を行うための雌ネジ孔13bとを備える。蓋部11には、シール面11cと、外側(図面左側)に向けて突起させた周縁部位11aとを有する。シール面13cとシール面11cとは、密閉性を確保するために平面形状(図示せず)がほぼ同一に形成される。雌ネジ孔11bと雌ネジ孔13bとは組となり、同軸上に形成される。筐体10全体では、複数組(例えば8組)が形成される。本例では、シール面11cにのみ樹脂膜12を付着させている。この付着方法について図2を参照しながら説明する。
【0021】
図2に示す蓋部11は、塗装を行うため、図1とは上下の向きを反対に設置する。塗装機20を矢印D1方向に移動(往復移動または周回移動)させることを繰り返し、シール面11cに樹脂膜12が所要の膜厚(例えば50〜500[μm]程度)となるように吹き付け塗装する。塗装機20の噴射口から噴射させる物質は、樹脂膜12の樹脂素材(液状樹脂)である。樹脂素材は、例えばフッ素ゴムやニトリルゴム(NBR)等を主体とするが、必要に応じて無機粒子(例えばフッ素樹脂粒子やSiC、Al2O3等)を混合してもよい。フッ素ゴム(弾性機能を奏する弾性物質)は、フッ化ビニリデン(VdF)を主成分とするもの、VdFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)との共重合体、上記VdF−HFP共重合体とテトラフルオロエチレン(TFE)との3元共重合体、TFEとプロピレンとの交互共重合体等のフッ素系エラストマーが該当する。その他、VdF−クロロトリフルオロエチレン共重合体や、例えばシリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム等とVdFを主成分とする上記フッ素系エラストマーとの混合物を用いてもよい。また、付着する際に液状やゲル状の物質(一例として加熱して溶融させたポリプロピレン,ポリエチレン,エポキシ等)を用いてもよい。さらには、粘着力を奏する粘着物質を用いてもよい。
【0022】
シール面11cに樹脂膜12を付着した後、本体部13のシール面13cと蓋部11のシール面11cとを合わせる。この状態で雌ネジ孔11b,13bに雄ネジ14をねじ込んで締結すると、図3のようになる。当該図3から明らかなように、組み立てられた筐体10は、シール面11cとシール面13cとの間に圧縮された樹脂膜12が介在し、当該樹脂膜12によって筐体10がシールされる。
【0023】
上述した実施の形態1によれば、以下に示す各効果を得ることができる。
【0024】
請求項1,7に対応し、本体部13と蓋部11とからなる筐体10について、本体部13および蓋部11のうち一方または双方のシール面11cに付着させる樹脂膜12を有し、樹脂膜12をシール面11cに付着させ(膜付着工程)、付着後に本体部13の開口部を蓋部11で覆ってシールする構成とした(シール工程;図3を参照)。この構成によれば、樹脂膜12の付着はシール面11cにのみ行えばよく、ガスケットをカットする際に生じる不要部分が無くなるので、コストを低く抑えることができる。また、シール面11cに樹脂膜12を付着した後はカット等を行う必要がないので、樹脂膜12の剥がれ等がなく、シール機能を確実に維持できる。さらに、筐体10を組み立てるとき、従来ではガスケットをシール面に組み付ける工程が必要であったが、本発明では予めシール面11cに樹脂膜12が付着しているので組み立て時間を短縮することができる。
【0025】
請求項3に対応し、樹脂膜12には弾性物質を用いる構成とした(図1〜図3を参照)。この構成によれば、樹脂膜12の表面に多少の凹凸がある場合や、樹脂膜12に接する本体部13のシール面13cに多少の凹凸がある場合でも、シール面11c,13cによって圧縮されて弾性変形した樹脂膜12がシール面13cの全体に確実に密着してシールすることができる。このことは、樹脂膜12を付着させる蓋部11のシール面11cに多少の凹凸がある場合でも同様である。したがって、シール機能をより確実に維持できる。
【0026】
請求項4に対応し、樹脂膜12は液状樹脂の塗装により、シール面11cに付着させる構成とした(図2を参照)。この構成によれば、液状樹脂の塗装はシール面11cに絞って行えばよいので、原材料の使用を最小限に抑えることができる。したがって、無駄がなくなるので、コストを低く抑えることができる。
【0027】
請求項5に対応し、本体部13および蓋部11のうち一方または双方は、鉄,アルミニウムおよびマグネシウムのうちいずれかの原材料を用いて形成する構成とした。この構成によれば、鉄,アルミニウムおよびマグネシウムの原材料で形成すると、樹脂膜12を付着させやすい。したがって、付着をさせ易くする工程(例えばシール面11cに凹凸を付す工程等)が不要になるので、コストを低く抑えることができる。
【0028】
〔実施の形態2〕
実施の形態2は、実施の形態1と同様にシール面の一方にのみ樹脂膜を付着させる例であって、図4,図5を参照しながら説明する。図4には、蓋部の内部側に樹脂膜を付着する例を部分断面図で示す。図5には、本体部(開口部)を蓋部で覆ってシールする例を部分断面図で示す。なお図示および説明を簡単にするために、実施の形態2では実施の形態1と異なる点について説明する。よって、実施の形態1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0029】
図4に示す筐体10は、樹脂膜12について、シール面11cだけでなく蓋部11の内面11d全体にも付着させる点で実施の形態1と相違する。付着方法は、図2に示すように、塗装機20によってシール面11cおよび内面11dの双方に樹脂素材(液状樹脂)を噴射して付着させ、樹脂膜12を付着すればよい。
【0030】
シール面11cおよび内面11dの双方に樹脂膜12を付着した後、本体部13のシール面13cと蓋部11のシール面11cとを合わせる。この状態で雌ネジ孔11b,13bに雄ネジ14をねじ込んで締結すると、図5のようになる。当該図5から明らかなように、組み立てられた筐体10は、シール面11cとシール面13cとの間に樹脂膜12が介在し、当該樹脂膜12によって筐体10がシールされる。また、内面11d全体に付着された樹脂膜12は、筐体10に収容される収容物(例えば基板,機器,部品等)によって発生する音(例えばノイズ等)が外部に漏れるのを防止できる。
【0031】
上述した実施の形態2によれば、請求項2に対応し、樹脂膜12はシール面11c以外の部位(すなわち蓋部11の内面11d)に付着させる構成とした(図5を参照)。この構成によれば、筐体10の内部に収容する収容物によって発生する音が漏れるのを防止することができる。その他については実施の形態1と同様の構成であるので、当該実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0032】
〔実施の形態3〕
実施の形態3は、実施の形態1と同様にシール面の一方にのみ樹脂膜を付着させる例であって、図6を参照しながら説明する。図6には、本体部内側に壁部を形成する例を部分断面図で示す。なお図示および説明を簡単にするために、実施の形態3では実施の形態1と異なる点について説明する。よって、実施の形態1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
図6に示す筐体10は、本体部13について、樹脂膜12の側面に対向する部位に壁部13dを備える点で実施の形態1と相違する。この壁部13dは、本体部13を蓋部11で覆ってシールするとき、本体部13と蓋部11との境界に位置するシール面11cの側方(図6では右側)に位置して備える。壁部13dの高さ(すなわちシール面13cから突出する高さ)は、樹脂膜12の膜厚と同等かそれ以上で設定する。なお本例の壁部13dは、図6に示すように本体部13の一部を突出させて一体形成したが、壁部13dに相当する板状部材を本体部13の内面側に固定(締結や溶接等)してもよい。弾性物質の樹脂膜12が押し出されて逃げる余地を確保するため、蓋部11の内面と壁部13dとの間に間隙Crを設けるのが望ましい。当該間隙Crの幅は任意に設定してよいが、樹脂膜12の膜厚と同等か、それ以下でも十分である。
【0034】
先にシール面11cに樹脂膜12を付着した後(図2を参照)、本体部13のシール面13cと蓋部11のシール面11cとを合わせる。この状態で雌ネジ孔11b,13bに雄ネジ14をねじ込んで締結すると、図6のようになる。当該図6から明らかなように、組み立てられた筐体10は、シール面11cとシール面13cとの間に樹脂膜12が介在し、当該樹脂膜12によって筐体10がシールされる。このとき、シール面11cに付着された樹脂膜12の膜厚に多少のむらがあったとしても、厚い部位は押し出されて間隙Crに入り、薄い部位はそのままになる。よって、樹脂膜12の膜厚が変動する場合でも確実にシールすることができる。
【0035】
上述した実施の形態3によれば、請求項6に対応し、本体部13のシール面13cについて、樹脂膜12の側面に対向する壁部13dを備える構成とした(図6を参照)。この構成によれば、本体部13と蓋部11との狭圧によって樹脂膜12が圧縮され、その一部(特に側面)が膨出しても、壁部13dによって阻止される。したがって、シール性を向上させることができる。その他については実施の形態1と同様の構成であるので、当該実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0036】
〔実施の形態4〕
実施の形態4は、実施の形態1と同様にシール面の一方にのみ樹脂膜を付着させる例であって、図7を参照しながら説明する。図7には、本体部内側と蓋部外側とに壁部を形成する例を部分断面図で示す。なお図示および説明を簡単にするために、実施の形態4では実施の形態1と異なる点について説明する。よって、実施の形態1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
図7に示す筐体10は、本体部13および蓋部11の双方について、シール面11c,13cに樹脂膜12の側面に対向する壁部11e,13dを備える点で実施の形態1と相違する。具体的には、実施の形態3と同様に本体部13の内面側に壁部13dを備え、さらに蓋部11の外面側に壁部11eを備える。これらの壁部11e,13dは、本体部13を蓋部11で覆ってシールするとき、本体部13と蓋部11との境界に位置するシール面11c,13cの側方(図7では左右両側)に位置して備える。本例の壁部11e,13dは、図6に示すように本体部13および蓋部11の一部をそれぞれ突出させて一体形成したが、壁部11e,13dに相当する板状部材を本体部13の内面側および蓋部11の外面側にそれぞれ固定(締結や溶接等)してもよい。弾性物質の樹脂膜12が押し出されて逃げる余地を確保するため、蓋部11の内面と壁部13dとの間、本体部13の外面と壁部11eとの間にはそれぞれ間隙Crを設けるのが望ましい。当該間隙Crの幅は任意に設定してよいが、樹脂膜12の膜厚と同等か、それ以下でも十分である。
【0038】
先にシール面11cに樹脂膜12を付着した後(図2を参照)、本体部13のシール面13cと蓋部11のシール面11cとを合わせる。この状態で雌ネジ孔11b,13bに雄ネジ14をねじ込んで締結すると、図7のようになる。当該図7から明らかなように、組み立てられた筐体10は、シール面11cとシール面13cとの間に樹脂膜12が介在し、当該樹脂膜12によって筐体10がシールされる。このとき、シール面11cに付着された樹脂膜12の膜厚に多少のむらがあったとしても、厚い部位は押し出されて両側の間隙Crに入り、薄い部位はそのままになる。よって、樹脂膜12の膜厚が変動する場合でも確実にシールすることができる。また、壁部11eは樹脂膜12を覆うことになるので、樹脂膜12を保護することができる。
【0039】
上述した実施の形態4によれば、請求項6に対応し、本体部13のシール面13cおよび蓋部11のシール面11cについて、樹脂膜12の側面に対向する壁部11e,13dを備える構成とした(図7を参照)。この構成によれば、本体部13と蓋部11との狭圧によって樹脂膜12が圧縮され、その一部(特に側面)が膨出しても、壁部11e,13dによって阻止される。したがって、シール性を向上させることができる。その他については実施の形態1と同様の構成であるので、当該実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0040】
〔他の実施の形態〕
以上では本発明を実施するための形態について実施の形態1〜4に従って説明したが、本発明は当該形態に何ら限定されるものではない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。例えば、次に示す各形態を実現してもよい。
【0041】
実施の形態1〜4では、蓋部11のシール面11cにのみ樹脂膜12を付着させる構成とした(図1〜図7を参照)。この形態に代えて、図8に示すように本体部13のシール面13cにのみ樹脂膜12を付着させる構成としてもよく、図9に示すようにシール面11cおよびシール面13cの双方に樹脂膜12を付着させる構成としてもよい。いずれの構成も実施の形態1〜4に適用することができる。単に付着させるシール面が異なるだけであるので、実施の形態1〜4と同様の作用効果を得ることができる。
【0042】
実施の形態2では、蓋部11の内面11d全体に樹脂膜12を付着させる構成とした(図4,図5を参照)。この形態に代えて、図10に示すように、内面11d全体に樹脂膜12aを付着させるとともに、外面11f全体に樹脂膜12bを付着させる構成としてもよい。この場合、樹脂膜12aが膜厚T1となり、樹脂膜12bが膜厚T2(ただし、T2<T1)となるように調整する。膜厚T1は、実施の形態2で示したように所要の膜厚(例えば50〜500[μm]程度)である。言い換えると、外面11fに付着する樹脂膜12bは塗装や錆止め等の代わりに行う。この構成によれば、蓋部11の内面11dと外面11fを同じ素材を用いて覆うので、別個の素材を用いるよりもコストが低く抑えられる。
【0043】
なお、実施の形態2および上述した形態は蓋部11を対象としたが、本体部13を対象として行ってもよい。すなわち、本体部13の内面全体に樹脂膜12を付着させる構成や、本体部13の内面全体および外面全体の双方に膜厚を変えて樹脂膜12を付着させる構成が該当する。蓋部11および本体部13の双方に対しても同様に構成してもよい。いずれの構成にせよ、別個の素材を用いるよりもコストが低く抑えられる。
【0044】
実施の形態1〜4では、筐体10は、周縁部位13aを有する構造の本体部13と、周縁部位11aを有する構造の蓋部11とで構成した(図1〜図7を参照)。この形態に代えて、本体部13および蓋部11のうち一方または双方が周縁部位を有しない構造としてもよい。例えば、周縁部位13aを有しない本体部13の一例を図11に示す。図11に示す本体部13は、本体部13の側壁が厚く(側壁内部に空洞があるか否かを問わない)、上面となる部位がそのままシール面13cとなる構造である。このことは、蓋部11についても同様に構成することができる。これらの構造であっても、シール面を有する点は変わりないので、実施の形態1〜4と同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
実施の形態1〜4では、シール面11c,13cに樹脂膜12を付着させる方法として塗装機20を用いた塗装で実現した(図2を参照)。この形態に代えて、樹脂素材がゲル状樹脂を用いる場合には、図12に示すように塗布機21を用いて矢印D2に移動させ、シール面11cに塗布してもよい。ゲル状樹脂は半流動的であるので、シール面11cに合わせた形状のノズルを用いることで1回の塗布を行えば済む。単に付着方法が異なるだけであるので、実施の形態1〜4と同様の作用効果を得ることができる。また、ゲル状態から硬化状態に変化する時間が短い樹脂(例えば紫外線の照射により硬化する紫外線硬化樹脂等)を選択すると、塗布から締結までの時間を短縮することができる。
【0046】
実施の形態1〜4では、シール面11cとシール面13cとを合わせた後、雌ネジ孔11b,13bに雄ネジ14をねじ込んで締結を行って筐体10を組み立てる構成とした(図1,図3を参照)。この形態に代えて、筐体10を組み立てる他の手段によって組み立てる構成としてもよい。他の手段は、例えば雌ネジ孔11b,13bに代えて貫通穴を形成し、当該貫通穴にボルトを通してナットで締結する手段が該当する。また、雌ネジ孔11b,13bに代えて、いずれか一方に被係止部(例えば小孔)を備え、他方に係止部(例えば弾性変形する爪片)を備える手段が該当する。この場合は、シール面11cとシール面13cとを合わせるときに被係止部に係止部が係止して組み立てを完了する。いずれの他の手段であっても、筐体10の組み立てを完了すれば、本体部13と蓋部11との境界(すなわちシール面11c,13cの接触部)を確実にシールすることができる。
【0047】
実施の形態1〜4では、筐体10は、本体部13の開口部から内部に収容物を収容する中空状部材で構成した(図1〜図7を参照)。この形態に代えて、本体部と蓋部とからなり、所要の機能を実現するための部材や部品(例えばピストンやクランクシャフト等)を内蔵する構造物(例えばエンジン等)で構成してもよい。エンジンを例にすると、エンジンブロックが本体部に相当し、エンジンヘッドが蓋部に相当する。単に本体部と蓋部の種類が異なるだけであるので、実施の形態1〜4と同様の作用効果を得ることができる。
【0048】
実施の形態1〜4では、いずれもシール面11c,13cを平面に形成した(図1〜図7を参照)。この形態に代えて、平面以外の凹凸状に形成してもよい。例えば、シール面11cを凸状に形成し、シール面13cを凹状に形成する(逆の形態でもよい)。この形態であっても、樹脂膜12によるシール面を行えるので、実施の形態1〜4と同様の作用効果を得ることができる。
【0049】
実施の形態1〜4では、筐体10(すなわち本体部13および蓋部11)は、鉄,アルミニウムおよびマグネシウムのうちいずれかの原材料を用いて形成した(図1〜図7を参照)。この形態に代えて、他の原材料を用いて形成してもよい。他の原材料は、鉄,アルミニウムおよびマグネシウムを除いた金属(合金を含む。)や、樹脂、繊維強化プラスチック(FRP)等が該当する。単に原材料が異なるだけであるので、実施の形態1〜4と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0050】
10 筐体
11 蓋部
11a,13a 周縁部位
11b,13b 雌ネジ孔(締結手段)
11c,13c シール面
11d 内面
11e,13d 壁部
11f 外面
12(12a,12b) 樹脂膜
13 本体部
14 雄ネジ(締結手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体部と蓋部とからなる筐体のシール構造およびシール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、コンプレッサーにかかる本体部および蓋部のシール面(合わせ面を意味する。以下同じ。)にメタル製のガスケットを介在させて、コンプレッサーをシールする技術の一例が開示されている(例えば特許文献1を参照)。このガスケットは、シール面からの取り外しを容易にするとともに、取り外し後のガスケットを再利用可能とするために、フッ素ゴム水性塗料を塗布する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平03−067865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、本体部および蓋部のシール面にガスケットを介在させる構造では、ガスケットをシール面に合わせてカットする必要がある。打ち抜かれた部分は不要部分として廃材となるため、コストが嵩む。また、シール面に合わせてカットする際には、せっかく塗布したフッ素ゴム水性塗料が取れる場合がある。この場合には、取れた部位でシール機能を失ってしまうという問題点がある。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みてなしたものであり、コストを低く抑えるとともに、シール機能を維持できる筐体のシール構造およびシール方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、本体部と蓋部とからなる筐体について、前記本体部の開口部を前記蓋部で覆ってシールする筐体のシール構造において、前記本体部および前記蓋部のうち一方または双方のシール面に付着させる樹脂膜を有し、前記樹脂膜を付着させた後、前記本体部の開口部を前記蓋部で覆ってシールすることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、本体部のシール面に樹脂膜を付着させるか、蓋部のシール面に樹脂膜を付着させるか、いずれか一方または双方を予め行う。樹脂膜の付着後、本体部の開口部を蓋部で覆ってシールする。樹脂膜の付着は目的部位(少なくともシール面)にのみ行えばよく、ガスケットをカットする際に生じる不要部分が無くなるので、コストを低く抑えることができる。また、シール面にのみ樹脂膜を付着させればよいので、樹脂膜の剥がれ等がなく、シール機能を確実に維持できる。
【0008】
なお、「筐体」は本体部と蓋部とを有していれば任意である。例えば、本体部の開口部から内部に収容物(例えば基板,機器,部品等)を収容する中空状部材に限らず、所要の機能を実現するための部材や部品(例えばピストンやクランクシャフト等)を内蔵する構造物(例えばエンジン等)を含むものとする。「樹脂膜」は、シール面に付着してシール機能を奏する樹脂素材で形成される膜であれば任意である。樹脂素材は、例えばゴム(フッ素ゴム水性塗料等を含む。)や、付着する際に液状やゲル状の物質(一例として加熱して溶融させたポリプロピレン,ポリエチレン,エポキシ等)等が該当する。さらには、弾性機能を奏する弾性物質や、粘着力を奏する粘着物質等であるのが望ましい。「少なくともシール面に付着させる」とは、シール面のみに付着させてもよく、シール面およびシール面以外の部位(内面や外面等)の双方に付着させてもよいことを意味する。「付着」の方法は、シール面に樹脂膜を形成できれば任意の方法でよい。例えば、液状樹脂を塗装する方法や、ゲル状樹脂を塗布する方法等が該当する。「シール」は本体部を蓋部で覆って内外を遮断する状態であるが、一般的には締結手段(例えばボルトおよびナットや、雄ネジおよび雌ネジ等)や係止手段等を用いて組み立てる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記樹脂膜は、シール面以外の部位であって、前記本体部および前記蓋部のうち一方または双方にさらに付着させることを特徴とする。この構成によれば、筐体の内部に収容する収容物によって発生する音が外部(すなわち筐体外)に漏れるのを防止することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記樹脂膜は、弾性物質であることを特徴とする。この構成によれば、樹脂膜の表面に多少の凹凸がある場合や、樹脂膜に接する本体部や蓋部のシール面に多少の凹凸がある場合でも、本体部と蓋部とを密着してシールすることができる。したがって、シール機能をより確実に維持できる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記樹脂膜は、液状樹脂の塗装およびゲル状樹脂の塗布のうち一方また双方により、前記シール面に付着させることを特徴とする。この構成によれば、液状樹脂を塗装したり、ゲル状樹脂を塗布したりすればよい。シール面に絞って行えばよいので、原材料の使用を最小限に抑えることができる。したがって、無駄がなくなるので、コストを低く抑えることができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記本体部および前記蓋部のうち一方または双方は、鉄,アルミニウムおよびマグネシウムのうちいずれかの原材料を用いて形成することを特徴とする。この構成によれば、鉄,アルミニウムおよびマグネシウムによって形成されるシール面は、樹脂膜を付着させやすい。したがって、付着をさせ易くする工程(例えばシール面に凹凸を付す工程等)が不要になるので、コストを低く抑えることができる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記本体部および前記蓋部のうち一方または双方であって、前記樹脂膜の側面に対向する壁部を備えることを特徴とする。「樹脂膜の側面に対向する」部位は、本体部と蓋部との狭圧によって樹脂膜が膨出するのを阻止する部位である。この構成によれば、締結等によって本体部と蓋部との狭圧によって圧縮された樹脂膜は、その一部(特に側面)が膨出するが、壁部によって阻止される。したがって、シール性を向上させることができる。
【0014】
請求項7に記載の発明は、本体部と蓋部とからなる筐体について、前記本体部の開口部を前記蓋部で覆ってシールする筐体のシール方法において、前記本体部および前記蓋部のうち一方または双方のシール面に樹脂膜を付着させる膜付着工程と、前記膜付着工程の後、前記本体部の開口部を前記蓋部で覆ってシールするシール工程とを有することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、膜付着工程では、本体部のシール面に樹脂膜を付着させるか、蓋部のシール面に樹脂膜を付着させるか、いずれか一方または双方を行う。膜付着工程の後にシール工程を行うことで、本体部の開口部を蓋部で覆ってシールする。膜付着工程では樹脂膜の付着をシール面にのみ行えばよく、ガスケットをカットする際に生じる不要部分が無くなるので、コストを低く抑えることができる。また、シール面にのみ樹脂膜を付着させればよいので、樹脂膜の剥がれ等がなく、シール機能を確実に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のシール構造を模式的に示す部分断面図である。
【図2】蓋部のシール面に塗装により樹脂膜を形成する例を示す側面図である。
【図3】本体部(開口部)を蓋部で覆ってシールする例を示す部分断面図である。
【図4】蓋部の内部側に樹脂膜を形成する例を示す部分断面図である。
【図5】本体部(開口部)を蓋部で覆ってシールする例を示す部分断面図である。
【図6】本体部内側に壁部を形成する例を示す部分断面図である。
【図7】本体部内側と蓋部外側とに壁部を形成する例を示す部分断面図である。
【図8】本体部のシール面に樹脂膜を形成する例を示す部分断面図である。
【図9】本体部と蓋部の両シール面に樹脂膜を形成する例を示す部分断面図である。
【図10】蓋部の内外両側に樹脂膜を形成する例を示す部分断面図である。
【図11】周縁部位を有しない本体部の一例を示す部分断面図である。
【図12】蓋部のシール面に塗布により樹脂膜を形成する例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお、各図に示す部材の厚みは正確ではなく、分かり易くするために特に樹脂膜を厚く描いている。
【0018】
〔実施の形態1〕
実施の形態1は、シール面の一方にのみ樹脂膜を付着させる例であって、図1,図2,図3を参照しながら説明する。図1には、シール構造を模式的に部分断面図で示す。図2には、蓋部のシール面に塗装により樹脂膜を付着する例を側面図で示す。図3には、本体部(開口部)を蓋部で覆ってシールする例を部分断面図で示す。
【0019】
図1に示す筐体10は、開口部を有する本体部13と、当該開口部を覆う蓋部11とからなる。この筐体10は、本体部13の開口部から内部に収容物(例えば基板や部品等)を収容する中空状部材である。本体部13および蓋部11のうち一方または双方は、鉄,アルミニウムおよびマグネシウムのうちいずれかの原材料(金属)を用いて形成する。原材料は一種類のみでもよく、二種類以上を組み合わせた合金でもよい。また、これらの原材料を用いて形成するのは、本体部13や蓋部11の全体でもよく、一部(特に後述するシール面11c,13c)のみでもよい。
【0020】
本体部13の開口部周縁には、外側(図面左側)に向けて突起させた周縁部位13aを有する。この周縁部位13aには、シール面13cと、後述する雄ネジ14による締結を行うための雌ネジ孔13bとを備える。蓋部11には、シール面11cと、外側(図面左側)に向けて突起させた周縁部位11aとを有する。シール面13cとシール面11cとは、密閉性を確保するために平面形状(図示せず)がほぼ同一に形成される。雌ネジ孔11bと雌ネジ孔13bとは組となり、同軸上に形成される。筐体10全体では、複数組(例えば8組)が形成される。本例では、シール面11cにのみ樹脂膜12を付着させている。この付着方法について図2を参照しながら説明する。
【0021】
図2に示す蓋部11は、塗装を行うため、図1とは上下の向きを反対に設置する。塗装機20を矢印D1方向に移動(往復移動または周回移動)させることを繰り返し、シール面11cに樹脂膜12が所要の膜厚(例えば50〜500[μm]程度)となるように吹き付け塗装する。塗装機20の噴射口から噴射させる物質は、樹脂膜12の樹脂素材(液状樹脂)である。樹脂素材は、例えばフッ素ゴムやニトリルゴム(NBR)等を主体とするが、必要に応じて無機粒子(例えばフッ素樹脂粒子やSiC、Al2O3等)を混合してもよい。フッ素ゴム(弾性機能を奏する弾性物質)は、フッ化ビニリデン(VdF)を主成分とするもの、VdFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)との共重合体、上記VdF−HFP共重合体とテトラフルオロエチレン(TFE)との3元共重合体、TFEとプロピレンとの交互共重合体等のフッ素系エラストマーが該当する。その他、VdF−クロロトリフルオロエチレン共重合体や、例えばシリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム等とVdFを主成分とする上記フッ素系エラストマーとの混合物を用いてもよい。また、付着する際に液状やゲル状の物質(一例として加熱して溶融させたポリプロピレン,ポリエチレン,エポキシ等)を用いてもよい。さらには、粘着力を奏する粘着物質を用いてもよい。
【0022】
シール面11cに樹脂膜12を付着した後、本体部13のシール面13cと蓋部11のシール面11cとを合わせる。この状態で雌ネジ孔11b,13bに雄ネジ14をねじ込んで締結すると、図3のようになる。当該図3から明らかなように、組み立てられた筐体10は、シール面11cとシール面13cとの間に圧縮された樹脂膜12が介在し、当該樹脂膜12によって筐体10がシールされる。
【0023】
上述した実施の形態1によれば、以下に示す各効果を得ることができる。
【0024】
請求項1,7に対応し、本体部13と蓋部11とからなる筐体10について、本体部13および蓋部11のうち一方または双方のシール面11cに付着させる樹脂膜12を有し、樹脂膜12をシール面11cに付着させ(膜付着工程)、付着後に本体部13の開口部を蓋部11で覆ってシールする構成とした(シール工程;図3を参照)。この構成によれば、樹脂膜12の付着はシール面11cにのみ行えばよく、ガスケットをカットする際に生じる不要部分が無くなるので、コストを低く抑えることができる。また、シール面11cに樹脂膜12を付着した後はカット等を行う必要がないので、樹脂膜12の剥がれ等がなく、シール機能を確実に維持できる。さらに、筐体10を組み立てるとき、従来ではガスケットをシール面に組み付ける工程が必要であったが、本発明では予めシール面11cに樹脂膜12が付着しているので組み立て時間を短縮することができる。
【0025】
請求項3に対応し、樹脂膜12には弾性物質を用いる構成とした(図1〜図3を参照)。この構成によれば、樹脂膜12の表面に多少の凹凸がある場合や、樹脂膜12に接する本体部13のシール面13cに多少の凹凸がある場合でも、シール面11c,13cによって圧縮されて弾性変形した樹脂膜12がシール面13cの全体に確実に密着してシールすることができる。このことは、樹脂膜12を付着させる蓋部11のシール面11cに多少の凹凸がある場合でも同様である。したがって、シール機能をより確実に維持できる。
【0026】
請求項4に対応し、樹脂膜12は液状樹脂の塗装により、シール面11cに付着させる構成とした(図2を参照)。この構成によれば、液状樹脂の塗装はシール面11cに絞って行えばよいので、原材料の使用を最小限に抑えることができる。したがって、無駄がなくなるので、コストを低く抑えることができる。
【0027】
請求項5に対応し、本体部13および蓋部11のうち一方または双方は、鉄,アルミニウムおよびマグネシウムのうちいずれかの原材料を用いて形成する構成とした。この構成によれば、鉄,アルミニウムおよびマグネシウムの原材料で形成すると、樹脂膜12を付着させやすい。したがって、付着をさせ易くする工程(例えばシール面11cに凹凸を付す工程等)が不要になるので、コストを低く抑えることができる。
【0028】
〔実施の形態2〕
実施の形態2は、実施の形態1と同様にシール面の一方にのみ樹脂膜を付着させる例であって、図4,図5を参照しながら説明する。図4には、蓋部の内部側に樹脂膜を付着する例を部分断面図で示す。図5には、本体部(開口部)を蓋部で覆ってシールする例を部分断面図で示す。なお図示および説明を簡単にするために、実施の形態2では実施の形態1と異なる点について説明する。よって、実施の形態1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0029】
図4に示す筐体10は、樹脂膜12について、シール面11cだけでなく蓋部11の内面11d全体にも付着させる点で実施の形態1と相違する。付着方法は、図2に示すように、塗装機20によってシール面11cおよび内面11dの双方に樹脂素材(液状樹脂)を噴射して付着させ、樹脂膜12を付着すればよい。
【0030】
シール面11cおよび内面11dの双方に樹脂膜12を付着した後、本体部13のシール面13cと蓋部11のシール面11cとを合わせる。この状態で雌ネジ孔11b,13bに雄ネジ14をねじ込んで締結すると、図5のようになる。当該図5から明らかなように、組み立てられた筐体10は、シール面11cとシール面13cとの間に樹脂膜12が介在し、当該樹脂膜12によって筐体10がシールされる。また、内面11d全体に付着された樹脂膜12は、筐体10に収容される収容物(例えば基板,機器,部品等)によって発生する音(例えばノイズ等)が外部に漏れるのを防止できる。
【0031】
上述した実施の形態2によれば、請求項2に対応し、樹脂膜12はシール面11c以外の部位(すなわち蓋部11の内面11d)に付着させる構成とした(図5を参照)。この構成によれば、筐体10の内部に収容する収容物によって発生する音が漏れるのを防止することができる。その他については実施の形態1と同様の構成であるので、当該実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0032】
〔実施の形態3〕
実施の形態3は、実施の形態1と同様にシール面の一方にのみ樹脂膜を付着させる例であって、図6を参照しながら説明する。図6には、本体部内側に壁部を形成する例を部分断面図で示す。なお図示および説明を簡単にするために、実施の形態3では実施の形態1と異なる点について説明する。よって、実施の形態1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
図6に示す筐体10は、本体部13について、樹脂膜12の側面に対向する部位に壁部13dを備える点で実施の形態1と相違する。この壁部13dは、本体部13を蓋部11で覆ってシールするとき、本体部13と蓋部11との境界に位置するシール面11cの側方(図6では右側)に位置して備える。壁部13dの高さ(すなわちシール面13cから突出する高さ)は、樹脂膜12の膜厚と同等かそれ以上で設定する。なお本例の壁部13dは、図6に示すように本体部13の一部を突出させて一体形成したが、壁部13dに相当する板状部材を本体部13の内面側に固定(締結や溶接等)してもよい。弾性物質の樹脂膜12が押し出されて逃げる余地を確保するため、蓋部11の内面と壁部13dとの間に間隙Crを設けるのが望ましい。当該間隙Crの幅は任意に設定してよいが、樹脂膜12の膜厚と同等か、それ以下でも十分である。
【0034】
先にシール面11cに樹脂膜12を付着した後(図2を参照)、本体部13のシール面13cと蓋部11のシール面11cとを合わせる。この状態で雌ネジ孔11b,13bに雄ネジ14をねじ込んで締結すると、図6のようになる。当該図6から明らかなように、組み立てられた筐体10は、シール面11cとシール面13cとの間に樹脂膜12が介在し、当該樹脂膜12によって筐体10がシールされる。このとき、シール面11cに付着された樹脂膜12の膜厚に多少のむらがあったとしても、厚い部位は押し出されて間隙Crに入り、薄い部位はそのままになる。よって、樹脂膜12の膜厚が変動する場合でも確実にシールすることができる。
【0035】
上述した実施の形態3によれば、請求項6に対応し、本体部13のシール面13cについて、樹脂膜12の側面に対向する壁部13dを備える構成とした(図6を参照)。この構成によれば、本体部13と蓋部11との狭圧によって樹脂膜12が圧縮され、その一部(特に側面)が膨出しても、壁部13dによって阻止される。したがって、シール性を向上させることができる。その他については実施の形態1と同様の構成であるので、当該実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0036】
〔実施の形態4〕
実施の形態4は、実施の形態1と同様にシール面の一方にのみ樹脂膜を付着させる例であって、図7を参照しながら説明する。図7には、本体部内側と蓋部外側とに壁部を形成する例を部分断面図で示す。なお図示および説明を簡単にするために、実施の形態4では実施の形態1と異なる点について説明する。よって、実施の形態1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
図7に示す筐体10は、本体部13および蓋部11の双方について、シール面11c,13cに樹脂膜12の側面に対向する壁部11e,13dを備える点で実施の形態1と相違する。具体的には、実施の形態3と同様に本体部13の内面側に壁部13dを備え、さらに蓋部11の外面側に壁部11eを備える。これらの壁部11e,13dは、本体部13を蓋部11で覆ってシールするとき、本体部13と蓋部11との境界に位置するシール面11c,13cの側方(図7では左右両側)に位置して備える。本例の壁部11e,13dは、図6に示すように本体部13および蓋部11の一部をそれぞれ突出させて一体形成したが、壁部11e,13dに相当する板状部材を本体部13の内面側および蓋部11の外面側にそれぞれ固定(締結や溶接等)してもよい。弾性物質の樹脂膜12が押し出されて逃げる余地を確保するため、蓋部11の内面と壁部13dとの間、本体部13の外面と壁部11eとの間にはそれぞれ間隙Crを設けるのが望ましい。当該間隙Crの幅は任意に設定してよいが、樹脂膜12の膜厚と同等か、それ以下でも十分である。
【0038】
先にシール面11cに樹脂膜12を付着した後(図2を参照)、本体部13のシール面13cと蓋部11のシール面11cとを合わせる。この状態で雌ネジ孔11b,13bに雄ネジ14をねじ込んで締結すると、図7のようになる。当該図7から明らかなように、組み立てられた筐体10は、シール面11cとシール面13cとの間に樹脂膜12が介在し、当該樹脂膜12によって筐体10がシールされる。このとき、シール面11cに付着された樹脂膜12の膜厚に多少のむらがあったとしても、厚い部位は押し出されて両側の間隙Crに入り、薄い部位はそのままになる。よって、樹脂膜12の膜厚が変動する場合でも確実にシールすることができる。また、壁部11eは樹脂膜12を覆うことになるので、樹脂膜12を保護することができる。
【0039】
上述した実施の形態4によれば、請求項6に対応し、本体部13のシール面13cおよび蓋部11のシール面11cについて、樹脂膜12の側面に対向する壁部11e,13dを備える構成とした(図7を参照)。この構成によれば、本体部13と蓋部11との狭圧によって樹脂膜12が圧縮され、その一部(特に側面)が膨出しても、壁部11e,13dによって阻止される。したがって、シール性を向上させることができる。その他については実施の形態1と同様の構成であるので、当該実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0040】
〔他の実施の形態〕
以上では本発明を実施するための形態について実施の形態1〜4に従って説明したが、本発明は当該形態に何ら限定されるものではない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。例えば、次に示す各形態を実現してもよい。
【0041】
実施の形態1〜4では、蓋部11のシール面11cにのみ樹脂膜12を付着させる構成とした(図1〜図7を参照)。この形態に代えて、図8に示すように本体部13のシール面13cにのみ樹脂膜12を付着させる構成としてもよく、図9に示すようにシール面11cおよびシール面13cの双方に樹脂膜12を付着させる構成としてもよい。いずれの構成も実施の形態1〜4に適用することができる。単に付着させるシール面が異なるだけであるので、実施の形態1〜4と同様の作用効果を得ることができる。
【0042】
実施の形態2では、蓋部11の内面11d全体に樹脂膜12を付着させる構成とした(図4,図5を参照)。この形態に代えて、図10に示すように、内面11d全体に樹脂膜12aを付着させるとともに、外面11f全体に樹脂膜12bを付着させる構成としてもよい。この場合、樹脂膜12aが膜厚T1となり、樹脂膜12bが膜厚T2(ただし、T2<T1)となるように調整する。膜厚T1は、実施の形態2で示したように所要の膜厚(例えば50〜500[μm]程度)である。言い換えると、外面11fに付着する樹脂膜12bは塗装や錆止め等の代わりに行う。この構成によれば、蓋部11の内面11dと外面11fを同じ素材を用いて覆うので、別個の素材を用いるよりもコストが低く抑えられる。
【0043】
なお、実施の形態2および上述した形態は蓋部11を対象としたが、本体部13を対象として行ってもよい。すなわち、本体部13の内面全体に樹脂膜12を付着させる構成や、本体部13の内面全体および外面全体の双方に膜厚を変えて樹脂膜12を付着させる構成が該当する。蓋部11および本体部13の双方に対しても同様に構成してもよい。いずれの構成にせよ、別個の素材を用いるよりもコストが低く抑えられる。
【0044】
実施の形態1〜4では、筐体10は、周縁部位13aを有する構造の本体部13と、周縁部位11aを有する構造の蓋部11とで構成した(図1〜図7を参照)。この形態に代えて、本体部13および蓋部11のうち一方または双方が周縁部位を有しない構造としてもよい。例えば、周縁部位13aを有しない本体部13の一例を図11に示す。図11に示す本体部13は、本体部13の側壁が厚く(側壁内部に空洞があるか否かを問わない)、上面となる部位がそのままシール面13cとなる構造である。このことは、蓋部11についても同様に構成することができる。これらの構造であっても、シール面を有する点は変わりないので、実施の形態1〜4と同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
実施の形態1〜4では、シール面11c,13cに樹脂膜12を付着させる方法として塗装機20を用いた塗装で実現した(図2を参照)。この形態に代えて、樹脂素材がゲル状樹脂を用いる場合には、図12に示すように塗布機21を用いて矢印D2に移動させ、シール面11cに塗布してもよい。ゲル状樹脂は半流動的であるので、シール面11cに合わせた形状のノズルを用いることで1回の塗布を行えば済む。単に付着方法が異なるだけであるので、実施の形態1〜4と同様の作用効果を得ることができる。また、ゲル状態から硬化状態に変化する時間が短い樹脂(例えば紫外線の照射により硬化する紫外線硬化樹脂等)を選択すると、塗布から締結までの時間を短縮することができる。
【0046】
実施の形態1〜4では、シール面11cとシール面13cとを合わせた後、雌ネジ孔11b,13bに雄ネジ14をねじ込んで締結を行って筐体10を組み立てる構成とした(図1,図3を参照)。この形態に代えて、筐体10を組み立てる他の手段によって組み立てる構成としてもよい。他の手段は、例えば雌ネジ孔11b,13bに代えて貫通穴を形成し、当該貫通穴にボルトを通してナットで締結する手段が該当する。また、雌ネジ孔11b,13bに代えて、いずれか一方に被係止部(例えば小孔)を備え、他方に係止部(例えば弾性変形する爪片)を備える手段が該当する。この場合は、シール面11cとシール面13cとを合わせるときに被係止部に係止部が係止して組み立てを完了する。いずれの他の手段であっても、筐体10の組み立てを完了すれば、本体部13と蓋部11との境界(すなわちシール面11c,13cの接触部)を確実にシールすることができる。
【0047】
実施の形態1〜4では、筐体10は、本体部13の開口部から内部に収容物を収容する中空状部材で構成した(図1〜図7を参照)。この形態に代えて、本体部と蓋部とからなり、所要の機能を実現するための部材や部品(例えばピストンやクランクシャフト等)を内蔵する構造物(例えばエンジン等)で構成してもよい。エンジンを例にすると、エンジンブロックが本体部に相当し、エンジンヘッドが蓋部に相当する。単に本体部と蓋部の種類が異なるだけであるので、実施の形態1〜4と同様の作用効果を得ることができる。
【0048】
実施の形態1〜4では、いずれもシール面11c,13cを平面に形成した(図1〜図7を参照)。この形態に代えて、平面以外の凹凸状に形成してもよい。例えば、シール面11cを凸状に形成し、シール面13cを凹状に形成する(逆の形態でもよい)。この形態であっても、樹脂膜12によるシール面を行えるので、実施の形態1〜4と同様の作用効果を得ることができる。
【0049】
実施の形態1〜4では、筐体10(すなわち本体部13および蓋部11)は、鉄,アルミニウムおよびマグネシウムのうちいずれかの原材料を用いて形成した(図1〜図7を参照)。この形態に代えて、他の原材料を用いて形成してもよい。他の原材料は、鉄,アルミニウムおよびマグネシウムを除いた金属(合金を含む。)や、樹脂、繊維強化プラスチック(FRP)等が該当する。単に原材料が異なるだけであるので、実施の形態1〜4と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0050】
10 筐体
11 蓋部
11a,13a 周縁部位
11b,13b 雌ネジ孔(締結手段)
11c,13c シール面
11d 内面
11e,13d 壁部
11f 外面
12(12a,12b) 樹脂膜
13 本体部
14 雄ネジ(締結手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と蓋部とからなる筐体について、前記本体部の開口部を前記蓋部で覆ってシールする筐体のシール構造において、
前記本体部および前記蓋部のうち一方または双方のシール面に付着させる樹脂膜を有し、
前記樹脂膜を付着させた後、前記本体部の開口部を前記蓋部で覆ってシールすることを特徴とする筐体のシール構造。
【請求項2】
前記樹脂膜は、シール面以外の部位であって、前記本体部および前記蓋部のうち一方または双方にさらに付着させることを特徴とする請求項1に記載の筐体のシール構造。
【請求項3】
前記樹脂膜は、弾性物質であることを特徴とする請求項1または2に記載の筐体のシール構造。
【請求項4】
前記樹脂膜は、液状樹脂の塗装およびゲル状樹脂の塗布のうち一方また双方により、前記シール面に付着させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の筐体のシール構造。
【請求項5】
前記本体部および前記蓋部のうち一方または双方は、鉄,アルミニウムおよびマグネシウムのうちいずれかの原材料を用いて形成することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の筐体のシール構造。
【請求項6】
前記本体部および前記蓋部のうち一方または双方であって、前記樹脂膜の側面に対向する壁部を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の筐体のシール構造。
【請求項7】
本体部と蓋部とからなる筐体について、前記本体部の開口部を前記蓋部で覆ってシールする筐体のシール方法において、
少なくとも前記本体部および前記蓋部のうち一方または双方のシール面に樹脂膜を付着させる膜付着工程と、
前記膜付着工程の後、前記本体部の開口部を前記蓋部で覆ってシールするシール工程と、
を有することを特徴とする筐体のシール方法。
【請求項1】
本体部と蓋部とからなる筐体について、前記本体部の開口部を前記蓋部で覆ってシールする筐体のシール構造において、
前記本体部および前記蓋部のうち一方または双方のシール面に付着させる樹脂膜を有し、
前記樹脂膜を付着させた後、前記本体部の開口部を前記蓋部で覆ってシールすることを特徴とする筐体のシール構造。
【請求項2】
前記樹脂膜は、シール面以外の部位であって、前記本体部および前記蓋部のうち一方または双方にさらに付着させることを特徴とする請求項1に記載の筐体のシール構造。
【請求項3】
前記樹脂膜は、弾性物質であることを特徴とする請求項1または2に記載の筐体のシール構造。
【請求項4】
前記樹脂膜は、液状樹脂の塗装およびゲル状樹脂の塗布のうち一方また双方により、前記シール面に付着させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の筐体のシール構造。
【請求項5】
前記本体部および前記蓋部のうち一方または双方は、鉄,アルミニウムおよびマグネシウムのうちいずれかの原材料を用いて形成することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の筐体のシール構造。
【請求項6】
前記本体部および前記蓋部のうち一方または双方であって、前記樹脂膜の側面に対向する壁部を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の筐体のシール構造。
【請求項7】
本体部と蓋部とからなる筐体について、前記本体部の開口部を前記蓋部で覆ってシールする筐体のシール方法において、
少なくとも前記本体部および前記蓋部のうち一方または双方のシール面に樹脂膜を付着させる膜付着工程と、
前記膜付着工程の後、前記本体部の開口部を前記蓋部で覆ってシールするシール工程と、
を有することを特徴とする筐体のシール方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−270790(P2010−270790A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121161(P2009−121161)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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