説明

筐体の取付構造

【課題】本体を、取付位置に対して正面側からの作業のみによって容易に着脱でき、本体をすっきりしたデザインにできる警告灯の取付構造を提供する。
【解決手段】警告灯1は、取付ブラケット3と、取付ブラケット3に取り付けられる本体4と、取付ブラケット3に本体4を取り付けた後、取付ブラケット3と本体4との間に区画された取付部9に差し込まれる差込具5とを含む。取付ブラケット3の嵌合用の突起13を本体4の受入凹部25に受け入れる。受入凹部25に係合凹部26が連設される。突起13が受入凹部25に受け入れられた後、本体4が取付ブラケット3に対して所定方向Uへ変位されることにより、突起13と係合凹部26が係合する。差込具5は、所定方向Uに対して交差する方向へ差し込まれる。差込具5は、突起13および係合凹部26の係合が所定方向Uへずれるのを阻止するための突部32を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、筐体の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、筐体の取付構造の先行技術として、特許文献1に開示されたものがある。特許文献1に開示の技術は、筐体の背面に突設されたフックを、車体に形成された開口部の縁に位置決めし弾力的に引っ掛けるという構成である。この構成では、筐体の正面側に取付用のボルト孔やボルトが露出しないため、筐体の形状がすっきりするという特徴がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−118291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の取付構造では、車体に取り付けられた筐体を取り外す場合に、車体の内側からフックを解除操作する必要があるので、取り外しに手間がかかる。また、フックを車体に引っ掛けるために、車体に開口を形成しなければならない。さらに、フックのみによる係合では、外力に対する振動やガタが生じるため、位置決め用の孔等の追加が必須である。
【0005】
この発明は、このような従来技術に鑑みてなされたもので、主たる目的は、本体を容易に着脱可能な筐体の取付構造を提供することである。
この発明の他の目的は、本体を取付位置に対して正面側からの作業のみによって取り付け、取り外しができる筐体の取付構造を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、本体の正面側や側面側に、取付孔や取付ねじ等が露出せず、本体をすっきりしたデザインにできる筐体の取付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、取付ブラケットと、取付ブラケットに取り付けられる本体と、取付ブラケットに本体を取り付けた後、取付ブラケットと本体との間に区画された取付部に差し込まれる差込具とを含む筐体の取付構造であって、取付ブラケットには、取付時に本体と対向する面側の一端および他端に、それぞれ、嵌合用の突起が形成されており、本体には、取付時に取付ブラケットに対向する底面側の一端および他端に、それぞれ、前記嵌合用の突起を受け入れる受入凹部、および、当該受入凹部に連設され、前記嵌合用の突起が受入凹部に受け入れられた後本体が取付ブラケットに対して所定方向へ変位されることにより前記嵌合用の突起と係合する係合凹部が形成されており、前記差込具は、前記嵌合用の突起および係合凹部の係合位置に向かって前記所定方向に対して交差する方向へ差し込まれるものであり、当該差込具には、差し込まれた状態において、前記嵌合用の突起および係合凹部の係合が前記所定方向へずれるのを阻止するための抑制部が備えられていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、取付面に固定した取付ブラケットに本体を取り付けるには、本体を取付ブラケットに位置合わせし、嵌合用の突起が、受け入れ凹部に入るように嵌める。そして、所定方向、例えば、本体側の長手方向に直交する方向に本体をスライド変位させる。その後、差込具を、取付ブラケットおよび本体の間に区画された取付部に差し込む。
これら作業は、すべて筐体の取付面から見て正面側からの作業であり、取付ブラケットに対し本体を容易に取り付けることができる。また、取り外すには、逆の作業をすればよい。この発明では、取付ブラケットを本体に取り付けるために、嵌合用の突起と係合凹部と差込具とを用いている。このため、取付ブラケットを本体に取り付ける為の取付用のボルトは不要で、本体にボルト孔を形成する必要はない。従って、本体をすっきりしたデザインにできる。
【0008】
請求項2記載の構成では、取付時に本体と対向する前記取付ブラケットの一端および他端には、それぞれ、外へ向かって延びる平板状の肩部が設けられ、前記嵌合用の突起は、前記肩部の両側に、肩部の面方向に直交方向に立ち上がり、且つ外方へ曲成した一対のフック状突起を含んでいる。
このため、複数のフック状突起により本体を安定して取り付けることができる。また、簡素な構造のフック状突起および肩部を、本体の取り付けに利用するため、製造コストを削減できる。
【0009】
請求項3記載の構成では、前記差込具の抑制部は、差込具が差し込まれた状態において、前記肩部が本体に対して前記所定方向へずれないように、前記肩部の両側方と係合する一対の突部を含んでいる。
よって、抑制部を単純な構造にできる。
請求項4記載の構成では、取付時に本体と対向する前記取付ブラケットの一端および他端には、それぞれ、前記差込具係止用の凸部が形成されており、前記差込具には、差し込まれた状態において、前記係止用の凸部と係合する弾性を有する被係止部が備えられている。
【0010】
この場合、被係止部の弾性を利用して、差込具を取付ブラケットに係止することができる。
請求項5記載の構成では、前記差込具には、差し込まれた状態において、本体に係合して本体の底面側から離れる方向へ差込具が移動するのを防止するための一対の支持部が備えられている。
【0011】
よって、取付ブラケットと本体をより確実に互いに取り付けることができる。
請求項6記載の構成では、前記嵌合用の突起は、前記取付ブラケットから前記本体方向に立ち上がり、先端が、立ち上がり方向から交差方向へ曲成したフック状突起を含んでいる。
このフック状突起により本体を取り付けることができる。また、簡素な構造のフック状突起を、本体の取り付けに利用するため、製造コストを削減できる。
【0012】
請求項7記載の構成では、前記差込具の抑制部は、前記抑制部として、差し込まれた状態で前記受入凹部を塞ぐように延びる胴体を含んでいる。
差込具の胴体が受入凹部を塞ぐので、係合凹部と係合した嵌合用の突起が受入凹部に戻ることが防止される。従って、嵌合用の突起および係合凹部の係合が所定方向へずれることが阻止される。差込具を単純な構造にできる。
【0013】
請求項8記載の構成では、前記差込具は、前記胴体に並設され反差込方向へ外れないように係止する弾性部を含んでいる。
弾性部の弾性を利用して、差込具が取付部から反差込方向に外れることを確実に防止することができる。
請求項9記載の構成では、前記取付ブラケットは、本体の底面に対向する面板を有し、当該面板には、本体の底面側に向かって弾性力を有する弾性体が備えられている。
【0014】
弾性体が本体を押圧するので、取付ブラケットと本体とをがたつきなく互いに取り付けることができる。
請求項10記載の構成では、前記弾性体は、取付ブラケットの面板の一部が切り起こされて形成されている。
よって、弾性体を簡素な構造で実現できる。
【0015】
請求項11記載の構成では、前記取付ブラケットの面板には、切り起こして形成された取付用の台座が設けられている。
この構成によれば、取付ブラケットの取り付け対象がたとえ湾曲している場合でも、台座を取り付け対象に弾力的に確実に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、この発明の一実施形態に係る取付構造が採用された警告灯1の斜視図(組み立てた状態)である。
【図2】図2は、取付ブラケット3の斜視図である。
【図3】図3は、車体側面6に固定された取付ブラケット3に本体4が取り付けられた状態の部分断面図である。
【図4】図4は、差込具5の斜視図であり、(a)および(b)に互いに異なる視点からの斜視図を示す。
【図5】図5は、取付ブラケット3と差込具5との斜視図であり、これらが互いに取り付けられた状態を示す。
【図6】図6は、警告灯1の要部の分解斜視図である。
【図7】図7は、本体4が取付ブラケット3に取り付けられた状態の部分断面斜視図である。
【図8】図8は、この発明の他の実施形態に係る取付構造が採用された警告灯101の斜視図(組み立てた状態)である。
【図9】図9は、取付ブラケット103の斜視図である。
【図10】図10は、差込具105の斜視図であり、(a)および(b)に互いに異なる視点からの斜視図を示す。
【図11】図11は、警告灯101の要部の分解斜視図である。
【図12】図12は、取付ブラケット103と本体104と差込具105との斜視図であり、これらが互いに取り付けられた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明において、筐体とは、警告灯、回転警告灯、信号報知表示灯、照明装置、音声報知器、文字表示器などに使用され、外形を構成するケースまたははことしての筐体をいう。以下では、この発明の実施の形態を、この発明の筐体が使用される警告灯について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る取付構造が採用された警告灯1の斜視図(組み立てた状態)である。図1を参照して、警告灯1は、取付ブラケット3と、取付ブラケット3に取り付けられた本体4と、取付ブラケット3と本体4との間に区画された取付部9に差し込まれた一対の差込具5とを有している。一対の差込具5は、取付ブラケット3および本体4の長手方向Xの両端に差し込まれている。
【0018】
本体4は、取付ブラケット3に対向するベースケース81と、透光性を有するアウターカバー82とを有している。本体4は、全体として一方向に長い箱形状をなしている。図示しないが、本体4の内部には、光源、光源から光を発するための電気回路等が収容されている。
取付ブラケット3および差込具5は、例えば金属により形成され、本体4は、例えば合成樹脂材料により形成されているが、これらの部材の構成材は、これに限定されるものではなく、その他の硬質部材で形成されてもよい。
【0019】
この実施形態では、警告灯1を、自動車の車体側面6(図3参照)の外側(以下、正面側Yともいう。)から取り付ける場合に則して説明する。また、この実施形態では、長尺の警告灯1の長手方向Xが左右に向くように取り付けられる場合を説明する。警告灯1において、長手方向Xの左右両端部は、互いに左右対象に構成されている。
先ず、取付ブラケット3について説明する。
【0020】
図2は、取付ブラケット3の斜視図である。取付ブラケット3は、本体4のベースケース81の底面4aに対向する略長方形の面板14と、この面板14の各短辺に配置されておりこの面板14の表面から正面側Yに突出した4つの嵌合用の突起13と、面板14の各短辺部からそれぞれ外へ向かって延びる平板状の肩部15とを有している。
嵌合用の突起13は、取付ブラケット3の長手方向Xに相対向する一端部11および他端部12に、それぞれ形成されている。嵌合用の突起13は、肩部15の両側に配置され、肩部15の面方向に直交方向に立ち上がり、且つ外方へ曲成した一対のフック状突起を構成している。各突起13は、面板14に一体に形成されている。
【0021】
また、取付ブラケット3の対向する一端部11および他端部12には、それぞれ、差込具5の係止用の凸部16が形成されている。凸部16は面板14に一体に形成されている。
取付ブラケット3の面板14には、複数の弾性舌片17が形成されている。各弾性舌片17は、取付ブラケット3の面板14の一部が本体4に向かって切り起こされて形成されている。各弾性舌片17は、面板14の正面側Yの表面から突出し、面板14に一体に形成されている。
【0022】
取付ブラケット3の面板14には、自動車の車体側面6の内側(以下、取付面側Y2ともいう。)に向けて切り起こして形成された取付用の台座18が設けられている。台座18は、面板14に一体に形成され、片持ち状に弾力的に支持されている。台座18には、挿通孔19が形成されている。
また、取付ブラケット3の面板14の周縁部には、面板14の湾曲を防止するためのリブ20が設けられている。リブ20は、面板14の周縁部に沿う枠状に延びており、面板14の表面から突出して面板14に一体に形成されている。
【0023】
図3は、車体側面6に固定された取付ブラケット3に本体4が取り付けられた状態の部分断面図である。図2および図3を参照して、取付ねじ22が、台座18の挿通孔19に挿通されている。取付ねじ22の雄ねじが、車体側面6に固定されたインサートナット42の雌ねじ孔にねじ嵌合している。
本体4のベースケース81の底面4aは、取付ブラケット3に積層状態で取り付けられ、取付ブラケット3およびこれを車体側面6に固定するための台座18や取付ねじ22を覆っている。
【0024】
取付ブラケット3の各弾性舌片17は、弾性変形した状態で、本体4のベースケース81の底面4aと当接するようになっている。各弾性舌片17は、ベースケース81の底面4a側に向かって弾性押圧力を作用させることができる弾性体として機能する。
図4は、差込具5の斜視図であり、(a)および(b)に互いに異なる視点からの斜視図を示す。差込具5は、板状の主体部31と、主体部31の表面から直交して突出する一対の突部32と、これら突部32とは逆向きに突出する一対の側壁部33と、フック状の一対の支持部35とを有している。
【0025】
一対の突部32は、後述する所定方向Uとしての上下方向に沿って並んでおり、取付ブラケット3に向けて突出している。一対の突部32は、主体部31の表面から正面側Yに向かって切り起こして形成され、主体部31の面方向に直交方向に立ち上がり、且つ内方へ曲成した一対のフック状突起を構成している。
側壁部33は、主体部31の上下両端部からそれぞれ屈曲状に正面側Yに向けて立ち上がっている。一対の支持部35は、側壁部33と同側に向けて主体部31から突出している。一対の支持部35は、主体部31から取付面側Y2に向かって切り起こして形成され、主体部31の面方向に直交方向に延びて構成されている。
【0026】
差込具5には、当該差込具5が差し込まれた状態において、取付ブラケット3の係止用の凸部16と係合する弾性を有する被係止部38が備えられている。また、差込具5は、当該差込具5が差し込まれるときに被係止部38を弾性変形させるための案内部39を有している。
図5は、取付ブラケット3と差込具5との斜視図であり、これらが互いに取り付けられた状態を示す。差込具5は、取付ブラケット3の嵌合用の突起13および本体4のベースケース81の後述する係合凹部26の係合位置に向かって差し込まれるものである。このときの差込方向は、後述する所定方向Uに対して直交方向に設定されている。差し込まれた差込具5は、嵌合用の突起13および係合凹部26の係合位置またはその近傍に配置される。
【0027】
主体部31は、取付ブラケット3の肩部15に沿っており、取付ブラケット3と本体4のベースケース81との間に介在している。
被係止部38は、以下のように作用する。すなわち、差込具5を引き出す向きに所定の大きさ以下の外力が作用するときには、被係止部38が弾性変形しても、被係止部38と凸部16との係合が維持されるようになっている。また、上述の所定の大きさを超える力で差込具5を引き抜くことができる。
【0028】
案内部39は、差込具5が差し込まれる方向に対して傾斜する傾斜面により形成されている。差込具5が差し込まれるときには、差込具5の案内部39が凸部16の第1の傾斜面40に沿いながら、被係止部38がスムーズに弾性変形する。そして、被係止部38が凸部16を乗り越えるようになっている。
また、差込具5の被係止部38は、差込具5が差し込まれる方向に対して傾斜する傾斜面により形成されている。差込具5が抜き出されるときに、被係止部38が凸部16の第2の傾斜面41に沿いながら、被係止部38がスムーズに弾性変形する。そして、被係止部38が凸部16を乗り越えるようになっている。
【0029】
差込具5の一対の突部32は、当該差込具5が差し込まれた状態で、嵌合用の突起13および係合凹部26の係合が所定方向Uへずれるのを阻止するための抑制部として機能する。すなわち、各突部32は、主体部31から取付ブラケット3に向けて突出しており、取付ブラケット3の肩部15の対応する側方15aと当接するようになっている。これにより、所定方向Uの両側の向きについての差込具5と取付ブラケット3との相対移動が、規制される。
【0030】
図6は、警告灯1の要部の分解斜視図である。差込具5の側壁部33は、当該差込具5が差し込まれた状態で、一対の突起32および開口部36の係合が所定方向Uへずれるのを阻止するための抑止部として機能する。すなわち、各側壁部33に対応して、本体4のベースケース81には、一対の係合溝34が形成されている。係合溝34は、取付面側Y1および差込具5が差し込まれる方向である左右方向に開口しており、対応する差込具5の側壁部33を受け入れることができるようになっている。差込具5が差し込まれた状態で、側壁部33と係合溝34とが互いに当接する。これにより、所定方向Uの両側の向きについての差込具5と本体4との相対移動が、規制される。
【0031】
また、差込具5の一対の支持部35は、差込具5が差し込まれた状態において、本体4のベースケース81の開口部36に係合し、本体4のベースケース81の底面4a側から離れる方向へ差込具5が移動するのを防止する。開口部36は、取付面側Y1および差込具5が差し込まれる方向である左右方向に開口しており、対応する差込具5の支持部35を受け入れることができるようになっている。各支持部35が、本体4のベースケース81の開口部36に挿入された状態で、支持部35と開口部36とが前後方向に互いに当接できるようになっている。
【0032】
図7は、本体4が取付ブラケット3に取り付けられた状態の部分断面斜視図である。ベースケース81の底面4a側の一端23および他端24(図1参照)には、それぞれ、取付部9が形成されている。取付部9は、取付ブラケット3の取付面側Y2に向けて、長手方向Xに長尺な凹状に開口しており、差込具5が差し込まれるようになっている。本体4のベースケース81の底面4a側の一端23および他端24には、それぞれ、受入凹部25が形成されている。受入凹部25は、取付ブラケット3の取付面側Y2に向けて開口しており、取付ブラケット3の嵌合用の突起13を受け入れるようになっている。受入凹部25は、4つの嵌合用の突起13に対応して、一端23および他端24のそれぞれに2つずつの合計4箇所に形成されている。
【0033】
本体4のベースケース81の底面4a側の一端23および他端24には、それぞれ、係合凹部26が形成されている。係合凹部26は、一端23および他端24のそれぞれに2つずつの合計4箇所に形成されている。係合凹部26は、受入凹部25に連設されている。受入凹部25の奥側の上部と、係合凹部26の下部とが互いに連通している。
嵌合用の突起13が受入凹部25に受け入れられた後に(矢印M1)、本体4が取付ブラケット3に対して所定方向Uへ、具体的には、取付ブラケット3の面板14に沿う下向きへ変位されることにより嵌合用の突起13と係合凹部26とが係合するようになっている(矢印M2)。この状態では、嵌合用の突起13と係合凹部26のそれぞれの対向面とが互いに当接することにより、本体4と取付ブラケット3とが前後方向に相対変位することが規制される。
【0034】
図6を参照して、本体4を取付ブラケット3に取り付けるには、以下のようにすればよい。すなわち、取付面としての車体側面6に固定した取付ブラケット3に、本体4を位置合わせし、嵌合用の突起13が受入凹部25に入るように嵌める。そして、所定方向U、より具体的には、本体4側の長手方向Xに対する直交方向である下方に向けて、本体4をスライド変位させる。その後、差込具5を取付部9に左右方向に差し込む。
【0035】
これら作業は、すべて正面側Yからの作業であり、取付ブラケット3に対し本体4を容易に取り付けることができる。また、取り外すには、逆の作業をすればよい。この実施形態では、取付ブラケット3に本体4を取り付けるために、嵌合用の突起13と係合凹部26と差込具5とを用いている。このため、本体4の取付ブラケット3への取付に取付用のボルトは不要で、本体4にボルト孔を形成する必要はない。従って、取付が容易であり、しかも、本体4をすっきりしたデザインにできる。
【0036】
図2を参照して、この実施形態では、取付ブラケット3の一端部11および他端部12に設けられた複数のフック状の嵌合用の突起13により本体4を安定して取り付けることができる。
また、嵌合用の突起13として、肩部15の両側に、一体に曲成した一対のフック状突起を用いている。この場合、簡素な構造のフック状突起13および肩部15を、本体4の取り付けに利用するため、製造コストを削減できる。
【0037】
また、差込具5の一対の突部32は、抑制部を単純な構造にできる。
差込具5が差し込まれた状態において、取付ブラケット3の係止用の凸部16に、差込具5の被係止部38が、弾性を持って係合するようにしている。この場合、被係止部38の弾性を利用して、差込具5を取付ブラケット3に確実に係止することができる。
また、差込具5の支持部35により、取付ブラケット3と本体4とをより確実に互いに取り付けることができる。
【0038】
図3を参照して、取付ブラケット3に本体4が取り付けられた状態で、取付ブラケット3の面板14の弾性体としての弾性舌片17が、本体4のベースケース81を押圧するので、取付ブラケット3と本体4とをがたつきなく互いに取り付けることができる。
また、弾性体が、取付ブラケット3の面板14の一部が切り起こされて形成される弾性舌片17の場合には、弾性体を簡素な構造で実現できる。
【0039】
また、取付ブラケット3の面板14の取付用の台座18が、切り起こして形成されている。この構成によれば、取付ブラケット3の取り付け対象としての車体側面6がたとえ湾曲している場合でも、台座18および本体4を取り付け対象に弾力的に確実に固定できる。
また、取付ブラケット3の面板14の周縁部のリブ20により、面板14の湾曲を防止できるので、面板14に対して本体4を安定して取り付けることができる。
【0040】
図8は、この発明の他の実施形態に係る取付構造が採用された警告灯101の斜視図(組み立てた状態)である。
以下では、他の実施形態に係る取付構造について、図1〜図7に示した前述の実施形態の取付構造との相違点を中心に説明する。なお、それ以外の点については、本実施形態と前述の実施形態とでは同じである。両実施形態において互いに同じ構成については、互いに同じ名称および同じ符号を付して、本実施形態での説明を省略する。
【0041】
図8を参照して、警告灯101と、前述した警告灯1とは、取付構造が異なっている。これに伴い、警告灯101を構成する各部品が異なっている。
警告灯101では、取付ブラケット103、本体104、差込具105および取付部109が、前述の取付ブラケット3、本体4、差込具5および取付部9に代えて用いられている。
【0042】
本体104は、前述の本体4と比較して、取付構造の相違点の他に、ベースケース181と、アウターカバー182とが、前述したベースケース81とアウターカバー82とに代えて用いられている。
図9は、取付ブラケット103の斜視図である。取付ブラケット103は、2つの嵌合用の突起130を有している。取付ブラケット103の取付用の台座18は、長手方向Xの外側において面板14に弾性支持されている。取付ブラケット103では、弾性舌片17が単一で設けられている。なお、取付ブラケット103では、前述した肩部15、凸部16およびリブ20は廃止されている。
【0043】
嵌合用の突起130は、取付ブラケット103の長手方向Xに相対向する一端部11および他端部12に、それぞれ1つずつ形成されている。2つの嵌合用の突起130は、取付ブラケット103の幅方向Zについて中心から同側にずれて配置されている。嵌合用の突起130は、フック状突起により構成されている。このフック状突起は、取付ブラケット103の面板14から取付状態において本体104のある方向に立ち上がり、当該突起130の先端130aが、立ち上がり方向とは直交して長手方向Xの外方へ向く交差方向へ曲成されている。
【0044】
図10は、差込具105の斜視図であり、(a)および(b)に互いに異なる視点からの斜視図を示す。
差込具105は、平板状の頭部151と、この頭部151の一端から延びた棒状の胴体152と、胴体152の先端に屈曲状に設けられた腰部153と、腰部153から頭部151に向けて延びる弾性部154とを有している。頭部151と、胴体152と、腰部153と、弾性部154とは、単一部材により一体に形成されている。頭部151と、胴体152と、腰部153と、弾性部154とは、互いに面一の面を形成している。
【0045】
頭部151は、差し込み操作および取り外し操作のための操作部として機能し、これらの操作のときにつまむことができる。頭部151は、V溝状の切欠き155を有している。この切欠き155は、差込具105を取付部109から取り外すときに、工具等を引っかける部分である。
腰部153は、胴体152の先端に設けられており、この先端から胴体152が延びる方向とは直交する方向に所定の突出量で突出している。
【0046】
弾性部154は、胴体152に並設されており、頭部151側にある腰部153の端縁から頭部151の近傍にまで延びている。弾性部154は、波形をなしている。波形の第1頂部158と第2頂部159と底部160とが、胴体152が延びる方向に交互に並んでいる。波形が起伏する方向は、腰部153が胴体152から突出する方向に平行になっている。これにより、頭部151側にある弾性部154の先端が、波形が起伏する方向に弾性変形可能である。頭部151に最も近接した第2頂部159は、腰部153が突出する方向について、腰部153よりも突出している。当該第2頂部159に隣接した傾斜面に、取付部109に引っ掛かる引っかけ部156が設けられている。これにより、弾性部154は、当該差込具105が取付部109から反差込方向へ外れないように係止するための被係止部を構成している。
【0047】
図11は、警告灯101の要部の分解斜視図である。
本体104のベースケース181の底面4a側の一端23および他端24には、それぞれ、取付部109が形成されている。取付部109は、長手方向Xの外方に向けて開口する凹部であり、この内部に差込具105が差し込まれるようになっている。
本体104のベースケース181には、受入凹部25および係合凹部26が形成されている。受入凹部25および係合凹部26のそれぞれは、取付ブラケット103の2つの嵌合用の突起130に対応して、一端23および他端24のそれぞれに1つずつ形成されている。
【0048】
本体104のベースケース181の下面4aに取付ブラケット103が取り付けられる。このとき、嵌合用の突起130が受入凹部25に受け入れられた後に(矢印M1)、本体104が取付ブラケット103に対して所定方向Uへ、具体的には、取付ブラケット103の面板14に沿う下向きへ変位されることにより嵌合用の突起130と係合凹部26とが係合するようになっている(矢印M2)。この状態で、取付部109に差込具105が差し込まれる(矢印M3)。このとき、胴体152が頭部151よりも先に差し込まれる。
【0049】
図12は、取付ブラケット103と本体104と差込具105との斜視図であり、これらが互いに取り付けられた状態を示し、本体104は断面表示されている。
取付部109の入口には、差込具105の頭部151が収容されている。頭部151の端面151aのみが外部に臨んでいる。頭部151の切欠き155は取付部109の内面と対向している。これにより、差込具105が不用意に操作されることが防止される。
【0050】
取付部109の入口よりも奥側には、差込具105の胴体152と、腰部153と、弾性部154とが収容されている。
長手方向Xについての取付部109の中間部109aは、受入凹部25の一部と互いに重なり合っており、受入凹部25の奥側の上部において係合凹部26の下部と互いに連通している。係合凹部26に係合している嵌合用の突起130の側部130bが、取付部109に臨んで配置されており、取付部109に装着された差込具105の胴体152と接している。
【0051】
胴体152は受入凹部25を塞ぐようにして取付部109の奥部109bへ延びている。胴体152は、差込具105が差し込まれた状態において、嵌合用の突起130および係合凹部26の係合が所定方向Uへずれるのを阻止するための抑制部として機能する。
これとともに、胴体152の先端は、所定方向Uに取付部109により受けられている。具体的には、腰部153の端面153aが取付部109に当接する。これにより、嵌合用の突起130が前記所定方向Uにずれることが防止される。
【0052】
弾性部154は、当該差込具105が反差込方向へ外れないように係止する。すなわち、弾性部154の引っかけ部156は、取付部109に設けられた係止用の凹部の縁の段部157に係止される。
差込具105を引き出す向きに所定の大きさ以下の外力が作用するときには、弾性部154が弾性変形しても、引っかけ部156と取付部109の段部157との係合が維持されるようになっている。また、上述の所定の大きさを超える力で差込具105を引き抜くことができる。
【0053】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 警告灯
3 取付ブラケット
4 本体
4a 底面
5 差込具
6 車体側面(取付面)
9 取付部
11 取付ブラケットの一端部
12 取付ブラケットの他端部
13 嵌合用の突起
14 面板
15 肩部
15a 肩部の側方
16 係止用の凸部
17 弾性舌片(弾性体)
18 台座
19 挿通孔
20 リブ
22 取付ねじ
23 本体の一端
24 本体の他端
25 受入凹部
26 係合凹部
31 主体部
32 突部(抑制部)
33 側壁部(抑止部)
34 係合溝
35 支持部
36 開口部
38 被係止部
39 案内部
40 凸部の第1の傾斜面
41 凸部の第2の傾斜面
42 インサートナット
81 ベースケース
82 アウターカバー
101 警告灯
103 取付ブラケット
104 本体
105 差込具
109 取付部
109a 中間部
109b 奥部
130 嵌合用の突起
130a 先端
130b 側部
151 頭部
151a 端面
152 胴体
153 腰部
153a 端面
154 弾性部
155 切欠き
156 引っかけ部(被係止部)
157 段部
158 第1頂部
159 第2頂部
160 底部
181 ベースケース
182 アウターカバー
U 所定方向
X 長手方向
Y 正面側
Y2 取付面側
Z 幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付ブラケットと、取付ブラケットに取り付けられる本体と、取付ブラケットに本体を取り付けた後、取付ブラケットと本体の間に区画された取付部に差し込まれる差込具とを含む筐体の取付構造であって、
取付ブラケットには、取付時に本体と対向する面側の一端および他端に、それぞれ、嵌合用の突起が形成されており、
本体には、取付時に取付ブラケットに対向する底面側の一端および他端に、それぞれ、前記嵌合用の突起を受け入れる受入凹部、および、当該受入凹部に連設され、前記嵌合用の突起が受入凹部に受け入れられた後本体が取付ブラケットに対して所定方向へ変位されることにより前記嵌合用の突起と係合する係合凹部が形成されており、
前記差込具は、前記嵌合用の突起および係合凹部の係合位置に向かって前記所定方向に対して交差する方向へ差し込まれるものであり、当該差込具には、差し込まれた状態において、前記嵌合用の突起および係合凹部の係合が前記所定方向へずれるのを阻止するための抑制部が備えられていることを特徴とする筐体の取付構造。
【請求項2】
取付時に本体と対向する前記取付ブラケットの一端および他端には、それぞれ、外へ向かって延びる平板状の肩部が設けられ、
前記嵌合用の突起は、前記肩部の両側に、肩部の面方向に直交方向に立ち上がり、且つ外方へ曲成した一対のフック状突起を含むことを特徴とする請求項1記載の筐体の取付構造。
【請求項3】
前記差込具の抑制部は、差込具が差し込まれた状態において、前記肩部が本体に対して前記所定方向へずれないように、前記肩部の両側方と係合する一対の突部を含むことを特徴とする請求項2記載の筐体の取付構造。
【請求項4】
取付時に本体と対向する前記取付ブラケットの一端および他端には、それぞれ、前記差込具係止用の凸部が形成されており、
前記差込具には、差し込まれた状態において、前記係止用の凸部と係合する弾性を有する被係止部が備えられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の筐体の取付構造。
【請求項5】
前記差込具には、差し込まれた状態において、本体に係合して本体の底面側から離れる方向へ差込具が移動するのを防止するための一対の支持部が備えられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の筐体の取付構造。
【請求項6】
前記嵌合用の突起は、前記取付ブラケットから前記本体方向に立ち上がり、先端が、立ち上がり方向から交差方向へ曲成したフック状突起を含むことを特徴とする請求項1記載の筐体の取付構造。
【請求項7】
前記差込具の抑制部は、差し込まれた状態で前記受入凹部を塞ぐように延びる胴体を含むことを特徴とする請求項6記載の筐体の取付構造。
【請求項8】
前記差込具は、前記胴体に並設され反差込方向へ外れないように係止する弾性部を含むことを特徴とする請求項1,6,7のいずれかに記載の筐体の取付構造。
【請求項9】
前記取付ブラケットは、本体の底面に対向する面板を有し、当該面板には、本体の底面側に向かって弾性力を有する弾性体が備えられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の筐体の取付構造。
【請求項10】
前記弾性体は、取付ブラケットの面板の一部が切り起こされて形成されていることを特徴とする請求項9記載の筐体の取付構造。
【請求項11】
前記取付ブラケットの面板には、切り起こして形成された取付用の台座が設けられていることを特徴とする請求項9または10記載の筐体の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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