説明

筐体構造、及び電子機器

【課題】ケースを補強する部材と、遮光する部材とを一体部品化して、部品点数を削減するとともに、小型化する。
【解決手段】上下中ケース5,6,7から構成され、上下ケース5,6の間に設けられた空間に光源9が設けられている筐体構造であって、空間に、中ケース7に固定され上ケース5を補強する補強部材8が設けられており、この補強部材8に遮光兼反射用切欠部84が形成されており、光源9は、遮光兼反射用切欠部84内に設けられており、光源9の光は、遮光兼反射用切欠部84の壁面で遮光され、壁面に沿って導出される。補強部材8は、上ケース5に密着しており、上ケース5には、遮光兼反射用切欠部84内に連通し光源9の光を筐体1外に導出させる上面開口部41及び側面開口部が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のケースから構成され、複数のケースの間に設けられた空間に光源が設けられた筐体構造と、その筐体構造を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電子機器のケースにおいて、その強度を上げるために、ケースにリブを設けることが行われる(例えば特許文献1参照)。
また、携帯電話の表示装置において、光を遮りたい場合に遮光部材を設けることが行われる(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−303239号公報
【特許文献2】特開2006−154008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上、ケースの強度を上げるため、そして、遮光するためには、特許文献1、2に示したように、リブ等の補強する部材と、遮光する部材をそれぞれ設ける必要があった。
【0005】
本発明の課題は、ケースを補強する部材と、遮光する部材とを一体部品化して、部品点数を削減するとともに、小型化することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点に係る筐体構造は、
複数のケースから構成され、当該複数のケースの間に設けられた空間に光源が設けられている筐体構造であって、
前記空間に、前記複数のケースのうちの一のケースに固定され他のケースを補強する補強部材が設けられており、
この補強部材に切欠部が形成されており、
前記光源は、前記切欠部内に設けられており、
前記光源の光は、前記切欠部の壁面で遮光され、当該壁面に沿って導出され、
前記補強部材は、前記他のケースに密着しており、
前記他のケースには、前記切欠部内に連通し前記光源の光を前記筐体外に導出させる開口部が形成されている。
【0007】
本発明の第2の観点に係る電子機器は、上記の筐体構造を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ケースを補強する部材と、遮光する部材とを一体化できるため、部品点数を削減しつつ、小型化も図れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を適用した電子機器の一実施形態の構成を示すもので、携帯電話の消灯時を示した平面図(a)と、点灯時を示した平面図(b)である。
【図2】図1の上筐体の分解斜視図である。
【図3】図2の下ケース及び中ケースと補強部材の拡大図である。
【図4】図3の下ケース及び中ケースと補強部材を組み付けた状態を示した平面図である。
【図5】図2の上ケースの拡大したもので、カバーを外した状態を示した図である。
【図6】図5の上ケースを内面側から示した斜視図である。
【図7】図2の上ケースから外したカバーとともに、内部の照光部及び導光部材を示した斜視図である。
【図8】図7の照光部及び導光部材の配置状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(実施形態)
図1は本発明を適用した電子機器の一実施形態の構成として携帯電話を示したもので、上筐体1と下筐体2は、二軸ヒンジ部3を介して結合されており、この二軸ヒンジ部3により縦方向に開閉自在で横方向にも開閉自在となっている。
【0011】
そして、上筐体1の一側部に沿って、二軸ヒンジ部3のカバー4が一体に組み付けられている。このカバー4には、図示例では下側先端部のロゴによる上面開口部41と左側に沿ったスリットによる側面開口部42が形成されている。これらのロゴによる上面開口部41とスリットによる側面開口部42は、図1(b)に示すように、照光可能となっている。
【0012】
図2は上筐体1を構成するケース及びカバー4を示したもので、上筐体1は、上ケース5、下ケース6及び中ケース7から構成され、中ケース7に補強部材8が組み付けられて、上ケース5と下ケース6及び中ケース7がビス止め結合されている。実施形態において、上ケース5及び下ケース6は樹脂製、中ケース7はマグネシウム合金等の金属製、補強部材8は樹脂製である。
【0013】
補強部材8は、白色樹脂により板状部材として成形され、図3及び図4にも拡大して示すように、その左右両側部に一対の係止片81がそれぞれ備えられて、各係止片81に係止孔82がそれぞれ形成されている。補強部材8には、図示右側部に光源を囲んで光を導出させる遮光兼反射用切欠部84が形成されて、他の部分に電子部品用切欠部86・87及び一対の突片部88等が形成されている。
【0014】
また、上ケース5のカバー4の組付部にも、図5に示すように、遮光兼反射用切欠部54が形成されている。この遮光兼反射用切欠部54は、補強部材8の遮光兼反射用切欠部84と略対応する形状をなしている。なお、上ケース5は、図6に示すように、その内面に補強用のリブを設けないものとなっている。
【0015】
遮光兼反射用切欠部84は、白色樹脂による補強部材8につき、その周囲が光源からの光を反射する反射部となっている。そして、遮光兼反射用切欠部84の一端部には、斜面部85が形成されている。
なお、遮光兼反射用切欠部84について、図示例では、全周を囲む開口部としたが、一部を開放しても良い。
【0016】
そして、中ケース7の左右両側壁部の外側面には、一対の係止突起72がそれぞれ備えられている。この係止突起72が、補強部材8の係止片81の係止孔82にそれぞれ係止する。これら係止突起72及び係止孔82の係止により補強部材8が中ケース7に左右両端で固定される。この補強部材8は、上ケース5の内面に密着状態となる。
【0017】
また、上筐体1の中ケース7と上ケース5のカバー4との間には、光源としてのLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)9と、図7及び図8に示すように、カバー4の上面開口部41及び側面開口部42に対応したロゴによる第1の照光部11、及びスリット状の細長い第2の照光部21と、LED9の光を第1の照光部11に導光する第1の導光部材10と、LED9の光を第1の導光部材11を経て第2の照光部21に導光する第2の導光部材20とが配置されている。
【0018】
LED9は、着信を例えば7色等の発光色で順次点灯して報知するもので、図3及び図4に示すように、中ケース7内において、基板上に搭載されて、第1の導光部材10及び第2の導光部材20に対し光軸を所定角度傾けて配置されている。これにより、スリット状の細長い第2の照光部21に対し光を斜めに当てて先端まで照光する。
【0019】
第1の導光部材10は、例えば透明樹脂に光拡散材を混入した乳白色のもので、その上面にロゴによる第1の照光部11を一体に成形して、底面には、光を反射させるためにブラスト処理を施している。
第2の導光部材20は、例えば透明樹脂に光拡散材を混入して上筐体1の色に合わせて着色したもので、その左上部に傾斜面による細長い第2の照光部21を一体に成形している。
【0020】
以上において、上筐体1の上ケース5の一側部に沿った二軸ヒンジ部3のカバー4の下側先端部のロゴによる上面開口部41に、第1の導光部材10の上面のロゴによる第1の照光部11が位置して、同じくカバー4の左側に沿ったスリットによる側面開口部42に、第2の導光部材20の左上部の傾斜面による細長い第2の照光部21が位置している。
【0021】
また、LED9と第1の導光部材10は、補強部材8の遮光兼反射用切欠部84内に配置される。第2の導光部材20は、第1の導光部材10側の基端部が遮光兼反射用切欠部84内に配置されるとともに、基端部から先端部側に向かう一部分が補強部材8上に配置されている。なお、遮光兼反射用切欠部84の斜面部85に対応して第2の導光部材20の斜面部25が当接している。
【0022】
そして、着信によりLED9が、例えば7色等の発光色で順次点灯すると、第1の導光部材10を通った光でその上面のロゴによる第1の照光部11が発光する。従って、図1(b)に示すように、ロゴによる上面開口部41から発光する。
同時に、第1の導光部材10を経て第2の導光部材20を通った光でその左上部の傾斜面による細長い第2の照光部21が発光する。従って、図1(b)に示すように、スリットによる側面開口部42から発光する。
【0023】
以上、実施形態の筐体構造を備える携帯電話によれば、上筐体1の補強部材8に光源のLED9を囲んで光を導出させる遮光兼反射用切欠部84を形成して、中ケース7に補強部材8の両端部を係止突起72及び係止孔82の係止により固定して、補強部材8を上ケース5に密着させたことで、上ケース5の補強部材8に遮光兼反射部材を一体化できるため、部品点数を削減しつつ、小型化も図れる。
【0024】
しかも、補強部材8を上ケース5に密着させることで、遮光兼反射用切欠部84からの光の漏れを防ぐとともに、薄型化が図れる。
【0025】
また、中ケース7に補強部材8の両端部を固定するようにしたことにより、補強部材8の基板上面を十分に活用できるため、補強部材8と基板上の電子部品とを積層させたり、補強部材8を切り欠いて、その切り欠き内に基板上の電子部品を配置することなどができ、補強部材8によって電子部品を保護することができる。
【0026】
そして、補強部材8の遮光兼反射用切欠部84からLED9の光を導出させる第1の導光部材10及び第2の導光部材20を設けたことで、第1の照光部11及び第2の照光部21への導光が効率的に行える。
【0027】
しかも、遮光兼反射用切欠部84には、LED9が照光する方向の斜面部85を形成したことで、遮光兼反射用切欠部84内に配置した第2の導光部材20における第1の導光部材10側の基端部から、傾斜面85に対応する斜面部25を経て第2の導光部材20の先端部側に向かう導光作用が得られる。従って、第2の照光部21を効率良く照光させることができる。
【0028】
また、遮光兼反射用切欠部84の周囲は、白色樹脂による補強部材8につき、LED9からの光を反射する反射部となっているので、第1の照光部11及び第2の照光部21をより効率良く照光させることができる。
【0029】
(変形例)
なお、以上の実施形態においては、携帯電話としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、携帯電話以外にカメラ、PDA、ノートパソコン、ウェアラブルパソコン、電卓、電子辞書など、光源を筐体内に備えた電子機器すべてに用いることができる。
また、実施形態では、LEDを光源としたが、光源としては他に適宜のものを採用しえる。
さらに、切欠部の形状や補強部材の形状についても任意のものを採用しえる。
【0030】
また、導光部材は実施形態のように別体でなくとも、一体成形されたものであっても良い。
そして、照光部及び導光部材の形状等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0031】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0032】
(付記1)
複数のケースからなる筐体内に光源が設けられた筐体構造であって、
前記複数のケースの間に、前記筐体を補強するための補強部材を設け、
この補強部材に、前記光源を囲んで光を導出させる切欠部を形成して、
前記複数のケースのうちの一のケースに前記補強部材を固定したことを特徴とする筐体構造。
【0033】
(付記2)
前記補強部材を他のケースに密着させたことを特徴とする付記1に記載の筐体構造。
【0034】
(付記3)
前記複数のケース内に中ケースを備え、
前記補強部材の両端が前記中ケースに固定されることを特徴とする付記1または2に記載の筐体構造。
【0035】
(付記4)
前記切欠部から前記光源の光を導出させる導光部材を設けたことを特徴とする付記1から3のいずれか一つに記載の筐体構造。
【0036】
(付記5)
前記切欠部には、前記光源が照光する方向の斜面部を形成したことを特徴とする付記1から4のいずれか一つに記載の筐体構造。
【0037】
(付記6)
前記切欠部の周囲には、光を反射する反射部を設けたことを特徴とする付記1から5のいずれか一つに記載の筐体構造。
【0038】
(付記7)
付記1から6のいずれか一つに記載の筐体構造を備えることを特徴とする電子機器。
【符号の説明】
【0039】
1 上筐体
2 下筐体
3 二軸ヒンジ部
4 カバー
41 上面開口部
42 側面開口部
5 上ケース
54 遮光兼反射用切欠部
6 下ケース
7 中ケース
72 係止突起
8 補強部材
81 係止片
82 係止孔
84 遮光兼反射用切欠部
85 斜面部
86 電子部品用切欠部
87 電子部品用切欠部
88 突片部
9 光源
10 第1の導光部材
11 第1の照光部
20 第2の導光部材
25 斜面部
21 第2の照光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のケースから構成され、当該複数のケースの間に設けられた空間に光源が設けられている筐体構造であって、
前記空間に、前記複数のケースのうちの一のケースに固定され他のケースを補強する補強部材が設けられており、
この補強部材に切欠部が形成されており、
前記光源は、前記切欠部内に設けられており、
前記光源の光は、前記切欠部の壁面で遮光され、当該壁面に沿って導出され、
前記補強部材は、前記他のケースに密着しており、
前記他のケースには、前記切欠部内に連通し前記光源の光を前記筐体外に導出させる開口部が形成されていることを特徴とする筐体構造。
【請求項2】
前記複数のケース内に前記一のケースとしての中ケースを備え、
前記補強部材の両端が前記中ケースに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の筐体構造。
【請求項3】
前記切欠部から前記光源の光を導出させる導光部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の筐体構造。
【請求項4】
前記切欠部には、前記光源が照光する方向に面した斜面部が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の筐体構造。
【請求項5】
前記切欠部の周囲には、光を反射する反射部が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の筐体構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の筐体構造を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−93890(P2013−93890A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−287234(P2012−287234)
【出願日】平成24年12月28日(2012.12.28)
【分割の表示】特願2008−108415(P2008−108415)の分割
【原出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】