説明

筒型高圧カットアウト用接地工具

【課題】筒型高圧カットアウトの一次側配電線を地絡させることができる筒型高圧カットアウト用接地工具を提供する。
【解決手段】ヒューズ体を収容可能な筒型高圧カットアウトに対して用いられる筒型高圧カットアウト用接地工具10であって、筒型高圧カットアウトの内部に形成された収容部に挿入される棒状の本体部11と、本体部の一部に形成され、筒型高圧カットアウトに形成された一次側電極と当接可能に構成された電極当接部13と、電極当接部と電気的に接続され、本体部の内部に配された導体部19と、を備え、導体部が接地可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒型高圧カットアウト用接地工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、高圧配電線路を構成する一次側配電線と二次側配電線とは、高圧カットアウトを介して電気的に接続されている。高圧カットアウトにはヒューズ体が収容され、ヒューズ体に過電流が流れると、ヒューズ体が機能して過電流が二次側配電線に流れなくなるように構成されている。
このような高圧配電線路においてメンテナンスなどの作業を行う際には、高圧配電線路を停電状態にする。従来、高圧配電線路を停電状態にするためには、地上変圧器箱(パットマントランス)に接地線を取り付けて作業を行うことが多かった。しかしながら、鉄道線路のそばに配置されている地上変圧器箱はコンパクト設計がなされているため、接地線の取り付け箇所が少ないという問題がある。
そこで、特許文献1のように、高圧カットアウトに収容されたヒューズ体を取り出し、高圧カットアウトに接地工具を挿入して接地をする器具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−71640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1は、一次側配電線を地絡させることができないという問題がある。また、地絡器具を高圧カットアウト内に保持するために棒状体を回転させて弾性体を変形させる必要があり、作業に手間がかかるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上述の事情を鑑みてなされたものであり、筒型高圧カットアウトの一次側配電線を地絡させることができる筒型高圧カットアウト用接地工具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、ヒューズ体を収容可能な筒型高圧カットアウトに対して用いられる筒型高圧カットアウト用接地工具であって、前記筒型高圧カットアウトの内部に形成された収容部に挿入される棒状の本体部と、該本体部の一部に形成され、前記筒型高圧カットアウトに形成された一次側電極と当接可能に構成された電極当接部と、該電極当接部と電気的に接続され、前記本体部の内部に配された導体部と、を備え、該導体部が接地可能に構成されていることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載した発明は、前記本体部の一部に径方向に膨出するとともに、周面が絶縁部材で構成されたフランジ部が形成され、該フランジ部が前記筒型高圧カットアウトに形成された二次側電極と当接されて、前記本体部を前記収容部内に保持可能に構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載した発明によれば、筒型高圧カットアウト用接地工具の本体部を筒型高圧カットアウトの収容部に挿入して、本体部に形成された電極当接部を一次側電極に当接させるとともに、導体部を接地させることで筒型高圧カットアウトの一次側電極を地絡させることができる。したがって、より安全に停電作業を行うことができる。
【0009】
請求項2に記載した発明によれば、筒型高圧カットアウト用接地工具の本体部に形成されたフランジ部を二次側電極に当接させることにより、収容部内における一次側電極および二次側電極で本体部が当接される。したがって、本体部を収容部内に確実に保持させることができ、筒型高圧カットアウトの一次側電極を確実に地絡させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態における筒型高圧カットアウト用接地工具の正面図である。
【図2】本発明の実施形態における接地工具をCFカットアウト用接地工具に取り付けた状態を示す正面図である。
【図3】本発明の実施形態における変圧器箱の概略構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態における接地工具を高圧カットアウトに取り付けた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
図1は、筒型高圧カットアウト用接地工具の正面図である。
図1に示すように、筒型高圧カットアウト用接地工具(以下、接地工具という。)10は、棒状の本体部11と、本体部11の先端部11aから若干基端部11b側に寄った位置に周方向に沿って形成された電極当接部13と、本体部11の基端部11b側に形成されたフランジ部15と、接地線に接続される接続部17と、を備えている。また、電極当接部13と接続部17との間を電気的に接続する導体部19が本体部11の内部に設けられている。
【0012】
本体部11は、樹脂で成形された円筒状の部材である。本体部11は、筒型高圧カットアウト(以下、高圧カットアウトという。)50の内部に形成された収容部53に収容可能な大きさで形成されている(後に詳述する)。
【0013】
また、図2に示すように、本体部11の基端部11bに形成されている接続部17の底面17aには、略中央部にネジ穴21が形成されており、一般的に用いられているCFカットアウト用接地工具23の先端部23aに螺合されるようになっている。先端部23aは金属で形成されている。なお、CFカットアウト用接地工具23の基端部23bには、先端部23aと電気的に接続された接地電極線25が延設されており、接地電極線25が接地クランプ27に接続されている。そして、接地クランプ27が接地可能に構成されている。
【0014】
つまり、接地工具10をCFカットアウト用接地工具23に接続し、CFカットアウト用接地工具23を接地させることにより、接地工具10の電極当接部13、接続部17および導体部19を接地電位に保持することができる。
【0015】
一方、図3に示すように、変圧器箱40には、変圧器41が配されており、外部から受電された高圧電圧を変圧器41において低圧に降下して、各種低圧負荷に対して電圧を供給するように構成されている。なお、外部から高圧電圧を受電している受電線42は、変圧器箱40内において分岐し、別の負荷場所へ向けて分岐線43が設けられている。また、受電線42(一次側配電線51)は、高圧カットアウト50の一次側に接続されており、高圧カットアウト50を介して二次側にさらに延設されている。高圧カットアウト50の二次側の受電線42(二次側配電線52)は、変圧器41に接続され、変圧器41において低圧に降下した電圧を各負荷に対して供給するための負荷電線45が接続されている。
【0016】
図4に示すように、高圧カットアウト50は、高圧電力の一次側配電線51と、変圧器に至る二次側配電線52との間に介装されている。高圧カットアウト50の内部に形成された収容部53にヒューズ体(不図示)が収容可能に構成されており、高圧カットアウト50に過電流が流れるとヒューズ体が機能して、二次側配電線52に過電流が流れないようになっている。高圧カットアウト50は有底筒状に形成されており、高圧カットアウト50における軸方向一端側に開口部55が形成され、開口部55から軸方向に沿って収容部53が形成されている。高圧カットアウト50における開口部55が形成された側を基端部56とし、基端部56の反対側を先端部57とする。つまり、先端部57側に一次側配電線51が接続されており、基端部56側に二次側配電線52が接続されている。
【0017】
収容部53における先端部57側には一次側配電線51と電気的に接続された一次側電極61が形成されており、基端部56側には二次側配電線52と電気的に接続された二次側電極62が形成されている。一次側電極61および二次側電極62は、ともに収容部53の内周壁53aを周方向に沿って形成されている。また、収容部53における二次側電極62の先端部57側には、収容部53の径が小さくなるように段差部59が形成されている。段差部59には、接地工具10のフランジ部15が当接可能になっており、接地工具10の軸方向の位置決めができるようになっている。そして、接地工具10を収容部53内に配したときに、電極当接部13が一次側電極61に当接し、フランジ部15が二次側電極62に当接するようになっている。
【0018】
次に、高圧配電線路の停電作業を行う際に、接地工具10を高圧カットアウト50に取り付ける方法について説明する。
【0019】
まず、停電作業を行う際に、高圧カットアウト50に取り付けられているヒューズ体を取り外す。
続いて、接地されたCFカットアウト用接地工具23の先端部23aに接地工具10を取り付け、接地工具10の本体部11を高圧カットアウト50の収容部53内へ挿入する。
【0020】
そして、本体部11の電極当接部13が収容部53内の一次側電極61に当接するまで挿入する。なお、接地工具10のフランジ部15が段差部59に当接するまで本体部11を挿入することで、電極当接部13と一次側電極61とが当接するようになっている。また、二次側電極62はフランジ部15の周面に当接しており、これにより本体部11はより確実に収容部53内に保持される(図4参照)。
このように接地工具10を高圧カットアウト50に取り付けることで、一次側配電線51(一次側電極61)を接地させることができる。
【0021】
本実施形態によれば、筒型高圧カットアウト50用の接地工具10の本体部11を高圧カットアウト50の収容部53に挿入して、本体部11に形成された電極当接部13を一次側電極61に当接させるとともに、導体部19を接地させることで高圧カットアウト50の一次側電極61を地絡させることができる。したがって、より安全に停電作業を行うことができる。
【0022】
また、接地工具10の本体部11に形成されたフランジ部15を二次側電極62に当接させることにより、収容部53内における一次側電極61および二次側電極62で本体部11が当接される。したがって、本体部11を収容部53内に確実に保持させることができ、高圧カットアウト50の一次側電極61を確実に地絡させることができる。
【0023】
なお、本実施形態において、CFカットアウト用接地工具23と接地工具10とは螺合することで接続できるため、接地工具10の代わりにそれぞれのカットアウトに対応する形状の接地工具を取り付けることで、全てのカットアウトに対して容易に停電作業を実施することが可能となる。
【0024】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な材料や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態では、一次側電極61が本体部11の先端部11a側に配され、二次側電極62が基端部11b側に配された場合の説明をしたが、高圧カットアウトの一次側電極および二次側電極に対応した位置に電極当接部などを配置すればよい。
【符号の説明】
【0025】
10…接地工具(筒型高圧カットアウト用接地工具) 11…本体部 13…電極当接部 15…フランジ部 19…導体部 50…高圧カットアウト(筒型高圧カットアウト) 53…収容部 61…一次側電極 62…二次側電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒューズ体を収容可能な筒型高圧カットアウトに対して用いられる筒型高圧カットアウト用接地工具であって、
前記筒型高圧カットアウトの内部に形成された収容部に挿入される棒状の本体部と、
該本体部の一部に形成され、前記筒型高圧カットアウトに形成された一次側電極と当接可能に構成された電極当接部と、
該電極当接部と電気的に接続され、前記本体部の内部に配された導体部と、を備え、
該導体部が接地可能に構成されていることを特徴とする筒型高圧カットアウト用接地工具。
【請求項2】
前記本体部の一部に径方向に膨出するとともに、周面が絶縁部材で構成されたフランジ部が形成され、
該フランジ部が前記筒型高圧カットアウトに形成された二次側電極と当接されて、前記本体部を前記収容部内に保持可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の筒型高圧カットアウト用接地工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−259144(P2010−259144A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103001(P2009−103001)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(399039719)東日本電気エンジニアリング株式会社 (30)