説明

筒状フィルム成形体の製造装置、ならびに筒状包装体の自動充填包装機および包装方法

【課題】重ね合わせ部(シール部)の皺やシール部周辺の熱変形や熱収縮、ピンホールの発生が抑制され、見栄えが良く美観に優れ、寸法精度の向上が図られ、シール強度およびフィルム強度に優れる筒状包装体などを提供すること。
【解決手段】筒状体の重ね合わせ部(シール部)と熱風シール手段との間に、スリットを有する熱風遮蔽板を設けるとともに、熱風シール手段のノズル開口および筒状体の重ね合わせ部を結ぶ直線上に、熱風遮蔽板のスリットを配置する。重ね合わせ部の接線に対し略垂直方向から熱風を吹き付け可能な位置に熱風シール手段のノズル開口を配置し、その接線に対して略平行にまたは±20°以下の傾きをもって熱風遮蔽板を配置することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状フィルム成形体の製造装置、ならびに液状あるいは練り状食品などの筒状包装体の自動充填包装機および包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蒟蒻や漬物、ハム・ソーセージといった液状あるいは練り状食品など、流動性を有する物品(被包装物)の包装方法として、長尺の合成樹脂フィルムの両側縁同士を重ね合わせて融着した筒状フィルム成形体内に、上記物品あるいはその原料を充填し、該筒状フィルム成形体の両端部を封止する方法が広く用いられている。
【0003】
この種の筒状包装体の包装作業は、通常、筒状フィルム成形体の成形から封止まで連続工程で行われている。具体的には、帯状の合成樹脂フィルムを繰り出しながら両側縁同士を重ね合わせて融着させることにより筒状フィルム成形体を成形し、この筒状フィルム成形体中に被包装物を充填した後、所定の間隔で外部より該筒状フィルム成形体を外部から押圧して内部の被包装物を押しのけ、その押しのけた部分を金属ワイヤーや熱シールにより封止し、筒状包装体毎にフィルムを切断する。
【0004】
上記の筒状フィルム成形体を成形するために用いられるシール(融着)方法としては、高周波シールや熱板シールなどが広く利用されているが、近年、環境面への配慮および生産性の向上の観点から、塩素を含有しない合成樹脂フィルムを非接触でシール可能な、熱風シール方式を採用する種々の試みが為されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂帯状フィルムをフォルダで筒状となし、その両側縁の重ね合わされた部分にノズルから熱風を吹き付けて筒状フィルム成形体に成形する、熱風シール方法とその自動充填包装機が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、収縮性MXDナイロンフィルムの両側にポリプロピレン系樹脂やポリプロピレン系フィルムを押出しラミネート法やドライラミネート法で貼り合わせて得た帯状の積層フィルムを、熱風シール式充填機にてタテ方向を封筒貼り融着して両端を金属ワイヤーで結紮したロケット包装体が開示されている。
【0007】
さらに、特許文献3には、熱収縮性ナイロンフィルムの両側にシーラントフィルムとしてポリエチレンフィルムを貼り合わせた帯状の積層フィルムを、誘導ロールを経由して自動充填機に導き、セーラー等を介してその両端を重ね合わせ(封筒貼りの場合)、この部分にホットエアーをノズルから吹き付けて、シーラントフィルムを溶融して、互いに融着させ、円筒体(チューブ)を形成し、この円筒体内に肉を充填した後、円筒体の下部および上部をクリップで結紮し、加熱殺菌したハム・ソーセージが開示されている。
【0008】
また、特許文献4には、ポリオレフィン系樹脂からなる外側層(1)とポリアミド系樹脂からなる中間層(2)と中間層(2)を介して外側層(1)と対向して配置されたポリオレフィン系樹脂からなるもう一方の外側層(3)の少なくとも3層からなる積層フィルムを用い、ホットジェットシール(封筒貼り型シール)し、80℃でボイルクッキング処理した畜肉ソーセージとその自動充填包装機械が開示されている。
【0009】
さらに、特許文献5には、同種のポリオレフィン系樹脂からなる両外層およびポリアミド系樹脂からなる中間層の少なくとも3層からなる延伸多層フラット状フィルムを用い、ホーミング部で筒状にし、フィルムの外表面と内表面とをホットジェット方式(加熱空気をフィルムに吹き付ける方式)によりフィルムの送り速度を10m/分(50ショット/分)でバックシーム(封筒貼りシール)してケーシングを形成し、このケーシング内にペースト状のソーセージを充填後、砲弾型の包装体の両端をクリップにて閉じた後に加熱殺菌したソーセージとその自動充填包装機が開示されている。
【0010】
【特許文献1】実公昭55−14171号公報
【特許文献2】特開2001−30445号公報
【特許文献3】特開平5−316933号公報
【特許文献4】特開2001−9993公報
【特許文献5】特開2000−37828公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の熱風シール方式の自動充填包装機においては、筒状体の重ね合わせ部(シール部)周辺の広い範囲にわたって熱風が印加されるので、フィルム搬送時の脈動やシール部のばたつきなどと相まって、重ね合わせ部周辺のフィルムに熱変形や熱収縮を生じさせ易く、特に、高収縮性の合成樹脂フィルムを適用した場合に、シール幅に過大なばらつきを生じさせるのみならず、シール部周辺にピンホールを発生させるなどの過度の外観不良を引き起こすことが判明した。また、シール部周辺の熱変形や熱収縮は、熱風シール時の不均一な熱融着プロセスの進行を招き、シール部に過度の皺を発生させるなどの外観不良をも引き起こす。
【0012】
一方、熱風シール時に不均一な熱融着プロセスが進行してシール部に非熱融着部分が多量に残存すると、シール強度の低下およびシール易剥離の問題が生じる。また、上述したシール部周辺のピンホールは、フィルム強度の低下を引き起こす。これらの機械強度の低下は、例えば、得られる筒状包装体をレトルト殺菌などの高温あるいは高圧プロセスを施した場合に、レトルト殺菌時のパンクや雑菌の混入などの問題をも引き起こし得るので、歩留まりを低下させ、生産性および経済性を低下させる要因となる。
【0013】
そのため、上記従来の自動充填包装機およびこれに採用されている熱風シール方式は、各種の素材選定や製造条件の幅(プロセス裕度)が乏しく、汎用性、生産性および経済性に劣るものであり、早急な改善が求められていた。
【0014】
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであり、筒状体の重ね合わせ部(シール部)の皺やシール部周辺の熱変形や熱収縮、ピンホールの発生が抑制され、見栄えが良く美観に優れ、寸法精度の向上が図られ、シール強度およびフィルム強度に優れる筒状フィルム成形体を製造可能な、汎用性、生産性および経済性に優れる製造装置、ならびにこれを用いた筒状包装体の自動充填包装機および包装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記課題に対し鋭意検討した結果、熱風シール時の筒状体の重ね合わせ部(シール部)への熱風の吹き付けを規制することにより、シール部の皺やシール部周辺の熱変形や熱収縮、ピンホールの発生が抑制され、上記従来の種々の課題が解消されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下<1>〜<5>を提供する。
【0016】
<1>帯状の合成樹脂フィルムを筒状に湾曲させて該合成樹脂フィルムのフィルム両側縁が重ね合わせられた筒状体を形成する製筒手段と、前記筒状体の重ね合わせ部にノズル開口から熱風を吹き付け、該重ね合わせ部を熱融着させて筒状フィルム成形体を成形する熱風シール手段とを備え、前記熱風シール手段と前記筒状体の重ね合わせ部との間に、スリットを有する熱風遮蔽板が設けられ、前記ノズル開口および前記筒状体の重ね合わせ部を結ぶ直線上に、前記スリットが配置されていることを特徴とする、筒状フィルム成形体の製造装置。
このように構成すると、ノズル開口から噴射される熱風は、熱風遮蔽板のスリットにより集束され、筒状体の重ね合わせ部(シール部)に局所的に吹き付けられる。換言すれば、シール部周辺への熱風の吹き付けは、熱風遮蔽板によって遮蔽される。また、シール部に吹き付けられた熱風は、熱風遮蔽板の表面に沿って外方へと効率的に排出され易くなる。その結果、シール部周辺への過度の熱印加が緩和され、シール部周辺の熱変形や熱収縮、ピンホールの発生が抑制されるとともにシール部における均一な熱融着が促進され、寸法精度、シール強度およびフィルム強度が高まる。
【0017】
<2>前記熱風シール手段は、前記筒状体の断面における重ね合わせ部の接線に対して略垂直方向から熱風を吹き付け可能な位置に配置され、前記熱風遮蔽板が、前記接線に対して略平行にまたは±20°以下の傾きをもって配置されていることを特徴とする<1>に記載の筒状フィルム成形体の製造装置。
このように構成すると、スリットを通過して筒状体の重ね合わせ部へ吹き付けられた熱風が、熱風遮蔽板の傾いた面に沿って外方へより一層効率的に排出され易くなり、筒状体の重ね合わせ部への過度の熱印加がより一層効果的に緩和される。
【0018】
<3>前記スリットは、前記ノズル開口から前記筒状体の重ね合わせ部へ向かって縮径していることを特徴とする<1>または<2>に記載の筒状フィルム成形体の製造装置。
このように構成すると、熱風の吹き付けが、ノズルの開口から筒状体の重ね合わせ部へ向かって効率的に集束(規制)されるので、筒状体の重ね合わせ部周辺への過度の熱印加がより一層効果的に緩和される。
【0019】
<4>帯状の合成樹脂フィルムを供給するフィルム供給手段と、前記合成樹脂フィルムを筒状に湾曲させて該合成樹脂フィルムのフィルム両側縁が重ね合わせられた筒状体を形成する製筒手段と、前記筒状体の重ね合わせ部にノズル開口から熱風を吹き付け、該重ね合わせ部を熱融着させて筒状フィルム成形体を成形する熱風シール手段と、前記筒状フィルム成形体中に被包装物を充填する充填手段と、前記被包装物が充填された前記筒状フィルム成形体を所定の間隔で外部から押圧し、該前記押圧された領域のフィルムを封止切断して、両端部が封止された筒状包装体を複数作製する封止手段とを備え、前記熱風シール手段と前記筒状体の重ね合わせ部との間に、スリットを有する熱風遮蔽板が設けられ、前記ノズル開口および前記筒状体の重ね合わせ部を結ぶ直線上に、前記スリットが配置されていることを特徴とする、筒状包装体の自動充填包装機。
この自動充填包装機は、上記<1>から<3>のいずか1項に記載の筒状フィルム成形体の製造装置を有効に適用可能なものであり、かくして得られる筒状フィルム成形体および筒状包装体は、重ね合わせ部の皺および重ね合わせ部周辺の熱変形や熱収縮、ピンホールの発生が抑制され、見栄えが良く美観に優れ、シール強度およびフィルム強度に優れ、レトルト殺菌などの高温高圧処理においてもパンク等の発生が少なく、また、雑菌の混入を完全に遮断し得る。したがって、この自動充填包装機によれば、高収縮性を有する合成樹脂フィルムを簡便に適用可能となり汎用性が向上され、また、歩留まりが向上するので生産性および経済性が高まる。
【0020】
<5>帯状の合成樹脂フィルムを筒状に湾曲させて該合成樹脂フィルムのフィルム両側縁が重ね合わせられた筒状体を形成する製筒工程と、前記筒状体の重ね合わせ部にノズル開口から熱風を吹き付け、該重ね合わせ部を熱融着させて筒状フィルム成形体を成形する熱風シール工程と、前記筒状フィルム成形体中に被包装物を充填する充填工程と、前記被包装物が充填された前記筒状フィルム成形体を所定の間隔で外部から押圧し、該前記押圧された領域のフィルムを封止切断して、両端部が封止された筒状包装体を複数作製する封止工程とを有し、前記熱風シール工程においては、前記前記ノズル開口および前記筒状体の重ね合わせ部を結ぶ直線上に配置された、熱風遮蔽板のスリットを介して、前記ノズルから前記重ね合わせ部に熱風を吹き付けることを特徴とする筒状包装体の包装方法。
この包装方法は、上記<1>から<3>のいずか1項に記載の筒状体の製造装置、または上記<4>に記載の筒状包装体の自動充填包装機において有効に適用可能な方法であり、重ね合わせ部の皺および重ね合わせ部周辺の熱変形や熱収縮、ピンホールの発生を抑制でき、見栄えが良く美観に優れ、シール強度およびフィルム強度に優れ、レトルト殺菌などの高温高圧処理においてもパンク等の発生が少なく、また、雑菌の混入を完全に遮断し得る筒状フィルム成形体および筒状包装体を簡易且つ低コストで作製可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、熱風シール手段から吹き付ける熱風を熱風遮蔽板にて規制することにより、筒状体の重ね合わせ部(シール部)の皺やシール部周辺の熱変形や熱収縮、ピンホールの発生が抑制されるので、見栄えが良く美観に優れ、寸法精度の向上が図られ、シール強度およびフィルム強度に優れる筒状フィルム成形体を、簡易且つ低コストで作製可能となり、その結果、歩留まりが向上し、汎用性、生産性および経済性の向上が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとし、さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
【0023】
図1は、本実施形態による自動充填包装機100の要部構造を模式的に示す縦断面図である。自動充填包装機100は、フィルム供給手段11、充填手段21、製筒手段31、熱風シール手段41、封止手段51および熱風遮蔽板61を備える。本実施形態においては、フィルム供給手段11、製筒手段31、熱風シール手段41および熱風遮蔽板61により、帯状の合成樹脂フィルム1から筒状体2が形成され、筒状フィルム成形体3が成形される。
【0024】
フィルム供給手段11は、複数のローラ対11a,11b、送りローラ12a,12bおよび駆動機構(図示せず)を有し、図示しない駆動機構および送りローラ12a,12bの駆動に応じて、原反ロールから帯状の合成樹脂フィルム1を連続的に供給する。合成樹脂フィルム1の供給速度は、通常、10〜60m/min程度であり、使用する合成樹脂フィルム1の種類、厚さ、剛性、融点や、充填される被包装物の素材や粘度などに応じて適宜設定される。
【0025】
充填手段21は、中空円筒状の充填ノズル22を有し、その上端に、被包装物を充填ノズル22内に供給するフィードポンプ23が接続されている。充填手段21は、フィードポンプ23の駆動に応じて、被包装物を充填ノズル22内へ供給する。ここで適用される被包装物は、例えば、魚肉や畜肉、液卵、ゼリー、蒟蒻、漬物といった液状あるいは練り状の食品や物品が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。
【0026】
製筒手段31は、所定形状の金属片を略螺線状に巻いて形成された製筒フォルダ32を有する。製筒フォルダ32は、その内周径が充填ノズル22の外周径よりも大きく形成され、充填ノズル22と略同心円上に配置されている。そのため、充填ノズル22の外周壁と製筒フォルダ32の内周壁とは、所定距離、離間して配置された状態となっている。そして、原反ロールから供給される帯状の合成樹脂フィルム1は、製筒フォルダ32の上面開口から下面開口へと導かれ、製筒フォルダ32内を通過する際に、その螺線構造に追従して筒状に湾曲され、その両端縁1a,1bが重ね合わされた筒状体2となって、製筒フォルダ32の下面開口から図示下方へと移送される。
【0027】
熱風シール手段41は、熱風印加ノズル42と、図示しない加圧調整機構および温度調整機構とを有し、製筒フォルダ32の下方において、充填ノズル22の外周壁から所定距離、離間した位置に配置されている。熱風印加ノズル42と充填ノズル22の外周壁との間には、後述する熱風遮蔽板61が配置されている。本実施形態では、この熱風印加ノズル42のノズル開口42aから、熱風遮蔽板61を介して、製筒フォルダ32を通過した筒状体2の重ね合わせ部2a(合成樹脂フィルム1の両端縁1a,1bが重ね合わされた部分)に熱風が吹き付けられ、重ね合わせ部2aが熱融着することにより熱風シールが実施される。ここで、熱風印加ノズル42は、シール性を向上させる観点から、筒状体2の重ね合わせ部2aに対して(重ね合わせ部2aの断面における接線の接点に対して)、垂直方向から熱風を吹き付ける位置、換言すれば、筒状体2の断面における重ね合わせ部2aの接線に対して略垂直方向から熱風を吹き付け可能な位置に配置されていることが好ましい。
【0028】
熱風の吹き付け圧力は、所望の熱風シールが実行されるべく、熱風印加ノズル42と重ね合わせ部2aとの距離、使用する合成樹脂フィルム1の種類や厚さ、剛性、融点などに応じて適宜設定され、特に限定されるものではないが、0.15〜0.5MPa程度であることが好ましく、0.2〜0.4MPaであることがより好ましい。なお、熱風の吹き付け圧力は、上述した図示しない加圧調整機構に設置された圧力センサにて計測され、また、その加圧調整機構により増減調整される。
【0029】
熱風の温度は、所望の熱風シールが実行されるべく、熱風印加ノズル42と重ね合わせ部2aとの距離、使用する合成樹脂フィルム1の種類や厚さ、剛性、融点などに応じて適宜設定され、特に限定されるものではないが、300〜420℃程度であることが好ましく、330〜410℃であることがより好ましい。なお、熱風の温度は、上述した図示しない温度調整機構に設置された温度センサにて計測され、また、その温度調整機構により増減調整される。
【0030】
重ね合わせ部2aが熱風シールされることにより、略円筒状の筒状フィルム成形体3が成形される。この筒状フィルム成形体3内には、上述した充填ノズル22から被包装物が充填され、かくして被包装物が充填された筒状フィルム成形体3は、送りローラ12a,12bに挟持されて図示下方へと移送される。
【0031】
封止手段51は、絞りローラ52a,52bおよび封止機構53を有する。封止手段51は、被包装物が充填された筒状フィルム成形体3を絞りローラ52a,52bにて所定の間隔で外部から押圧し、その押圧部分の被包装物を押しのけた後、封止機構53にてその押圧された領域の合成樹脂フィルム1を集束して封止する。封止機構53における封止処理は、合成樹脂フィルム1の集束部に超音波、高周波または熱を印加して融着させる手法、合成樹脂フィルム1の集束部に合成樹脂製または金属製の線材等をかしめる手法、およびこれらを併用する手法など、公知の手法が採用される。
【0032】
上記の封止処理により、両端部が封止された筒状包装体4が製造される。なお、両端部が封止された筒状包装体4を、封止処理と同時にまたは後続する切断工程において、個々の筒状包装体4へと分割してもよい。
【0033】
図2は、本実施形態の熱風遮蔽板61の構造を概略的に示す斜視図であり、図3は、本実施形態の熱風遮蔽板61の相対位置関係を模式的に示す横断面図である。熱風遮蔽板61は、略矩形状の板状体からなり、その平面略中央に長さLおよび幅WのスリットSを有する。
【0034】
熱風遮蔽板61を構成する材料は、特に限定されるものではなく、金属や合金、無機材料、有機材料およびこれらを複合化した複合体などの公知の材料から任意に選択することができる。自動充填包装機100の稼動時および非稼動時に数百℃程度の温度変化が生じ得ることを考慮すると、熱風遮蔽板61を構成する材料は、耐熱性に優れ線熱膨張係数の小さなものが好ましい。耐熱性に優れ線熱膨張係数の小さな素材としては、例えば、各種セラミックやマイカなどの鉱物類などが挙げられる。
【0035】
熱風遮蔽板61の外形寸法は、特に限定されるものではなく、所望のサイズに設定できる。熱風遮蔽効果を増大させる観点から、熱風遮蔽板61の幅61Wは、筒状体2の幅(直径)と略同一または筒状体2の幅(直径)よりも大きいことが好ましい。同様の理由により、熱風遮蔽板61の長さ61Lは、熱風印加ノズル42のノズル開口42aの長さよりも大きいことが好ましい。熱風遮蔽板61の厚さ61Tは、強度やクリアランスを考慮して適宜設定すればよいが、0.1〜3mm程度の範囲であることが好ましい。
【0036】
熱風遮蔽板61の形状は、特に限定されるものではなく、矩形状、円形状、楕円状、3角形や5角形などの多角形状、不定形状などを任意に採用することができる。
【0037】
スリットSの外形寸法は、特に限定されるものではなく、所望のシール幅およびシール長さに応じて適宜設定される。熱風がスリットSを通過する際の圧力損失を考慮すると、スリットSの開口面積が大きいことが好ましく、一方、得られるシール部の外形寸法を小さくし美観を向上させる観点からは、ノズル開口42aの開口面積が小さいことが好ましい。本実施形態では、スリットSの幅Wは、0.3〜3mmの範囲で設定することが好ましく、スリットSの長さLは、5〜100mmの範囲で設定することが好ましい。
【0038】
上述した熱風遮蔽板61は、熱風印加ノズル42のノズル開口42aと筒状体2の重ね合わせ部2との間、より具体的には、ノズル開口42aと筒状体2の重ね合わせ部2aを結ぶ直線上にスリットSが配置されるように、図示しない冶具により固定されている。換言すれば、熱風遮蔽板61は、ノズル開口42aと筒状体2の重ね合わせ部2とがスリットSを介して対面する対向位置に配置され、熱風印加ノズル42から吹き出される熱風が、スリットSを介して(通過して)筒状体2の重ね合わせ部2aに直接吹き付けられるように構成されている。
【0039】
上記の筒状体2、熱風印加ノズル42および熱風遮蔽板61の位置関係は、筒状体2の重ね合わせ部2a周辺への過度の熱印加を緩和して所望のシール性能を得るべく、熱風の圧力および温度、ノズル開口42aの大きさ、スリットSの開口面積などに応じて適宜調整されるが、本実施形態では、例えば、筒状体2と熱風印加ノズル42との距離を0.5〜4mm程度、筒状体2の重ね合わせ部42aと熱風遮蔽板61のスリットSとの距離Dを0.05〜3mm程度にすることが好ましい。
【0040】
また、熱風遮蔽板61は、筒状体2の重ね合わせ部2aの接線に対して(筒状体2の重ね合わせ部2aの断面における接線の接点に対して)、略平行にまたは±20°の傾きをもって配置されていることが好ましい。ここで、±20°の傾きをもって配置するとは、前述した重ね合わせ部2aの接線と熱風遮蔽板61がなす角度θが、0°<θ≦20°または−20°≦θ<0°の関係を満たすことを意味する。筒状体2の重ね合わせ部2aに吹き付けられた熱風は重ね合わせ部2aの周辺に滞留し得るが、このように熱風遮蔽板61を配置すると、熱風が熱風遮蔽板61の面に沿って重ね合わせ部2から離間する方向(図3においてベクトルA方向)へと排出され易くなり、また、熱風遮蔽板61を±20°の傾きをもって配置した場合には熱風の排出作用がより効果的に発揮されるので、筒状体2の重ね合わせ部2a周辺への過度の熱印加がより効果的に緩和される。一方、筒状体2(合成樹脂フィルム1)の流れ方向に長尺の重ね合わせ部2aを1回の熱風シール処理にて均一にシールし生産性を高める観点から、熱風遮蔽板61は、筒状体2の軸方向に対して、略平行に配置されていることが好ましい。
【0041】
合成樹脂フィルム1の素材は、熱風の印加による熱融着が可能なものであれば、特に制限なく用いることができ、例えば、高密度または低密度ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)およびこれらの共重合体などに代表されるポリオレフィン系樹脂、ナイロン、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)などに代表されるポリアミド系樹脂、ブタジエンを加えたハイインパクトポリスチレン(HIPS)に代表されるポリスチレン系樹脂が挙げられる。これらのなかでも、熱風シール特性、環境への配慮および耐熱性の観点から、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂が好適に用いられる。なお、上記において共重合体とは、他の共重合体成分を含むものを包含し、他の共重合体成分には、所謂α−オレフィンが含まれる。
【0042】
合成樹脂フィルム1は、単層のフィルムであっても、複数のフィルムが積層された積層フィルムであってもよく、種々の機能性を付与可能である観点から、例えば、ベースフィルムの片面および/または両面にシーラントフィルムを積層させた積層フィルムが好適に用いられる。なお、上記の積層フィルムには、必須とされる各々の層の間に、接着層やガスバリア層などを介在したものが包含される。この種の積層フィルムは、例えば、2枚以上のフィルムを貼り合わせるドライラミネート法や、一方のフィルム上に他方の樹脂組成物を溶融押出して積層させる押出しラミネート法の他、樹脂組成物を共押出した後に冷却して積層を成形する共押出法などの公知の手法により製造可能である。
【0043】
レトルト用途に用いる場合には、合成樹脂フィルム1は、レトルト殺菌処理に耐え得るフィルム強度および耐熱性を有することが要求されるので、例えば、ベースフィルムとしてのポリアミド系樹脂フィルム層の片面および/または両面に、シーラント層としてのポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂層を設けた積層フィルムが好適に用いられる。
【0044】
上述した自動充填包装機100においては、熱風遮蔽板61により、重ね合わせ部2a周辺への熱風の吹き付けが遮蔽され、熱風の吹き付けが重ね合わせ部2aに局所的に収束されるので、重ね合わせ部2a周辺への過度の熱印加が緩和される。したがって、この自動充填包装機100は、シーラント層が高い熱収縮性を有する合成樹脂フィルム1(延伸処理されたシーラント層を有する積層フィルム、共押出共延伸積層フィルム)や、ASTM D−2732に準拠して測定される120℃の熱収縮率が縦方向(MD)/横方向(TD)=15〜30%/10〜20%程度の高い熱収縮性を有する合成樹脂フィルム1を用いても、美観に優れ、寸法精度、シール強度およびフィルム強度に優れる筒状フィルム成形体3、筒状包装体4が作製可能である点において、従来に比して優位性を有する。これらの高い熱収縮性を有する合成樹脂フィルム1としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂を高延伸した単層フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム層の片面および/または両面に高延伸したポリオレフィン系樹脂フィルム層をラミネートした積層フィルム、共押出法により成形されインフレーション法で共延伸された共押出共延伸積層フィルム(例えば、ポリアミド系樹脂フィルム層の片面および/または両面にポリオレフィン系樹脂フィルム層が設けられた積層フィルム)が挙げられる。
【0045】
一方、自動充填包装機100に熱収縮性のないまたは熱収縮性に乏しい合成樹脂フィルム1を適用した場合には、上述した各種性能がより一層向上された筒状フィルム成形体3、筒状包装体4が作製可能である点において、従来に比して優位性を有するものとなる。
【0046】
以上、上述した自動充填包装機100および筒状包装体4の包装方法によれば、寸法精度、シール強度およびフィルム強度に優れ、美観に優れる商品価値の高い筒状フィルム成形体3および筒状包装体4が得られる。しかも、自動充填包装機100の構成が簡易且つ低コストで実現可能であり、プロセス裕度の向上が図られ、汎用性、生産性および経済性の向上が図られる。
【0047】
なお、本発明は、上記の実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【0048】
例えば、熱風遮蔽板61を複数の板状体を組み合わせて構成したり、スリットSを複数の板状体の凹部を組み合わせて構成したり、熱風遮蔽板61を肉厚の成形品から構成してもよい。自動充填包装機100の充填ノズル22や熱風印加ノズル42、熱風遮蔽板61の配置状況が、熱風遮蔽板61の設置クリアランスの確保が困難な場合であっても、このようにして本発明を実施可能である。
【0049】
また、図4に示すように、スリットSをノズル開口42aから筒状体2の重ね合わせ部2aへ向かって縮径した形状にしてもよい。ここで、縮径した形状とは、スリットSの開口面積が、ノズル開口42aから筒状体2の重ね合わせ部2aへ向かって、連続的および/または段階的に小さくなっていることを意味する。このように構成すると、ノズル開口42aから噴射される熱風が効果的に集束されるので、筒状体2の重ね合わせ部2aへの熱風の局所的な吹き付けが簡易且つ低コストで実施可能となる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例および比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに特に限定されるものではない。
【0051】
(実施例1)
以下の方法により、高収縮性フィルムを作製した。まず、最終フィルムの層構成が、ポリプピロン[サンアロマー(株)社製 ADSYL5C37F<商品名>:厚み13μm]/ポリプロピレン系接着性樹脂[三井化学(株)アドマーQF580<商品名>:厚み5μm]/ナイロン[三菱瓦斯化学(株)社製MXナイロン6007<商品名>:厚み9μm]/ポリプロピレン系接着性樹脂[三井化学(株)アドマーQF580<商品名>:厚み5μm]/ポリプピロン[サンアロマー(株)社製 ADSYL5C37F<商品名>:厚み13μm]の5層となるように、口径200mmの環状5層ダイを用いて管状に溶融共押出しした。この管状体を過冷却後、インフレーション二軸延伸法を用いて縦方向(MD方向)に約4倍、横方向(TD方向)に約5倍に同時二軸延伸し、熱処理後、最終厚み約45μm、フィルム幅約1mの共押出共延伸積層フィルムを得た。得られた幅約1mの積層フィルムを巻き取り、そのフィルムを捲きほどきながら幅96mmに裁断し、再度巻き取ることで、帯状の合成樹脂フィルム1として使用する高収縮性フィルムの原反ロールを作製した。
【0052】
上記の高収縮性フィルムの120℃の熱収縮率を、ASTM D−2732−03に準拠し、長手方向に約20cmの長さで切断して得た試験片を用いて、以下の手順で測定したところ、縦方向(MD)/横方向(TD)=20%/17%であった。
まず、試験片を温度20℃、相対湿度60%の条件下で24時間放置保管した後、縦方向(MD方向)と横方向(TD方向)の寸法を測定(MD方向で約20cm間隔、2ケ所を測定。MD方向を測定した位置でTD方向も2ケ所を測定。)し、それぞれの長さの平均値をL1MDおよびL1TDとする。
次に、試験片を温度120℃の熱水中で20分間熱処理した後、試験片の表面に付着した水分をろ紙で除去し、温度20℃、相対湿度60%の条件下で24時間放置保管した後、縦方向(MD方向)と横方向(TD方向)の寸法(熱処理前に測定したそれぞれの部分)を測定し、それぞれの長さの平均値をL2MDおよびL2TDとする。
そして、次式を用いて、MD方向およびTD方向の熱収縮率を算出する。
MD方向の熱収縮率(%) = 100×(L1MD−L2MD)/L1MD
TD方向の熱収縮率(%) = 100×(L1TD−L2TD)/L1TD
【0053】
そして、自動充填包装機100として、直方体状のスリットSが平面中央部に設けられた熱風遮蔽板61(セラミックス製;長さ70mm、幅35mm、厚さ1mm)を設置した、熱風シール方式の旭化成ケミカルズ(株)社製「ADP(登録商標)F型」)を使用し、上記の高収縮性フィルム(原反ロール)を、この自動充填包装機100に懸架し、図1に示すように、製筒フォルダ32によりフィルムの両側縁を重ね合わせて筒状体2を成形し、図4に示すように、その重ね合わせ部2aに熱風印加ノズル42から熱風を垂直に吹き付けて封筒貼りに熱風シールすることにより、折幅40mmの筒状フィルム成形体3を成形し、引き続き、この筒状フィルム成形体3内に充填ノズル22から魚肉ソーセージ原料すり身を充填し、封止手段51にて両端をアルミワイヤーにて結紮密封することにより、長さ200mmの筒状包装体4(魚肉ソーセージ包装体)5,000本を得た。
以下に、自動充填包装機100の各種設定を示す。
フィルム速度 : 35m/min
ショット数 : 150本/分
ノズル開口42a : 長さ55mm、幅0.3mm
熱風温度 : 370℃ (ノズル内部)
熱風圧力 : 0.30MPa(ノズル内部)
スリットSのサイズ : 長さL60mm、幅W0.3mm
重ね合わせ部2aとスリットSとの距離D: 0.5mm
熱風遮蔽板61の傾きθ : 10°
【0054】
得られた筒状包装体4を用い、以下に示す評価方法に基づいて、レトルトパンク率、シール強度、ピンホール率、シール幅のばらつき、シール部の平均表面粗さを評価した。表1に、評価結果を示す。
【0055】
(実施例2)
熱風遮蔽板61のスリットSの幅Wを0.5mmに変更したこと以外は、実施例1と同様に筒状包装体4を製造し、実施例1と同様の評価を行った。表1に、評価結果を示す。
(実施例3)
熱風遮蔽板61のスリットSの幅Wを1mmに変更したこと以外は、実施例1と同様に筒状包装体4を製造し、実施例1と同様の評価を行った。表1に、評価結果を示す。
(実施例4)
熱風遮蔽板61のスリットSの幅Wを2.5mmに変更したこと以外は、実施例1と同様に筒状包装体4を製造し、実施例1と同様の評価を行った。表1に、評価結果を示す。
(実施例5)
熱風遮蔽板61のスリットSの幅Wを3mmに変更したこと以外は、実施例1と同様に筒状包装体4を製造し、実施例1と同様の評価を行った。表1に、評価結果を示す。
【0056】
次に、熱風遮蔽板61の設置位置の変更によるシール性能への影響を評価すべく、以下の実施例6〜10を行った。なお、筒状体2の重ね合わせ部2aと熱風遮蔽板61のスリットSとの距離Dが大きくなるほどシール温度(重ね合わせ部2aの表面温度)が低下する傾向にあるため、ここでは、シール温度が150℃となるように、温度計(型式:SK−1250MC、株式会社 佐藤計量器製作所製、センサー:MC−K101)を用いてモニタリングしながら、熱風温度を各々調整した。
(実施例6)
熱風遮蔽板61の傾きθを0°、重ね合わせ部2aとスリットSとの距離Dを0.05mm、熱風温度を330℃(ノズル内部)に変更したこと以外は、実施例3と同様に筒状包装体4を製造し、実施例3と同様の評価を行った。表1に、評価結果を示す。
(実施例7)
熱風遮蔽板61の傾きθを20°、重ね合わせ部2aとスリットSとの距離Dを1mm、熱風温度を380℃(ノズル内部)に変更したこと以外は、実施例3と同様に筒状包装体4を製造し、実施例3と同様の評価を行った。表1に、評価結果を示す。
(実施例8)
熱風遮蔽板61の傾きθを−10°、重ね合わせ部2aとスリットSとの距離Dを0.5mmに変更したこと以外は、実施例3と同様に筒状包装体4を製造し、実施例3と同様の評価を行った。表1に、評価結果を示す。
(実施例9)
熱風遮蔽板61の傾きθを−20°、重ね合わせ部2aとスリットSとの距離Dを2mm、熱風温度を390℃(ノズル内部)に変更したこと以外は、実施例3と同様に筒状包装体4を製造し、実施例3と同様の評価を行った。表1に、評価結果を示す。
(実施例10)
重ね合わせ部2aとスリットSとの距離Dを3mm、熱風温度を410℃(ノズル内部)に変更したこと以外は、実施例3と同様に筒状包装体4を製造し、実施例3と同様の評価を行った。表1に、評価結果を示す。
【0057】
(比較例1)
スリットS付き熱風遮蔽板61を設置しないこと以外は、実施例1と同様に筒状包装体4を製造し、実施例1と同様の各種評価を行った。表1に、評価結果を示す。
【0058】
【表1】

【0059】
(実施例11)
低収縮性フィルムとして、厚み55μm、幅96mmの旭化成ケミカルズ(株)社製のナイロン系多層ラミネートフィルム(商品名=「90g用96mm」:層構成は、未延伸ポリプロピレンフィルム/接着剤/延伸ナイロンフィルム/接着剤/未延伸ポリプロピレンフィルム)を使用した以外は、実施例1と同様に筒状包装体4を製造し、実施例1と同様の評価を行った。表2に、評価結果を示す。
なお、この低収縮性フィルムの120℃の熱収縮率を、前記の熱収縮率測定方法と同様の方法で測定したところ、縦方向(MD)/横方向(TD)=14%/8%であった。
【0060】
(比較例2)
スリットS付き熱風遮蔽板61を設置しないこと以外は、実施例11と同様に筒状包装体4を製造し、実施例11と同様の評価を行った。表2に、評価結果を示す。
【0061】
【表2】

【0062】
各測定方法および評価基準を、以下に記す。
(1)レトルトパンク率(加圧加熱殺菌後のシール部分の破袋率)
得られた5,000本の筒状包装体4を、加熱缶内ゲージ圧が0.25MPa、温度が120℃で、20分間の条件にて加圧加熱殺菌を行い、次に、加熱缶内圧力を維持したまま温度30℃まで加圧冷却し、その後、圧力を開放し加熱缶から筒状包装体4を取り出して最終包装体とした。得られた最終包装体において、シール部分が破袋した数を調査し、次式によりレトルトパンク率(破袋率)を算出した。評価基準を以下に示す。
レトルトパンク率(%)=(破袋本数/5,000本)×100
レトルトパンク率(%) 評価記号
0.04未満 ◎
0.04以上0.2未満 ○
0.2以上0.5未満 △
0.5 以上 ×
【0063】
(2)シール強度(加圧加熱殺菌後のシール強度)
シール強度の測定は、ASTM F−88 FIG.1 LAP SEALに準拠し、以下の手順で行った。
まず、上記のレトルトパンクの評価において、破袋(レトルトパンク)が発生しなかったレトルト処理後の最終包装体から、各々、無作為に10本採取し、最終包装体のシール線の真向かい側にシール線と平行に切り込みを入れて開封し、被包装物である魚肉すり身を除去し、表面に付着した魚肉すり身などを水洗し、水分をろ紙で除去した後、温度20℃、相対湿度60%の条件下にて24時間放置保管した。その後、上記のようにして得られた開封済フィルム(包装フィルム)を、シール部と直交する方向に切断し、シール部が長手方向の略中央部に存在する、幅15mm、長さ60mmの短冊状の試験片(短冊の長手方向の略中央部に、その長手方向に直交してシール線が存在するもの)を作製した。
そして、テンシロン万能試験機(商品名:RTC−1210、株式会社 オリエンテック社製)を用い、フィルムチャック部に短冊状の試験片の長手方向の両端部を固定し、チャック間距離10mm、引張速度300mm/minの条件で、シール部のせん断シール強度(シール部の破断応力)を測定し(測定1回/1本)、10本の最終包装体のシール強度の平均値を算出した。評価基準を以下に示す。
シール強度(N/15mm幅) 評価記号
35以上 ◎
25以上35未満 ○
5以上25未満 △
5未満 ×
【0064】
(3)ピンホール率(シール部分のピンホール率)
上記のレトルトパンクの評価において、破袋(レトルトパンク)が発生しなかったレトルト処理後の最終包装体から、各々、無作為に1,000本採取し、メチレンブルー水溶液(100重量ppm)の中に1日間浸した。その後、メチレンブルー水溶液から最終包装体を取り出し、最終包装体のシール部の内容物の染色の有無を目視にて観察した(シール部にピンホール部分が存在すれば、その箇所からメチレンブルー水溶液が最終包装体の中に浸透するため内容物が青く染まる)。そして、シール部の内容物の染色が認められた本数を計測し、次式にしたがい、ピンホール率を算出した。評価基準を以下に示す。
シール部のピンホール率(%)=(シール部ピンホールの発生本数/1,000本)×100
シール部のピンホール率(%) 評価記号
0.2未満 ◎
0.2以上0.5未満 ○
0.5以上1未満 △
1以上 ×
【0065】
(4)シール幅のばらつき(シール線の幅ばらつき)
上記のレトルトパンクの評価において、破袋(レトルトパンク)が発生しなかったレトルト処理後の最終包装体から、各々、無作為に10本採取し、最終包装体の長手方向中央部のシール線(溶融部分)の幅を、ノギスで測定(mm:小数点2桁目を四捨五入)した。測定した最終包装体10本(測定1回/1本)の最大幅と最小幅との差をシール線の幅のばらつき(mm)とし、下記の評価基準にしたがって評価した。
シール線の幅ばらつき(mm) 評価記号
1未満 ◎
1以上2未満 ○
2以上3未満 △
3以上 ×
【0066】
(5)シール部の平均表面粗さ(中心面平均値=Sa)
上記のレトルトパンクの評価において、破袋(レトルトパンク)が発生しなかったレトルト処理後の最終包装体から、各々、無作為に10本採取し、最終包装体の両端結紮部から略中央部分のシール部(溶融部分)について、フィルムの流れ方向に、シール線の幅方向中央部の平均表面粗さ(中心面平均値=Sa)を測定した。この測定においては、ミツトヨ(株)製、表面粗さ測定機サーフテストSV3000S4・3D<商品名>を使用し、触針(ダイヤモンド製)先端半径=2μm、測定速度(触針の移動速度)=1mm/s、圧力=0.75mN、サンプリングピッチ(X方向)=10μm、プロファイルピッチ(Y方向)=10μm、測定面積(X方向×Y方向)=10mm×0.1mmの条件下、画像解析(評価曲面の設定は「粗さ曲線群」、フィルタの種類は「GAUSSIAN」、X方向低域カットオフ値は「4,000μm」とした。)により、最終包装体10本(測定1回/1本)のシール部の平均表面粗さ(μm:中心面平均値=Sa)を求め、下記の評価基準にしたがって評価した。
シール線の平均表面粗さ(μm) 評価記号
10未満 ◎
10以上50未満 ○
50以上100未満 △
100以上 ×
【0067】
(6)総合評価
以下の基準に基づき、総合評価を行った。
◎ ・・・ 各評価項目において、◎が合計3つ以上、且つ、×なし
○ ・・・ 各評価項目において、◎と○が合計3つ以上、且つ、×なし
△ ・・・ 各評価項目において、◎と○が合計2つ以下、且つ、×なし
× ・・・ 各評価項目において、×が1つ以上
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、重ね合わせ部(シール部)の皺やシール部周辺の熱変形や熱収縮、ピンホールの発生が抑制され、見栄えが良く美観に優れ、寸法精度の向上が図られ、シール強度およびフィルム強度の低下が抑制され、しかも汎用性、生産性および経済性が向上されるので、食品その他の各種包装用途において、広く且つ有効に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】第1実施形態の自動充填包装機100の要部構造を模式的に示す縦断面図である。
【図2】第1実施形態の熱風遮蔽板61を概略的に示す斜視図である。
【図3】第1実施形態の熱風遮蔽板61の相対位置関係を模式的に示す横断面図である。
【図4】第1実施形態の熱風遮蔽板61の変形例を概略的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
1…合成樹脂フィルム、1a,1b…両端縁、2…筒状体、2a…重ね合わせ部、3…筒状フィルム成形体、4…筒状包装体、11…フィルム供給手段、11a,11b…ローラ、12a,12b…送りローラ、21…充填手段、22…充填ノズル、23…フィードポンプ、31…製筒手段、32…製筒フォルダ、41…熱風シール手段、42…熱風印加ノズル、42a…ノズル開口、51…封止手段、52a,52b…絞りローラ、53…封止機構、61…熱風遮蔽板、61L…長さ、61W…幅、61T…厚さ、S…スリット、L…長さ、W…幅、θ…傾き、100…自動充填包装機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の合成樹脂フィルムを筒状に湾曲させて該合成樹脂フィルムのフィルム両側縁が重ね合わせられた筒状体を形成する製筒手段と、
前記筒状体の重ね合わせ部にノズル開口から熱風を吹き付け、該重ね合わせ部を熱融着させて筒状フィルム成形体を成形する熱風シール手段と
を備え、
前記熱風シール手段と前記筒状体の重ね合わせ部との間に、スリットを有する熱風遮蔽板が設けられ、
前記ノズル開口および前記筒状体の重ね合わせ部を結ぶ直線上に、前記スリットが配置されている
ことを特徴とする、筒状フィルム成形体の製造装置。
【請求項2】
前記熱風シール手段は、前記筒状体の断面において、前記重ね合わせ部の接線に対し略垂直方向から熱風を吹き付け可能な位置に配置され、
前記熱風遮蔽板が、前記接線に対して略平行にまたは±20°以下の傾きをもって配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の筒状フィルム成形体の製造装置。
【請求項3】
前記スリットは、前記ノズル開口から前記筒状体の重ね合わせ部へ向かって縮径している
ことを特徴とする請求項1または2に記載の筒状フィルム成形体の製造装置。
【請求項4】
帯状の合成樹脂フィルムを供給するフィルム供給手段と、
前記合成樹脂フィルムを筒状に湾曲させて該合成樹脂フィルムのフィルム両側縁が重ね合わせられた筒状体を形成する製筒手段と、
前記筒状体の重ね合わせ部にノズル開口から熱風を吹き付け、該重ね合わせ部を熱融着させて筒状フィルム成形体を成形する熱風シール手段と、
前記筒状フィルム成形体中に被包装物を充填する充填手段と、
前記被包装物が充填された前記筒状フィルム成形体を所定の間隔で外部から押圧し、該前記押圧された領域のフィルムを封止切断して、両端部が封止された筒状包装体を複数作製する封止手段と
を備え、
前記熱風シール手段と前記筒状体の重ね合わせ部との間に、スリットを有する熱風遮蔽板が設けられ、
前記ノズル開口および前記筒状体の重ね合わせ部を結ぶ直線上に、前記スリットが配置されている
ことを特徴とする、筒状包装体の自動充填包装機。
【請求項5】
帯状の合成樹脂フィルムを筒状に湾曲させて該合成樹脂フィルムのフィルム両側縁が重ね合わせられた筒状体を形成する製筒工程と、
前記筒状体の重ね合わせ部にノズル開口から熱風を吹き付け、該重ね合わせ部を熱融着させて筒状フィルム成形体を成形する熱風シール工程と、
前記筒状フィルム成形体中に被包装物を充填する充填工程と、
前記被包装物が充填された前記筒状フィルム成形体を所定の間隔で外部から押圧し、該前記押圧された領域のフィルムを封止切断して、両端部が封止された筒状包装体を複数作製する封止工程と
を有し、
前記熱風シール工程においては、前記前記ノズル開口および前記筒状体の重ね合わせ部を結ぶ直線上に配置された、熱風遮蔽板のスリットを介して、前記ノズルから前記重ね合わせ部に熱風を吹き付ける
ことを特徴とする筒状包装体の包装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−107715(P2009−107715A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284543(P2007−284543)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】