説明

筒状体の自動切断装置及び筒状体の自動切断方法

【課題】筒状体の固定から切断を経てストックするまでの作業を自動で行え、自動化による省人化が可能で、作業者起因の生産能力の低下を無くし、生産能力の向上を図る。
【解決手段】供給機構11は、ストックした筒状体100を供給する。筒状体100は、供給用ガイド面13aを転動し、切断部12へ誘導される。位置決め機構14が、筒状体100を位置決めする。挟持機構15は、筒状体100の外周を両側から一対の挟持部(31、32)で挟持して固定する。長さ測定機構16が筒状体100の長さ寸法を測定する。筒状体合格判断部51は、筒状体100の長さ寸法により、合格品か要切断品か不合格品か判断する。要切断品は筒状体切断機構17で切断され、合格品は合格品ストック部18にストックされ、不合格品は不合格品ストック部19にストックされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状に形成された筒状体を円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断してストックする、筒状体の自動切断装置及び筒状体の自動切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
円筒状に形成された筒状体として構成される物品として、例えば、特許文献1に開示されているように、水から塩素やごみ等の汚染物質を除去するための水処理器に取り付けられるフィルタに用いられるフィルタ成形体がある。このフィルタ成形体は、活性炭を固化することで円筒状の筒状体として形成される。このような筒状体においては、円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断する切断作業が行われることで、円筒軸方向の長さを調整することや、円筒軸方向における端部からリング状に形成されたリング状体を分離して切り出すことが行われる。
【0003】
通常、筒状体を円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断する場合、作業者が、まず、筒状体を所定のジグ等に固定し、次いで、回転刃等が設けられた切断装置を操作し、筒状体を切断する切断作業を行うことになる。即ち、このような一連の切断作業は作業者の手作業に基づいて行われることになる。
【0004】
尚、筒状体を円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断する切断装置及び切断方法としては、例えば、特許文献2に開示された装置及び方法がある。特許文献2に開示された筒状体の切断装置及び切断方法は、樹脂製で薄肉の管状成形品として構成された筒状体を変形させずに円滑に切断することを目的としたものである。そして、この切断装置及び切断方法においては、まず、筒状体の所要位置の周面が機体部材により包囲して支持され、それと同時に複数の剣先状のカッタが周面上に所定の間隔をおいて配置される。次いで、各カッタが内側に押し出されて刃先が成形品の周面に突き刺され、かつ各カッタが一定の方向に回転することで、筒状体の切断が行われるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−251117号公報
【特許文献2】特開平5−237794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、筒状体を円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断する作業が行われる場合、筒状体が固定され、次いで回転刃等が設けられた切断装置が操作され、筒状体の切断が行われるまでの一連の作業が、作業者の手作業に基づいて行われる。そして、切断が完了した筒状体の円筒軸方向の長さを検査し、長さ調整が完了した製品としての筒状体を所定のストック部にストックする(貯める)作業も、作業者の手作業に基づいて行われることになる。また、筒状体が切断されることでその筒状体からリング状体が切り出される場合においても、切り出された製品としてのリング状体を所定のストック部にストックする作業は、作業者の手作業に基づいて行われることになる。尚、特許文献2に開示された切断装置及び切断方法を用いても、筒状体の固定から切断を経て製品としてストックするまでの一連の作業は、作業者の手作業に基づいて行われることになる。
【0007】
上記のように、従来においては、筒状体の固定から切断を経て、製品としての筒状体又はリング状体をストックするまでの一連の作業が作業者の手作業に基づいて行われるため
、作業者の熟練度によって製品の生産能力がばらついてしまうことになる。また、作業者の熟練度が高くても、作業者の手作業に基づくものであるため、切断が完了した筒状体又はリング状体の製品の生産能力にも限界がある。このように、従来においては、筒状体の固定から切断を経てストックするまでの一連の作業が作業者の手作業に基づいて行われるため、生産能力の向上を図ることが難しいという問題がある。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、筒状体の固定から切断を経てストックするまでの一連の作業を自動で行うことができ、自動化による省人化が可能であり、作業者に起因する生産能力の低下を無くし、生産能力の向上を図ることができる、筒状体の自動切断装置及び筒状体の自動切断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための第1発明に係る筒状体の自動切断装置は、円筒状に形成された筒状体をストックするとともに、ストックされた前記筒状体を供給口から供給する供給機構と、前記筒状体が載置されて当該筒状体の切断が行われる領域である切断部と、前記供給口から供給された前記筒状体が転動する斜面として設けられた供給用ガイド面を有し、当該供給用ガイド面により当該筒状体を前記切断部へ誘導する供給用ガイド部材と、前記切断部に載置された前記筒状体の円筒軸方向における一方の端部の端面に当接可能なように移動自在に設けられた位置決め部材を有し、当該一方の端部の端面を位置決めする位置決め機構と、前記位置決め機構によって位置決めされた前記筒状体の外周側面を両側から挟持する一対の挟持部を有し、当該一対の挟持部によって前記筒状体を固定する固定動作が可能であるとともに、前記一対の挟持部を開放して前記筒状体の固定を解除する開放動作が可能に設けられた挟持機構と、前記位置決め機構によって位置決めされた前記筒状体の円筒軸方向における他方の端部の端面に接触して当該筒状体の円筒軸方向の長さ寸法を測定する長さ測定機構と、前記長さ測定機構での測定結果に基づいて、前記筒状体の長さ寸法が所定の長さ寸法の範囲である合格範囲に収まる合格品か、前記合格範囲よりも長さ寸法が長く切断が必要な要切断品か、前記合格範囲よりも長さ寸法が短い不合格品かを判断する筒状体合格判断部と、前記要切断品と判断された前記筒状体について、前記挟持機構によって固定された状態で円筒軸方向における他方の端部を円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断する筒状体切断機構と、前記挟持機構が前記開放動作を行った際に、前記合格品と判断された前記筒状体をストックする合格品ストック部と、前記挟持機構が前記開放動作を行った際に、前記不合格品と判断された前記筒状体をストックする不合格品ストック部と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
この発明によると、供給機構から供給された筒状体が供給用ガイド部材の供給用ガイド面を転動して切断部へ誘導されて載置される。切断部に載置された筒状体は、位置決め機構によって一方の端部が位置決めされ、挟持機構によって外周側面が固定される。更に、筒状体は、他方の端部に接触する長さ測定機構によって円筒軸方向の長さ寸法が測定され、その長さ寸法により、合格範囲内の合格品か、合格範囲より長い要切断品か、合格範囲より短い不合格品かが、筒状体合格判断部にて判断される。要切断品は筒状体切断機構によって円筒軸方向と垂直に切断され、長さ寸法が調整される。そして、挟持機構の開放動作に伴い、合格品は合格品ストック部にストックされ、不合格品は不合格品ストック部にストックされる。尚、要切断品については、筒状体切断機構による切断動作が終了すると、再び、筒状体合格判断部にて判断され、上記の処理が行われることになる。このように、筒状体の固定から切断及び長さ寸法の検査を経て製品をストックするまでの一連の作業が、筒状体の自動切断装置が作動することで、自動で行われることになる。このため、作業者の手作業に基づいて筒状体を固定及び切断して更にストックする作業を無くすことができ、自動化による省人化を図ることができる。また、上記作業の無人化を図ることができるため、作業者に起因する生産能力の低下がそもそも生じないことになり、装置の運転速度を調整することで、飛躍的に生産能力の向上を図ることができる。
【0011】
従って、本発明によると、筒状体の固定から切断を経てストックするまでの一連の作業を自動で行うことができ、自動化による省人化が可能であり、作業者に起因する生産能力の低下を無くし、生産能力の向上を図ることができる、筒状体の自動切断装置を提供するができる。
【0012】
第2発明に係る筒状体の自動切断装置は、第1発明の筒状体の自動切断装置において、前記挟持機構が前記開放動作を行った際に、前記合格品と判断された前記筒状体が転動する斜面として設けられた合格品用ガイド面を有し、当該合格品用ガイド面により当該筒状体を前記合格品ストック部へ誘導する合格品用ガイド部材と、前記挟持機構が前記開放動作を行った際に、前記不合格品と判断された前記筒状体が転動する斜面として設けられた不合格品用ガイド面を有し、当該不合格品用ガイド面により当該筒状体を前記不合格品ストック部へ誘導する不合格品用ガイド部材と、を更に備えていることを特徴とする。
【0013】
この発明によると、合格品は、挟持機構の開放動作に伴い、合格品用ガイド部材に斜面として設けられた合格品用ガイド面を斜め下方に転動し、合格品ストック部にストックされる。また、不合格品についても、挟持機構の開放動作に伴い、不合格品用ガイド部材に斜面として設けられた不合格品用ガイド面を斜め下方に転動し、不合格品ストック部にストックされる。このため、重力を利用した簡素な構成によって、切断処理や合格判断処理が終了した筒状体を順次自動で回収することができる。
【0014】
第3発明に係る筒状体の自動切断装置は、第2発明の筒状体の自動切断装置において、前記合格品用ガイド部材及び前記不合格品用ガイド部材は、一体に形成され又は互いに固定されたガイド部材ユニットとして設けられ、前記合格品を前記合格品用ガイド面に向かって落下させ、前記不合格品を前記不合格品用ガイド面に向かって落下させるように、前記ガイド部材ユニットを前記切断部に対して相対変位させるよう駆動するガイド部材駆動機構が更に備えられていることを特徴とする。
【0015】
この発明によると、一体的に構成された合格品用ガイド部材及び不合格品用ガイド部材が、ガイド部材駆動機構によって切断部に対して相対変位するよう駆動され、合格品は合格品用ガイド面に落下し、不合格品は不合格用ガイド面に落下する。このため合格品及び不合格品を合格品ストック部及び不合格品ストック部に容易に振り分けることができる機構を、一体的に設けられたガイド部材ユニットを切断部に対して相対変位させるという簡素な構成によって実現することができる。
【0016】
第4発明に係る筒状体の自動切断装置は、第1発明乃至第3発明のいずれかの筒状体の自動切断装置において、前記供給機構は、複数の前記筒状体をストックする筒状体ストック部と、前記筒状体ストック部の内部と連通し、前記供給口が開口形成された供給通路と、前記供給口を開閉自在なシャッタ部と、を有していることを特徴とする。
【0017】
この発明によると、筒状体ストック部にストックされた筒状体が、供給通路を経て供給口から供給用ガイド面に供給される。そして、供給口をシャッタ部が開放しているときは筒状体がこの供給口から供給され、供給口をシャッタ部が閉じているときは筒状体が供給されないことになる。このため、シャッタ部の開閉動作によって、筒状体の供給が要求されるタイミングに応じて供給口から筒状体を順次供給することができる。
【0018】
第5発明に係る筒状体の自動切断装置は、第4発明の筒状体の自動切断装置において、前記供給通路は、その天井部分及び床部分のうちの少なくともいずれかが、前記筒状体ストック部に対して斜め下方に配置された前記供給口に向かって1段又は複数段の段部を介して下り方向に延びるように設けられ、前記供給通路の幅方向の寸法が前記筒状体の円筒
軸方向の長さ寸法よりも長くなるように形成され、前記天井部分と前記床部分との最も接近した位置における距離寸法が、前記筒状体の直径寸法の1つ分の寸法よりも大きく2つ分の寸法よりも小さいことを特徴とする。
【0019】
この発明によると、筒状体ストック部にストックされた筒状体は、重力により、斜め下方に下る段部に沿って供給通路を通過して供給口へと移動することになる。そして、供給通路の天井部分と床部分との最も接近した位置での距離寸法が筒状体の直径寸法の1つ分より大きく2つ分より小さく、供給通路の幅寸法が筒状体の円筒軸方向長さよりも長く形成されている。このため、筒状体は、その円筒軸方向が供給通路の幅方向と平行な姿勢で段部に沿って転動しながら順番に1つずつ並んだ状態で供給通路を通過し、供給口から1つずつ供給され、供給用ガイド面を転動することになる。これにより、切断部に対して、固定のために要求される姿勢と常時同じ姿勢で安定して筒状体を1つずつ供給することができる。また、安定した同じ姿勢の筒状体を1つずつ供給するための構成を、所定の寸法形状の段部等が設けられた供給通路を設けるという簡素な構成によって実現することができる。
【0020】
第6発明に係る筒状体の自動切断装置は、第4発明又は第5発明の筒状体の自動切断装置において、前記供給機構は、前記筒状体ストック部及び前記供給通路に対して振動を付与可能な振動発生部を更に有していることを特徴とする。
【0021】
この発明によると、筒状体ストック部及び供給通路に対して振動発生部から振動が付与される。このため、筒状体の周囲から伝わる振動によってこの筒状体が移動し易くなり、筒状体を順次供給通路を経て供給口に向かって容易に移動させることができる。また、振動を発生させることで、筒状体が筒状体ストック部から供給通路を経て移動する際に、供給通路及びその入口付近において筒状体が詰ってしまうことを抑制することができる。
【0022】
また、前述の目的を達成するための第7発明に係る筒状体の自動切断方法は、円筒状に形成された筒状体をストックするとともに、ストックされた前記筒状体を供給口から供給する供給機構と、前記筒状体が載置されて当該筒状体の切断が行われる領域である切断部と、前記供給口から供給された前記筒状体が転動する斜面として設けられた供給用ガイド面を有し、当該供給用ガイド面により当該筒状体を前記切断部へ誘導する供給用ガイド部材と、前記切断部に載置された前記筒状体の円筒軸方向における一方の端部の端面に当接可能なように移動自在に設けられた位置決め部材を有し、当該一方の端部の端面を位置決めする位置決め機構と、前記位置決め機構によって位置決めされた前記筒状体の外周側面を両側から挟持する一対の挟持部を有し、当該一対の挟持部によって前記筒状体を固定する固定動作が可能であるとともに、前記一対の挟持部を開放して前記筒状体の固定を解除する開放動作が可能に設けられた挟持機構と、前記位置決め機構によって位置決めされた前記筒状体の円筒軸方向における他方の端部の端面に接触して当該筒状体の円筒軸方向の長さを測定する長さ測定機構と、を有する筒状体の切断装置が用いられる。そして、第7発明に係る筒状体の自動切断方法は、前記長さ測定機構での測定結果に基づいて、前記筒状体の長さ寸法が所定の長さ寸法の範囲である合格範囲に収まる合格品か、前記合格範囲よりも長さ寸法が長く切断が必要な要切断品か、前記合格範囲よりも長さ寸法が短い不合格品かを判断する筒状体合格判断工程と、前記筒状体合格判断工程にて前記要切断品と判断された前記筒状体について、前記挟持機構によって固定された状態で円筒軸方向における他方の端部を円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断する筒状体切断工程と、前記挟持機構が前記開放動作を行った際に、前記合格品と判断された前記筒状体をストックする合格品ストック工程と、前記挟持機構が前記開放動作を行った際に、前記不合格品と判断された前記筒状体をストックする不合格品ストック工程と、を備えていることを特徴とする。
【0023】
この発明によると、供給機構から供給された筒状体が供給用ガイド部材のガイド面を転
動して切断部へ誘導されて載置される。切断部に載置された筒状体は、位置決め機構によって一方の端部が位置決めされ、挟持機構によって外周側面が固定される。更に、筒状体は、長さ測定機構によって円筒軸方向の長さ寸法が測定され、その長さ寸法により、合格範囲内の合格品か、合格範囲より長い要切断品か、合格範囲より短い不合格品かが、合格判断工程にて判断される。要切断品は、筒状体切断工程において、円筒軸方向と垂直に切断され、長さ寸法が調整される。そして、挟持機構の開放動作に伴い、合格品ストック工程において合格品がストックされ、不合格品ストック工程において不合格品がストックされる。尚、要切断品については、筒状体切断工程における切断動作が終了すると、再び、合格判断工程にて判断され、上記の処理が行われることになる。このように、筒状体の固定から切断及び長さ寸法の検査を経て製品をストックするまでの一連の作業が、筒状体の切断装置が作動することで、自動で行われることになる。このため、作業者の手作業に基づいて筒状体を固定及び切断して更にストックする作業を無くすことができ、自動化による省人化を図ることができる。また、上記作業の無人化を図ることができるため、作業者に起因する生産能力の低下がそもそも生じないことになり、装置の運転速度を調整することで、飛躍的に生産能力の向上を図ることができる。
【0024】
また、前述の目的を達成するための第8発明に係る筒状体の自動切断装置は、円筒状に形成された筒状体が載置されて当該筒状体の切断が行われる領域である切断部と、前記切断部に載置された前記筒状体の円筒軸方向における一方の端部の端面に当接可能なように移動自在に設けられた位置決め部材を有し、当該一方の端部の端面を位置決めする位置決め機構と、前記位置決め機構によって位置決めされた前記筒状体の外周側面を両側から挟持する一対の挟持部を有し、当該一対の挟持部によって前記筒状体を固定する固定動作が可能であるとともに、前記一対の挟持部を開放して前記筒状体の固定を解除する開放動作が可能に設けられた挟持機構と、前記挟持機構によって固定された前記筒状体の円筒軸方向における他方の端部の外周側面を両側から把持する一対の把持部を有する把持機構と、前記挟持機構によって固定された前記筒状体の円筒軸方向における他方の端部を前記把持機構で把持された状態のまま円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断することで、前記筒状体における前記他方の端部をリング状に形成されたリング状体として分離して切り出すリング状体切断機構と、前記リング状体の貫通孔に挿通可能なストック棒を有し、前記把持機構によって把持されて移動した前記リング状体の貫通孔が前記ストック棒に挿通された後に当該把持機構が前記リング状体の把持動作を解除することで、前記リング状体がストックされるリング状体ストック部と、を備えていることを特徴とする。
【0025】
この発明によると、装置の作動開始時のみ作業者が筒状体を切断部に載置し、以降、作業者の手作業が介在することなく、切断部に載置された筒状体は、位置決め機構によって一方の端部が位置決めされ、挟持機構によって外周側面が固定される。更に、筒状体は、把持機構によって他方の端部が把持され、リング状体切断機構によって円筒軸方向と垂直に切断され、リング状体として分離して切り出される。そして、リング状体は、把持機構によって移動し、貫通孔がストック棒に挿通された状態で把持動作が解除され、リング状体ストック部にストックされる。このように、筒状体の固定から切断を経てリング状体の製品をストックするまでの一連の作業が、筒状体の自動切断装置が作動することで、自動で行われることになる。このため、作業者の手作業に基づいて筒状体を固定及び切断して更にリング状体をストックする作業を無くすことができ、自動化による省人化を図ることができる。また、上記作業の無人化を図ることができるため、作業者に起因する生産能力の低下がそもそも生じないことになり、装置の運転速度を調整することで、飛躍的に生産能力の向上を図ることができる。
【0026】
従って、本発明によると、筒状体の固定から切断を経てストックするまでの一連の作業を自動で行うことができ、自動化による省人化が可能であり、作業者に起因する生産能力の低下を無くし、生産能力の向上を図ることができる、筒状体の自動切断装置を提供する
ができる。
【0027】
第9発明に係る筒状体の自動切断装置は、第8発明の筒状体の自動切断装置において、前記ストック棒は、先端部分が斜め上方に向かって延びるように設けられていることを特徴とする。
【0028】
この発明によると、ストック棒の先端部分が斜め上方に向かって延びるように設けられている。このため、貫通孔がストック棒の先端部分に挿通された状態で把持機構がリング状体の把持動作を解除することで、リング状体がストック棒に沿って斜め下方に滑り落ちるようにして落下し、ストック棒の奥側から順に並んでストックされていくことになる。このように、重力を利用した簡素な構成によって、リング状体を効率よく回収することができる。
【0029】
第10発明に係る筒状体の自動切断装置は、第8発明又は第9発明の筒状体の自動切断装置において、前記位置決め機構によって位置決めされた前記筒状体の円筒軸方向における他方の端部の端面に接触して当該筒状体の円筒軸方向の長さを測定する長さ測定機構と、前記リング状体が前記筒状体から切り出される前後における前記長さ測定機構による前記筒状体の長さ寸法の測定結果に基づいて、前記リング状体の円筒軸方向の長さ寸法が所定の長さ寸法の範囲である合格範囲に収まる合格品か、前記合格範囲から長さ寸法が外れる不合格品かを判断するリング状体合格判断部と、を更に備え、前記合格品と判断された前記リング状体が前記リング状体ストック部にストックされることを特徴とする。
【0030】
この発明によると、リング状体が筒状体から切り出される前後において、位置決め機構によって位置決めされた側と反対側の端部に接触する長さ測定機構によって筒状体の円筒軸方向の長さが測定され、この測定結果に基づいて、切り出されたリング状体の円筒軸方向の長さ寸法が検出される。そして、リング状体の長さ寸法が合格範囲内か否かがリング状体合格判断部にて判断され、合格品のみリング状体ストック部にストックされる。このため、筒状体の固定から切断、更にリング状体の長さ寸法の検査を経て製品をストックするまでの一連の作業が、筒状体の自動切断装置が作動することで、自動で行われることになる。このため、リング状体の長さ寸法の検査も含めた自動化を達成でき、更に飛躍的に生産能力の向上を図ることができる。
【0031】
また、前述の目的を達成するための第11発明に係る筒状体の自動切断方法は、円筒状に形成された筒状体が載置されて当該筒状体の切断が行われる領域である切断部と、前記切断部に載置された前記筒状体の円筒軸方向における一方の端部の端面に当接可能なように移動自在に設けられた位置決め部材を有し、当該一方の端部の端面を位置決めする位置決め機構と、前記位置決め機構によって位置決めされた前記筒状体の外周側面を両側から挟持する一対の挟持部を有し、当該一対の挟持部によって前記筒状体を固定する固定動作が可能であるとともに、前記一対の挟持部を開放して前記筒状体の固定を解除する開放動作が可能に設けられた挟持機構と、前記挟持機構によって固定された前記筒状体の円筒軸方向における他方の端部の外周側面を両側から把持する一対の把持部を有する把持機構と、を有する筒状体の切断装置が用いられる。そして、第11発明に係る筒状体の自動切断方法は、前記挟持機構によって固定された前記筒状体の円筒軸方向における他方の端部を前記把持機構で把持された状態のまま円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断することで、前記筒状体における前記他方の端部をリング状に形成されたリング状体として分離して切り出すリング状体切断工程と、前記把持機構によって把持されて移動した前記リング状体の貫通孔を当該貫通孔に挿通可能なストック棒に対して挿通した後に、前記把持機構による前記リング状体の把持動作を解除することで、前記リング状体をストックするリング状体ストック工程と、を備えていることを特徴とする。
【0032】
この発明によると、装置の作動開始時のみ作業者が筒状体を切断部に載置し、以降、作業者の手作業が介在することなく、切断部に載置された筒状体は、位置決め機構によって一方の端部が位置決めされ、挟持機構によって外周側面が固定される。更に、筒状体は、把持機構によって他方の端部が把持され、リング状体切断工程において、円筒軸方向と垂直に切断され、リング状体が分離して切り出される。そして、リング状体ストック工程において、リング状体は、把持機構によって移動し、貫通孔がストック棒に挿通された状態で把持動作が解除され、ストックされる。このように、筒状体の固定から切断を経てリング状体の製品をストックするまでの一連の作業が、筒状体の切断装置が作動することで、自動で行われることになる。このため、作業者の手作業に基づいて筒状体を固定及び切断して更にリング状体をストックする作業を無くすことができ、自動化による省人化を図ることができる。また、上記作業の無人化を図ることができるため、作業者に起因する生産能力の低下がそもそも生じないことになり、装置の運転速度を調整することで、飛躍的に生産能力の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によると、筒状体の固定から切断を経てストックするまでの一連の作業を自動で行うことができ、自動化による省人化が可能であり、作業者に起因する生産能力の低下を無くし、生産能力の向上を図ることができる、筒状体の自動切断装置及び筒状体の自動切断方法を提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】筒状体であるフィルタ成形体とフィルタとを示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線矢視断面図である。
【図3】図1に示すフィルタが取り付けられた水処理器の断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る筒状体の自動切断装置の正面図である。
【図5】図4に示す筒状体の自動切断装置における構成要素の一部について模式的に示す斜視図である。
【図6】図4に示す筒状体の自動切断装置における供給機構の一部を拡大して示す一部拡大図である。
【図7】図4に示す筒状体の自動切断装置における供給機構の一部を拡大して示す一部拡大図である。
【図8】図4に示す筒状体の自動切断装置における供給機構の一部を拡大して示す一部拡大図である。
【図9】図4に示す筒状体の自動切断装置における挟持機構、ガイド部材ユニット及びガイド部材駆動ユニットを模式的に拡大して示す図である。
【図10】図4に示す筒状体の自動切断装置における挟持機構、ガイド部材ユニット及びガイド部材駆動ユニットを模式的に拡大して示す図である。
【図11】図4に示す筒状体の自動切断装置における制御構成を示すブロック図である。
【図12】図4に示す筒状体の自動切断装置における制御装置の機能ブロック図である。
【図13】本発明の第1実施形態に係る自動切断方法を説明する工程図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る筒状体の自動切断装置の正面図である。
【図15】図14に示す筒状体の自動切断装置における構成要素の一部について模式的に示す斜視図である。
【図16】図14に示す筒状体の自動切断装置における構成要素の一部について模式的に示す斜視図である。
【図17】図14に示す筒状体の自動切断装置における制御構成を示すブロック図である。
【図18】図14に示す筒状体の自動切断装置における制御装置の機能ブロック図である。
【図19】本発明の第2実施形態に係る自動切断方法を説明する工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、以下の説明においては、筒状体が、水から塩素やごみ等の汚染物質を除去するための水処理器に取り付けられるフィルタに用いられて活性炭を固化して形成された円筒形状のフィルタ成形体である場合を例示して説明するが、この例に限らず、本発明を適用することができる。即ち、本発明の実施形態に係る筒状体の自動切断装置及び筒状体の自動切断方法は、円筒状に形成された筒状体を円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断してストックする、筒状体の自動切断装置及び筒状体の自動切断方法として、広く適用することができるものである。
【0036】
まず、本発明の実施形態に係る筒状体の自動切断装置及び筒状体の自動切断方法によって切断される対象となる筒状体について、水処理器用のフィルタに用いられるフィルタ成形体を例にとり、フィルタ及び水処理器とともに説明する。
【0037】
図1は、筒状体であるフィルタ成形体100を示す斜視図(図1(a))と、このフィルタ成形体100が用いられるフィルタ101を示す斜視図(図1(b))とを示したものである。また、図2は図1(b)のA−A線矢視断面図であり、図3はフィルタ101が取り付けられた水処理器104を示す断面図である。図1乃至図3に示すフィルタ101は、フィルタ成形体100、不織布102及び一対のキャップ(103a、103b)を備えて構成され、水から塩素やごみ等の汚染物質を除去する水処理器104に取り付けられる。
【0038】
フィルタ成形体100は、活性炭を固化して形成された円筒形状で多孔質状の活性炭ブロックであるフィルタ成形体として形成されている。このフィルタ成形体100は、例えば、粉末又は粒状或いは繊維状の活性炭とバインダー樹脂とを所要の比率で混合した材料を金型内に充填して加熱し、バインダー樹脂を流動状態にした後に加圧して成形する圧縮成形を行い、その後冷却して脱型することで形成される。尚、バインダー樹脂としては、例えば、高分子量で低メルトインデックスの重合体結合材が用いられる。
【0039】
また、円筒断面を有するフィルタ成形体100は、その中心部において円筒軸方向に沿って貫通形成された貫通孔100aが設けられている。そして、フィルタ成形体100の外周には、その外周を被覆するように不織布102が巻き付けて固定されている。尚、不織布102としては、例えば、芯材がポリエステルでその表面にポリエチレンを被覆した糸を材料とした不織布が用いられる。
【0040】
また、不織布102が外周に巻き付けられたフィルタ成形体100の両端部には、各端部を覆うように一対のキャップ(103a、103b)が取り付けられている。この一対のキャップ(103a、103b)は、フィルタ成形体100を通過していない水がキャップ(103a、103b)とフィルタ成形体100との間を通過してしまうことのないように、フィルタ成形体100に密着して(水密性をもって)取り付けられている。尚、一方のキャップ103aの中心には孔が形成されており、この孔とフィルタ成形体100の貫通孔100aとが連通するようにキャップ103aがフィルタ成形体100に対して取り付けられている。
【0041】
上述のように構成されるフィルタ101は、例えば、図3に示す水処理器104に取り付けられる。水処理器104は、例えば、家庭用の水道の蛇口105に取り付けられる水処理器本体106を備えて構成されている。そして、中空に形成された水処理器本体106の内部にフィルタ101が固定される。フィルタ101は、キャップ103aが下向きとなるように配置され、水処理器本体106から下方に開口するよう形成された浄水口1
08に貫通孔100aが連通した状態で固定される。また、水処理器104では、水処理器本体106内で端部がヒンジ構造で支持されて水処理器本体106内で図中の両端矢印で示す方向に回転して位置が切り換えられることで水の流路を切換可能な切換板107が設けられている。この切換板107により、蛇口105から供給される水の流路が、フィルタ101を通過させずに流出させる流路と、図3に示すようにフィルタ101を通過させて流出させる流路との間で切り換えられる。
【0042】
図3に示す位置に切換板107が切り換えられている状態では、蛇口105から供給された水は、図中破線の矢印で示すように流動する。即ち、蛇口105からの水は、水処理器本体106の内部の流路を経てフィルタ101の外周に達し、不織布102を通過して更にフィルタ成形体100を通過してその内側へと流動する。そして、貫通孔100aから浄水口108を経て流動して外部へと水が流出することになる。このようにフィルタ101を水が通過することで、水から塩素やごみ等の汚染物質が除去されることになる。尚、フィルタ101で処理される水は、最初に不織布102を通過することで比較的大きなごみがまず除去され、次いで、フィルタ成形体100を通過することで活性炭の吸着作用によって塩素や小さなごみ等が除去されることになる。
【0043】
尚、フィルタ101は、上述した水処理器104のように蛇口に直接に装着されるものに限られず、種々の形態の水処理器に対して取り付けて用いることができる。例えば、フィルタ101は、シンク内に配置されて蛇口とホースを介して接続される水処理器内に取り付けられてもよく、また、シャワーのハンドルを兼ねて構成された水処理器においてそのハンドル型の水処理器内に収納された状態で取り付けられてもよい。
【0044】
(第1実施形態)
次に、本発明の第1実施形態に係る筒状体の自動切断装置及び筒状体の自動切断方法について説明する。図4は、本発明の第1実施形態に係る筒状体の自動切断装置1(以下、単に「自動切断装置1」ともいう)の正面図である。図4に示す自動切断装置1は、前述したフィルタ成形体100として設けられて円筒状に形成された筒状体(以下、「筒状体100」という)を円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断してストックする(貯める)装置として構成されている。
【0045】
図4に示す自動切断装置1は、制御装置10、供給機構11、切断部12、供給用ガイド部材13、位置決め機構14、挟持機構15、長さ測定機構16、切断機構(筒状体切断機構)17、合格品ストック部18、不合格品ストック部19、ガイド部材ユニット20、ガイド部材駆動機構21、基台22、台車23などを備えて構成されている。また、図5は、自動切断装置1における構成要素の一部について模式的に示す斜視図である。尚、図5の斜視図では、位置決め機構14、挟持機構15、長さ測定機構16、切断機構17について、模式的に図示している。
【0046】
図4及び図5に示す自動切断装置1においては、制御装置10、供給機構11、切断部12、供給用ガイド部材13、位置決め機構14、挟持機構15、長さ測定機構16、切断機構17、合格品ストック部18、不合格品ストック部19、ガイド部材ユニット20、ガイド部材駆動機構21は、基台22上に設置されている。尚、基台22には、第1支持フレーム22aと第2支持フレーム22bとが設けられており、第1支持フレーム22aには、供給機構11における後述する筒状体ストック部24や振動発生機26が支持されている。一方、第2支持フレーム22bには、切断部12、供給用ガイド部材13、位置決め機構14、挟持機構15、長さ測定機構16、切断機構17、ガイド部材ユニット20等が支持されている。また、制御装置10、各機構(11、13〜17)、切断部12、合格品ストック部18、不合格品ストック部19、ガイド部材ユニット20が設置される基台22は、更に台車23上に設置されている。台車23には、複数の車輪23aや
手押し操作用のハンドル部23bが設けられている。このように、本実施形態では、自動切断装置1は、台車23によって移動可能に構成されている。
【0047】
図4に示す供給機構11は、複数の筒状体100をストックするとともにストックされた筒状体100を切断部12に供給する機構として設けられている。この供給機構11は、筒状体ストック部24、供給通路25、振動発生機26、シャッタ部27を備えて構成されている。図6は、筒状体ストック部24の一部と供給通路25とを示す正面図(図6(a))、及びその一部拡大図(図6(b))である。
【0048】
図4及び図6に示す筒状体ストック部24は、複数の筒状体100をストックするホッパとして設けられ、上部が開口形成された箱状に形成されている。筒状体ストック部24においては、この上部の開口から複数の筒状体100が投入される。尚、筒状体100は、その円筒軸方向が自動切断装置1の正面(図4及び図6で図示される面)に対して略垂直に延びる姿勢の状態で、筒状体ストック部24内に配置される。
【0049】
また、筒状体ストック部24の内側の底部24aには、底穴24bが開口形成されている。この底穴24bは、自動切断装置1の正面に対して垂直な方向(以下、この方向については、「自動切断装置1の前後方向」という。また、図5において自動切断装置1の前後方向を両端矢印C1で示す。)に長辺が延びる長方形の穴として形成されている。そして、底穴24bは、複数の筒状体100が通過可能な大きさに形成されている。また、筒状体ストック部24の底部24aは、底穴24bに向かって斜めに下り傾斜する斜面として形成されている。このため、筒状体ストック部24の内部に投入された筒状体100は、底部24aに沿って底穴24bに向かって転動することになる。
【0050】
供給通路25は、筒状体ストック部24に対して固定されるとともにその下方に配置され、筒状体ストック部24の内部に対して底穴24bにおいて連通するように設けられている。そして、この供給通路25には、供給口25aと、床部分25bと、天井部分25cとが、設けられている。尚、図6(b)は、図6(a)における供給口25aの近傍を拡大して示す一部拡大図である。供給口25aは、筒状体100が通過可能な大きさの開口であって、自動切断装置1の前後方向にその長辺が延びる長方形の開口として形成されている。そして、供給口25aは、供給通路25において、筒状体ストック部24に連通する底穴24bと反対側の端部に配置されている。このように、供給口25aは、筒状体ストック部24にストックされた筒状体100を切断部12に供給可能に開口形成されている。
【0051】
また、供給通路25は、図6(a)によく示すように、筒状体ストック部24の底穴24bと供給口25aとを連通するとともに、上下方向において床部分25bと天井部分25cとで挟まれた領域として構成されている。床部分25bは、筒状体ストック部24に対して斜め下方に配置された供給口25aに向かって複数段の段部を介して下り方向に延びるように設けられている。一方、天井部分25cは、床部分25bに対して上方に配置されて対向するように設けられている。この天井部分25cも、床部分25bと同様に、筒状体ストック部24に対して斜め下方に配置された供給口25aに向かって複数段の段部を介して下り方向に延びるように設けられている。尚、本実施形態では、床部分25b及び天井部分25cの両方に複数段の段部が設けられている場合を例示しているが、この通りでなくてもよい。複数段の段部ではなく1段の段部が設けられているものであってもよく、また、床部分25b及び天井部分25cのうちのいずれかに複数段の段部が設けられているものでもよい。
【0052】
また、図6(b)に示すように、床部分25bと天井部分25cとの最も接近した位置における距離寸法D(図中両端矢印で示す距離寸法)は、筒状体100の直径寸法の1つ
分の寸法よりも大きく2つ分の寸法よりも小さくなるように設定されている。また、供給通路25は、その幅方向(自動切断装置1の前後方向と平行な方向)の寸法が筒状体100の円筒軸方向の長さ寸法よりも長くなるように形成されている。
【0053】
図4に示す振動発生機26は、筒状体ストック部24及び供給通路25に対して振動を付与可能な本実施形態の振動発生部を構成している。そして、この振動発生機26は、基台22の第1支持フレーム22aに対して固定された固定部26aと、筒状体ストック部24に対してその下部に取り付けられた可動部26bと、を備えて構成されている。可動部26bは、筒状体ストック部24に対して固定されるとともに、固定部26aに対してバネ部材を介して揺動可能に支持されている。そして、固定部26aには、可動部26bに対して磁力によって振動を発生させるための電磁石が設けられている。固定部26aの電磁石に対して所定の周波数の交流電圧が印加されることで、可動部26bが固定部26aに対して所定の振動数で振動することになる。これにより、筒状体ストック部24及び供給通路25に対して振動が付与されることになる。
【0054】
図7及び図8は、図4におけるシャッタ部27の近傍を拡大して示す一部拡大図である。シャッタ部27は、自動切断装置1の左右方向(前後方向に対して垂直で水平な方向であり、図4及び図5において両端矢印C2で示す方向)における略中央部分から一方に少し片寄った位置に配置された中央ハウジング28に対して、その上部に取り付けられている。尚、中央ハウジング28は第2支持フレーム22bに固定されており、この中央ハウジング28には、切断部12、位置決め機構14及び長さ測定機構16が支持されている。
【0055】
図4、図7及び図8に示すシャッタ部27は、第1シャッタ部29と第2シャッタ部30とを備えて構成されている。第1シャッタ部29は、シャッタドア29aとシャッタ駆動シリンダ29bとを備え、供給通路25の供給口25aを開閉自在な本実施形態のシャッタ部を構成している。シャッタドア29aは、平板状の部材として形成され、シャッタ駆動シリンダ29bに支持されている。シャッタ駆動シリンダ29bは、例えば、エアシリンダとして設けられている。そして、このシャッタ駆動シリンダ29bは、中央ハウジング28の上部から水平方向に突出して設けられた支持ブラケットに取り付けられ、そのロッド部29cが、下方に向かって突出し、又は上方に向かって縮退するように構成されている。
【0056】
また、第2シャッタ部30は、シャッタドア30aとシャッタ駆動シリンダ30bとを備えて構成され、第1シャッタ部29に対して、自動切断装置1の左右方向においてずれた位置に配置されている。シャッタドア30aは、平板状の部材として形成され、シャッタ駆動シリンダ30bに支持されている。シャッタ駆動シリンダ30bは、例えば、エアシリンダとして設けられている。そして、このシャッタ駆動シリンダ30bは、中央ハウジング28の上部から水平方向に突出して設けられた支持ブラケットに取り付けられ、そのロッド部30cが、下方に向かって突出し、又は上方に向かって縮退するように構成されている。尚、第2シャッタ部30は、ロッド部30cが下方に向かった突出した状態において、シャッタドア30aの下端部が後述の供給用ガイド部材13における供給用ガイド面13aに近接して対向するように、設置されている。
【0057】
図4において破線で示す切断部12は、筒状体100が載置されて、この載置された筒状体100の後述の切断機構17による切断が行われる領域として設けられている。尚、切断部12は、例えば、自動切断装置1の前後方向に沿って長手方向が延びるプレート状に形成されて、水平方向に沿って配置される平坦な面を有する部材として設けられる。そして、この切断部12は、その長手方向と筒状体100の円筒軸方向とが略平行な状態で筒状体100が載置される台座を構成するように設けられる。
【0058】
図4、図7及び図8に示す供給用ガイド部材13は、プレート状に形成されるとともに、供給口25aから切断部12の近傍に亘って斜めに延びるように配置され、筒状体100を切断部12へ誘導する部材として設けられている。尚、図7及び図8では、供給用ガイド部材13の一部を図示している。そして、供給用ガイド部材13は、その上面側において、供給口25aから供給された筒状体100が転動する斜面として設けられた供給用ガイド面13aを有し、この供給用ガイド面13aにより筒状体100を切断部12へ誘導するように構成されている。
【0059】
ここで、自動切断装置1において、供給口25aから供給用ガイド部材13による誘導を経て切断部12に筒状体100を供給する作動について、図7及び図8を参照しつつ説明する。
【0060】
図7(a)は、第1シャッタ部29のシャッタドア29aが供給口25aに対向して供給口25aを塞ぐように遮蔽する遮蔽位置に位置し、第1シャッタ部29によって供給口25aが閉じられた状態を示している。この図7(a)に示す遮蔽位置では、シャッタドア29aは、筒状体100の直径寸法よりも小さい寸法となるように間隔寸法が設定された隙間を介して供給口25aに対向している。このため、遮蔽位置では、振動発生機26の作動によって供給通路25が振動しても供給口25aとシャッタドア29aとが直接に干渉することが防止され、且つ、供給口25aからの筒状体100の脱落がシャッタドア29aによって阻止されることになる。
【0061】
一方、図7(b)は、シャッタドア29aが供給口25aに対向して遮蔽する位置から上方にずれた開放位置に位置し、供給口25aが開放された状態を示している。図7(a)に示す遮蔽位置からシャッタ駆動シリンダ29bが作動してそのロッド部29cが上方に(図7(b)における矢印E方向に)縮退動作を行うことで、ロッド部29cとともにシャッタドア29aが上方に移動し、供給口25aが開放されることになる。これにより、供給口25aから筒状体100が供給用ガイド部材13の供給用ガイド面13aに排出されることになる。
【0062】
そして、図7(b)に示す状態においては、第1シャッタ部29のシャッタドア29aが開放位置の状態であって、第2シャッタ部30のシャッタドア30aが供給用ガイド面13aに近接した近接位置に位置している状態となっている。そして、シャッタドア29aとシャッタドア30aとは、筒状体100の直径寸法の1つ分の寸法よりも大きく2つ分の寸法よりも小さい寸法となるように間隔寸法が設定された隙間を介して平行に配置されている。また、シャッタドア30aが近接位置に位置した状態では、シャッタドア30aは、筒状体100の直径寸法よりも小さい寸法となるように間隔寸法が設定された隙間を介して供給用ガイド面13aに対向している。このため、供給口25aから排出された筒状体100は、シャッタドア30aと当接し、供給用ガイド面13aに沿って下方に転動することが阻止されることになる。
【0063】
図7(b)に示すように供給口25aから排出された筒状体100がシャッタドア30aと当接した状態になると、次いで、図8(a)に示す状態に移行することになる。即ち、第2シャッタ部30のシャッタドア30aが近接位置に位置したままで、第1シャッタ部29のシャッタドア29aが遮蔽位置に移動した状態に移行することになる。このとき、シャッタドア29aは、図7(b)に示す開放位置の状態になった後、筒状体100が1つだけ落下可能な所定の時間が経過すると、シャッタ駆動機構29bの作動により、すぐにロッド部29cとともに下方に突出する。これにより、図8(a)に示すように、シャッタドア29aが遮蔽位置に移動して、供給口25aが遮蔽されることになる。また、この図8(a)に示す状態では、シャッタドア30aは、近接位置に位置したままの状態
のため、シャッタドア29aとシャッタドア30aとの間に、1つの筒状体100が配置されている状態となる。
【0064】
シャッタドア29aとシャッタドア30aとの間に1つの筒状体100が配置された状態で、切断部12に対して筒状体100の供給が必要なタイミングになると、図8(b)に示す状態に移行することになる。即ち、図8(a)に示す状態からシャッタ駆動シリンダ30bが作動してそのロッド部30cが上方に(図8(b)における矢印F方向に)縮退動作を行うことで、ロッド部30cとともにシャッタドア30aが上方に移動する。このとき、シャッタドア30aは、その下端部が供給用ガイド面13aに対して筒状体100の直径寸法の1つ分よりも大きい寸法となるように間隔寸法が設定された隙間を介して対向し、シャッタドア30aと供給用ガイド面13aとの間を筒状体100が通過可能に開放する開放位置まで移動することになる。これにより、筒状体100がシャッタドア30aの下方を通過して供給用ガイド面13aに沿って下方に転動し、切断部12へ誘導されることになる。
【0065】
図5に示す位置決め機構14は、位置決め部材14aと、位置決めサーボモータ14bと、スクリュー軸14cとを備えて構成されている。位置決め部材14aは、例えば、門型形状の部材として設けられ、自動切断装置1の前後方向(図中両端矢印C1方向)においてスライド移動自在に設置されている。そして、この位置決め部材14aは、供給機構11から供給用ガイド部材13を経て供給されて切断部12(図5では図示を省略)に載置された筒状体100の円筒軸方向における一方の端部100bの端面に当接可能なように移動自在に設けられている。また、位置決め部材14aにおける筒状体100の端部100bに当接可能な側の壁部と反対側の壁部には、雌ネジ孔が形成されており、スクリュー軸14cが螺合した状態で回転自在に取り付けられている。位置決めサーボモータ14bは、出力軸が自動切断装置1の前後方向と平行に配置された状態で設置されており、その出力軸にスクリュー軸14cが同軸上で固定された電動モータとして設けられている。
【0066】
上述した位置決め機構14は、位置決めサーボモータ14aの出力軸がスクリュー軸14cとともに回転することで、スクリュー軸14cに螺合するとともにスライド移動自在に支持された位置決め部材14aが、自動切断装置1の前後方向に移動することになる。そして、位置決め部材14aは、切断部12に載置された筒状体100の一方の端部100bの端面に当接し、更に、位置決めサーボモータ14aの運転動作によって、所定の位置まで低速で移動して停止する。これにより、筒状体100の一方の端部100aの端面が、所定の位置に位置決めされることになる。
【0067】
図4及び図5に示す挟持機構15は、位置決め機構14によって位置決めされた筒状体100の外周側面を両側から挟持する(挟むように支持する)一対の挟持部(31、32)を有している。
【0068】
挟持部31は、押さえ板31aと駆動シリンダ31bとを備えて構成されている。押さえ板31aは、例えば、矩形の平板状に形成されるとともに、自動切断装置1の前後方向及び上下方向に沿って平坦に延びるように配置され、ロッド部31cを介して駆動シリンダ31bに支持されている。駆動シリンダ31bは、例えば、エアシリンダとして設けられている。そして、この駆動シリンダ31bは、そのロッド部31cが押さえ板31aとともに、切断部12に載置された筒状体100の外周側面に向かって当接するように突出し、又は筒状体100の外周側面から離間して縮退するように構成されている。
【0069】
挟持部32は、押さえ板32aと駆動シリンダ32bとを備えて構成され、挟持部31に対して、自動切断装置1の左右方向において切断部12を介して反対側に配置されている。押さえ板32aは、例えば、矩形の平板状に形成されるとともに、自動切断装置1の
前後方向及び上下方向に沿って平坦に延びるように配置され、ロッド部32cを介して駆動シリンダ32bに支持されている。駆動シリンダ32bは、例えば、エアシリンダとして設けられている。そして、この駆動シリンダ32bは、そのロッド部32cが押さえ板32aとともに、切断部12に載置された筒状体100の外周側面に向かって当接するように突出し、又は筒状体100の外周側面から離間して縮退するように構成されている。
【0070】
そして、挟持機構15は、一対の挟持部(31、32)における各押さえ板(31a、32a)が筒状体100に向かって突出することによって、この筒状体100を固定する固定動作が可能に構成されている。また、挟持機構15は、各押さえ板(31a、32a)が各駆動シリンダ(31b、32b)に向かって縮退することによって、一対の挟持部(31、32)を開放して筒状体100の固定を解除する開放動作が可能に構成されている。
【0071】
図4及び図5に示す長さ測定機構16は、位置決め機構14によって位置決めされた筒状体100の円筒軸方向における他方の端部100cの端面に接触して筒状体100の円筒軸方向の長さ寸法を測定する機構として設けられている。そして、この長さ測定機構16は、測長接触部16aと測長シリンダ16bとを備えて構成されている。
【0072】
測長接触部16aは、測長シリンダ16bに対して突出することで、位置決め機構14によって位置決めされた筒状体100の他方の端部100cの端面に接触可能な円板状の部分として設けられている。測長シリンダ16bは、例えば、電動シリンダとして設けられている。長さ測定機構16においては、測長接触部16aが突出して筒状体100の他方の端部100cに接触した状態で、測長接触部16aの突出動作が停止される。そして、測長接触部16aの測長シリンダ16bからの突出量が計測され、この突出量の計測値に基づいて、位置決め機構14によって筒状体100の一方の端部100bの端面が位置決めされる所定の位置からの変位が測定され、筒状体100の円筒軸方向の長さが測定されることになる。尚、長さ測定機構16は、測長接触部16aの突出量を計測することによって筒状体100の長さ寸法を測定するが、筒状体100の長さ寸法の値を演算する処理は、後述の制御装置10において行われてもよい。
【0073】
図4及び図5に示す切断機構17は、後述する制御装置10において切断が必要な要切断品と判断された筒状体100について、挟持機構15によって固定された状態で円筒軸方向における他方の端部100cを円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断する筒状体切断機構を構成している。この切断機構17は、カッタ刃17aと、切断モータ17bと、駆動シリンダ17cと、モータ支持台17dとを備えて構成されている。
【0074】
カッタ刃17aは、切断モータ17bによって回転駆動される回転刃として設けられている。そして、このカッタ刃17aは、その円板状の刃面が自動切断装置1の左右方向及び上下方向に沿った面内で回転可能に配置されるとともに、切断部12に載置された筒状体100の他方の端部100cに対向するように配置されている。切断モータ17bは、カッタ刃17aの中心に先端部が固定された出力軸を有し、カッタ刃17aを回転させる電動モータとして設けられている。また、切断モータ17bは、そのケーシング部において、モータ支持台17dに対して固定されている。モータ支持台17dは、自動切断装置1の左右方向においてスライド移動自在に支持されている。駆動シリンダ17cは、例えば、エアシリンダとして設けられ、そのロッド部の先端部がモータ支持台17cに固定されている。そして、この駆動シリンダ17cは、そのロッド部がモータ支持台17dとともに、自動切断装置1の左右方向において、筒状体100における他方の端部100cに向かって突出し、又は筒状体100から離間して縮退するように構成されている。
【0075】
切断機構17においては、切断モータ17bによってカッタ刃17aが回転した状態で
、駆動シリンダ17cによってモータ支持台17dが突出することで、筒状体100の端部100cの円筒軸方向と垂直な方向に沿った切断が行われる。一方、筒状体100の切断動作が終了すると、駆動シリンダ17cに向かってモータ支持台17dが縮退する動作が行われ、カッタ刃17aを回転する切断モータ17bの回転動作が停止されることになる。
【0076】
図9及び図10は、図4における挟持機構15、ガイド部材ユニット20及びガイド部材駆動ユニット21を模式的に拡大して示す図である。図4、図9及び図10にガイド部材ユニット20は、例えば、プレート状の部材が複数回屈曲されるように折り曲げられることで形成され、合格品用ガイド部材33と不合格品用ガイド部材34とが一体に形成されて構成されている。尚、本実施形態では、合格品用ガイド部材33と不合格品用ガイド部材34とが一体に形成された場合を例示しているが、この通りでなくてもよい。別部材として設けられた合格品用ガイド部材33と不合格品用ガイド部材34とが互いに固定されることで、ガイド部材ユニット20が構成されていてもよい。
【0077】
合格品用ガイド部材33は、上記のように、ガイド部材ユニット20の一部として設けられており、切断部12の下方から挟持部32の下方に向かって斜めに延びるように配置されている。そして、合格品用ガイド部材33には、その上面側において、合格品用ガイド面33aが設けられている。合格品用ガイド面33aは、挟持機構15が開放動作を行った際に、後述の制御装置10において合格品と判断された筒状体100が転動する斜面として設けられている。また、合格品用ガイド部材33は、その下端部の下方に後述の合格品ストック部18が配置されており、合格品用ガイド面33aにより筒状体100を合格品ストック部18へ誘導するように構成されている。
【0078】
不合格品用ガイド部材34は、前述のように、ガイド部材ユニット20の一部として欧けられており、切断部12の下方から挟持部31の下方に向かって斜めに延びるように配置されている。そして、不合格品用ガイド部材34には、その上面側において、不合格品用ガイド面34aが設けられている。不合格品用ガイド面34aは、挟持機構15が開放動作を行った際に、後述の制御装置10において不合格品と判断された筒状体100が転動する斜面として設けられている。また、不合格品用ガイド部材34は、その下端部に後述の不合格品ストック部19が連続して一体に形成されており、不合格品用ガイド面34aにより筒状体100を不合格品ストック部19へ誘導するように構成されている。
【0079】
図4に示す合格品ストック部18は、上部が開口した箱状に形成され、基台22上に配置されている。そして、この合格品ストック部18は、合格品用ガイド部材33の下端部の下方に配置され、合格品用ガイド面33aの下端部から落下した筒状体100がストックされるように設けられている。これにより、合格品ストック部18は、挟持機構15が開放動作を行った際に、制御装置10にて合格品と判断された筒状体100が合格品用ガイド面33aを転動して落下し、ストックされるように構成されている。
【0080】
図4、図9及び図10に示す不合格品ストック部19は、不合格品用ガイド部材34の下端部に一体に連続して形成され、水平に配置された水平面19aと、この水平面19aに対して上方に折り曲げられた壁面19bとが設けられている。そして、この不合格品ストック部19は、不合格品用ガイド部材34の不合格品用ガイド面34aを下方に転動した筒状体100がストックされるように設けられている。これにより、不合格品ストック部19は、挟持機構15が開放動作を行った際に、制御装置10にて不合格品と判断された筒状体100がストックされるように構成されている。
【0081】
図4、図9及び図10に示すガイド部材駆動機構21は、合格品用ガイド部材33及び不合格品用ガイド部材34が一体に形成されて構成されたガイド部材ユニット20を自動
切断装置1の左右方向に変位させるように駆動する機構として設けられている。このガイド部材駆動機構21は、駆動シリンダ21aと、支持ブラケット21bと、取付プレート21cとを備えて構成されている。
【0082】
支持ブラケット21bは、第1支持フレーム22上に固定され、上方に向かって延びるように設置されている。そして、支持ブラケット21bの上端部に駆動シリンダ21aが固定されている。駆動シリンダ21aは、例えば、エアシリンダとして設けられ、そのロッド部の先端部に、ガイド部材ユニット20に固定された取付プレート21cが取り付けられている。そして、この駆動シリンダ21aは、そのロッド部が取付プレート21c及びガイド部材ユニット20とともに、自動切断装置1の左右方向において突出し又は縮退するように構成されている。尚、本実施形態では、取付プレート21cがガイド部材ユニット21の合格品用ガイド部材33側に固定されている場合を例示しているが、この通りでなくてもよい。即ち、取付プレート21cがガイド部材ユニット21の不合格品用ガイド部材34側に固定され、駆動シリンダ21aが逆向きに配置されていてもよい。
【0083】
ここで、自動切断装置1において、ガイド部材ユニット20による誘導を経て合格品ストック部18又は不合格品ストック部19に筒状体100をストックする作動について、図9及び図10を参照しつつ説明する。
【0084】
図9は、制御装置10にて合格品と判断された筒状体100が合格品ストック部18にストックされる際の作動を説明する図である。図9(a)に示すように、制御装置10での判断が行われる際には、挟持機構15が切断部12(図9及び図10では図示を省略)に載置された筒状体100を挟持して固定した状態となっており、ガイド部材駆動機構21のロッド部は縮退した状態となっている。このとき、ガイド部材ユニット20は、合格品用ガイド部材33の上端側が切断部12の下方に位置した状態に配置されている。
【0085】
図9(a)に示す状態において、挟持機構15で挟持された筒状体100が制御装置10にて合格品と判断されると、挟持機構15の開放動作が行われる。これにより、図9(b)に示すように、合格品と判断された筒状体100は、図中において矢印で示すように、合格品用ガイド面33aの上端側に落下し、更に、合格品用ガイド面33aを下方に転動することになる。そして、合格品用ガイド面33aの下端側から落下して、合格品ストック部18にストックされることになる。
【0086】
一方、図10は、制御装置10にて不合格品と判断された筒状体100が不合格品ストック部19にストックされる際の作動を説明する図である。図9(a)に示す状態において、挟持機構15で挟持された筒状体100が制御装置10にて不合格品と判断されると、図10(a)に示すように、駆動シリンダ21aにおけるロッド部の突出動作が行われ、ガイド部材ユニット20が図10(a)において矢印で示す方向に変位する。これにより、ガイド部材ユニット20は、不合格品用ガイド部材34の上端側が切断部12の下方に位置した状態に配置されることになる。尚、本実施形態では、不合格品用ガイド部材34の上端部が合格品用ガイド部材33の上端部に対して下方に配置された場合を例示している。
【0087】
図10(a)に示すようにガイド部材ユニット20が変位すると、次いで、図10(b)に示すように、挟持機構15の開放動作が行われる。これにより、不合格品と判断された筒状体100は、図10(b)において矢印で示すように、不合格品用ガイド面34aの上端側に落下し、更に、不合格品用ガイド面34aを下方に転動することになる。そして、不合格品用ガイド面33aの下端部に連続して設けられた不合格品ストック部19にストックされることになる。
【0088】
尚、ガイド部材駆動機構21は、上述したように、合格品を合格品用ガイド面33aに向かって落下させ、不合格品を不合格品用ガイド面34aに向かって落下させるように、ガイド部材ユニット21を切断部12に対して相対変位させるように駆動する機構として設けられている。
【0089】
図11は、自動切断装置1における制御構成を示すブロック図であり、図12は制御装置10の機能ブロック図である。自動切断装置1においては、筒状体ストック部24から切断部12に筒状体100が供給され、後述の合格判断部51での判断が行われ、更に、筒状体100の切断が行われ、筒状体100が合格品ストック部18又は不合格品ストック部19にストックされるまでの動作が、制御装置10による制御に基づいて自動で行われる。自動切断装置1の運転は、基台22上に設置された操作ボックス38(図11参照、図4では図示を省略)での作業者による操作に基づいて開始される。そして、操作ボックス38での操作が行われると、図11及び図12に示す制御装置10が、供給機構11、位置決め機構14、挟持機構15、長さ測定機構16、切断機構17、ガイド部材駆動機構21等の作動を制御し、筒状体100を供給して切断部12において切断し、更に合格品ストック部18又は不合格品ストック部19にストックする動作が行われることになる。
【0090】
図4、図11及び図12に示す制御装置10は、基台22上に設置されており、CPU(Central Processing Unit)35、メモリ36、インターフェイス回路(I/F回路)37等を備えて構成されている。そして、この制御装置10は、操作ボックス38、各駆動回路(39〜43)等に接続されている。操作ボックス38からの操作信号の入力や駆動回路(39〜43)への指令信号の出力は、インターフェイス回路37を通じて行われる。また、メモリ36には、各機構(11、14、15、16、17、21)を制御する制御装置10としての処理を行うためのプログラムが記憶されており、CPU35により読み出されて実行される。そして、図12に示すように、制御装置10内には、上記のCPU35とメモリ36とメモリ36に記憶されたプログラムとによって、供給機構制御部47と、位置決め機構制御部48と、挟持機構制御部49と、長さ測定機構制御部50と、合格判断部51と、切断機構制御部52と、ガイド部材駆動機構制御部53と、が構築されている。
【0091】
駆動回路39は、制御装置10からの指令に基づいて供給機構11における振動発生機26を駆動するための回路として設けられている。駆動回路40は、制御装置10からの指令に基づいて位置決め機構14における位置決めサーボモータ14bを駆動するための回路として設けられている。駆動回路41は、制御装置10からの指令に基づいて長さ測定機構16における測長シリンダ16bを駆動するための回路として設けられている。駆動回路42は、制御装置10からの指令に基づいて切断機構17における切断モータ17bを駆動するための回路として設けられている。駆動回路43は、制御装置10からの指令に基づいて電磁弁ユニット44における所定の電磁弁を開閉駆動するための回路として設けられている。
【0092】
また、自動切断装置1においては、圧縮空気を生成するコンプレッサ46とこのコンプレッサ46で生成された圧縮空気を貯留するタンク45とが設けられている。そして、電磁弁ユニット44における所定の電磁弁を介して圧縮空気が供給され、切断機構17における駆動シリンダ17c、ガイド部材駆動機構21における駆動シリンダ21a、第1シャッタ部29におけるシャッタ駆動シリンダ29b、第2シャッタ部30におけるシャッタ駆動シリンダ30b、挟持部31における駆動シリンダ31b、挟持部32における駆動シリンダ32bがそれぞれ作動するように構成されている。尚、コンプレッサ46やタンク45については、自動切断装置1に設けられていなくてもよく、自動切断装置1の外部から自動切断装置1の電磁弁ユニット44に圧縮空気が供給可能に構成されていてもよ
い。
【0093】
また、制御装置10内には、前述のように、各制御部(47〜50、52、53)及び合格判断部(筒状体合格判断部)51が構築されている。尚、これらの各部(47〜53)は、所定のプログラムを読み出して実行するCPU35によって構成される。
【0094】
供給機構制御部47は、駆動回路39を介して振動発生機26を制御するとともに、駆動回路43を介してシャッタ駆動シリンダ29b及びシャッタ駆動シリンダ30bを制御する。これにより、前述した供給機構11の作動が行われる。位置決め機構制御部48は、駆動回路40を介して位置決めサーボモータ14bを制御する。これにより、前述した位置決め機構14の作動が行われる。挟持機構制御部49は、駆動回路43を介してシャッタ駆動シリンダ31b及びシャッタ駆動シリンダ32bを制御する。これにより、前述した挟持機構15の作動が行われる。長さ測定機構50は、駆動回路41を介して測長シリンダ16bを制御する。これにより、前述した長さ測定機構16の作動が行われる。
【0095】
合格判断部51は、長さ測定機構16による筒状体100の円筒軸方向の長さ寸法の測定結果に基づいて、この筒状体100が、合格品であるか、要切断品であるか、不合格品であるかを判断する。即ち、合格判断部51は、筒状体100の長さ寸法が所定の長さ寸法の範囲である合格範囲内におさまる合格品か、合格範囲よりも長さ寸法が長く切断が必要な要切断品か、合格範囲よりも長さ寸法が短い不合格品かを判断する。
【0096】
切断機構制御部52は、駆動回路42を介して切断モータ17bを制御するとともに、駆動回路43を介して駆動シリンダ17bを制御する。これにより、前述した切断機構17の作動が行われる。即ち、長さ測定機構16での測定結果に基づく合格判断部51での合格判断処理により要切断品と判断された筒状体100について、切断機構17による切断動作が行われる。これにより、挟持機構15で固定された状態の筒状体100の円筒軸方向における他方の端部100cが円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断され、この筒状体100の円筒軸方向の長さ寸法が調整される。尚、切断機構17による切断動作が終了すると、再び、切断が行われた筒状体100について、挟持機構15に固定された状態のまま、長さ測定機構16による長さ寸法の測定動作と、合格判断部51での合格判断処理とが行われる。
【0097】
ガイド部材駆動機構制御部53は、駆動回路43を介して駆動シリンダ21bを制御する。これにより、挟持機構15の開放動作に応じて、前述したガイド部材駆動機構21の作動が行われる。即ち、ガイド部材駆動機構制御部53は、合格判断部51での判断結果に基づいて、合格品を合格品用ガイド面33aに向かって落下させ、不合格品を不合格品用ガイド面34aに向かって落下させるように、ガイド部材ユニット20を切断部12に対して相対変位させるように駆動するよう制御する。
【0098】
次に、本発明の第1実施形態に係る筒状体の自動切断方法(以下、単に「本実施形態の自動切断方法」ともいう)について説明する。尚、本実施形態の自動切断方法には、上述した自動切断装置1が用いられる。即ち、自動切断装置1が作動することで、本実施形態の自動切断方法が実施されることになる。
【0099】
本実施形態の自動切断方法は、筒状体100を円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断してストックする方法として構成されている。図13は、本実施形態の自動切断方法を説明する工程図である。この図13に示すように、本実施形態の自動切断方法は、供給工程S101と、位置決め工程S102と、挟持工程S103、長さ測定工程S104と、合格判断工程(S105、S107)と、切断工程S106と、合格品ストック工程S108と、不合格品ストック工程S109とを備えて構成されている。これらの各工程(S10
1〜S109)が行われることで、筒状体100を切断して寸法検査を行うとともにストックする処理が行われることになる。そして、これらの工程(S101〜S109)が終了するごとに、円筒軸方向の長さ寸法が調整された筒状体100が1つ生産され、又は不合格品として処置されることになる。また、これらの工程(S101〜S109)が繰り返し行われることで、円筒軸方向の長さ寸法が調整された筒状体100が、繰り返し生産されることになる。
【0100】
供給工程S101は、供給機構11から切断部12に筒状体100を供給する工程として構成されている。即ち、供給工程S101においては、供給機構11が作動することで、供給口25aから筒状体100が供給され、供給用ガイド部材13を介して切断部12に筒状体100が供給される。
【0101】
位置決め工程S102は、供給工程S101において供給されて切断部12に載置された筒状体100の円筒軸方向における一方の端部100bの端面に位置決め部材14aが当接し、この一方の端部100bの端面の位置決めをする工程として構成されている。即ち、この位置決め工程S102においては、位置決め機構14が作動することで、切断部12において筒状体100の一方の端部100bの位置決めが行われる。
【0102】
挟持工程S103は、位置決め工程S102において位置決めされた筒状体100の外周側面を一対の挟持部(31、32)によって挟持し、この筒状体100を固定する固定動作が行われる工程として構成されている。即ち、挟持工程S103においては、挟持機構15が作動し、一対の挟持部(31、32)によって筒状体100が挟持されて固定される。
【0103】
長さ測定工程S104は、位置決め工程S102にて位置決めされた筒状体100の円筒軸方向における他方の端部100cの端面に測長接触部16aが接触して筒状体100の円筒軸方向の長さを測定する工程として構成されている。即ち、長さ測定工程S104においては、長さ測定機構16が作動し、筒状体100の円筒軸方向の長さが測定される。
【0104】
合格判断工程(S105、S107)は、長さ測定機構16での測定結果に基づいて、筒状体100の長さ寸法が所定の長さ寸法の範囲である合格範囲に収まる合格品か、合格範囲よりも長さ寸法が長く切断が必要な要切断品か、合格範囲よりも長さ寸法が短い不合格品かを判断する、本実施形態における筒状体合格判断工程として構成されている。尚、この合格判断工程においては、まず、合格範囲よりも長さ寸法が長い要切断品か否かが判断される(S105)。そして、要切断品と判断された場合(S105、Yes)、切断工程S106が行われる。一方、要切断品でないと判断された場合(S105、No)、長さ寸法が合格範囲内の合格品か、合格範囲よりも長さ寸法が短い不合格品かが判断される(S107)。
【0105】
切断工程S106は、筒状体100が合格判断工程にて要切断品と判断され場合(S105、Yes)、この筒状体100について挟持機構15によって固定された状態で円筒軸方向における他方の端部100cを円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断する筒状体切断工程として構成されている。即ち、切断工程S106においては、切断機構17が作動し、挟持機構15で固定された筒状体100の他方の端部100cの切断が行われる。尚、切断工程S106が終了すると、再び、長さ測定工程S104が行われる。
【0106】
合格品ストック工程S108は、挟持機構15が開放動作を行った際に、合格判断工程にて合格品と判断された筒状体100をストックする工程として構成されている。そして、不合格品ストック工程S109は、挟持機構15が開放動作を行った際に、合格判断工
程にて不合格品と判断された筒状体100をストックする工程として構成されている。即ち、合格品ストック工程S108及び不合格品ストック工程S109においては、挟持機構15及びガイド部材駆動機構21の作動に伴って、筒状体100が合格品と判断された場合(S107、Yes)はこの筒状体100が合格品ストック部18にストックされ、筒状体100が不合格品と判断された場合(S107、No)はこの筒状体100が不合格品ストック部19にストックされる。
【0107】
図13に示す工程(S101〜S108)が終了すると、本実施形態の自動切断方法が一旦終了することになる。そして、上述した各工程(S101〜S109)が複数の筒状体100に対して繰り返し行われ、円筒軸方向の長さ寸法が調整された筒状体100が、繰り返し生産されることになる。
【0108】
以上説明した自動切断装置1によると、供給機構11から供給された筒状体100が供給用ガイド部材13の供給用ガイド面13aを転動して切断部12へ誘導されて載置される。切断部12に載置された筒状体100は、位置決め機構14によって一方の端部100bが位置決めされ、挟持機構15によって外周側面が固定される。更に、筒状体100は、他方の端部100cに接触する長さ測定機構16によって円筒軸方向の長さ寸法が測定され、その長さ寸法により、合格範囲内の合格品か、合格範囲より長い要切断品か、合格範囲より短い不合格品かが、合格判断部51にて判断される。要切断品は切断機構17によって円筒軸方向と垂直に切断され、長さ寸法が調整される。そして、挟持機構15の開放動作に伴い、合格品は合格品ストック部18にストックされ、不合格品は不合格品ストック部19にストックされる。このように、筒状体100の固定から切断及び長さ寸法の検査を経て製品をストックするまでの一連の作業が、筒状体100の自動切断装置1が作動することで、自動で行われることになる。このため、作業者の手作業に基づいて筒状体100を固定及び切断して更にストックする作業を無くすことができ、自動化による省人化を図ることができる。また、上記作業の無人化を図ることができるため、作業者に起因する生産能力の低下がそもそも生じないことになり、自動切断装置1の運転速度を調整することで、飛躍的に生産能力の向上を図ることができる。
【0109】
従って、自動切断装置1によると、筒状体100の固定から切断を経てストックするまでの一連の作業を自動で行うことができ、自動化による省人化が可能であり、作業者に起因する生産能力の低下を無くし、生産能力の向上を図ることができる。
【0110】
また、自動切断装置1によると、合格品は、挟持機構15の開放動作に伴い、合格品用ガイド部材33に斜面として設けられた合格品用ガイド面33aを斜め下方に転動し、合格品ストック部18にストックされる。また、不合格品についても、挟持機構15の開放動作に伴い、不合格品用ガイド部材34に斜面として設けられた不合格品用ガイド面34aを斜め下方に転動し、不合格品ストック部19にストックされる。このため、重力を利用した簡素な構成によって、切断処理や合格判断処理が終了した筒状体100を順次自動で回収することができる。
【0111】
また、自動切断装置1によると、一体的に構成された合格品用ガイド部材33及び不合格品用ガイド部材34が、ガイド部材駆動機構21によって切断部12に対して相対変位するよう駆動され、合格品は合格品用ガイド面33aに落下し、不合格品は不合格用ガイド面34aに落下する。このため合格品及び不合格品を合格品ストック部18及び不合格品ストック部19に容易に振り分けることができる機構を、一体的に設けられたガイド部材ユニット20を切断部12に対して相対変位させるという簡素な構成によって実現することができる。
【0112】
また、自動切断装置1によると、筒状体ストック部24にストックされた筒状体100
が、供給通路25を経て供給口25aから供給用ガイド面13aに供給される。そして、供給口25aを第1シャッタ部29が開放しているときは筒状体100がこの供給口25aから供給用ガイド部材13に供給され、供給口25aを第1シャッタ部29が閉じているときは筒状体100が供給用ガイド部材13に供給されないことになる。このため、第1シャッタ部29の開閉動作によって、筒状体100の供給が要求されるタイミングに応じて供給口25aから供給用ガイド部材13に筒状体100を順次供給することができる。また、供給用ガイド部材13に供給された筒状体100については、第2シャッタ部30の開閉動作によって、筒状体100の供給が要求されるタイミングに応じて切断部12に筒状体100を順次供給することができる。
【0113】
また、自動切断装置1によると、筒状体ストック部24にストックされた筒状体100は、重力により、斜め下方に下る段部に沿って供給通路25を通過して供給口25aへと移動することになる。そして、供給通路25の天井部分25cと床部分25bとの最も接近した位置での距離寸法Dが筒状体100の直径寸法の1つ分より大きく2つ分より小さく、供給通路25の幅寸法が筒状体100の円筒軸方向長さよりも長く形成されている。このため、筒状体100は、その円筒軸方向が供給通路25の幅方向と平行な姿勢で段部に沿って転動しながら順番に1つずつ並んだ状態で供給通路25を通過し、供給口25aから1つずつ供給され、供給用ガイド面13aを転動することになる。これにより、切断部12に対して、固定のために要求される姿勢と常時同じ姿勢で安定して筒状体100を1つずつ供給することができる。また、安定した同じ姿勢の筒状体100を1つずつ供給するための構成を、所定の寸法形状の段部等が設けられた供給通路25を設けるという簡素な構成によって実現することができる。
【0114】
また、自動切断装置1によると、筒状体ストック部24及び供給通路25に対して振動発生機26から振動が付与される。このため、筒状体100の周囲から伝わる振動によってこの筒状体100が移動し易くなり、筒状体100を順次供給通路25を経て供給口25aに向かって容易に移動させることができる。また、振動を発生させることで、筒状体100が筒状体ストック部24から供給通路25を経て移動する際に、供給通路25及びその入口付近において筒状体100が詰ってしまうことを抑制することができる。
【0115】
また、本実施形態の自動切断方法によると、自動切断装置1と同様の効果を奏することができる。即ち、本実施形態における筒状体の自動切断方法によると、筒状体100の固定から切断を経てストックするまでの一連の作業を自動で行うことができ、自動化による省人化が可能であり、作業者に起因する生産能力の低下を無くし、生産能力の向上を図ることができる。
【0116】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施に係る筒状体の自動切断装置及び筒状体の自動切断方法について説明する。図14は、本発明の第2実施形態に係る筒状体の自動切断装置2(以下、単に「自動切断装置2」ともいう)の正面図である。図14に示す自動切断装置2は、前述したフィルタ成形体100として設けられて円筒状に形成された筒状体100を円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断し、この筒状体100の端部をリング状に形成されたリング状体として分離して切り出してストックする(貯める)装置として構成されている。
【0117】
図14に示す自動切断装置2は、制御装置60、切断部12、位置決め機構14、挟持機構15、長さ測定機構16、切断機構(リング状体切断機構)17、把持機構61、リング状体ストック部62、基台22、台車23などを備えて構成されている。また、図15及び図16は、自動切断装置2における構成要素の一部について模式的に示す斜視図である。図15の斜視図では、位置決め機構14、挟持機構15、長さ測定機構16、把持機構61(図15では、把持機構61の一部を図示)、切断機構17について、模式的に
図示している。また、図16の斜視図では、把持機構61の一部と、リング状体ストック部62とについて、模式的に示している。
【0118】
自動切断装置2は、第1実施形態と同様に構成される位置決め機構14、挟持機構15、長さ測定機構16、切断機構17を備えているが、把持機構61及びリング状体ストック部62を備えている点において、第1実施形態とは異なっている。尚、以下の自動切断装置2の説明においては、第1実施形態と構成が異なる点について説明し、第1実施形態と同様に構成される要素については、図面において同一の符号を付すことで、適宜説明を省略する。
【0119】
図14及び図15に示す自動切断装置1においては、制御装置60、切断部12、位置決め機構14、挟持機構15、長さ測定機構16、切断機構17、把持機構61、リング状体ストック部62は、基台22上に設置されている。尚、基台22には、支持フレーム22cが設けられており、上記の各機構等(12、14、15、16、17、62、62)は、支持フレーム22c上に支持されている。
【0120】
切断部12は、第1実施形態の切断部12と同様に構成されるが、筒状体100は、例えば、作業者によって、切断部12に載置される。尚、自動切断装置2においては、この自動切断装置2の作動開始時のみ作業者が筒状体100を切断部12に載置し、以降、作業者の手作業が介在することなく、切断部に載置された筒状体100は、自動切断装置2によって自動で処理される。
【0121】
位置決め機構14、挟持機構15、長さ測定機構16、切断機構17については、前述のように、第1実施形態と同様に構成される。尚、切断機構17については、第1実施形態と同様に設けられるカッタ刃17a、切断モータ17b、駆動シリンダ17c及びモータ支持台17dを備えて構成される。但し、第2実施形態においては、切断機構17は、挟持機構15によって固定された筒状体100の円筒軸方向における他方の端部100cを後述の把持機構61で把持された状態のまま円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断するように設けられている。これにより、切断機構17は、筒状体100における他方の端部100cをリング状に形成されたリング状体110として分離して切り出すリング状体切断機構として構成されている(図15参照)。
【0122】
図14及び図15に示す把持機構61は、マストフレーム61a、駆動ユニット61b、アーム部61c及び一対の把持部(61d、61d)を備えて構成されている。マストフレーム61aは、支持フレーム22c上において上方に向かって延びるように設置されたフレーム構造体として設けられている。
【0123】
駆動ユニット61bは、マストフレーム61aの上端側において自動切断装置2の前後方向(図15にて両端矢印C1で示す方向)に沿ってアーム部61cを移動させるように駆動する前後駆動機構と、アーム部61cを昇降駆動することで一対の把持部(61d、61d)を上下方向に移動させるように駆動する上下駆動機構と、が設けられている。また、アーム部61cは、駆動ユニット61bに対して下方に向かって延びるとともに先端側において一対の把持部(61d、61d)を支持するように設けられている。尚、駆動ユニット61bにおける前後駆動機構及び上下駆動機構は、例えば、電動シリンダを備えて構成されている。
【0124】
また、アーム部61cは、その下端側において、一対の把持部(61d、61d)を支持するように設けられている。一対の把持部(61d、61d)は、アーム部61cから下方に向かって平行に延びるプレート状の部材としてそれぞれ設けられている。そして、アーム部61cには、この一対の把持部(61d、61d)を互いに接近させる方向と離
間させる方向とに駆動可能な把持部駆動機構が内蔵されている。この把持部駆動機構は、例えば、電動シリンダとして設けられている。この把持部駆動機構の作動によって、一対の把持部(61d、61d)を互いに接近させて筒状体100又はリング状体110を把持(クランプ)する把持動作と、一対の把持部(61d、61d)を互いに離間させてリング状体110の把持動作を解除する把持解除動作とが行われることになる。これにより、一対の把持部(61d、61d)は、切断部12に載置されて挟持機構15によって固定された筒状体100の円筒軸方向における他方の端部100cの外周側面を両側から把持するように構成されている。
【0125】
図14及び図16に示すリング状体ストック部62は、リング状体110の貫通孔110aに挿通可能で丸棒状に設けられたストック棒62aと、このストック棒62aを支持するとともに支持フレーム22cに対して固定される台座部62bとを備えて構成されている。尚、ストック棒62aは、先端部分が斜め上方に向かって延びるように設けられている。そして、リング状体ストック部62においては、把持機構61によって把持されて移動したリング状体110の貫通孔110aがストック棒62aに挿通された後に把持機構61がリング状体110の把持動作を解除することで(把持解除動作を行うことで)、リング状体110がストック棒62aにストックされることになる。尚、把持機構61における一対の把持部(61d、61d)は、駆動ユニット61bによって移動するように駆動されたときに、その一対の把持部(61d、61d)の中間位置が、ストック棒62aの先端部分に対して自動切断装置2の左右方向における位置が同一となる面内で移動するように構成されている。
【0126】
ここで、自動切断装置2において、把持機構61によってリング状体110を把持し、切断機構17による切断動作後に、把持機構61によってリング状体110を移動させてリング状体ストック部62にストックする作動について説明する。尚、この作動中における長さ測定機構16による筒状体100の長さ測定動作については、説明を省略する。
【0127】
切断機構17による切断動作が行われる際には、その切断動作の前に、挟持機構15による筒状体の100の挟持動作が行われ、次いで、把持機構61による筒状体100の他方の端部100cの把持動作が行われる。この把持機構61による把持動作に際しては、まず、駆動ユニット61bの前後駆動機構が、アーム部61cを自動切断装置1の前後方向に移動させ、一対の把持部(61d、61d)を筒状体100の他方の端部100cの上方で停止させる。そして、駆動ユニット61bの上下駆動機構が、アーム部61cを筒状体100の他方の端部100cに向かって下方に移動させ、互いに離間した側の位置に位置した状態の一対の把持部(61d、61d)が筒状体100の他方の端部100cの外周側面に両側から対向する位置で、アーム部61cを停止させる。
【0128】
上記の状態から、アーム部61cに内蔵された把持部駆動機構が、一対の把持部(61d、61d)を互いに接近させる方向に駆動し、筒状体100の他方の端部100cの把持動作が行われる。そして、切断機構17によって、挟持機構15で固定されるとともに一対の把持部(61d、61d)で他方の端部100cが把持された筒状体100に対する切断動作が行われ、他方の端部100cがリング状体110として筒状体100から分離して切り出されることになる。
【0129】
筒状体100からリング状体110が切り出されると、一対の把持部(61d、61d)によって把持されたままの状態で、駆動ユニット61bの上下駆動機構が、アーム部61cを上方に向かって移動させてストック棒62aの先端部分に対向する高さ位置で停止させる。次いで、駆動ユニット61bの前後駆動機構が、アーム部61cを自動切断装置2の前後方向に移動させ、一対の把持部(61d、61d)で把持されたリング状体110をストック棒62aの先端部分に向かって(図16における矢印G方向に向かって)移
動させる。そして、駆動ユニット61bの前後駆動機構は、リング状体110の貫通孔110aがストック棒62aの先端部分に挿通されるまでアーム部61cを移動させて停止する。
【0130】
上記の状態で、アーム部61cに内蔵された把持部駆動機構が作動し、一対の把持部(61d、61d)によるリング状体110の把持動作が解除される。即ち、図16において矢印Hで示すように、一対の把持部(61d、61d)が互いに離間する方向に移動する把持解除動作が行われる。この把持解除動作が行われると、駆動ユニット61bが作動して、一対の把持部(61d、61d)が初期の位置に戻るように移動する。一方、貫通孔110aがストック棒62aの先端部分に挿通されたリング状体110は、ストック棒62aの斜めに延びる部分に沿って下方に滑り落ちるようにして落下し、先にストックされたリング状体110に続いて、ストック棒62aの奥側から順に並んでストックされることになる。
【0131】
図17は、自動切断装置2における制御構成を示すブロック図であり、図18は制御装置60の機能ブロック図である。自動切断装置2においては、切断部12に載置された筒状体100が挟持機構15によって固定され、筒状体100が切断されてリング状体110の切り出しが行われ、後述の合格判断部66での判断が行われ、更に、リング状体ストック部62にリング状体110がストックされるまでの動作が、制御装置60による制御に基づいて自動で行われる。自動切断装置2の運転は、切断部12に筒状体100が載置された後、基台22上に設置された操作ボックス38での作業者による操作に基づいて開始される。そして、操作ボックス38での操作が行われると、図17及び図18に示す制御装置60が、位置決め機構14、挟持機構15、長さ測定機構16、切断機構17、把持機構61等の作動を制御し、筒状体100を切断部12において切断してリング状体110を切り出し、更にリング状体110をリング状体ストック部62にストックする動作が行われることになる。
【0132】
図14、図17及び図18に示す制御装置60は、基台22上に設置され、第1実施形態の制御装置10と同様に、CPU35、メモリ36、インターフェイス回路(I/F回路)37等を備えて構成されている。そして、この制御装置60は、操作ボックス38、各駆動回路(40〜43、63、64)等に接続されている。操作ボックス38からの操作信号の入力や駆動回路(40〜43、63、64)への指令信号の出力は、インターフェイス回路37を通じて行われる。また、メモリ36には、各機構(14、15、16、17、61)を制御する制御装置60としての処理を行うためのプログラムが記憶されており、CPU35により読み出されて実行される。そして、図18に示すように、制御装置60内には、上記のCPU35とメモリ36とメモリ36に記憶されたプログラムとによって、位置決め機構制御部48と、挟持機構制御部49と、長さ測定機構制御部50と、切断機構制御部52と、把持機構制御部65と、合格判断部66と、が構築されている。
【0133】
駆動回路(40、42)は、第1実施形態の駆動回路(40、42)と同様の回路として設けられている。駆動回路41は、第1実施形態と同様に、制御装置60からの指令に基づいて長さ測定機構16における測長シリンダ16bを駆動するための回路として設けられている。但し、自動切断装置2においては、駆動回路41は、切断機構17による切断動作の前と後との両方のタイミングにおいて、筒状体100の円筒軸方向の長さ寸法を測定するように、測長シリンダ16bを駆動するように構成されている。駆動回路43は、第1実施形態と同様に、制御装置60からの指令に基づいて電磁弁ユニット44における所定の電磁弁を開閉駆動するための回路として設けられている。但し、自動切断装置2においては、駆動回路43は、駆動シリンダ(17c、31b、32b)の作動を制御するように構成されている。
【0134】
駆動回路63は、制御装置60からの指令に基づいて駆動ユニット61bにおける前後駆動機構及び上下駆動機構に設けられた各電動シリンダを駆動するように構成されている。駆動回路64は、制御装置60からの指令に基づいてアーム部61cにおける把持部駆動機構に設けられた電動シリンダを駆動するように構成されている。
【0135】
また、制御装置60内には、前述のように、各制御部(48〜50、52、65)及び合格判断部(リング状体合格判断部)66が構築されている。尚、これらの各部(48〜50、52、65、66)は、所定のプログラムを読み出して実行するCPU35によって構成される。
【0136】
位置決め制御部48、挟持機構制御部49及び切断機構制御部52は、第1実施形態と同様に構成されている。長さ測定機構制御部50は、第1実施形態と同様に、駆動回路41を介して測長シリンダ16bを制御する。但し、自動切断装置2においては、長さ測定機構制御部50は、切断機構17によって筒状体100からリング状体110が切り出される切断動作の前と後との両方のタイミングで筒状体100の円筒軸方向の長さ寸法を測定するように長さ測定機構16の作動を制御する。把持機構制御部65は、駆動回路64を介してアーム部61cにおける把持部駆動機構の電動シリンダを制御する。これにより、前述した把持機構61の作動が行われる。
【0137】
合格判断部66は、リング状体110が筒状体100から切り出される前後における長さ測定機構16による筒状体100の長さ寸法の測定結果に基づいて、切り出されたリング状体110が、合格品であるか、不合格品であるかを判断する。即ち、合格判断部66は、まず、リング状体110が切り出される前の筒状体100の長さ寸法から、リング状体110が切り出された後の筒状体100の長さ寸法とカッタ刃17aの厚み寸法とを差し引くことで、切り出されたリング状体110の円筒軸方向の長さ寸法を検出する。そして、合格判断部66は、検出したリング状体110の円筒軸方向の長さ寸法が所定の長さ寸法の範囲である合格範囲に収まる合格品か、合格範囲から長さ寸法が外れる不合格品かを判断する。
【0138】
尚、筒状体100から切り出されて把持機構61で把持された状態のリング状体110が合格判断部66にて合格品であると判断されると、把持機構制御部65による制御に基づいて、このリング状体110がリング状体ストック部62にストックされる動作が行われることになる。一方、合格判断部66にて不合格品であると判断されると、制御装置60は、作業者による点検確認等のため、自動切断装置2の作動を停止させる。
【0139】
次に、本発明の第2実施形態に係る筒状体の自動切断方法(以下、単に「本実施形態の自動切断方法」ともいう)について説明する。尚、本実施形態の自動切断方法には、上述した自動切断装置2が用いられる。即ち、自動切断装置2が作動することで、本実施形態の自動切断方法が実施されることになる。
【0140】
本実施形態の自動切断方法は、筒状体100を円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断してリング状体110を切り出してストックする方法として構成されている。図19は、本実施形態の自動切断方法を説明する工程図である。この図19に示すように、本実施形態の自動切断方法は、位置決め工程S201と、挟持工程S202、切断前長さ測定工程S203と、把持工程S204と、切断工程S205と、切断後長さ測定工程S206と、合格判断工程S207と、ストック工程S208と、作動停止工程S209とを備えて構成されている。
【0141】
上記の各工程(S201〜S209)が行われることで、筒状体100を切断してリン
グ状体110を切り出し、更にリング状体110の寸法検査を行うとともにストックする処理が行われることになる。そして、工程(S201〜S208)が終了するごとに、リング状体110が1つ生産されることになる。また、工程(S201〜S208)が繰り返し行われることで、円筒軸方向の長さ寸法が合格範囲内のリング状体110が、繰り返し生産されることになる。尚、1つの筒状体100から複数のリング状体110が順番に切り出される場合は、工程(S201〜S208)がサイクルとして繰り返し行われる。そして、この場合、次回サイクルについては、前回サイクルにおける切断後長さ測定工程S206での測定結果を次回サイクルにおいて利用し、次回サイクルにおける切断前長さ測定工程S203を省略するように構成されてもよい。
【0142】
作業者によって切断部12に筒状体100が載置されて、操作ボックス38が操作されて自動切断装置2の作動が開始されることで、図19に示す各工程(S201〜S209)が行われる。また、制御装置60においては、例えば、繰り返し運転モードが設けられている。そして、1つの筒状体100から複数のリング状体110が順番に切り出される場合は、制御装置60がこの繰り返し運転モードに設定されることで、筒状体100が所定の長さ寸法に達する水準まで短くなるか、又は、作動停止工程S209が行われて作動が終了するまでは、工程(S201〜S208)が繰り返されることになる。
【0143】
位置決め工程S201は、作業者によって切断部12に載置された筒状体100、又は前回サイクルから引き続き切断部12に載置された筒状体100の円筒軸方向における一方の端部100bの端面に位置決め部材14aが当接し、この一方の端部100bの端面の位置決めをする工程として構成されている。即ち、この位置決め工程S102においては、位置決め機構14が作動することで、切断部12において筒状体100の一方の端部100bの位置決めが行われる。尚、工程(S201〜S208)のサイクルが1回行われて筒状体100が短くなると、次回サイクルでは、前回サイクルと異なる位置で一方の端部100bの位置決めが行われることになる。
【0144】
挟持工程S202は、位置決め工程S201において位置決めされた筒状体100の外周側面を一対の挟持部(31、32)によって挟持し、この筒状体100を固定する固定動作が行われる工程として構成されている。即ち、挟持工程S202においては、挟持機構15が作動し、一対の挟持部(31、32)によって筒状体100が挟持されて固定される。尚、図19の工程図では図示を省略するが、ストック工程S208が行われた後、上記の繰り返し運転モードにより次回サイクルが行われる場合は、挟持機構15による筒状体100の固定を解除するよう一対の挟持部(31、32)を開放する開放動作が行われる。
【0145】
切断前長さ測定工程S203は、位置決め工程S201にて位置決めされた筒状体100の円筒軸方向における他方の端部100cの端面に測長接触部16aが接触して筒状体100の円筒軸方向の長さを測定する工程として構成されている。この切断前長さ測定工程S204においては、リング状体110が切り出される切断動作の前のタイミングで長さ測定機構16が作動し、筒状体100の円筒軸方向の長さが測定される。
【0146】
把持工程S204は、挟持機構15によって固定された筒状体100の円筒軸方向における他方の端部100cの外周側面が一対の把持部(61d、61d)によって両側から把持される工程として構成されている。即ち、この把持工程S204においては、把持機構61が作動し、筒状体100の他方の端部100cが把持される。
【0147】
切断工程S205は、挟持機構15によって固定された筒状体100の円筒軸方向における他方の端部100cが把持機構61で把持された状態のまま円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断されるリング状体切断工程として構成されている。即ち、切断工程S205
においては、切断機構17が作動し、筒状体100における他方の端部100cがリング状体110として分離して切り出される。
【0148】
切断後長さ測定工程S206は、切断工程S205の後、筒状体100の円筒軸方向における他方の端部100cの端面に測長接触部16aが接触して筒状体100の円筒軸方向の長さを測定する工程として構成されている。即ち、この切断後長さ測定工程S206においては、リング状体110が切り出された切断動作の後のタイミングで長さ測定機構16が作動し、筒状体100の円筒軸方向の長さが測定される。
【0149】
合格判断工程S207は、切断前長さ測定工程S203及び切断後長さ測定工程S206での測定結果に基づいて、切り出されたリング状体110円筒軸方向の長さが所定の長さ寸法の範囲である合格範囲に収まる合格品か、合格範囲から長さ寸法が外れる不合格品かを判断する工程として構成されている。この合格判断工程S207において合格品と判断された場合(S207、Yes)、ストック工程S208が行われる。一方、不合格品と判断された場合(S207、No)、作動停止工程S209が行われる。
【0150】
ストック工程S208は、把持機構61によって把持したリング状体110を移動させ、このリング状体110の貫通孔110aをストック棒62aの先端部分に挿通させ、更にその後に、把持機構61によるリング状体110の把持動作を解除することで、リング状体110をストックするリング状体ストック工程として構成されている。即ち、ストック工程S208においては、把持機構61が作動し、合格品と判断されたリング状体110がリング状体ストック部62にストックされる。
【0151】
作動停止工程S209は、筒状体100から切り出されたリング状体110が合格判断工程S207において不合格品と判断された場合(S207、No)、作業者による点検確認等のため、自動切断装置2の作動を停止させる工程として構成されている。
【0152】
図19に示す工程(S201〜S208)又は工程(S201〜S207、S209)が終了すると、本実施形態の自動切断方法が一旦終了することになる。そして、上述した各工程(S201〜S209)が筒状体100に対して繰り返し行われることで、円筒軸方向の長さ寸法が調整されたリング状体110が、繰り返し生産されることになる。
【0153】
以上説明した自動切断装置2によると、自動切断装置2の作動開始時のみ作業者が筒状体100を切断部12に載置し、以降、作業者の手作業が介在することなく、切断部12に載置された筒状体100は、位置決め機構14によって一方の端部100bが位置決めされ、挟持機構15によって外周側面が固定される。更に、筒状体100は、把持機構61によって他方の端部100cが把持され、切断機構17によって円筒軸方向と垂直に切断され、リング状体110として分離して切り出される。そして、リング状体110は、把持機構61によって移動し、貫通孔110aがストック棒62aに挿通された状態で把持動作が解除され、リング状体ストック部62にストックされる。このように、筒状体100の固定から切断を経てリング状体110の製品をストックするまでの一連の作業が、筒状体100の自動切断装置2が作動することで、自動で行われることになる。このため、作業者の手作業に基づいて筒状体100を固定及び切断して更にリング状体110をストックする作業を無くすことができ、自動化による省人化を図ることができる。また、上記作業の無人化を図ることができるため、作業者に起因する生産能力の低下がそもそも生じないことになり、自動切断装置2の運転速度を調整することで、飛躍的に生産能力の向上を図ることができる。
【0154】
従って、自動切断装置2によると、筒状体100の固定から切断を経てストックするまでの一連の作業を自動で行うことができ、自動化による省人化が可能であり、作業者に起
因する生産能力の低下を無くし、生産能力の向上を図ることができる。
【0155】
また、自動切断装置2によると、ストック棒62aの先端部分が斜め上方に向かって延びるように設けられている。このため、貫通孔110aがストック棒62aの先端部分に挿通された状態で把持機構61がリング状体110の把持動作を解除することで、リング状体110がストック棒62aに沿って斜め下方に滑り落ちるようにして落下し、ストック棒62aの奥側から順に並んでストックされていくことになる。このように、重力を利用した簡素な構成によって、リング状体110を効率よく回収することができる。
【0156】
また、自動切断装置2によると、リング状体110が筒状体100から切り出される前後において、位置決め機構14によって位置決めされた側と反対側の端部100cに接触する長さ測定機構16によって筒状体100の円筒軸方向の長さが測定され、この測定結果に基づいて、切り出されたリング状体110の円筒軸方向の長さ寸法が検出される。そして、リング状体110の長さ寸法が合格範囲内か否かが合格判断部66にて判断され、合格品のみリング状体ストック部62にストックされる。このため、筒状体100の固定から切断、更にリング状体110の長さ寸法の検査を経て製品をストックするまでの一連の作業が、自動切断装置2が作動することで、自動で行われることになる。このため、リング状体110の長さ寸法の検査も含めた自動化を達成でき、更に飛躍的に生産能力の向上を図ることができる。
【0157】
また、本実施形態の自動切断方法によると、自動切断装置2と同様の効果を奏することができる。即ち、本実施形態における筒状体の自動切断方法によると、筒状体100の固定から切断を経てストックするまでの一連の作業を自動で行うことができ、自動化による省人化が可能であり、作業者に起因する生産能力の低下を無くし、生産能力の向上を図ることができる。
【0158】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。即ち、供給機構、供給用ガイド部材、切断部、位置決め機構、挟持機構、長さ測定機構、筒状体切断機構、リング状体切断機構、把持機構、筒状体合格判断部、リング状体合格判断部、ガイド部材ユニット、ガイド部材駆動機構、合格品ストック部、不合格品ストック部、リング状体ストック部の形態については、適宜変更して実施してもよい。また、上述の実施形態においては、供給機構、位置決め機構、挟持機構、長さ測定機構、筒状体切断機構、リング状体切断機構、把持機構、ガイド部材駆動機構について、電動シリンダやエアシリンダを備えるものを例にとって説明したが、この通りでなくてもよく、リニアモータや、回転モータによって駆動されるラックアンドピニオン機構等、種々の駆動機構を備えて構成されていてもよい。また、第1実施形態の自動切断装置における各機構と第2実施形態の自動切断装置における各機構との全ての機構が設けられるとともに重複する機構についてはそれぞれ1つずつ設けられ、第1実施形態と第2実施形態とのいずれの作動も可能に構成された自動切断装置を実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明は、円筒状に形成された筒状体を円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断してストックする、筒状体の自動切断装置及び筒状体の自動切断方法として、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0160】
1 筒状体の自動切断装置
11 供給機構
12 切断部
13 供給用ガイド部材
13a 供給用ガイド面
14 位置決め機構
14a 位置決め部材
15 挟持機構
16 長さ測定機構
17 切断機構(筒状体切断機構)
18 合格品ストック部
19 不合格品ストック部
25a 供給口
31、32 一対の挟持部
51 合格判断部(筒状体合格判断部)
100 フィルタ成形体(筒状体)
100b 一方の端部
100c 他方の端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状に形成された筒状体をストックするとともに、ストックされた前記筒状体を供給口から供給する供給機構と、
前記筒状体が載置されて当該筒状体の切断が行われる領域である切断部と、
前記供給口から供給された前記筒状体が転動する斜面として設けられた供給用ガイド面を有し、当該供給用ガイド面により当該筒状体を前記切断部へ誘導する供給用ガイド部材と、
前記切断部に載置された前記筒状体の円筒軸方向における一方の端部の端面に当接可能なように移動自在に設けられた位置決め部材を有し、当該一方の端部の端面を位置決めする位置決め機構と、
前記位置決め機構によって位置決めされた前記筒状体の外周側面を両側から挟持する一対の挟持部を有し、当該一対の挟持部によって前記筒状体を固定する固定動作が可能であるとともに、前記一対の挟持部を開放して前記筒状体の固定を解除する開放動作が可能に設けられた挟持機構と、
前記位置決め機構によって位置決めされた前記筒状体の円筒軸方向における他方の端部の端面に接触して当該筒状体の円筒軸方向の長さ寸法を測定する長さ測定機構と、
前記長さ測定機構での測定結果に基づいて、前記筒状体の長さ寸法が所定の長さ寸法の範囲である合格範囲に収まる合格品か、前記合格範囲よりも長さ寸法が長く切断が必要な要切断品か、前記合格範囲よりも長さ寸法が短い不合格品かを判断する筒状体合格判断部と、
前記要切断品と判断された前記筒状体について、前記挟持機構によって固定された状態で円筒軸方向における他方の端部を円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断する筒状体切断機構と、
前記挟持機構が前記開放動作を行った際に、前記合格品と判断された前記筒状体をストックする合格品ストック部と、
前記挟持機構が前記開放動作を行った際に、前記不合格品と判断された前記筒状体をストックする不合格品ストック部と、
を備えていることを特徴とする、筒状体の自動切断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の筒状体の自動切断装置であって、
前記挟持機構が前記開放動作を行った際に、前記合格品と判断された前記筒状体が転動する斜面として設けられた合格品用ガイド面を有し、当該合格品用ガイド面により当該筒状体を前記合格品ストック部へ誘導する合格品用ガイド部材と、
前記挟持機構が前記開放動作を行った際に、前記不合格品と判断された前記筒状体が転動する斜面として設けられた不合格品用ガイド面を有し、当該不合格品用ガイド面により当該筒状体を前記不合格品ストック部へ誘導する不合格品用ガイド部材と、
を更に備えていることを特徴とする、筒状体の自動切断装置。
【請求項3】
請求項2に記載の筒状体の自動切断装置であって、
前記合格品用ガイド部材及び前記不合格品用ガイド部材は、一体に形成され又は互いに固定されたガイド部材ユニットとして設けられ、
前記合格品を前記合格品用ガイド面に向かって落下させ、前記不合格品を前記不合格品用ガイド面に向かって落下させるように、前記ガイド部材ユニットを前記切断部に対して相対変位させるよう駆動するガイド部材駆動機構が更に備えられていることを特徴とする、筒状体の自動切断装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の筒状体の自動切断装置であって、
前記供給機構は、
複数の前記筒状体をストックする筒状体ストック部と、
前記筒状体ストック部の内部と連通し、前記供給口が開口形成された供給通路と、
前記供給口を開閉自在なシャッタ部と、
を有していることを特徴とする、筒状体の自動切断装置。
【請求項5】
請求項4に記載の筒状体の自動切断装置であって、
前記供給通路は、その天井部分及び床部分のうちの少なくともいずれかが、前記筒状体ストック部に対して斜め下方に配置された前記供給口に向かって1段又は複数段の段部を介して下り方向に延びるように設けられ、
前記供給通路の幅方向の寸法が前記筒状体の円筒軸方向の長さ寸法よりも長くなるように形成され、
前記天井部分と前記床部分との最も接近した位置における距離寸法が、前記筒状体の直径寸法の1つ分の寸法よりも大きく2つ分の寸法よりも小さいことを特徴とする、筒状体の自動切断装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の筒状体の自動切断装置であって、
前記供給機構は、前記筒状体ストック部及び前記供給通路に対して振動を付与可能な振動発生部を更に有していることを特徴とする、筒状体の自動切断装置。
【請求項7】
円筒状に形成された筒状体をストックするとともに、ストックされた前記筒状体を供給口から供給する供給機構と、
前記筒状体が載置されて当該筒状体の切断が行われる領域である切断部と、
前記供給口から供給された前記筒状体が転動する斜面として設けられた供給用ガイド面を有し、当該供給用ガイド面により当該筒状体を前記切断部へ誘導する供給用ガイド部材と、
前記切断部に載置された前記筒状体の円筒軸方向における一方の端部の端面に当接可能なように移動自在に設けられた位置決め部材を有し、当該一方の端部の端面を位置決めする位置決め機構と、
前記位置決め機構によって位置決めされた前記筒状体の外周側面を両側から挟持する一対の挟持部を有し、当該一対の挟持部によって前記筒状体を固定する固定動作が可能であるとともに、前記一対の挟持部を開放して前記筒状体の固定を解除する開放動作が可能に設けられた挟持機構と、
前記位置決め機構によって位置決めされた前記筒状体の円筒軸方向における他方の端部の端面に接触して当該筒状体の円筒軸方向の長さを測定する長さ測定機構と、
を有する筒状体の切断装置が用いられ、
前記長さ測定機構での測定結果に基づいて、前記筒状体の長さ寸法が所定の長さ寸法の範囲である合格範囲に収まる合格品か、前記合格範囲よりも長さ寸法が長く切断が必要な要切断品か、前記合格範囲よりも長さ寸法が短い不合格品かを判断する筒状体合格判断工程と、
前記筒状体合格判断工程にて前記要切断品と判断された前記筒状体について、前記挟持機構によって固定された状態で円筒軸方向における他方の端部を円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断する筒状体切断工程と、
前記挟持機構が前記開放動作を行った際に、前記合格品と判断された前記筒状体をストックする合格品ストック工程と、
前記挟持機構が前記開放動作を行った際に、前記不合格品と判断された前記筒状体をストックする不合格品ストック工程と、
を備えていることを特徴とする、筒状体の自動切断方法。
【請求項8】
円筒状に形成された筒状体が載置されて当該筒状体の切断が行われる領域である切断部と、
前記切断部に載置された前記筒状体の円筒軸方向における一方の端部の端面に当接可能
なように移動自在に設けられた位置決め部材を有し、当該一方の端部の端面を位置決めする位置決め機構と、
前記位置決め機構によって位置決めされた前記筒状体の外周側面を両側から挟持する一対の挟持部を有し、当該一対の挟持部によって前記筒状体を固定する固定動作が可能であるとともに、前記一対の挟持部を開放して前記筒状体の固定を解除する開放動作が可能に設けられた挟持機構と、
前記挟持機構によって固定された前記筒状体の円筒軸方向における他方の端部の外周側面を両側から把持する一対の把持部を有する把持機構と、
前記挟持機構によって固定された前記筒状体の円筒軸方向における他方の端部を前記把持機構で把持された状態のまま円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断することで、前記筒状体における前記他方の端部をリング状に形成されたリング状体として分離して切り出すリング状体切断機構と、
前記リング状体の貫通孔に挿通可能なストック棒を有し、前記把持機構によって把持されて移動した前記リング状体の貫通孔が前記ストック棒に挿通された後に当該把持機構が前記リング状体の把持動作を解除することで、前記リング状体がストックされるリング状体ストック部と、
を備えていることを特徴とする、筒状体の自動切断装置。
【請求項9】
請求項8に記載の筒状体の自動切断装置であって、
前記ストック棒は、先端部分が斜め上方に向かって延びるように設けられていることを特徴とする、筒状体の自動切断装置。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の筒状体の自動切断装置であって、
前記位置決め機構によって位置決めされた前記筒状体の円筒軸方向における他方の端部の端面に接触して当該筒状体の円筒軸方向の長さを測定する長さ測定機構と、
前記リング状体が前記筒状体から切り出される前後における前記長さ測定機構による前記筒状体の長さ寸法の測定結果に基づいて、前記リング状体の円筒軸方向の長さ寸法が所定の長さ寸法の範囲である合格範囲に収まる合格品か、前記合格範囲から長さ寸法が外れる不合格品かを判断するリング状体合格判断部と、
を更に備え、
前記合格品と判断された前記リング状体が前記リング状体ストック部にストックされることを特徴とする、筒状体の自動切断装置。
【請求項11】
円筒状に形成された筒状体が載置されて当該筒状体の切断が行われる領域である切断部と、
前記切断部に載置された前記筒状体の円筒軸方向における一方の端部の端面に当接可能なように移動自在に設けられた位置決め部材を有し、当該一方の端部の端面を位置決めする位置決め機構と、
前記位置決め機構によって位置決めされた前記筒状体の外周側面を両側から挟持する一対の挟持部を有し、当該一対の挟持部によって前記筒状体を固定する固定動作が可能であるとともに、前記一対の挟持部を開放して前記筒状体の固定を解除する開放動作が可能に設けられた挟持機構と、
前記挟持機構によって固定された前記筒状体の円筒軸方向における他方の端部の外周側面を両側から把持する一対の把持部を有する把持機構と、
を有する筒状体の切断装置が用いられ、
前記挟持機構によって固定された前記筒状体の円筒軸方向における他方の端部を前記把持機構で把持された状態のまま円筒軸方向と垂直な方向に沿って切断することで、前記筒状体における前記他方の端部をリング状に形成されたリング状体として分離して切り出すリング状体切断工程と、
前記把持機構によって把持されて移動した前記リング状体の貫通孔を当該貫通孔に挿通
可能なストック棒に対して挿通した後に、前記把持機構による前記リング状体の把持動作を解除することで、前記リング状体をストックするリング状体ストック工程と、
を備えていることを特徴とする、筒状体の自動切断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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