筒状食品の加熱装置
【課題】竹輪等の筒状食材の外周面に焼色を付けるための小型の加熱装置を提供する。
【解決手段】筒状食材が周囲に巻かれた串を、串の軸線を中心に回転自在に支持しながら、串の長さ方向に対して直交する方向に搬送する搬送手段と、串の搬送方向に延びる走行部分106を有する無端加熱ベルト104と、を有し、走行部が串の搬送される方向Yとは逆の方向Zに走行するようになされており、串に巻かれた筒状食材が、走行部上で転動しながら搬送されるように設計された小型の加熱装置。
【解決手段】筒状食材が周囲に巻かれた串を、串の軸線を中心に回転自在に支持しながら、串の長さ方向に対して直交する方向に搬送する搬送手段と、串の搬送方向に延びる走行部分106を有する無端加熱ベルト104と、を有し、走行部が串の搬送される方向Yとは逆の方向Zに走行するようになされており、串に巻かれた筒状食材が、走行部上で転動しながら搬送されるように設計された小型の加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状食品の製造装置に係り、特に、竹輪などの筒状食品の製造にあたって、筒状食品の外周表面に焼色をつけるための加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、魚肉すり身からなる内側層及び外側層及びそれら外側層及び内側層の間に挟まれたチーズ材からなる中間層を有する三層構造のチーズ入り竹輪の開発をしており、(特許文献1)、また、そのような竹輪を具体例とする多層構造の筒状食品の製造装置も開発している(特許文献2)。
【0003】
これらの特許文献に開示された竹輪は、矩形の板状のすり身を串の周りに巻いて筒状の内側層とし、この内側層の周りに該内側層よりも幅の狭い矩形の板状のチーズ材を巻いて中間層とし、その周りに内側層と同じ幅の矩形の板状のすり身を巻いて三層構造の筒状として、中間層のチーズ材が外観に現れないように形成される。特許文献2に開示された装置は、回転ドラムの上に、筒状食品の内側層、中間層そして外側層となるそれぞれの矩形の板状食材(すり身、チーズ、すり身)を供給すると共に、該回転ドラムの外周面に近接した位置で該外周面を横断方向に延びる串を該外周面に沿って回転しながら搬送し、板状食材を該串に順次巻き付けて三層構造の筒状食材を成形するようになっている。
【0004】
本願出願人はまた、串の周りに筒状に成形された竹輪用の食材の外周面に焼色をつける装置を開発している(特許文献3)。この装置は、細長い電熱加熱板を備え、串の周りに筒状に成形された練り食材を、該加熱板の上で転動し、該加熱板からの熱によって、当該食材の表面に焼色をつけるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07-023747号
【特許文献2】特開H09−322738号
【特許文献3】特開平9-262071号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記三層構造の筒状食材では、中間層が内側及び外側層よりも幅が狭くされているために、それらを重ねてできる外観は、中間層がある部分が盛り上がった形状となる。しかし、そのような筒状食材の外周面に焼色をつける場合には、外周表面が盛り上がったままの形状では、該外周表面に適正な焼色をつけることが難しい。このために、上記成形の後に更に、上述のような盛り上がりがない、全体として円筒状の外周面を有するようにするための追加の成形工程が必要となる。
【0007】
特許文献2は、チーズ入り竹輪を具体例とする筒状食品の製造装置を開示しているが、比較的大きな直径のドラムの周りに、それぞれ、筒状食品の内側層、中間層そして外側層とされる魚肉すり身、チーズ、そして魚肉すり身などの板状食材をドラム外周面に供給する食材供給装置が周方向で順次設けられ、串は、串の両端を支持した搬送装置によってドラム外周面に隣接して周方向で搬送され、且つ、ドラムの周面に沿って張設された無端ベルトにより、串の両端をドラムの半径方向内側に抑えられながら回転し、ドラム上の上記板状の食材上を転動するようにして、それら板状の食材を順次巻き付けるようになっている。このため、串に対する食材の巻き付けの装置が大がかりなものとなる。
【0008】
特許文献3に開示の焼色付け装置は、円筒状とされた食材の外周面に焼色を付けるまで、細長い電熱加熱板の上を転動しなければならない。この場合転動が遅すぎると食材の外周面に火膨れが生じ易くなるために一定の速度で転動しなければならない。従って、当該電熱加熱板は、筒状の食材が、その外周面に焼色が付くまで転動するだけの長さが必要となる。
【0009】
このため、このような多層筒状食品を製造するための装置は大型となり、従って、大きな装置設定スペースが必要となる。一方、チーズ入り竹輪などでは、消費者の購買欲を刺激するために、店頭で、その製造過程を見られるようにしたいとの要望があり、その場合、製造装置を小型化することが必要となる。
【0010】
本発明はこのような点に鑑み、竹輪などのように外周面に焼色を必要とする筒状食品の製造装置を小型化すること、特に、焼き色付けのための加熱装置を小型化することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は、
食材が周囲に筒状に巻かれた串を、該串の軸線を中心に回転自在に支持しながら、該串の長さ方向に対して直交する方向に搬送する搬送手段と、
薄い金属からなる無端加熱ベルトであって、前記串の搬送方向に延びる走行部分を有する無端加熱ベルトと
を有し、該走行部が前記串の搬送される方向とは逆の方向に走行するようになされており、前記食材が周囲に筒状に巻かれた串が、前記走行部上で転動しながら搬送されるようにした、串に巻かれた筒状食材の外周面に焼色を付けるための加熱装置を提供する。
【0012】
この装置では、串に巻かれた筒状食材が、前記無端加熱ベルトの走行部と接触しながら該走行部とは逆の方向に搬送され、該走行部との接触によって、該走行部上で転動されるようになされており、従って、前述の特許文献3に開示されている加熱装置におけるように、筒状の食材が、静止した細長い加熱板に直接接触して転動されながら搬送されるようにした場合に較べて、当該加熱装置の当該串の搬送方向での長さが短くても、無端加熱ベルトの走行部に対して転動する回数を多くすることができる。従って、当該加熱装置の長さを短くすることができる。
【0013】
この加熱装置は、串の搬送方向に延びる加熱板を備え、前記無端加熱ベルトの走行部が該細長い加熱板上を、該加熱板と接触しながら走行するように、該走行部が該加熱板によって加熱されるようにすることができる。
【0014】
前記搬送手段は、前記加熱板の両側で、該加熱板に沿って延び、前記串の端部を当該串の軸線の周りで回転自在に支持しながら搬送する螺旋コンベアを有するようにすることができる。
【0015】
以下、本発明を添付図面に示した実施形態に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る筒状食品製造装置の概要平面図である。
【図2】図1の製造装置の概要正面図である。
【図3】図1の筒状食品製造装置における食材成形装置の概要斜視図である。
【図4】図3の食材成形装置における食材を押し出すためのノズルのノズル開口を示す。
【図5】図3の食材成形装置における搬送コンベア上に第1乃至第3板状食材が押し出された状態を示す概要斜視図である。
【図6】図3の食材成形装置によって串の周りに形成された筒状食材の縦断面図である。
【図7】図6の筒状食材の斜視図である。
【図8A】図3の成形装置における串供給装置の概要を示す図であり、串を串支持部材に供給した状態を示す。
【図8B】図3の成形装置における串供給装置の概要を示す図であり、板状材料を巻き付けた串を串支持部材から取り出すと共に、串供給装置から新たな串を取り出した状態を示す。
【図9】図1の筒状食品製造装置における加熱装置で串の周りに形成された筒状食材を搬送するための螺旋コンベアの概要を示す図である。
【図10】図1の筒状食品製造装置における加熱装置を構成する焼き付け用ヒータを示す斜視図であり、無端加熱ベルトを除いて示してある。
【図11】図10の焼き付け用ヒータの平面図である。
【図12】図10の焼き付け用ヒータの正面図である。
【図13】同焼き付け用ヒータの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
先ず、図1及び図2に示す本発明に係る三層筒状食品の製造装置10につき説明する。この製造装置は、具体的には、魚肉すり身からなる内側層及び外側層並びにそれらの間に挟まれたチーズ材からなる中間層を有する、三層筒状食品としてのチーズ入り竹輪の製造装置である。図1の平面図で見て下側に左右方向に延びるように見える三層筒状食材の成形装置12と、図1で見て、該成形装置12の上側に左右方向に延びるように設けられ、成形装置12によって成形された三層筒状食品を加熱し、外周面に焼色をつけるための熱装置14とを有している。
【0018】
成形装置12は、図1乃至図3、特に図3に示すように、図で見て左方に動くようにされた搬送面20を有する搬送コンベア22を有し、この搬送面20に対して、三層筒状食品の内側層となる矩形の第1板状食材(具体的には魚肉すり身)Aと、中間層となる第2板状食材(カマンベールチーズなどの軟質チーズ)Bと、外側層となる矩形の第3板状食材(魚肉すり身)Cとを、当該搬送面20上に、その搬送方向Mで整列するようにして供給し、搬送方向下流側において搬送面20に近接して搬送方向に対して直角方向に延びる串26を設定し、該串26のところに搬送されてくる第1乃至第3板状食材A〜Cを順次、該串26に巻きつけ、三層の筒状食品Tを成形するようになっている。
【0019】
第1及び第3板状食材A、Cは、搬送面20の上流側に位置する第1食材供給装置28によって供給される。該第1食材供給装置28は、食材すなわちすり身を収納し供給するホッパー30と、該ホッパー30内の材料を攪拌する攪拌機32と、該ホッパー30から供給管34を介して供給される食材を受け入れて、搬送コンベア22の搬送面20上に供給するノズル36とを有している。ノズル36は、スイベルジョイント38によって接続された供給管34との接続部分(図1)から垂直に延びる軸線X(図3)の周りで回動可能とされており、食材(魚肉すり身)を搬送コンベア22に供給するノズル開口40は、搬送面20に対して垂直方向で対向し、上記軸線Xの周りで回動可能とされている。
【0020】
図4に示すように、ノズル開口40は、搬送面20の横断方向で延びる第1開口縁42と、該第1開口縁42に対向して横断方向に延びる第2開口縁44と、該第1及び第2開口縁42、44の端部間に延びる開口側縁46,48とを有する全体として平たい矩形状とされている。第1開口縁42は、その両端から上記横断方向で内側位置に第2開口縁44に向けて矩形状に突出する突出縁50を有しており、ノズル36は、上記軸線Xの周りで回動可能で、第1開口縁42が上記搬送方向Mにおいて第2開口縁44よりも上流側とされた第1成形位置(図4)と、第1開口縁42が上記搬送方向において第2開口縁44よりも下流側とされた第2成形位置との間で180°回動可能とされている。ノズル36が第1成形位置にあるときには、ノズル開口40から押し出される食材の搬送面20と接する下面A1に、ノズル開口40の第1開口縁42の突出縁50に対応する凹部A2(図5)が上記搬送方向に延びるように形成され、上記第1板状食材Aが形成される。ノズル36が第2成形位置にあるときには、ノズル開口40から押し出され食材の、搬送面20と接する下面C1が平坦な面となり、上面C2は、ノズル開口40の第1開口縁42の突出面に対応する凹部C3が上記搬送方向に延びるように形成され、上記第3板状食材Cが形成される。
【0021】
ホッパー30の下端で、供給管34との連結部分には食材送給のためのギアポンプ54(図2)が取り付けられており、該ギアポンプは間歇的に駆動される。すなわち、ノズル36が上記第1成形位置にあるときに所定時間だけの間、当該モータを駆動し、食材(魚肉すり身)をノズル開口40から搬送面20上に供給して、搬送方向で、所定の長さ(具体的には、串26の周りに巻きつけられたときに、該串26の周りを一周するだけの長さ)の第1板状食材Aを成形する。該第1板状食材Aが形成された後は、一定時間だけギアポンプを停止するとともに、ノズル36を上記第2成形位置に回動した後に、該モータを再駆動する。その場合の駆動時間は、搬送面20上に押し出された第3板状食材Cが、串26に巻かれた第1板状食材Aの周りに巻かれるときに、該第1板状食材Aの周りで一周するだけの長さとされる。すなわち、第3板状食材Cの方が第1板状食材Aよりも長くなるようにする。また、第1板状食材Aの凹部と第3板状食材Cの凹部との間には矩形の隙間が生じ、その隙間に、上述の中間層をなす軟質チーズなどの第2板状食材Bが配置可能なるようにされる。
【0022】
図3に示すように、搬送面20の搬送方向Mにおいて、上述の第1食材供給装置28よりも下流側には、第2板状食材Bを供給するための第2食材供給装置56が設けられている。図示の例では、第2食材供給装置として2台のチーズ供給装置56が設けられている。各チーズ供給装置は、それぞれ、チーズ収納カートリッジ60、及び、該チーズ収納パッケージから搬送面20の上まで延びているチーズ供給管62を有しており、チーズ収納パッケージの交換を考慮し、これら2台のチーズ供給装置を交互に使用し、上述のように第1食材供給装置によって搬送面20上に供給された第1板状食材Aと第3板状食材Cとの間にチーズを一定長さだけ供給して上記第2板状食材Bとする。第2板状食材Bの上記搬送方向を横断する方向での幅は、上述の第1板状食材A及び第3板状食材Cに形成される凹部の幅に対応するものであり、串26に巻かれた内側層及び外側層の凹部の間に当該第2板状食材Bが嵌合されるようにされ、また、内側層の周りに一周だけ巻かれる程度の長さとされる。
【0023】
第2食材供給装置の下流側には、上述の第1乃至第3板状食材A〜Cを筒状に巻くための串26を供給する串供給装置64が設けられている。図3、図8A及び図8Bに示すように、この串供給装置は、搬送コンベア22の両側に沿って設けられた側壁70と、該側壁の内側面に蛇行するようにして相互に対称的に形成され、串26の両端を支持して案内する串供給路72と、供給路72によってその下端まで案内された串26を持ち上げて取り出すための一対の揺動アーム74と、該アームを枢軸76を中心に揺動するための電動シリンダ78と、搬送コンベア22の両側に取りつけられ、取り出された串26を受け止めて該串26が搬送コンベア22の搬送面20の上で横断方向に延びるように支持する串支持凹部80を備える串支持部材82を有する。揺動アーム74は、電動シリンダ78のロッド84が伸張されることにより上昇するようになっており、該揺動アーム74に取りつけられた串取り出し部83が、最下端にある串26aを持ち上げ(図8B)、次いで、電動シリンダ78のロッドが収縮されることにより下降をはじめ、最終的には串支持部材82の串支持凹部80内に落とすようになっている(図8A)。串26は、串支持凹部80内で、当該串26の軸線を中心に回転自在とされており、搬送面20に供給されて該串26の位置まで搬送されてくる第1乃至第3板状食材A〜Cと接触し、それらを順次巻き上げていく。本発明においては、この板状食材A〜Cの巻き上げが行われたときに、電動シリンダ78がロッドを適宜伸張させて揺動アーム74を適宜上昇させる。串26は、通常、ステンレス鋼で作られており、一定の重量を有しているために、板状食材A〜Cが該串26に巻き付くときに、その串26の重量をそのまま搬送面20上の板状食材A〜Cに掛かるようにすると、それら板状食材A〜C、特に第1及び第3板状食材Cに設けた上述の凹部が変形する虞があるために、串26を適宜持ち上げることにより、巻き上げられる板状食材A〜Cに巻き上げに適した圧力が掛かるようにしているのである。
【0024】
串支持部材82の上記搬送方向Mにおける下流側には、搬送コンベア22の両側に沿って延びる一対のチェーンコンベア86が設けられている。上述のように上昇されるアーム74は、板状食材A〜Cが巻き付けられた串を串支持凹部80から持ち上げて当該アームの先端に保持すると共に、串供給装置64の最下端にある串26aを持ち上げた後、上述のように下降することにより、板状食材A〜Cが巻き付けられた串をチェーンコンベア86に供給して当該成形装置12から排出し、同時に、串供給装置から取り出した新たな串を串支持凹部80内に供給する。。
【0025】
成形装置12から排出された串26は、適宜の搬送手段により、加熱装置14に運ばれる。加熱装置14は、上段の白焼き装置又はゲル化装置88と下段の焼色付け装置90からなる。白焼き装置88及び焼色付け装置90はともに、串26の両端を支持するだけの間隔をあけられた一対の螺旋コンベア92を有する。この螺旋子コンベアは、細長い棒状のステンレス鋼を螺旋状にしたものであり、串26の端部を図9に示すように支持し、それぞれの螺旋の中心軸線を中心に一定方向に同期して回転されることにより、串26を一定方向に搬送するものである。図1及び図9に示す例では、上段の白焼き装置88は図における左端で筒状食材Tを巻き付けた串26を受け入れ、右端に向けて搬送するようになっており、その搬送路に沿って設けられた図示しないヒータによって串26に巻き付けられた筒状食材Tを加熱して、内側層及び外側層をなす魚肉すり身をゲル化するようになっている。
【0026】
白焼き装置88の右端まで搬送された串26は、適宜の搬送手段によって下段の焼色付き装置に移される。焼色付け装置90は、上述のように螺旋コンベア92を有しており、図1における右端で白焼きされた筒状食材Tを備える串26を受け入れ左端に向けて搬送する。焼色付け装置90における相互に平行に設定されている螺旋コンベア92の間の下方位置には、焼色付け用ヒータ94が設けられており、螺旋コンベア92によって搬送される串26に巻き付けられている筒状食材Tが、該焼色付けヒータ94上を転動しながら搬送されるようになっている。
【0027】
図10乃至図13は、焼色付けヒータ94を示している。図示のように、焼色付けヒータは、串26の搬送方向に伸張するフレーム96が設けられており、その幅方向中央上部に沿って細長い電気加熱板98が設けられている。フレーム96の両端にはベルトホイール100,102が回転可能に取りつけられており、該ベルトホイール100,102には薄いステンレス鋼からなる無端加熱ベルト104が掛けられ、その上部走行部106は電気加熱板98の上面に押圧されるような張力を掛けられながら該上面の上を串26の搬送方向Y(図12)とは逆の方向Zに摺動するように駆動するようにされている。
【0028】
螺旋コンベア92によって図において左方へ搬送される串26の周りの筒状食材Tは、その外周面が無端加熱ベルト104の上部走行部106に係合され、それにより筒状食材Tが串26と共に転動しながら左方へ搬送されるようにされている。無端加熱ベルト104が停止していると仮定した場合に、その上を螺旋コンベア92によって搬送される筒状食材Tは、無端加熱ベルト104との係合によって串26と共に該無端加熱ベルト104上を転動することになるが、本願発明では、この無端加熱ベルト104の上部走行部106を筒状食材Tの搬送方向Yとは逆に動かされるようにされており、従って、筒状食材Tが、その搬送路の右端から左端に到るまでに無端加熱ベルト104の上部走行部106上で転動される回数は、該無端加熱ベルト104の速度の増加に従って増加されることになる。このため、無端加熱ベルト104に対する筒状食材の相対的走行距離は長くなり、従って、当該上部走行部106及び焼色付けヒータの全長が短くても筒状食材Tを十分加熱して焼色をつけることが可能となる。具体的な例としては、アルミニウムで作られた長さが600mm、幅30mmの電気加熱板98を、その表面温度が220℃〜250℃の温度範囲を維持するようにし、無端加熱ベルト104の上部走行部106の長さを800mmとすることにより、所要の焼色を付けることができた。これは前述の特許文献3に開示されているような細長い加熱板上に筒状食材を転動させて同様の焼色を付ける場合、該加熱板は2000mm程度の長さを必要としていたものと較べて、大幅に長さを短縮することができたことが分かる。
【0029】
所要の焼色がつけられた筒状食材Tは、焼色付けヒータの左端から排出され、図示しない串抜き工程に移送される。
【0030】
以上、本発明に係る実施形態につき述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、細長い電気加熱板98は、他のガスなどの加熱手段により加熱される加熱板と置き換えることができる。また、電動シリンダ78は、エアシリンダに置き換えることができる。
【符号の説明】
【0031】
三層筒状食品の製造装置10;成形装置12;熱処理装置14;搬送面20;搬送コンベア22;第1板状食材A;第2板状食材B;第3板状食材C;串26;第1食材供給装置28;ホッパー30;攪拌機32;供給管34;ノズル36;スイベルジョイント38;ノズル開口40;第1開口縁42;第2開口縁44;開口側縁48;突出縁50;ギアポンプ54;第2食材供給装置56;材料収納カートリッジ60;材料供給管34;串供給装置64;側壁70;串供給路72;揺動アーム74;枢軸76;電動シリンダ78;串支持凹部80;串支持部材82;串取り出し部83;ロッド84;チェーンコンベア86;白焼き装置88;焼色付け装置90;螺旋コンベア92;焼色付け用ヒータ94;フレーム96;電気加熱板98;ベルトホイール100,102;無端加熱ベルト104;上部走行部106;スクレーパ110
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状食品の製造装置に係り、特に、竹輪などの筒状食品の製造にあたって、筒状食品の外周表面に焼色をつけるための加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、魚肉すり身からなる内側層及び外側層及びそれら外側層及び内側層の間に挟まれたチーズ材からなる中間層を有する三層構造のチーズ入り竹輪の開発をしており、(特許文献1)、また、そのような竹輪を具体例とする多層構造の筒状食品の製造装置も開発している(特許文献2)。
【0003】
これらの特許文献に開示された竹輪は、矩形の板状のすり身を串の周りに巻いて筒状の内側層とし、この内側層の周りに該内側層よりも幅の狭い矩形の板状のチーズ材を巻いて中間層とし、その周りに内側層と同じ幅の矩形の板状のすり身を巻いて三層構造の筒状として、中間層のチーズ材が外観に現れないように形成される。特許文献2に開示された装置は、回転ドラムの上に、筒状食品の内側層、中間層そして外側層となるそれぞれの矩形の板状食材(すり身、チーズ、すり身)を供給すると共に、該回転ドラムの外周面に近接した位置で該外周面を横断方向に延びる串を該外周面に沿って回転しながら搬送し、板状食材を該串に順次巻き付けて三層構造の筒状食材を成形するようになっている。
【0004】
本願出願人はまた、串の周りに筒状に成形された竹輪用の食材の外周面に焼色をつける装置を開発している(特許文献3)。この装置は、細長い電熱加熱板を備え、串の周りに筒状に成形された練り食材を、該加熱板の上で転動し、該加熱板からの熱によって、当該食材の表面に焼色をつけるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07-023747号
【特許文献2】特開H09−322738号
【特許文献3】特開平9-262071号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記三層構造の筒状食材では、中間層が内側及び外側層よりも幅が狭くされているために、それらを重ねてできる外観は、中間層がある部分が盛り上がった形状となる。しかし、そのような筒状食材の外周面に焼色をつける場合には、外周表面が盛り上がったままの形状では、該外周表面に適正な焼色をつけることが難しい。このために、上記成形の後に更に、上述のような盛り上がりがない、全体として円筒状の外周面を有するようにするための追加の成形工程が必要となる。
【0007】
特許文献2は、チーズ入り竹輪を具体例とする筒状食品の製造装置を開示しているが、比較的大きな直径のドラムの周りに、それぞれ、筒状食品の内側層、中間層そして外側層とされる魚肉すり身、チーズ、そして魚肉すり身などの板状食材をドラム外周面に供給する食材供給装置が周方向で順次設けられ、串は、串の両端を支持した搬送装置によってドラム外周面に隣接して周方向で搬送され、且つ、ドラムの周面に沿って張設された無端ベルトにより、串の両端をドラムの半径方向内側に抑えられながら回転し、ドラム上の上記板状の食材上を転動するようにして、それら板状の食材を順次巻き付けるようになっている。このため、串に対する食材の巻き付けの装置が大がかりなものとなる。
【0008】
特許文献3に開示の焼色付け装置は、円筒状とされた食材の外周面に焼色を付けるまで、細長い電熱加熱板の上を転動しなければならない。この場合転動が遅すぎると食材の外周面に火膨れが生じ易くなるために一定の速度で転動しなければならない。従って、当該電熱加熱板は、筒状の食材が、その外周面に焼色が付くまで転動するだけの長さが必要となる。
【0009】
このため、このような多層筒状食品を製造するための装置は大型となり、従って、大きな装置設定スペースが必要となる。一方、チーズ入り竹輪などでは、消費者の購買欲を刺激するために、店頭で、その製造過程を見られるようにしたいとの要望があり、その場合、製造装置を小型化することが必要となる。
【0010】
本発明はこのような点に鑑み、竹輪などのように外周面に焼色を必要とする筒状食品の製造装置を小型化すること、特に、焼き色付けのための加熱装置を小型化することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は、
食材が周囲に筒状に巻かれた串を、該串の軸線を中心に回転自在に支持しながら、該串の長さ方向に対して直交する方向に搬送する搬送手段と、
薄い金属からなる無端加熱ベルトであって、前記串の搬送方向に延びる走行部分を有する無端加熱ベルトと
を有し、該走行部が前記串の搬送される方向とは逆の方向に走行するようになされており、前記食材が周囲に筒状に巻かれた串が、前記走行部上で転動しながら搬送されるようにした、串に巻かれた筒状食材の外周面に焼色を付けるための加熱装置を提供する。
【0012】
この装置では、串に巻かれた筒状食材が、前記無端加熱ベルトの走行部と接触しながら該走行部とは逆の方向に搬送され、該走行部との接触によって、該走行部上で転動されるようになされており、従って、前述の特許文献3に開示されている加熱装置におけるように、筒状の食材が、静止した細長い加熱板に直接接触して転動されながら搬送されるようにした場合に較べて、当該加熱装置の当該串の搬送方向での長さが短くても、無端加熱ベルトの走行部に対して転動する回数を多くすることができる。従って、当該加熱装置の長さを短くすることができる。
【0013】
この加熱装置は、串の搬送方向に延びる加熱板を備え、前記無端加熱ベルトの走行部が該細長い加熱板上を、該加熱板と接触しながら走行するように、該走行部が該加熱板によって加熱されるようにすることができる。
【0014】
前記搬送手段は、前記加熱板の両側で、該加熱板に沿って延び、前記串の端部を当該串の軸線の周りで回転自在に支持しながら搬送する螺旋コンベアを有するようにすることができる。
【0015】
以下、本発明を添付図面に示した実施形態に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る筒状食品製造装置の概要平面図である。
【図2】図1の製造装置の概要正面図である。
【図3】図1の筒状食品製造装置における食材成形装置の概要斜視図である。
【図4】図3の食材成形装置における食材を押し出すためのノズルのノズル開口を示す。
【図5】図3の食材成形装置における搬送コンベア上に第1乃至第3板状食材が押し出された状態を示す概要斜視図である。
【図6】図3の食材成形装置によって串の周りに形成された筒状食材の縦断面図である。
【図7】図6の筒状食材の斜視図である。
【図8A】図3の成形装置における串供給装置の概要を示す図であり、串を串支持部材に供給した状態を示す。
【図8B】図3の成形装置における串供給装置の概要を示す図であり、板状材料を巻き付けた串を串支持部材から取り出すと共に、串供給装置から新たな串を取り出した状態を示す。
【図9】図1の筒状食品製造装置における加熱装置で串の周りに形成された筒状食材を搬送するための螺旋コンベアの概要を示す図である。
【図10】図1の筒状食品製造装置における加熱装置を構成する焼き付け用ヒータを示す斜視図であり、無端加熱ベルトを除いて示してある。
【図11】図10の焼き付け用ヒータの平面図である。
【図12】図10の焼き付け用ヒータの正面図である。
【図13】同焼き付け用ヒータの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
先ず、図1及び図2に示す本発明に係る三層筒状食品の製造装置10につき説明する。この製造装置は、具体的には、魚肉すり身からなる内側層及び外側層並びにそれらの間に挟まれたチーズ材からなる中間層を有する、三層筒状食品としてのチーズ入り竹輪の製造装置である。図1の平面図で見て下側に左右方向に延びるように見える三層筒状食材の成形装置12と、図1で見て、該成形装置12の上側に左右方向に延びるように設けられ、成形装置12によって成形された三層筒状食品を加熱し、外周面に焼色をつけるための熱装置14とを有している。
【0018】
成形装置12は、図1乃至図3、特に図3に示すように、図で見て左方に動くようにされた搬送面20を有する搬送コンベア22を有し、この搬送面20に対して、三層筒状食品の内側層となる矩形の第1板状食材(具体的には魚肉すり身)Aと、中間層となる第2板状食材(カマンベールチーズなどの軟質チーズ)Bと、外側層となる矩形の第3板状食材(魚肉すり身)Cとを、当該搬送面20上に、その搬送方向Mで整列するようにして供給し、搬送方向下流側において搬送面20に近接して搬送方向に対して直角方向に延びる串26を設定し、該串26のところに搬送されてくる第1乃至第3板状食材A〜Cを順次、該串26に巻きつけ、三層の筒状食品Tを成形するようになっている。
【0019】
第1及び第3板状食材A、Cは、搬送面20の上流側に位置する第1食材供給装置28によって供給される。該第1食材供給装置28は、食材すなわちすり身を収納し供給するホッパー30と、該ホッパー30内の材料を攪拌する攪拌機32と、該ホッパー30から供給管34を介して供給される食材を受け入れて、搬送コンベア22の搬送面20上に供給するノズル36とを有している。ノズル36は、スイベルジョイント38によって接続された供給管34との接続部分(図1)から垂直に延びる軸線X(図3)の周りで回動可能とされており、食材(魚肉すり身)を搬送コンベア22に供給するノズル開口40は、搬送面20に対して垂直方向で対向し、上記軸線Xの周りで回動可能とされている。
【0020】
図4に示すように、ノズル開口40は、搬送面20の横断方向で延びる第1開口縁42と、該第1開口縁42に対向して横断方向に延びる第2開口縁44と、該第1及び第2開口縁42、44の端部間に延びる開口側縁46,48とを有する全体として平たい矩形状とされている。第1開口縁42は、その両端から上記横断方向で内側位置に第2開口縁44に向けて矩形状に突出する突出縁50を有しており、ノズル36は、上記軸線Xの周りで回動可能で、第1開口縁42が上記搬送方向Mにおいて第2開口縁44よりも上流側とされた第1成形位置(図4)と、第1開口縁42が上記搬送方向において第2開口縁44よりも下流側とされた第2成形位置との間で180°回動可能とされている。ノズル36が第1成形位置にあるときには、ノズル開口40から押し出される食材の搬送面20と接する下面A1に、ノズル開口40の第1開口縁42の突出縁50に対応する凹部A2(図5)が上記搬送方向に延びるように形成され、上記第1板状食材Aが形成される。ノズル36が第2成形位置にあるときには、ノズル開口40から押し出され食材の、搬送面20と接する下面C1が平坦な面となり、上面C2は、ノズル開口40の第1開口縁42の突出面に対応する凹部C3が上記搬送方向に延びるように形成され、上記第3板状食材Cが形成される。
【0021】
ホッパー30の下端で、供給管34との連結部分には食材送給のためのギアポンプ54(図2)が取り付けられており、該ギアポンプは間歇的に駆動される。すなわち、ノズル36が上記第1成形位置にあるときに所定時間だけの間、当該モータを駆動し、食材(魚肉すり身)をノズル開口40から搬送面20上に供給して、搬送方向で、所定の長さ(具体的には、串26の周りに巻きつけられたときに、該串26の周りを一周するだけの長さ)の第1板状食材Aを成形する。該第1板状食材Aが形成された後は、一定時間だけギアポンプを停止するとともに、ノズル36を上記第2成形位置に回動した後に、該モータを再駆動する。その場合の駆動時間は、搬送面20上に押し出された第3板状食材Cが、串26に巻かれた第1板状食材Aの周りに巻かれるときに、該第1板状食材Aの周りで一周するだけの長さとされる。すなわち、第3板状食材Cの方が第1板状食材Aよりも長くなるようにする。また、第1板状食材Aの凹部と第3板状食材Cの凹部との間には矩形の隙間が生じ、その隙間に、上述の中間層をなす軟質チーズなどの第2板状食材Bが配置可能なるようにされる。
【0022】
図3に示すように、搬送面20の搬送方向Mにおいて、上述の第1食材供給装置28よりも下流側には、第2板状食材Bを供給するための第2食材供給装置56が設けられている。図示の例では、第2食材供給装置として2台のチーズ供給装置56が設けられている。各チーズ供給装置は、それぞれ、チーズ収納カートリッジ60、及び、該チーズ収納パッケージから搬送面20の上まで延びているチーズ供給管62を有しており、チーズ収納パッケージの交換を考慮し、これら2台のチーズ供給装置を交互に使用し、上述のように第1食材供給装置によって搬送面20上に供給された第1板状食材Aと第3板状食材Cとの間にチーズを一定長さだけ供給して上記第2板状食材Bとする。第2板状食材Bの上記搬送方向を横断する方向での幅は、上述の第1板状食材A及び第3板状食材Cに形成される凹部の幅に対応するものであり、串26に巻かれた内側層及び外側層の凹部の間に当該第2板状食材Bが嵌合されるようにされ、また、内側層の周りに一周だけ巻かれる程度の長さとされる。
【0023】
第2食材供給装置の下流側には、上述の第1乃至第3板状食材A〜Cを筒状に巻くための串26を供給する串供給装置64が設けられている。図3、図8A及び図8Bに示すように、この串供給装置は、搬送コンベア22の両側に沿って設けられた側壁70と、該側壁の内側面に蛇行するようにして相互に対称的に形成され、串26の両端を支持して案内する串供給路72と、供給路72によってその下端まで案内された串26を持ち上げて取り出すための一対の揺動アーム74と、該アームを枢軸76を中心に揺動するための電動シリンダ78と、搬送コンベア22の両側に取りつけられ、取り出された串26を受け止めて該串26が搬送コンベア22の搬送面20の上で横断方向に延びるように支持する串支持凹部80を備える串支持部材82を有する。揺動アーム74は、電動シリンダ78のロッド84が伸張されることにより上昇するようになっており、該揺動アーム74に取りつけられた串取り出し部83が、最下端にある串26aを持ち上げ(図8B)、次いで、電動シリンダ78のロッドが収縮されることにより下降をはじめ、最終的には串支持部材82の串支持凹部80内に落とすようになっている(図8A)。串26は、串支持凹部80内で、当該串26の軸線を中心に回転自在とされており、搬送面20に供給されて該串26の位置まで搬送されてくる第1乃至第3板状食材A〜Cと接触し、それらを順次巻き上げていく。本発明においては、この板状食材A〜Cの巻き上げが行われたときに、電動シリンダ78がロッドを適宜伸張させて揺動アーム74を適宜上昇させる。串26は、通常、ステンレス鋼で作られており、一定の重量を有しているために、板状食材A〜Cが該串26に巻き付くときに、その串26の重量をそのまま搬送面20上の板状食材A〜Cに掛かるようにすると、それら板状食材A〜C、特に第1及び第3板状食材Cに設けた上述の凹部が変形する虞があるために、串26を適宜持ち上げることにより、巻き上げられる板状食材A〜Cに巻き上げに適した圧力が掛かるようにしているのである。
【0024】
串支持部材82の上記搬送方向Mにおける下流側には、搬送コンベア22の両側に沿って延びる一対のチェーンコンベア86が設けられている。上述のように上昇されるアーム74は、板状食材A〜Cが巻き付けられた串を串支持凹部80から持ち上げて当該アームの先端に保持すると共に、串供給装置64の最下端にある串26aを持ち上げた後、上述のように下降することにより、板状食材A〜Cが巻き付けられた串をチェーンコンベア86に供給して当該成形装置12から排出し、同時に、串供給装置から取り出した新たな串を串支持凹部80内に供給する。。
【0025】
成形装置12から排出された串26は、適宜の搬送手段により、加熱装置14に運ばれる。加熱装置14は、上段の白焼き装置又はゲル化装置88と下段の焼色付け装置90からなる。白焼き装置88及び焼色付け装置90はともに、串26の両端を支持するだけの間隔をあけられた一対の螺旋コンベア92を有する。この螺旋子コンベアは、細長い棒状のステンレス鋼を螺旋状にしたものであり、串26の端部を図9に示すように支持し、それぞれの螺旋の中心軸線を中心に一定方向に同期して回転されることにより、串26を一定方向に搬送するものである。図1及び図9に示す例では、上段の白焼き装置88は図における左端で筒状食材Tを巻き付けた串26を受け入れ、右端に向けて搬送するようになっており、その搬送路に沿って設けられた図示しないヒータによって串26に巻き付けられた筒状食材Tを加熱して、内側層及び外側層をなす魚肉すり身をゲル化するようになっている。
【0026】
白焼き装置88の右端まで搬送された串26は、適宜の搬送手段によって下段の焼色付き装置に移される。焼色付け装置90は、上述のように螺旋コンベア92を有しており、図1における右端で白焼きされた筒状食材Tを備える串26を受け入れ左端に向けて搬送する。焼色付け装置90における相互に平行に設定されている螺旋コンベア92の間の下方位置には、焼色付け用ヒータ94が設けられており、螺旋コンベア92によって搬送される串26に巻き付けられている筒状食材Tが、該焼色付けヒータ94上を転動しながら搬送されるようになっている。
【0027】
図10乃至図13は、焼色付けヒータ94を示している。図示のように、焼色付けヒータは、串26の搬送方向に伸張するフレーム96が設けられており、その幅方向中央上部に沿って細長い電気加熱板98が設けられている。フレーム96の両端にはベルトホイール100,102が回転可能に取りつけられており、該ベルトホイール100,102には薄いステンレス鋼からなる無端加熱ベルト104が掛けられ、その上部走行部106は電気加熱板98の上面に押圧されるような張力を掛けられながら該上面の上を串26の搬送方向Y(図12)とは逆の方向Zに摺動するように駆動するようにされている。
【0028】
螺旋コンベア92によって図において左方へ搬送される串26の周りの筒状食材Tは、その外周面が無端加熱ベルト104の上部走行部106に係合され、それにより筒状食材Tが串26と共に転動しながら左方へ搬送されるようにされている。無端加熱ベルト104が停止していると仮定した場合に、その上を螺旋コンベア92によって搬送される筒状食材Tは、無端加熱ベルト104との係合によって串26と共に該無端加熱ベルト104上を転動することになるが、本願発明では、この無端加熱ベルト104の上部走行部106を筒状食材Tの搬送方向Yとは逆に動かされるようにされており、従って、筒状食材Tが、その搬送路の右端から左端に到るまでに無端加熱ベルト104の上部走行部106上で転動される回数は、該無端加熱ベルト104の速度の増加に従って増加されることになる。このため、無端加熱ベルト104に対する筒状食材の相対的走行距離は長くなり、従って、当該上部走行部106及び焼色付けヒータの全長が短くても筒状食材Tを十分加熱して焼色をつけることが可能となる。具体的な例としては、アルミニウムで作られた長さが600mm、幅30mmの電気加熱板98を、その表面温度が220℃〜250℃の温度範囲を維持するようにし、無端加熱ベルト104の上部走行部106の長さを800mmとすることにより、所要の焼色を付けることができた。これは前述の特許文献3に開示されているような細長い加熱板上に筒状食材を転動させて同様の焼色を付ける場合、該加熱板は2000mm程度の長さを必要としていたものと較べて、大幅に長さを短縮することができたことが分かる。
【0029】
所要の焼色がつけられた筒状食材Tは、焼色付けヒータの左端から排出され、図示しない串抜き工程に移送される。
【0030】
以上、本発明に係る実施形態につき述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、細長い電気加熱板98は、他のガスなどの加熱手段により加熱される加熱板と置き換えることができる。また、電動シリンダ78は、エアシリンダに置き換えることができる。
【符号の説明】
【0031】
三層筒状食品の製造装置10;成形装置12;熱処理装置14;搬送面20;搬送コンベア22;第1板状食材A;第2板状食材B;第3板状食材C;串26;第1食材供給装置28;ホッパー30;攪拌機32;供給管34;ノズル36;スイベルジョイント38;ノズル開口40;第1開口縁42;第2開口縁44;開口側縁48;突出縁50;ギアポンプ54;第2食材供給装置56;材料収納カートリッジ60;材料供給管34;串供給装置64;側壁70;串供給路72;揺動アーム74;枢軸76;電動シリンダ78;串支持凹部80;串支持部材82;串取り出し部83;ロッド84;チェーンコンベア86;白焼き装置88;焼色付け装置90;螺旋コンベア92;焼色付け用ヒータ94;フレーム96;電気加熱板98;ベルトホイール100,102;無端加熱ベルト104;上部走行部106;スクレーパ110
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状食材が周囲に巻かれた串を、該串の軸線を中心に回転自在に支持しながら、該串の長さ方向に対して直交する方向に搬送する搬送手段と、
薄い金属からなる無端加熱ベルトであって、前記串の搬送方向に延びる走行部分を有する無端加熱ベルトと
を有し、該走行部が前記串の搬送される方向とは逆の方向に走行するようになされており、串の周囲に巻かれた前記筒状食材が、前記走行部上で転動しながら搬送されるようにした、串に巻かれた筒状食材の外周面に焼色を付けるための加熱装置。
【請求項2】
串の搬送方向に延びる細長い加熱板を備え、前記無端加熱ベルトの走行部が該細長い加熱板上を、該加熱板と接触しながら走行するようにし、該加熱板によって加熱されるようになされている請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記搬送手段が、前記加熱板の両側で、該加熱板に沿って延び、前記串の端部を当該串の軸線の周りで回転自在に支持しながら搬送する螺旋コンベアを有する請求項1又は2に記載の加熱装置。
【請求項1】
筒状食材が周囲に巻かれた串を、該串の軸線を中心に回転自在に支持しながら、該串の長さ方向に対して直交する方向に搬送する搬送手段と、
薄い金属からなる無端加熱ベルトであって、前記串の搬送方向に延びる走行部分を有する無端加熱ベルトと
を有し、該走行部が前記串の搬送される方向とは逆の方向に走行するようになされており、串の周囲に巻かれた前記筒状食材が、前記走行部上で転動しながら搬送されるようにした、串に巻かれた筒状食材の外周面に焼色を付けるための加熱装置。
【請求項2】
串の搬送方向に延びる細長い加熱板を備え、前記無端加熱ベルトの走行部が該細長い加熱板上を、該加熱板と接触しながら走行するようにし、該加熱板によって加熱されるようになされている請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記搬送手段が、前記加熱板の両側で、該加熱板に沿って延び、前記串の端部を当該串の軸線の周りで回転自在に支持しながら搬送する螺旋コンベアを有する請求項1又は2に記載の加熱装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−147709(P2012−147709A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7838(P2011−7838)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000141509)株式会社紀文食品 (39)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000141509)株式会社紀文食品 (39)
【Fターム(参考)】
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