管の設置方法及び管
【課題】設置済管の横に沿うように管を進行させる際に、凹凸係合部を備えずとも管の進行方向を一定にできる管の設置方法などを提供する。また、凹凸係合部を備えた場合でも管の進行の際に凹凸係合部に一定方向の力が加わるようにできて、凹凸係合部の製造コストを安価にできる管の設置方法などを提供する。
【解決手段】既に地中に設置されている設置済管50の外面に沿って設置済管50の延長方向に管1を進行させることで設置済管50に並ぶように管1を地中に設置する管の設置方法において、管1として、管1の一端開口縁面20の全部又は一部が管1の一端1aから管の他端1b方向に向けて傾斜する傾斜面26に形成されたものを用い、管1の傾斜面26の傾斜始端側を設置済管50の外面側に位置させて管1を設置済管50の外面に沿って設置済管50の延長方向に進行させて地中に設置する。
【解決手段】既に地中に設置されている設置済管50の外面に沿って設置済管50の延長方向に管1を進行させることで設置済管50に並ぶように管1を地中に設置する管の設置方法において、管1として、管1の一端開口縁面20の全部又は一部が管1の一端1aから管の他端1b方向に向けて傾斜する傾斜面26に形成されたものを用い、管1の傾斜面26の傾斜始端側を設置済管50の外面側に位置させて管1を設置済管50の外面に沿って設置済管50の延長方向に進行させて地中に設置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既に地中に設置されている設置済管に並ぶように管を地中に設置する方法及び当該方法に用いる管に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に鋼管のような管を並べて設置して支保工を構築する方法が知られている(例えば、特許文献1乃至4等参照)。
図15に示すように、地中10に構築される支保工11としては、地中10に形成された一方のトンネル空洞部100と他方のトンネル空洞部100との間に跨るように複数の曲管2を連続させて構築されるもの(図15(a)参照)や、地中10に形成された空洞部100から出発して当該空洞部100に戻るように複数の曲管2を連続させて構築されるもの(図15(b)参照)などがある。
図16;図17に示すように、先頭に位置される曲管2である先頭管6と先頭管6の後に続くように設けられる後続の複数の曲管2である後続管7とにより形成される連続する曲管67によって構築される支保工11は、互いに隣り合うように設けられる。即ち、支保工11は、先頭管6を矢印F方向に進行させることと、先頭管6の後に後続管7を順次繋いで行くことを繰り返すことにより、地中10に構築される。
また、図18;図19に示すように、真っ直ぐに延長する管2A(中心軸が直線である管)を用いて、一方のトンネル空洞部100と他方のトンネル空洞部100との間に跨るように複数の管2Aを連続させて設置して支保工を構築する場合(図18参照)や、トンネルを掘る部分においてトンネルの延長方向に延長するように管2Aを設置して支保工を構築する場合もある(図19参照)。
ところで、既に地中に設置された複数の管(曲管2又は管2A)又は1本の管からなる設置済管により形成された支保工の横に沿うように次の支保工を形成するための管を設置する場合、管が土圧を受けて管の進行方向が定まらないことがあり、管が設置済管から離れて地中10を進行する場合がある。
そこで、既に地中に設置されている設置済管により形成された支保工の横に沿うように次の支保工を形成するための管を設置する場合、設置済管となる管に凹係合部(又は凸係合部)を設け、設置済管の横に沿うように設置する管に凸係合部(又は凹係合部)を設け、設置済管となる管と設置済管の横に沿うように設置する管とを凹凸係合させることで、管が設置済管から離れて地中10を進行するのを防止するようにしている(例えば、特許文献3乃至5等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4057439号公報
【特許文献2】特開2008−50809号公報
【特許文献3】特開2002−47879号公報
【特許文献4】特開2005−248658号公報
【特許文献5】特開平11−173066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の場合、管として一対の凹凸係合部を備えた特殊な管を用いなくてはならず、管のコストが高くなって不経済である。また、一対の凹凸係合部を備えた管を用いる場合、設置済管の横に沿うように管を進行させる際に、設置済管と当該管との凹凸係合部に様々な方向からの力が加わりやすいので、凹凸係合部が離反しないように凹凸係合部を頑丈に形成しなくてはならず、凹凸係合部の製造コストも高くなって不経済であるといった問題点もあった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、設置済管の横に沿うように管を進行させる際に、凹凸係合部を備えずとも管の進行方向を一定にできる管の設置方法などを提供する。また、凹凸係合部を備えた場合でも管の進行の際に凹凸係合部に一定方向の力が加わるようにできて、凹凸係合部の製造コストを安価にできる管の設置方法などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る管の設置方法は、既に地中に設置されている設置済管の外面に沿って設置済管の延長方向に管を進行させることで設置済管に並ぶように管を地中に設置する管の設置方法において、管として、管の一端開口縁面の全部又は一部が管の一端から管の他端方向に向けて傾斜する傾斜面に形成されたものを用い、管の傾斜面の傾斜始端側を設置済管の外面側に位置させて管を設置済管の外面に沿って設置済管の延長方向に進行させて地中に設置するので、設置済管の横に沿うように管を進行させる際に傾斜面が土圧を受けることで、設置済管と管とに凹凸係合部を備えずとも管の進行方向を一定にでき、管が設置済管から離れて地中を進行するのを防止できる。また、設置済管と管とに凹凸係合部を備えた場合でも管の進行の際に凹凸係合部に一定方向の力が加わるようにでき、凹凸係合部の製造コストを安価にできる。
本発明に係る管の設置方法は、既に地中に設置されている設置済管の外面に沿って設置済管の延長方向に管を進行させることで設置済管に並ぶように管を地中に設置する管の設置方法において、設置済管及び管として横断面矩形状に形成されたものを用い、管は管の一端開口縁面の全部が管の一端から管の他端方向に向けて傾斜する傾斜面に形成されたものを用い、傾斜面は管の一方の外面の一端から管の他端方向に向けて傾斜して管の一方の外面と平行に対向する他方の外面に到達する傾斜面に形成されたものを用い、管の傾斜面の傾斜始端側である管の一方の外面側を設置済管の外面側に位置させて管を設置済管の外面に沿って設置済管の延長方向に進行させて地中に設置するので、横断面矩形状の設置済管の横に沿うように横断面矩形状の管を進行させる際に傾斜面が土圧を受けることで、設置済管と管とに凹凸係合部を備えずとも管の進行方向を一定にでき、管が設置済管から離れて地中を進行するのを防止できる。また、設置済管と管とに凹凸係合部を備えた場合でも管の進行の際に凹凸係合部に一定方向の力が加わるようにでき、凹凸係合部の製造コストを安価にできる。
上記設置済管及び管として、曲がって延長する曲管を用いたので、曲がって延長する支保工を構築することができ、この際、上述した効果が得られる。
上記管の設置方法に用いる管は、管の一端開口縁面の全部又は一部が管の一端から管の他端方向に向けて傾斜する傾斜面に形成されたので、上記方法を実現可能な管を提供できる。
上記管の設置方法に用いる管は、横断面矩形状に形成され、管の一方の外面の一端から管の他端方向に向けて傾斜して管の一方の外面と平行に対向する他方の外面に到達する傾斜面を備えたので、上記方法を実現可能な断面矩形状の管を提供できる。
管として、外面にプレートを備えたものを用い、管の進行に伴ってプレートを設置済管の外面上で摺動させて、プレートが管の外面と設置済管の外面とを跨ぐように管を設置するので、管を進行させる際にプレートがガイドとなって管の位置決めが容易となるとともに、プレートが設置済管の外面に突き当たることで、管がプレートの板面と直交する方向のうちの一方向にずれるのを防止できる。
管として、外面に互いに対向する一対のプレートを備えたものを用い、管の進行に伴ってプレートを設置済管の外面上で摺動させて、プレートが管の外面と設置済管の外面とを跨ぐとともに一対のプレートで設置済管を挟み込むように管を設置するので、管を進行させる際にプレートがガイドとなって管の位置決めが容易となるとともに、管がプレートの板面と直交する方向にずれるのを防止できる。
管は、管の一端開口縁面の全部又は一部が管の一端から管の他端方向に向けて傾斜する傾斜面と、管の外面に固定されて管の外面から突出するプレートとを備えたので、管を進行させる際にプレートがガイドとなって管の位置決めが容易となるとともに、プレートが設置済管の外面に突き当たることで、管がプレートの板面と直交する方向のうちの一方向にずれるのを防止できる管を提供できる。
管は、横断面矩形状に形成され、管の一方の外面の一端から管の他端方向に向けて傾斜して管の一方の外面と平行に対向する他方の外面に到達する傾斜面と、管の一方の外面と直交する外面に固定されて当該外面における一方の外面側の縁から外方にはみ出して一方の外面と直交するとともに互いに平行に対向する一対のプレートと備えたので、管を進行させる際にプレートがガイドとなって管の位置決めが容易となるとともに、管がプレートの板面と直交する方向にずれるのを防止できる横断面矩形状の管を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】管及び設置済管を示す斜視図(実施形態1)。
【図2】管の正面、平面、背面を示す図(実施形態1)。
【図3】管の傾斜面の作用を説明する図(実施形態1)。
【図4】支保工の構築手順を示す図(実施形態1)。
【図5】管及び設置済管を示す斜視図(実施形態2)。
【図6】プレート付きの管及び設置済管を示す斜視図(実施形態3)。
【図7】管及び設置済管を横から見た図(実施形態3)。
【図8】管及び設置済管を横から見た図(実施形態4)。
【図9】プレート付きの管を示す斜視図(実施形態3)。
【図10】プレート付きの管を示す斜視図(実施形態4)。
【図11】管を示す側面図、及び、斜視図(実施形態5)。
【図12】管を示す側面図、及び、斜視図(実施形態6)。
【図13】管を示す斜視図(実施形態7)。
【図14】プレート付き管を示す斜視図(実施形態8)。
【図15】支保工の例を示す断面図(従来)。
【図16】曲管の形状、設置形態を示す斜視図(従来)。
【図17】曲管により構築された支保工の断面図(従来)。
【図18】支保工の例を示す断面図(従来)。
【図19】支保工の例を示す斜視図(従来)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
図1に示すように、実施形態1の管1は、管1の一端1aから地中10に入れて地中10を進行させて管1を地中10に設置する場合において、既に地中10に設置されている設置済管50の外面に沿って一定方向に進行させやすいように形成されたものである。
管1及び設置済管50は、例えば、真っ直ぐに延長する管(中心軸が直線である管)であり、互いに対向する一方の一対の外側面のうちの一方の外側面(以下、第1面21という)と他方の外側面(以下、第2面22という)、及び、互いに対向する他方の一対の外側面のうちの一方の外側面(以下、第3面23という)と他方の外側面(以下、第4面24という)を有した両端開口の横断面矩形状の例えば鋼管により形成される。
管1及び設置済管50は、内側面25と外側面(例えば第3面23及び第4面24)とに貫通する図外の複数の貫通孔を備え、これ等貫通孔が注入孔として機能する。
【0008】
図1;図2に示すように、管1は、一端開口縁面20の全部が、一端1aから他端1bの方向に向けて傾斜する傾斜面26に形成される。この傾斜面26は、第1面21の一端1aから管1の他端1bの方向に向けて傾斜して、管1の第1面21と平行に対向する管1の第2面22に到達する傾斜面である。即ち、管1の一端に位置する矩形環状の一端開口縁面20を形成する傾斜面26が、第1面21の一端開口縁面と、第2面22の一端開口縁面と、第3面23の一端開口縁面と、第4面24の一端開口縁面とで形成される。
傾斜面26は、同一方向に傾斜する傾斜面により形成されるので、設置済管50の第2面22と隣り合わされる管1の第1面21の一端縁21tは、先鋭に形成される。管1を一端1a側から地中10に入れる場合に、管1の第1面21の一端縁21tは管1の第2面22の一端に位置する一端縁22tよりも管1の進行方向側に位置する。
管1は、例えば、鋼管の中心軸と直交する面に形成された鋼管の一端開口縁面が斜めに除去されることで一端開口縁面20が上記傾斜面26に形成された構成の管である。
即ち、管1は、管1を地中10に入れる場合に先頭側となる一端部に進行方向ガイド部を備え、当該進行方向ガイド部が上記傾斜面26により構成される。
【0009】
上記管1を図外の掘進装置を用いて一端1a側から地中10に進行させると、図3に示すように、傾斜面26が地中10の土圧を受けることで楔のように作用して、想像線(一点鎖線)で示すように管1が傾斜面26の傾斜に沿って地中10を進行するようになる。
【0010】
設置済管50は、図4に示すように例えば先頭管51と先頭管51に繋げられる複数の後続管52とにより形成される。この場合、先頭管51としては、管の両端開口縁面が管の中心軸に対して直交する面に形成された管、あるいは、上述管1と同様に一端部に進行方向ガイド部としての傾斜面26を有した管を用い、後続管52としては、管の両端開口縁面が管の中心軸に対して直交する面に形成された管を用いる。
【0011】
管1の設置方法を説明する。図4(a)に示すように既に地中10に設置された先頭管51と複数の後続管52とからなる設置済管50による支保工が形成されており、当該設置済管50の外側面としての第2面22に沿って設置済管50の延長方向に管1を進行させることで設置済管50に並ぶように管1を地中10に設置する場合、図4(b)に示すように管1の傾斜面26の傾斜始端側である管1の第1面21を設置済管50の例えば第2面22と接触するように位置させてから管1を地中10へ進行させると、上述した楔の作用により、管1の傾斜面26が地中10の土圧を受け、これにより、管1の第1面21が設置済管50の第2面22を押圧しながら第2面22と接触した状態で管1が地中10を進行する。そして、管1を地中10に設置し、管1の他端(後端)1bが地中10に入る前に図外の接続手段を用いて当該管1の他端1bに後続管53の一端(前端)53aを繋いで管1を図外の掘進装置で進行させることにより、設置済管50の第2面22と管1及び後続管53の第1面21とを接触させた状態に管1及び後続管53を地中10に設置できる。その後、後続管53の後端(他端)53bに図外の接続手段を用いて更に後続させる後続管53を繋いで管1を掘進装置で進行させることで、設置済管50の第2面22と管1及び複数の後続管53の第1面21とを接触させた状態に管1及び複数の後続管53を設置できる(図4(c)参照)。管1の後に繋げる後続管53の数は1以上であり、例えば、最後尾となる後続管53に更なる後続管53を順次繋いで管1を掘進装置で進行させることで、設置済管50の第2面22と管1及び複数の後続管53の第1面21とを接触させた状態に管1及び複数の後続管53を地中10に設置でき、これら管1及び複数の後続管53とからなる支保工を形成できる。尚、掘進装置としては、例えば、特許文献1;2などに開示された掘進装置を用いればよい。
管1及び予定した数の後続管53を地中10に設置することにより支保工を形成した後は、上述した注入孔を介して管1や後続管53の内側より地中10に地盤改良材を注入して地中10に設置された管1及び複数の後続管53の周りの地盤を改良する。
【0012】
尚、管1及び複数の後続管53とで形成された支保工を設置済管として利用し、当該管1及び複数の後続管53とで形成された支保工の横に管1及び複数の後続管53とからなる新たな支保工を形成できる。つまり、管1及び複数の後続管53とで形成された支保工を設置済管として利用することで、管1及び複数の後続管53とからなる支保工を複数並ぶように形成でき、図18;図19に示すような、支保工を構築できる。
【0013】
実施形態1によれば、設置済管50の延長方向に管を進行させることで設置済管50に並ぶように管1を地中に設置する場合、管1として、管1の一端開口縁面20の全部が管1の一端1aから管1の他端1b方向に向けて傾斜する傾斜面26に形成され、傾斜面26は管1の第1面21(一方の外側面)の一端から管1の他端1b方向に向けて傾斜して管1の第1面21と平行に対向する第2面22(他方の外側面)に到達する傾斜面に形成されたものを用い、管1の傾斜面26の傾斜始端側である管1の第1面21側を設置済管50の第2面22側に位置させて管1を設置済管50の第2面22に沿って設置済管50の延長方向に進行させて地中10に設置したので、設置済管50と管1とに互いに係合する一対の凹凸係合部を設けなくとも、管1の一端に設けた傾斜面26の作用により、管1を設置済管50の延長方向に沿って地中10に進行させる場合の進行方向を一定にできるので、管1が設置済管50から離れて地中10を進行するのを防止でき、設置済管50の第2面22に管1の第1面21が接触するように管1を地中10に設置できる。
従って、設置済管50に沿って管1及び管1の後に繋げる後続管53を地中10に設置できて、互いに隣り合う設置済管50による支保工と管1及び後続管53による支保工とが互いに密接に接触するように形成できる。さらに、管1及び後続管53による支保工を設置済管として利用し、当該支保工と密接に接触するように管1及び後続管による新たな支保工を順次形成していける。つまり、隣り合うもの同士で互いに密接に接触するように複数の支保工を構築できるで、これら複数の支保工の周りの地盤を適切に地盤改良できるとともに、複数の支保工で囲まれた領域内に領域外からの地下水が入りこむのを遮断しやすくなり、周辺地盤の沈下などを防止できる。
また、実施形態1によれば、従来の係合凹凸部を備えた管を用いる場合に比べて、管1、後続管53、設置済管50のコストを低減できる。
【0014】
尚、1本の設置済管50で支保工を形成してもよい。また、1本の管1で支保工を形成してもよい。
【0015】
実施形態2
実施形態1では、管1、後続管53、設置済管50として真っ直ぐに延長する管を用いたが、管1、後続管53、設置済管50として、図5に示すように、円弧を描くように曲がって延長し、延長方向(管の中心軸)と直交する面で管を切断した場合の横断面が矩形状に形成された曲管を用いてもよい。
実施形態2では、地中10に、図15(a),(b)に示したような、曲がって延長する支保工を構築することができるようになり、この場合において、実施形態1と同じ効果が得られる。
【0016】
実施形態3
図6;図7;図9に示すように、実施形態1;2の管1にプレート30を備えた構成の管1Aを用いる。
プレート30は、設置済管50の第2面22と隣り合わされる管1の第1面21と隣り合って第1面21と直交する管1の第3面23に接続される。プレート30は、管1の第3面23における一端1aと他端1bとに渡って延長するように設けられる。即ち、プレート30は、管1の延長方向の全長に渡って延長するように管1の第3面23に溶接などにより接続され、第3面23における第1面21側の縁23eから外方にはみ出して第1面21と直交するように設けられる。プレート30は、例えば、互いに平行に対向する平面により形成された一対の板面33;34と、一端縁面31と、他端縁面32と、管1の第1面21;第2面22の面の曲率に対応した曲率の湾曲した一対の側面35;36とを備えた長尺な平板により形成される。プレート30の一端縁面31は、管1の第3面23の一端(先端)1a側に位置される。プレート30の一端縁面31は、第3面23に接続される側の一方の板面33から他方の板面34に向けて管1の他端1b(後端)方向に立ち上がるように傾斜する傾斜面により形成される。即ち、プレートの一端縁面31は、刃面に形成され、管1Aが進行するのに伴って当該刃面の刃先31tが設置済管50の第3面23にこびり着いた土や、セメントミルクや水ガラス等の地盤改良剤をはつるはつり具として機能する。プレートの他端縁面32は、板面33;34に対して直交する面により形成され、管1の他端縁面20eと同一平面上に位置される。
当該プレート30を備えた構成の管1Aが地中10に設置される際に、プレート30の一方の板面33が設置済管50の第3面23(設置済管50の他方の面22と隣り合う面)上を移動することで、プレート30が管1と設置済管50とを跨ぐように設置済管50の第3面23上に載置されて管1の第1面21と設置済管50の第2面22との間を塞ぐものである。
【0017】
また、図示しないが、管1Aの後に後続管を繋ぐ場合、管1Aのプレート30の他端縁面32と面接触で突き合わされる一端縁面を有したプレートを持つ後続管を用いる。
【0018】
従って、管1Aの第1面21を設置済管50の第2面22と接触させるとともに、プレート30の一端側を設置済管50の第3面23上に載置してから管1Aを進行させることによって、プレート30の一端縁面31の刃先31tが設置済管50の第3面23にこびり着いた土や地盤改良材をはつるとともに、上述した楔の作用で、管1の第1面21が設置済管50の第2面22を押圧しながら第2面22と接触した状態で管1が地中10を進行するので、プレート30が、設置済管50の第3面23上を移動して設置済管50の第3面23上に設置されることで、設置済管50の第2面22と管1Aの第1面21との間を塞ぐとともに、設置済管50の第2面22に管1A及び複数の後続管3の第1面21が接触した支保工を構築できる。この場合、管1Aの進行する際にプレート30の一端縁面31の刃先31tが設置済管50の第3面23にこびり着いた土や地盤改良材をはつるので、管1Aをスムーズに進行させることができる。
【0019】
実施形態3によれば、管1Aがプレート30を備えたので、管1Aを進行させる際にプレート30がガイドとなって管1Aの位置決めが容易となるとともに、プレート30が設置済管50の第3面23に突き当たることで、管1Aがプレート30の板面33;34と直交する方向のうちの一方向にずれるのを防止できる。
また、管1Aが管1の第3面23における一端1aと他端1bとに渡って延長するプレート30を備えたので、管1Aが地中10に設置される際に、プレート30が設置済管50の第3面23上を移動して設置済管50の当該第3面23上に設置され、管1Aの第1面21と設置済管50の第2面22との間を塞ぐので、支保工間の水密性が向上し、支保工で囲まれた領域内に領域外からの地下水が入りこむのを遮断する効果がより向上し、周辺地盤の沈下などを防止できる。
【0020】
実施形態4
図8;図10に示すように、管1の第3面23と第4面24との両方に上記プレート30を備えた管1Bを用いてもよい。即ち、管1の第1面21と直交する第3面23と第4面24とに固定されて当該第3面23や第4面24における第1面21側の縁23eから外方にはみ出して第1面21と直交するとともに互いに平行に対向する一対のプレート30;30を備えた管1Bを用いれば、支保工間の水密性がさらに向上し、支保工で囲まれた領域内に領域外からの地下水が入りこむのを遮断する効果をさらに向上でき、周辺地盤の沈下などを防止できる。また、互いに平行に対向するように設けられた一対のプレートにより、設置済管50の第3面23と第4面24とを挟み込むので、管1Bがプレート30の板面33;34と直交する方向にずれるのを防止できる。
【0021】
尚、図6乃至図8では、管としての曲管にプレート30を備えた管を図示し、図9:図10では、真っ直ぐに延長する管にプレート30を備えた管を図示した。また、図9:図10に示すように、プレート30の一端縁面31を刃面に形成しなくともよい。
また、上記では、プレート30の一端縁面31の刃先31tや一端縁面31が傾斜面26の傾斜方向に傾斜して延長するように設けられた例を示したが、プレート30の一端縁面31の刃先31tや一端縁面31は、傾斜面26の傾斜方向に傾斜して延長するように設けられていなくてもよい。また、上記では、管1の一端1aと他端1bとに渡って延長するようなプレート30を設けたが、管1の一端1aと他端1bとの間においてプレート30を間欠的に設けてもよい。
【0022】
実施形態5
また、実施形態1乃至4において、図11に示すように、管1の一端開口縁面20における第1面21の一端縁21tは先鋭でなくてもよい。また、実施形態1乃至4において、図12に示すように、傾斜面26は、第1面21から第2面22まで延長する傾斜面でなくてもよい。即ち、管1は、管1の第1面21を設置済管50の第2面22と接触するように位置させてから管1を地中10へ進行させた場合に、上述した楔の作用で、管1の第1面21を設置済管50の第2面22と接触しながら進行させる傾斜面26を管1の一端部に備えていればよい。つまり、一端開口縁面20の一部が傾斜面26に形成されていればよい。
【0023】
実施形態6
横断面円形状の管の場合にも本願発明を適用できる。即ち、図13に示すように、横断面円形状の管の一端部に進行ガイド部として傾斜面26を備えた管1を用いてもよい。また、図14に示すように、設置済管50の外周面50fに載置される横断面弧状のプレート30や図外の一対のプレート30;30を備えた横断面円形状の管1Aを用いてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1;1A;1B 管、1a 管の一端、1b 管の他端、10 地中、
20 一端開口縁面、26 傾斜面、30 プレート、50 設置済管。
【技術分野】
【0001】
本発明は、既に地中に設置されている設置済管に並ぶように管を地中に設置する方法及び当該方法に用いる管に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に鋼管のような管を並べて設置して支保工を構築する方法が知られている(例えば、特許文献1乃至4等参照)。
図15に示すように、地中10に構築される支保工11としては、地中10に形成された一方のトンネル空洞部100と他方のトンネル空洞部100との間に跨るように複数の曲管2を連続させて構築されるもの(図15(a)参照)や、地中10に形成された空洞部100から出発して当該空洞部100に戻るように複数の曲管2を連続させて構築されるもの(図15(b)参照)などがある。
図16;図17に示すように、先頭に位置される曲管2である先頭管6と先頭管6の後に続くように設けられる後続の複数の曲管2である後続管7とにより形成される連続する曲管67によって構築される支保工11は、互いに隣り合うように設けられる。即ち、支保工11は、先頭管6を矢印F方向に進行させることと、先頭管6の後に後続管7を順次繋いで行くことを繰り返すことにより、地中10に構築される。
また、図18;図19に示すように、真っ直ぐに延長する管2A(中心軸が直線である管)を用いて、一方のトンネル空洞部100と他方のトンネル空洞部100との間に跨るように複数の管2Aを連続させて設置して支保工を構築する場合(図18参照)や、トンネルを掘る部分においてトンネルの延長方向に延長するように管2Aを設置して支保工を構築する場合もある(図19参照)。
ところで、既に地中に設置された複数の管(曲管2又は管2A)又は1本の管からなる設置済管により形成された支保工の横に沿うように次の支保工を形成するための管を設置する場合、管が土圧を受けて管の進行方向が定まらないことがあり、管が設置済管から離れて地中10を進行する場合がある。
そこで、既に地中に設置されている設置済管により形成された支保工の横に沿うように次の支保工を形成するための管を設置する場合、設置済管となる管に凹係合部(又は凸係合部)を設け、設置済管の横に沿うように設置する管に凸係合部(又は凹係合部)を設け、設置済管となる管と設置済管の横に沿うように設置する管とを凹凸係合させることで、管が設置済管から離れて地中10を進行するのを防止するようにしている(例えば、特許文献3乃至5等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4057439号公報
【特許文献2】特開2008−50809号公報
【特許文献3】特開2002−47879号公報
【特許文献4】特開2005−248658号公報
【特許文献5】特開平11−173066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の場合、管として一対の凹凸係合部を備えた特殊な管を用いなくてはならず、管のコストが高くなって不経済である。また、一対の凹凸係合部を備えた管を用いる場合、設置済管の横に沿うように管を進行させる際に、設置済管と当該管との凹凸係合部に様々な方向からの力が加わりやすいので、凹凸係合部が離反しないように凹凸係合部を頑丈に形成しなくてはならず、凹凸係合部の製造コストも高くなって不経済であるといった問題点もあった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、設置済管の横に沿うように管を進行させる際に、凹凸係合部を備えずとも管の進行方向を一定にできる管の設置方法などを提供する。また、凹凸係合部を備えた場合でも管の進行の際に凹凸係合部に一定方向の力が加わるようにできて、凹凸係合部の製造コストを安価にできる管の設置方法などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る管の設置方法は、既に地中に設置されている設置済管の外面に沿って設置済管の延長方向に管を進行させることで設置済管に並ぶように管を地中に設置する管の設置方法において、管として、管の一端開口縁面の全部又は一部が管の一端から管の他端方向に向けて傾斜する傾斜面に形成されたものを用い、管の傾斜面の傾斜始端側を設置済管の外面側に位置させて管を設置済管の外面に沿って設置済管の延長方向に進行させて地中に設置するので、設置済管の横に沿うように管を進行させる際に傾斜面が土圧を受けることで、設置済管と管とに凹凸係合部を備えずとも管の進行方向を一定にでき、管が設置済管から離れて地中を進行するのを防止できる。また、設置済管と管とに凹凸係合部を備えた場合でも管の進行の際に凹凸係合部に一定方向の力が加わるようにでき、凹凸係合部の製造コストを安価にできる。
本発明に係る管の設置方法は、既に地中に設置されている設置済管の外面に沿って設置済管の延長方向に管を進行させることで設置済管に並ぶように管を地中に設置する管の設置方法において、設置済管及び管として横断面矩形状に形成されたものを用い、管は管の一端開口縁面の全部が管の一端から管の他端方向に向けて傾斜する傾斜面に形成されたものを用い、傾斜面は管の一方の外面の一端から管の他端方向に向けて傾斜して管の一方の外面と平行に対向する他方の外面に到達する傾斜面に形成されたものを用い、管の傾斜面の傾斜始端側である管の一方の外面側を設置済管の外面側に位置させて管を設置済管の外面に沿って設置済管の延長方向に進行させて地中に設置するので、横断面矩形状の設置済管の横に沿うように横断面矩形状の管を進行させる際に傾斜面が土圧を受けることで、設置済管と管とに凹凸係合部を備えずとも管の進行方向を一定にでき、管が設置済管から離れて地中を進行するのを防止できる。また、設置済管と管とに凹凸係合部を備えた場合でも管の進行の際に凹凸係合部に一定方向の力が加わるようにでき、凹凸係合部の製造コストを安価にできる。
上記設置済管及び管として、曲がって延長する曲管を用いたので、曲がって延長する支保工を構築することができ、この際、上述した効果が得られる。
上記管の設置方法に用いる管は、管の一端開口縁面の全部又は一部が管の一端から管の他端方向に向けて傾斜する傾斜面に形成されたので、上記方法を実現可能な管を提供できる。
上記管の設置方法に用いる管は、横断面矩形状に形成され、管の一方の外面の一端から管の他端方向に向けて傾斜して管の一方の外面と平行に対向する他方の外面に到達する傾斜面を備えたので、上記方法を実現可能な断面矩形状の管を提供できる。
管として、外面にプレートを備えたものを用い、管の進行に伴ってプレートを設置済管の外面上で摺動させて、プレートが管の外面と設置済管の外面とを跨ぐように管を設置するので、管を進行させる際にプレートがガイドとなって管の位置決めが容易となるとともに、プレートが設置済管の外面に突き当たることで、管がプレートの板面と直交する方向のうちの一方向にずれるのを防止できる。
管として、外面に互いに対向する一対のプレートを備えたものを用い、管の進行に伴ってプレートを設置済管の外面上で摺動させて、プレートが管の外面と設置済管の外面とを跨ぐとともに一対のプレートで設置済管を挟み込むように管を設置するので、管を進行させる際にプレートがガイドとなって管の位置決めが容易となるとともに、管がプレートの板面と直交する方向にずれるのを防止できる。
管は、管の一端開口縁面の全部又は一部が管の一端から管の他端方向に向けて傾斜する傾斜面と、管の外面に固定されて管の外面から突出するプレートとを備えたので、管を進行させる際にプレートがガイドとなって管の位置決めが容易となるとともに、プレートが設置済管の外面に突き当たることで、管がプレートの板面と直交する方向のうちの一方向にずれるのを防止できる管を提供できる。
管は、横断面矩形状に形成され、管の一方の外面の一端から管の他端方向に向けて傾斜して管の一方の外面と平行に対向する他方の外面に到達する傾斜面と、管の一方の外面と直交する外面に固定されて当該外面における一方の外面側の縁から外方にはみ出して一方の外面と直交するとともに互いに平行に対向する一対のプレートと備えたので、管を進行させる際にプレートがガイドとなって管の位置決めが容易となるとともに、管がプレートの板面と直交する方向にずれるのを防止できる横断面矩形状の管を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】管及び設置済管を示す斜視図(実施形態1)。
【図2】管の正面、平面、背面を示す図(実施形態1)。
【図3】管の傾斜面の作用を説明する図(実施形態1)。
【図4】支保工の構築手順を示す図(実施形態1)。
【図5】管及び設置済管を示す斜視図(実施形態2)。
【図6】プレート付きの管及び設置済管を示す斜視図(実施形態3)。
【図7】管及び設置済管を横から見た図(実施形態3)。
【図8】管及び設置済管を横から見た図(実施形態4)。
【図9】プレート付きの管を示す斜視図(実施形態3)。
【図10】プレート付きの管を示す斜視図(実施形態4)。
【図11】管を示す側面図、及び、斜視図(実施形態5)。
【図12】管を示す側面図、及び、斜視図(実施形態6)。
【図13】管を示す斜視図(実施形態7)。
【図14】プレート付き管を示す斜視図(実施形態8)。
【図15】支保工の例を示す断面図(従来)。
【図16】曲管の形状、設置形態を示す斜視図(従来)。
【図17】曲管により構築された支保工の断面図(従来)。
【図18】支保工の例を示す断面図(従来)。
【図19】支保工の例を示す斜視図(従来)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
図1に示すように、実施形態1の管1は、管1の一端1aから地中10に入れて地中10を進行させて管1を地中10に設置する場合において、既に地中10に設置されている設置済管50の外面に沿って一定方向に進行させやすいように形成されたものである。
管1及び設置済管50は、例えば、真っ直ぐに延長する管(中心軸が直線である管)であり、互いに対向する一方の一対の外側面のうちの一方の外側面(以下、第1面21という)と他方の外側面(以下、第2面22という)、及び、互いに対向する他方の一対の外側面のうちの一方の外側面(以下、第3面23という)と他方の外側面(以下、第4面24という)を有した両端開口の横断面矩形状の例えば鋼管により形成される。
管1及び設置済管50は、内側面25と外側面(例えば第3面23及び第4面24)とに貫通する図外の複数の貫通孔を備え、これ等貫通孔が注入孔として機能する。
【0008】
図1;図2に示すように、管1は、一端開口縁面20の全部が、一端1aから他端1bの方向に向けて傾斜する傾斜面26に形成される。この傾斜面26は、第1面21の一端1aから管1の他端1bの方向に向けて傾斜して、管1の第1面21と平行に対向する管1の第2面22に到達する傾斜面である。即ち、管1の一端に位置する矩形環状の一端開口縁面20を形成する傾斜面26が、第1面21の一端開口縁面と、第2面22の一端開口縁面と、第3面23の一端開口縁面と、第4面24の一端開口縁面とで形成される。
傾斜面26は、同一方向に傾斜する傾斜面により形成されるので、設置済管50の第2面22と隣り合わされる管1の第1面21の一端縁21tは、先鋭に形成される。管1を一端1a側から地中10に入れる場合に、管1の第1面21の一端縁21tは管1の第2面22の一端に位置する一端縁22tよりも管1の進行方向側に位置する。
管1は、例えば、鋼管の中心軸と直交する面に形成された鋼管の一端開口縁面が斜めに除去されることで一端開口縁面20が上記傾斜面26に形成された構成の管である。
即ち、管1は、管1を地中10に入れる場合に先頭側となる一端部に進行方向ガイド部を備え、当該進行方向ガイド部が上記傾斜面26により構成される。
【0009】
上記管1を図外の掘進装置を用いて一端1a側から地中10に進行させると、図3に示すように、傾斜面26が地中10の土圧を受けることで楔のように作用して、想像線(一点鎖線)で示すように管1が傾斜面26の傾斜に沿って地中10を進行するようになる。
【0010】
設置済管50は、図4に示すように例えば先頭管51と先頭管51に繋げられる複数の後続管52とにより形成される。この場合、先頭管51としては、管の両端開口縁面が管の中心軸に対して直交する面に形成された管、あるいは、上述管1と同様に一端部に進行方向ガイド部としての傾斜面26を有した管を用い、後続管52としては、管の両端開口縁面が管の中心軸に対して直交する面に形成された管を用いる。
【0011】
管1の設置方法を説明する。図4(a)に示すように既に地中10に設置された先頭管51と複数の後続管52とからなる設置済管50による支保工が形成されており、当該設置済管50の外側面としての第2面22に沿って設置済管50の延長方向に管1を進行させることで設置済管50に並ぶように管1を地中10に設置する場合、図4(b)に示すように管1の傾斜面26の傾斜始端側である管1の第1面21を設置済管50の例えば第2面22と接触するように位置させてから管1を地中10へ進行させると、上述した楔の作用により、管1の傾斜面26が地中10の土圧を受け、これにより、管1の第1面21が設置済管50の第2面22を押圧しながら第2面22と接触した状態で管1が地中10を進行する。そして、管1を地中10に設置し、管1の他端(後端)1bが地中10に入る前に図外の接続手段を用いて当該管1の他端1bに後続管53の一端(前端)53aを繋いで管1を図外の掘進装置で進行させることにより、設置済管50の第2面22と管1及び後続管53の第1面21とを接触させた状態に管1及び後続管53を地中10に設置できる。その後、後続管53の後端(他端)53bに図外の接続手段を用いて更に後続させる後続管53を繋いで管1を掘進装置で進行させることで、設置済管50の第2面22と管1及び複数の後続管53の第1面21とを接触させた状態に管1及び複数の後続管53を設置できる(図4(c)参照)。管1の後に繋げる後続管53の数は1以上であり、例えば、最後尾となる後続管53に更なる後続管53を順次繋いで管1を掘進装置で進行させることで、設置済管50の第2面22と管1及び複数の後続管53の第1面21とを接触させた状態に管1及び複数の後続管53を地中10に設置でき、これら管1及び複数の後続管53とからなる支保工を形成できる。尚、掘進装置としては、例えば、特許文献1;2などに開示された掘進装置を用いればよい。
管1及び予定した数の後続管53を地中10に設置することにより支保工を形成した後は、上述した注入孔を介して管1や後続管53の内側より地中10に地盤改良材を注入して地中10に設置された管1及び複数の後続管53の周りの地盤を改良する。
【0012】
尚、管1及び複数の後続管53とで形成された支保工を設置済管として利用し、当該管1及び複数の後続管53とで形成された支保工の横に管1及び複数の後続管53とからなる新たな支保工を形成できる。つまり、管1及び複数の後続管53とで形成された支保工を設置済管として利用することで、管1及び複数の後続管53とからなる支保工を複数並ぶように形成でき、図18;図19に示すような、支保工を構築できる。
【0013】
実施形態1によれば、設置済管50の延長方向に管を進行させることで設置済管50に並ぶように管1を地中に設置する場合、管1として、管1の一端開口縁面20の全部が管1の一端1aから管1の他端1b方向に向けて傾斜する傾斜面26に形成され、傾斜面26は管1の第1面21(一方の外側面)の一端から管1の他端1b方向に向けて傾斜して管1の第1面21と平行に対向する第2面22(他方の外側面)に到達する傾斜面に形成されたものを用い、管1の傾斜面26の傾斜始端側である管1の第1面21側を設置済管50の第2面22側に位置させて管1を設置済管50の第2面22に沿って設置済管50の延長方向に進行させて地中10に設置したので、設置済管50と管1とに互いに係合する一対の凹凸係合部を設けなくとも、管1の一端に設けた傾斜面26の作用により、管1を設置済管50の延長方向に沿って地中10に進行させる場合の進行方向を一定にできるので、管1が設置済管50から離れて地中10を進行するのを防止でき、設置済管50の第2面22に管1の第1面21が接触するように管1を地中10に設置できる。
従って、設置済管50に沿って管1及び管1の後に繋げる後続管53を地中10に設置できて、互いに隣り合う設置済管50による支保工と管1及び後続管53による支保工とが互いに密接に接触するように形成できる。さらに、管1及び後続管53による支保工を設置済管として利用し、当該支保工と密接に接触するように管1及び後続管による新たな支保工を順次形成していける。つまり、隣り合うもの同士で互いに密接に接触するように複数の支保工を構築できるで、これら複数の支保工の周りの地盤を適切に地盤改良できるとともに、複数の支保工で囲まれた領域内に領域外からの地下水が入りこむのを遮断しやすくなり、周辺地盤の沈下などを防止できる。
また、実施形態1によれば、従来の係合凹凸部を備えた管を用いる場合に比べて、管1、後続管53、設置済管50のコストを低減できる。
【0014】
尚、1本の設置済管50で支保工を形成してもよい。また、1本の管1で支保工を形成してもよい。
【0015】
実施形態2
実施形態1では、管1、後続管53、設置済管50として真っ直ぐに延長する管を用いたが、管1、後続管53、設置済管50として、図5に示すように、円弧を描くように曲がって延長し、延長方向(管の中心軸)と直交する面で管を切断した場合の横断面が矩形状に形成された曲管を用いてもよい。
実施形態2では、地中10に、図15(a),(b)に示したような、曲がって延長する支保工を構築することができるようになり、この場合において、実施形態1と同じ効果が得られる。
【0016】
実施形態3
図6;図7;図9に示すように、実施形態1;2の管1にプレート30を備えた構成の管1Aを用いる。
プレート30は、設置済管50の第2面22と隣り合わされる管1の第1面21と隣り合って第1面21と直交する管1の第3面23に接続される。プレート30は、管1の第3面23における一端1aと他端1bとに渡って延長するように設けられる。即ち、プレート30は、管1の延長方向の全長に渡って延長するように管1の第3面23に溶接などにより接続され、第3面23における第1面21側の縁23eから外方にはみ出して第1面21と直交するように設けられる。プレート30は、例えば、互いに平行に対向する平面により形成された一対の板面33;34と、一端縁面31と、他端縁面32と、管1の第1面21;第2面22の面の曲率に対応した曲率の湾曲した一対の側面35;36とを備えた長尺な平板により形成される。プレート30の一端縁面31は、管1の第3面23の一端(先端)1a側に位置される。プレート30の一端縁面31は、第3面23に接続される側の一方の板面33から他方の板面34に向けて管1の他端1b(後端)方向に立ち上がるように傾斜する傾斜面により形成される。即ち、プレートの一端縁面31は、刃面に形成され、管1Aが進行するのに伴って当該刃面の刃先31tが設置済管50の第3面23にこびり着いた土や、セメントミルクや水ガラス等の地盤改良剤をはつるはつり具として機能する。プレートの他端縁面32は、板面33;34に対して直交する面により形成され、管1の他端縁面20eと同一平面上に位置される。
当該プレート30を備えた構成の管1Aが地中10に設置される際に、プレート30の一方の板面33が設置済管50の第3面23(設置済管50の他方の面22と隣り合う面)上を移動することで、プレート30が管1と設置済管50とを跨ぐように設置済管50の第3面23上に載置されて管1の第1面21と設置済管50の第2面22との間を塞ぐものである。
【0017】
また、図示しないが、管1Aの後に後続管を繋ぐ場合、管1Aのプレート30の他端縁面32と面接触で突き合わされる一端縁面を有したプレートを持つ後続管を用いる。
【0018】
従って、管1Aの第1面21を設置済管50の第2面22と接触させるとともに、プレート30の一端側を設置済管50の第3面23上に載置してから管1Aを進行させることによって、プレート30の一端縁面31の刃先31tが設置済管50の第3面23にこびり着いた土や地盤改良材をはつるとともに、上述した楔の作用で、管1の第1面21が設置済管50の第2面22を押圧しながら第2面22と接触した状態で管1が地中10を進行するので、プレート30が、設置済管50の第3面23上を移動して設置済管50の第3面23上に設置されることで、設置済管50の第2面22と管1Aの第1面21との間を塞ぐとともに、設置済管50の第2面22に管1A及び複数の後続管3の第1面21が接触した支保工を構築できる。この場合、管1Aの進行する際にプレート30の一端縁面31の刃先31tが設置済管50の第3面23にこびり着いた土や地盤改良材をはつるので、管1Aをスムーズに進行させることができる。
【0019】
実施形態3によれば、管1Aがプレート30を備えたので、管1Aを進行させる際にプレート30がガイドとなって管1Aの位置決めが容易となるとともに、プレート30が設置済管50の第3面23に突き当たることで、管1Aがプレート30の板面33;34と直交する方向のうちの一方向にずれるのを防止できる。
また、管1Aが管1の第3面23における一端1aと他端1bとに渡って延長するプレート30を備えたので、管1Aが地中10に設置される際に、プレート30が設置済管50の第3面23上を移動して設置済管50の当該第3面23上に設置され、管1Aの第1面21と設置済管50の第2面22との間を塞ぐので、支保工間の水密性が向上し、支保工で囲まれた領域内に領域外からの地下水が入りこむのを遮断する効果がより向上し、周辺地盤の沈下などを防止できる。
【0020】
実施形態4
図8;図10に示すように、管1の第3面23と第4面24との両方に上記プレート30を備えた管1Bを用いてもよい。即ち、管1の第1面21と直交する第3面23と第4面24とに固定されて当該第3面23や第4面24における第1面21側の縁23eから外方にはみ出して第1面21と直交するとともに互いに平行に対向する一対のプレート30;30を備えた管1Bを用いれば、支保工間の水密性がさらに向上し、支保工で囲まれた領域内に領域外からの地下水が入りこむのを遮断する効果をさらに向上でき、周辺地盤の沈下などを防止できる。また、互いに平行に対向するように設けられた一対のプレートにより、設置済管50の第3面23と第4面24とを挟み込むので、管1Bがプレート30の板面33;34と直交する方向にずれるのを防止できる。
【0021】
尚、図6乃至図8では、管としての曲管にプレート30を備えた管を図示し、図9:図10では、真っ直ぐに延長する管にプレート30を備えた管を図示した。また、図9:図10に示すように、プレート30の一端縁面31を刃面に形成しなくともよい。
また、上記では、プレート30の一端縁面31の刃先31tや一端縁面31が傾斜面26の傾斜方向に傾斜して延長するように設けられた例を示したが、プレート30の一端縁面31の刃先31tや一端縁面31は、傾斜面26の傾斜方向に傾斜して延長するように設けられていなくてもよい。また、上記では、管1の一端1aと他端1bとに渡って延長するようなプレート30を設けたが、管1の一端1aと他端1bとの間においてプレート30を間欠的に設けてもよい。
【0022】
実施形態5
また、実施形態1乃至4において、図11に示すように、管1の一端開口縁面20における第1面21の一端縁21tは先鋭でなくてもよい。また、実施形態1乃至4において、図12に示すように、傾斜面26は、第1面21から第2面22まで延長する傾斜面でなくてもよい。即ち、管1は、管1の第1面21を設置済管50の第2面22と接触するように位置させてから管1を地中10へ進行させた場合に、上述した楔の作用で、管1の第1面21を設置済管50の第2面22と接触しながら進行させる傾斜面26を管1の一端部に備えていればよい。つまり、一端開口縁面20の一部が傾斜面26に形成されていればよい。
【0023】
実施形態6
横断面円形状の管の場合にも本願発明を適用できる。即ち、図13に示すように、横断面円形状の管の一端部に進行ガイド部として傾斜面26を備えた管1を用いてもよい。また、図14に示すように、設置済管50の外周面50fに載置される横断面弧状のプレート30や図外の一対のプレート30;30を備えた横断面円形状の管1Aを用いてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1;1A;1B 管、1a 管の一端、1b 管の他端、10 地中、
20 一端開口縁面、26 傾斜面、30 プレート、50 設置済管。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既に地中に設置されている設置済管の外面に沿って設置済管の延長方向に管を進行させることで設置済管に並ぶように管を地中に設置する管の設置方法において、
管として、管の一端開口縁面の全部又は一部が管の一端から管の他端方向に向けて傾斜する傾斜面に形成されたものを用い、管の傾斜面の傾斜始端側を設置済管の外面側に位置させて管を設置済管の外面に沿って設置済管の延長方向に進行させて地中に設置することを特徴とする管の設置方法。
【請求項2】
既に地中に設置されている設置済管の外面に沿って設置済管の延長方向に管を進行させることで設置済管に並ぶように管を地中に設置する管の設置方法において、
設置済管及び管として横断面矩形状に形成されたものを用い、管は管の一端開口縁面の全部が管の一端から管の他端方向に向けて傾斜する傾斜面に形成されたものを用い、傾斜面は管の一方の外面の一端から管の他端方向に向けて傾斜して管の一方の外面と平行に対向する他方の外面に到達する傾斜面に形成されたものを用い、管の傾斜面の傾斜始端側である管の一方の外面側を設置済管の外面側に位置させて管を設置済管の外面に沿って設置済管の延長方向に進行させて地中に設置することを特徴とする管の設置方法。
【請求項3】
設置済管及び管として、曲がって延長する曲管を用いたことを特徴とする請求項1に記載の管の設置方法。
【請求項4】
請求項1に記載の管の設置方法に用いる管であって、管の一端開口縁面の全部又は一部が管の一端から管の他端方向に向けて傾斜する傾斜面に形成されたことを特徴とする管。
【請求項5】
請求項2に記載の管の設置方法に用いる管であって、横断面矩形状に形成され、管の一方の外面の一端から管の他端方向に向けて傾斜して管の一方の外面と平行に対向する他方の外面に到達する傾斜面を備えたことを特徴とする管。
【請求項6】
管として、外面にプレートを備えたものを用い、管の進行に伴ってプレートを設置済管の外面上で摺動させて、プレートが管の外面と設置済管の外面とを跨ぐように管を設置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の管の設置方法。
【請求項7】
管として、外面に互いに対向する一対のプレートを備えたものを用い、管の進行に伴ってプレートを設置済管の外面上で摺動させて、プレートが管の外面と設置済管の外面とを跨ぐとともに一対のプレートで設置済管を挟み込むように管を設置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の管の設置方法。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の管の設置方法に用いる管であって、管の一端開口縁面の全部又は一部が管の一端から管の他端方向に向けて傾斜する傾斜面と、管の外面に固定されて管の外面から突出するプレートとを備えたことを特徴とする管。
【請求項9】
請求項6又は請求項7に記載の管の設置方法に用いる管であって、横断面矩形状に形成され、管の一方の外面の一端から管の他端方向に向けて傾斜して管の一方の外面と平行に対向する他方の外面に到達する傾斜面と、管の一方の外面と直交する外面に固定されて当該外面における一方の外面側の縁から外方にはみ出して一方の外面と直交するとともに互いに平行に対向する一対のプレートと備えたことを特徴とする管。
【請求項1】
既に地中に設置されている設置済管の外面に沿って設置済管の延長方向に管を進行させることで設置済管に並ぶように管を地中に設置する管の設置方法において、
管として、管の一端開口縁面の全部又は一部が管の一端から管の他端方向に向けて傾斜する傾斜面に形成されたものを用い、管の傾斜面の傾斜始端側を設置済管の外面側に位置させて管を設置済管の外面に沿って設置済管の延長方向に進行させて地中に設置することを特徴とする管の設置方法。
【請求項2】
既に地中に設置されている設置済管の外面に沿って設置済管の延長方向に管を進行させることで設置済管に並ぶように管を地中に設置する管の設置方法において、
設置済管及び管として横断面矩形状に形成されたものを用い、管は管の一端開口縁面の全部が管の一端から管の他端方向に向けて傾斜する傾斜面に形成されたものを用い、傾斜面は管の一方の外面の一端から管の他端方向に向けて傾斜して管の一方の外面と平行に対向する他方の外面に到達する傾斜面に形成されたものを用い、管の傾斜面の傾斜始端側である管の一方の外面側を設置済管の外面側に位置させて管を設置済管の外面に沿って設置済管の延長方向に進行させて地中に設置することを特徴とする管の設置方法。
【請求項3】
設置済管及び管として、曲がって延長する曲管を用いたことを特徴とする請求項1に記載の管の設置方法。
【請求項4】
請求項1に記載の管の設置方法に用いる管であって、管の一端開口縁面の全部又は一部が管の一端から管の他端方向に向けて傾斜する傾斜面に形成されたことを特徴とする管。
【請求項5】
請求項2に記載の管の設置方法に用いる管であって、横断面矩形状に形成され、管の一方の外面の一端から管の他端方向に向けて傾斜して管の一方の外面と平行に対向する他方の外面に到達する傾斜面を備えたことを特徴とする管。
【請求項6】
管として、外面にプレートを備えたものを用い、管の進行に伴ってプレートを設置済管の外面上で摺動させて、プレートが管の外面と設置済管の外面とを跨ぐように管を設置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の管の設置方法。
【請求項7】
管として、外面に互いに対向する一対のプレートを備えたものを用い、管の進行に伴ってプレートを設置済管の外面上で摺動させて、プレートが管の外面と設置済管の外面とを跨ぐとともに一対のプレートで設置済管を挟み込むように管を設置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の管の設置方法。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の管の設置方法に用いる管であって、管の一端開口縁面の全部又は一部が管の一端から管の他端方向に向けて傾斜する傾斜面と、管の外面に固定されて管の外面から突出するプレートとを備えたことを特徴とする管。
【請求項9】
請求項6又は請求項7に記載の管の設置方法に用いる管であって、横断面矩形状に形成され、管の一方の外面の一端から管の他端方向に向けて傾斜して管の一方の外面と平行に対向する他方の外面に到達する傾斜面と、管の一方の外面と直交する外面に固定されて当該外面における一方の外面側の縁から外方にはみ出して一方の外面と直交するとともに互いに平行に対向する一対のプレートと備えたことを特徴とする管。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−111728(P2011−111728A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266643(P2009−266643)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【Fターム(参考)】
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