管体の接続構造及びホース継手金具
【課題】ねじ込み作業等の面倒な接続作業が不要な上、耐食性も優れ、短時間に高精度な接続が可能な管体の接続構造及びホース継手金具を提供する。
【解決手段】接続部材3内で、第1の管体1の一端側と第2の管体2の一端側が当接して接合される管体の接続構造であって、第1の管体1の一端側に形成された第1周状突出部4に第1接合面4aが設けられる一方、第2の管体2の一端側に形成された第2周状突出部5に第2接合面5aが設けられ、第1開孔部6における軸心方向一端側の接続部3a端面を接続部材3の一端側から他端側へ塑性変形させて第1内周返り部6aを、第2開孔部7における軸心方向他端側の接続部3a端面を接続部材3の他端側から一端側へ塑性変形させて第2内周返り部7aを同時に形成し、第1周状突出部4と第2周状突出部5とを両側から挟み込んで接合し、前記第1の管体1と第2の管体2とが接続されている。
【解決手段】接続部材3内で、第1の管体1の一端側と第2の管体2の一端側が当接して接合される管体の接続構造であって、第1の管体1の一端側に形成された第1周状突出部4に第1接合面4aが設けられる一方、第2の管体2の一端側に形成された第2周状突出部5に第2接合面5aが設けられ、第1開孔部6における軸心方向一端側の接続部3a端面を接続部材3の一端側から他端側へ塑性変形させて第1内周返り部6aを、第2開孔部7における軸心方向他端側の接続部3a端面を接続部材3の他端側から一端側へ塑性変形させて第2内周返り部7aを同時に形成し、第1周状突出部4と第2周状突出部5とを両側から挟み込んで接合し、前記第1の管体1と第2の管体2とが接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌用フレキシブルホース等に用いられる管体の接続構造及びホース継手金具に係り、より詳しくは、車輌用ブレーキホース、クラッチホース或いはパワーステアリングホース等に用いられる管体の接続構造及びホース継手金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホースを油圧発生源(油圧ポンプ)や作用点(ブレーキ配管におけるキャリパー等)に接続する方法として、継手金具を介して接続する方法がある。そして、例えば自動車用ブレーキ配管の場合、前記継手金具として、一般的にJASO M101 TDW(二重巻配管)が使用されている。
【0003】
この様な継手金具を介して接続する従来例に係る管体の接続構造につき、以下添付図8〜11を参照しながら説明する。図8は従来技術1に係る継手金具の部分断面図、図9は従来技術2に係り、金属チューブを可撓性ホースに結合するために使用する、ろう付された結合部の断面図、図10は従来技術3に係るブレーキパイプ及び口金具の全体を示す部分断面正面図、図11は従来技術4に係り、図(a)は管体の接続構造の一実施例を示す正断面図、図(b)は図(a)のクランプ部材を示す側断面図である。
【0004】
従来技術1に係る継手金具20は、外筒22と内筒24とから構成されている。外筒22は、中間部外周にフランジ26が形成された円筒体で、フランジ26の一方側にゴムホース圧着部28が形成され、他方側にねじ接続部25が形成されている。そして、内筒24は、ゴムホース圧着部28と同心状に内側にあって、その一端側にブレーキホースとしてのゴムホース29の端部が挿入された後、前記ゴムホース圧着部28を加締めて接続される。
【0005】
一方、ねじ接続部25は、フレアナット32のねじ部34が螺合される。このフレアナット32には、ブレーキパイプ36が挿通されており、このブレーキパイプ36の先端には、拡径されたフレア部38が形成されている。従って、フレアナット32をねじ接続部25に締め付けることによって、フレア部38と内筒24の他端側に形成された固定部材21のシート部23とが圧着され、ブレーキパイプ36とゴムホース29とが内筒24を介して接続される(特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、この従来技術1に係る継手金具20は、ねじ接続部25にねじ部34をねじ込む手間がかかる上、フレア部38とシート部23のシール性は、ねじ接続部25とねじ部34の加工精度、ねじ込み時のブレーキパイプ36とねじ接続部25の軸心ずれ、或いは表面処理による摩擦の不均一等に起因する片当たり等の不具合を生じることが多々あり、シビアな管理が要求される。そのため、潤滑油を塗布してねじ込み、上記不具合を緩和させる方法があるが、潤滑油を塗布する手間を要する。
【0007】
従来技術2に係るカップリングは、金属チューブ40がホースを接続する管継手41の凹部42に押圧して嵌合され、接続部43において銅ろう付されている。前記管継手41は、通常ろう付後めっき処理される(特許文献2参照)。前記金属チューブ40が、二重巻鋼管(TDW)により形成されている場合、TDWは通常、耐食性を向上させる目的から、ふっ素樹脂やポリアミドのコーティングが施されている。
【0008】
しかしながら、この従来技術2に係るカップリングでは、高温の炉に前記金属チューブ40と管継手41を投入してろう付加工しており、ふっ素樹脂やポリアミドのコーティングを施すことが不可能である。そのため、表面処理としては電気めっきを実施しているが、TDWの耐食性は、ふっ素樹脂やポリアミドのコーティングに比べて劣るものである。
【0009】
次に、従来技術3に係るブレーキパイプ50は、口金具のホース圧着部51へ内挿され、ブレーキホース52の穴内へ挿入された状態で前記ホース圧着部51を加締めて前記ブレーキホース52に固定される、金属パイプを絞り加工して形成されたニップル部(小径部)50Aと、前記固定されるニップル部50Aと一体成形され、前記ホース圧着部51に連通する貫通穴54Aを貫通する大径部とで構成され、前記ニップル部50Aと大径部の間に、前記ホース圧着部51と貫通穴54Aとの間に設けられた隔壁に突き当てられるビード部50Bが形成され、前記口金具のホース圧着部51が大径部へ挿入され、前記ビード部50Bに前記隔壁が突き当てられ、隔壁のホース圧着部51側端面の一部が、軸心方向にホース圧着部51より前記大径部に向かって加締められることで固定されている(特許文献3参照)。
【0010】
従来技術3に係るブレーキパイプ50によれば、ホース52を接続する部分のニップル部50Aは、ホース52を挿入できるサイズにまで縮径する必要がある一方、ブレーキホース52は、JIS D 2601,FMVSS No.106等で最小内径が決められている。そのため、ニップル部50Aの内径を確保しつつ、外径をホース52が挿入できる径まで縮径しなければならず、非常に難しい加工が必要となる。即ち、TDWを縮径する際、コーティングが剥がれる危険性が極めて高く、ニップル部50Aの耐食性に問題を生じる。TDWは鋼板を二重巻したパイプであるため、外周に巻目段差が存在するが、ニップル部50Aに段差が生じるとブレーキオイルが巻目段差を伝わり、オイル漏れする可能性がある。また、巻目段差部に鋼板の剥れが生じる可能性もある。
【0011】
更に、従来技術4に係る管体の接続構造によれば、第1の管体61の端部に先端に向けて拡径して形成される第1のテーパ部61aと、前記第1の管体61に外側に向けて突出して形成される第1の突出部61bと、第2の管体63の端部に先端に向けて縮径して形成され前記第1のテーパ部61aに挿通される第2のテーパ部63aと、前記第2の管体63に前記第2のテーパ部63aの後方に外側に向けて突出して形成される第2の突出部63bと、前記第1の突出部61bと第2の突出部63bの外側に配置され前記第1の突出部61bと第2の突出部63bとを対向する方向に押圧する連結手段65とを備えている(特許文献4参照)。
【0012】
しかしながら、前記連結手段65は、クランプ部材67をボルト68とナット69により連結するものであるから、連結作業に手間がかかる上、部外者でも容易に解除される。また、ねじ込みによる締付力が管軸方向ではないため、接合面に負荷される面圧を強くできず、高圧用途には不向きである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平7−27271号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0096877号明細書
【特許文献3】特許第4293769号公報
【特許文献4】特開平9−60775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の目的は、ねじ込み作業等の面倒な接続作業が不要な上、耐食性も優れ、短時間に高精度な接続が可能な管体の接続構造及びホース継手金具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、従って上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る管体の接続構造が採用した手段は、略筒形状を有する接続部材内で、第1の管体の一端側と第2の管体の一端側が当接して接合される管体の接続構造であって、前記第1の管体の一端側に形成された第1周状突出部の軸心方向先端側に第1接合面が設けられる一方、前記第2の管体の一端側に形成された第2周状突出部の軸心方向先端側に第2接合面が設けられ、前記接続部材には接続部が設けられると共に、この接続部は、前記接続部材の一端側から軸心方向に順に、前記第1の管体に形成された第1周状突出部が挿通可能な第1開孔部と、前記第2の管体に形成された第2周状突出部が挿通可能な第2開孔部とが、同一または異なる内径を有して同心状に形成されたものである。
【0016】
同時に、前記第1開孔部に前記第1の管体の他端側が挿通され、次いで、前記第2開孔部に前記第2の管体に形成された第2周状突出部が挿通されて、前記第1の管体の第1接合面に前記第2の管体の第2接合面が当接され、前記第1開孔部における接続部材の軸心方向一端側の接続部端面を前記接続部材の一端側から他端側へ軸心方向に塑性変形させて第1内周返り部を、前記第2開孔部における接続部材の軸心方向他端側の接続部端面を前記接続部材の他端側から一端側へ軸心方向に塑性変形させて第2内周返り部を同時に形成し、これら接続部材内部に形成された前記接続部の第1内周返り部と第2内周返り部とによって、前記第1周状突出部と第2周状突出部とを両側から挟み込んで接合し、前記第1の管体と第2の管体とが接続されてなることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の請求項2に係る管体の接続構造が採用した手段は、請求項1に記載の管体の接続構造において、前記第1周状突出部が、前記第1接合面を有して前記第1の管体から独立した環状シール部材を形成されてなることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の請求項3に係る管体の接続構造が採用した手段は、請求項1または2に記載の管体の接続構造において、前記第1接合面及び第2接合面の少なくとも一方がテーパ面を形成されてなることを特徴とするものである。
【0019】
本発明の請求項4に係る管体の接続構造が採用した手段は、請求項1乃至3の何れか一つの項に記載の管体の接続構造において、前記第1周状突出部がフレアを形成されてなることを特徴とするものである。
【0020】
本発明の請求項5に係る管体の接続構造が採用した手段は、請求項1乃至4の何れか一つの項に記載の管体の接続構造において、前記第1接合面及び第2接合面の間にシールリングが介装されてなることを特徴とするものである。
【0021】
本発明の請求項6に係る管体の接続構造が採用した手段は、請求項1乃至5の何れか一つの項に記載の管体の接続構造において、前記第1の管体、第2の管体及び接続部材が、接合される前にめっきまたは/及びコーティングからなる表面処理を施されてなることを特徴とするものである。
【0022】
本発明の請求項7に係るホース継手金具が採用した手段は、前記第1の管体が金属管、前記第2の管体がホース継手用金具のニップルであって、前記接続部材にこのニップルと同心状のホース加締部が形成された、請求項1乃至6の何れか一つの項に記載の管体の接続構造を有してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の請求項1に係る管体の接続構造によれば、前記第1開孔部における接続部材の軸心方向一端側の接続部端面を前記接続部材の一端側から他端側へ軸心方向に塑性変形させて第1内周返り部を、前記第2開孔部における接続部材の軸心方向他端側の接続部端面を前記接続部材の他端側から一端側へ軸心方向に塑性変形させて第2内周返り部を同時に形成し、これら接続部材内部に形成された前記接続部の第1内周返り部と第2内周返り部とによって、前記第1周状突出部と第2周状突出部とを両側から挟み込んで接合し、前記第1の管体と第2の管体とが接続されてなるので、先ず前記従来技術1に対しては、ねじ込みやオイル塗布の作業が不要となり、ねじ精度や表面処理の摩擦等の影響を回避できる。また、第1の管体と第2の管体の軸心ずれについても、設備面で対策が取り易い。
【0024】
前記従来技術2に対しては、第1の管体と第2の管体は、コーティング加工品を使用可能なため、耐食性を維持できる。また、従来技術2に係る接合部のろう付は、加工時間が1時間程度と非常に長くなるが、本発明に係る第1接合面と第2接合面の接合は、内周返り部の形成に数秒要するのみである。
【0025】
前記従来技術3に対しては、本発明に係る第2の管体の管端部は、鍛造や切削等により加工することができるため内外径を精度良く加工可能な上、単品で電気めっきを施すことにより耐食性を維持できる。また、この第2の管体の外周にはTDW(二重巻配管)の様な巻面段差が存在しないため、オイル漏れに対して優位性がある。さらに、TDWを縮径することによる巻面段差部における鋼板の剥れといった不具合の恐れがない。従来技術4に対しては、本発明に係る管体の接続構造はねじ部が存在しないため、ねじ込み作業が不要な上、ねじ部が管体の軸心から離れた部位にあるため他部品と干渉するといった不具合が生じないので、配管施工の点から有利である。
【0026】
また、本発明の請求項2に係る管体の接続構造によれば、前記第1周状突出部が、前記第1接合面を有して前記第1の管体から独立した環状シール部材を形成されてなるので、前記第1の管体に第1周状突出部を形成不可能または形成し難い場合でも、本発明の管体の接続構造が適用可能となる。
【0027】
更に、本発明の請求項3に係る管体の接続構造によれば、前記第1接合面及び第2接合面の少なくとも一方がテーパ面を形成されてなるので、接合面における密着性が向上しシール性が良好になる。
【0028】
また更に、本発明の請求項4に係る管体の接続構造によれば、前記第1周状突出部がフレアを形成されてなるので、接合時における前記第1接合面の塑性変形による第2接合面への追従性が向上して、接合面のシール性の信頼度がより向上する。
【0029】
本発明の請求項5に係る管体の接続構造によれば、前記第1接合面及び第2接合面の間にシールリングが介在されてなるので、接合面におけるシール性の信頼度が更に向上する。
【0030】
そして、本発明の請求項6に係る管体の接続構造によれば、請求項1乃至5の何れか一つの項に記載の管体の接続構造において、前記第1の管体、第2の管体及び接続部材が、接合される前にめっきまたは/及びコーティングからなる表面処理を施されてなるので、耐食性の高い管体の接続構造が得られる。
【0031】
一方、本発明の請求項7に係るホース継手金具によれば、前記管体の何れか一方が金属管、他方がホース継手用金具のニップルであって、前記接続部材にこのニップルと同心状のホース加締部を形成された、請求項1乃至6の何れか一つの項に記載の管体の接続構造を有してなるので、上記請求項1乃至6の該当する一つの項に記載の管体の接続構造に記載の効果を有するホース継手金具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造を採用したホース継手金具において、部品組立工程を説明するための説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造を採用したホース継手金具において、管体接合工程を説明するための説明図であって、図(a)は管体接合前、図(b)は管体接合後、図(c)はホース接続後の各状態を示す。
【図3】本発明の実施の形態1における他の態様例Aに係り、図2(c)における管体接合部分を拡大して示す部分拡大断面図であって、接合面が平面の場合を示す。
【図4】本発明の実施の形態1における他の態様例Bに係り、図2(c)における管体接合部分を拡大して示す部分拡大断面図であって、ISOフレア接合の場合を示す。
【図5】本発明の実施の形態1における他の態様例Cに係り、図2(c)における管体接合部分を拡大して示す部分拡大図であって、シールリングとしてシートパッキンを用いた場合を示す。
【図6】本発明の実施の形態1における他の態様例Dに係り、図2(c)における管体接合部分を拡大して示す部分拡大図であって、シールリングとしてOリングを用いた場合を示す。
【図7】本発明の実施の形態2に係り、図2(c)における管体接合部分を拡大して示す部分拡大図であって、第1周状突出部が第1の管体から独立して第1接合面を有した環状シール部材としてオリーブを形成されてなる場合を示す。
【図8】従来技術1に係る継手金具の部分断面図である。
【図9】従来技術2に係り、金属チューブを可撓性ホースに結合するために使用する、ろう付された結合部の断面図である。
【図10】従来技術3に係るブレーキパイプ及び口金具の全体を示す部分断面正面図である。
【図11】従来技術4に係り、図(a)は管体の接続構造の一実施例を示す正断面図、図(b)は図(a)のクランプ部材を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造について、ホース継手金具に採用した態様を例として、理解を容易にするため、先ず添付図1,2を参照しながらその製作手順に沿って説明する。
図1は本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造を採用したホース継手金具において、部品組立工程を説明するための説明図、図2は本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造を採用したホース継手金具において、管体接合工程を説明するための説明図であって、図(a)は管体接合前、図(b)は管体接合後、図(c)はホース接続後の各状態を示す。
【0034】
本発明の実施の形態1に係る管体の接合構造は、略筒形状を有する接続部材3内に、所定長(数100mm程度)を有するパイプ(第1の管体)1の一端側とニップル(第2の管体)2の一端側が当接して接合され、本発明の実施の形態1に係るホース継手金具10として製作される態様を例とする。ここで、略筒形状とは、円形状、多角形状或いは台形状等任意の外形断面形状と、この断面と直交する方向に円形断面の空洞部を有する筒形の形状である。
【0035】
前記パイプ1の材料としては、TDW(JASO M101:二重巻鋼管)、TSW(JASO M101:一重巻鋼管)、STKM(機械構造用炭素鋼鋼管)或いはSTAM(自動車用電縫管)等が、ニップル2用の材料としては、クロムモリブテン鋼(SCM415〜SCM440)、冷間鍛造用炭素鋼(SWCH12〜SWCH20)、機械構造用炭素鋼(S10C〜S45C)或いはSTKM等を用いることができる。また、接続部材3の材料としては、機械構造用炭素鋼(S10C〜S45C)や冷間鍛造用炭素鋼鋼材(SWCH12〜SWCH20)等を用いることができる。
【0036】
パイプ1の一端側にはダブルフレア(第1周状突出部)4が形成されると共に、このダブルフレア4には、先端に向かって凹状のテーパを有する第1接合面4aが設けられている。一方、ニップル2の一端側にはニップル接合部(第2周状突出部)5が形成され、このニップル接合部5には、先端に向かって凸状のテーパを有する第2接合面5aが設けられている。
【0037】
そして、前記第1接合面4aのテーパ角と第2接合面5aのテーパ角とは、傾斜角度が逆向きであって若干異なる角度を有している。即ち、前記第1接合面4aが90度,第2接合面5aが84度のテーパ角度で接合する様に形成されている。この理由は、第2接合面5aにおける凸状のテーパ先端部が、第1接合面4aにおける凹状のテーパ面に食い込み易くするためである。
【0038】
また、前記接続部材3の一端側には、接続部3aが設けられると共に、この接続部3aにおいて接続部材3の一端側から他端側に順に、パイプ外径d1が挿通可能な第1開孔部径d4を有する第1開孔部6と、パイプ1に形成されたダブルフレア外径d2及びニップル2の一端側に形成されたニップル接合部外径d3を挿通可能な第2開孔部径d5を有する第2開孔部7とが同心状に形成されている。図1では、第1開孔部径d4と第2開孔部径d5とが同一孔径である場合を示しているが、これらの孔径d4及びd5は、パイプ1に形成されたダブルフレア外径d2及びニップル2に形成されたニップル接合部外径d3が夫々挿通可能な異なる孔径d4≠d5としても良い。
【0039】
そして、図1に示す如く、接続部材3の接続部3aに設けられた第1開孔部6にパイプ1を他端側から挿通し、図2(a)に示す様に、ダブルフレア4が接続部3aの軸心方向略中間部に位置するよう保持する一方、接続部材3の第2開孔部7に、ニップル2の一端側に形成されたニップル接合部5を挿通して押込むと、パイプ1の第1接合面4aにニップル2の第2接合面5aが当接される。
【0040】
ここで、パイプ1とニップル2の挿入順序、挿入方向は特に限定するものではなく、適宜選択出来る。例えば、接続部3aに設けられた第1開孔部6に接続材3の一端側から前記パイプ1を挿通して、パイプ1の一端側に形成されたダブルフレア4を接続部3aの軸心方向略中間部に位置するよう保持する一方、接続部材3の第2開孔部7に、ニップル2の一端側に形成されたニップル接合部5を挿通して押込んで、パイプ1の第1接合面4aにニップル2の第2接合面5aを当接しても良い。
【0041】
次いで、第1開孔部6における接続部材3の軸心方向一端側の端面の、内周に沿う肉厚t1、即ち、加締工具による接続部財3の一端側からの加締径、加締量を図2(b)に示す如く夫々D1,H1とすれば、(D1−d4)/2=t1を、図2(a)の右向矢印の如く接続部材3の一端側から他端側へ軸心方向に加締め(塑性変形させ)る。それと同時に、第2開孔部7における接続部材3の軸心方向他端側の端面の、内周に沿う肉厚t2、即ち、加締工具による接続部材3の他端側からの加締径、加締量を図2(b)に示す如く夫々D2,H2とすれば、(D2−d5)/2=t2を、図2(a)の左向矢印の如く接続部材3の他端側から一端側へ軸心方向に加締め(塑性変形させ)て、図2(b)に示す如く夫々第1内周返り部6b及び第2内周返り部7aを形成する。
【0042】
その結果、接続部材3内部に形成された接続部3aの第1内周返り部6bと第2内周返り部7aとによって、第1接合面4aと第2接合面5aとを当接して、ダブルフレア4の背面4bとニップル接合部5の背面5bとを両側から挟み込んで接合し、接続部材3内部においてパイプ1とニップル2とが接続されて、本発明の実施の形態1に係るホース継手金具10が得られる。
【0043】
そして、図2(c)に示す如く、このホース継手金具10のニップル2にホース11を差し込んで、接続部材3の加締部3bを外周数箇所から矢印で示す様に求心方向に加締めて、ホース継手金具10とホース11とが接続される。
【0044】
以上の様な管体の接続構造によって、本発明の実施の形態1に係るホース継手金具10によれば、ねじ込みやオイル塗布の作業が不要となり、ねじ精度や表面処理の摩擦等の影響を回避できる。また、パイプ1とニップル2の軸心ずれについても、加締装置等の設備面で対策が取り易い。
【0045】
また、パイプ1やニップル2、接続部材3は、めっき処理品やコーティング加工品を使用可能なため、耐食性を維持できる。例えば、本発明の実施の形態1に係るパイプ1は、亜鉛めっき、錫亜鉛合金めっき、亜鉛−ニッケル合金めっき或いは亜鉛−鉄合金めっき等の電気めっきを施した上に、ポリアミド樹脂やふっ素樹脂等をコーティング可能であり、ニップル2及び接続部材3については、加締以外の事前の部品加工をした後、亜鉛めっき、錫亜鉛合金めっき、亜鉛−ニッケル合金めっき或いは亜鉛−鉄合金めっき等の電気めっきを施すことができる。また、接合部をろう付する場合は、加工時間が1時間程度と非常に長くなるが、本発明の実施の形態1に係る第1接合面4aと第2接合面5aの接合は、加締加工による第1及び第2内周返り部6b,7aの形成に数秒要するのみである。
【0046】
更に、本発明の実施の形態1に係るニップル2は、鍛造や切削等により加工することができるため内外径を精度良く加工可能な上、単品で電気めっきを施すことにより耐食性を維持できる。また、このニップル2の外周にはTDW(二重巻配管)の様な巻面段差が存在しないため、オイル漏れに対して優位性がある。更に、TDWを縮径することによる巻面段差部における鋼板の剥れといった不具合の恐れがない。また、本発明に係るパイプ1とニップル2の接続構造はねじ部が存在しないため、ねじ込み作業が不要な上、ねじ部が管体の軸心から離れた部位にあるため他部品と干渉するといった不具合が生じないので、配管施工の点から有利である。
【0047】
尚、図1,2を参照して説明した上記実施の形態1においては、パイプ1の第1周状突出部4がダブルフレアを形成され、第1接合面4a及びニップル2の第2接合面5aの何れもがテーパ面を形成されたもので説明したが、本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造及びこれを用いたホース継手金具のパイプ1の第1周状突出部4は、フレアではなく、図3に示す如く接合面がニップル接合部5と略同形状の、テーパ面を有していない平面のリング状接合部14でも良い。図3は本発明の実施の形態1における他の態様例Aに係り、図2(c)における管体接合部分を拡大して示す部分拡大断面図であって、接合面が平面の場合を示す。
【0048】
即ち、この図3に示す他の態様例Aでは、パイプ1のリング状接合部14(第1周状突出部4)は、軸心方向に直交するリング状の第1接合面14aと背面14bが形成されると共に、ニップル接合部5も同様に、軸心方向に直交するリング状の第2接合面5aと背面5bが形成されている。そして、前記パイプ1の第1接合面14aにニップル2の第2接合面5aが当接され、接続部材3に形成された接続部3aの第1内周返り部6bと第2内周返り部7aとによって、第1接合面14aと第2接合面5aとを当接して、リング状接合部14の背面14bとニップル接合部5の背面5bとを両側から挟み込んで接合し、接続部材3内部においてパイプ1とニップル2とが接続されている。
【0049】
また、本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造及びこれを用いたホース継手金具は、図示は省略するが第1接合面4a及び第2接合面5aの何れか一方のみがテーパ面であっても良い。本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造またはこれを用いたホース継手金具によれば、第1接合面4a及び第2接合面5aの少なくとも一方にテーパ面を形成することによって、軸心方向の加締力が接合面4a,5aに垂直方向の密着力として分配されるためシール性が良好になる。
【0050】
また、本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造及びこれを用いたホース継手金具は、第1周状突出部4がシングルフレアを形成されていても良い。本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造及びこれを用いたホース継手金具によれば、第1周状突出部4がシングルフレアまたはダブルフレアを形成されているので、接合時における前記第1接合面4aの、塑性変形によるニップル2側の第2接合面5aへの追従性が向上して、両接合面4a,5aのシール性の信頼度がより向上する。
【0051】
図4は、本発明の実施の形態1における他の態様例Bに係り、図2(c)における管体接合部分を拡大して示す部分拡大断面図であって、ISOフレア接合の場合を示す。
【0052】
即ち、この図4に示す他の態様例Bでは、パイプ1のISOフレア15(第1周状突出部4)は、軸心方向にテーパを有するリング状の第1接合面15aと軸心方向に略直交する背面15bが形成されると共に、ニップル接合部5も同様に、軸心方向逆向きに若干異なる角度のテーパを有する、リング状の第2接合面5aと軸心方向に略直交する背面5bが形成されている。
【0053】
そして、前記パイプ1の第1接合面15aにニップル2の第2接合面5aが当接され、接続部材3に形成された接続部3aの第1内周返り部6bと第2内周返り部7aとによって、第1接合面15aと第2接合面5aとを当接して、ISOフレア15の背面15bとニップル接合部5の背面5bとを両側から挟み込んで接合し、接続部材3内部においてパイプ1とニップル2とが接続されている。尚、フレアには、ダブルフレア、シングルフレア及びISOフレアが含まれるが、シール性の安定性の観点より、ダブルフレアまたはISOフレアを選択することが望ましい。
【0054】
更に、図1,2を参照して説明した上記実施の形態1においては、パイプ1の第1接合面4a及びニップル2の第2接合面5aが直接接触して接合面が形成されていたが、本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造及びこれを用いたホース継手金具10は、第1接合面4a及び第2接合面5aの間にシールリングが介装されても良い。本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造及びこれを用いたホース継手金具10において、シールリングを用いた態様例を以下添付図5,6を参照しながら説明する。
【0055】
図5,6は本発明の実施の形態1における他の態様例C,Dに係り、図2(c)における管体接合部分を拡大して示す部分拡大図であって、図5はシールリングとしてシートパッキンを用いた場合、図6はシールリングとしてOリングを用いた場合を夫々示す。
【0056】
図5に示す他の態様例Cは、シートパッキン20が接合部に介装された例である。即ち、この図5に示す態様例は、図3を用いて説明したパイプ1のリング状接合部14(第1周状突出部4)とニップル接合部5との間に、シートパッキン20が介装された例であり、パイプ1の第1接合面14aにニップル2の第2接合面5aがシートパッキン20を介して当接され、接続部材3に形成された接続部3aの第1内周返り部6bと第2内周返り部7aとによって、第1接合面14aと第2接合面5aとを当接して、リング状接合部14の背面14bとニップル接合部5の背面5bとを両側から挟み込んで接合し、接続部材3内部においてパイプ1とニップル2とが接続されている。
【0057】
図6に示す態様例Dは、Oリング21が接合部に介装された例である。即ち、この図6に示す態様例は、パイプ1のOリングフレア16(第1周状突出部4)は、フレア前面のテーパ状の第1接合面16aと折り返したフレアに背面16bが形成されると共に、ニップル接合部5も同様に、Oリングが当接されるテーパを有するリング状の第2接合面5aと軸心方向に略直交する背面5bが形成されている。
【0058】
そして、前記パイプ1の第1接合面16aにOリング21を介してニップル2の第2接合面5aが当接され、接続部材3に形成された接続部3aの第1内周返り部6bと第2内周返り部7aとによって、第1接合面16aと第2接合面5aとを当接してOリングフレア16の背面16bとニップル接合部5の背面5bとを両側から挟み込んで接合し、接続部材3内部においてパイプ1とニップル2とが接続されている。
【0059】
この様なパイプ1とニップル2の接続構造によれば、第1接合面14a,16a及び第2接合面5a,5aの間に、シートパッキン20やOリング21等のシールリングが介装されてなるので、接合面におけるシール性の信頼度が更に向上する。
【実施例】
【0060】
本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造に関し、ホース継手金具に採用した実施例について、以下前図1,2を参照しながら説明する。
上述した本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造及びこれを用いたホース継手金具の製作方法に基づき、下記の通り試作した管体の継手金具に、ホースを加締めて締結したものの耐圧試験を実施した。試作に用いた各部品の条件は、下記の通りである。
【0061】
(1)パイプ
・形状 :図1に示す通り
・材質 :JASO M101 TDW 呼び径4.76mm
・寸法 :外径d1=4.76mm、肉厚0.7mm、
・第1周状突出部のシート形状
:JASO F402 ダブルフレア(IDF)呼び4.75
d2=6.9mm
・表面処理:電気亜鉛めっき25μm+有機被膜(ふっ素樹脂コーティング)
15μm
【0062】
(2)ニップル
・形状 :図1に示す通り
・材質 :S15C
・寸法 :第2周状突出部外径d3=7mm、管部外径3.5mm
・第2周状突出部のシート形状:JASO F402 AS1 呼び4.75
・表面処理:電気亜鉛めっき8μm+有色クロメート(3価クロム仕様)
(3)接続部材
・形状 :図1に示す通り
・材質 :S15C
・寸法 :第1開孔部径d4=7.2mm、第2開孔部径d5=7.2mm、
加締部内径d6=11mm
・表面処理:電気亜鉛めっき8μm+有色クロメート(3価クロム仕様)
【0063】
この様に製作した各部品を、図1,2を用いて説明した製作手順に従って、管体の接続を行なった。その際、図2(b)に示した接続部材3における第1開孔部内周近傍の肉厚t1及び第2開孔部内周近傍の肉厚t2を何れも0.65mm一定値とする一方、第1内周返り部6bを形成する際の加締量H1及び第2内周返り部7aを形成する際の加締量H2を種々変え(表1参照)て加締め、パイプ1とニップル2を接続してホース継手金具10を試作した。これらのホース継手金具10の各ニップル2にホース11を差し込み、接続部材3の加締部3aを外周から求心方向に加締めてホース11を接続した。
【0064】
次いで、上記ホース継手金具10試作品の耐圧試験を行なうため各ホース11を順次耐圧試験装置に接続して、試験流体を注入しつつ加圧し、圧力29.4MPaにて30s間保持して漏れの有無を確認した。この耐圧試験の結果を表1にまとめて示す。
【0065】
この結果によれば、本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造及びこれを用いたホース継手金具において、耐圧試験に耐え得るシール性を有する管体の接続構造とするには、上記加締量H1とH2の和、即ち(H1+H2)を0.60mm以上とするのが好ましく、(H1+H2)を0.80mm以上とするのがより好ましいことが分かった。また、第1内周返り部6b及び第2内周返り部7aを形成する際の加締加工のバランス、更には加工後の前記両返り部6b,7aの信頼度のバランスから、前記加締量H1とH2を同程度の値とするのが好ましい。
【0066】
【表1】
【0067】
次に、本発明の実施の形態2に係る管体の接続構造及びこれを用いたホース継手金具を、以下添付図7を参照しながら説明する。図7は本発明の実施の形態2に係り、図2(c)における管体接合部分を拡大して示す部分拡大図であって、第1周状突出部が第1の管体から独立して第1接合面を有した環状シール部材としてオリーブを形成されてなる場合を示す。
【0068】
但し、本発明の実施の形態2が上記実施の形態1と相違するところは、第1周状突出部の構成と、第1周状突出部及びパイプ(第1の管体)の独立構成有無に相違があり、これらの相違以外は上記実施の形態1と全く同構成であるから、上記実施の形態1と同一のものに同一符号を付して、以下その相違する点について説明する。
【0069】
即ち、上記実施の形態1に係る管体の接続構造またはこれを用いたホース継手金具においては、第1周状突出部はダブルフレアを構成すると共に、このダブルフレアはパイプ(第1の管体)と一体的に構成されていたのに対し、本発明の実施の形態2に係る管体の接続構造及びこれを用いたホース継手金具では、第1周状突出部が第1接合面を有した環状シール部材を構成すると共に、この第1接合面を有した環状シール部材はパイプから独立して構成されている。
【0070】
図7に示す態様例では、第1周状突出部4がパイプ1から独立してオリーブ18を形成されている。そして、パイプ1の一端側外周1aとニップル接合部5との間にオリーブ18が介装され、パイプ1の一端側外周1aとニップル2の第2接合面5aがオリーブ18を介して当接され、接続部材3に形成された接続部3aの第1内周返り部6bと第2内周返り部7aとによって、第1接合面18aと第2接合面5aとを当接して、オリーブ18の背面18bとニップル接合部5の背面5bとを両側から挟み込んで接合し、接続部材3内部においてパイプ1とニップル2とが接続されている。
【0071】
従って、本発明の実施の形態2に係る管体の接続構造またはこれを用いたホース継手金具によれば、第1周状突出部4がパイプ1から独立した環状シール部材としてオリーブ18を形成されてなるので、前記パイプ1に第1周状突出部4を形成不可能または形成し難い場合でも、パイプ1とニップル2の接続が可能となる。
【0072】
以上説明した通り、本発明に係る管体の接続構造及びこれを用いたホース継手金具によれば、ねじ込みやオイル塗布の作業が不要となり、ねじ精度や表面処理の摩擦等の影響を回避できる。また、管体同士(例えば、パイプとニップル)の軸心ずれについても、加締装置等の設備面で対策が取り易い。更に、管体やソケットは、めっき処理品やコーティング加工品を使用可能なため、耐食性を維持できる上、接合部の加工は、ろう付の場合は加工時間が1時間程度と非常に長くなるが、本発明の場合は加締加工による内周返り部の形成に数秒要するのみである。
【符号の説明】
【0073】
d1:パイプ外径,
d2:ダブルフレア(第1周状突出部)外径,
d3:ニップル接合部(第2周状突出部)外径,
d4:第1開孔部径,
d5:第2開孔部径,
d6:加締部内径,
D1,D2:加締径,
H1,H2:加締量,
t1:第1開孔部内周近傍の肉厚,
t2:第2開孔部内周近傍の肉厚,
1:パイプ(第1の管体), 1a:一端側外周,
2:ニップル(第2の管体),
3:接続部材, 3a:接続部, 3b:加締部,
4:ダブルフレア(第1周状突出部), 4a:第1接合面, 4b:背面,
5:ニップル接合部(第2周状突出部), 5a:第2接合面, 5b:背面,
6:第1開孔部, 6b:第1内周返り部,
7:第2開孔部, 7a:第2内周返り部,
10:ホース継手金具, 11:ホース,
14:リング状接合部(第1周状突出部), 14a:第1接合面, 14b:背面,
15:ISOフレア(第1周状突出部), 15a:第1接合面, 15b:背面,
16:Oリングフレア(第1周状突出部), 16a:第1接合面, 16b:背面,
18:オリーブ(第1周状突出部), 18a:第1接合面, 18b:背面,
20:シートパッキン, 21:Oリング
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌用フレキシブルホース等に用いられる管体の接続構造及びホース継手金具に係り、より詳しくは、車輌用ブレーキホース、クラッチホース或いはパワーステアリングホース等に用いられる管体の接続構造及びホース継手金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホースを油圧発生源(油圧ポンプ)や作用点(ブレーキ配管におけるキャリパー等)に接続する方法として、継手金具を介して接続する方法がある。そして、例えば自動車用ブレーキ配管の場合、前記継手金具として、一般的にJASO M101 TDW(二重巻配管)が使用されている。
【0003】
この様な継手金具を介して接続する従来例に係る管体の接続構造につき、以下添付図8〜11を参照しながら説明する。図8は従来技術1に係る継手金具の部分断面図、図9は従来技術2に係り、金属チューブを可撓性ホースに結合するために使用する、ろう付された結合部の断面図、図10は従来技術3に係るブレーキパイプ及び口金具の全体を示す部分断面正面図、図11は従来技術4に係り、図(a)は管体の接続構造の一実施例を示す正断面図、図(b)は図(a)のクランプ部材を示す側断面図である。
【0004】
従来技術1に係る継手金具20は、外筒22と内筒24とから構成されている。外筒22は、中間部外周にフランジ26が形成された円筒体で、フランジ26の一方側にゴムホース圧着部28が形成され、他方側にねじ接続部25が形成されている。そして、内筒24は、ゴムホース圧着部28と同心状に内側にあって、その一端側にブレーキホースとしてのゴムホース29の端部が挿入された後、前記ゴムホース圧着部28を加締めて接続される。
【0005】
一方、ねじ接続部25は、フレアナット32のねじ部34が螺合される。このフレアナット32には、ブレーキパイプ36が挿通されており、このブレーキパイプ36の先端には、拡径されたフレア部38が形成されている。従って、フレアナット32をねじ接続部25に締め付けることによって、フレア部38と内筒24の他端側に形成された固定部材21のシート部23とが圧着され、ブレーキパイプ36とゴムホース29とが内筒24を介して接続される(特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、この従来技術1に係る継手金具20は、ねじ接続部25にねじ部34をねじ込む手間がかかる上、フレア部38とシート部23のシール性は、ねじ接続部25とねじ部34の加工精度、ねじ込み時のブレーキパイプ36とねじ接続部25の軸心ずれ、或いは表面処理による摩擦の不均一等に起因する片当たり等の不具合を生じることが多々あり、シビアな管理が要求される。そのため、潤滑油を塗布してねじ込み、上記不具合を緩和させる方法があるが、潤滑油を塗布する手間を要する。
【0007】
従来技術2に係るカップリングは、金属チューブ40がホースを接続する管継手41の凹部42に押圧して嵌合され、接続部43において銅ろう付されている。前記管継手41は、通常ろう付後めっき処理される(特許文献2参照)。前記金属チューブ40が、二重巻鋼管(TDW)により形成されている場合、TDWは通常、耐食性を向上させる目的から、ふっ素樹脂やポリアミドのコーティングが施されている。
【0008】
しかしながら、この従来技術2に係るカップリングでは、高温の炉に前記金属チューブ40と管継手41を投入してろう付加工しており、ふっ素樹脂やポリアミドのコーティングを施すことが不可能である。そのため、表面処理としては電気めっきを実施しているが、TDWの耐食性は、ふっ素樹脂やポリアミドのコーティングに比べて劣るものである。
【0009】
次に、従来技術3に係るブレーキパイプ50は、口金具のホース圧着部51へ内挿され、ブレーキホース52の穴内へ挿入された状態で前記ホース圧着部51を加締めて前記ブレーキホース52に固定される、金属パイプを絞り加工して形成されたニップル部(小径部)50Aと、前記固定されるニップル部50Aと一体成形され、前記ホース圧着部51に連通する貫通穴54Aを貫通する大径部とで構成され、前記ニップル部50Aと大径部の間に、前記ホース圧着部51と貫通穴54Aとの間に設けられた隔壁に突き当てられるビード部50Bが形成され、前記口金具のホース圧着部51が大径部へ挿入され、前記ビード部50Bに前記隔壁が突き当てられ、隔壁のホース圧着部51側端面の一部が、軸心方向にホース圧着部51より前記大径部に向かって加締められることで固定されている(特許文献3参照)。
【0010】
従来技術3に係るブレーキパイプ50によれば、ホース52を接続する部分のニップル部50Aは、ホース52を挿入できるサイズにまで縮径する必要がある一方、ブレーキホース52は、JIS D 2601,FMVSS No.106等で最小内径が決められている。そのため、ニップル部50Aの内径を確保しつつ、外径をホース52が挿入できる径まで縮径しなければならず、非常に難しい加工が必要となる。即ち、TDWを縮径する際、コーティングが剥がれる危険性が極めて高く、ニップル部50Aの耐食性に問題を生じる。TDWは鋼板を二重巻したパイプであるため、外周に巻目段差が存在するが、ニップル部50Aに段差が生じるとブレーキオイルが巻目段差を伝わり、オイル漏れする可能性がある。また、巻目段差部に鋼板の剥れが生じる可能性もある。
【0011】
更に、従来技術4に係る管体の接続構造によれば、第1の管体61の端部に先端に向けて拡径して形成される第1のテーパ部61aと、前記第1の管体61に外側に向けて突出して形成される第1の突出部61bと、第2の管体63の端部に先端に向けて縮径して形成され前記第1のテーパ部61aに挿通される第2のテーパ部63aと、前記第2の管体63に前記第2のテーパ部63aの後方に外側に向けて突出して形成される第2の突出部63bと、前記第1の突出部61bと第2の突出部63bの外側に配置され前記第1の突出部61bと第2の突出部63bとを対向する方向に押圧する連結手段65とを備えている(特許文献4参照)。
【0012】
しかしながら、前記連結手段65は、クランプ部材67をボルト68とナット69により連結するものであるから、連結作業に手間がかかる上、部外者でも容易に解除される。また、ねじ込みによる締付力が管軸方向ではないため、接合面に負荷される面圧を強くできず、高圧用途には不向きである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平7−27271号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0096877号明細書
【特許文献3】特許第4293769号公報
【特許文献4】特開平9−60775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の目的は、ねじ込み作業等の面倒な接続作業が不要な上、耐食性も優れ、短時間に高精度な接続が可能な管体の接続構造及びホース継手金具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、従って上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る管体の接続構造が採用した手段は、略筒形状を有する接続部材内で、第1の管体の一端側と第2の管体の一端側が当接して接合される管体の接続構造であって、前記第1の管体の一端側に形成された第1周状突出部の軸心方向先端側に第1接合面が設けられる一方、前記第2の管体の一端側に形成された第2周状突出部の軸心方向先端側に第2接合面が設けられ、前記接続部材には接続部が設けられると共に、この接続部は、前記接続部材の一端側から軸心方向に順に、前記第1の管体に形成された第1周状突出部が挿通可能な第1開孔部と、前記第2の管体に形成された第2周状突出部が挿通可能な第2開孔部とが、同一または異なる内径を有して同心状に形成されたものである。
【0016】
同時に、前記第1開孔部に前記第1の管体の他端側が挿通され、次いで、前記第2開孔部に前記第2の管体に形成された第2周状突出部が挿通されて、前記第1の管体の第1接合面に前記第2の管体の第2接合面が当接され、前記第1開孔部における接続部材の軸心方向一端側の接続部端面を前記接続部材の一端側から他端側へ軸心方向に塑性変形させて第1内周返り部を、前記第2開孔部における接続部材の軸心方向他端側の接続部端面を前記接続部材の他端側から一端側へ軸心方向に塑性変形させて第2内周返り部を同時に形成し、これら接続部材内部に形成された前記接続部の第1内周返り部と第2内周返り部とによって、前記第1周状突出部と第2周状突出部とを両側から挟み込んで接合し、前記第1の管体と第2の管体とが接続されてなることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の請求項2に係る管体の接続構造が採用した手段は、請求項1に記載の管体の接続構造において、前記第1周状突出部が、前記第1接合面を有して前記第1の管体から独立した環状シール部材を形成されてなることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の請求項3に係る管体の接続構造が採用した手段は、請求項1または2に記載の管体の接続構造において、前記第1接合面及び第2接合面の少なくとも一方がテーパ面を形成されてなることを特徴とするものである。
【0019】
本発明の請求項4に係る管体の接続構造が採用した手段は、請求項1乃至3の何れか一つの項に記載の管体の接続構造において、前記第1周状突出部がフレアを形成されてなることを特徴とするものである。
【0020】
本発明の請求項5に係る管体の接続構造が採用した手段は、請求項1乃至4の何れか一つの項に記載の管体の接続構造において、前記第1接合面及び第2接合面の間にシールリングが介装されてなることを特徴とするものである。
【0021】
本発明の請求項6に係る管体の接続構造が採用した手段は、請求項1乃至5の何れか一つの項に記載の管体の接続構造において、前記第1の管体、第2の管体及び接続部材が、接合される前にめっきまたは/及びコーティングからなる表面処理を施されてなることを特徴とするものである。
【0022】
本発明の請求項7に係るホース継手金具が採用した手段は、前記第1の管体が金属管、前記第2の管体がホース継手用金具のニップルであって、前記接続部材にこのニップルと同心状のホース加締部が形成された、請求項1乃至6の何れか一つの項に記載の管体の接続構造を有してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の請求項1に係る管体の接続構造によれば、前記第1開孔部における接続部材の軸心方向一端側の接続部端面を前記接続部材の一端側から他端側へ軸心方向に塑性変形させて第1内周返り部を、前記第2開孔部における接続部材の軸心方向他端側の接続部端面を前記接続部材の他端側から一端側へ軸心方向に塑性変形させて第2内周返り部を同時に形成し、これら接続部材内部に形成された前記接続部の第1内周返り部と第2内周返り部とによって、前記第1周状突出部と第2周状突出部とを両側から挟み込んで接合し、前記第1の管体と第2の管体とが接続されてなるので、先ず前記従来技術1に対しては、ねじ込みやオイル塗布の作業が不要となり、ねじ精度や表面処理の摩擦等の影響を回避できる。また、第1の管体と第2の管体の軸心ずれについても、設備面で対策が取り易い。
【0024】
前記従来技術2に対しては、第1の管体と第2の管体は、コーティング加工品を使用可能なため、耐食性を維持できる。また、従来技術2に係る接合部のろう付は、加工時間が1時間程度と非常に長くなるが、本発明に係る第1接合面と第2接合面の接合は、内周返り部の形成に数秒要するのみである。
【0025】
前記従来技術3に対しては、本発明に係る第2の管体の管端部は、鍛造や切削等により加工することができるため内外径を精度良く加工可能な上、単品で電気めっきを施すことにより耐食性を維持できる。また、この第2の管体の外周にはTDW(二重巻配管)の様な巻面段差が存在しないため、オイル漏れに対して優位性がある。さらに、TDWを縮径することによる巻面段差部における鋼板の剥れといった不具合の恐れがない。従来技術4に対しては、本発明に係る管体の接続構造はねじ部が存在しないため、ねじ込み作業が不要な上、ねじ部が管体の軸心から離れた部位にあるため他部品と干渉するといった不具合が生じないので、配管施工の点から有利である。
【0026】
また、本発明の請求項2に係る管体の接続構造によれば、前記第1周状突出部が、前記第1接合面を有して前記第1の管体から独立した環状シール部材を形成されてなるので、前記第1の管体に第1周状突出部を形成不可能または形成し難い場合でも、本発明の管体の接続構造が適用可能となる。
【0027】
更に、本発明の請求項3に係る管体の接続構造によれば、前記第1接合面及び第2接合面の少なくとも一方がテーパ面を形成されてなるので、接合面における密着性が向上しシール性が良好になる。
【0028】
また更に、本発明の請求項4に係る管体の接続構造によれば、前記第1周状突出部がフレアを形成されてなるので、接合時における前記第1接合面の塑性変形による第2接合面への追従性が向上して、接合面のシール性の信頼度がより向上する。
【0029】
本発明の請求項5に係る管体の接続構造によれば、前記第1接合面及び第2接合面の間にシールリングが介在されてなるので、接合面におけるシール性の信頼度が更に向上する。
【0030】
そして、本発明の請求項6に係る管体の接続構造によれば、請求項1乃至5の何れか一つの項に記載の管体の接続構造において、前記第1の管体、第2の管体及び接続部材が、接合される前にめっきまたは/及びコーティングからなる表面処理を施されてなるので、耐食性の高い管体の接続構造が得られる。
【0031】
一方、本発明の請求項7に係るホース継手金具によれば、前記管体の何れか一方が金属管、他方がホース継手用金具のニップルであって、前記接続部材にこのニップルと同心状のホース加締部を形成された、請求項1乃至6の何れか一つの項に記載の管体の接続構造を有してなるので、上記請求項1乃至6の該当する一つの項に記載の管体の接続構造に記載の効果を有するホース継手金具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造を採用したホース継手金具において、部品組立工程を説明するための説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造を採用したホース継手金具において、管体接合工程を説明するための説明図であって、図(a)は管体接合前、図(b)は管体接合後、図(c)はホース接続後の各状態を示す。
【図3】本発明の実施の形態1における他の態様例Aに係り、図2(c)における管体接合部分を拡大して示す部分拡大断面図であって、接合面が平面の場合を示す。
【図4】本発明の実施の形態1における他の態様例Bに係り、図2(c)における管体接合部分を拡大して示す部分拡大断面図であって、ISOフレア接合の場合を示す。
【図5】本発明の実施の形態1における他の態様例Cに係り、図2(c)における管体接合部分を拡大して示す部分拡大図であって、シールリングとしてシートパッキンを用いた場合を示す。
【図6】本発明の実施の形態1における他の態様例Dに係り、図2(c)における管体接合部分を拡大して示す部分拡大図であって、シールリングとしてOリングを用いた場合を示す。
【図7】本発明の実施の形態2に係り、図2(c)における管体接合部分を拡大して示す部分拡大図であって、第1周状突出部が第1の管体から独立して第1接合面を有した環状シール部材としてオリーブを形成されてなる場合を示す。
【図8】従来技術1に係る継手金具の部分断面図である。
【図9】従来技術2に係り、金属チューブを可撓性ホースに結合するために使用する、ろう付された結合部の断面図である。
【図10】従来技術3に係るブレーキパイプ及び口金具の全体を示す部分断面正面図である。
【図11】従来技術4に係り、図(a)は管体の接続構造の一実施例を示す正断面図、図(b)は図(a)のクランプ部材を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造について、ホース継手金具に採用した態様を例として、理解を容易にするため、先ず添付図1,2を参照しながらその製作手順に沿って説明する。
図1は本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造を採用したホース継手金具において、部品組立工程を説明するための説明図、図2は本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造を採用したホース継手金具において、管体接合工程を説明するための説明図であって、図(a)は管体接合前、図(b)は管体接合後、図(c)はホース接続後の各状態を示す。
【0034】
本発明の実施の形態1に係る管体の接合構造は、略筒形状を有する接続部材3内に、所定長(数100mm程度)を有するパイプ(第1の管体)1の一端側とニップル(第2の管体)2の一端側が当接して接合され、本発明の実施の形態1に係るホース継手金具10として製作される態様を例とする。ここで、略筒形状とは、円形状、多角形状或いは台形状等任意の外形断面形状と、この断面と直交する方向に円形断面の空洞部を有する筒形の形状である。
【0035】
前記パイプ1の材料としては、TDW(JASO M101:二重巻鋼管)、TSW(JASO M101:一重巻鋼管)、STKM(機械構造用炭素鋼鋼管)或いはSTAM(自動車用電縫管)等が、ニップル2用の材料としては、クロムモリブテン鋼(SCM415〜SCM440)、冷間鍛造用炭素鋼(SWCH12〜SWCH20)、機械構造用炭素鋼(S10C〜S45C)或いはSTKM等を用いることができる。また、接続部材3の材料としては、機械構造用炭素鋼(S10C〜S45C)や冷間鍛造用炭素鋼鋼材(SWCH12〜SWCH20)等を用いることができる。
【0036】
パイプ1の一端側にはダブルフレア(第1周状突出部)4が形成されると共に、このダブルフレア4には、先端に向かって凹状のテーパを有する第1接合面4aが設けられている。一方、ニップル2の一端側にはニップル接合部(第2周状突出部)5が形成され、このニップル接合部5には、先端に向かって凸状のテーパを有する第2接合面5aが設けられている。
【0037】
そして、前記第1接合面4aのテーパ角と第2接合面5aのテーパ角とは、傾斜角度が逆向きであって若干異なる角度を有している。即ち、前記第1接合面4aが90度,第2接合面5aが84度のテーパ角度で接合する様に形成されている。この理由は、第2接合面5aにおける凸状のテーパ先端部が、第1接合面4aにおける凹状のテーパ面に食い込み易くするためである。
【0038】
また、前記接続部材3の一端側には、接続部3aが設けられると共に、この接続部3aにおいて接続部材3の一端側から他端側に順に、パイプ外径d1が挿通可能な第1開孔部径d4を有する第1開孔部6と、パイプ1に形成されたダブルフレア外径d2及びニップル2の一端側に形成されたニップル接合部外径d3を挿通可能な第2開孔部径d5を有する第2開孔部7とが同心状に形成されている。図1では、第1開孔部径d4と第2開孔部径d5とが同一孔径である場合を示しているが、これらの孔径d4及びd5は、パイプ1に形成されたダブルフレア外径d2及びニップル2に形成されたニップル接合部外径d3が夫々挿通可能な異なる孔径d4≠d5としても良い。
【0039】
そして、図1に示す如く、接続部材3の接続部3aに設けられた第1開孔部6にパイプ1を他端側から挿通し、図2(a)に示す様に、ダブルフレア4が接続部3aの軸心方向略中間部に位置するよう保持する一方、接続部材3の第2開孔部7に、ニップル2の一端側に形成されたニップル接合部5を挿通して押込むと、パイプ1の第1接合面4aにニップル2の第2接合面5aが当接される。
【0040】
ここで、パイプ1とニップル2の挿入順序、挿入方向は特に限定するものではなく、適宜選択出来る。例えば、接続部3aに設けられた第1開孔部6に接続材3の一端側から前記パイプ1を挿通して、パイプ1の一端側に形成されたダブルフレア4を接続部3aの軸心方向略中間部に位置するよう保持する一方、接続部材3の第2開孔部7に、ニップル2の一端側に形成されたニップル接合部5を挿通して押込んで、パイプ1の第1接合面4aにニップル2の第2接合面5aを当接しても良い。
【0041】
次いで、第1開孔部6における接続部材3の軸心方向一端側の端面の、内周に沿う肉厚t1、即ち、加締工具による接続部財3の一端側からの加締径、加締量を図2(b)に示す如く夫々D1,H1とすれば、(D1−d4)/2=t1を、図2(a)の右向矢印の如く接続部材3の一端側から他端側へ軸心方向に加締め(塑性変形させ)る。それと同時に、第2開孔部7における接続部材3の軸心方向他端側の端面の、内周に沿う肉厚t2、即ち、加締工具による接続部材3の他端側からの加締径、加締量を図2(b)に示す如く夫々D2,H2とすれば、(D2−d5)/2=t2を、図2(a)の左向矢印の如く接続部材3の他端側から一端側へ軸心方向に加締め(塑性変形させ)て、図2(b)に示す如く夫々第1内周返り部6b及び第2内周返り部7aを形成する。
【0042】
その結果、接続部材3内部に形成された接続部3aの第1内周返り部6bと第2内周返り部7aとによって、第1接合面4aと第2接合面5aとを当接して、ダブルフレア4の背面4bとニップル接合部5の背面5bとを両側から挟み込んで接合し、接続部材3内部においてパイプ1とニップル2とが接続されて、本発明の実施の形態1に係るホース継手金具10が得られる。
【0043】
そして、図2(c)に示す如く、このホース継手金具10のニップル2にホース11を差し込んで、接続部材3の加締部3bを外周数箇所から矢印で示す様に求心方向に加締めて、ホース継手金具10とホース11とが接続される。
【0044】
以上の様な管体の接続構造によって、本発明の実施の形態1に係るホース継手金具10によれば、ねじ込みやオイル塗布の作業が不要となり、ねじ精度や表面処理の摩擦等の影響を回避できる。また、パイプ1とニップル2の軸心ずれについても、加締装置等の設備面で対策が取り易い。
【0045】
また、パイプ1やニップル2、接続部材3は、めっき処理品やコーティング加工品を使用可能なため、耐食性を維持できる。例えば、本発明の実施の形態1に係るパイプ1は、亜鉛めっき、錫亜鉛合金めっき、亜鉛−ニッケル合金めっき或いは亜鉛−鉄合金めっき等の電気めっきを施した上に、ポリアミド樹脂やふっ素樹脂等をコーティング可能であり、ニップル2及び接続部材3については、加締以外の事前の部品加工をした後、亜鉛めっき、錫亜鉛合金めっき、亜鉛−ニッケル合金めっき或いは亜鉛−鉄合金めっき等の電気めっきを施すことができる。また、接合部をろう付する場合は、加工時間が1時間程度と非常に長くなるが、本発明の実施の形態1に係る第1接合面4aと第2接合面5aの接合は、加締加工による第1及び第2内周返り部6b,7aの形成に数秒要するのみである。
【0046】
更に、本発明の実施の形態1に係るニップル2は、鍛造や切削等により加工することができるため内外径を精度良く加工可能な上、単品で電気めっきを施すことにより耐食性を維持できる。また、このニップル2の外周にはTDW(二重巻配管)の様な巻面段差が存在しないため、オイル漏れに対して優位性がある。更に、TDWを縮径することによる巻面段差部における鋼板の剥れといった不具合の恐れがない。また、本発明に係るパイプ1とニップル2の接続構造はねじ部が存在しないため、ねじ込み作業が不要な上、ねじ部が管体の軸心から離れた部位にあるため他部品と干渉するといった不具合が生じないので、配管施工の点から有利である。
【0047】
尚、図1,2を参照して説明した上記実施の形態1においては、パイプ1の第1周状突出部4がダブルフレアを形成され、第1接合面4a及びニップル2の第2接合面5aの何れもがテーパ面を形成されたもので説明したが、本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造及びこれを用いたホース継手金具のパイプ1の第1周状突出部4は、フレアではなく、図3に示す如く接合面がニップル接合部5と略同形状の、テーパ面を有していない平面のリング状接合部14でも良い。図3は本発明の実施の形態1における他の態様例Aに係り、図2(c)における管体接合部分を拡大して示す部分拡大断面図であって、接合面が平面の場合を示す。
【0048】
即ち、この図3に示す他の態様例Aでは、パイプ1のリング状接合部14(第1周状突出部4)は、軸心方向に直交するリング状の第1接合面14aと背面14bが形成されると共に、ニップル接合部5も同様に、軸心方向に直交するリング状の第2接合面5aと背面5bが形成されている。そして、前記パイプ1の第1接合面14aにニップル2の第2接合面5aが当接され、接続部材3に形成された接続部3aの第1内周返り部6bと第2内周返り部7aとによって、第1接合面14aと第2接合面5aとを当接して、リング状接合部14の背面14bとニップル接合部5の背面5bとを両側から挟み込んで接合し、接続部材3内部においてパイプ1とニップル2とが接続されている。
【0049】
また、本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造及びこれを用いたホース継手金具は、図示は省略するが第1接合面4a及び第2接合面5aの何れか一方のみがテーパ面であっても良い。本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造またはこれを用いたホース継手金具によれば、第1接合面4a及び第2接合面5aの少なくとも一方にテーパ面を形成することによって、軸心方向の加締力が接合面4a,5aに垂直方向の密着力として分配されるためシール性が良好になる。
【0050】
また、本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造及びこれを用いたホース継手金具は、第1周状突出部4がシングルフレアを形成されていても良い。本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造及びこれを用いたホース継手金具によれば、第1周状突出部4がシングルフレアまたはダブルフレアを形成されているので、接合時における前記第1接合面4aの、塑性変形によるニップル2側の第2接合面5aへの追従性が向上して、両接合面4a,5aのシール性の信頼度がより向上する。
【0051】
図4は、本発明の実施の形態1における他の態様例Bに係り、図2(c)における管体接合部分を拡大して示す部分拡大断面図であって、ISOフレア接合の場合を示す。
【0052】
即ち、この図4に示す他の態様例Bでは、パイプ1のISOフレア15(第1周状突出部4)は、軸心方向にテーパを有するリング状の第1接合面15aと軸心方向に略直交する背面15bが形成されると共に、ニップル接合部5も同様に、軸心方向逆向きに若干異なる角度のテーパを有する、リング状の第2接合面5aと軸心方向に略直交する背面5bが形成されている。
【0053】
そして、前記パイプ1の第1接合面15aにニップル2の第2接合面5aが当接され、接続部材3に形成された接続部3aの第1内周返り部6bと第2内周返り部7aとによって、第1接合面15aと第2接合面5aとを当接して、ISOフレア15の背面15bとニップル接合部5の背面5bとを両側から挟み込んで接合し、接続部材3内部においてパイプ1とニップル2とが接続されている。尚、フレアには、ダブルフレア、シングルフレア及びISOフレアが含まれるが、シール性の安定性の観点より、ダブルフレアまたはISOフレアを選択することが望ましい。
【0054】
更に、図1,2を参照して説明した上記実施の形態1においては、パイプ1の第1接合面4a及びニップル2の第2接合面5aが直接接触して接合面が形成されていたが、本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造及びこれを用いたホース継手金具10は、第1接合面4a及び第2接合面5aの間にシールリングが介装されても良い。本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造及びこれを用いたホース継手金具10において、シールリングを用いた態様例を以下添付図5,6を参照しながら説明する。
【0055】
図5,6は本発明の実施の形態1における他の態様例C,Dに係り、図2(c)における管体接合部分を拡大して示す部分拡大図であって、図5はシールリングとしてシートパッキンを用いた場合、図6はシールリングとしてOリングを用いた場合を夫々示す。
【0056】
図5に示す他の態様例Cは、シートパッキン20が接合部に介装された例である。即ち、この図5に示す態様例は、図3を用いて説明したパイプ1のリング状接合部14(第1周状突出部4)とニップル接合部5との間に、シートパッキン20が介装された例であり、パイプ1の第1接合面14aにニップル2の第2接合面5aがシートパッキン20を介して当接され、接続部材3に形成された接続部3aの第1内周返り部6bと第2内周返り部7aとによって、第1接合面14aと第2接合面5aとを当接して、リング状接合部14の背面14bとニップル接合部5の背面5bとを両側から挟み込んで接合し、接続部材3内部においてパイプ1とニップル2とが接続されている。
【0057】
図6に示す態様例Dは、Oリング21が接合部に介装された例である。即ち、この図6に示す態様例は、パイプ1のOリングフレア16(第1周状突出部4)は、フレア前面のテーパ状の第1接合面16aと折り返したフレアに背面16bが形成されると共に、ニップル接合部5も同様に、Oリングが当接されるテーパを有するリング状の第2接合面5aと軸心方向に略直交する背面5bが形成されている。
【0058】
そして、前記パイプ1の第1接合面16aにOリング21を介してニップル2の第2接合面5aが当接され、接続部材3に形成された接続部3aの第1内周返り部6bと第2内周返り部7aとによって、第1接合面16aと第2接合面5aとを当接してOリングフレア16の背面16bとニップル接合部5の背面5bとを両側から挟み込んで接合し、接続部材3内部においてパイプ1とニップル2とが接続されている。
【0059】
この様なパイプ1とニップル2の接続構造によれば、第1接合面14a,16a及び第2接合面5a,5aの間に、シートパッキン20やOリング21等のシールリングが介装されてなるので、接合面におけるシール性の信頼度が更に向上する。
【実施例】
【0060】
本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造に関し、ホース継手金具に採用した実施例について、以下前図1,2を参照しながら説明する。
上述した本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造及びこれを用いたホース継手金具の製作方法に基づき、下記の通り試作した管体の継手金具に、ホースを加締めて締結したものの耐圧試験を実施した。試作に用いた各部品の条件は、下記の通りである。
【0061】
(1)パイプ
・形状 :図1に示す通り
・材質 :JASO M101 TDW 呼び径4.76mm
・寸法 :外径d1=4.76mm、肉厚0.7mm、
・第1周状突出部のシート形状
:JASO F402 ダブルフレア(IDF)呼び4.75
d2=6.9mm
・表面処理:電気亜鉛めっき25μm+有機被膜(ふっ素樹脂コーティング)
15μm
【0062】
(2)ニップル
・形状 :図1に示す通り
・材質 :S15C
・寸法 :第2周状突出部外径d3=7mm、管部外径3.5mm
・第2周状突出部のシート形状:JASO F402 AS1 呼び4.75
・表面処理:電気亜鉛めっき8μm+有色クロメート(3価クロム仕様)
(3)接続部材
・形状 :図1に示す通り
・材質 :S15C
・寸法 :第1開孔部径d4=7.2mm、第2開孔部径d5=7.2mm、
加締部内径d6=11mm
・表面処理:電気亜鉛めっき8μm+有色クロメート(3価クロム仕様)
【0063】
この様に製作した各部品を、図1,2を用いて説明した製作手順に従って、管体の接続を行なった。その際、図2(b)に示した接続部材3における第1開孔部内周近傍の肉厚t1及び第2開孔部内周近傍の肉厚t2を何れも0.65mm一定値とする一方、第1内周返り部6bを形成する際の加締量H1及び第2内周返り部7aを形成する際の加締量H2を種々変え(表1参照)て加締め、パイプ1とニップル2を接続してホース継手金具10を試作した。これらのホース継手金具10の各ニップル2にホース11を差し込み、接続部材3の加締部3aを外周から求心方向に加締めてホース11を接続した。
【0064】
次いで、上記ホース継手金具10試作品の耐圧試験を行なうため各ホース11を順次耐圧試験装置に接続して、試験流体を注入しつつ加圧し、圧力29.4MPaにて30s間保持して漏れの有無を確認した。この耐圧試験の結果を表1にまとめて示す。
【0065】
この結果によれば、本発明の実施の形態1に係る管体の接続構造及びこれを用いたホース継手金具において、耐圧試験に耐え得るシール性を有する管体の接続構造とするには、上記加締量H1とH2の和、即ち(H1+H2)を0.60mm以上とするのが好ましく、(H1+H2)を0.80mm以上とするのがより好ましいことが分かった。また、第1内周返り部6b及び第2内周返り部7aを形成する際の加締加工のバランス、更には加工後の前記両返り部6b,7aの信頼度のバランスから、前記加締量H1とH2を同程度の値とするのが好ましい。
【0066】
【表1】
【0067】
次に、本発明の実施の形態2に係る管体の接続構造及びこれを用いたホース継手金具を、以下添付図7を参照しながら説明する。図7は本発明の実施の形態2に係り、図2(c)における管体接合部分を拡大して示す部分拡大図であって、第1周状突出部が第1の管体から独立して第1接合面を有した環状シール部材としてオリーブを形成されてなる場合を示す。
【0068】
但し、本発明の実施の形態2が上記実施の形態1と相違するところは、第1周状突出部の構成と、第1周状突出部及びパイプ(第1の管体)の独立構成有無に相違があり、これらの相違以外は上記実施の形態1と全く同構成であるから、上記実施の形態1と同一のものに同一符号を付して、以下その相違する点について説明する。
【0069】
即ち、上記実施の形態1に係る管体の接続構造またはこれを用いたホース継手金具においては、第1周状突出部はダブルフレアを構成すると共に、このダブルフレアはパイプ(第1の管体)と一体的に構成されていたのに対し、本発明の実施の形態2に係る管体の接続構造及びこれを用いたホース継手金具では、第1周状突出部が第1接合面を有した環状シール部材を構成すると共に、この第1接合面を有した環状シール部材はパイプから独立して構成されている。
【0070】
図7に示す態様例では、第1周状突出部4がパイプ1から独立してオリーブ18を形成されている。そして、パイプ1の一端側外周1aとニップル接合部5との間にオリーブ18が介装され、パイプ1の一端側外周1aとニップル2の第2接合面5aがオリーブ18を介して当接され、接続部材3に形成された接続部3aの第1内周返り部6bと第2内周返り部7aとによって、第1接合面18aと第2接合面5aとを当接して、オリーブ18の背面18bとニップル接合部5の背面5bとを両側から挟み込んで接合し、接続部材3内部においてパイプ1とニップル2とが接続されている。
【0071】
従って、本発明の実施の形態2に係る管体の接続構造またはこれを用いたホース継手金具によれば、第1周状突出部4がパイプ1から独立した環状シール部材としてオリーブ18を形成されてなるので、前記パイプ1に第1周状突出部4を形成不可能または形成し難い場合でも、パイプ1とニップル2の接続が可能となる。
【0072】
以上説明した通り、本発明に係る管体の接続構造及びこれを用いたホース継手金具によれば、ねじ込みやオイル塗布の作業が不要となり、ねじ精度や表面処理の摩擦等の影響を回避できる。また、管体同士(例えば、パイプとニップル)の軸心ずれについても、加締装置等の設備面で対策が取り易い。更に、管体やソケットは、めっき処理品やコーティング加工品を使用可能なため、耐食性を維持できる上、接合部の加工は、ろう付の場合は加工時間が1時間程度と非常に長くなるが、本発明の場合は加締加工による内周返り部の形成に数秒要するのみである。
【符号の説明】
【0073】
d1:パイプ外径,
d2:ダブルフレア(第1周状突出部)外径,
d3:ニップル接合部(第2周状突出部)外径,
d4:第1開孔部径,
d5:第2開孔部径,
d6:加締部内径,
D1,D2:加締径,
H1,H2:加締量,
t1:第1開孔部内周近傍の肉厚,
t2:第2開孔部内周近傍の肉厚,
1:パイプ(第1の管体), 1a:一端側外周,
2:ニップル(第2の管体),
3:接続部材, 3a:接続部, 3b:加締部,
4:ダブルフレア(第1周状突出部), 4a:第1接合面, 4b:背面,
5:ニップル接合部(第2周状突出部), 5a:第2接合面, 5b:背面,
6:第1開孔部, 6b:第1内周返り部,
7:第2開孔部, 7a:第2内周返り部,
10:ホース継手金具, 11:ホース,
14:リング状接合部(第1周状突出部), 14a:第1接合面, 14b:背面,
15:ISOフレア(第1周状突出部), 15a:第1接合面, 15b:背面,
16:Oリングフレア(第1周状突出部), 16a:第1接合面, 16b:背面,
18:オリーブ(第1周状突出部), 18a:第1接合面, 18b:背面,
20:シートパッキン, 21:Oリング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略筒形状を有する接続部材内で、第1の管体の一端側と第2の管体の一端側が当接して接合される管体の接続構造であって、
前記第1の管体の一端側に形成された第1周状突出部の軸心方向先端側に第1接合面が設けられる一方、
前記第2の管体の一端側に形成された第2周状突出部の軸心方向先端側に第2接合面が設けられ、
前記接続部材には接続部が設けられると共に、
この接続部は、前記接続部材の一端側から軸心方向に順に、前記第1の管体に形成された第1周状突出部が挿通可能な第1開孔部と、前記第2の管体に形成された第2周状突出部が挿通可能な第2開孔部とが、同一または異なる内径を有して同心状に形成されたものであり、
前記第1開孔部に前記第1の管体の他端側が挿通され、
次いで、前記第2開孔部に前記第2の管体に形成された第2周状突出部が挿通されて、前記第1の管体の第1接合面に前記第2の管体の第2接合面が当接され、
前記第1開孔部における接続部材の軸心方向一端側の接続部端面を前記接続部材の一端側から他端側へ軸心方向に塑性変形させて第1内周返り部を、前記第2開孔部における接続部材の軸心方向他端側の接続部端面を前記接続部材の他端側から一端側へ軸心方向に塑性変形させて第2内周返り部を同時に形成し、
これら接続部材内部に形成された前記接続部の第1内周返り部と第2内周返り部とによって、前記第1周状突出部と第2周状突出部とを両側から挟み込んで接合し、前記第1の管体と第2の管体とが接続されてなることを特徴とする管体の接続構造。
【請求項2】
前記第1周状突出部が、前記第1接合面を有して前記第1の管体から独立した環状シール部材を形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の管体の接続構造。
【請求項3】
前記第1接合面及び第2接合面の少なくとも一方がテーパ面を形成されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の管体の接続構造。
【請求項4】
前記第1周状突出部がフレアを形成されてなることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つの項に記載の管体の接続構造。
【請求項5】
前記第1接合面及び第2接合面の間にシールリングが介装されてなることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つの項に記載の管体の接続構造。
【請求項6】
前記第1の管体、第2の管体及び接続部材が、接合される前にめっきまたは/及びコーティングからなる表面処理を施されてなることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つの項に記載の管体の接続構造。
【請求項7】
前記第1の管体が金属管、前記第2の管体がホース継手用金具のニップルであって、前記接続部材にこのニップルと同心状のホース加締部が形成された、請求項1乃至6の何れか一つの項に記載の管体の接続構造を有してなることを特徴とするホース継手用金具。
【請求項1】
略筒形状を有する接続部材内で、第1の管体の一端側と第2の管体の一端側が当接して接合される管体の接続構造であって、
前記第1の管体の一端側に形成された第1周状突出部の軸心方向先端側に第1接合面が設けられる一方、
前記第2の管体の一端側に形成された第2周状突出部の軸心方向先端側に第2接合面が設けられ、
前記接続部材には接続部が設けられると共に、
この接続部は、前記接続部材の一端側から軸心方向に順に、前記第1の管体に形成された第1周状突出部が挿通可能な第1開孔部と、前記第2の管体に形成された第2周状突出部が挿通可能な第2開孔部とが、同一または異なる内径を有して同心状に形成されたものであり、
前記第1開孔部に前記第1の管体の他端側が挿通され、
次いで、前記第2開孔部に前記第2の管体に形成された第2周状突出部が挿通されて、前記第1の管体の第1接合面に前記第2の管体の第2接合面が当接され、
前記第1開孔部における接続部材の軸心方向一端側の接続部端面を前記接続部材の一端側から他端側へ軸心方向に塑性変形させて第1内周返り部を、前記第2開孔部における接続部材の軸心方向他端側の接続部端面を前記接続部材の他端側から一端側へ軸心方向に塑性変形させて第2内周返り部を同時に形成し、
これら接続部材内部に形成された前記接続部の第1内周返り部と第2内周返り部とによって、前記第1周状突出部と第2周状突出部とを両側から挟み込んで接合し、前記第1の管体と第2の管体とが接続されてなることを特徴とする管体の接続構造。
【請求項2】
前記第1周状突出部が、前記第1接合面を有して前記第1の管体から独立した環状シール部材を形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の管体の接続構造。
【請求項3】
前記第1接合面及び第2接合面の少なくとも一方がテーパ面を形成されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の管体の接続構造。
【請求項4】
前記第1周状突出部がフレアを形成されてなることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つの項に記載の管体の接続構造。
【請求項5】
前記第1接合面及び第2接合面の間にシールリングが介装されてなることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つの項に記載の管体の接続構造。
【請求項6】
前記第1の管体、第2の管体及び接続部材が、接合される前にめっきまたは/及びコーティングからなる表面処理を施されてなることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つの項に記載の管体の接続構造。
【請求項7】
前記第1の管体が金属管、前記第2の管体がホース継手用金具のニップルであって、前記接続部材にこのニップルと同心状のホース加締部が形成された、請求項1乃至6の何れか一つの項に記載の管体の接続構造を有してなることを特徴とするホース継手用金具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−92897(P2012−92897A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240375(P2010−240375)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000233619)株式会社ニチリン (69)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000233619)株式会社ニチリン (69)
【Fターム(参考)】
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