説明

管内ケーブル撤去補助装置および該装置を備える管内ケーブル撤去システム

【課題】地中管内のケーブルの管路内面との固着解消を、高圧水の吹き付けに加えて、繰り返す必要のない機械的にも行ない得るようにする管内ケーブル撤去補助装置を提供すること。
【解決手段】地中管P内の通信ケーブルC周りに噴射ノズル101から高圧水を噴射する管内ケーブル撤去システムの当該作業を補助する収容カゴ11であって、地中管P内に差込可能な外径に形成されているとともにケーブルを内部に挿通可能な内径を有する先端側円筒部12と後端側円環部の間を複数本の連結棒14で連結されて、その先端側円筒部は、連結棒が固設される不動部21と、相対回転自在に連結されている摺接回転部22と、が組み立てられており、摺接回転部の内面には、高圧水を受ける傾斜板25が複数箇所に固設されているとともに、その先端側には鋸歯形状の粉砕歯22bが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管内ケーブル撤去補助装置および該装置を備える管内ケーブル撤去システムに関し、詳しくは、管内に敷設したケーブルの固着を解消して撤去作業を容易化することのできるものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種ケーブルの地中化が進められており、既設のケーブルの耐用期間が近づくなど敷設し直す必要ある場合には、地中管(管路)内から既設ケーブルを撤去する作業をまず行なう。この既設ケーブルの撤去は、マンホールなどを利用して、地中管内から既設ケーブルをウィンチなどを利用して引き抜いて再度敷設する方法が効率よく、できれば採用したい。
【0003】
しかし、この既設ケーブルを敷設した地中管は、密閉処置をしていても多くの場合に土壌成分が浸入して堆積物となっており、その堆積物がケーブルを管路内面に固着させていて引き抜くことを不可能にしている。このため、地中管内の既設ケーブルの張替えは、地中管を埋設している箇所を掘り起こして作業するのが確実であることから、一般的に行なわれている。
【0004】
このことから、地中管内の既設ケーブルの張替え作業において、例えば、特許文献1には、ウォータジェットポンプを接続したノズルを地中管内に差し込んで、高圧水を噴出させつつ、廃水を吸取・回収することが提案されており、高圧水で地中管内の堆積物による既設ケーブルの固着を解消しつつその既設ケーブルを回収・撤去することを可能にしている。
【0005】
また、特許文献2には、その地中管内を走行可能なキャタピラ付き移動装置に、ウォータジェットポンプを取り付けて、そのノズルからの前方への高圧水の噴出で地中管内の堆積物による既設ケーブルの固着の解消と同時に、その高圧水を地中管路内面に向けて回転しつつ噴射することにより、既設ケーブルを切断して回収・撤去可能にすることが提案されている。
【0006】
また、特許文献3には、さらに、そのキャタピラ付きの移動装置の前側に、切断後の短いケーブルを収容する収容体を取り付けることで、短いケーブルを一定量収容する度にその移動装置を後退させることにより、既設ケーブルを切断しての回収・撤去を実現することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−309912号公報
【特許文献2】特開平6−245342号公報
【特許文献3】特開平7−154910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、この特許文献1に記載のような既設ケーブルの回収・撤去では、高圧水を前方に噴射するだけでは、前方に詰まっている状態の堆積物を緩くして貫通する状態にできるにしても、前方が開放している状態では高圧水はそのまま前方に抜けてしまい、ケーブルを管路内面に固着する堆積物を効果的に崩すことができない。このことから、無理にケーブルを地中管内から引き抜こうとしても引き剥がすことができない場合が多い。また、無理に引き抜こうとすると、ケーブルが途中で切れてしまって回収不能になる可能性もある。この場合には、結果的に従来と同様に、地中管を掘り出して既設ケーブルの張替えを行うことになる。
【0009】
また、特許文献2に記載のものでは、高圧水をケーブルに当てたとしても、ケーブル自体も硬質なものであることから切断することは難しく、また、地中管自体を損傷させてしまう可能性がある。
【0010】
さらに、特許文献3に記載のものでは、地中管内のケーブルを切断すること自体が難しいのに加えて、一定量を収容する度に移動装置を後退させるのでは効率は悪く、長距離の管路も存在することから現実的でない。
【0011】
そこで、本発明は、地中管内のケーブルの管路内面との固着解消を、高圧水の吹き付けに加えて、繰り返す必要のない機械的にも行ない得るようにする管内ケーブル撤去補助装置や管内ケーブル撤去システムを提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する管内ケーブル撤去補助装置の発明の一態様は、管路内に敷設されているケーブル周りに液体を噴射して該ケーブルを撤去する管内ケーブル撤去システムの当該ケーブル撤去作業を補助する装置であって、前記管路内に差込可能な外径に形成されているとともに前記ケーブルを内部に挿通可能な内径を有する円筒部材と、該円筒部材の周回箇所に設けられて前記液体の噴射圧力を受けることにより前記円筒部材の少なくとも先端部を軸心回りに回転させる回転部材と、を備えることを特徴とするものである。
【0013】
この発明の態様では、管路内に敷設されているケーブルを円筒部材内に通した状態にしつつ、回転部材が噴射圧力を受けるようにケーブル周りに液体が噴射されると、円筒部材の少なくとも先端部は軸心周りに回転される。したがって、管路内面にケーブルを固着させる堆積物は、高圧液体による噴射圧を受けて崩される(緩くされる)とともに、円筒部材の先端部が機械的に摺接してケーブルとの固着を解消させることができる。
【発明の効果】
【0014】
このように本発明の一態様によれば、地中管の端から円筒部材内に既設のケーブルを通して高圧液体を噴射しつつ内部に進入させて反対側まで進めるだけで(地中管の両端側から作業してもよい)、管路内面に固着するケーブルを解放することができる。したがって、解放されたケーブルを容易に地中管から引き抜いて回収撤去することができ、地中管を掘り起こす作業を行なうことなく、安価に、既設の地中管内にケーブルを新たに敷設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る管内ケーブル撤去補助装置を採用する管内ケーブル撤去システムの第1実施形態を示す図であり、(a)はその管内ケーブル撤去システムの基本構成を示す縦断面図、(b)はそれに管内ケーブル撤去補助装置である収容カゴを追加した構成を示す縦断面図である。
【図2】その収容カゴの要部構成を示す図であり、(a)はその進行方向に対する横方向から見た側面図、(b)はその進行方向側から見た正面図である。
【図3】その収容カゴの先端側構造を示す断面平面図である。
【図4】その収容カゴの先端側構造を示す内面平面図である。
【図5】その収容カゴの後端側構造を示す側面図である。
【図6】本発明に係る管内ケーブル撤去補助装置を採用する管内ケーブル撤去システムの第2実施形態を示す図であり、その管内ケーブル撤去補助装置である収容カゴの後端側構造の進行方向に対する横方向から見た側面図である。
【図7】本発明に係る管内ケーブル撤去補助装置を採用する管内ケーブル撤去システムの第3実施形態を示す図であり、その管内ケーブル撤去補助装置である収容カゴの後端側構造の進行方向に対する横方向から見た側面図である。
【図8】その要部部品を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態の一態様としては、管路内に敷設されているケーブル周りに液体を噴射して該ケーブルを撤去する管内ケーブル撤去システムの当該ケーブル撤去作業を補助する装置であって、前記管路内に差込可能な外径に形成されているとともに前記ケーブルを内部に挿通可能な内径を有する円筒部材と、該円筒部材の周回箇所に設けられて前記液体の噴射圧力を受けることにより前記円筒部材の少なくとも先端部を軸心回りに回転させる回転部材と、を備えるのに加えて、次の構成を備えてもよい。また、この管内ケーブル撤去補助装置が管路内に敷設されているケーブル周りに液体を噴射する噴射部材と共に管内ケーブル撤去システムを構成するようにしてもよい。
【0017】
第1の他の態様としては、前記管内ケーブル撤去システムが前記管路内の前記ケーブルに沿うように差し込む液体噴射ノズルを備えるのに対して、前記液体噴射ノズル付近に連結する連結部材を備えて、該液体噴射ノズルの前記管路内への差込と一緒に当該管路内に進入するようにしてもよい。
【0018】
この態様では、円筒部材を液体噴射ノズルに連結して一緒に既設ケーブルが敷設されている地中管内に進入させることができ、特に移動させる手段を必要とすることなく、その液体噴射ノズルの差込と一緒に円筒部材を地中管内で移動させることができる。
【0019】
第2の他の態様としては、前記円筒部材は、外面側と内面側との間で前記液体の流通を許容するカゴ状に作製されていてもよい。
【0020】
この態様では、円筒部材の内面側から外面側に、また、反対に外面側から内面側に液体を流通させることができ、液体の噴射を妨げることなく、噴射液体を地中管内で流動させて管路内面に吹き付けて堆積物を崩すことができる。
【0021】
第3の他の態様としては、前記円筒部材は、前記管路内の進入方向の前側に、前記ケーブルと当該管路の内面との間の堆積物を掻き崩す粉砕歯を備えていてもよい。
【0022】
この態様では、管路内面にケーブルを固着させる堆積物を円筒部材の粉砕歯を摺接させて効果的に崩すことができ、液体噴射ノズルをスムーズに進めることができる。
【0023】
第4の他の態様としては、前記円筒部材は、前記管路内の進入方向の後ろ側に、前記ケーブルを当該管路の内面から離隔するように保持する保持部材が延在されていてもよい。
【0024】
この態様では、管路内面との固着から解放したケーブルを保持部材により支持することができ、直ちに引き抜くことができない場合でも、再度、管路内面と固着してしまうことを制限することができる。
【0025】
第5の他の態様としては、前記円筒部材は、外周面側に、前記管路の内面に摺接するブラシが設けられていてもよい。
【0026】
この態様では、管路内面にケーブルを固着させていた堆積物にブラシを摺接させて、より多くの堆積物を管路内面から引き剥がすことができ、噴射液体と共に吸引するなどして管路内面を清浄にすることができる。
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1〜図5は本発明に係る管内ケーブル撤去補助装置を採用する管内ケーブル撤去システムの第1実施形態を示す図である。
【0028】
図1において、管内ケーブル撤去システム10は、例えば、マンホールMの間を繋げるように埋設されて通信ケーブルCが敷設されている地中管P内に、その一端側開口Paから差し込んで他端側開口Pbまで進入させる、噴射ノズル(噴射部材)101、吸引ホース108および観察カメラ109の基本構成に加えて、管内ケーブル撤去補助装置を構成する収容カゴ(円筒部材)11を連結して一緒にその地中管P内に差込進入させるようになっている。なお、地中管Pの両端側開口Pa、Pbのそれぞれから噴射ノズル101を差込進入させてもよいことは言うまでもない。
【0029】
管内ケーブル撤去システム10の基本構成としては、図1(a)に示すように、噴射ノズル101がチューブ部材102の先端に回転自在に取り付けられており、チューブ部材102は、屈折する形態に変形し難く、容易に湾曲可能な剛性を有する、樹脂材料により成形されているとともに、後端側に不図示の高圧水供給装置が接続されている。
【0030】
これにより、チューブ部材102は、地中管P内に一端側開口Paから差し込んで進入させる際に折れ曲がってその差込を阻害してしまうことがなく、噴射ノズル101を先頭に維持しつつ他端側開口Pbまで移動させることを容易に実現する。また、このチューブ部材102は、高圧水Wの供給時にはその水圧により直線状になろうとすることから、折れ曲がることなく、より容易に地中管P内に差込進入させることができる。
【0031】
また、噴射ノズル101は、図示することは省略するが、チューブ部材102に供給される高圧水Wを先端面に開口する複数の噴射口101aから吹き出すようになっており、その噴射口の噴射方向がチューブ部材102の延在方向(噴射ノズル101の先端面前方)に対して斜め方向に傾斜されている。
【0032】
これにより、噴射ノズル101は、噴射する高圧水Wの噴射圧(吐出圧)により回転力が加えられて地中管P内で回転することができ、その噴射する高圧水Wを地中管P内面の通信ケーブルCとの間(周り)の土壌成分sなどの堆積物S(図2を参照)に吹き付けて崩すなどして固着力を弱めることができる。
【0033】
吸引ホース108は、チューブ部材102と同様な材料により構成されており、後端側に不図示の吸引装置が接続されているとともに、チューブ部材102と並走するように、先端側が噴射ノズル101の後ろ側に控えつつ地中管P内に差込進入させる。
【0034】
これにより、吸引ホース108は、地中管P内を逆流する、噴射ノズル101から噴射される高圧水や堆積物Sを崩した土壌成分sなどを吸引して回収することができ、マンホールM内に大量の処理水が噴き出して作業の邪魔になってしまうことを回避する。
【0035】
観察カメラ109は、防水機能を備えてチューブ部材102と同様の剛性を有する信号電線Dの先端に配置されており、噴射ノズル101を差し込む前に信号電線Dを地中管P内に進入させて堆積物Sによる詰まり箇所を撮影するなどして把握したり、噴射ノズル101などの反対側から地中管P内に進入させて貫通の有無の観察などを補助的に行うことを可能にする。
【0036】
そして、管内ケーブル撤去システム10の追加構成としては、図1(b)に示すように、収容カゴ11が、チューブ部材102先端の噴射ノズル101を内部に収容する形態になるように、その噴射ノズル101に連結されており、その形態を維持しつつ地中管Pの一端側開口Paから他端側開口Pbに向かって一緒に進入される。
【0037】
収容カゴ11は、図2に示すように、地中管P内に差込可能な外径を有するとともに、内部に噴射ノズル101を挿通して収容する形態で連結可能な内径を有する円筒形状のカゴ状に鋼材などを溶接することにより作製されており、先端側円筒部12と後端側円環部13(図5を参照)の間を複数本の連結棒14で連結することにより、その前後の円筒部12と円環部13の開口面積で内外を連通可能に開口しているとともに、連結棒14間のスリット14aでも内外を連通可能にしている。
【0038】
これにより、収容カゴ11は、収容する噴射ノズル101が噴射口101aから噴射する高圧水Wを、先端側円筒部12の開口や連結棒14間のスリット14aから地中管Pの内面に向けて吹き付けることを妨げることはなく、管内ケーブル撤去システム10の基本構成の機能を確保することができる。
【0039】
ここで、噴射ノズル101は、噴射口101aが配設されている噴射回転部103と、チューブ部材102を連結される連結部104と、が相対回転可能に組み立てられており、連結部104が肉厚のスペーサ105を介して連結棒14にベルト部材(連結部材)106により固定されている。
【0040】
これにより、噴射ノズル101は、連結部104が連結棒14からスペーサ105の厚さ分だけ離隔した位置に固定されることにより、チューブ部材102に収容カゴ11を連結するとともに、噴射回転部103が連結棒14などに接触してしまうことなく噴射口101aからの噴射圧力により自由回転することを確保されている。また、収容カゴ11は、特に動力を用いることなく、噴射ノズル101と一緒に地中管P内にチューブ部材102により進入させることができる。
【0041】
また、収容カゴ11の先端側円筒部12は、連結棒14が固設される不動部21と、この不動部21に対して先端側に位置して同軸に相対回転自在に連結されている摺接回転部22と、が組み立てられている。この収容カゴ11は、図3に示すように、不動部21の先端側には内方に延在する内折円盤形状部21aが一体形成されているとともに、摺接回転部22の後端側にはフランジ形状に形成されて外方に延在する外折円盤形状部22aが一体形成されており、これら円盤形状部21a、22aが互いに対面状態に組立可能な内外径に形成されている。また、不動部21は、摺接回転部22の外折円盤形状部22aを挟む内折円盤形状部21aの反対側の周方向の複数箇所に、突起部材23が溶接などにより固設されている。
【0042】
この先端側円筒部12は、図4に示すように、摺接回転部22の内面に、軸方向に対して傾斜する傾斜板(回転部材)25が複数箇所に溶接などにより固設されており、噴射ノズル101の噴射口101aから噴射される高圧水W(噴射圧力)を、その傾斜面25aで受けるように設定されている。
【0043】
また、この先端側円筒部12は、摺接回転部22の先端側端面が鋸歯形状に形成された粉砕歯22bを備えている。
【0044】
これにより、収容カゴ11は、先端側円筒部12の不動部21(連結棒14)が噴射ノズル101の連結部104に相対回転不能に連結されるとともに、この不動部21に対して摺接回転部22が相対回転自在かつ脱落不能に保持されており、管内ケーブル撤去システム10が噴射ノズル101の噴射口101aから高圧水Wを噴射する際には、その摺接回転部22内面の傾斜板25がその高圧水Wの噴射圧力を受けることになる。このため、収容カゴ11は、図中矢印で示すように、摺接回転部22をその高圧水Wの噴射圧力から逃げる方向に相対回転させることができ、その先端側端辺の粉砕歯22bを周方向に回転させることができる。
【0045】
したがって、管内ケーブル撤去システム10は、収容カゴ11内に噴射ノズル101を固定して、地中管P内の既設の通信ケーブルCの端部を挿通する状態にした後に、その収容カゴ11(噴射ノズル101)を吸引ホース108と共に地中管P内に差し込んで進入させることができ、噴射ノズル101の噴射口101aから高圧水Wを噴射しつつ地中管Pの奥へと進めることができる。
【0046】
このとき、噴射ノズル101の噴射回転部103が噴射口101aから噴射される高圧水Wの噴射圧力により回転して地中管P内面の通信ケーブルCやその周りの堆積物Sにその高圧水Wを吹き付けて粉砕するなど固着力を弱めるのに加えて、収容カゴ11は、摺接回転部22がその高圧水Wの噴射圧力を傾斜板25で受けて回転することができ、地中管P内面と通信ケーブルCとの間に存在する堆積物Sに摺接回転部22の先端側の粉砕歯22bを機械的に摺接させて効果的に粉砕させることができる。
【0047】
このため、高圧水Wのみでは地中管Pの内面との固着を解消することができなかった箇所でも確実にその固着から通信ケーブルCを解放することができ、噴射ノズル101もスムーズに地中管P内のより奥の方に向かって進めることができる。
【0048】
なお、この収容カゴ11は、図5に示すように、後端側円環部13に牽引部26が設けられており、その牽引部26に牽引ワイヤ27を連結することにより、チューブ部材102と一緒に収容カゴ11と噴射ノズル101を牽引して回収することができ、噴射ノズル101の連結部104とチューブ部材102との連結箇所が損傷してしまうことを回避することができる。
【0049】
このように本実施形態においては、地中管Pの端から収容カゴ11内に既設の通信ケーブルCを通して噴射ノズル101の噴射口101aから高圧水Wを噴射しつつ反対側まで送ることができ、このときに、地中管P内面に通信ケーブルCが堆積物Sにより固着していたとしても、その高圧水Wに加えて、収容カゴ11先端で回転する粉砕歯22bが補助して、その堆積物Sを確実に粉砕して解放することができる。したがって、地中管P内に敷設した既設の通信ケーブルCを確実に引き抜いて回収撤去することができ、地中管Pを再度そのまま利用して通信ケーブルCを新たに安価に再敷設することができる。
【0050】
次に、図6は本発明に係る管内ケーブル撤去補助装置を採用する管内ケーブル撤去システムの第2実施形態を示す図である。ここで、本実施形態は、上述の実施形態と略同様に構成されていることから、同様の構成には同一の符号を付して特徴部分を説明する(以下で説明する他の実施形態でも同様)。
【0051】
図6において、管内ケーブル撤去システム10の収容カゴ11は、後端側円環部13の少なくとも2箇所に牽引部26が設けられており、その牽引部26には、可撓性を有するワイヤ32を梯子状に結束した仮置き部材(保持部材)31が連結されている。この仮置き部材31は、チューブ部材102や吸引ホース108と同程度の長さを有して、地中管P内で延在する。
【0052】
これにより、管内ケーブル撤去システム10は、地中管P内面との固着から解放されて収容カゴ11の後端側円環部13から排出される通信ケーブルCを、仮置き部材31が上に乗せる状態で保持することができる。
【0053】
このように本実施形態においては、上述実施形態による作用効果に加えて、引き抜く前の通信ケーブルCを仮置き部材31上に保持させることができ、堆積物Sの土壌成分sなどが残っていたり、外皮が老朽化などしているために、地中管Pの内面に通信ケーブルCが再度固着してしまうことを防止することができる。したがって、通信ケーブルCの引き抜きを後日に行う場合でも、地中管Pの内面に再固着してしまうことを未然に回避して、引き抜き作業を容易に行って通信ケーブルCを確実に回収・撤去することができる。
【0054】
次に、図7および図8は本発明に係る管内ケーブル撤去補助装置を採用する管内ケーブル撤去システムの第3実施形態を示す図である。
【0055】
図7において、管内ケーブル撤去システム10の収容カゴ11は、後端側円環部13にワイヤブラシ41が固設されており、例えば、図8に示すような、芯ワイヤ42から外方にワイヤ線材43が突出するワイヤブラシ41を巻き付けるだけで固設されている。
【0056】
これにより、管内ケーブル撤去システム10は、収容カゴ11を地中管P内の奥へと進める際に、その地中管P内面をワイヤブラシ41を摺接させることができ、残留する堆積物Sの土壌成分sなどをその内面から引き剥がして固着を解消することができる。
【0057】
このように本実施形態においては、上述実施形態による作用効果に加えて、通信ケーブルCの引き抜き後に再度清掃道具を地中管P内に差込進入させて清掃する作業を軽減または省略することができる。したがって、通信ケーブルCの引き抜き後の作業を軽減して作業コストを低減することができるとともに、作業時間も低減することができる。
【0058】
ここで、本実施形態では、収容カゴ11の後端側円環部13にワイヤブラシ41を固設する場合を一例に説明するが、これに限るものではなく、例えば、そのワイヤブラシ41を収容カゴ11の先端側の摺接回転部22の外面に固設して回転させつつ地中管Pの内面を清掃するようにしてもよい。
【0059】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0061】
10 管内ケーブル撤去システム
11 収容カゴ
21 不動部
22 摺接回転部
22b 粉砕歯
25 傾斜板
26 牽引部
27 牽引ワイヤ
31 仮置き部材
41 ワイヤブラシ
101 噴射ノズル
101a 噴射口
102 チューブ部材
103 噴射回転部
104 連結部
105 スペーサ
106 ベルト部材
108 吸引ホース
109 観察カメラ
C 通信ケーブル
M マンホール
P 地中管
S 堆積物
W 高圧水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路内に敷設されているケーブル周りに液体を噴射して該ケーブルを撤去する管内ケーブル撤去システムの当該ケーブル撤去作業を補助する装置であって、
前記管路内に差込可能な外径に形成されているとともに前記ケーブルを内部に挿通可能な内径を有する円筒部材と、該円筒部材の周回箇所に設けられて前記液体の噴射圧力を受けることにより前記円筒部材の少なくとも先端部を軸心回りに回転させる回転部材と、を備えることを特徴とする管内ケーブル撤去補助装置。
【請求項2】
前記管内ケーブル撤去システムが前記管路内の前記ケーブルに沿うように差し込む液体噴射ノズルを備えるのに対して、
前記液体噴射ノズル付近に連結する連結部材を備えて、該液体噴射ノズルの前記管路内への差込と一緒に当該管路内に進入することを特徴とする請求項1に記載の管内ケーブル撤去補助装置。
【請求項3】
前記円筒部材は、外面側と内面側との間で前記液体の流通を許容するカゴ状に作製されていることを特徴とする請求項1または2に記載の管内ケーブル撤去補助装置。
【請求項4】
前記円筒部材は、前記管路内の進入方向の前側に、前記ケーブルと当該管路の内面との間の堆積物を掻き崩す粉砕歯を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の管内ケーブル撤去補助装置。
【請求項5】
前記円筒部材は、前記管路内の進入方向の後ろ側に、前記ケーブルを当該管路の内面から離隔するように保持する保持部材が延在されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の管内ケーブル撤去補助装置。
【請求項6】
前記円筒部材は、外周面側に、前記管路の内面に摺接するブラシが設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の管内ケーブル撤去補助装置。
【請求項7】
管路内に敷設されているケーブル周りに液体を噴射する噴射部材と共に、上記請求項1から6のいずれか1項に記載の管内ケーブル撤去補助装置を備えることを特徴とする管内ケーブル撤去システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−85380(P2013−85380A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223753(P2011−223753)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)