説明

管内計測装置

【課題】計測子をスムーズに配管内で移動させることのできる管内計測装置を提供する。
【解決手段】計測子等の被収容物を収容する収容ケース1と、該収容ケース1の進行方向前側に第1連結部材12を介して連結された第1誘導具3とを備え、前記収容ケース1は、円筒状の胴体部9と、進行方向前側が先細りのテーパ形状に形成された第1テーパ部10とを含み、前記第1誘導具3は、進行方向前側に向かって先細り形状となる円錐形状に形成され、前記収容ケース1と第1誘導具3とは、進行方向に対して傾斜可能で、その中心線同士が交わる最大傾斜角θが80度〜100度の範囲内に設定され、該最大傾斜角θで前記第1誘導具3の基端3a外周部と前記収容ケース1の第1テーパ部10とが当接し、かつ第1連結部材12が両者の間で直線状に張られた状態に設定されることを特徴とする管内計測装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスや水道等の配管内における状態を計測するための管内計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス、水道、下水等の気体、液体又は粉体を流通させる配管の位置を計測したり、配管内の損傷、汚れ、異物進入等の検知を行ったりする方法として、従来、音波・電波等を使用して配管の外部から測定する方法がある。しかしながら、この方法は、配管と計測装置と間の様々な障害物(構築物、土質の影響)により正確に計測できない場合がある。
【0003】
そこで、配管内においてセンサ等の様々な計測子を移動させて計測する技術がある。例えば、特許文献1には、配管の位置を計測するための管路位置計測装置が開示されている。すなわち、特許文献1には、孔の中に挿入する収容ケースに設けられた少なくとも角速度計及び加速度計により角速度データ及び加速度データを得ると共に、前記収容ケースに接続されたケーブルのケーブル速度をケーブル測長器で計測し、前記角速度データ、加速度データ及びケーブル速度を用いて前記孔の経路を演算部にて計測するようにした管路位置計測装置において、前記収容ケースと演算部とは、前記ケーブルによって互いに独立した状態で接続され、前記収容ケースは、前記角速度データ及び加速度データをA/D変換したのみのデジタルデータとして前記ケーブルを経て前記演算部に供給する構成としたことを特徴とする管路位置計測装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、配管の内面の洗浄、点検、検査、予防保全、補修などの作業を行う配管内作業装置が開示されている。すなわち、特許文献2の配管内作業装置は、配管の内面に接地されて、移動可能な2つの走行駆動部と、前記走行駆動部のうち少なくとも1つに設けられた前記作業を行う作業装置と、前記走行駆動部に旋回可能に設けられた回転支持機構部と、前記回転支持機構部を介して、2つの前記走行駆動部をそれぞれ揺動可能に連結し、かつ、これら2つの走行駆動部の接地点の相対距離が前記縦配管の内径よりも大きくなるような長さを有する連結機構と、前記一方の走行駆動部および他方の走行駆動部の回転支持機構部に接続された2つの吊り下げ装置と、を備え、2つの前記走行駆動部を前記縦配管の内面に挿入可能とし、これら2つの走行駆動部によって前記作業装置をこの縦配管の内面に沿って円周方向に移動可能に構成したことを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−170322号公報
【特許文献2】特開2008−229824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように配管内における状態を正確に計測するには、特許文献1の角速度計及び加速度計を備えた収容ケースや、特許文献2の2つの走行駆動部のような計測子を、配管内においてスムーズに移動させる必要がある。
【0007】
しかしながら、例えば図7に示すように、通常、配管2には多くのカーブや折曲部分があるため、そこに計測子を収容した収容ケース20がひっかかってしまう場合がある。そこで、収容ケース20に連結されたワイヤ21を引っ張っても、ワイヤ21の牽引方向Aが収容ケース20の進行方向とほぼ直交する方向に働くため、配管に沿って収容ケース20を前進させることができない。そうすると、所望の情報を計測することができないばかりか、収容ケース20を配管外へ取り出せなくなるおそれがある。また、一旦、収容ケース20を後退させ、勢いをつけて引っ張ることにより、折曲部分を抜け出すことができる場合もあるが、移動速度が速すぎると正確な情報を計測することができない。特に、口径50mm以下の細い配管では、これらの問題が顕著に表れるため、挿通性の問題から配管内において計測子をスムーズに移動させることは実現できていなかった。
【0008】
本発明は、上記に鑑み、計測子をスムーズに配管内で移動させることのできる管内計測装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる管内計測装置は、配管の位置(管路形態)の計測や、配管内の損傷、汚れ、異物進入の有無の計測等の配管内における状態を計測する装置であって、計測子等の被収容物を収容する収容ケースと、該収容ケースの進行方向前側に第1連結部材を介して連結された第1誘導具とを備え、収容ケースは、円筒状の胴体部と、進行方向前側が先細りのテーパ形状に形成された第1テーパ部とを含み、第1誘導具は、進行方向前側に向かって先細り形状となる円錐形状に形成され、収容ケースと第1誘導具とは、進行方向に対して傾斜可能で、その中心線同士が交わる最大傾斜角が80度〜100度の範囲内に設定され、該最大傾斜角で第1誘導具の基端外周部と前記収容ケースの第1テーパ部とが当接し、かつ第1連結部材が両者の間で直線状に張られた状態に設定されることを特徴とするものである。
【0010】
収容ケースは内部が空洞となっており、その空間に被収容物を収容することができる。被収容物としては、配管の位置を計測するセンサ、又は、配管内の損傷、汚れ、異物進入等の検知を行うセンサ等の計測子が挙げられるが、これに限定されるものではなく、配管内の状態を計測できる計測子であればよい。より具体的には、管路形態を計測するジャイロ(角速度計)及び加速度計、水検出センサ、温度センサ、湿度センサ、赤外線センサ、紫外線センサ、微粒子センサ又は撮像カメラ等が挙げられ、目的に応じて1又は2以上を組み合わせて用いることができる。また、配管内の汚れを落とす洗浄手段等の他の物を計測子と一緒に収容ケース内に収容してもよい。
【0011】
収容ケースは、胴体部が円筒状に形成されているので、この長手方向における直線部が配管壁面に沿い、収容ケースが傾きにくくなる。したがって、配管内における計測精度がより高くなる。また、収容ケースの周面には多数の紐状体を植毛する形態としてもよい。植毛を行うことにより、収容ケースの中心を配管の中心に位置させやすくなる。収容ケースが管中心部を移動することにより、特に管路形態を計測する際に正確な値を出すことができる。
【0012】
また、収容ケースは、進行方向前側が先細りのテーパ形状に形成された第1テーパ部を有する。この第1テーパ部により、配管内の凹凸や屈曲等にひっかかりにくくなる。
【0013】
第1誘導具は、進行方向前側に向かって先細り形状となる円錐形状に形成される。先細り形状とすることにより、配管内の凹凸や屈曲等にひっかかりにくく、前進しやすい。
【0014】
収容ケースの進行方向前側の端部と、第1誘導具の大径側の基端とが、第1連結部材を介して連結される。第1連結部材は、収容ケースと第1誘導具の各中心線が同一線上となるように連結する。第1連結部材としては、ケーブル、針金、ワイヤ、紐等が挙げられるが、配管内の形状に応じて屈曲できるものであれば、これに限定されるものではない。
【0015】
また、第1連結部材は、収容ケースと第1誘導具とを進行方向に対して互いに傾斜可能に連結する。その収容ケースと第1誘導具との中心線同士が交わる角度の最大傾斜角は、80度〜100度の範囲内に設定される。第1誘導具の基端外周部と収容ケースの第1テーパ部とが当接し、かつ第1連結部材が両者の間で直線状に張られた状態に設定されることにより、収容ケースと第1誘導具の傾斜が制限され、そのときの角度が最大傾斜角となる。
【0016】
この構成によると、収容ケースよりも進行方向前側を移動する第1誘導具が折曲部分を通過すると、屈曲先の配管壁面に沿うようにして第1誘導具が収容ケースに対して傾斜する。この傾斜の際、第1誘導具の基端に接続された第1連結部材によって、収容ケースには斜め方向に引っ張る力が働くため、収容ケースを折曲部分で通過させやすくなる。このように、第1誘導具により、ワイヤの牽引方向を転換することにより、収容ケースの挿通性を向上させることができる。
【0017】
なお、収容ケース及び第1誘導具の最大傾斜角が80度〜100度の範囲内となるように第1連結部材の長さを設定した場合、第1誘導具によるワイヤの牽引が好ましい方向となり、屈曲部分において収容ケースをスムーズに通過させることができる。収容ケース及び第1誘導具の最大傾斜角が100度よりも大きければ、第1連結部材の長さが短すぎ、第1誘導具による牽引方向が好ましくなく、屈曲部において収容ケースをスムーズに通過させることができない。また、収容ケース及び第1誘導具の最大傾斜角が80度よりも小さければ、第1連結部材が長すぎてしまい、第1連結部材が管内の継手の凹凸や曲がりなどに引っ掛かってしまうおそれがある。また、たとえば挿通できたとしても、その挿通スピードの変化が大きくなり、正確な計測できない。
【0018】
また、進行方向において第1連結部材とは反対側の収容ケースの端部に、第2連結部材を介して第2誘導具を備えるようにしてもよい。第2連結部材としては、ケーブル、針金、ワイヤ、紐等が挙げられるが、配管内の形状に応じて屈曲できるものであれば、これに限定されるものではない。
【0019】
収容ケースは、第2連結部材の方向に向かって先細りとなるテーパ形状に形成された第2テーパ部を含む。また、第2誘導具は、進行方向において収容ケースとは反対方向に向かって先細り形状となる円錐形状に形成され、収容ケースと第2誘導具とは、進行方向に対して傾斜可能で、その中心線同士が交わる最大傾斜角が80度〜100度の範囲内に設定され、最大傾斜角で第2誘導具の基端外周部と収容ケースの第2テーパ部とが当接し、かつ第2連結部材が両者の間で直線状に張られた状態に設定される。
【0020】
この構成によると、第1誘導具及び第2誘導具で収容ケースの前後から支えることができるので、収容ケースの移動性がより高まる。また、管内計測装置を第2誘導具側に移動させるときに、収容ケースをスムーズに移動させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、収容ケースよりも進行方向前側を移動する第1誘導具が折曲部分を通過すると、屈曲先の管壁面に沿うようにして第1誘導具が収容ケースに対して傾斜する。この際、第1誘導具の基端に接続された収容ケースには、斜め方向に引っ張る力が働くため、収容ケースを折曲部分で通過させやすくなる。このように、第1誘導具により、ワイヤの牽引方向を転換することにより、収容ケースの挿通性を向上させることができる。細い配管でも収容ケースを挿通可能とできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の管内計測装置の概略図
【図2】配管を示す図
【図3】本発明の管内計測装置の主要部を示す図
【図4】本発明の管内計測装置の主要部であって、第1誘導具及び第2誘導具が収容ケースに対して傾斜した状態を示す図
【図5】本発明の管内計測装置が配管の折曲部分を通過する状態を示す図
【図6】他の実施形態の管内計測装置の主要部を示す図
【図7】従来の管内計測装置が配管の折曲部分を通過する状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、図1に示すように、収容ケース1内にジャイロ(角速度計)及び加速度計等の計測子(図示せず)を搭載することにより、配管2の位置を計測する形態の管内計測装置3について説明する。なお、「配管」2は、図2に示すような管状のものを意味するが、建造物又は地中などの埋設管に限定されるものではない。また、本発明は、ボーリング等による削孔に対しても適用可能である。
【0024】
図1及び図3に示すように、本実施形態の管内計測装置3は、計測子としてジャイロ及び加速度計等の計測子が収容された収容ケース1と、進行方向において収容ケース1の前後に連結された第1誘導具3及び第2誘導具4と、収容ケース1内の計測子に接続されたケーブル5と、ケーブル5を巻き取り及び巻き出し可能なケーブル巻取器6と、ケーブル巻取器6と第1誘導具3との間に介在して収容ケース1の挿入量(測定点の距離)を計測するケーブル測長器7と、ケーブル測長器7及びケーブル巻取器6に有線又は無線的に接続された制御部8とから構成される。ケーブル巻取器6及びケーブル測長器7の動作は制御部8により制御される。
【0025】
収容ケース1は、円筒状に形成された胴体部9と、進行方向における前後端が先細りのテーパ形状に形成された第1テーパ部10及び第2テーパ部11とを備える。胴体部9、第1テーパ部10及び第2テーパ部11の各境界部分は緩やかな曲線を描いて形成されており、配管内の凹凸や折曲部分にひっかかりにくい。収容ケース1の素材としてはポリアセタールを用いてもよいが、静電気発生を抑えるために、アルミニウムや導電性のある樹脂を用いるのがよい。収容ケース1の内部は空洞に形成され、そのケーシング内にはジャイロ及び加速度計等の計測子が内装される。
【0026】
ジャイロ及び加速度計は、公知のものを用いればよく、例えば、ジャイロとしては、振動ジャイロ、ダイナミックチューンドジャイロ等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0027】
第1誘導具3及び第2誘導具4は、先細り形状となる円錐形状に形成され、収容ケース1を挟んで前後に配される。第1誘導具3及び第2誘導具4の大径の基端3a、4a側が収容ケース1と対向し、先細り部分3b、4bが収容ケース1に対して外側を向くように配置される。また、第1誘導具3及び第2誘導具4の基端周縁はR形状に形成されており、配管内の凹凸や折曲部分にひっかかりにくい。さらに、第1誘導具3及び第2誘導具4は、配管2内を走査するのに摺動性を保持するような素材で構成されるのが好ましく、本実施形態においてはポリ塩化ビニル(PVC)が用いられるが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等の他の滑りの良い材料を用いてもよい。また、第1誘導具3及び第2誘導具4は、収容ケース1を誘導するため、内部の詰まった塊状のものとするのが好ましいが、収容ケース1の誘導性を担保できれば内部を空洞としてもよい。
【0028】
収容ケース1内の計測子に接続されたケーブル5は、収容ケース1の先端から飛び出し、一方の誘導具(本実施形態においては第1誘導具3)の基端の中心から内部を通って先端を貫通することにより、第1誘導具3と収容ケース1とを連結する第1連結部材12となる。このように、第1連結部材12は、収容ケース1及び第1誘導具3の中心軸が一致するように連結する。
【0029】
ケーブル5の内部は、電気ケーブルや必要に応じてカメラケーブル等が配線され、外部は、滑りが良く内部の配線を保護することができるワイヤーブレードで被覆されている。ジャイロ及び角速度計等の計測子やケーブル測長器7からの各種信号は、電気ケーブル5からA/D変換器(図示せず)を介してコンピュータ等の制御部8の演算部8aに伝送され、各種信号に基づいて計測部分の位置が演算され、そして記録される。
【0030】
収容ケース1の他端側にはワイヤ13が接続され、該ワイヤ13は他方の誘導具(本実施形態においては第2誘導具4)の基端中心から内部を通って先端を貫通することにより、第2誘導具4と収容ケース1とを連結する第2連結部材14となる。このように、第2連結部材14は、収容ケース1及び第2誘導具4の中心軸が一致するように連結する。
【0031】
図4に示すように、収容ケース1及び第1誘導具3は、進行方向に対して傾斜可能で、その中心軸を通る中心線同士が交わる角度θの最大傾斜角が80度〜100度の範囲内に設定される。第1誘導具3の基端3a外周部と収容ケース1の第1テーパ部10とが当接し、かつ第1連結部材12が両者の間で直線状に張られた状態となることにより、収容ケース1及び第1連結部材12がストッパーとなり、収容ケース1に対する第1誘導具3の傾斜が制限される。このときの角度θが最大傾斜角となる。
【0032】
また、第2誘導具4についても同様に、収容ケース1及び第2誘導具4は、進行方向に対して傾斜可能で、その中心軸を通る中心線同士が交わる角度θの最大傾斜角が80度〜100度の範囲内に設定される。第2誘導具4の基端4a外周部と収容ケース1の第2テーパ部11とが当接し、かつ第2連結部材14が両者の間で直線状に張られた状態となることにより、収容ケース1及び第2連結部材14がストッパーとなり、収容ケース1に対する第1誘導具3の傾斜が制限される。このときの角度θが最大傾斜角となる。なお、収容ケース1及び第1誘導具3の最大傾斜角度と、収容ケース1及び第2誘導具4の最大傾斜角度は、80度〜100度の範囲内であれば、両者を同一角度としてもよいし、異なる角度としてもよい。
【0033】
収容ケース1、第1誘導具3及び第2誘導具4の大きさと、配管2の大きさとの関係は、配管2内径をdとした場合、下記関係となるように設定するのが、収容ケース1の挿通性を高めるうえで好ましい。
収容ケース1について:外径L1=0.75d、長手方向の長さL2=1.15d以下
第2誘導具4及び第1誘導具3について:基端の外径L3=0.7d、長手方向の長さL4=d
【0034】
上記構成の管内計測装置3を使用する場合についてその一例を説明する。まず、第2誘導具4、収容ケース1及び第1誘導具3を配管2の奥まで送る。その方法としては公知の方法を用いることができる。例えば、第2誘導具4から伸びるワイヤ13の先端にパラシュートを設け、公知のスパイラルフロー方式により、第2誘導具4を先頭に、収容ケース1及び第1誘導具3を配管2の奥まで送ればよい。または、ワイヤ13に自走型のロボットを接続し、配管2の奥まで第2誘導具4、収容ケース1及び第1誘導具3を牽引するようにしてもよい。
【0035】
第2誘導具4、収容ケース1及び第1誘導具3が配管2の奥まで到達した後、ケーブル巻取器6でケーブル5を巻き取ることにより、第1誘導具3を先頭に、収容ケース1及び第2誘導具4を牽引する。このケーブル5巻取機による牽引の際、収容ケース1内の計測子より得られる計測データは、ケーブル5を介して制御部8の演算部8aに送られる。また、ケーブル測長器7により、収容ケース1の挿入量(測定点の距離)を計測し、その結果が制御部8の演算部8aに送られる。これらの値により、公知の実証方法により、配管2の位置を算出する。
【0036】
この際、収容ケース1は、胴体部9が円筒状に形成されているので、この長手方向における直線部が配管壁面に対して沿いやすく、収容ケース1が傾きにくくなる。したがって、配管内の計測精度がより高くなる。
【0037】
また、収容ケース1は、進行方向における前後端が先細りのテーパ形状に形成された第1テーパ部10及び第2テーパ部11を有する。この第1テーパ部10及び第2テーパ部11により、配管2内の凹凸等にひっかかりにくくなり、スムーズに移動することができる。
【0038】
例えば、図5に示すように、屈曲した配管2を上方へ移動する場合、収容ケース1よりも進行方向前側を移動する第1誘導具3が折曲部分を通過すると、屈曲先の配管2壁面に沿うようにして第1誘導具3が収容ケース1に対して傾斜する。この際、第1誘導具3の基端が上方へ持ち上がるため、これに接続された第1連結部材12が収容ケース1を斜め上方向Bに引っ張る。すると、収容ケース1が上方へ移動するため、折曲部分を通過させやすくなる。
【0039】
また、図5に示すように、配管2が2段階の折曲している場合、第2誘導具4の基端が配管2の折曲部に当接することにより、これに連結されたワイヤ(第2連結部材)13が配管2の中心軸に近くなるように位置する。したがって、第1誘導具3及び第2誘導具4の合力によって、収容ケース1の配管2内での姿勢を配管2と並行に保つことができるため、挿通性を向上させることができる。
【0040】
さらにまた、収容ケース1を配管2内で反対方向に移動させる場合には、上記で説明した役割が、第1誘導具3と第2誘導具4との間で交代することになる。したがって、収容ケース1を配管2内で反対方向に移動させても、凹凸や折曲部分をスムーズに移動させることができる。
【0041】
このように、第1連結部材12及び第2連結部材14によるワイヤ13の牽引方向の転換により、収容ケース1の往復移動がスムーズとなる。収容ケース1内の計測子の計測精度を向上させることができる。また、挿通性の向上により、本管内計測装置を口径50mm以下の細管にも好適に用いることができる。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正及び変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では、収容ケース1内にジャイロ(角速度計)及び加速度計を搭載することにより、配管2の位置を計測する形態について説明したが、ジャイロ(角速度計)及び加速度計の代わりに、水検出センサ、温度センサ、湿度センサ、赤外線センサ、紫外線センサ、微粒子センサ又は撮像カメラ(CCDカメラ等)等の他の計測子を、目的に応じて1又は2以上を組み合わせて設けてもよい。配管2内の状態を計測することができる。
【0043】
また、本実施形態においては、第1誘導具3及び第2誘導具4の両方を設ける構成としたが、一方のみを設ける構成としてもよい。
【0044】
さらにまた、図6に示すように、収容ケース1の周面に多数の紐状体15を植毛してもよい。植毛を行うことにより、収容ケース1の中心が配管2の中心に位置しやすくなる。収容ケース1が管中心部を移動することにより、特に管路形態を計測する際に正確な値を出すことができる。
【符号の説明】
【0045】
1 収容ケース
2 配管
3 第1誘導具
4 第2誘導具
5 ケーブル
6 ケーブル巻取器
7 ケーブル測長器
8 制御部
8a 演算部
9 胴体部
10 第1テーパ部
11 第2テーパ部
12 第1連結部材
13 ワイヤ
14 第2連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測子等の被収容物を収容する収容ケースと、該収容ケースの進行方向前側に第1連結部材を介して連結された第1誘導具とを備え、
前記収容ケースは、円筒状の胴体部と、進行方向前側が先細りのテーパ形状に形成された第1テーパ部とを含み、
前記第1誘導具は、進行方向前側に向かって先細り形状となる円錐形状に形成され、
前記収容ケースと前記第1誘導具とは、進行方向に対して傾斜可能で、その中心線同士が交わる最大傾斜角が80度〜100度の範囲内に設定され、該最大傾斜角で前記第1誘導具の基端外周部と前記収容ケースの第1テーパ部とが当接し、かつ前記第1連結部材が両者の間で直線状に張られた状態に設定されることを特徴とする管内計測装置。
【請求項2】
進行方向において前記第1誘導具とは反対側の前記収容ケースの端部に第2連結部材を介して連結された第2誘導具を備え、
前記収容ケースは、前記第2誘導具に向かって先細りのテーパ形状に形成された第2テーパ部を含み、
前記第2誘導具は、進行方向において前記収容ケースとは反対側に向かって先細り形状となる円錐形状に形成され、
前記収容ケースと前記第2誘導具とは、進行方向に対して傾斜可能で、その中心線同士が交わる最大傾斜角が80度〜100度の範囲内に設定され、該最大傾斜角で前記第2誘導具の基端外周部と前記収容ケースの第2テーパ部とが当接し、かつ前記第2連結部材が両者の間で直線状に張られた状態に設定されることを特徴とする管内計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−98125(P2012−98125A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245498(P2010−245498)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000134903)株式会社ニシヤマ (33)