説明

管型電球装置

【課題】管型電球の封止部にかかる外部からの熱膨張の差による応力を抑えて封止部のクラックの発生を防止する。
【解決手段】放射透過性のバルブ12内に内蔵されたフィラメント13の両端を、一対の封止部151,152を介して棒状の一対のアウターリード線181,182に接続する。アウターリード線181,182の各外端部を、バルブ12の一対の封止部151,152から外部へそれぞれ気密に延出され、これら延出端を被取付部に取着するとともに電力が供給される導電性の一対の金属端子板191,192にそれぞれ電気的に接続する。アウターリード線181,182の中間部にはコイル状部201,202を形成する。コイル状部201,202はフィラメント13の点滅による被取付部に熱膨張の差による応力の発生を防止可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機やプリンター等のOA機器の読み取り用やヒータ用の管型白熱電球を好適に取り付けられるようにした管型電球装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の管型電球の技術では、一対の金属端子板を対応の被取付部にねじを用いて固定するときに、回転トルクが一対の外部導入線を介してガラスバルブの一対の封止部端部に負荷がかかりクラックが発生することを防止している。(例えば、特許文献1)
【特許文献1】特開平5−182644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した特許文献1の技術は、白熱電球の点滅による白熱電球とこれが取り付けられる取付部との熱膨張の差による応力が発生し、白熱電球の封止部の破損が発生する問題があり、熱膨張による応力を吸収手段を設置する必要があった。
【0004】
この発明の目的は、管型電球の封止部にかかる外部からの応力を抑えて封止部のクラックの発生を防止した管型電球装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するために、この発明の管型電球装置は、放射透過性のバルブ内に内蔵されたフィラメントの両端を、一対の金属箔を介して所定線径の一対のアウターリード線に接続し、これらアウターリード線の各外端部を、前記バルブの一対の封止部から外部へそれぞれ気密に延出させ、これら延出端を被取付部に取着させるための金属端子板にそれぞれ電気的に接続したものにあって、前記アウターリード線の中間部に、該アウターリード線とは別体あるいは一体のコイル状部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、管型ランプの外部導入線の中間部にバネ形状にしたことにより、管型白熱電球の熱膨張およびアウターリード線が接続された金属端子板が取り付けられる被取付部の熱膨張の差を吸収することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、この発明の管型電球装置の一実施形態について説明するための平面図、図2は図1要部を拡大して示すとともに、管型電球装置が取り付けられた状態を示した平面図である。
【0008】
11は、管型白熱電球の一種であるハロゲンランプであり、例えば定着用等のヒータとして多用され、放射透過性を有する石英ガラス製等のバルブ12を有する。バルブ12は、その内部に耐火性金属の電気抵抗線の一例であるタングステンフィラメント13を熱源として同心状に収容している。このフィラメント13は、バルブ12内で軸方向に複数配設されたアンカー14により、バルブ12に対する同心状態が保持される。また、バルブ12内には、アルゴン等の不活性ガスとともに、所容量のハロゲンガスを封入し、その軸方向両端部を直径方向に圧潰する封止部により矩形扁平状の一対の封止部151,152を形成し、これら封止部151,152内にはバルブ12と膨張係数が近似した導電性の例えばモリブデン(Mo)で形成された矩形箔状の金属箔161,162をそれぞれ埋設している。
【0009】
金属箔161,162は、その内端部に、インナーリード線171,172を介してフィラメント13の軸方向両端を接続する一方、各外端部には、給電のための一対のアウターリード線181,182とをそれぞれ接続している。アウターリード線181,182は、各封止部151,152から気密に外部へ延出している。アウターリード線181,182に、厚さ0.5±0.05mm程度の導電性の金属端子板191,192を、たとえば溶接により固着している。
【0010】
アウターリード線181,182は、直径が0.75mm程度の耐熱性のある例えばモリブデンを使用し、その途中にバネ性を持たすための例えば5ターンで長さL1が4mm程度のコイル状部201,202をそれぞれ形成する。アウターリード線181,182とコイル状部201,202は、一体形成してもよいが、別々に形成した後から溶接等の接着手段で一体化してもよい。
【0011】
金属端子板192は、図1の右側を拡大して示した図2のように矩形状であり、略中央に取付孔212とこの近傍にアウターリード線182が溶接される取付部22、さらに一辺から突設して形成されたファストンタブと言われる接続部23から構成される。金属端子板192は、取付孔212からネジ24を耐熱性で樹脂製の支柱25にネジ止めすることにより固着する。
【0012】
接続部23には、電力を供給させるタブリセプタクルと言われる導電性で扁平な筒状の平型接続子が傾斜部231から挿入されることにより内部に形成した弾性を持たせて形成された突起と係合孔232が嵌合される。
【0013】
なお、金属端子板191も金属端子板192と同様の機能を有し、耐熱性で樹脂製の支柱に取り付けられる。アウターリード線181が溶接された状態の金属端子板191の図示しない支柱に取り付けるねじ孔211は、ハロゲンランプ11の長手方向に長い孔とし、取り付け時の遊びを持たせることで取り付け作業の効率化を図っている。
【0014】
ここで、コイル状部201,202の作用について説明する。コイル状部201,202は、ハロゲンランプ11の点滅によりこれが取り付けられている支柱25との熱膨張の差によりハロゲンランプ11の封止部151,152に応力がかかる。しかしながら、この応力をコイル状部201,202で吸収させることで、かかる応力による封止部に発生するクラックを防止することが可能となる。
【0015】
図3は、定格電圧が100Vで1200Wのハロゲンヒータを熱膨張による応力が吸収できない治具に固定し、定格電圧の120%の熱ストレス試験、15秒オン、45秒オフを10万回繰り返したときの、この発明と従来のハロゲンランプのバルブ破損の状態を調べた結果について説明する説明図である。
【0016】
すなわち、従来のハロゲンランプは、モリブデン製のアウターリード線の線径をφ0.6mm以下とした場合でも破損が生じた。この発明のハロゲンヒータは、モリブデン製のアウターリード線のφ0.6mm程度での破損は生じなかった。アウターリード線の線径がφ0.6mmを越える大きな値では、アウターリード線の途中にコイル状部を形成した場合、コイル状部の剛性が増してハロゲンランプ側で熱膨張の差を吸収できないことを意味している。
【0017】
この実施形態では、ハロゲンランプとこれを取り付ける被取付部とに熱膨張の差があった場合、コイル状部の線径をφ0.6mm程度であればハロゲンランプ側で熱膨張の差をコイル状部で吸収できることから、大型化の要因となっていた被取付部側に熱膨張を吸収する装置を設ける必要がなくなり小形化に寄与することが可能となる。
【0018】
次に、図4〜図7を参照してこの発明の他の実施形態について説明する。図4は図2に相当する拡大して示した平面図、図5は図4の要部の拡大a−a’断面図、図6は図4の要部をさらに拡大して示した平面図、図7は図6の上面図である。
【0019】
図4に示すようにこの実施形態は、コイル状部201,202を収納するための円筒形状の口金41を設けた点が上記の実施形態と異なり、同一の構成部分には同一の符号を付してここでは異なる部分について説明する。なお、図4は図2に相当し、金属端子板191側については同様でありここでの説明は省略する。
【0020】
図5に示すように、アルミナ(Al)やMgO、SiOを主成分とするステアタイトセラミックス等の材料で形成された円筒形状の口金41は底面42を有し、この底面42には中央にアウターリード線182を挿入させる透孔43とこの透孔43に連通し周面まで至る金属端子板192を嵌合させる切込み44を形成する。口金41の開口部45は、図6や図7に示すように封止部152に嵌合させる。これにより口金41を金属端子板192と封止部152との間に取り付ける。
【0021】
口金41は、金属端子板192が経年変化等により垂れ下がったり、捩れたりした場合のコイル状部202を保持することができる。また、金属端子板192を支柱25に取付孔212からネジ24でネジ止め固着するときにコイル状部202の捩れに対する保持にも対応可能となる。
【0022】
この実施形態では、コイル状部202の捩れ等が発生すると口金41の内側にあたりそれ以上はハロゲンランプ11の管軸から外れを抑えることがなくなり、その状態を維持することができる。
【0023】
図8は、この発明の他の実施形態の変形例について説明するための図5に相当する断面図である。上記した口金41と同一の機能の部分には同一の符号を付して説明する。なお、図8は図5に相当し、金属端子板191側の口金についての説明は同様でありここでの説明は省略する。
【0024】
すなわち、上記した口金41は、円筒形状としたがこの場合、封止部152を口金41の開口部45に嵌合させることから、コイル状部202の全周に渡ってコイル状部202の内周面までの距離が同様である。
【0025】
この変形例では、封止部152の形状に合わせて口金81でコイル状部202を保持したものである。コイル状部202の幅L2(図7)に対し、封止部152の対向面が狭い口金81の内側bは若干広めに、対向面が広い口金81の内側cは広めの形状に開口部45が形成されている。このためアウターリード線が内側cの方向の動きに対しては、上記実施形態と同じであるが、狭い内側bの動きに対するコイル状部202の捩れ等をより効果的に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の一実施形態について説明するための平面図。
【図2】図1の要部の拡大平面図。
【図3】この発明の効果について説明するための説明図。
【図4】この発明の他の実施形態について説明するための平面図。
【図5】図4のa−a’断面図。
【図6】図6は図4の要部をさらに拡大して示した平面図。
【図7】図7は図6の上面図。
【図8】この発明の他の実施形態の変形例について説明するための図5に相当する断面図。
【符号の説明】
【0027】
11 ハロゲンランプ
12 バルブ
13 フィラメント
151,152 封止部
161,162 金属箔
181,182 アウターリード線
191,192 金属端子板
201,202 コイル状部
41,81 口金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射透過性のバルブ内に内蔵されたフィラメントの両端を、一対の金属箔を介して所定線径の一対のアウターリード線に接続し、これらアウターリード線の各外端部を、前記バルブの一対の封止部から外部へそれぞれ気密に延出させ、これら延出端を被取付部に取着させるための金属端子板にそれぞれ電気的に接続した管型電球装置において、
前記アウターリード線の中間部に、該アウターリード線とは別体あるいは一体のコイル状部を形成したことを特徴とする管型電球装置。
【請求項2】
前記コイル状部は、前記封止部と前記金属端子板で支持された耐熱性の口金内に配置したことを特徴とする請求項1記載の管型電球装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−35524(P2007−35524A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219828(P2005−219828)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)