説明

管径方向分配クロマトグラフィーを用いた混合物の分離方法

【課題】2種類以上の物質が混合されてなる混合物から各物質を分離可能な管径方向分配クロマトグラフフィー(TRDC)分離方法を提供する。
【解決手段】キャリア溶液として、水と親水性溶媒と疎水性溶媒とからなる三成分系の混合液で、三成分相図における均一‐不均一溶液境界線上又は当該境界線近傍の成分比率を有する均一溶液を用い、当該キャリア溶液を、内径が250μm以下のオープンキャピラリーチューブ内に層流条件下で送液することにより分離を行う。TRDC分離に適したキャリア溶液の流速は0.5〜2.0μL/分であり、親水性溶媒としては、アセトニトリル、1‐プロパノール、エタノール、メタノール、ジオキサンが挙げられ、疎水性溶媒としては、酢酸エチル、1‐ブタノール、クロロホルムが挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管径方向分配クロマトグラフィーを用いた混合物の分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、キャピラリーエレクトロクロマトグラフィー(CEC)、キャピラリー電気泳動(CE)、キャピラリー液体クロマトグラフィー(CLC)、ワイドボア型流体クロマトグラフィーなどに代表されるような内径100μm以下のキャピラリーチューブを用いた分離手法が幅広く研究されている。
【0003】
例えば下記の非特許文献1には、キャピラリー液体クロマトグラフィーにおいて、相溶しやすいキャリア液に塩を添加することにより、層分離しやすい状態にして送液を行なうことが開示されており、キャリア溶液として、アセトニトリル/水=8/2の混合液に0.1MのNaClを添加したものを使用した場合に、親水性物質と疎水性物質との混合物の分離が達成されることが開示されている。しかしながら、このような分離法の場合には、一定時間送液すると、キャピラリーチューブ内に塩が形成されて付着し、層流が乱れたり、管内圧力が上昇して分離性能が低下したり、チューブつまりが起き易い等の問題点があった。又、このような分離法は、水を多く含むキャリア溶液を用いると、親水性物質と疎水性物質との混合物の分離が行なえないという問題点もあった。
【0004】
又、最近では、分離性能が改良されたキャピラリー電気泳動やキャピラリー液体クロマトグラフィー用のキャピラリーカラムとして、中空キャピラリー管の内壁面にイオン交換材等のコーティング層が設けられたものや、内壁面が表面処理されたものや、中空キャピラリー管内にゲルが充填されたもの等が種々使用されてきているが、これらはいずれも高価であるという欠点があった。
このような状況から、安価に混合物を精度良く分離することが可能なオープンキャピラリーチューブによる、混合物からの各物質の分離方法の開発が望まれている。
【0005】
そこで、本願出願人は、下記の特許文献1において、オープンキャピラリーチューブ内に、水‐親水性‐疎水性有機溶媒混合溶液(水‐アセトニトリル‐酢酸エチルの混合溶液)をキャリア溶液として層流条件下で送液することにより混合物の分離を行うキャピラリークロマトグラフィー、即ち、管径方向分配クロマトグラフフィー(Tube Radial Distribution Chromatography; 以下「TRDC」という)を提案した。このTRDCでは、キャピラリー内壁の修飾は行わず、電圧を印加することもなく、また特殊な添加剤(ゲル、界面活性剤、塩等)を使用せずに溶質分離することが可能である。
しかし、これまで、TRDCにより混合物の分離を行うのに最適な水‐アセトニトリル‐酢酸エチル混合溶液の成分割合や、水‐アセトニトリル‐酢酸エチルの混合溶液以外の混合溶液組成については検討されておらず、TRDCによる分離を実施するための条件(流速、圧力等)についても知られていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−249632号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ぶんせき、2003 5、第234〜240頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、キャピラリーの内壁に高価な特殊加工を施す必要がなく、又、電気泳動法のように電圧を印加しなくても混合物の分離が可能で、しかも、ゲル、界面活性剤、塩等の添加剤を必要とせずに、親水性物質と疎水性物質との混合物の分離が達成できる条件下でのTRDC分離方法を提供することを課題とする。
【0009】
本願発明者等は、TRDCによる分離では、キャリア溶液中で大きな組成比を占める溶媒分子はキャピラリー中央部(inner phase)に分配し、小さな組成比を占める溶媒分子は内壁近傍(outer phase)に分配するというキャリア溶液の溶媒組成の不均一化、キャピラリー内で生じたそれぞれの溶媒分子相への溶質の分配、さらに層流条件下における速度分布等が関与すると考え、種々検討を行った結果、キャリア溶液として、水‐親水性‐疎水性有機溶媒からなり、構成溶媒成分の比率が、三成分相図の均一‐不均一溶液境界線上又は当該境界線近傍にある均一溶液を用いることによって、TRDCの分離がうまく行えることを見い出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
2種類以上の物質が混合されてなる混合物から各物質を分離可能な本発明のTRDC分離方法は、キャリア溶液として、水と親水性溶媒と疎水性溶媒とからなる三成分系の混合液で、三成分相図における均一‐不均一溶液境界線上又は当該境界線近傍の成分比率を有する均一溶液を用い、当該キャリア溶液(油水混合キャリア溶液)を、内径が250μm以下のオープンキャピラリーチューブ内に層流条件下で送液することを特徴とする。
【0011】
又、本発明は、上記の特徴を有するTRDC分離方法における前記キャリア溶液の流速が0.5〜2.0μL/分であることを特徴とするものである。
更に、本発明は、上記の特徴を有するTRDC分離方法における前記親水性溶媒が、アセトニトリル、1‐プロパノール、エタノール、メタノール及びジオキサンから成るグループより選ばれたものであり、前記疎水性溶媒が、酢酸エチル、1‐ブタノール及びクロロホルムから成るグループより選ばれたものであることを特徴とするものでもある。
【発明の効果】
【0012】
本発明のTRDC分離方法の場合には、コーティングあるいはパッキング加工処理された高価なオープンキャピラリーチューブを使用しなくても、市販のオープンキャピラリーチューブをそのまま使用することができ、従来の分離方法に比べてコストの点で有利である。又、塩等を添加していないキャリア溶液を使用して混合物の分離が行なえるので、キャピラリーチューブ内に塩が析出せず、オープンキャピラリーチューブを頻繁に交換する必要がなく、経済的である。
そして、本発明では、キャピラリー内壁が親水性である場合にも疎水性である場合にも、キャリア溶液中の溶媒組成分布が生じ、キャリア溶液を構成する溶媒の組成比率を、三成分相図の均一‐不均一溶液境界線上又は当該境界線近傍の成分比率に調節することによって、混合物中の親水性物質と疎水性物質の分離を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のTRDC分離方法を実施するのに適したキャピラリークロマトグラフィー装置の構成の一例を示す図である。
【図2】キャリア溶液である水/アセトニトリル/酢酸エチル混合液の成分比率を変化させた場合の、TRDC分離装置による2,6‐ナフタレンジスルホン酸と1‐ナフトールの混合物の分離結果を示すクロマトグラムである。
【図3】水/アセトニトリル/酢酸エチル混合液についての三成分相図で、点線は、均一‐不均一溶液境界曲線を示しており、実験に用いた混合液を構成する各溶媒の成分比率における、当該混合液を用いた際のTRDC分離装置により得られたクロマトグラムの結果(ピークの分離状態)が「○」、「△」、「×」で示されている。この際、「○」は、ベースラインが完全に分離している、「△」は、分離するが両ピークが一部重なっている、「×」は、分離しない、を意味する。
【図4】水/アセトニトリル/酢酸エチル混合液についての三成分相図における、均一‐不均一溶液境界曲線近傍に位置する成分比率を有した各種混合液(均一溶液)を用いた場合の、TRDC分離装置による2,6‐ナフタレンジスルホン酸と1‐ナフトールの混合物の分離結果を示すクロマトグラムである。
【図5】アセトニトリルの代わりに、他の親水性有機溶媒を使用した場合の、TRDC分離装置による2,6‐ナフタレンジスルホン酸と1‐ナフトールの混合物の分離結果を示すクロマトグラムである。
【図6】酢酸エチルの代わりに、他の疎水性有機溶媒を使用した場合の、TRDC分離装置による2,6‐ナフタレンジスルホン酸と1‐ナフトールの混合物の分離結果を示すクロマトグラムである。
【図7】種々の混合液を使用した場合の、TRDC分離装置による、1‐ナフタレンスルホン酸、1‐ナフトエ酸、1‐ナフトールの混合物の分離結果を示すクロマトグラムである。
【図8】水/アセトニトリル/酢酸エチル混合液についての三成分相図で、図中の曲線は、均一‐不均一溶液境界曲線であり、TRDC分離装置を用いて、2,6‐ナフタレンジスルホン酸と1‐ナフトールの混合物を分析したクロマトグラムの結果(ピークの分離状態)が「○」、「△」、「×」で示されている。
【図9】図8の(a)の組成比を有するキャリア溶液(水:アセトニトリル:酢酸エチル=5:13:7)を用いて、2,6‐ナフタレンジスルホン酸と1‐ナフトールの混合物を分離した結果を示すクロマトグラムである。
【図10】キャピラリーの全長、実効長及び流速を変化させた際の、TRDC分離装置によるペリレン‐エオシンY混合液の分離結果を示す図であり、分離達成の有無が「○」、「×」で示されている。
【図11】本発明の分離方法におけるキャピラリーチューブ内の層流の状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のTRDC分離方法を用いて親水性物質と疎水性物質を含む混合物の分離を行なう際には、キャリア溶液として、水と親水性溶媒と疎水性溶媒とからなる三成分系の混合液が使用され、このような成分から成るキャリア溶液が、内径が250μm以下のオープンキャピラリーチューブ内に層流条件下で送液される。特に好ましい親水性溶媒としては、アセトニトリル、1‐プロパノール、エタノール、メタノール、ジオキサン等が挙げられ、疎水性溶媒としては、酢酸エチル、1‐ブタノール、クロロホルム等が挙げられる。
尚、分離に適したキャリア溶液の流速は0.5〜2.0μL/分であり、流速が0.5μL/分未満になると、キャリア溶液が管軸方向に流れて管径方向への分配が阻害され、逆に流速が2.0μL/分を超えると、せん断応力が大きくなって管径方向におけるずれ応力の変化が増大し、溶媒分子の管径方向への分配が阻害される。
本発明の分離方法にて使用される上記成分からなるキャリア溶液は、三成分相図における均一‐不均一溶液境界線上に位置する成分比率を有した均一溶液であるか、あるいは、当該境界線近傍に位置する成分比率を有した均一溶液である。水‐アセトニトリル‐酢酸エチル混合液の場合、均一‐不均一溶液境界線は、以下の三成分相図における点線で示されるような曲線となる。
〔図3〕


本発明において、均一‐不均一溶液境界線の近傍とは、水をx容積%、親水性溶媒をy容積%、疎水性溶媒をz容積%とした場合(x+y+z=100)の均一‐不均一溶液境界線上の点(x,y,z)から、点(x,y±1,z±1)までの領域を意味する。ポリテトラフルオロエチレン製のオープンキャピラリーチューブを使用し、使用するキャリア溶液が水/アセトニトリル(親水性溶媒)/酢酸エチル(疎水性溶媒)混合液の場合、上記x,y,zの好ましい範囲は、それぞれ15〜92、0〜60、8〜35である。
【0015】
本発明のTRDC分離方法にて使用されるオープンキャピラリーチューブとしては、内径が250μm以下、好ましくは50μm〜100μm程度の内径を有する市販のポリエチレン製、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))製、フューズドシリカ製のオープンキャピラリーチューブが利用できる。
【0016】
本発明のTRDC分離方法を実施するための装置は、図1に示されるように、一定流速でキャピラリー内にキャリア溶液を供給するためのマイクロシリンジポンプと、分離用カラムとしてのオープンキャピラリーチューブと、オープンキャピラリーチューブから排出される排出液中に含まれる物質を検出可能な吸光検出器とを具備する。この際、マイクロシリンジポンプとしては市販品が利用でき、吸光検出器としては、一般に市販の紫外可視分光光度計が使用されるが、化学発光検出器や蛍光分光光度計も使用可能である。
尚、図1に示されるTRDC分離装置には、マイクロシリンジポンプとオープンキャピラリーチューブとを連結するためのジョイントが設けられており、吸光検出器の排出側には、分離された液を回収するための分離液回収部(図示されていない)が存在している。
【0017】
図11は、本発明の分離方法におけるキャピラリーチューブ内の層流条件下での分離挙動を示す図である。
本発明のTRDC分離方法においては、疎水性溶媒(有機相)を多く含むキャリア溶液を使用した場合、キャピラリー内壁付近と中央付近でキャリア溶液中の不均一な溶媒組成分布が生じて有機相がキャピラリーの中心部を流れ、水(水相)がキャピラリー内壁に沿って流れ、キャピラリー内壁に沿って流れる水相が、キャピラリーの中心部分付近の有機相よりも遅く移動することにより、有機相に存在し平均流速で移動する疎水性物質の移動速度に比べて、水相に存在する親水性物質の移動速度の方が遅く、両物質の分離に必要な移動速度の差が得られて両物質の分離が達成される。
これとは逆に、水(水相)を多く含むキャリア溶液を使用した場合、キャピラリー内壁付近と中央付近でキャリア溶液中の不均一な溶媒組成分布が生じて水相がキャピラリーの中心部を流れ、疎水性溶媒(有機相)がキャピラリー内壁に沿って流れ、キャピラリー内壁に沿って流れる有機相が、キャピラリーの中心部分付近の水相よりも遅く移動することにより、水相に存在し平均流速で移動する親水性物質の移動速度に比べて、有機相に存在する疎水性物質の移動速度の方が遅く、両物質の分離に必要な移動速度の差が得られて両物質の分離が達成される(図11参照)。
【0018】
このように、本発明では、親水性物質と疎水性物質の種類に応じて、キャリア溶液の組成比が適宜選択でき、水を多く含むキャリア溶液を用いた場合と、疎水性溶媒を多く含むキャリア溶液を用いた場合とで、分離液中の物質の溶出順序を変えることができる。即ち、水を多く含むキャリア溶液を用いた場合には疎水性物質よりも親水性物質の方が早く溶出され、疎水性溶媒を多く含むキャリア溶液を用いた場合には親水性物質よりも疎水性物質の方が早く溶出される。
以下、本発明の実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0019】
実施例1:2,6−ナフタレンジスルホン酸と1−ナフトールとの混合物についての分離実験(I)
分離カラムとして、ポリテトラフルオロエチレン製のオープンキャピラリーチューブ(内径:100μm、全長:120cm、有効長:100cm、ヤサカ工業製)を準備し、このキャピラリーチューブを、マイクロシリンジポンプ(MF-9090、Bioanalytical Systems, Inc.製)及び、検出器としての吸収スペクトル測定装置(改良SPD-10AV分光光度計、島津製作所製)と接続し、図1に示される構成を有したTRDC分離装置を作製した。
上記のキャピラリーチューブの温度は、キャピラリーチューブ(約80cm)を、ビーカー中で一定温度(15℃)に保たれた水の中に撹拌しながら浸すことにより制御した。様々な容積比を有する水−親水性/疎水性有機溶媒混合溶液をキャリア液として使用し、分析対象物溶液は、キャリア液を用いて調製した。
【0020】
分離実験を行う際、分析対象物溶液は、重力法(20cmの高さで30秒間)によりキャピラリーの注入口側に直接導入した。分析対象物の注入後、キャピラリー注入口は、ジョイントを介してマイクロシリンジに接続した。シリンジはマイクロシリンジポンプ上に配置した。キャリア液を2.0μL/分の流量でキャピラリーチューブ内に供給し、層流条件下で分離実験を行なった。分離された物質を検出するための紫外線波長は320nmとした。
キャリア溶液として用いた水は、ELIX UV 3システム(Millipore Co., Billerica, MA)により精製したものであり、1−ナフトール、1−ナフトエ酸、1−ナフタレンスルホン酸、2,6−ナフタレンジスルホン酸、アセトニトリル、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、1−ブタノール、クロロホルム及びヘキサンについては、和光純薬工業株式会社製の市販品(分析用グレード)を使用した。
【0021】
まず最初に、水−アセトニトリル−酢酸エチル混合キャリア液の様々な成分比における予備実験を行った。
100:20の容積比の水−アセトニトリル(親水性)の一定の成分比を有する溶液に、反応容器中、酢酸エチル(疎水性)を22℃の温度で添加して、以下の組成のキャリア液a)〜e)を調製した。
a)100:20:0の容積比の水−アセトニトリル−酢酸エチル;b)100:20:4の容積比;c)100:20:9の容積比;d)100:20:10の容積比;およびe)100:20:11の容積比。
キャリア液a)〜d)は均質であったが、キャリア液e)は、異質(2つの均質層を含む)であった。容積比が100:20:10の水−アセトニトリル−酢酸エチルのキャリア液d)は、相図の均一‐不均一溶液境界領域の近くの溶媒の成分比を有した特定の均質溶液であった。2,6−ナフタレンジスルホン酸と1−ナフトールの分析対象物混合物(各2mM)について、4つの均質キャリア液a)〜d)を用い、前記TRDC分離装置により分離実験を行った。
【0022】
図2は、キャリア液として水−アセトニトリル−酢酸エチル混合物の様々な成分比を用いるTRDC分離装置による2,6−ナフタレンジスルホン酸および1−ナフトール混合物のクロマトグラムである。尚、図3の相図には、実験に使用したキャリア液a)〜d)の成分比がプロットされている。
図2に示されるように、容積比が100:20:10の水−アセトニトリル−酢酸エチルである特定の均質キャリア液d)だけが、混合物中の分析対象物を分離することができた。2,6−ナフタレンジスルホン酸(親水性)が、層流条件下にて略平均線速度でキャピラリーチューブ中に最初に溶出され、1−ナフトール(親水性)が、平均線速度よりも遅い速度で2番目に溶出された。
本発明のTRDC分離方法にて使用される分離装置では、水過剰のキャリア液を用いた場合に、キャピラリー内の主要な内側相が、水過剰の溶媒で形成され、小さい方の外側相またはキャピラリー壁相が、疎水性有機溶媒過剰の溶媒で形成され、キャピラリーチューブを通して送達された分析対象物は、層流条件下で内層と外層の間に分配されて分離される。図2の結果から、上記d)以外の、水−アセトニトリル−酢酸エチルからなる均質なキャリア液a)〜c)はいずれも、上記の分析条件下では、分析対象物に対していかなる分離挙動も示さないことがわかった。
【0023】
実施例2:2,6−ナフタレンジスルホン酸と1−ナフトールとの混合物についての分離実験(II)
水−アセトニトリル(親水性有機溶媒)−酢酸エチル(疎水性有機溶媒)の3成分系混合物についての相図を検討し、TRDC分離に必要な成分比を調査した。分離実験の条件は、前記実施例1と同様とした。
図3は、水−アセトニトリル−酢酸エチル混合液に対する相図と、上記TRDC分離装置を用いて得られたクロマトグラムについての溶媒成分比である。図中の点線による曲線は、均一‐不均一溶液の境界(均質相と異質相との間の境界)を示している。この相図は、溶媒の各成分比によって、均質溶液(1つの均質層)または異質溶液(2つの均質層)が形成されることを示しており、図2及び図4にクロマトグラムが示されたキャリア液a)〜d)およびf)〜k)についての溶媒の成分比が、図3中にプロットされている。図3中の○印、△印、×印は、分析対象物に対するベースライン分離、スプリット分離、非分離をそれぞれ示している。
【0024】
キャリア液a)〜d)およびf)〜k)はいずれも水−アセトニトリル−酢酸エチル混合液であり、各キャリア液の組成は、a)100:20:0の容積比(即ち83:17:0)、b)100:20:4(即ち81:16:3)の容積比、c)100:20:9(即ち78:16:7)の容積比、d)100:20:10(即ち77:15:8)の容積比、f)100:0:9(即ち92:0:8)の容積比、g)80:20:9(即ち73:18:8)の容積比、h)60:40:12.5(即ち53:36:11)の容積比、i)50:50:17(即ち43:43:15)の容積比、j)30:70:33(即ち23:53:25)の容積比、およびk)14.5:50:50(即ち13:44:44)の容積比である。
尚、図4には、図3の相図における均一‐不均一溶液境界線の近傍に位置する溶媒の成分比を有する均質なキャリア液を用いて得られたクロマトグラムが示されている。分析対象物は、2,6−ナフタレンジスルホン酸と1−ナフトールの混合物(各2mM)であり、キャピラリーチューブ温度は0℃とした。
図4の結果から、2,6−ナフタレンジスルホン酸と1−ナフトールは、f)〜i)のキャリア液ではこの順序で溶出したが、j)のキャリア液では、逆の順で溶出した。
【0025】
上記実施例1及び2の実験結果(図2〜図4)から明らかなように、相図における均一‐不均一溶液境界線上又は近傍に位置する溶媒の成分比を有する特定の均質なキャリア液によるTRDC分離方法を用いることにより混合物の分離が可能である。このような特定の組成を有したキャリア液は、層流条件下において、キャピラリーチューブでのキャリア溶媒の管径方向分配を引き起こす。尚、層流条件下でのキャピラリーチューブ内のキャリア液にかかる圧力は、キャリア液をバッチ容器中の均質液から異質液に変えることがあり、キャピラリーチューブ内の溶媒の管径方向分配に影響を及ぼす。
水過剰のキャリア液(水>疎水性溶媒)の場合には、親水性の分析対象物は、水過剰の主要相(キャピラリーチューブの中央の周り)に分散されており、略平均線速度で溶出されるが、疎水性分析対象物は、チューブ(擬似固定相)の内壁近くの小さな有機溶媒過剰相に分散されており、平均線速度より遅い速度で溶出される。一方、有機溶媒過剰のキャリア液(水<疎水性溶媒)の場合には、有機溶媒過剰の主要相に分散された疎水性分析対象物は、平均線速度で溶出されるが、チューブの内壁近くの小さな水過剰相(擬似固定相)に分散された親水性分析対象物は、平均線速度より遅い速度で溶出される。これにより、分析対象物の溶出時間は、キャリア液の溶媒の成分比を変更することによって容易に逆にすることができる。実際、図4では、水過剰のキャリア液(f〜i)の場合は、2,6−ナフタレンジスルホン酸、1−ナフトールの順序で分離した。有機溶媒過剰のキャリア液(j)の場合には、逆の順序で分離したが、本分析条件下ではベースラインの分離は達成できなかった。
【0026】
実施例3:アセトニトリル以外の他の親水性溶媒を用いたキャリア溶液による、2,6−ナフタレンジスルホン酸と1−ナフトールとの混合物についての分離実験(III)
アセトニトリル(親水性有機溶媒)の代わりに、メタノール、エタノール、1,4−ジオキサン及び1−プロパノールを用い、均一‐不均一溶液境界領域の近くの溶媒の特定の成分比を有する均質な3成分系混合キャリア液を調製し、キャリア溶液として使用した。
実験に用いたキャリア溶液の溶媒成分比は、以下の通りである。
i)水−メタノール−酢酸エチル(100:20:15の容積比)
ii)水−エタノール−酢酸エチル(100:20:15の容積比)
iii)水−1,4−ジオキサン−酢酸エチル(100:5:10の容積比)
iv)水−1−プロパノール−酢酸エチル(100:10:11の容積比)
キャリア溶液の組成を変更した以外の分離実験条件は、前記実施例1と同様とした。
図5は、アセトニトリルの代わりに様々な親水性有機溶媒を用いた場合の、TRDC分離装置によって得られた2,6−ナフタレンジスルホン酸と1−ナフトールの混合物のクロマトグラムであり、水−アセトニトリル−酢酸エチル混合物(100:20:10の容積比)のクロマトグラムと共に示されている。
図5のクロマトグラムから、2,6−ナフタレンジスルホン酸と1−ナフトールは、様々な親水性有機溶媒により調製された水過剰のキャリア液を使用した場合にも、この順序で分離、検出できることが確認された。
【0027】
実施例4:酢酸エチル以外の他の疎水性溶媒を用いたキャリア溶液による、2,6−ナフタレンジスルホン酸と1−ナフトールとの混合物についての分離実験(IV)
酢酸エチル(疎水性有機溶媒)の代わりに、クロロホルム、ヘキサン及び1−ブタノールを用い、均一‐不均一溶液境界領域の近くの溶媒の特定の成分比を有する均質な3成分系混合キャリア液を調製し、キャリア溶液として使用した。
実験に用いたキャリア溶液の溶媒成分比は、以下の通りである。
v)水−アセトニトリル−ヘキサン(100:30:1の容積比)
vi)水−アセトニトリル−クロロホルム(100:30:1の容積比)
vii)水−アセトニトリル−1−ブタノール(100:15:20の容積比)
キャリア溶液の組成を変更した以外の分離実験条件は、前記実施例1と同様とした。
図6は、酢酸エチルの代わりに様々な疎水性有機溶媒を用いた場合の、TRDC分離装置によって得られた2,6−ナフタレンジスルホン酸と1−ナフトールの混合物のクロマトグラムであり、水−アセトニトリル−酢酸エチル混合物(100:20:10の容積比)のクロマトグラムと共に示されている。
図6のクロマトグラムから、2,6−ナフタレンジスルホン酸と1−ナフトールは、疎水性有機溶媒としてクロロホルム又は1−ブタノールを用いて調製された水過剰のキャリア液を使用した場合には、この順序で分離されたが、しかし、本分析条件下でヘキサンを使用したキャリア液の場合には分離されず、この理由としては、ヘキサンの分子構造がアルキル鎖として長いこと、また疎水度が大きいことが考えられる。
【0028】
実施例5:3種類の化合物を含む混合溶液の分離実験
3種類の化合物を含む分析対象物として、1−ナフタレンスルホン酸、1−ナフトエ酸及び1−ナフトールの混合溶液(各2mM)を調製し、水過剰の組成を有する均質なキャリア液を用いて分離実験を行なった。キャリア液には、水−アセトニトリル−酢酸エチル(100:20:10の容積比)、水−エタノール−酢酸エチル(100:20:15の容積比)、および水−アセトニトリル−クロロホルム(100:30:1の容積比)を使用した。これらのキャリア液はいずれも、分離に適した均質なキャリア液が均一‐不均一溶液の境界領域近傍にあるとの考えに基づいて調製されたものである。
図7には、1−ナフタレンスルホン酸、1−ナフトエ酸及び1−ナフトールの混合液を分析対象物溶液として、TRDC分離装置により得られたクロマトグラムが示されている。分離実験の条件については、前記実施例1と同様とした。
図7に示されるように、上記の分離実験では、いずれのキャリア溶液の場合にも、1−ナフタレンスルホン酸(pKa 0.57)、1−ナフトエ酸(pKa 3.70)及び1−ナフトール(pKa 9.34)は、この順序で溶出し、水過剰のキャリア液によってこれら化合物が分離できることがわかった。1−ナフタレンスルホン酸が、層流条件下で略平均線速度で溶出する一方、他の化合物(1−ナフトエ酸及び1−ナフトール)は、平均線速度より遅い速度でこの順に溶出した。1−ナフタレンスルホン酸、1−ナフトエ酸及び1−ナフトールの溶出順序は、それらの分子構造またはpKa値に基づく親水性または疎水性を考慮すると、妥当なものであった。
【0029】
上記実施例1〜5の実験結果より、水と親水性溶媒と疎水性溶媒とからなる三成分系の混合液の管径方向分配は、キャピラリーチューブ内において層流条件下で起こり、充填剤の使用や、高電圧の適用を行わなくても、特定の組成を有したキャリア溶媒流を利用することによって達成されることがわかった。又、水−アセトニトリル−酢酸エチル混合物を用いた上記実験から、特に適したキャリア溶液は、三成分相図の均質−異質溶液の境界曲線上又はその近傍に位置する溶媒成分比を有した均質溶液であることが確認された。そして、水−アセトニトリル−酢酸エチル混合物以外の水−親水性/疎水性有機溶媒混合溶液も、本発明のTRDC分離方法に使用できることがわかった。
【0030】
実施例6:TRDCによる分離を実施するのに適したキャリア溶液(水-アセトニトリル-酢酸エチル系)組成比の検討
内径50μm、長さ120 cm (実効長100 cm)のフューズドシリカキャピラリーチューブを使用し、マイクロシリンジポンプによりキャリア溶液を送液し、UV吸光検出器 (254 nm)で検出を行った。上記キャピラリーは20℃の水に50 cm浸し、温度制御をおこなった。1‐ナフトールと2,6‐ナフタレンジスルホン酸の2成分をキャリア溶液で調製して試料溶液とし、水‐アセトニトリル‐酢酸エチル系キャリア溶液の組成比を変えて分離実験を行った。
図8は、水-アセトニトリル-酢酸エチル三成分相図であり、図中の曲線は均一な1相と不均一な2相との境界を示している。そして、この三成分相図中には、フューズドシリカキャピラリーチューブを使用し、1‐ナフトールと2,6‐ナフタレンジスルホン酸の混合試料を分析した際のクロマトグラムの結果が記号で示されており、○は、完全分離、△は、分離はするが両ピークが一部重なっている、×は、分離しない、を表している。
【0031】
図9は、組成比(a)のキャリア溶液(水-アセトニトリル-酢酸エチル;容積比5:13:7)を用いて、1‐ナフトールと2,6‐ナフタレンジスルホン酸の混合試料を分析した際のクロマトグラムである。図9に示されるように、有機溶媒過剰(水<疎水性溶媒)のキャリア溶液を用いた場合では、疎水性の1‐ナフトールが平均流速付近で、続いて親水性の2,6‐ナフタレンジスルホン酸がそれより遅れて検出された。
このキャリア溶液にアセトニトリルを加えていくと、分離度は徐々に低下し、組成比(b)のキャリア溶液では分離することができず、これらの実験結果から、TRDCによる分離を行うのに適したキャリア溶液は、均一な溶液で、しかも、相図中の境界領域近傍の組成を有するものであることが示唆された。
【0032】
実施例7:TRDCによる分離メカニズムの確認実験
TRDCによる分離メカニズムを調べるために、異なる蛍光波長を持つ2種類の蛍光試薬が、キャピラリーチューブ内でどのように分配されているか蛍光顕微鏡にCCDカメラを取り付けたシステムにより観測した。
キャリア溶液には、ペリレン(0.1mM)とエオシンY(1mM)を水‐アセトニトリル‐酢酸エチル(容積比3:8:4または容積比15:3:2)に溶解したものを用いた。それぞれのキャリア溶液は直接ポンプによってフューズドシリカキャピラリー(内径75μm、全長110cm、実効長90cm)にポンプによって送液した。キャピラリー内でのキャリア溶液中の蛍光試薬を蛍光顕微鏡(Olympus BX51)にカラーCCDカメラ(東芝 IK-TU50)を取り付けたシステムによって観察した。
【0033】
水‐アセトニトリル‐酢酸エチルを容積比3:8:4(有機溶媒過剰)および15:3:2(水過剰)の割合で混合したキャリア溶液をフューズドシリカキャピラリー内に送液したときの蛍光画像の観測から、有機溶媒過剰なキャリア溶液を用いた場合、管中央部に疎水性の蛍光試薬として用いたペリレンの青色が観察され、内壁近傍に親水性の蛍光試薬として用いたエオシンYの緑色が観察され、このことから、管中央部に有機溶媒を過剰に含む相が形成され、内壁近傍に水を過剰に含む相が形成されることが確認された。又、水過剰なキャリア溶液を用いた場合、ペリレンは疎水度が高く溶けないため、エオシンYのみを溶解して用いた。
有機溶媒過剰のキャリア溶液を用いた場合と、水過剰なキャリア溶液を用いた場合の、エオシンYの管内での分配状態には明らかな差が見られ、両者の比較から、水‐親水性‐疎水性有機溶媒の混合溶媒をキャピラリー中に送液するとキャリア溶液中で大きな組成比を占める溶媒分子は、管中央部領域で溶媒クラスター相を形成し、小さな組成比を占める溶媒分子は、溶媒クラスター相を内壁付近で形成し、ここに溶質を混合溶媒と共に通過させるだけで、溶質のそれぞれのクラスター相に対する親和性の違いに基づき選択的に溶媒和され、分離が達成されるというTRDCの分離メカニズムが確認された。
【0034】
実施例8:TRDCを実施するのに適した流速及び圧力の検討
水‐アセトニトリル‐酢酸エチルを容積比3:8:4で混合した有機溶媒過剰なキャリア溶液及び、内径75μmのフューズドシリカキャピラリーチューブを用いてTRDCにおける流速と圧力の影響について検討した。キャピラリーの全長(110, 290, 350, 500cm)、実効長(90, 60, 30cm)および流速(0.1-3.0μL/min)を変化させた。検出部にかかる圧力をハーゲン・ポアズイユの式より求め、流速と圧力の関係をプロットした結果を図10に示す。この図において、( )内には使用したキャピラリー条件が記載されており、例えば全長が110cmで、実効長が90cmである場合を(110-90)と表記している。
図10の結果から、流速0.5-2.0μL/minの範囲内では管径方向への分配(相形成)が確認されたが、流速0.1-0.2μL/minおよび2.5-3.0μL/minの範囲では管径方向への分配(相形成)は確認されなかった。また、相形成が確認された圧力の範囲は1.017×105〜2.404×105 Paであった。
流速0.1-0.2μL/minの範囲では、キャリア溶液が管径方向ではなく管軸方向ヘプラグ状になって流れることから、このように流速の遅いときは表面張力の影響により相が形成されないものと考えられる。また、流速2.5-3.0μL/minの範囲においては、疎水性の蛍光試薬として用いたペリレンの青色と親水性の蛍光試薬として用いたエオシンYの緑色が混ざり合ったような状態が観測された。これは、流速が速くなるとせん断応力が大きくなり、すなわち、管径方向におけるずれ応力の変化が増大し、溶媒分子の管径方向への分配を阻害するためであると考えられる。
【0035】
以上のことから、本発明のTRDC分離方法を実施する際の最適流速は0.5-2.0μL/minの範囲であることがわかった。
又、上記実験から、管内で相が形成されるには、圧力および流れが必要であり、流速が速くなると管内で生じるせん断応力が大きくなり、管内で形成していたキャピラリー中央部と内壁近傍が崩れ、キャリア溶液が均一になることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のTRDC分離方法の場合、キャピラリーチューブの内壁に特殊な加工を施さなくても、市販されているオープンキャピラリーチューブをそのまま利用して混合物の分離を実施することができる。
又、本発明で使用されるキャリア溶液には塩が含まれていないので、キャピラリーチューブ内での塩析出の恐れがなく、水‐親水性溶媒‐疎水性溶媒三成分相図における均一‐不均一溶液境界線から、分離に適したキャリア溶液の組成比を適宜選択(水と親水性溶媒と疎水性溶媒の組成比率を調節)することによって種々の混合物の分離が行なえる。
本発明のTRDC分離方法では、当該組成比率を変更することで親水性物質と疎水性物質の溶出順序を変えることもでき、産業上非常に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オープンキャピラリーチューブを用いて2種類以上の物質が混合されてなる混合物から各物質を分離する方法であって、キャリア溶液として、水と親水性溶媒と疎水性溶媒とからなる三成分系の混合液で、三成分相図における均一‐不均一溶液境界線上又は当該境界線近傍の成分比率を有する均一溶液を用い、当該キャリア溶液を、内径が250μm以下のオープンキャピラリーチューブ内に層流条件下で送液することを特徴とする管径方向分配クロマトグラフフィー分離方法。
【請求項2】
前記キャリア溶液の流速が0.5〜2.0μL/分であることを特徴とする請求項1に記載の管径方向分配クロマトグラフフィー分離方法。
【請求項3】
前記親水性溶媒が、アセトニトリル、1‐プロパノール、エタノール、メタノール及びジオキサンから成るグループより選ばれたものであり、前記疎水性溶媒が、酢酸エチル、1‐ブタノール及びクロロホルムから成るグループより選ばれたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の管径方向分配クロマトグラフフィー分離方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−185067(P2012−185067A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49138(P2011−49138)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2011年2月14日 同志社大学発行の「2010年度 修士論文要旨集」に発表
【出願人】(503027931)学校法人同志社 (346)