説明

管材の突合せ接合方法

【課題】短時間で接合すべき管材の端部の断面形状を簡単に揃えることができて、接合不良や接合品質低下を改善することのできる管材の突合せ接合方法を提供する。
【解決手段】管材TA、TBの端部T1同士を突合せ接合するに当たり、内周面を管材の外周面に対向させて管材の外周に配置されるリング状のケーシング11と、外周面を管材の内周面に当接させて管材の内周に配置される内周側ローラ12と、ケーシングの内周面と管材の外周面との間に圧接力を作用させることでケーシングの内周面を矯正型面として管材を塑性変形させる押圧手段と、管材と内周側ローラとを管材の軸線回りに相対的に回転させる回転手段とを備えた管材矯正装置を使用して、加工条件を揃えることにより、管材の接合すべき端部の断面形状を同一形状に整形し、その上で、同一断面形状に整形された管材の端部同士を突合せ接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2本の管材の端部を突合せ接合する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パイプラインや杭用に用いられる管材は、順次溶接等により突合せ接合することにより長尺体として構成している。この際、接合すべき管材の端部の形状が合致していないと、接合不良や品質不良を発生することがある。そのため、予め、管材の端部の断面形状の真円度を高めることが行われている。
【0003】
管材の真円度を高める装置として、たとえば、特許文献1に記載された矯正装置が知られている。
この矯正装置は、管材の端部外周に当板を介して配置された第一の油圧シリンダと、管材の管路内に配置されるとともに第二の油圧シリンダにより管材の軸線方向につぶされたときに、管材の径方向に膨出する弾性体とを有している。矯正装置を使用する際には、まず、管材の形が歪んだ端部に第一の油圧シリンダにより荷重を作用させ、端部の形状を真円状態に保持する。管材の形状は、当板に接続された変位計により測定される。
【0004】
次に、弾性体を管路内に配置して第二の油圧シリンダにより管材の軸線方向につぶすことで弾性体を管材の径方向に膨出させ、管材の円周方向の応力が降伏応力の100〜120%になるように調節する。ここで、第一の油圧シリンダにより作用させている荷重を解除するとともに、第二の油圧シリンダにより作用させる荷重を増加させ、管材の円周方向の応力が降伏応力の110〜200%になるように調節する。この状態で一定時間(たとえば、30秒程)保持した後、第二の油圧シリンダの荷重を低下させて管材の矯正を終了する。
【0005】
管材をこのように矯正することで、管材の円周方向の残留応力がほぼ均等に分布するため、端部が真円に矯正されるという。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭60−45013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された矯正装置は、両油圧シリンダを交互に作動させたり保持させたりと、様々な手順を経るため、矯正に要する時間が長くかかる問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、短時間で接合すべき管材の端部の断面形状を揃えることができて、接合不良や接合品質低下を改善することのできる管材の突合せ接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
請求項1の発明は、管材の端部同士を突合せて接合する管材の突合せ接合方法において、内周面を管材の外周面に対向させて管材の外周に配置されるリング状のケーシングと、外周面を管材の内周面に当接させて管材の内周に配置される内周側ローラと、前記ケーシングの内周面と前記管材の外周面との間に圧接力を作用させることで前記ケーシングの内周面を矯正型面として前記管材を塑性変形させる押圧手段と、前記管材と前記内周側ローラとを前記管材の軸線回りに相対的に回転させる回転手段とを備えた管材矯正装置を使用して、加工条件を揃えることにより、前記管材の接合すべき端部の断面形状を同一形状に整形し、その上で、同一断面形状に整形された前記管材の端部同士を突合せ接合することを特徴とする。
【0010】
管材矯正装置を同じ加工条件で使用することにより、接合すべき管材の端部の断面形状をケーシングの内周面の形状に沿った同一形状に整形することが容易にでき、突合せ接合部の品質を向上させることができる。すなわち、管材の端部に与える塑性変形は、圧延と同様のメカニズムにより、内周側ローラおよびケーシングと管材との線接触領域での管材の板厚方向の圧縮変形が、体積一定則により管材の周方向への伸び変形に転換される。周方向への伸び変形は、その変形方向上にある、ケーシングの内周面により形状の拘束を受け、ケーシングの内周面の形状に倣って、管材の形状変形が進行する。従って、突合せ部の断面形状が精度よく揃うことにより、突合せ接合の容易化と突合せ接合部の品質向上が可能となる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1において、前記管材の端部の周方向の所定位置に位置合わせ用マークを設けておき、その位置合わせマークを基準にして前記整形を行って、整形後に前記位置合わせマークを互いに合わせることで前記管材の周方向の位置合わせを行った上で、前記管材の端部同士を突合せ接合することを特徴とする。これにより、管材の端部同士の周方向の位置合わせが容易に行えるようになり、作業の容易化が可能になる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または2において、前記押圧手段が、前記内周側ローラを前記ケーシングに向かって前記管材の内周面に押し付けることにより、前記ケーシングの内周面と前記管材の外周面との間に圧接力を作用させることを特徴とする。これにより、内周側ローラに押圧力を与える押圧手段の作用で、管材の断面形状を適正に矯正することができる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1または2において、前記押圧手段が、前記ケーシングを前記内周側ローラに向かって前記管材の外周面に押し付けることにより、前記ケーシングの内周面と前記管材の外周面との間に圧接力を作用させることを特徴とする。これにより、ケーシングに押圧力を与える押圧手段の作用で、管材の断面形状を適正に矯正することができる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記回転手段が、前記ケーシングの外側に配置されて自身の外周面を前記ケーシングの外周面に当接させた外周側ローラと、該外周側ローラを回転させることで前記ケーシングを介して前記管材に回転力与えるローラ駆動モータと、を有することを特徴とする。これにより、ケーシングを介して管材を内周側ローラと外周側ローラとでケーシングの径方向に挟んで変形させるので、矯正荷重が大きい場合でも、ケーシングの変形を抑えて精度良く管材の矯正ができる。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記押圧手段による押し付け力を、前記管材の肉厚変化によらず定圧に制御する定圧制御手段を備えることを特徴とする。これにより、塑性変形に要する荷重が安定し整形精度が向上する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、突合せ接合すべき管材の端部の断面形状を精度よく揃えることができ、突合せ接合の容易化と突合せ接合部の品質向上が図れる。
【0017】
請求項2の発明によれば、管材の端部同士の周方向の位置合わせが容易に行えることで、作業の容易化が可能になる。
【0018】
請求項3の発明によれば、内周側ローラに押圧力を与える押圧手段の作用で、管材の断面形状を適正に矯正することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、ケーシングに押圧力を与える押圧手段の作用で、管材の断面形状を適正に矯正することができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、矯正荷重が大きい場合でも、ケーシングの変形を抑えて精度良く管材の矯正ができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、塑性変形に要する荷重が安定し整形精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態の管材の突合せ接合方法の工程説明図である。
【図2】同突合せ接合方法に使用する管材矯正装置の第1例の一部を破断した側面図である。
【図3】図2中の切断線A1−A1の断面図である。
【図4】同突合せ接合方法に使用する管材矯正方法の説明用のフローチャートである。
【図5】同管材矯正方法により矯正される管材の例(a)、(b)を示す斜視図である。
【図6】同管材矯正方法におけるケーシング(固定具)取り付け工程を説明する側面断面図である。
【図7】管材矯正装置の第2例の正面断面図である。
【図8】管材矯正装置の第3例の側面断面図である。
【図9】管材矯正装置の第4例の正面断面図である。
【図10】管材矯正装置の第5例の側面断面図である。
【図11】図10中の切断線A2−A2の断面図である。
【図12】管材矯正装置の第6例の側面断面図である。
【図13】管材矯正装置の第7例の正面図である。
【図14】管材矯正装置の第8例の原理構成を示す正面図である。
【図15】管材矯正装置の第8例の側面図である。
【図16】管材矯正装置の第9例の側面図である。
【図17】管材矯正装置に使用されるケーシングの構成図で、(a)は組立状態の斜視図、(b)はケーシングを構成する分割ピースのスライド機構の要部斜視図、(c)は隣接する分割ピースをばらした状態を示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る管材の突合せ接合方法(以下、単に「接合方法」とも称する。)を図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態の接合方法の工程説明図である。
【0024】
この接合方法は、2本の管材TA(T)、TB(T)の端部T1同士を突合せ接合するに当たり、内周面11aを管材T(TA、TB)の外周面に対向させて管材Tの外周に配置されるリング状のケーシング11と、外周面を管材Tの内周面に当接させて管材Tの内周に配置される内周側ローラ12、112と、ケーシング11の内周面11aと管材Tの外周面との間に圧接力を作用させることでケーシング11の内周面11aを矯正型面として管材Tを塑性変形させる押圧手段(図1では矢印で代用)と、管材Tと内周側ローラ12、112とを管材Tの軸線回りに相対的に回転させる回転手段(図示略)とを備えた管材矯正装置を使用して、加工条件を揃えることにより、図1(a)、(b)のように、管材TA、TBの接合すべき端部T1の断面形状(端部T1における管材Tの軸線に直交する平面による断面形状)を同一形状に整形し、その上で、図1(c)のように、同一断面形状に整形された管材TA、TBの端部T1同士を突合せ接合するものである。
【0025】
整形に当たっては、予め、管材TA、TBの端部T1の周方向の所定位置に位置合わせ用マーク(図示略)を設けておき、その位置合わせマークを基準にして端部T1の整形を行う。そして、整形後に位置合わせマークを互いに合わせることで、管材TA、TBの周方向の位置合わせを行った上で、管材TA、TBの端部T1同士を突合せ接合する。こうすることにより、管材TA、TBの端部T1同士の周方向の位置合わせが容易に行え、突合せ接合作業の容易化が可能になる。
【0026】
次に、本接合方法に用いられる管材矯正装置の具体的な例について説明する。
以下に述べる管材矯正装置は、管材の端部の真円度を矯正する装置であるが、本発明の接合方法においては、管材Tの端部T1の断面形状は、必ずしも真円に限らず、楕円形、多角形、四隅を丸くした矩形状などでもよい。つまり、管材の端部同士が同一断面形状になってさえいれば、突合せ接合に支障は生じないからである。矯正形状はケーシングの内周面の形状に大きく依存する。そこで、円形に整形したい場合は、内周面が円形のケーシングを用い、楕円形に整形したい場合は、内周面が楕円形のケーシングを用いる。ここで重要なことは、2つの管材の端部を同じケーシングで同一加工条件の元に整形することである。なお、図1の各要素の符号は、以下に説明する各材矯正装置の各要素と対応している。
【0027】
まず、第1例の管材矯正装置を、図2から図9を参照しながら説明する。以下では、本管材矯正装置1が、管材Tにおける軸線C1方向における端部(軸領域)T1を矯正する場合を例にとって説明する。
【0028】
第1例の管材矯正装置1は、リング状をなすとともに内周面11aが管材Tの端部T1の外周面に取り付けられるケーシング11と、管材Tの端部T1の内周面に外周面が当接する内周側ローラ12と、内周側ローラ12を端部T1の内周面に押し付ける油圧ジャッキ(押圧手段)13と、内周側ローラ12に対してケーシング11に取り付けられた管材Tを回転させる回転手段15とを備えている。管材Tの軸線C1、ケーシング11の軸線C2、内周側ローラ12の軸線C3は、全て水平方向を向くように設定され、内周側ローラ12は、管材Tの下端部の内周に配置されている。
【0029】
ケーシング11の内周面11aは、ケーシング11の軸線C2方向に平行に見たときに、真円形またはほぼ真円形に形成されている。ケーシング11は、鉄鋼などの金属で形成されている。なお、ケーシング11の剛性は、管材Tの剛性より充分高いことが好ましい。ケーシング11は、管材Tの端部T1と同軸か平行になるように取り付けられている。
【0030】
ケーシング11の内径は、管材Tの外径よりわずかに小さく設定されていて、ケーシング11を管材Tに取り付けたときに管材Tがかしめられる、すなわち、ケーシング11が固く密着した状態で端部T1に取り付けられることが好ましい。しかし、必ずしもケーシング11の内径が管材Tの外径より小さく設定されていなくてもよく、ケーシング11と管材Tの間の加重部以外の箇所に多少の隙間があく程度であってもよい。
【0031】
管材矯正装置1は、板状に形成された機台21を備えている。機台21は、水平面G上に配置される。機台21の上面には支持台22が固定されていて、支持台22の天板23の下面には前述の油圧ジャッキ13が取り付けられている。油圧ジャッキ13は、本体13aとピストン13bとを有していて、本体13aは油圧によりピストン13bを、管材Tの軸線C1に対して直交する方向となる上下方向Zに移動させることができる。油圧ジャッキ13は、内周側ローラ12を管材Tの端部T1の内周面に押し付けることで、端部T1を塑性変形させることができるように出力が設定されている。
【0032】
本例では、内周側ローラ12は略円柱状に形成されている。内周側ローラ12は、自身の中心軸線C3回りに回転可能となるようにピストン13bの先端に取り付けられている。内周側ローラ12は、中心軸線C3が管材Tの軸線C1と平行になるとともに、外周面が管材Tの端部T1の内周面に当接するように管材Tの管路内に配置されている。内周側ローラ12の外径は、管材Tの内径より小さくなるように設定されている。内周側ローラ12は、たとえば、鉄鋼などの表面に保護層を設けることで構成されている。
【0033】
回転手段15は、外周面がケーシング11の外周面に当接する外周側ローラ16と、外周側ローラ16をその中心軸線C4回りに回転させるローラ駆動モータ17と、管材Tが軸線C1回りに回転するように案内する一対のガイドローラ18とを有している。
【0034】
図2に示すように、外周側ローラ16は、中心軸線C4がケーシング11の軸線C2と平行になるように配置され、機台21の上面に固定された回転台24によって中心軸線C4回りに回転可能に支持されている。外周側ローラ16は、図2に示すように、ケーシング11のうち内周側ローラ12に隣接する部分の径方向外側に配置されている。
【0035】
なお、以下では、ケーシング11の径方向を単に「径方向」、ケーシング11の周方向を単に「周方向」とそれぞれ称する。本例では、内周側ローラ12の鉛直下方に外周側ローラ16が配置され、外周側ローラ16と内周側ローラ12との間にケーシング11と管材Tが挟まれている。また、図2に示すように、ローラ駆動モータ17は機台21の上面に取り付けられている。
【0036】
このように、本例では、回転手段15は、管材Tを管材Tの軸線C1回りに回転させる駆動力を、ケーシング11を介して管材Tに与えるように構成されている。
【0037】
それぞれのガイドローラ18は、自身の中心軸線C5がケーシング11の軸線C2と平行になるとともに、外周面がケーシング11の外周面に当接するように配置されている。ガイドローラ18は、管材Tの軸線C1から、外周側ローラ16の中心軸線C4までの距離と、ガイドローラ18の中心軸線C5までの距離との差が、外周側ローラ16の半径とガイドローラ18の半径との差に等しくなるように配置されている。ガイドローラ18は、機台21の上面に固定された回転台25によって中心軸線C5回りに回転可能に支持されている。外周側ローラ16およびガイドローラ18は、それぞれが金属や硬い樹脂などで略円柱状に形成されている。
【0038】
次に、本例の管材矯正装置を用いた管材矯正方法を説明する。
図4に示すように、本管材矯正方法は、管材Tの端部T1にケーシング11を取り付ける固定具取り付け工程S1と、内周側ローラ12に対して管材Tを回転させて管材Tの形状を矯正する管材矯正工程S2とを備えている。
【0039】
本管材矯正方法で矯正される管材Tは、たとえば、図5(a)に示すように、端部T1に局部的な凹部や凸部などの変形T2が存在するものや、図5(b)に示すように、端部T1全体の断面形状が楕円形などの非円形のもので、真円度が低いものである。
【0040】
まず、固定具取り付け工程S1において、図6に示すように、管材Tの端部T1の外周面にケーシング11を取り付ける。このとき、管材Tの外径よりわずかに小さい内径を有するケーシング11を選択する。様々な管材に対応するために、内径の異なる様々な仕様のケーシングを備えておくことが好ましい。
【0041】
続いて、油圧ジャッキ13により内周側ローラ12を上方に移動させた状態で、ケーシング11を取り付けた管材Tを移動させ、外周側ローラ16および一対のガイドローラ18の外周面をケーシング11の外周面にそれぞれ当接させるとともに、管材Tの管路内に内周側ローラ12を配置する。そして、油圧ジャッキ13により内周側ローラ12を下方に移動させて内周側ローラ12を管材Tにおける端部T1の内周面に押し付けることで、管材Tの外周面とケーシング11の内周面に圧接力を作用させ、それによりケーシング11の内周面を矯正型面として管材Tの端部T1を塑性変形させる。それと同時に、ローラ駆動モータ17を動作させて内周側ローラ12に対して管材Tを管材Tの軸線C1回りに回転させる。このとき、内周側ローラ12の中心軸線C3は、管材Tの軸線C1と平行になっている。
【0042】
このように、端部T1の内周面全周にわたり内周側ローラ12で矯正することで、変形部T2の変形度合が小さくなったり楕円形が修正されたりして、管材Tの真円度が矯正される。なお、管材Tを軸線C1回りに1回転させても矯正が不充分な場合には、管材Tを軸線C1回りに繰り返して回転させることで、管材Tの真円度をさらに向上させることができる。この場合の管材Tに発生する塑性変形は、圧延と同様のメカニズムにより、内周側ローラ12およびケーシング11と管材Tとの線接触領域での管材Tの板厚方向の圧縮変形が、体積一定則により管材Tの周方向への伸び変形に転換される。周方向への伸び変形は、その変形方向上にある、ケーシング11の内周面11aにより形状の拘束を受け、ケーシング11の内周面11aの形状に倣って、管材Tの形状変形が進行する。その結果、有効な矯正が行われる。
【0043】
以上説明したように、本例の管材矯正装置1および管材矯正方法によれば、ケーシング11で管材Tの端部T1の外周面を支持しながら内周側ローラ12を端部T1の内周面に押し付けて端部T1を塑性変形させつつ、内周側ローラ12に対して管材Tを軸線C1回りに回転させる。このため、管材Tの端部T1をケーシング11の内周面11aに沿った真円の形状に矯正することができる。
また、ケーシング11と管材Tとの間に圧接力を作用させつつ、管材Tを軸線C1回りに回転させることで管材Tを矯正するので、特許文献1に記載された従来の矯正装置に比べて、短時間で管材の真円度を矯正することができる。
【0044】
回転手段15は、管材Tを軸線C1回りに回転させる駆動力をケーシング11を介して管材Tに与えるように構成されている。ケーシング11の外径は管材Tの外径より大きくなるため、管材Tに大きなトルクを容易に作用させることができる。
【0045】
回転手段15は、外周側ローラ16とローラ駆動モータ17とを有する。ケーシング11を介して管材Tを内周側ローラ12と外周側ローラ16とで径方向に挟んで変形させることで、矯正荷重が大きい場合でも、ケーシング11の変形を抑えて精度良く管材Tの矯正ができる。
【0046】
回転手段15はガイドローラ18を有するため、内周側ローラ12に対して管材Tを管材Tの軸線C1回りに、より安定させて回転させることができる。管材矯正装置1は機台21を備えるため、機台21を水平面G上に配置することで、内周側ローラ12の位置を固定した状態で、ケーシング11が取り付けられた管材Tを軸線C1回りに回転させながら管材Tの端部T1の真円度を矯正することができる。また、ケーシング11の剛性を管材Tの剛性より充分高く設定することで、管材Tの初期の残留応力や変形によらず、管材Tをケーシング11の内周面11aに沿わせて均一に矯正することができる。
【0047】
なお、以下の例に説明するように管材矯正装置1の構成を様々に変更することができる。
【0048】
たとえば、図7に示す第2例の管材矯正装置2のように、内周側ローラ12を、管材Tの軸線C1を対称の軸として複数(本例では2つ)備えるように構成してもよい。本例では、それぞれの内周側ローラ12に対して、内周側ローラ12を端部T1の内周面に押し付ける油圧ジャッキ13が備えられている。管材矯正装置2をこのように構成することで、より短時間で、端部T1を円形に近い形状に矯正することができる。
【0049】
また、図8に示す第3例の管材矯正装置3のように、前記第1例の管材矯正装置1における回転手段15に代えて、回転手段31を備えてもよい。この回転手段31は、内周側ローラ12を中心軸線C3回りに回転させるローラ駆動モータ32を備えている。本例の回転手段31は、管材Tを軸線C1回りに回転させる駆動力を内周側ローラ12を介して管材Tに与えるように構成されている。管材矯正装置3をこのように構成することでも、内周側ローラ12に対して管材Tを管材Tの軸線C1回りに回転させることができる。内周側ローラ12により管材Tに直接駆動力を作用することで、たとえば、管材Tとケーシング11との間に隙間がある場合であっても、管材Tを軸線C1回りにより確実に回転させることができる。
【0050】
なお、管材矯正装置1にさらにローラ駆動モータ32を備えることで、管材Tを内周側ローラ12および外周側ローラ16の両方により回転させてもよい。
【0051】
図9に示す第4例の管材矯正装置4のように、管材矯正装置1において、内周側ローラ12に対する下方における周方向の一方側に外周側ローラ16を配置するとともに、周方向の他方側に1つのガイドローラ18を配置してもよい。管材矯正装置4をこのように構成することで、1つの内周側ローラ12と1つのガイドローラ18とにより、内周側ローラ12を下方から安定的に支持することができる。
【0052】
なお、前記第1例〜第4例の管材矯正装置1〜4では、ガイドローラ18は必須の構成要素ではない。内周側ローラ12およびガイドローラ18だけで、ケーシング11が取り付けられた管材Tを安定的に支持できる場合もあるからである。
【0053】
次に、第5例の管材矯正装置について説明する。前記の例と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0054】
図10および図11に示すように、第5例の管材矯正装置5は、管材Tを固定した状態で、管材Tの軸線C1回りに内周側ローラ12が回転するように構成されている。本管材矯正装置5は、前記第1例の管材矯正装置1において機台21が備えられておらず、回転手段15に代えて回転手段41を備えている。
【0055】
回転手段41は、中心軸線C4がケーシング11の軸線C2と平行になるとともに、外周面がケーシング11の外周面に当接するように配置された一対の外周側ローラ16と、一対の外周側ローラ16を中心軸線C4回りに同一方向にそれぞれ回転させるローラ駆動モータ17とを有する。図11に示すように、一対の外周側ローラ16は、ケーシング11のうち内周側ローラ12に隣接する部分の径方向外側から互いに周方向の反対側に位置をずらしてそれぞれ配置されている。
【0056】
本例では、ローラ駆動モータ17は回転台24に取り付けられ、回転台24はさらに支持台22に固定されている。そして、支持台22に一体となった内周側ローラ12、油圧ジャッキ13、一対の外周側ローラ16およびローラ駆動モータ17が、ローラ駆動モータ17を駆動することで、管材Tの軸線C1回りに回転する。
【0057】
このように構成された管材矯正装置5によれば、簡単な構成で管材Tの端部T1の真円度を矯正することができる。さらに、一対の外周側ローラ16を備えることで、外周側ローラ16の間にケーシング11を挟むように確実に支持するとともに、管材Tに対する内周側ローラ12の回転力を高めることができる。
【0058】
管材Tの外径が大きい場合など、管材Tを軸線C1回りに回転させることができない場合であっても、内周側ローラ12を軸線C1回りに回転させることで管材Tの端部T1の矯正を行うことができる。
【0059】
なお、図12に示す第6例の管材矯正装置6のように、管材矯正装置5の回転手段41に代えて、前述の回転手段31、すなわちローラ駆動モータ32を備えてもよい。管材矯正装置6をこのように構成することで、ローラ駆動モータ32を駆動して内周側ローラ12を中心軸線C3回りに回転させることで、管材Tに対して内周側ローラ12を軸線C1回りに回転させることができる。
【0060】
また、第5例の管材矯正装置5にさらにローラ駆動モータ32を備えることで、内周側ローラ12および外周側ローラ16の両方により管材Tに対して回転するように構成してもよい。
【0061】
次に、第7例の管材矯正装置に図13を参照しながら説明する。前記各例と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0062】
第7例の管材矯正装置7は、前述のケーシング11と、3つの内周側ローラ12と、それぞれの内周側ローラ12を径方向外側に付勢する押圧手段51と、不図示の回転手段とを備えている。
【0063】
押圧手段51は、管材Tの端部T1において軸線C1上に配置される本体部52と、本体部52に対する径方向外側に軸線C1回りに周方向に等角度ごとに配置された3つの支持部材53と、それぞれの支持部材53と本体部52とを接続する3つのバネ部材54とを有する。
【0064】
それぞれの支持部材53は、内周側ローラ12を内周側ローラ12の中心軸線C3回りに回転可能に支持している。バネ部材54は、内周側ローラ12を端部T1の内周面に当接させた状態で、内周側ローラ12を径方向外側に付勢するとともに、端部T1を塑性変形させるように調節されている。すなわち、内周側ローラ12を端部T1の内周面に当接させたときバネ部材54が端部T1に与える応力は、管材Tを形成する材料の降伏応力以上となるように設定されている。回転手段は、それぞれの内周側ローラ12を中心軸線C3回りに同一方向に回転させる。
【0065】
このように構成された第7例の管材矯正装置7が管材Tの端部T1を矯正する場合には、まず、固定具取り付け工程S1において、前記第1例と同様に、管材Tの端部T1の外周面にケーシング11を取り付ける。
【0066】
続いて、管材矯正工程S2において、端部T1の管路内に、本体部52と一体となった内周側ローラ12、支持部材53およびバネ部材54を配置する。そして、バネ部材54により内周側ローラ12を径方向外側に付勢して端部T1を塑性変形させつつ、回転手段によりそれぞれの内周側ローラ12を回転させることで、全周にわたり端部T1の真円度を矯正する。
【0067】
次に、第8例の管材矯正装置について図14および図15を参照しながら説明する。
前記第1〜第7例の管材矯正装置1〜7では、内周側ローラ12を油圧ジャッキ13により管材Tの内周面に押し付けることで、管材Tの外周面とケーシング11の内周面との間に圧接力を作用させる場合を述べたが、図14に示すように、第8例の管材矯正装置101では、油圧ジャッキ113により外周側ローラ116に上向きの押圧力を作用させることで、ケーシング11を内周側ローラ112に向かって管材Tの外周面に押し付けるようにしている。従って、外周側ローラ116は上下移動可能とされ、内周側ローラ112は位置固定とされている。
【0068】
以下では、本管材矯正装置101が、管材Tにおける軸線C1方向における端部(軸領域)T1を矯正する場合を例にとって説明する。
本管材矯正装置101は、図14に原理構成を示すように、円形に形成された自身の内周面11aを管材Tの端部T1の外周面に対向させて管材Tの外周に配置されるリング状のケーシング11と、管材Tの端部T1の内周面に外周面を当接させて管材Tの内周に配置される内周側ローラ112と、ケーシング11の外周面に当接してケーシング11に対して回転力を与えると共に上向きの押圧力を作用させる外周側ローラ116と、外周側ローラ116を回転駆動するローラ駆動モータ114(図15参照。)と、ケーシング11の外周面に当接してケーシング11を支持するとともにケーシング11の回転を案内する一対のガイドローラ118と、外周側ローラ116に上向きの押圧力を与える油圧ジャッキ(押圧手段)113と、を備えている。外周側ローラ116とローラ駆動モータ114とガイドローラ118は、管材Tと内周側ローラ112とを管材Tの軸線C1回りに相対的に回転させる回転手段115を構成している。
【0069】
ここで、図14および図15に示すように、管材Tの軸線C1、ケーシング11の軸線C2、内周側ローラ112の軸線C3、外周側ローラ116の軸線C4は、全て互いに平行で水平方向を向くように設定され、内周側ローラ112は管材Tの下端部の内周に配置され、外周側ローラ116は内周側ローラ112の鉛直下方に配置されている。
【0070】
ケーシング11の内周面11aは、ケーシング11の軸線C2方向に平行に見たときに、真円形またはほぼ真円形に形成されている。ケーシング11は、鉄鋼などの金属で形成されている。なお、ケーシング11の剛性は、管材Tの剛性より充分高いことが好ましい。
【0071】
ケーシング11の内径は、管材Tの外径よりわずかに大きく設定されていて、ケーシング11を管材Tの外周に配置して、外周側ローラ116でケーシング11を支持したとき、ケーシング11の上端部の内周と管材Tの上端部の外周との間にわずかに隙間があく程度にケーシング11の内径が設定されている。
【0072】
図15に示すように、管材矯正装置101は機台121を備えている。機台121は、移動用の走行車輪151を備えており、水平面G上に配置されている。機台121の上面には支持台122が立設され、支持台122には、内周側ローラ112を支持する支持軸140の基部が軸線を水平に向けて固定されており、支持軸140の先端の細径部141の外周にベアリング142を介して、略円筒状に形成された内周側ローラ112が自身の中心軸線C3回りに回転自在に取り付けられている。なお、内周側ローラ112の外径は、管材Tの内径より小さくなるように設定されており、内周側ローラ112は、たとえば、鉄鋼などの表面に保護層を設けることで構成されている。
【0073】
また、機台121には、固定フレーム123が設けられており、この固定フレーム123には、外周側ローラ116を支持する上下動フレーム124が上下方向スライド自在に支持されている。この上下動フレーム124は、上下動フレーム124の下方に配置した油圧ジャッキ113により上下させられるもので、この上下動フレーム124に、外周側ローラ116をベアリング126を介して回転自在に支持する支持軸125が固定されている。
【0074】
外周側ローラ116には、外周側ローラ116と一体に回転できるようにギヤ127が取り付けられており、このギヤ127が、上下動フレーム124に軸受131を介して回転自在に支持された被駆動軸130と一体回転するギヤ132に噛み合っている。被駆動軸130は、回転継手119を介して、機台121に固定されたローラ駆動モータ114の駆動軸に連結されており、このローラ駆動モータ114の回転が、上下動フレーム124の上下動に拘わらず、回転継手119を介して被駆動軸130に伝達され、被駆動軸130に伝達された回転が、ギヤ132およびギヤ127を介して外周側ローラ116に伝達されるようになっている。また、油圧ジャッキ113により上下動フレーム124に伝えられた上下方向Zの押圧力は、支持軸125およびベアリング126を介して外周側ローラ116に伝達されるようになっている。
【0075】
油圧ジャッキ113は、外周側ローラ116を介してケーシング11を管材Tの端部T1の外周面に押し付けることで、ケーシング11の内周面11aと管材Tの外周面との間に圧接力を作用させ、それにより、ケーシング11の内周面11aを矯正型面として管材Tの端部T1を塑性変形させることができるように出力が設定されている。この油圧ジャッキ113の油圧供給路の途中には、図14に示すように、油圧ジャッキ113によるケーシング11に対する押し付け力を、管材Tの肉厚変化によらず定圧に制御する定圧制御手段としてのアキュムレータ117が介在されている。このアキュムレータ117は、油圧ジャッキ113のストローク変化による加重変動を吸収する機能を果たす。
【0076】
このように、本例の管材矯正装置101では、回転手段115は、管材Tを管材Tの軸線C1回りに回転させる駆動力を、ケーシング11を介して管材Tに与えるように構成されている。それぞれのガイドローラ118は、自身の中心軸線がケーシング11の軸線C2と平行になるとともに、外周面がケーシング11の外周面に当接するように配置されている。ガイドローラ118は、管材Tの軸線C1から、外周側ローラ116の中心軸線C4までの距離と、ガイドローラ118の中心軸線までの距離との差が、外周側ローラ116の半径とガイドローラ18の半径との差に等しくなるように配置されている。外周側ローラ116およびガイドローラ118は、それぞれが金属や硬い樹脂などで略円柱状に形成されている。
【0077】
このように構成された管材矯正装置101を使用して管材Tの端部T1の整形を行う管材矯正方法について説明する。管材Tを矯正する場合は、まず、管材Tの端部T1の外周にケーシング11を配置すると共に、管材Tの端部T1の内周に内周側ローラ112を配置する。このとき、管材Tの外径よりわずかに大きい内径を有するケーシング11を選択する。様々な管材に対応するために、内径の異なる様々な仕様のケーシングを備えておくことが好ましい。
【0078】
続いて、外周側ローラ116および一対のガイドローラ118の外周面をケーシング11の外周面にそれぞれ当接させる。そして、油圧ジャッキ113により外周側ローラ116を上方に移動させて、外周側ローラ116によりケーシング11の内周面11aを管材Tの端部T1の外周面に押し付け、管材Tの外周面とケーシング11の内周面に圧接力を作用させることにより、ケーシング11の内周面11aを矯正型面として管材Tの端部T1を塑性変形させる。それと同時に、ローラ駆動モータ114を動作させて外周側ローラ116を回転させることにより、ケーシング11を介して内周側ローラ112に対し管材Tを管材Tの軸線C1回りに回転させる。
【0079】
このように、端部T1の外周面全周にわたりケーシング11で矯正することで、変形部T2の変形度合が小さくなったり楕円形が修正されたりして管材Tの真円度が矯正される。なお、管材Tを軸線C1回りに1回転させても矯正が不充分な場合には、管材Tを軸線C1回りに繰り返して回転させることで、管材Tの真円度をさらに向上させることができる。この場合の管材Tに発生する塑性変形は、圧延と同様のメカニズムにより、内周側ローラ12およびケーシング11と管材Tとの線接触領域での管材Tの板厚方向の圧縮変形が、体積一定則により管材Tの周方向への伸び変形に転換される。周方向への伸び変形は、その変形方向上にある、ケーシング11の内周面11aにより形状の拘束を受け、ケーシング11の内周面11aの形状に倣って、管材Tの形状変形が進行する。その結果、有効な矯正が行われる。
【0080】
以上説明したように、本例の管材矯正装置101によれば、ケーシング11で管材Tの端部T1の外周面を支持しながら、外周側ローラ116によりケーシング11を管材Tの端部T1の外周面に押し付けて端部T1を塑性変形させつつ、内周側ローラ112に対して管材Tを軸線C1回りに回転させる。このため、管材Tの端部T1をケーシング11の内周面11aに沿った真円の形状に矯正することができる。
【0081】
回転手段115は、管材Tを軸線C1回りに回転させる駆動力をケーシング11を介して管材Tに与えるように構成されており、ケーシング11の外径は管材Tの外径より大きくなるため、管材Tに大きなトルクを容易に作用させることができる。
【0082】
回転手段115は、外周側ローラ116とローラ駆動モータ114とを有し、ケーシング11を介して管材Tを内周側ローラ112と外周側ローラ116とで径方向に挟んで変形させることで、矯正荷重が大きい場合でも、ケーシング11の変形を抑えて精度良く管材Tの矯正ができる。
【0083】
回転手段115はガイドローラ118を有するため、内周側ローラ112に対して管材Tを管材Tの軸線C1回りに、より安定させて回転させることができる。管材矯正装置101は機台121を備えるため、機台121を水平面G上に配置することで、内周側ローラ112の位置を固定した状態で、ケーシング11が配置された管材Tを軸線C1回りに回転させながら管材Tの端部T1の真円度を矯正することができる。また、ケーシング11の剛性を管材Tの剛性より充分高く設定することで、管材Tの初期の残留応力や変形によらず、管材Tをケーシング11の内周面11aに沿わせて均一に矯正することができる。
【0084】
なお、第8例の管材矯正装置は、以下に説明するように構成を変更することができる。
たとえば、図16に示す第9例の管材矯正装置102では、内周側ローラ112の支持軸140の細径部141の長さを延ばすと共に、外周側ローラ116を支持する固定フレーム123の位置を支持台122より離して、管材Tの端部T1より更に奥側の軸領域を矯正できるようにしている。
【0085】
このように構成した場合、管材Tを矢印Xのように軸線方向に1回の矯正工程で処理できる軸領域ごとに管材矯正装置102に対して相対移動することにより、端部T1から内周側ローラ112および外周側ローラ116の届く範囲まで矯正することができ、整形荷重を同じくしながら整形範囲を拡大することができる。例えば、管材Tの端部T1から矯正加工を開始し、管材矯正装置102は固定したまま、整形幅分だけ、管材Tを管軸方向に矯正装置102側へ移動させ、再度矯正加工する。このサイクルを繰り返すことで、矯正荷重を変えることなく、整形幅を拡大することが可能となる。
【0086】
また、ベアリング142を介して内周側ローラ112を取り付けていることから、内周側ローラ112の径を変更し、外周側ローラ116の高さを油圧ジャッキ113で調整することにより、管材Tの径や板厚の違いにも容易に対応することができる。
【0087】
また、内周側ローラ112を更に小径化する場合は、細径部141側のベアリングを廃止して、支持軸140と支持台122の間にベアリングを配置して支持軸自体を支持台122に回転自在に支持し、細径部を直接内周側ローラとすることもできる。
【0088】
次に、第10例の管材矯正装置に使用するケーシング11Bについて図17を参照しながら説明する。
図17はそのケーシングの構成図で、(a)は組立状態の斜視図、(b)はケーシングを構成する分割ピースのスライド機構の要部斜視図、(c)は隣接する分割ピースをばらした状態を示す要部斜視図である。
【0089】
このケーシング11Bは、前記第1例〜第9例の管材矯正装置のケーシング11の代わりに使用することのできるものであり、周方向に複数(図示例では3つ)の同形状の分割ピース201に分割されている。分割ピース201の両端部には、両端で反対側となる軸方向の矩形状切欠202を入れることで、両端で反対側となる重なり片203が設けられている。そして、隣接する分割ピース201の重なり片203を重ね合わせることにより、一定径を有するリング状のケーシング11Bが構成されるようになっている。
【0090】
重なり片203には、位置決めピン210を貫通させる位置決め孔204と、調整ピン220を挿入する周方向に長い長孔205が設けられており、調整ピン220を長孔205に挿入した状態で位置決めピン210を外した状態にすることにより、分割ピース201を輪状に連結した状態で、長孔205と調整ピン220で規定される所定範囲だけ周方向にスライド自在に保持しておくことができる。この場合、長孔205と調整ピン220の組み合わせでスライド機構が構成されている。なお、位置決めピン210や調整ピン220にはボルトを用いており、ボルトの先端にナット221を螺合することにより、位置決めピン210や調整ピン220を抜け止めおよび締結することができる。位置決めピン210は、ケーシング11Bの組立後に、形状を固定するためのものである。
【0091】
このように、分割タイプのケーシング11Bを用いた場合、着脱時間の短縮を図ることができる。また、調整ピン220を利用して分割ピース201スライドさせることにより、ケーシング11Bを拡径させることができるので、ケーシング11Bの脱着時や位置を変えるときに容易に移動させることができる。
【0092】
以上説明したように構成された管材矯正装置によれば、簡単な構成で短時間で管材Tの端部T1の真円度を矯正することができる。
【0093】
以上、各例の管材矯正装置について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更なども含まれる。さらに、各例で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
【0094】
例えば、前記第1例〜第5例の管材矯正装置では、ケーシング11の内径は管材Tの外径よりわずかに小さく設定されているとした。しかし、ケーシング11の内径は管材Tの外径より大きく設定されていてもよい。この場合には、管材Tを矯正するときに端部T1が拡径されるように真円度が矯正される。
【0095】
また、前記各例では、押圧手段として油圧ジャッキ13、113を用いたが、押圧手段はこれに限ることなく、モータを有する電動ジャッキなどを適宜使用することができる。
【0096】
また、前記各例の管材矯正装置に備えられる内周側ローラ12、112の数には制限はなく、3つ以上備えられていてもよい。
そして、これまで説明してきた管材矯正装置を使用し、加工条件を揃えて一対の管材Tの端部T1の断面形状を同一形状に整形することで、端部T1同士を好適に突合せ接合することができる。
【符号の説明】
【0097】
1、2、3、4、5、6、7、101、102 管材矯正装置
11、11B ケーシング
11a 内周面
12、112 内周側ローラ
13、113 油圧ジャッキ(押圧手段)
15、31、41、115 回転手段
16、116 外周側ローラ
17、32、114 ローラ駆動モータ
18、118 ガイドローラ
21 機台
51 押圧手段
117 アキュムレータ(定圧制御手段)
201 分割ピース
203 重なり片
205 長孔(スライド機構)
210 位置決めピン
220 調整ピン(スライド機構)
C1 軸線
T、TA、TB 管材
T1 端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管材の端部同士を突合せて接合する管材の突合せ接合方法において、
内周面を管材の外周面に対向させて管材の外周に配置されるリング状のケーシングと、外周面を管材の内周面に当接させて管材の内周に配置される内周側ローラと、前記ケーシングの内周面と前記管材の外周面との間に圧接力を作用させることで前記ケーシングの内周面を矯正型面として前記管材を塑性変形させる押圧手段と、前記管材と前記内周側ローラとを前記管材の軸線回りに相対的に回転させる回転手段とを備えた管材矯正装置を使用して、加工条件を揃えることにより、前記管材の接合すべき端部の断面形状を同一形状に整形し、その上で、同一断面形状に整形された前記管材の端部同士を突合せ接合することを特徴とする管材の突合せ接合方法。
【請求項2】
前記管材の端部の周方向の所定位置に位置合わせ用マークを設けておき、その位置合わせマークを基準にして前記整形を行って、整形後に前記位置合わせマークを互いに合わせることで前記管材の周方向の位置合わせを行った上で、前記管材の端部同士を突合せ接合することを特徴とする請求項1に記載の管材の突合せ接合方法。
【請求項3】
前記押圧手段が、前記内周側ローラを前記ケーシングに向かって前記管材の内周面に押し付けることにより、前記ケーシングの内周面と前記管材の外周面との間に圧接力を作用させることを特徴とする請求項1または2に記載の管材の突合せ接合方法。
【請求項4】
前記押圧手段が、前記ケーシングを前記内周側ローラに向かって前記管材の外周面に押し付けることにより、前記ケーシングの内周面と前記管材の外周面との間に圧接力を作用させることを特徴とする請求項1または2に記載の管材の突合せ接合方法。
【請求項5】
前記回転手段が、前記ケーシングの外側に配置されて自身の外周面を前記ケーシングの外周面に当接させた外周側ローラと、該外周側ローラを回転させることで前記ケーシングを介して前記管材に回転力与えるローラ駆動モータと、を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の管材の突合せ接合方法。
【請求項6】
前記押圧手段による押し付け力を、前記管材の肉厚変化によらず定圧に制御する定圧制御手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の管材の突合せ接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−223819(P2012−223819A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−87800(P2012−87800)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【Fターム(参考)】