説明

管材の連結装置

【課題】 軸体に管材の端部を垂直に連結することができる管材の連結装置を提供する。
【解決手段】 第1の管材1に保持枠体11が装着され、連結部材30が着脱機構20を介して保持枠体11に固定される。連結部材30に、機構支持部31とテーパ部35bを有する弾性体支持部35が設けられている。弾性体支持部35に弾性保持体36が装着されている。機構支持部31と弾性体支持部35および弾性保持体36を貫通する圧縮部材41が設けられている。圧縮部材41が、機構支持部31に設けられたくさび部材43によって左側へ引き込まれると、弾性保持体36が圧縮し、第2の管材2が内側から保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管材どうしを連結し、または管材以外の軸体と管材とを連結する連結装置に係り、特に溶接やねじ止めを行わずに管材を強固に連結できる連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
管材どうしが連結されている構造物は、自動車部品などを搬送するコンテナ、その他の運送用製品、梱包用部材、建築用基材、組み立て家具など各種分野で使用されている。
【0003】
一般に管材どうしを連結する構造は、以下の特許文献1に記載されているようなねじ止め構造か、あるいは金属製の管材どうしを溶接する構造が一般的である。しかし、ねじ止めによる連結構造は、管材どうしを同じ箇所でしか連結できず、連結箇所を自由に移動させることができない。一方、溶接による連結構造は、連結箇所を比較的自由に設定できるが、容易に分解することができず、運送分野などにおいて分解して再利用するのが困難であった。
【0004】
以下の特許文献2に記載された構造材連結装置は、表面にT溝を有する構造材どうしが連結片によって連結されている。連結片には、係合片が一体に設けられ、それぞれの係合片を前記T溝に嵌合することで構造材どうしが連結される。しかし、この連結装置は、T溝を有する特殊な構造材にしか適用できず、断面が角状や丸状の通常の管材の連結構造に適合できない。
【0005】
以下の特許文献3と特許文献4には、管材の内部に入り込む弾性体で形成された締付部材または係止部材が使用されている。締付部材または係止部材を貫通するボルトを締め付けると、締付部材または係止部材の長さ寸法が収縮し、外周側へ膨らんで、管材が内部から保持される。しかし、この連結装置は、管材に締付部材または係止部材を挿入し、管材の端部側からボルトを締め付ける作業が必要である。そのため、特許文献3や特許文献4に記載されているように、管材の端部どうしを接合するコネクタとして使用することができるが、管材どうしをT字型に連結する連結部には採用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−36840号公報
【特許文献2】特開2003−13919号公報
【特許文献3】特開平5−280514号公報
【特許文献4】特表2005−517130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、管材を軸体との連結場所を自由に選ぶことができ、しかも管材と軸体とを強固に連結できる管材の連結装置を提供することを目的としている。
【0008】
また、軸体の中間部分に1個の管材または複数の管材の端部を垂直に連結することができる管材の連結装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、軸体の外周に取り付けられる保持枠部と、前記保持枠部に固定される機構支持部と、前記機構支持部から延び出る弾性体支持部と、前記弾性体支持部に支持される弾性保持体と、前記機構支持部から前記弾性支持部の内部を通過して前記弾性保持体の端部まで延びる圧縮部材とを有し、
前記機構支持部に、前記圧縮部材を引き込んで前記弾性保持体を圧縮する圧縮機構が設けられ、前記圧縮機構を前記機構支持部の外部から動作させることが可能であり、前記弾性保持体の外周部に装着される管材が、圧縮された前記弾性保持体によって内側から保持されることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の管材の連結装置は、軸体に保持枠部を装着し、この保持枠部に機構支持部を固定し、機構支持部に設けられた圧縮機構を操作して弾性保持体を収縮させている。そのため、軸体の中間に管材の端部を垂直に連結するいわゆるT字連結が可能になる。前記軸体は、管材であってもよいし中実軸であってもよい。また前記軸体が管材であるときに、この管材と異なる断面形状や異なる寸法の管材とを連結することも可能である。
【0011】
本発明は、前記圧縮機構は、前記圧縮部材を引き込むくさび部材と、前記圧縮部材が引き込まれた状態で、前記くさび部材を固定する固定部材とを有しているものとして構成できる。
【0012】
前記発明では、保持枠部を軸体に装着し、この保持枠部に機構支持部を固定した後に、ボルトなどで構成される前記固定部材を機構支持部の外部から動かすことで、弾性保持体を圧縮させて管材を保持することが可能になる。
【0013】
本発明は、前記保持枠部と前記機構支持部とが、着脱機構を介して着脱自在であるものとして構成できる。
【0014】
前記発明では、保持枠部を軸体の自由な箇所に装着することができるため、軸体と管材との連結箇所を自由に選択できるようになる。
【0015】
例えば、本発明は、前記着脱機構は、前記保持枠部に、複数の円筒部を有する掛止突部と、前記掛止突部から前記円筒部の半径方向へ延びる掛止フランジ部とが設けられ、前記機構支持部に、前記掛止突部の前記円筒部に嵌合する嵌合穴と、前記嵌合穴よりも開口寸法が広げられた切り欠き部とが形成されているものである。
【0016】
あるいは、前記着脱機構は、前記保持枠部に雄ねじ部が設けられ、前記機構支持部に、前記雄ねじ部に螺着される雌ねじ部が設けられているものである。
【0017】
本発明は、前記保持枠部の一部に分離部が形成され、前記分離部を挟んで前記着脱機構が設けられており、前記着脱機構を介して前記機構支持部が取り付けられたときに、その取付け力によって前記保持枠部が前記軸体に締め付けられる。
【0018】
着脱機構を介して機構支持部を取り付けるときの取付け力で、保持枠部を軸体に締め付けると、保持枠を軸体に固定するために特別な機構が不要になる。
【0019】
また、本発明は、前記機構支持部には、前記保持枠部の穴に嵌合する回転止め部材が設けられているものが好ましい。
【0020】
本発明は、前記弾性体支持部は、前記機構支持部から離れるにしたがって断面積が小さくなるテーパ部を有しており、前記弾性保持体に、圧縮されたときに管材に圧接する金属部材が設けられているものとして構成できる。
【0021】
さらに本発明は、前記保持枠部の内側に弾性材と前記軸体の外面に圧接する金属部材とが設けられているものとして構成できる。
【0022】
上記のように、弾性材と金属部材とを組み合わせて使用すると、弾性保持体で管材を内側から強固に保持でき、また保持枠体を軸体に位置ずれしにくい状態で強固に固定できるようになる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の管材の連結装置は、管材や中実軸の中腹部に、管材の端部を垂直な向きで強固に固定することができる。また、管材の連結位置を自由に選択できるようになる。
【0024】
そのため、種々の形状の構造物を短時間で組み立てることができる。また分解も容易であるため、運送用製品や梱包用部材として使用するときに、再利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態の連結装置を使用して2つの管材を連結する構造を示す斜視図、
【図2】保持枠部とこれに設けられた着脱機構を示す斜視図、
【図3】連結部材とその機構支持部に設けられた着脱機構を示す斜視図、
【図4】(A)は連結装置の分解斜視図、(B)は、弾性保持体の内部に装着される金属部材を示す拡大斜視図、
【図5】連結装置の縦断面図、
【図6】(A)(B)は、回転止め部材を有する回転止め機構の構造を動作別に示す斜視図、
【図7】(A)は第2の実施の形態の着脱機構を備えた保持枠部の斜視図、(B)は保持枠部が軸体に取り付けられた状態を示す正面図、
【図8】(A)(B)は、第2の実施の形態の着脱装置を動作別に示す側面図、
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1には、軸体である第1の管材1の中腹部に、本発明の実施の形態の連結装置10が装着されており、この連結装置10によって、第2の管材2の端部2aと、第3の管材3の端部3aが連結されている。第1の管材1と第2の管材2および第3の管材3は、断面形状が正方形の角管材であり、互いに同じ寸法である。第1の管材1と第2の管材2および第3の管材3は、互いに直角に連結されている。
【0027】
それぞれの管材1,2,3は金属製であり、例えば、比較的大きな部品を梱包する際のコンテナの骨組みとして使用され、またはコンテナの内部で部品の間に位置するスペーサとして使用される。また、工場内などに設置される棚などの骨格としても使用できる。あるいは、管材1,2,3のいずれかまたは全てに合成樹脂製の管材を使用し、比較的軽量な物品を載置する棚などとして使用することも可能であり、また簡易的な家具として使用することもできる。
【0028】
連結装置10には、軸体である第1の管材1の外周に取り付けられる保持枠部11が設けられている。保持枠部11は金属板で形成され、または合成樹脂材料で形成されている。
【0029】
図2に示すように、保持枠部11は、背板部12と側板部13,14と前板部15a,15bを有している。前板部15aと前板部15bは、分離部16によって互いに分離されている。背板部12と側板部13は直角よりもやや大きい鈍角を介して曲げられ、背板部12と側板部14も直角よりもやや大きい鈍角を介して曲げられている。側板部13と前板部15aは、直角または直角よりもやや大きい鈍角を介して曲げられ、側板部14と前板部15bも、直角または直角よりもやや大きい鈍角を介して曲げられている。そして、前記鈍角が直角になるように弾性変形可能である。
【0030】
側板部13の内面から前板部15aの内面にわたって弾性材17が取り付けられており、側板部14の内面から前板部15bの内面にわたって弾性材17が取り付けられている。弾性材17,17はウレタン樹脂などの弾性収縮が可能な合成樹脂材料で形成されている。側板部13の内側の弾性材17の内部に金属部材18が埋設されている。金属部材18は、金属板をコの字状に曲げたものであり、そのエッジ部18a,18aが、弾性材17の内表面17aに露出している。同様に、側板部14の内側の弾性材17にも金属部材18が埋設され、そのエッジ部18a,18aが、弾性材17の内表面17aに露出している。
【0031】
保持枠部11の前板部15a,15aの外面と、側板部13の外面に、連結部材30が着脱機構20によって着脱自在に取り付けられる。
【0032】
着脱機構20は、保持枠部11の前板部15aと前板部15bのそれぞれから一体に突出する掛止突部21,21を有している。それぞれの掛止突部21は円筒部22を有し、さらに、円筒部22の半径方向の外側に張り出す掛止フランジ部23を有している。一方の掛止突部21は、前板部15aと一体に形成され、他方の掛止突部21は、前板部15bと一体に形成されている。図2に示すように、前板部15aと前板部15bは、分離部16で分離されているため、一対の掛止突部21,21は互いに離れている。
【0033】
図3に示す連結部材30は、金属材料で板金加工と溶接によって組み立てられている。あるいは全体が合成樹脂材料で形成されている。合成樹脂材料としては、強度の高いポリカーボネート樹脂やABS樹脂などが使用される。機構支持部31の背板部32の表面は平面である。前記背板部32に、着脱機構20を構成する嵌合穴24と、前記嵌合穴24の外周の2箇所において嵌合穴24よりも開口寸法が広げられた切り欠き部25,25が形成されている。嵌合穴24の内縁の曲率は、保持枠部11に設けられた掛止突部21の円筒部22の外周面の曲率とほぼ一致している。また切り欠き部25は、前記掛止フランジ部23が通過できる大きさに開口している。
【0034】
図2に示す保持枠部11を、第1の管材1の外周面に挿通させて、保持枠部11を、第1の管材1の任意の位置に配置する。連結部材30を図3に示す姿勢から機構支持部31の上面33が横を向くように90度回転させた姿勢とし、機構支持部31の背板部32を、保持枠部11の前板部15a,15aに設置する。このとき、着脱機構20の一方を構成している掛止フランジ部23,23を、他方を構成している切り欠き部25,25の内部に介入させ、連結部材30を90度回動させて上面33が上に向く姿勢に戻す。この回動により、図5に示すように、連結部材30の背板部32が、前板部15a,15aと掛止フランジ部23,23との隙間内に介入し、嵌合穴24が、掛止突部21の円筒部22の外周面に嵌合する。
【0035】
着脱機構20によって、連結部材30を取り付ける力によって、保持枠部11の前板部15a,15bが互いに接近し且つ側板部13,14が互いに接近し、背板部12と側板部13,14とがほぼ直角になり、側板部13,14と前板部15a,15bがほぼ直角になる。そして、保持枠部11が弾性材17,17を介して第1の管材1の外周部に締め付けられるようにして装着される。
【0036】
このとき、それぞれの弾性材17,17が収縮変形して、第1の管材1の表面に押し付けられ、第1の管材1の表面と弾性材17,17との摩擦抵抗により、保持枠部11が、第1の管材1に対して軸方向へ容易に動かないように強固に固定される。さらに、弾性材17,17に埋設されている金属部材18,18のエッジ部18a,18aが第1の管材1の表面に噛み込むように押し付けられ、保持枠部11と第1の管材1との固定強度が増強される。
【0037】
図2に示すように、保持枠部11の側板部13の外面にも、着脱機構20を構成する一対の掛止突部21が設けられている。そして、側板部13の外面に、図3に示した連結部材30が着脱自在に取り付けられる。
【0038】
なお、保持枠部11の他方の側板部14の外面と背板部12の外面にも着脱機構20を設けて、連結部材30を着脱自在に取り付けることが可能である。
【0039】
図3および図6に示すように、連結部材30の機構支持部31に、回転止め機構26が設けられている。機構支持部31の上面33に、切換え穴34が貫通して形成されている。切換え穴34は、前進部34aと規制部34bが鉤状に連続して形成されている。機構支持部31の背板部32に、穴32aが開口している。回転止め機構26は、機構支持部31の内部に、前記穴32aから突出する回転止め部材27が設けられている。回転止め部材27は金属ピンであり、機構支持部31の内部に設けられたスラスト支持部に軸方向へ進退自在に支持されている。回転止め部材27の外周に圧縮コイルばね28が装着されており、回転止め部材27は、圧縮コイルばね28の弾性力によって、穴32aから突出する向きに付勢されている。
【0040】
回転止め部材27に、操作部29が固定されており、操作部29が前記切換え穴34の内部に位置している。連結部材30が保持枠部11から分離されているときは、図6に示すように、回転止め部材27を穴32aの内部に後退させ、操作部29を規制部34bに掛止させておく。図1と図5に示すように、機構支持部31が保持枠部11に装着された後に、操作部29を規制部34bから外して前進部34aに移動させると、回転止め部材27が圧縮コイルばね28の弾性力によって穴32aから突出する。図2に示すように、保持枠部11に位置決め穴19が開口しており、回転止め部材27が位置決め穴19に嵌合する。その結果、図1と図5に示すように、連結部材30は、機構支持部31の上面33が上向きの姿勢で回転が規制されて、連結部材30が保持枠部11から不用意に外れるのを防止できるようになる。
【0041】
図3と図4(A)および図5に示すように、連結部材30には、機構支持部31から前方に延びる弾性体支持部35が設けられている。弾性体支持部35は金属製であり、同じく金属製の機構支持部31に溶接やねじ止め手段で固定されている。あるいは弾性体支持部35と機構支持部31とが合成樹脂材料で一体に形成されてもよい。
【0042】
弾性体支持部35の機構支持部31側の基端部は嵌合部35aである。嵌合部35aの外面は、第2の管材2の内面の形状とほぼ同じであり、図5に示すように、嵌合部35aの外面に、第2の管材2の端部2aが大きな隙間を空けることなく装着される。
【0043】
弾性体支持部35は、前記嵌合部35aに連続するテーパ部35bを有している。テーパ部35bは、その断面が四角形であり、機構支持部31から離れるにしたがって断面積が徐々に小さくなる形状である。
【0044】
図1と図4(A)および図5に示すように、弾性体支持部35の外周に弾性保持体36が取り付けられている。弾性保持体36は、ウレタン樹脂などの合成ゴム材で形成されて立方体形状である。弾性保持体36には、機構支持部31に向けて開口する装着穴36aが形成されている。装着穴36aは、内面が前記弾性体支持部35のテーパ部35bの外面に倣うテーパ穴である。装着穴36aが前記テーパ部35bの外周に装着されている。
【0045】
図4および図5に示すように、弾性保持体36の内部に、一対の金属部材37が埋設されている。図4(B)に示すように、金属部材37は金属板を折り曲げて形成されている。金属部材37は、摺動板部37aと、摺動板部37aの前後縁部から折り曲げられた折曲げ板部37b,37cを有している。摺動板部37aは、弾性保持体36の装着穴36aに露出している。折曲げ板部37b,37cの先端エッジ部37d,37eは、弾性保持体36の外面に露出している。図4(B)に示すように、先端エッジ部の形状は、先端エッジ部37dのように先端を鋭利な刃にしたり、先端エッジ部37eのように先端をジグザグ歯にするなど、第2の管材2の内面に噛み込みやすくすることが好ましい。
【0046】
図4(A)と図5に示すように、弾性保持体36の先部に、押圧板38が設置されている。押圧板38は金属板で形成され、中央部に矩形状の穴38aが開口している。
【0047】
図5に示すように、連結部材30の機構支持部31の内部に、圧縮機構40が設けられている。連結部材30には、機構支持部31と弾性体支持部35および弾性保持体36を貫通する圧縮部材41が設けられている。圧縮部材41は金属製で断面が矩形状の軸部材である。圧縮部材41は、機構支持部31の前部に開口する摺動穴31aと、弾性体支持部35の前後に開口する摺動穴35c,35dと弾性保持体36の中心穴36bに挿通されている。さらに、圧縮部材41が押圧板38の穴38aに挿通され、圧縮部材41の先端部41aが、押圧板38の外部に設置された固定部材39に固定されている。
【0048】
機構支持部31の内部では、圧縮部材41の基部に引き込み突起42が固定されている。圧縮機構40はくさび部材43を有している。くさび部材43は、機構支持部31の内部で、回転することなく上下動できるように支持されており、くさび部材43は、圧縮部材41の引き込み方向と直交する向きに進退動作可能である。
【0049】
くさび部材43の上端に、固定部材としてボルト44が回転自在に連結されている。機構支持部31の上端にナット46が固定されており、ボルト44は前記ナット46に螺着されている。または、機構支持部31の内部に雌ねじ部が刻まれ、ボルト44が前記雌ねじ部に螺着されていてもよい。
【0050】
図1と図5に示すように、保持枠部11に着脱機構20を介して連結部材30が固定され、且つ回転止め機構26によって、連結部材30の回転止めがなされた状態で、第2の管材2が連結部材30に装着可能となる。
【0051】
図5に示すように、固定部材であるボルト44を上昇させ、くさび部材43を上昇させておくと、圧縮部材41に引き込み力が作用しないため、弾性保持体36の弾性復元力によって、圧縮部材41が図5において右側に移動している。なお、第2の管材2が装着されていないときに、圧縮部材41を図示右方向へ積極的に移動させるように、圧縮部材41を、ばねの力で図示右方向へ付勢してもよい。
【0052】
第2の管材2の端部2aを、連結部材30の外周に装着し、管材2の先部を弾性体支持部35の基端の嵌合部35aの外周に嵌着させて、管材2の先端を機構支持部31に密着させる。圧縮機構40の固定部材であるボルト44を締め込んで、くさび部材43を下降させると、くさび傾斜部43aによって引き込み突起42が、図5の左側へ引き込まれる。圧縮部材41が引き込まれると、圧縮部材41と共に押圧板38が左方向へ移動し、押圧板38によって弾性保持体36が圧縮させられる。弾性体支持部35のテーパ部35bと、弾性保持体36のテーパ形状の装着穴36aとが嵌合しているため、弾性保持体36は圧縮されるに伴って外周に向けて膨張する。そして、第2の管材2が内側から弾性保持体36で保持される。
【0053】
図4と図5に示すように、弾性保持体36に金属部材37,37が埋設されていると、弾性保持体36が圧縮されるときに、金属部材37,37の摺動板部37aが、弾性体支持部35のテーパ部35bの外面を図示左方向へ摺動し、金属部材37,37の先端エッジ部37d,37eが管材2の内面に押し付けられる。金属部材37,37の先端エッジ部37d,37eは、管材2の内面に噛み込みやすいように刃が形成されているため、この噛み込みによって、管材2がしっかりと固定される。
【0054】
特に、図5に示すように、金属部材37,37の先端エッジ部37d,37eが、第2の管材2の挿入方向に向くように図示左向きに斜めに延びていると、先端エッジ部37d,37eが管材2の内面に噛み込みやすくなり、管材2の抜け止め効果をさらに高めることができる。
【0055】
図5に示すように、ボルト44を最大限に締め込んだときに、引き込み突起42がくさび部材43のくさび傾斜部43aに当接している。圧縮部材41には弾性保持体36の弾性復帰力によって図示右方向への付勢力が常に作用しているため、この付勢力でくさび部材43が上向きに押し上げられ、ボルト44とナット46との弛みが防止される。
【0056】
図1に示す第3の管材3の端部3aも同様にして連結部材30に連結される。第2の管材2と第3の管材3を、第1の管材1の中腹部にT字形状に固定でき、しかも保持枠部11の装着位置を変えることで、第2の管材2と第3の管材3を、第1の管材1の任意の位置に固定することができる。
【0057】
また、保持枠部11の外面の複数箇所に着脱機構20を構成する掛止突部21が設けられていると、連結する管材の本数を自由に設定できる。例えば、第1の管材1と第2の管材2の双方を連結したり、さらに第3の管材3を連結することが可能であり、あるいは第1の管材1のみを連結することもでき、管材を使用した構造物を自由に組み立てることができる。
【0058】
また、第1の管材1を中実の角柱とすることもできる。また、第2の管材2と第3の管材3を中軸の角柱とし、連結部である端部2a,3aのみを筒形状とすることもできる。また断面が円形の管材を使用することも可能である。
【0059】
管材どうしの連結強度を高くできるため、管材の構造物をコンテナなどの梱包用部材として使用することも可能である。また、使用後は、ボルト44を弛めて管材どうしを分離できるため、管材を再利用でき、保持枠部11と連結部材30も再使用することができる。
【0060】
なお、前記実施の形態において、保持枠部11に金属部材18を設けず、弾性材17のみで第1の管材1を締め付けることによっても、管材1に保持枠部11をしっかり固定することができる。同様に、弾性保持体36の内部に金属部材37,37を設けない構造とすることも可能である。
【0061】
図7(A)に示す第2の実施の形態の保持枠部111は、図2に示す保持枠部11と同様に、背板部12と側板部13,14と前板部15a,15bを有しており、内側に弾性材17が設けられている。
【0062】
保持枠部111の側板部13,14と前板部15a,15bに着脱機構120を構成する雄ねじ部121が設けられている。前板部15a,15bに取り付けられる雄ねじ部121は分離されており、雄ねじ部121の半分がそれぞれ前板部15a,15bに固定されている。雄ねじ部121は、保持枠部111から離れるにしたがってピッチ円が若干小さくなるテーパねじである。この保持枠部111に取り付けられる連結部材30の機構支持部31の背板部32には雌ねじ部が設けられている。
【0063】
図7(B)に示すように、第1の管材1に保持枠部111を装着し、前板部15a,15bに設けられた雄ねじ部121に、連結部材30の機構支持部31に設けられた雌ねじ部を嵌合させて締め込むと、保持枠部111が弾性材17を介して第1の管材1に締め付けられて、第1の管材1にしっかりと固定される。この場合も、弾性材17に金属部材18を埋設することで、保持枠部111を第1の管材1に強固に固定することができる。また、保持枠部111に複数の位置決め穴19を形成しておき、連結部材30が所望の姿勢になったときに、回転止め部材27を位置決め穴19に嵌合させる。
【0064】
図8に示す第2の実施の形態の圧縮機構140は、機構支持部31の内部に、くさび部材143が上下方向に進退自在に支持されている。くさび部材143は、くさび傾斜部143aとその下部の規制部143bを有している。機構支持部31の外部では、くさび部材143に固定凹部143cが形成されている。また、機構支持部31の上面に固定部材144が、左右方向へ回動できるように固定されている。
【0065】
図8(A)に示すように、くさび部材143が上昇しているときは、圧縮部材41の基部に設けられた引き込み突起42が規制部143bに当たって規制されている。このとき、弾性保持体36が復元しており、圧縮部材41が図示右側へ移動している。
【0066】
図8(B)に示すように、工具を用いてくさび部材143を下側へ押し込むと、くさび傾斜部143aによって圧縮部材41が左側へ引き込まれ、弾性保持体36が圧縮されて、管材2が内側から保持される。このとき、くさび部材143は、弾性保持体36の弾性復元力で上向きに押し上げられるが、くさび部材143の固定凹部143cに固定部材144を嵌合させることで、弾性保持体36の圧縮状態を維持できる。
【0067】
なお、本発明の圧縮機構は、くさび部材を使用するものに限られない。例えば機構支持部31の内部に、圧縮部材41の周囲を回転する回転カムを設け、この回転カムにより、引き込み突起42が引き込まれるようにし、前記回転カムを回転させる操作部材が、機構支持部31の側部から外側へ突出しているものであってもよい。
【0068】
いずれにせよ、連結部材30に機構支持部31を設け、その内部に圧縮機構を設けることによって、第1の管材1の中腹部分に、他の管材の端部を垂直に連結することが可能になる。
【符号の説明】
【0069】
1 第1の管材
2 第2の管材
3 第3の管材
10 連結装置
11 保持枠部
15a,15b 前板部
16 分離部
17 弾性材
18 金属部材
20 着脱機構
21 掛止突部
22 円筒部
23 掛止フランジ部
24 嵌合穴
25 切り欠き部
26 回転止め機構
27 回転止め部材
30 連結部材
31 機構支持部
35 弾性体支持部
35b テーパ部
36 弾性保持体
37 金属部材
38 押圧板
40 圧縮機構
41 圧縮部材
42 引き込み突起
43 くさび部材
44 固定部材であるボルト
111 保持枠部
120 着脱機構
121 雄ねじ部
140 圧縮機構
143 くさび部材
144 固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体の外周に取り付けられる保持枠部と、前記保持枠部に固定される機構支持部と、前記機構支持部から延び出る弾性体支持部と、前記弾性体支持部に支持される弾性保持体と、前記機構支持部から前記弾性支持部の内部を通過して前記弾性保持体の端部まで延びる圧縮部材とを有し、
前記機構支持部に、前記圧縮部材を引き込んで前記弾性保持体を圧縮する圧縮機構が設けられ、前記圧縮機構を前記機構支持部の外部から動作させることが可能であり、前記弾性保持体の外周部に装着される管材が、圧縮された前記弾性保持体によって内側から保持されることを特徴とする管材の連結装置。
【請求項2】
前記圧縮機構は、前記圧縮部材を引き込むくさび部材と、前記圧縮部材が引き込まれた状態で、前記くさび部材を固定する固定部材とを有している請求項1記載の管材の連結装置。
【請求項3】
前記保持枠部と前記機構支持部とが、着脱機構を介して着脱自在である請求項1または2記載の管材の連結装置。
【請求項4】
前記着脱機構は、前記保持枠部に、複数の円筒部を有する掛止突部と、前記掛止突部から前記円筒部の半径方向へ延びる掛止フランジ部とが設けられ、前記機構支持部に、前記掛止突部の前記円筒部に嵌合する嵌合穴と、前記嵌合穴よりも開口寸法が広げられた切り欠き部とが形成されている請求項3記載の管材の連結装置。
【請求項5】
前記着脱機構は、前記保持枠部に雄ねじ部が設けられ、前記機構支持部に、前記雄ねじ部に螺着される雌ねじ部が設けられている請求項3記載の管材の連結装置。
【請求項6】
前記保持枠部の一部に分離部が形成され、前記分離部を挟んで前記着脱機構が設けられており、前記着脱機構を介して前記機構支持部が取り付けられたときに、その取付け力によって前記保持枠部が前記軸体に締め付けられる請求項3ないし5のいずれかに記載の管材の連結装置。
【請求項7】
前記機構支持部には、前記保持枠部の穴に嵌合する回転止め部材が設けられている請求項3ないし6のいずれかに記載の管材の連結装置。
【請求項8】
前記弾性体支持部は、前記機構支持部から離れるにしたがって断面積が小さくなるテーパ部を有しており、前記弾性保持体に、圧縮されたときに前記管材に圧接する金属部材が設けられている請求項1ないし7のいずれかに記載の管材の連結装置。
【請求項9】
前記保持枠部の内側に弾性材と前記軸体の外面に圧接する金属部材とが設けられている請求項1ないし8のいずれかに記載の管材の連結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−196498(P2011−196498A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65654(P2010−65654)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(509207922)
【Fターム(参考)】