説明

管楽器の演奏補助器具

【課題】管楽器の管に接触する部分の内径と形状を容易に変更し、さまざまな外径や形状の金管楽器の管に装着することができる、演奏時の音色を改善し、演奏を容易にする器具とその製造方法を提供する。
【解決手段】金属の管を分割し、磁石により管楽器に固定することが可能であると共に、前記分割された金属の管の内径を変化できる構造とし、また、一方の連結端部の内側の切除部と、他方の連結端部の外側の切除部とを連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管楽器の管に装着し、演奏時の音色を改善し、演奏を容易にする器具とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金管楽器は、電子楽器等と異なり、初心者では発音が難しいことが多く、人前で演奏するに耐える音色で演奏するまでに多くの時間と修練を必要とする。また、長い修練に耐え、人前で演奏できるまでに上達する人の割合は、比較的発音が容易なトロンボーンで30%、トランペットにおいては10%程度と考えられている。
【0003】
人前で演奏できるまでに上達した奏者は、次に音色の改善に取り組むこととなるが、聴衆に感動を与えるに足る音色を奏でるレベルに到達するまでには、人前で演奏することができるまで上達する時間のさらに何倍かの時間と厳しい修練が必要なことが多い。
【0004】
これまで、上記の長い修練を短縮し、すなわち楽器演奏の上達を速め、音色を改善する施策が考案されている。木管楽器や金管楽器の音色を変更する方法として、消音器と類似した形状の器具(特許文献1〜3)やサックスのリガチャーを改造した器具(特許文献4)、マウスピースの表面加工を改善する技術(特許文献5)が知られていた。一方、管楽器
用の材料を最適化する技術が知られている(従来の管楽器 用の材料については、例えば、特許文献6〜8を参照)。また、楽器の演奏を補助する器具も考案されている(特許文献10)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−240347号公報
【特許文献2】特開2001−282233号公報
【特許文献3】特開2005−084265号公報
【特許文献4】特開平7−64542号公報
【特許文献5】特開2004−061573号公報
【特許文献6】特開2004−240347号公報
【特許文献7】特開2001−282233号公報
【特許文献8】特開2005−070391号公報
【特許文献9】特開2004−300568号公報
【特許文献10】特開2004−318032号公報
【特許文献11】特許第3813163号公報
【0006】
金管楽器 の音色を改善する器具を実用化するためには意外に多くの特性が要求される。まず要求されるのは、金属表面から認識される質感(輝き、色合い)及びその質感を維持できる耐食性である。音楽は芸術であり、楽器を奏でる側、聞く側にとって、楽器の質感は音楽を楽しむための要素の一つだからである。そして、管楽器は演奏者に常に接触するものであるので、汗、皮脂による楽器の変色のおそれ、又は、保管時の大気中での変色のおそれがあるためにその質感を維持できる程の耐食性も重要となる。また、器具の材料には機械的強度も要求される。機械的強度は管楽器の傷防止の他、音色の確保にも影響を与え得る。
【0007】
金管楽器 の音色を改善する器具は、演奏者が演奏時に長時間楽器を保持するために軽量であることが好ましい。そして、軽量でありながら高い硬度も求められる。使用時又は保管時において傷が発生するのを防止する必要もある。また、楽器は精密器具でもあり、音色を維持するためには、部品のゆがみ、寸法変形は避けるべきであり、そのために楽器に負荷がかからない素材、器具が好ましい。
【0008】
一方、種々の加工機械が利用できる今日においても、金管楽器の多くの部分がいわば「手作り」で製造されており、同じ品番の金管楽器であっても製造ロットや職人の違いにより、管の形状が少しずつ異なっていた。よって、これまで金管楽器の音色を改善する器具は、各楽器の形状に合うように、オーダーメイドで作られており、初心者、中級者が容易に利用できる状況ではなかった。発明者達は特許文献11の特許第3813163号公報の段階から更に、管楽器の演奏補助器具について改良発明を行った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来、所定長さの金属の管(管材)の中心軸を通る面にて、単純に2分割し、その互いに対向する分割面に各々永久磁石を設けて接合端面部とした管楽器の演奏補助器具であった。この管楽器の演奏補助器具は、装着しようとする部位の管楽器の管の外径が、大きくなるに従い、永久磁石を有する接合端面部が互いに垂直方向に離れるように移動するために、互いに吸引し合う永久磁石同士の距離が離れ、永久磁石の吸着力(吸引磁力)が弱まり、演奏補助器具の装着が不安定となり、初めに装着した位置からずれたり、使用途中で脱落したり、装着が出来なかったり、という不具合があった。
そこで、本発明は、管楽器の演奏補助器具の装着時に、管楽器の取付部位の外径が大きい場合にも、永久磁石を有する接合端面部が互いに平行な方向に移動する(相対的にずれる)だけで、互いに吸引し合う永久磁石同士の接触を保つことが可能であり、管楽器の演奏補助器具をテーパー形状を含む様々な外径や形状を有する管楽器の管に確実に装着でき、演奏時の音色を改善し、演奏を容易にでき、上達が早まる管楽器の演奏補助器具とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者達は、上記課題を解決すべく検討を行い、[1]〜[5]に示す本発明の管楽器の演奏補助器具であれば、種々の外径や形状を有する金管楽器の管に装着することができ、演奏時の音色が改善され、上達が早まることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0011】
かくして、上記目的を達成するために、[1]請求項1の発明は、金属の管を分割し、磁石により管楽器に固定することが可能であると共に、前記分割された金属の管の内径を変化できる構造とし、様々な外径の管楽器本体に装着可能であることを特徴とする管楽器の演奏補助器具である。
請求項1の発明は、即ち、所定長さの金属の管(管材)を中心軸方向で、中心軸を通らない面にて複数部材に分割し、その各部材の各々において、互いに対向する各々の分割端面部に各々永久磁石を設けて着脱自在の接合端面部となし、前記永久磁石により管楽器に固定することが可能であると共に、分割された前記金属の管(管材)の内周面に前記中心軸方向に少なくとも1個の所定のすり割りおよび/または溝を設け、前記分割された各々の金属の管(管材)の内径を変化できる構造とし、様々な外径の管楽器本体に装着する時に、互いに吸引し合う永久磁石同士の接触を保つことが可能であり、材質や表面処理を管楽器の取付部位の表面に合わせて選択でき、前記複数部材を組み合わせて成る管楽器の演奏補助器具である。
【0012】
請求項1の発明の場合、管(管材)の中心軸を通らない面で複数部材に分割し、その各部材の各々において、互いに対向する各々の分割端面部に各々永久磁石を設けて着脱自在の接合端面部となし、その接合端面部は、従来の中心軸を通る面で分割された接合端面部に比べて、前記永久磁石を設けてなる着脱自在の前記接合端面部の面積が広く取れるため、永久磁石を装着する位置や磁石の大きさを適宜に選択することが出来る。そして、分割された前記金属の管(管材)の各々の内周面に前記中心軸方向に少なくとも1個の所定のすり割りおよび/または溝を設け、前記分割された各々の金属の管(管材)の内径を変化できる構造とし、テーパー形状を含む様々な外径の管楽器本体の取付部位の表面に沿わせて装着する時に、永久磁石を有する接合端面部が互いに平行な方向に移動して接合位置で自動的に調整される(相対的にずれる)だけで、互いに吸引し合う永久磁石同士の接触を保つことが可能であり、材質や表面処理を管楽器の取付部位の表面に合わせて選択でき、前記複数部材を組み合わせて成る管楽器の演奏補助器具である。
【0013】
[2]請求項2の発明は、管楽器本体を囲むものであって、複数の囲繞部材で構成する管楽器の演奏補助器具において、
一方の連結端部の内側の切除部と、他方の連結端部の外側の切除部とを重ね合わせ接合して連結したことを特徴とする管楽器の演奏補助器具である。
請求項2の発明は、即ち、所定長さの金属の管(管材)を複数部材(複数の囲繞部材)に分割し、その各部材(一方の部材と他方の部材)の各々において、互いに対向する各々の分割した端面部に各々永久磁石を設けて着脱自在の連結端部(接合端面部)となし、永久磁石により管楽器本体の取付部位を囲むものであって、
前記一方の部材の一方の連結端部(接合端面部)を形成する永久磁石を含む内側の切除部と、前記他方の部材の他方の連結端部(接合端面部)を形成する永久磁石を含む外側の切除部とを円周方向に重ね合わせ接合して連結すると共に、
前記一方の部材の他方の連結端部(接合端面部)を形成する永久磁石を含む外側の切除部と、前記他方の部材の一方の連結端部(接合端面部)を形成する永久磁石を含む内側の切除部とを円周方向に重ね合わせ接合して連結し、前記分割された各々の金属の管(管材)の各々の内周面に前記中心軸方向に少なくとも1個の所定のすり割りおよび/または溝を設けて、各々の金属の管(管材)の内径を変化できる構造としたことを特徴とする管楽器の演奏補助器具である。
【0014】
請求項2の発明の場合、永久磁石を有する一方の連結端部の内側の切除部(接合端面部)と、永久磁石を有する他方の連結端部の外側の切除部(接合端面部)とを円周方向に重ね合わせ接合して連結して、前記複数部材を組み合わせてなる管楽器の演奏補助器具であり、管楽器のテーパー形状を含む様々な外形の装着部位への装着時に永久磁石を有する接合端面部が互いに相対的にずれて平方移動し、自動的に調整されるだけで、互いに吸引し合う永久磁石同士の接触を保つことが可能である。そして、着脱自在の前記接合端面部の重なり合う面が円周方向であり、その面積が広く取れることにより、永久磁石を装着する位置や磁石の大きさを適宜に選択することが可能となる。
【0015】
[3]請求項3の発明は、管楽器本体を囲むものであって、複数の囲繞部材で構成する管楽器の演奏補助器具において、一方の部材の外端部の内側を切除して形成した切除部と、他方の部材の外端部の外側を切除して形成した切除部とを重ね合わせ接合して連結したことを特徴とする管楽器の演奏補助器具である。
請求項3の発明は、即ち、管楽器の演奏補助器具において、管楽器本体を囲むものであって、複数の囲繞部材(ここでは、一方の部材(第3の部材)と他方の部材(第4の部材)との2部材に2分割)で構成する前記管楽器の演奏補助器具において、一方の部材(第3の部材)の外端部の内側の切除部は、一方の内側の切除部(接合端面部)と他方の内側の切除部(接合端面部)とを含み、他方の部材(第4の部材)の外端部の外側の切除部は、一方の外側の切除部(接合端面部)と他方の外側の切除部(接合端面部)とを含み、重ね合わせ接合して連結する前記各切除部(接合端面部)は前記管材の中心軸を通っていない平面である。
【0016】
請求項3の発明の場合、着脱自在の前記接合端面部同士、即ち、前記一方の部材(第3の部材)の各々の永久磁石を有する一方の接合端面部と他方の接合端面部と、前記他方の部材(第4の部材)の各々の永久磁石を有する一方の接合端面部と他方の接合端面部とが、前記管材の中心軸を通らない平面(互いの接合端面部同士)で重なり合い接合され連結している。よって、永久磁石を取り付ける面(互いの接合端面部同士)の面積が、従来のような中心軸を通る面で2分割した半径方向の接合端面部の面積に比べて肉厚となる斜めの方向の切断面であり、接合端面部がより広い面積で取れるために、管楽器のテーパー形状を含む様々な外形の装着部位への装着時に永久磁石を有する接合端面部が互いに相対的にずれて平方移動し、自動的に調整されるだけで、互いに吸引し合う永久磁石同士の接触を保つことが可能であり、各接合端面部の永久磁石を装着する位置や磁石の大きさを適宜に選択することが出来る。そして、管楽器の演奏補助器具を管楽器の取付部位に装着する時に、前記第3のすり割りおよび/または溝や、前記第4のすり割りおよび/または溝等を、必要により複数個所設けて、管楽器本体の取付部位の形状に沿うように各々の部材の前記内周面(内径)を曲げ修正(変形)して取り付けることが出来る。
【0017】
[4]請求項4の発明は、管楽器本体を囲むものであって、複数の囲繞部材で構成する管楽器の演奏補助器具において、他方の部材の両端の切断面に、一方の部材の両端の切断面が、外側から接合して連結したことを特徴とする管楽器の演奏補助器具である。
請求項4の発明は、即ち、他方の部材の両端の切断面は、一方の外側の切除部(接合端面部)と他方の外側の切除部(接合端面部)とを含み、一方の部材の部材の両端の切断面は、一方の内側の切除部(接合端面部)と他方の内側の切除部(接合端面部)とを含み、他方の部材の両端の切断面に、一方の部材の両端の切断面が、外側から接合して連結したことを特徴とする管楽器の演奏補助器具である。
【0018】
請求項4の発明の場合、永久磁石を有する他方の部材の両端の切断面(接合端面部)に、永久磁石を有する一方の部材の両端の切断面(接合端面部)が外側から接合して連結したことを特徴とする管楽器の演奏補助器具である。着脱自在の前記接合端面部同士の重なり合う方向が、前記管材の中心軸を通らない平面(互いの接合端面部同士)で重なり合って接合され連結している。よって、永久磁石を取り付ける面(互いの接合端面部同士)の面積が、従来のような管材の中心軸を通る面で2分割した半径方向の接合端面部に比べて、
肉厚となる斜めの方向の切断面であり、接合端面部がより広い面積で取れるために、管楽器のテーパー形状を含む種々の外径の取付部位の装着時に、永久磁石を有する接合端面部が互いに相対的にずれて平方移動し、自動的に調整されるだけで、互いに吸引し合う永久磁石同士の接触を保つことが可能であり、各接合端面部の永久磁石を装着する位置や磁石の大きさを適宜に選択することが出来る。そして、管楽器の演奏補助器具を管楽器の取付部位の外径に沿うように、前記一方の部材の前記すり割りおよび/または溝や、前記他方の部材の前記すり割りおよび/または溝等を、必要により複数個所設けて、管楽器本体の取付部位の形状に管材の前記内周面(内径)を曲げ修正(変形)して取り付けることが出来る。
【0019】
[5]請求項5の発明は、管楽器本体を囲むものであって、複数の囲繞部材で構成する管楽器の演奏補助器具において、
両端部の切断面の延長面が管材の中心を通らないようにした複数の部材で連結したことを特徴とする管楽器の演奏補助器具である。
【0020】
請求項5の発明の場合、永久磁石を有する両端部の切断面である接合端面部の延長面が管材の中心を通らないようにした複数の部材で連結したことを特徴とする管楽器の演奏補助器具であるため、永久磁石を取り付ける面の面積が、従来のような中心軸を通る面で2分割した半径方向の接合端面部に比べて肉厚方向に対して斜め方向のより厚い方向の切断面であり、接合端面部がより広い面積を取れるために、永久磁石を装着する位置や磁石の大きさを適宜に選択することが可能である。そして、分割された前記金属の管(管材)の各々の内周面に前記中心軸方向に少なくとも1個の所定のすり割りおよび/または溝を設け、前記分割された各々の金属の管(管材)の内周面(内径)を変化(変形)できる構造とし、管楽器のテーパー形状を含む種々の外径の装着部位への装着時に永久磁石を有する接合端面部が互いに相対的にずれて平方な方向に移動し、自動的に調整されるだけで、互いに吸引し合う永久磁石同士の接触を保つことが可能である。
【発明の効果】
【0021】
管楽器本体に接触する管楽器の演奏補助器具の内径と形状を容易に変更し、テーパー形状を含む種々の外径や形状の金管楽器の管に装着することにより、演奏時の音色を改善し、演奏を容易にする器具とその製造方法を提供することができる。
請求項1の発明の場合、管楽器の演奏補助器具において、前記永久磁石を有する着脱自在の前記接合端面部の面積が広く取れるため、永久磁石を取り付ける位置や磁石の大きさを適宜に選択することが出来る。そして、分割された前記金属の管(管材)の各々の内周面に前記中心軸方向に少なくとも1個所の所定のすり割りおよび/または溝を設け、前記分割された各々の金属の管(管材)の各々の内周面(内径)を変形できる構造とし、様々な外径の管楽器本体の取付部位の表面に沿わせて装着する時に、永久磁石を有する接合端面部が互いに平行な方向に移動して取り付け位置を自動的に調整される(相対的にずれる)だけで、互いに吸引し合う永久磁石同士の接触を保つことが可能である管楽器の演奏補助器具である。
【0022】
請求項2の発明の場合、永久磁石を有する一方の連結端部の内側の切除部(接合端面部)と、永久磁石を有する他方の連結端部の外側の切除部(接合端面部)とを円周方向に重ね合わせ接合して連結して、前記複数部材を組み合わせてなる管楽器の演奏補助器具であり、前記永久磁石を有する着脱自在の前記接合端面部が円周方向であり、その重なり合う面積が広く取れるため、永久磁石を取り付ける位置や磁石の大きさを適宜に選択することが出来る。そして、分割された前記金属の管(管材)の各々の内周面に前記中心軸方向に少なくとも1個所の所定のすり割りおよび/または溝を設け、前記分割された各々の金属の管(管材)の各々の内周面(内径)を変形できる構造とし、テーパー形状を含む種々の外径の管楽器本体の取付部位の表面に沿わせて装着する時に、永久磁石を有する接合端面部が互いに平行な方向に自動的に移動調整される(相対的にずれる)だけで、互いに吸引し合う永久磁石同士の接触を保つことが可能である。
【0023】
請求項3の発明の場合、着脱自在の前記接合端面部同士、即ち、前記一方の部材(第3の部材)の永久磁石を有する(一方の接合端面部または他方の接合端面部)と前記他方の部材(第4の部材)の永久磁石を有する(一方の接合端面部または他方の接合端面部)との重なり合う方向が、前記管材の中心軸を通らない平面(互いの接合端面部同士)で重なり合い接合され連結している。よって、永久磁石を取り付ける面(互いの接合端面部同士)の面積が、従来のような中心軸を通る面で2分割した半径方向の接合端面部に比べて肉厚方向に対して斜め方向のより厚い方向の切断面であり、接合端面部がより広い方向で取れるために、各接合端面部の永久磁石を装着する位置や磁石の大きさを適宜に選択することが出来る。そして、管楽器の演奏補助器具を管楽器の取付部位に装着する時に、前記第3のすり割りおよび/または溝や、前記第4のすり割りおよび/または溝等を、必要により複数個所設けて、管楽器本体の取付部位の形状に沿うように各々の部材の前記内周面(内径)を曲げ修正(変形)して取り付けることが出来る。
【0024】
請求項4の発明の場合、永久磁石を有する他方の部材の両端の切断面(接合端面部)に、永久磁石を有する一方の部材の両端の切断面(接合端面部)が外側から接合して連結したことを特徴とする管楽器の演奏補助器具である。着脱自在の前記接合端面部同士の重なり合う方向が、前記管材の中心軸を通らない平面(互いの接合端面部同士)で重なり合って接合され連結している。よって、永久磁石を取り付ける面(互いの接合端面部同士)の面積が、従来のような管材の中心軸を通る面で2分割した半径方向の接合端面部に比べて肉厚方向に対して斜めのより肉厚方向の切断面であり、接合端面部がより広い方向で取れるために、管楽器のテーパー形状を含む種々の外径の取付部位の装着時に、永久磁石を有する接合端面部が互いに相対的にずれて平方移動し、自動的に調整されて装着可能となる。これにより、永久磁石を取り付ける面の面積が広く取れ、永久磁石を装着する位置や磁石の大きさを適宜に選択することが可能である。そして、管楽器の演奏補助器具を管楽器の取付部位の外径に沿うように、前記一方の部材の前記すり割りおよび/または溝や、前記他方の部材の前記第4のすり割りおよび/または溝等を、必要により複数個所設けて、管楽器本体の取付部位の形状に管(管材)の前記内周面(内径)を曲げ修正(変形)して取り付けることが出来る。
【0025】
請求項5の発明の場合、永久磁石を有する両端部の切断面である接合端面部の延長面が管材の中心を通らないようにした複数の部材で連結したことを特徴とする管楽器の演奏補助器具であるため、永久磁石を取り付ける面の面積が、従来のような中心軸を通る面で2分割した半径方向の接合端面部に比べて肉厚方向に対して斜め方向のより厚い方向の切断面であり、接合端面部がより広い面積を取れるために、永久磁石を装着する位置や磁石の大きさを適宜に選択することが可能である。そして、分割された前記金属の管(管材)の各々の内周面に前記中心軸方向に少なくとも1個の所定のすり割りおよび/または溝を設け、前記分割された各々の金属の管(管材)の内周面(内径)を変化(変形)できる構造とし、管楽器のテーパー形状を含む種々の外径の装着部位への装着時に永久磁石を有する接合端面部が互いに相対的にずれて平方移動し、自動的に調整されて(相対的にずれて)装着可能であり、永久磁石を有する接合端面部が互いに平行な方向に移動するだけで、互いに吸引し合う永久磁石同士の接触を保つことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明に使用する金属の管(管材)の材質は洋白またはその合金、金またはその合金、銀またはその合金、銅またはその合金、白金またはその合金から選択することができる。また、用途により2種以上の金属を接合した管を使用することができる。
【0027】
本発明の管楽器の演奏補助器具は、所定長さの金属の管(管材)を回転軸(中心軸)方向に、前記中心軸を通らない分割面により複数部材に分割し、その各部材の各々において、互いに対向する各々の分割端面部に各々永久磁石を設けて、着脱自在の接合端面部となし、そのうえ、分割された前記金属の管(管材)の各々の内周面に前記中心軸方向に少なくとも1個の所定のすり割りおよび/または溝を設け、前記分割された各々の金属の管(管材)の内径を変更出来る構造とし、管楽器のテーパー形状を含む種々の外径の管楽器本体の取付部位の表面に沿わせて装着でき、装着時に永久磁石を有する接合端面部が互いに相対的にずれて平方移動し、自動的に調整されて装着可能であり、永久磁石を有する接合端面部が互いに平行な方向に移動するだけで、互いに吸引し合う永久磁石同士の接触を保つことが可能である。そして、材質や表面処理を管楽器の取付部位の表面に合わせて選択でき、前記複数部材の各接合端面部を重ね合せ接合させて連結してなる管楽器の演奏補助器具である。前記管(管材)の複数の分割が可能であるが、好ましくは2分割または3分割を適当とする。また、磁石は一般市販のものを用途に合わせて使用できるが、磁力が強いネオジウム磁石が最も適している。
【0028】
本発明で使用する管(管材)の外側の形状は、直管、樽型、糸巻き型、のこぎり型を単独または適宜組み合わせて製造することができる。これらのうち、ふくらみの頂点を中心または中心からベルの方向にずらした樽型形状が望ましい。
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。
【0030】
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態における管楽器の演奏補助器具1の組み合わせの状態を示す図である。図1(b)は、本発明の第1の実施の形態における、管楽器の演奏補助器具1が一方の部材(第1の部材)6と他方の部材(第2の部材)7とによる構成を示す図である。
図1(a)及び図1(b)を参照して、管楽器の演奏補助器具1について、管楽器本体X(図4(b)参照)を囲むものであって、所定長さの金属の管(管材)2を複数部材に分割され、その複数の囲繞部材(ここでは、一方の部材(第1の部材)6と他方の部材(第2の部材)7との2部材に2分割)で構成される管楽器の演奏補助器具1において、前記一方の部材(第1の部材)6における一方の接合端面部9の外側の切除部13と、他方の部材(第2の部材)7における他方の接合端面部10の内側の切除部14とを重ね合わせ接合させて連結すると共に、前記一方の部材(第1の部材)6における他方の接合端面部10の内側の切除部14と、他方の部材(第2の部材)7における一方の接合端面部9の外側の切除部13とを重ね合わせ接合させて連結したことを特徴とする管楽器の演奏補助器具1である。これらの重ね合わせ接合させて連結する各接合端面部は、中心軸5の方向に、中心軸5を通らない面(ここでは円筒面)により構成されている。
【0031】
更に、これを詳細に説明すれば、図1(a)及び図1(b)を参照して、本発明の管楽器の演奏補助器具1は、管楽器本体X(図4(b)参照)を囲むものであって、所定長さの金属の管(管材)2を複数部材に分割(ここでは一方の部材(第1の部材)6と他方の部材(第2の部材)7との2部材に2分割)され、一方の部材(第1の部材)6と他方の部材(第2の部材)7とにより構成されている。
前記一方の部材(第1の部材)6において、一方の接合端面部9は、延在する前記管(管材)2の内周面4(又は外周面3)に平行な円筒面になるように前記管(管材)2の外周面3を所定の範囲で切除させて形成した外側の切除部13とし、この円筒面(外側の切除部13)に第1の永久磁石17を設け、そのうえ、前記内周面4に少なくとも1個の第1のすり割りおよび/または溝8を設けて形成されている。更に、前記一方の部材(第1の部材)6における他方の接合端面部10は、延在する前記管(管材)2の外周面3(又は内周面4)に平行な円筒面になるように前記管(管材)2の内周面4を所定の範囲で切除させて形成した内側の切除部14とし、この円筒面(内側の切除部14)に第2の永久磁石18を設けて形成されている。ところで、他方の部材(第2の部材)7は、前記一方の部材(第1の部材)6と前記中心軸5に対して対称形であるから、前記一方の部材(第1の部材)6の構成の説明において、前記一方の部材(第1の部材)6を前記他方の部材(第2の部材)7と読み替えれば、そのまま前記他方の部材(第2の部材)7の構成の説明に適用できるために、第2の部材7の説明を省略する。
【0032】
よって、管楽器の演奏補助器具1について、管楽器本体X(図4(b)参照)を囲むものであって、複数の囲繞部材(ここでは、一方の部材(第1の部材)6と他方の部材(第2の部材)7との2部材に2分割)で構成する管楽器の演奏補助器具1において、一方の部材(第1の部材)6における一方の接合端面部9の外側の切除部13(ここに第1の永久磁石17を有する。)と、他方の部材(第2の部材)7における他方の接合端面部10の内側の切除部14(ここに第2の永久磁石18を有する。)とを重ね合わせ接合させて連結し、同様に、一方の部材(第1の部材)6における他方の接合端面部10の内側の切除部14(ここに第2の永久磁石18を有する。)と、他方の部材(第2の部材)7における一方の接合端面部9の外側の切除部13(ここに第1の永久磁石17を有する。)とを重ね合わせ接合させて連結してなることを特徴とする管楽器の演奏補助器具1である。そして、一方の部材(第1の部材)6と他方の部材(第2の部材)7との2部材は、第1の永久磁石17と第2の永久磁石18との吸着力を使用していることにより着脱自在に構成されている。ところで、図1(a)、図(b)では、2分割の例を示しているが、もっと多くの複数分割が可能であり、好ましくは2〜3分割とする。
【0033】
本発明の第1の実施の形態である管楽器の演奏補助器具1の場合、前記一方の部材(第1の部材)6における第1の永久磁石17を有する一方の接合端面部9と、前記他方の部材(第2の部材)7における第2の永久磁石18を有する他方の接合端面部10とが、円周方向の円筒面で重なり合い接合して連結し、同様に、前記一方の部材(第1の部材)6における第2の永久磁石18を有する前記他方の接合端面部10と、前記他方の部材(第2の部材)7における第1の永久磁石17を有する一方の接合端面部9との重なり合う方向が、前記中心軸5を通る面ではなく、前記管(管材)2の円周方向の円筒面で重なり合っていて、管楽器の演奏補助器具1を管楽器本体X(図4(b)参照)の取付部位における外径の大小により、一方の接合端面部9と他方の接合端面部10との重なり合い接合する位置が円周方向にずれる(相対的にずれる)だけで連結できる。よって、従来と異なり重なり合い接合する位置が前記中心軸5を通る面ではないために、永久磁石を取り付ける面が円周方向であり取付面の面積が広く取れ、永久磁石を装着する位置や磁石の大きさを適宜に選択することが出来ると共に、テーパー形状を含む管楽器の演奏補助器具1を管楽器本体Xの取付部位の種々の外径に沿うように、前記第1のすり割りおよび/または溝8(この例では1個所であるが、必要であれば複数個所設けることができる。)により、管楽器本体Xの取付部位に沿わせるように、前記管(管材)2の内径である前記内周面4を曲げ修正(変形)して取り付けることが出来、永久磁石を有する接合端面部が互いに相対的にずれて平方移動し、自動的に調整されて装着可能であり、永久磁石を有する接合端面部が互いに平行な方向に移動するだけで、互いに吸引し合う永久磁石同士の接触を保つことが可能であるので便利である。
【0034】
図2(a)は、本発明の第2の実施の形態における管楽器の演奏補助器具31の組み合わせの状態を示す図である。図2(b)は、本発明の第2の実施の形態における、管楽器の演奏補助器具31が、一方の部材(第3の部材)36と他方の部材(第4の部材)37とによる構成であることを示す図である。図2(a)、図2(b)を参照すると、管楽器の演奏補助器具31について、管楽器本体Y(図4(b)参照)を囲むものであって、複数の囲繞部材(ここでは、一方の部材(第3の部材)36と他方の部材(第4の部材)37との2部材に2分割)で構成する管楽器の演奏補助器具31において、一方の部材(第3の部材)36の外端部の内側を切除して形成した切除部(一方の接合端面部39と他方の接合端面部40)と、他方の部材(第4の部材)37の外端部の外側を切除して形成した切除部(一方の接合端面部41と他方の接合端面部42)とを重合させ接合させて連結したことを特徴とする管楽器の演奏補助器具31である。
【0035】
更に、これを詳細に説明すれば、図2(a)、図2(b)を参照すると、本発明の管楽器の演奏補助器具31において、管(管材)32を中心軸35の方向に、中心軸35を通らない各々の面により2部材に分割された内の、一方の部材(第3の部材)36において、その外端部の内側を切除して形成した切除部は、一方の接合端面部39と他方の接合端面部40とで形成され、前記一方の接合端面部39には第3の永久磁石47が、前記他方の接合端面部40には第4の永久磁石48がそれぞれ設けられ、そのうえ、内周面34に少なくとも1個の第3のすり割りおよび/または溝38aが設けられている。そして、前記管材(管)32を前記中心軸35の方向に、中心軸35を通らない各々の面により2部材に分割された内の、他方の部材(第4の部材)37において、その外端部の外側を切除して形成した切除部は、一方の接合端面部41と他方の接合端面部42とで形成され、前記一方の接合端面部41には第5の永久磁石49が、前記他方の接合端面部42には第6の永久磁石50がそれぞれ設けられ、そのうえ、内周面34に少なくとも1個の第4のすり割りおよび/または溝38bを設けて管楽器の演奏補助器具31が形成されている。
【0036】
そして、前記一方の部材(第3の部材)36の前記一方の接合端面部39に設けられた第3の永久磁石47が、前記他方の部材(第4の部材)37の前記一方の接合端面部41に設けられた第5の永久磁石49(又は、前記他方の接合端面部42に設けられた第6の永久磁石50)と重ね合わされ接合されて連結され、同様に、前記一方の部材(第3の部材)36の前記他方の接合端面部40に設けられた第4の永久磁石48が、前記他方の部材(第4の部材)37の前記他方の接合端面部42に設けられた第6の永久磁石50(又は、前記一方の接合端面部41に設けられた第5の永久磁石49)と重ね合わされ接合されて連結され、管楽器の演奏補助器具31を管楽器本体Yの取付部位の外径に沿うように、前記第3、4のすり割りおよび/または溝38a、38b(この例では、各々1個所であるが、各々必要であれば複数個所設けることができる。)により、各々前記内周面34(前記管材(管)32の内径)を曲げ修正(変形)して取り付けることが出来る管楽器の演奏補助器具31である。そして、一方の部材(第3の部材)36と他方の部材(第4の部材)37との2部材は、互いに各々の永久磁石の吸着力により着脱自在に構成されている。
【0037】
ところで、本発明の第2の実施の形態である管楽器の演奏補助器具31の場合、管楽器本体Y(図4(b)参照)を囲むものであって、複数の囲繞部材(ここでは、一方の部材(第3の部材)36と他方の部材(第4の部材)37との2部材に2分割)で構成する前記管楽器の演奏補助器具31において、一方の部材(第3の部材)36の外端部の内側を切除して形成した切除部(一方の接合端面部39と他方の接合端面部40)と、他方の部材(第4の部材)37の外端部の外側を切除して形成した切除部(一方の接合端面部41と他方の接合端面部42)とは前記管材32の中心軸35を通らない平面に含まれている。
【0038】
これにより、着脱自在の前記接合端面部同士(一方の接合端面部39または他方の接合端面部40)と(一方の接合端面部41または他方の接合端面部42)との互いに重なり合う方向が、前記管材32の中心軸35を通らない平面同士(互いの接合端面部同士)で重なり合って接合され連結しており、
よって、永久磁石を取り付ける面(互いの接合端面部同士)の面積が、従来のような管材の中心軸を通る面で2分割した半径方向の肉厚での各接合端面部の面積に比べて肉厚方向に対して斜めのより大きい肉厚方向の切断面であり、接合端面部がより広い方向で取付面積が大きく取れるために、管楽器のテーパー形状を含む種々の外径の取付部位の装着時に、永久磁石を有する接合端面部が互いに相対的にずれて平方移動し、自動的に調整されて装着可能となる。よって、各永久磁石を有する各接合端面部が互いに平行な方向に移動するだけで、互いに吸引し合う永久磁石同士の接触を保つことが可能である。これにより、永久磁石を取り付ける面の面積が広く取れ、永久磁石を装着する位置や磁石の大きさを適宜に選択することが可能である。そして、管楽器の演奏補助器具31を管楽器の取付部位の外径に沿うように、前記第3のすり割りおよび/または溝38aや、前記第4のすり割りおよび/または溝38b等を、必要により複数個所設けて、管楽器本体Yの取付部位の形状に管材32の前記内周面34を容易に曲げ修正(変形)して取り付けることが出来て便利である。
【0039】
本発明の第3の実施の形態として、図2(a)、図2(b)を参照すると、本発明の管楽器の演奏補助器具31において、管(管材)32を中心軸35の方向に2部材に分割されて、管楽器本体Y(図4(b)参照)を囲むものであって、複数の囲繞部材(ここでは、一方の部材(第3の部材)36と他方の部材(第4の部材)37との2部材に2分割)で構成する管楽器の演奏補助器具31において、他方の部材(第4の部材)37の両端の切断面(一方の接合端面部41と他方の接合端面部42)に、一方の部材(第3の部材)36の両端の切断面(一方の接合端面部39と他方の接合端面部40)が、外側から重ね合わさり接合して連結したことを特徴とする管楽器の演奏補助器具31である。本発明の第3の実施の形態は、前記本発明の第2の実施の形態と実質的に同一であるために、作用効果も同一であり省略する。
【0040】
図3(a)は、本発明の第4の実施の形態における管楽器の演奏補助器具61の組み合わせの状態を示す図である。図3(b)は、本発明の第4の実施の形態における、管楽器の演奏補助器具61が、一方の部材(第5の部材)66と他方の部材(第6の部材)67とによる構成であることを示す図である。
図3(a)、図3(b)を参照すると、本発明の管楽器の演奏補助器具61は、管楽器本体Z(図4(c)を参照)を囲むものであって、管(管材)62を中心軸65の方向に、前記中心軸65を通らない面で2部材に分割し、その分割した複数の囲繞部材(ここでは、一方の部材(第5の部材)66と他方の部材(第6の部材)67の2部材に2分割)で構成する管楽器の演奏補助器具61において、その一方の部材(第5の部材)66は、第7の永久磁石79を有する一方の接合端面部69と第8の永久磁石80を有する他方の接合端面部70とを備え、そのうえ、内周面64に少なくとも1個のすり割りおよび/または溝68を具備している。同様に、その他方の部材(第6の部材)67も、第7の永久磁石79を有する一方の接合端面部69と第8の永久磁石80を有する他方の接合端面部70とを備え、更に、内周面64に少なくとも1個のすり割りおよび/または溝68を具備して成る。
【0041】
即ち、一方の部材(第5の部材)66と他方の部材(第6の部材)67とは、中心軸65にたいして対称形である。そして、一方の部材(第5の部材)66の第7の永久磁石79を有する一方の接合端面部69と、他方の部材(第6の部材)67の第8の永久磁石80を有する他方の接合端面部70とが重なり合い接合して連結していると共に、その一方の部材(第5の部材)66の第8の永久磁石80を有する他方の接合端面部70と、他方の部材(第6の部材)67の第7の永久磁石79を有する一方の接合端面部69とが重なり合い接合して連結しており、勿論、前記管楽器の演奏補助器具61を管楽器本体Z(図4(c)参照)の取付部位の外径に沿うように、各々前記すり割りおよび/または溝68、68(この例では、各々1個所であるが、各々必要であれば複数個所設けることができる。)により、管楽器本体Zの取付部位に沿わせるように前記内周面64を曲げ修正(変形)して取り付けることが出来る管楽器の演奏補助器具61である。そして、一方の部材(第5の部材)66と他方の部材(第6の部材)67との2部材は、着脱自在に構成されている。そして、両端部の切断面(即ち、一方の部材(第5の部材)66の一方の接合端面部69と他方の接合端面部70、及び、他方の部材(第6の部材)67の一方の接合端面部69と他方の接合端面部70)の各々の延長面が前記管材(管)62の中心軸65を通らないようにした複数の部材(一方の部材66と他方の部材67)で連結したことを特徴とする管楽器の演奏補助器具61である。
【0042】
前記したように、本発明の第4の実施の形態における管楽器の演奏補助器具61において、両端部の切断面(一方の部材(第5の部材)66の一方の接合端面部69と他方の接合端面部70、他方の部材(第6の部材)67の一方の接合端面部69と他方の接合端面部70)の各々の延長面が前記管材32の中心軸を通っていない平面であるから、前記管(管材)62の中心軸65を通らない平面同士(互いの接合端面部同士)で重なり合って接合され連結しており、管楽器本体Zの取付部位の外径の大きさにより互いの重なり合う接合端面部同士の方向のずれにて連結位置が自動的に調整される(相対的にずれる)ために、永久磁石を取り付ける面(互いの接合端面部同士)の面積が、従来のような管材の中心軸を通る面で2分割した半径方向の肉厚での各接合端面部の面積に比べて肉厚方向に対して斜めのより大きい肉厚方向の切断面であり、永久磁石を取り付ける接合端面部の面積が広く取れ、永久磁石を装着する位置や磁石の大きさを適宜に選択することが可能となり、管楽器のテーパー形状を含む種々の外径の取付部位の装着時に、永久磁石を有する接合端面部が互いに相対的にずれて平行移動するだけで、互いに吸引し合う永久磁石同士の接触を保つことが可能である。そして、管楽器の演奏補助器具61を管楽器の取付部位の外径に沿うように、前記すり割りおよび/または溝68、68を、必要により複数個所設けて、管楽器本体Zの取付部位の形状に管材62の前記内周面64を曲げ修正(変形)して取り付けることが出来て便利である。
【0043】
本発明の管楽器の演奏補助器具では、様々な外径、形状の管楽器本体に装着することを可能にするために、図1〜3に示した形状とする、すなわち、金属の管(管材)を円筒形の回転軸(中心軸)方向に切断して接合端面部とする際に、図1〜3の形状(中心軸方向で、中心軸を通らない面にて複数部材に分割する構成)とすることにより、永久磁石を取り付ける接合端面部が円周方向であったり、切断面が管(管材)の中心軸を通らない面であるために、従来の永久磁石を有する切断面が中心軸を通る半径方向の面に比べてより広く取れるため、本発明の装着しようとする管楽器本体の外径の許容範囲を大きくする。従来のように管(管材)の中心軸を通る切断面で単純に半径方向に2分割し、その分割面にマグネット(永久磁石)を付けた管楽器の演奏補助器具では、装着しようとする管楽器本体の外径が大きくなるに従い、磁石の距離が離れ、磁力が弱まることにより装着ができなくなる。本発明では、金属の管(管材)の中心軸方向であって、中心軸を通らない切断面で複数部材に分割し、その切断面に永久磁石を設けており、永久磁石を取り付ける面の面積が従来の面積より広いため、装着時に永久磁石を有する接合端面部が互いに平行な方向に移動する(相対的にずれる)だけで吸着し合えるので、永久磁石を装着する位置や永久磁石の大きさを選択することができる。テーパー形状を含めて装着しようとする管楽器本体の種々の外径の場合も、磁石同士の接触を保つことができるため、本発明の管楽器の演奏補助器具を装着することができる。
【0044】
本発明の管楽器の演奏補助器具には、永久磁石を取り付ける接合端面部が円周方向(管(管材)の中心軸を通らない面)であったり、接合端面部の方向が管(管材)の中心軸を通らない面であるために、従来の管(管材)の中心軸を通る半径方向の接合端面部に比べてより広い面積の接合端面部を確保できることと相俟って、管(管材)の内周面に少なくとも1個のすり割りおよび/または溝を入れて塑性変形を容易にできる。即ち、スリ割りおよび/または溝部分を装着する管楽器本体の外形に合わせて、発明の管楽器の演奏補助器具の部材である管(管材)の内周面(管の内径)を塑性変形させることにより、本発明の管楽器の演奏補助器具と装着対象の管楽器本体の密着度が高まるばかりでなく、テーパー状の管楽器本体に装着することも可能となり便利である。
【0045】
本発明の管楽器の演奏補助器具は、メッキを施すことができる。メッキをする金属として銅、ニッケル、銀、金、白金のうちの1種または複数を選択できる。メッキ方法は特に限定されないが電気メッキが最も適している。外観を向上する目的で、サテン処理を施すことができる。サテン処理の方法は限定しないがショットブラストが最も適している。
【0046】
本発明の演奏補助器具の回転軸方向の長さは5mm以上100mm以下とする。長さが5mm未満の場合は演奏時の音色の改善効果が得られず、長さが100mmより大きい場合は、管楽器本体に装着することが困難となる。また、本発明の演奏補助器具の厚みは外面の形状により異なるが、最も厚い部分の厚みを0.5mm以上10mm以下とする。厚みが10mmより大きい場合は重量が大きくなりすぎて不都合が生じる。また、厚みが0.5未満の場合は強度が弱くなりすぎてしまう。
【0047】
本発明の管楽器の演奏補助器具は、鋳造、切削またはプレス加工により製造することができる。用途に応じていずれの製造法を用いてもかまわないが、加工精度の維持の点で、切削加工が最も適している。
【0048】
本発明の管楽器の演奏補助器具は、中級、上級者においては、音色を改善するために、初級者においては楽器演奏の上達を図る目的で使用できる。また、管楽器の演奏補助器具の内径と管楽器の外表面の間に接触する部分の形状の調節が容易なため、種々のメーカーの楽器に装着することができる。さらに、外観、メッキ等を工夫することにより、装着した際の外観を悪くすることがない。
【0049】
次に、本発明を実施例、比較例にてさらに詳しく説明する
(製造例1、2)
切削加工機(シチズン精機製、L−20)にΦ20mm×2mの快削銅(C14500)をセットし、内径加工、外形加工、スリ割り、切り落としの順に加工を行った。バフ研磨後、電気通電の為、めっき治具に取付け、アルカリ洗浄液で脱脂を行なった。次に硫酸で活性化後に硫酸ニッケルめっき液(住友金属鉱山製)中で室温、1A/dm2の定電流で、10〜30分通電を行いニッケルめっき品とした。最後にネオジウム磁石を接着し、図1、2に記載した管楽器の演奏補助器具を製造した。
【0050】
(製造例3)
あらかじめ、図3の管楽器の演奏補助器具を製造するためのブランク型と曲げ型を造った。素材(銅板30mm×2m)をブランク型にセットして抜き加工を行ない、指定の大きさに切断されたブランク材を型から取り出し、曲げ型に再セットし、曲げ加工を行った。型から取り出し、フライス盤でスリ割り加工を行った。バフ研磨後、電気通電の為、めっき治具に取付け、アルカリ洗浄液で脱脂を行なった。次に硫酸で活性化後に硫酸ニッケルめっき液(住友金属鉱山製)中で室温、1A/dm2で10〜30分、シアン化金カリウムメッキ液(小島化学薬品製)中で40℃、0.5A/dm2で1〜5分通電を行い金めっき品とした。
【0051】
(実施例1、2と比較例1、2)
トランペット(B♭管、ビンセント・バック社製、ストラディバリウス、モデル37)、マウスピース(ビンセント・バック社製、1 1/2B)のマウスパイプに図1の管楽器の演奏補助器具を装着(実施例1)または装着せず(比較例1)に、3名の奏者(プロの交響楽団員)に実音A(443Hz)の音を中程度の音量で演奏してもらい、どれぐらいの距離まで音が聞こえるか3名のモニターを使って測定した。結果を表1に示した。また、奏者から300m離れた地点における音色の差を聴取した結果を表2に示した。
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
(実施例3と比較例3)
無響室で図3の管楽器の演奏補助器具を付けたまたは付けないトランペット(B♭管、シルキー社製、S42L)、マウスピース(ブルーノ ティルツ製 1 1/2C)を2名の奏者が音量中程度、音域最低音の実音Eフラット、中音域の実音Bフラット、高音域の実音Fで演奏し、吹奏感を聴取した。結果を表3に示した。
【0055】
【表3】

【0056】
表1〜3の結果から、本発明の管楽器の演奏補助器具を用いることにより、音色の改善が図れるとともに、演奏が容易になることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の管楽器の補助器具は、金管楽器だけでなく、装着可能であれば木管楽器、打楽器等の音色を変更するために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1(a)本発明の第1の実施の形態における管楽器の演奏補助器具1の組み合わせの状態を示す図である。図1(b)は、本発明の第1の実施の形態における、管楽器の演奏補助器具1が一方の部材(第1の部材)6と他方の部材(第2の部材)7とによる構成を示す図である。
【図2】図2(a)は、本発明の第2、3の実施の形態における管楽器の演奏補助器具31の組み合わせの状態を示す図である。図2(b)は、本発明の第2、3の実施の形態における、管楽器の演奏補助器具31が、一方の部材(第3の部材)36と他方の部材(第4の部材)37とによる構成であることを示す図である。
【図3】図3(a)は、本発明の第4の実施の形態における管楽器の演奏補助器具61の組み合わせの状態を示す図である。図3(b)は、本発明の第4の実施の形態における、管楽器の演奏補助器具61が、一方の部材(第5の部材)66と他方の部材(第6の部材)67とによる構成であることを示す図である
【図4】図4(a)は、トランペットに管楽器の演奏補助器具を付けない状態図である。図4(b)は、本発明の第1、2,3の実施の形態の製造例2の管楽器の演奏補助器具をトランペットに装着した図である。図4(c)は、本発明の第4の実施の形態の製造例3の演奏補助器具をトランペットに装着した図である。
【符号の説明】
【0059】
1,31,61・・・管楽器の演奏補助器具、2,32,62・・・所定の長さの金属管、4,34,64・・・中空孔内周側面、5,35,65・・・中心軸、6・・・第1の部材、7・・・第2の部材、36・・・第3の部材、37・・・第4の部材、66・・・第5の部材、67・・・第6の部材、8,38,68・・・すり割りおよび/または溝
17,18,47,48,49,50,79,80・・・永久磁石。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属の管を分割し、磁石により管楽器に固定することが可能であると共に、前記分割された金属の管の内径を変化できる構造とし、様々な外径の管楽器本体に装着可能であることを特徴とする管楽器の演奏補助器具。
【請求項2】
管楽器本体を囲むものであって、複数の囲繞部材で構成する管楽器の演奏補助器具において、
一方の連結端部の内側の切除部と、他方の連結端部の外側の切除部とを連結したことを特徴とする管楽器の演奏補助器具。
【請求項3】
管楽器本体を囲むものであって、複数の囲繞部材で構成する管楽器の演奏補助器具において、
一方の部材の外端部の内側を切除して形成した切除部と、他方の部材の外端部の外側を切除して形成した切除部とを重合させて連結したことを特徴とする管楽器の演奏補助器具。
【請求項4】
管楽器本体を囲むものであって、複数の囲繞部材で構成する管楽器の演奏補助器具において、
他方の部材の両端の切断面に、一方の部材の両端の切断面が、外側から接合して連結したことを特徴とする管楽器の演奏補助器具。
【請求項5】
管楽器本体を囲むものであって、複数の囲繞部材で構成する管楽器の演奏補助器具において、
両端部の切断面の延長面が管材の中心を通らないようにした複数の部材で連結したことを特徴とする管楽器の演奏補助器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−112971(P2010−112971A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282783(P2008−282783)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(591032703)群馬県 (144)
【出願人】(504466203)株式会社エルグ (3)
【出願人】(505304252)