説明

管楽器用音孔カバー調整装置

【課題】音孔カバーにより音孔を確実に塞ぐことができる管楽器用音孔カバー調整装置を提供する。
【解決手段】連結ロッド10と、音孔カバー部材20とを有し、前記音孔カバー部材20は、少なくとも1つの固定アーム21と、音孔カバー22と、少なくとも1つの調整アーム23と、少なくとも1つの押圧部材24とを有し、前記固定アーム21の一端は前記連結ロッド10に連結されると共に、他端は前記音孔カバー22に連結され、前記調整アーム23の一端は前記固定アーム21または連結ロッド10に連結されると共に、他端は自由端であり、前記音孔カバー22の外側に位置し、前記押圧部材24は、前記調整アーム23の自由端に連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に音孔カバーを音孔を確実に塞ぐことができる管楽器用音孔カバー調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
管楽器は、中空管体からなる共鳴管により音を発生させる楽器であり、音を発生させる仕組みにより、管楽器を金管楽器や木管楽器に分類している。その内、前記木管楽器における音を発生させる仕組みは、管体の内部に息を吹き込み、吹き込んだ息の気流により、管体の内部の空気柱を振動させ、音を発生させるものである。なお、例えば、フルート、クラリネット、オーボエ及びサクソホンなどの木管楽器は、その管壁に複数の音孔が穿設され、該音孔を塞いだり開けたりすることにより、前記管体の内部における音波の伝播距離を変え、異なる音高の音を発生させている。
【0003】
図6に示すように、例えば特許文献1に記載の従来のサクソホンは、タバコパイプ状を呈する管体40と、該管体40の管壁に穿設される複数の音孔と、該管体40の外側に設置される複数のボタン構成41とを有する構成である。
【0004】
前記各ボタン構成41は回転可能な連結ロッド411を有し、該連結ロッド411に少なくとも1つの音孔カバー部材が設けられ、該音孔カバー部材は固定アーム412を有し、その固定アーム412一端は該連結ロッド411に連結されると共に、他端には、音高を変更可能な、対応する音孔を塞ぐことができる音孔カバー413が固設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,972,361号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
音高を正確に制御できるかは、前記音孔カバー413で確実に音孔を塞げるかにかかっているが、音孔を塞ぐ動作を何度も繰り返すと、該音孔カバー413と音孔との気密性が低下し、気流が音孔から漏れるので、音高を正確に制御できなくなってしまう。
【0007】
そこで、出願されたのが本発明であって、安定した正確な音を発生させるために、押圧部材で音孔カバーを押圧することにより、音孔カバーによって音孔を確実に塞ぐことができる管楽器用音孔カバー調整装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の請求項1の発明は、連結ロッドと、音孔カバー部材とを有し、
前記音孔カバー部材は、少なくとも1つの固定アームと、音孔カバーと、少なくとも1つの調整アームと、少なくとも1つの押圧部材とを有し、
前記固定アームの一端は前記連結ロッドに連結されると共に、他端は前記音孔カバーに連結され、
前記調整アームの一端は前記固定アームまたは連結ロッドに連結されると共に、他端は自由端であり、前記音孔カバーの外側に位置し、
前記押圧部材は、前記調整アームの自由端に連結されることを特徴とする管楽器用音孔カバー調整装置、を提供する。
【0009】
本願の請求項2の発明は、前記押圧部材が、ビス穴が穿設される位置決めブロックと、該位置決めブロックのビス穴に螺入されると共に、前記音孔カバーの外側を押圧するビスとを有することを特徴とする請求項1に記載の管楽器用音孔カバー調整装置、を提供する。
【0010】
本願の請求項3の発明は、前記調整アームが、前記固定アームに連結され、湾曲状を呈する中央部を有するものであり、その一端は前記連結ロッドに連結されると共に、他端は自由端であり、前記音孔カバーの外側に位置し、
前記押圧部材は、前記調整アームの自由端に連結されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の管楽器用音孔カバー調整装置、を提供する。
【0011】
本願の請求項4の発明は、前記固定アームの両側に夫々1つの調整アームが設けられ、
前記固定アームの両側に夫々設けられる2つの調整アームの自由端に連結される押圧部材は、前記固定アームに対して互いに対称となるように設置されることを特徴とする請求項3に記載の管楽器用音孔カバー調整装置、を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る管楽器用音孔カバー調整装置においては、何度も音孔を塞ぐ動作が繰り返され、音孔カバーと音孔との気密性が低下すると、押圧部材を用い、音孔カバーと音孔との気密性を回復させ、気流の音孔からの漏れを防止することから、長期に亘り使用しても正確な音高を出し続けることができるので、高品質な演奏を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る管楽器用音孔カバー調整装置の斜視図である。
【図2】本発明に係る管楽器用音孔カバー調整装置をサクソホンに適用した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る管楽器用音孔カバー調整装置の部分側面断面図である。
【図4】本発明に係る管楽器用音孔カバー調整装置の使用状態を示す部分側面断面図である。
【図5】本発明に係る管楽器用音孔カバー調整装置の他の実施形態を示す斜視図である。
【図6】従来のサクソホンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
図1に示すように、本発明に係る管楽器用音孔カバー調整装置は、連結ロッド10及び音孔カバー部材20を有する。
【0016】
前記連結ロッド10は細長状のロッドであり、前記音孔カバー部材20は、少なくとも1つの固定アーム21と、音孔カバー22と、少なくとも1つの調整アーム23と、少なくとも1つの押圧部材24とを有する。
【0017】
その内、前記固定アーム21の一端は前記連結ロッド10に連結されると共に、他端は前記音孔カバー22に連結され、また、前記調整アーム23の一端は前記固定アーム21に連結されると共に、他端は自由端であり、前記音孔カバー22の外側に位置する。
【0018】
図3に示すように、押圧部材24は、位置決めブロック241と、ビス242とを有し、その内、該位置決めブロック241は、調整アーム23の自由端に連結され、ビス穴2411が穿設されるものであり、該ビス242は、該位置決めブロック241のビス穴2411に螺入されると共に、音孔カバー22を外側から押圧するものである。
【0019】
また、本実施例において前記固定アーム21の両側には夫々1つの調整アーム23が設けられ、該固定アーム21の両側に夫々設けられる2つの調整アーム23の自由端に夫々1つの押圧部材24が連結され、該2つの調整アーム23の自由端に連結される2つの押圧部材24は夫々、該固定アーム21に対して互いに対称となるように設置される。
【0020】
図2及び図3に示すように、本発明に係る管楽器用音孔カバー調整装置を使用する時は、例えばサクソホンなどの管楽器の管体30の外側に取り付けられ、その連結ロッド10は回転可能であると共に、音孔カバー22は、該管体30に穿設される音孔31と対応する箇所に位置し、また、該連結ロッド10には、該管体30の内部における音波の伝播距離を変え、異なる音高の音を発生させるために、該連結ロッド10を回転させて音孔カバー22で該音孔31を塞ぐためのボタン11が設置される。
【0021】
また、例えば、長時間に亘る音孔の開閉動作により前記音孔カバー22と音孔31との間に隙間ができ、該音孔カバー22による音孔31の封止が困難となり、正確な音高を発することができなくなった場合は、前記ビス242を前記位置決めブロック241のビス穴2411により深く螺入し、該ビス242の先端で前記音孔カバー22の外側を押圧すれば、該音孔カバー22を音孔31側に押し付けることができる。
【0022】
即ち、図4に示すように、固定アーム21の両側に夫々設けられる2つの調整アーム23の自由端に連結される押圧部材24における位置決めブロック241のビス242によって、音孔カバー22を押圧して音孔31に接近させると、該音孔カバー22により音孔31を緊密に塞ぐことができるので、正確な音高を発生させることができる。
【0023】
図5に示すように、本発明に係る管楽器用音孔カバー調整装置の他の実施形態においては、調整アーム23Aが固定アーム21Aに連結されると共に、湾曲状を呈する中央部を有し、また、調整アーム23Aの一端は連結ロッド10Aに連結されると共に、他端は音孔カバー22Aの外側に位置する自由端であり、該調整アーム23Aの自由端には押圧部材24Aが連結され、これにより、音孔カバー部材20Aを固定アーム21A及び調整アーム23Aによって安定して連結ロッド10Aに連結させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明に係る管楽器用音孔カバー調整装置は上述の構造を有することから、何度も音孔を塞ぐ動作が繰り返され、音孔カバーと音孔との気密性が低下すると、押圧部材を用い、音孔カバーと音孔との気密性を回復させ、気流の音孔からの漏れを防止し、長期に亘り使用しても正確な音高を出し続けることができるので、高品質な演奏を提供することができる。
【符号の説明】
【0025】
10 連結ロッド
11 ボタン
20 音孔カバー部材
21 固定アーム
22 音孔カバー
23 調整アーム
2411 ビス穴
241 位置決めブロック
242 ビス
24 押圧部材
30 管体
31 音孔
40 管体
411 連結ロッド
412 固定アーム
413 音孔カバー
41 ボタン構成

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結ロッドと、音孔カバー部材とを有し、
前記音孔カバー部材は、少なくとも1つの固定アームと、音孔カバーと、少なくとも1つの調整アームと、少なくとも1つの押圧部材とを有し、
前記固定アームの一端は前記連結ロッドに連結されると共に、他端は前記音孔カバーに連結され、
前記調整アームの一端は前記固定アームまたは連結ロッドに連結されると共に、他端は自由端であり、前記音孔カバーの外側に位置し、
前記押圧部材は、前記調整アームの自由端に連結されることを特徴とする管楽器用音孔カバー調整装置。
【請求項2】
前記押圧部材は、ビス穴が穿設される位置決めブロックと、該位置決めブロックのビス穴に螺入されると共に、前記音孔カバーの外側を押圧するビスとを有することを特徴とする請求項1に記載の管楽器用音孔カバー調整装置。
【請求項3】
前記調整アームは、前記固定アームに連結され、湾曲状を呈する中央部を有するものであり、その一端が前記連結ロッドに連結されると共に、他端が自由端であり、前記音孔カバーの外側に位置し、
前記押圧部材は、前記調整アームの自由端に連結されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の管楽器用音孔カバー調整装置。
【請求項4】
前記固定アームの両側に夫々1つの調整アームが設けられ、
前記固定アームの両側に夫々設けられる2つの調整アームの自由端に連結される押圧部材は、前記固定アームに対して互いに対称となるように設置されることを特徴とする請求項3に記載の管楽器用音孔カバー調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−141562(P2012−141562A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37783(P2011−37783)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(598162872)宏寰貿易股▲ふん▼有限公司 (1)