説明

管状ねじ山付き接続部のコンポーネントのねじ山付き要素のための、摩擦係数順応性を示す潤滑剤組成物

薄型接着剤用の潤滑剤組成物は、管状ねじ山付き接続部(JF)のコンポーネント(T1)のねじ山付き要素(EF)の少なくとも1つのねじ山(FI)およびねじ込み当接部(screwing abutment)(BVF)を覆うことが意図される。ねじ込み当接部は、端部組立相(terminal make up phase)において管状ねじ山付き接続部(JF)の他方のコンポーネント(T2)の他方の当接部(BVM)に接して支えることが意図される。潤滑剤組成物は、潤滑性に加えて、閾値以上の肩トルク抵抗値(torque on shoulder resistance value)を得ることを可能とするために選択された摩擦係数を、そこに与えるために選択された少なくとも1種のブレーキ添加剤が内部に分散したマトリックスを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば石油用途で使用されるねじ山付き管状接続部のコンポーネントに関し、より正確にはねじ込み当接部(screwing abutment)を備える管状ねじ山付き接続部のコンポーネントのねじ山付き要素部分の潤滑に関する。
【背景技術】
【0002】
ここで使用される用語「コンポーネント」は、他のコンポーネントとねじ山付き管状接続部を構成するように他のコンポーネントへねじ山により組み立てられることを意図された如何なる要素または付属品をも意味する。コンポーネントは例えば、比較的長い管(特に、長さ約10メートル)、長さ数10センチメートルの管状継ぎ手、上記の管のための付属品(サスペンション装置またはハンガー、接続部変更部材(section−changing part)またはクロスオーバー、安全弁、掘削管のためのコネクターまたは工具継ぎ手、など)であり得る。
【0003】
そのようなコンポーネントは、例えば井戸を掘削または加工するために使用され得る。その際に、コンポーネントは、炭化水素などの井戸または同様な井戸の中に降ろすために互いに接続されて、ドリルストリング(drill string)、ケーシングストリング(casing string)またはライナーストリング(liner string)あるいはまたチュービングストリング(tubing string)(ワーキングストリング(working string))を構成する。
【0004】
ねじ山付き要素は、コンポーネント(チューブあるいはスリーブ)の端部において、まず掘削部位が輸送または保管の間に腐食から保護されるように製造されなければならず、その目的のために従来より製造所で作られる際に油またはグリースで被覆されていた。
【0005】
井戸において、ねじ山付き要素は、複数の組立て(締め)および分解(緩め)作業を経なければならない。組立作業は、回転させる方向を変える回数に依存する組立トルクを表わすプロフィール(または輪郭)により決定づけられる。テーパー付きねじ山による上質なねじ山付き接合部の対応する組立トルクプロフィールの例が、図1に図示されている。図1に示すように、組立トルクプロフィールは、一般的に4つの部分に分けることができる。第1の部分P1は、管状ねじ山付き接続部の第1のコンポーネントの雄型ねじ山付き要素(またはピン)の外側ねじ山が、同じ管状ねじ山付き接続部の第2のコンポーネントの対応する雌型ねじ山付き要素(ボックス)の内側ねじ山による如何なる径方向締め(干渉フィット)も含まない区間である。第2の部分P2は、雄型および雌型のねじ山の幾何学的干渉が組立作業の進展に比例して増える径方向締めを発生させる(低いが組立トルクの増加を発生させる)区間である。第3の部分P3は、雄型ねじ山要素の端部の外縁における密封要素が金属/金属密封を作るための雌型ねじ山要素の対応する密封面と径方向に干渉する区間である。第4の部分P4は、雄型ねじ山付き要素の前方端面が雌型ねじ山要素のねじ込み当接部(screwing abutment)の環状面により軸方向に当接している区間である。なお、第4の部分P4は、端部組立相(terminal make up phase)に相当する。
【0006】
第3の部分P3の終わりと第4の部分P4の初めに相当する組立トルクCABは、肩トルク(shouldering torque)と呼ばれる。第4の部分P4の終わりに相当する組立トルクCPは、可塑化トルク(plastification torque)と呼ばれる。この可塑化トルクCPを超えることは、雄型ねじ込み当接部(雄型ねじ山付き要素の端部)および/または雌型ねじ込み当接部(雌型ねじ山付き要素の環状面の後方に配置される領域)は、密封面間の接触による密封性能の低下を引き起こし得るプラスチック変形の原因であると考えられている。可塑化トルクCPの値と肩トルクCABの値との差は、肩トルク抵抗(torque on shoulder resistance)と呼ばれ、CSB(CSB=CP−CAB)として定義されている。
【0007】
管状ねじ山付き接続部は、例えば引張強さのみならず使用状況における不慮の分解に関して、ねじ山付きアセンブリーの最適な機械強度を示すとともに、最適な密封性能を示す、組立終了時(end of make up)における最適な締めを目的としている。ねじ山付き接続部の設計者がこのようにして決定付けさせられる、与えられた型のねじ山接続部のための最適な組立トルク値であって、その型の接続部の全てのアセンブリーのものは、(当接部の可塑化およびそれに起因する弊害を防ぐために)可塑化トルクCPより低くかつ肩トルクCABより高くなければならない。つまり、CABより低いトルクで組立てを終えると、雄型および雌型要素の相対的に正しい位置決めおよびそれによる互いの密封面に対する適切な締めを保障することができない。肩トルクCABの有効値は雄型および雌型ともにねじ山および密封面の有効直径により決まるので、同じ型の接続部のための一方のアセンブリーから他方のアセンブリーまでに大きく変動し、かつ最適な組立トルクに適した値は実質的に肩トルクCABより大きい。したがって、肩トルクの値が大きくなれば、組立トルクを決定付けることができる許容値が大きくなるであろうし、ねじ山付き接続部が作業中に生じるより大きな力に耐えられるようになるであろう。
【0008】
組立ておよび分解作業における摩損(galling)からねじ山などの繊細な部分を保護するために、ねじ山には従来より保護グリースを施さずに非特許文献1にしたがったグリースなどの特別な組立グリースを被覆していた。そのような鉛などの重金属および/または毒性の金属で充たされたグリースの使用は、井戸において二度目の被覆作業を行う必要があることに加えて、組立ての間にねじ山から漏れ出した余分なグリースが井戸や環境の汚染をもたらすという弊害を招く。
【0009】
他の型の保護も提案されている。
【0010】
特許文献1では、化学的作用を伴う少なくとも1種の極圧添加剤を含んだペースト状またはワックス状(セミドライと呼ばれる)の潤滑剤の薄層を使用して、2つの連続したコーティングをねじ山付き要素の製造所において行う一度のコーティングに置き換えることが提案されている。この薄層は、輸送および保管の間に埃または砂の粒子による汚染からの機械的保護が必要であるという弊害を招く。
【0011】
例えば特許文献2〜7などの他の特許文献では、グリースを、ねじ山付き要素の製造所において適用する固相の様々な保護コーティングであって基板に付着する固体マトリックスを含み、固体潤滑剤の粒子が分散したものに、置き換えることが提案されており、それらの中でも二硫化モリブデンMoSが特に詳しく述べられている。
【0012】
特許文献8は、乾燥固体コーティングにより覆われた粘性潤滑層を有するねじ山付き接続部に関する。この潤滑層は固体ではない。
【0013】
固相の保護コーティングが汚染を大幅に減らさせることも提案されている。それは、特に熱可塑性物質を基とし、少なくとも2つの異なるクラスの固体潤滑剤の粒子により充たされ、粘塑性特性をもたらす潤滑マトリックスよりなる。このようなコーティングは、ねじ山付き要素の腐食からの保護の問題だけでなく、連続的な組立および分解作業において含まれる他の問題の中でも、特に建築現場状況下における問題を解決する。また、それは高品質な潤滑をもたらす。しかし残念ながら、本出願人らは、特に建築現場における使用状況下では、潤滑性が良すぎるため、管状ねじ山付き接続部のために予め決定付けられた組立トルクにしたがって管状ねじ山付き接続部の雄型端部と雌型端部を締めることが最早できないことに気づいた。
【0014】
つまり、コーティングは、「極圧」応力と呼ばれる重ヘルツ応力下で、かつ低摩擦速度において、組立終了時のねじ込み当接部における摩擦量を相当に減らすので、可塑性トルクに極めて早く達するとともに、低い肩トルク抵抗値をグリースAPI RP 5A3によって得られる参照値よりはるかに低くする。それはまた、その接続部の型および参照グリースAPIのために決定された最適な組立トルク値を減らす必要が生じ得るとともに、そのような極端な場合においては当接機能が最早保障されなくなり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第6933264号明細書
【特許文献2】米国特許第4414247号明細書
【特許文献3】米国特許第4630849号明細書
【特許文献4】米国特許第6027145号明細書
【特許文献5】米国特許第6679526号明細書
【特許文献6】米国特許公開第2004/0166341号
【特許文献7】国際公開第2004/033951号
【特許文献8】国際公開第2006/104251号
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】米国石油協会仕様書API RP 5A3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、本発明の目的は、その状況を改善し、より正確には、最適な組立トルクのための標準値(グリースAPI RP 5A3により決められた標準値)を使用することができるようにするために、標準グリースAPI RP 5A3により被覆されたねじ山付き要素とともに同じねじ山付き接続部のために得られたものから決定付けられた選択された肩トルク抵抗値を達成可能とするように選択された摩擦係数をもたらす潤滑剤(またはコーティング)組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
その目的のために、下方にあるねじ山およびねじ込み当接部(screwing abutment)を接着させるフィルムにより管状ねじ山付き接続部のコンポーネントのねじ山付き要素の少なくとも1つのねじ山およびねじ込み当接部を覆うことが意図されたねじ山付き接続部を組み立てるためのフィルム形成用潤滑剤組成物であって、前記ねじ込み当接部が端部組立相(terminal make up phase)において前記管状ねじ山付き接続部の他方のコンポーネントの他方の当接部(BVF,BVM)に接して支えることが意図されるとともに前記潤滑剤組成物が(いずれかの型の)マトリックスを含むものが提案される。
【0019】
この潤滑剤組成物は、前記マトリックス内に分散するとともに、潤滑性に加えて閾値以上の肩トルク抵抗値(torque on shoulder resistance value)を得るために選択された摩擦係数を、前記組成物に与えるために、選択された(潤滑状態を保ちながら摩擦係数をより高い値に調節することが意図された)少なくとも1種のブレーキ添加剤をさらに含むことを特徴とする。
【0020】
つまり、本発明は、ねじ山付き接続部の組立てのための潤滑剤組成物であって、その「ブレーキ」効果を、締め作業の終わりに施されなければならない部分的に覆う作業の際のねじ山要素へのヘルツ応力の機能として選択することができるものを提案する。ブレーキ効果は、摩擦速度の機能として選択することができる。
【0021】
検討される本出願の要件によれば、当該組成物は如何なる形態であってもよく、より詳しくは溶融状態で噴霧された固形体、あるいは有機化合物や水において分散体もしくエマルジョンの状態で希釈されている。本発明によるねじ山付き接続部の組立のための潤滑剤組成物は、様々な変形例にしたがって実施することができ、それらの特徴の少なくともいくつかを互いに組み合わせることができ、より詳しくは:
ブレーキ添加剤は、例えば閾値以上であって例えばAPI RP 5A3型のグリースの肩トルク抵抗参照値の70%以上の肩トルク抵抗値を得ることを可能とするように選択することができ、それは前記参照値の100%以上とすることもできる。
【0022】
ブレーキ添加剤は、相対的に高いへき開力値(cleaving force value)(つまり、それを生じさせるための中間ないしは高いせん断値または応力を必要とするクリービングを含む)および/または強い粒子相互作用もしくは粒子間引き付け結合および/または中間ないしは高いモース硬度(ただし研磨特性を除く)および/または移動に抵抗もしくは対抗するレオロジー的挙動を有する無機または有機粒子の分散液および/または溶液よりなってもよい。
【0023】
例えば各ブレーキ添加剤は、少なくともビスマス酸化物、チタン酸化物、コロイダルシリカ、カーボンブラックおよびアクリルポリマーから選択される。
ブレーキ添加剤の重量組成は、例えば下記の通りであり得る。
三酸化ビスマス 25〜99%
二酸化チタン 1〜75%
第1の変形例では、ブレーキ添加剤組成物は、例えばカーボンブラックのみであり得る。
第2の変形例では、ブレーキ添加剤組成物は、例えば焼成球形(pyrogenic spherular)コロイダルシリカのみであり得る。
【0024】
固体潤滑剤の粒子は、ブレーキ添加剤とともにマトリックス内に分散させることができる。
固体潤滑剤の粒子は、クラス1、2、3および4の少なくとも1種(好ましくは少なくとも2種)の粒子を含み得る。
例えば固体潤滑剤の粒子は、少なくとも1種のクラス2の固体潤滑剤の粒子および少なくとも1種のクラス1の固体潤滑剤の粒子を含み得る。
変形例として、固体潤滑剤の粒子は、少なくとも1種のクラス1の固体潤滑剤の粒子および少なくとも1種のクラス4の固体潤滑剤の粒子を含み得る。
変形例として、固体潤滑剤の粒子は、少なくとも1種のクラス2の固体潤滑剤の粒子および少なくとも1種のクラス4の固体潤滑剤の粒子を含み得る。
変形例として、固体潤滑剤の粒子は、窒化ホウ素および酸化亜鉛から選択される少なくとも1種のクラス1の固体潤滑剤の粒子を少なくとも含み得る。
変形例としてまたは固体潤滑剤の粒子に加えて、フッ化グラファイト、硫化スズおよび硫化ビスマスから選択される少なくとも1種のクラス2の固体潤滑剤の粒子を含み得る。
変形例としてまたは固体潤滑剤の粒子に加えて、クラス4の固体潤滑剤として少なくともポリテトラフルオロエチレンの粒子を含み得る。
固体潤滑剤の粒子は、少なくとも1種の球状または管状の分子を含み得る。
【0025】
マトリックスは、固体状であってベタ付かない(not sticky to the touch)粘稠性(consistency)であり得、可塑性型または粘塑性型のレオロジー的挙動を含み得る。
マトリックスは、80〜400℃の間に融点を有し得る。
マトリックスは、例えばポリエチレンまたはアクリルバインダーなどの少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを含み得る。
マトリックスは、例えばエポキシ樹脂、ポリウレタン、シリコン、アルキドウレタンおよびフェノール樹脂などの少なくとも1種の熱硬化性バインダーを含み得る。
マトリックスは、例えばアルカリケイ酸塩などの少なくとも1種の無機バインダーを含み得る。
マトリックスは、例えば有機チタン塩またはシリカ塩などの少なくとも1種のキレート型のバインダーを含み得る。
マトリックスは、固体状であってベタ付かない粘稠性であり得、例えばエラストマーまたはラテックスなどの少なくとも1種の粘弾性バインダーを含み得る。
マトリックスは、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミニウムまたはステアリン酸ビスマスなどの少なくとも1種の金属石鹸を含み得る。
マトリックスは、少なくとも1種の植物、動物、無機物または合成品由来のワックスまたは樹脂を含み得る。樹脂は、基板上での粘着力を増やすとともに擦れ(galling)を減らすためにコロホニックエステルを含み得る。
マトリックスは、例えばスルホン酸カルシウム誘導体または酸化カルシウム誘導体などの少なくとも1種の腐食防止剤を含み得る。
マトリックスは、例えばアルキルポリメタクリレート、ポリブテン、ポリイソブテンまたはポリジアルキルシロキサンなどの100℃における動粘度が850mm/秒以上である少なくとも1種の液体ポリマーを含み得る。
マトリックスは、少なくとも1種の着色剤を含み得る。
マトリックスは、修飾されていてもされていなくてもよいし官能基化されていてもされていなくてもよいシリコンまたはシリコン誘導体などの表面への付着およびコーティングの均一性を促進するために意図された、少なくとも1種の(表面張力を付与するための)表面活性剤を含み得る。
マトリックスは、抗酸化剤を含み得る。
【0026】
熱可塑性マトリックスの重量組成は、例えば下記の通りであり得る。
ポリエチレンホモポリマー 5〜96%
カルナバワックス 2〜30%
ステアリン酸亜鉛 2〜30%
スルホン酸カルシウム誘導体 0〜50%
アルキルポリメタクリレート 0〜15%
着色剤 0〜 1%
抗酸化剤 0〜 1%
【0027】
変形例における、水性エマルジョン状の熱可塑性マトリックスの重量組成は、例えば下記の通りとすることができる。
ポリエチレンエマルジョン 0〜50%
アクリルエマルジョン 10〜80%
スルホン酸カルシウム誘導体 1〜40%
アルキルポリメタクリレート 1〜40%
ステアリン酸亜鉛エマルジョン10〜50%
【0028】
固体潤滑剤の重量組成は、例えば下記の通りとすることができる。
フッ化グラファイト 65〜99%
酸化亜鉛 1〜35%
第1の変形例における、固体潤滑剤の重量組成は、例えば下記の通りとすることができる。
フッ化グラファイト 20〜99%
窒化ホウ素 0〜30%
ポリテトラフルオロエチレン 1〜80%
第2の変形例における、固体潤滑剤の重量組成は、例えば下記の通りとすることができる。
硫化スズ 20〜99%
窒化ホウ素 0〜30%
ポリテトラフルオロエチレン 1〜80%
第3の変形例における、固体潤滑剤の重量組成は、例えば下記の通りとすることができる。
硫化ビスマス 20〜99%
窒化ホウ素 0〜30%
ポリテトラフルオロエチレン 1〜80%
第4の変形例における、固体潤滑剤の重量組成は、フッ化グラファイトのみとすることができる。
第5の変形例における、固体潤滑剤の重量組成は、硫化スズのみとすることができる。
第6の変形例における、固体潤滑剤の重量組成は、硫化ビスマスのみとすることができる。
第7の変形例における、固体潤滑剤の重量組成は、酸化亜鉛のみとすることができる。
【0029】
フィルム形成用潤滑剤組成物自体の重量組成は、例えば下記の通りとすることができる。
熱可塑性マトリックス 45〜93%
固体潤滑剤 1〜25%
ブレーキ添加剤 5〜20%
【0030】
変形例において、マトリックスは、ペースト状の粘稠性(つまり、滴点を有する)であり得る。その場合において、潤滑剤組成物は、化学的作用を伴う少なくとも1種の極圧添加剤を含み得る。
【0031】
また、管状ねじ山付き接続部のコンポーネントのねじ山付き要素であって、少なくとも1つのねじ山およびねじ込み当接部で組立作業の終了時において同じ管状ねじ山付き接続部の他方のコンポーネントの他方の当接部に接して支えるためのものを備え、少なくとも1つのねじ山およびねじ込み当接部は、ねじ山およびねじ込み当接部の表面に付着するとともに先に述べたいずれかの潤滑剤組成物よりなる薄層により覆われているものが提案される。
ねじ山付き要素は、その特徴の少なくともいくつかを組み合わせた多くの変形例にしたがって実施することができる。
ねじ山付き要素は、少なくとも一部が厚さ10〜50μmの間の潤滑剤組成物により覆われることができる。
ねじ山付き要素は、密封面であって、組立作業後に他方のねじ山付き要素の対応する密封面に密封締め(sealing tightning)により接触可能であり、潤滑剤組成物により覆われるものをさらに備え得る。
そのねじ込み当接部は、環状当接面であり得る。
その潤滑剤組成物により覆われた表面は、潤滑剤組成物を吸着または吸収するために適するようにした幾何学的、物理的および/または化学的特性を有し得る。
その表面は、腐食からの保護をもたらす機能を果たすコーティングまたはフィルムにより予め被覆することができる。
【0032】
また、雄型ねじ山付き要素と雌型ねじ山付き要素とを備えた管状ねじ山付き接続部であって、少なくとも1つのねじ山付き要素が、先に述べたいずれかであるものが提案される。
【0033】
本発明の他の特徴と利点は、下記の詳細説明と添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、組立トルク(巻き数の役目としてのトルク)のプロフィールの例を図示する。
【図2】図2は、VAM TOP型管状ねじ山付き接続部の第1のコンポーネントの雌型要素の一形態の長手方向軸XXに沿った断面図を示す。
【図3】図3は、VAM TOP型管状ねじ山付き接続部の第2のコンポーネントの雌型要素の一形態の長手方向軸XXに沿った断面図を示す。
【図4】図4は、図1および図2に示した雄型および雌型要素のアセンブリーにより形成されたVAM TOP型管状ねじ山接続部の一形態の長手方向軸XXに沿った断面図を示す。
【図5】図5は、ブリッジマン型の機械の一形態の機能説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
添付図面は本発明を遂行するために役立つばかりでなく、必要であればその定義付けにも寄与することができる。
【0036】
本発明の目的は、特にその肩トルク抵抗値(torque on shoulder resistance value)により決定付けられる組立トルクプロフィールに対応する、管状ねじ山付き接続部のコンポーネントのねじ山付き要素の閾値以上の肩トルク抵抗値を得るために、選択された摩擦係数を有するねじ山付き接続部の組立のためのフィルム形成用潤滑剤組成物(あるいはコーティング)を提案することにある。
【0037】
以下では、コンポーネントは、炭化水素井戸を掘削または開発するために意図されるとともに、VAM(登録商標)の嵌めこまれたあるいは統合された管状ねじ山付き接続部の少なくとも雄型または雌型ねじ山付き要素を備えたものであると考慮されるであろう。さらに言えば、本発明は提供されるその使用とは関係なく管状ねじ山付き接続部の如何なる型にも関連し、それは同じ潤滑剤組成物(あるいはコーティング)を用いて潤滑されなければならない少なくとも1つのねじ山およびねじ込み当接部(screwing abutment)が提供される少なくとも1つの雄型または雌型ねじ山付き要素を備える。
【0038】
回転速度は、ねじ山の係合後の組立開始時には10〜30回転/分で、組立終了時には最大で2〜5回転/分であり得る。直径は50〜400mmであり、線形速度は組立開始時における約0.3m/秒から組立終了時における約0.005m/秒までである。また、密封および当接領域における接触圧は、組立開始時には低く組立終了時には極めて高い。ねじ山間の摩擦距離は、組立開始から終了まで高い。(組立終了時における)密封および当接領域の摩擦距離は、極めて短い。潤滑剤組成物は、組立終了時における例えば1.5GPaの極圧と凝着摩耗およびねじ山のクリーピングを減らす間の低速度に耐えることが可能である。高い速度減少とヘルツ応力増加下での摩擦増加は、興味深い。ブリッジマン試験は、他の試験とは対照的に、検討中に潤滑剤組成物を試験するために便利である。例えば、アムスラー試験機で行われる試験は、接続組立の間に存在しない転がり接触に関するので、組立ドメインにおいては適切でない。密封および当接領域を伴う組立てに極めて特異なこれらの要件は、潤滑剤組成物に他の使用を即座に拒むことを意図させる。
【0039】
図2および3に示すように、コンポーネントT1またはT2は、EFで表わされた雌型またはEMで表わされた雄型のねじ山付き要素(あるいは端部)により終結される本体あるいは伸張部材(running part)PCを備えている。
【0040】
雌型ねじ山付き要素EF(図2参照)は、少なくとも1つの内側ねじ山FIと、例えば環状内面(VAM TOP型のねじ山付き接続部の場合には円錐凸形状である)が形成され内側ねじ山FIの下流に配置されたねじ込み当接部BVFとを備えている。
【0041】
ここで、雌型ねじ山付き要素EFの自由端部は、リファレンスとして役立つ。つまり、自由端部に続くものは、その下流にあるとみなされる。図2に図示された内側ねじ山FIは、自由端部の下流であってねじ込み当接部BVFの上流に配置されている。
【0042】
ここで使用される用語「内側」は、雌型ねじ山付き要素EFの長手方向軸XXの方向を向いた表面上(あるいは表面)に配置された部分を意味する。
【0043】
図2に図示されるように、雌型ねじ山付き要素EFは、任意に、内側ねじ山FIとねじ込み当接部BVFとの間に金属/金属密封面SEFを挿入し得る。
【0044】
雄型ねじ山付き要素EM(図3参照)は、少なくとも1つの外側ねじ山FEと、例えば自由端部の位置において環状端面(VAM TOP型のねじ山付き接続部の場合には円錐凹形状である)が形成され外側ねじ山FEの上流に配置されたねじ込み当接部BVMとを備えている。
【0045】
ここで、雄型ねじ山付き要素EMの自由端部は、リファレンスとして役立つ。つまり、自由端部に続くものは、その下流にあるとみなされる。
【0046】
ここで使用される用語「外側」は、雄型ねじ山付き要素EMの長手方向軸XXと反対側の径方向を向いた表面上(あるいは表面)に配置された要素を意味する。
【0047】
図3に図示されるように、雄型ねじ山付き要素EMは、任意に、ねじ込み当接部BVMと外側ねじ山FEとの間に金属/金属密封面SEMを挿入し得る。
【0048】
内側ねじ山FIは、外側ねじ山FEと同様に、軸方向および/または径方向に互いに間隔をおくとともに円柱または円錐面上に配置された1または2以上の別個のねじ山部分であってもよいことが示されるであろう。
【0049】
図4に示されるように、管状ねじ山付き接続部JFは、第1のコンポーネントT1の雌型ねじ山付き要素EFを第2のコンポーネントT2の雄型ねじ山付き要素EMに組立てによるアセンブリーにより形成されている。この組立ては、図1に図示された型の組立トルクにより決定付けられるとともに肩トルクCAB、可塑化トルクCPおよび肩トルク抵抗CSB(それぞれの定義は本明細書の冒頭部分に述べたものである)により特徴付けられている。
【0050】
効果的な組立ては、少なくともねじ込み当接部BVFおよび/またはBVMと内側ねじ山FIおよび/または外側ねじ山FEのみならず、可能な限り雌型ねじ山付き要素EFおよび/または雄型ねじ山付き要素EMの金属/金属密封面SEFおよびSEMが本発明による潤滑剤組成物(あるいは組成物)により予め被覆されているものが提供される。このコーティング(あるいは組成物)は、好ましくは製造所において雌型および/または雄型ねじ山付き要素EFおよびEM上に堆積される。
【0051】
潤滑剤組成物は、フィルムを形成する性能を有する。それは、基層上に付着することが意図された薄層(フィルム)を形成することが可能である。潤滑剤組成物は、少なくとも1種のブレーキ添加剤が分散されたマトリックスを備えている。下記に参照されるように、そのような潤滑剤組成物は、ねじ込み当接部に関する摩擦として参照される相の間に(つまり、締め相の端部において)、「潤滑ブレーキ(lubricated braking)」挙動をもたらすことが意図されている。
【0052】
マトリックスはまた、有効成分を所定の位置へあるいは所定の位置において固定あるいは保持することを可能にするバインダーとみなされている。それはまた、異成分体のための接着剤として機能するとともに、結合あるいは保持する有効成分を補充する機能を有することができる。このマトリックスは、如何なる型でもあり得、特に固体であってベタ付かない(not sticky the touch)粘稠性(consistency)またはペースト状の粘稠性(つまり、滴点を有する)を伴い得る。ただし、それは、可塑性型または粘塑性型のレオロジー的挙動と潤滑性能を伴うことが好ましい。
【0053】
ここで使用される用語「固体粘稠性」は、液体でも気体でもペースト状でもない粘稠性(あるいは状態)を意味する。より正確には、ここでマトリックス(あるいはフィルム)は、ベタ付く性質および/またはマトリックス(あるいはフィルム)と接触する汚染した表面および/または移動や組立て/分解作業の間の外部への流出や噴出による環境汚染により大気中の埃を捕らえることを避けるために、保管あるいは管理上さらされる構成要素の対応する温度より融点が高いときに固相(または固体粘稠性)とみなされる。
【0054】
管状ねじ山付き接続部の組立ておよび分解作業において伴う摩擦機構は、直面する摩擦速度における高い多様性により与えられる複合体である。つまり、摩擦速度は、組立ての間は実質的に比例し、組立ての終了時(または締め相)や分解時(または緩め相)においては殆どゼロであることができる。一方、ヘルツ応力は、実質的に同じ摩擦周期において、それゆえに限界条件を導いている。
【0055】
用語「ヘルツ応力(または圧力)」は、エリアにより分けられた面に接触することにより加えられる(そして弾性変形を引き起こす)荷重を意味するために使用されることが想起されるであろう。高いヘルツ応力が固形非可塑性物質に含まれると、固形非可塑性物質は摩擦面の発生による流動則にしたがったせん断を受ける間に材料の疲労により耐用期間を短くする内側のせん断の影響を受け得る。
【0056】
上述の運動エネルギーによる問題を解決するために、可塑性の性質を伴うとともに直面するあらゆる速度状況に対応しながら応力下で粘性流れを許容するマトリックスの特質を使用することは有益である。複数の構成要素により形成されるマトリックスは、せん断の影響の広い多様性の存在下において、さらにより良好な性能を有する。つまり、それは、他の活性元素を適所において保つとともに、安定な転写フィルムの製造あるいは舌片効果(leafing effect)に寄与することを可能にする。
【0057】
粘塑性型のレオロジー的挙動を達成するために、例えばポリエチレンまたはアクリルバインダーなどの全粘塑性ポリマーの部分を形成する少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(または樹脂)を含む固相のマトリックスを例えば使用することが可能である。ポリエチレンは、ポリアミド6、ポリアミド11およびポリプロピレンなどの他の粘塑性ポリマーを伴う場合のような溶融状態における高レベルの粘性をもたらす適用に関して何らの問題も有さないので、魅力的な提案である。ポリエチレンの中でも、105℃より高い融点を有するものを使用することは、さらにより有益である。ただし、80〜400℃の間に融点を有するマトリックスは、使用することが可能である。
【0058】
用語熱可塑性は、可逆的に、加熱によりそれぞれTおよびT(ガラス転移温度および溶融温度)において軟化後に溶融するとともに、冷却により固化後にガラス化することが可能な可溶性ポリマーと同義であることが想起されるであろう。熱可塑性ポリマーは、熱硬化性ポリマーとは対照的に、化学反応によらずに変換される。熱可塑性ポリマーは、摩擦応力下で静止を保ちながら粘性流体が乾燥し(ベタ付かない)かつ安定な固体構造を形成することを達成するために、本発明において使用される。一方、一般用語において、熱硬化性ポリマーは、応力下で全くあるいは殆ど粘性挙動を有さない。
【0059】
マトリックスが固体粘稠性および高強度な機械的挙動を伴わなければならないときには、それは例えばエポキシ樹脂、またはポリウレタン、シリコン、アルキドウレタンもしくはフェノール樹脂を含み得ることが示されるであろう。その型の変形例においては、シリカ塩などの無機バインダーまたは有機チタン塩もしくはシリカ塩などの他のキレートを使用することも可能である。それらの場合においても、組成物はベタ付かない。
【0060】
マトリックスは、固体であってベタ付かない粘稠性であってもよいし、粘弾性挙動を伴ってもよい。その場合において、それは、エラストマーまたはラテックスを含み得る。
【0061】
擬似静止状況下で極めて高い摩擦荷重の組み合わせにおける限界潤滑応力にしたがうために、少なくとも1種の固体潤滑型をマトリックス内に分散させることができる。
【0062】
ここで使用される用語「固体潤滑剤」は、2つの摩擦面の間に介在し、摩擦係数を下げるとともに面の摩耗および損傷を減らすことを可能にする、固体の安定な物体を意味する。これらの物体は、作用機構および構造により決定付けられる異なるカテゴリーに分類することができる。
【0063】
クラス1:潤滑特性が低せん断応力下で結晶構造間にへき開特性を有する結晶構造による固形体、例えばグラファイト、酸化亜鉛(ZnO)または窒化ホウ素(BN)
クラス2:潤滑特性が、一方でクラス1で示される結晶構造、他方で相対的に安定な潤滑転移層を構築するのに好適な表面固化の追加的性質をもたらす、金属面と反応しやすい組成物の化学元素による固形体、例えば二硫化モリブデン(MoS2)、フッ化グラファイト、硫化スズ、硫化ビスマスまたは二硫化タングステン
クラス3:潤滑特性が潤滑へき開可能なあるいは可塑性の錯体化合物を生成可能な金属面と化学的に反応しやすいことによる固形体、例えばチオ硫酸塩型の特定化合物またはデジリューブテクノロジー株式会社より市販されているレジリューブ88
クラス4:潤滑特性が特にせん断を経る際の摩擦応力下での可塑性または粘塑性的挙動による固形体、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタールまたはポリアミド
この分類については、例えば、フランス国立高等石油動力学校のエリック・ガード氏により行われた「レ リュブリフィアン ソリド(固体潤滑剤)」と称する過程論文に記載されている。
【0064】
さらに、それらのクラスには、一覧表1〜3でクラス1のサブクラスとして分類されるフラーレンの特別のカテゴリーがある。フラーレンは、単層あるいは多層構造を含み、摩擦を減らすとともに摩擦面上に安定な転移フィルムを伴う球状あるいは管状の分子であることが想起されるであろう。それは、例えば、炭素フラーレンまたは金属二硫化物型のフラーレンを使用することが可能であろう。
【0065】
当業者に知られているように、乾燥かつ流体力学的潤滑作用状態において固体である潤滑剤は、表面の摩擦特性を減らす安定な方法でその表面に固定される性質を有する。それらは、化学的または物理化学的結合により表面に転移または結合し、摩耗に対する高レベルな抵抗性および摩擦特性の向上をもたらす。固体の性質によっては、表面に、高い表面応力(ヘルツ応力)により発生する極圧での耐摩耗保護性、耐摩耗抵抗性および耐摩耗特性と、広範囲にわたる荷重および摩擦速度での低い摩擦係数とを与える。転移フィルム(あるいは舌片状効果)を生成する性質は、それにおける表面が管状ねじ山付接続部の組立ておよび分解作業において生じる反復的な力が課される摩擦の型のために使用される。
【0066】
(固体潤滑剤)組成物は、例えばフッ化グラファイトのみ、硫化スズのみ、硫化ビスマスのみあるいは酸化亜鉛などの1種の固体潤滑剤のみを含み得る。
【0067】
しかしながら、異なるクラスに属する少なくとも2種の固体潤滑剤を組み合わせた使用は、相乗作用およびそれによる高レベルの潤滑性能を達成することを可能にする。ここで使用される用語「相乗効果」は、別々に検討された際のそれらの固体潤滑剤の基本的性質の累積的効果よりも高い性能レベルに導く基本的性質を有する固体潤滑剤の組み合わせにおける状況を意味する。
【0068】
本発明において好適に使用される固体潤滑剤は、少なくともフッ化グラファイトおよび硫化スズまたは硫化ビスマスなどのこれまでに殆ど使用されて来なかったクラス2の化合物を含んでいる。それらは、より高い金属との結合性および著しく高い極圧下での性能レベルのため、グラファイト(腐食の発生を促進する可能性がある)、二硫化モリブデン(特に水分の存在下で不安定であるとともに、鋼に腐食性のある硫黄酸化物あるいは鋼を異なる水素ぜい化型応力破裂(「硫化物応力割れ」またはSSCと呼ばれる)に影響されやすくする可能性がある硫化水素を発することが知られている)または二硫化タングステンなどの従来の固体潤滑物とは異なる。それらは、他のクラスの固体潤滑剤との相乗作用において、特に顕著な性能レベルを達成することを可能にする。
【0069】
上述したクラス2の化合物は、クラス1、3および4の少なくとも1種からの固体潤滑剤の粒子とともに粒子の形態で使用することができる。つまり、少なくとも1種のクラス2の固体潤滑剤と少なくとも1種のクラス1の固体潤滑剤の粒子、あるいは少なくとも1種のクラス1の固体潤滑剤と少なくとも1種のクラス2の固体潤滑剤の粒子、あるいは少なくとも1種のクラス2の固体潤滑剤と少なくとも1種のクラス3の固体潤滑剤の粒子、あるいはまた少なくとも1種のクラス1の固体潤滑剤と少なくとも1種のクラス2の固体潤滑剤と少なくとも1種のクラス4の固体潤滑剤の粒子を使用することが可能である。
【0070】
クラス1、2および4を合わせたシステムでは、クラス2/クラス4型の相乗作用に関して、50%までの建設現場条件下での組立ておよび分解サイクル数の増加が観られる。
【0071】
例として、クラス1の固体潤滑剤の粒子は、窒化ホウ素または酸化亜鉛の粒子であり得る。また、例として、クラス2の固体潤滑剤の粒子は、フッ化グラファイト、硫化スズ、硫化タングステンまたは硫化ビスマスの粒子であり得る。クラス3の粒子は、(デジリューブテクノロジー株式会社により市販されている)デジリューブ88であり得る。さらに、例として、クラス4の固体潤滑剤の粒子は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粒子であり得る。特に高い性能の相乗作用は、下記の組み合わせにより達成される。フッ化グラファイト(クラス2)/PTFE(クラス4)/窒化ホウ素(クラス1)、二硫化スズ(クラス2)/PTFE(クラス4)/窒化ホウ素(クラス1)、硫化ビスマス(クラス2)/PTFE(クラス4)/窒化ホウ素(クラス1)、およびCF(クラス2)/ZnO(クラス1)/PTFE(クラス4)。
【0072】
先に述べたように、本発明による潤滑剤組成物は、マトリックス(またはバインダー)と適した固体潤滑剤の粒子に加えて、少なくとも1種のブレーキ添加剤(またはピグメント)を含んでいる。各ブレーキ添加剤(またはピグメント)は、マトリックス内に分散している。
【0073】
ブレーキ添加剤(またはピグメント)は、少なくとも雄型および雌型ねじ山付き要素EMおよびEFのそれぞれの1つを部分的に覆うための管状ねじ山付き接続部の組立トルクの機能を果たすものとして選択される。より正確には、それもしくはそれらは、組成物に、潤滑特性に加えて、閾値以上の肩トルク抵抗値CSBを達成することを可能にするために選択される摩擦係数を、組成物に与えるために選択される。
【0074】
もし、例えば、肩トルク抵抗CSBのために選択される参照値が、API RP 5A3(またはAPI Bull. 5A2)型のグリースにより部分的に覆われた一定の管状ねじ山付き接続部の組立トルクプロフィールにより決定付けられるのであれば、その時の同じ管状ねじ山付き接続部のための肩トルク抵抗値CSBの閾値は、参照値の70%以上に選択することができる。もちろん、使用する型によっては、(高いまたは等しい値として)参照値の70%に近い肩トルク抵抗値CSBあるいは参照値の100%にむしろ近いあるいは実際には参照値の100%よりもさらに高い肩トルク抵抗値CSBを得られることを可能にする組成を有することが好ましい。
【0075】
ここで、値70%は、許容される品質の締めのための最も低い組立てトルクを使用することを可能にするのに十分な許容値を維持するために選ばれる。
【0076】
ある種の用途においては、もちろん、参照値の70%より低い肩トルク抵抗値のための閾値を選択することができる。しかしながら、それらは、管状ねじ山付き接続部が高レベルのトルク下で組み立てられる用途のためには十分でない。つまり、その場合においては、2つの雄型および雌型ねじ山付き要素EMおよびEFそれぞれの少なくとも1つのねじ込み当接部が(不可逆的な)塑性変形の原因であったり正しい組立基準(肩トルクCABと最適トルクとの間の比)を満たしていないといった、危険にさらされるいくつかの場合を除いた、(標準グリースAPIによるねじ山付き要素のコーティングが提供される)標準名目トルクを使用したねじ山付き接続部の組立てが最早不可能となる。
【0077】
各ブレーキ添加剤は、本発明による組成物に、管状ねじ山付き接続部およびそれによる手段の機能としての潤滑条件における組立作業に適用される移動を「制動する」ための性能を与えることが理解されるであろう。実際には、相対的な摩擦における2つの物質であって介在した第3の物体(ここでは潤滑剤組成物)により分けられたものの特性は、少なくとも2つの要因:第3の物体のレオロジー的挙動およびその第3の物体の組成物が関与する特定の固体化合物の挙動による。
【0078】
第3の物体のレオロジー的挙動は、オイルの場合における流体力学的なもの、特定のワックスおよび特定のポリマーの場合における粘塑性、または可塑性のないもしくは極めて高い硬度の特定の無機化合物の場合における粗さであり得る。
【0079】
第3の物体の組成物に含まれる特定の固体化合物は、特定にパラメータにしたがって変化する。
【0080】
流体力学的あるいは粘塑性媒体における第3の物体の濃度。
【0081】
モース硬度値により特徴付けられる、硬度または固体化合物の粒子を砕くための性能。
【0082】
主として結晶構造により決まる、力の規模の大小による固体化合物の結晶のクリービングのための性能。
【0083】
それらの相互作用が移動に抵抗する性質を有する、固体化合物の粒子の形状と表面エネルギーにより決まる粒子相互作用と、それらの粒子間の結合性能(粒子の化学的性質としての、ファンデルワールス型結合を介した原子間力)。
【0084】
せん断力およびこれによる移動に対抗することが可能な、極めて高い分子量の特定の有機添加剤の逆レオロジー的挙動(あるいは逆チキソトロピーを伴う)。
【0085】
したがって、各ブレーキ添加剤は、含まれる要件により、相対的に高いへき開力値(cleaving force value)(つまり、それを生じさせるための中間ないしは高いせん断値あるいは応力が必要なクリービングを含む)および/または強い粒子相互作用もしくは粒子間引き付け結合および/または中間ないしは高いモース硬度(ただし研磨特性を除く)および/または溶液における移動に抵抗もしくは対抗するレオロジー的挙動を有する無機または有機粒子の分散液および/または溶液により好ましくはなる。
【0086】
制動のために共に有用な異なる特定の物理的性質を有するブレーキ添加剤を、潤滑剤組成物内へ混合することが可能である。これにより、熱可塑性あるいは(粘塑性)マトリックスの場合において、例えば(かつ限定する意図でなく)構造的挙動が制動(高レベルの抵抗性を伴うクリービング)を伴う二酸化チタンと、そのモース硬度が管状ねじ山付き接続部のねじ山付き要素に損傷を与えない程度の中庸なものである三酸化ビスマスとの組み合わせを、使用することが可能である。そのような組み合わせにより、70〜80%程度の肩トルク抵抗値CSBを達成することが可能である。
【0087】
限定されない例として、ブレーキ添加剤の重量組成は、下記の通りにすることができる。
三酸化ビスマス 25〜99%
二酸化チタン 1〜75%
【0088】
もちろん、ブレーキ添加剤は、酸化ビスマスおよび酸化チタン以外の他の物質を、特に組み合わせにおいて使用することができる。それは、例えば焼成球形(pyrogenic spherular)であり、その粒子サイズが数十nmである例えばコロイダルシリカ(高レベルの粒子相互作用および高いモース硬度を有する)や同じ粒子性状を有するカーボンブラック(極めて高いレベルの粒子相互作用を有する)による場合である。コロイダルシリカ型のみのブレーキ添加剤による場合は、約90〜100%の間の肩トルク抵抗値CSBを達成することが可能である。アエロジル(登録商標)型(デグッサにより市販されている)の他のブレーキ添加剤と組み合わされたカーボンブラック型のブレーキ添加剤による場合は、約110〜130%の間の肩トルク抵抗値CSBを得ることが可能である。カーボンブラック型のみのブレーキ添加剤による場合は、約120〜140%の間の肩トルク抵抗値CSBを得ることが可能である。また、アクリルポリマー型のブレーキ添加剤を使用することも可能である。
【0089】
固体マトリックス、1または2以上の固体潤滑剤および1または2以上のブレーキ添加剤を含む潤滑剤組成物について下記で検討する。本発明は、セミドライと呼ばれる潤滑剤組成物にも関するが、ペースト状のマトリックスおよび(米国特許第6933264号に特に記載されるような)化学作用を伴う少なくとも1種の極圧添加剤に加えて、1または2以上のこの明細書中に記載された型のブレーキ添加剤を含む。使用される固体マトリックスの型(熱可塑性、熱硬化性あるいは他の)により主として決まる潤滑剤組成物における構成要素の3つの型のそれぞれの割合を示しておくことは重要である。例えば、固体マトリックスが熱可塑性型のものである際には、潤滑剤組成物はマトリックスを約45〜93%の割合で含み、固体潤滑剤を約1〜25%の割合で含み、ブレーキ添加剤を約5〜20%の割合で含む。
【0090】
単なる例示であって限定されない例として、熱可塑性マトリックスの重量組成は、例えば下記の通りであり得る。
ポリエチレンホモポリマー 5〜96%
カルナバワックス 2〜30%
ステアリン酸亜鉛 2〜30%
スルホン酸カルシウム誘導体 0〜50%
アルキルポリメタクリレート 0〜15%
着色剤 0〜 1%
抗酸化剤 0〜 1%
【0091】
さらに、単なる例示であって限定されない例として、水性エマルジョン状の熱可塑性マトリックスの重量組成は、下記の通りであり得る。
ポリエチレンエマルジョン 0〜50%
アクリルエマルジョン 10〜80%
スルホン酸カルシウム誘導体 1〜40%
アルキルポリメタクリレート 1〜40%
ステアリン酸亜鉛エマルジョン10〜50%
【0092】
また、潤滑剤組成物における構成要素の3つの型の異なる割合における変形例は、互いに相関して、特に部分的に覆う管状ねじ山付き接続部の型および特に作業現場条件下で管状ねじ山付き接続部に課される応力に依存することが理解されるであろう。
【0093】
潤滑剤組成物の構成の3つの型(固体マトリックス、固体潤滑剤およびブレーキ添加剤)のそれぞれの重量組成の決定は例えばコンピュータ上で実行するデータ処理プログラムによる理論シミュレーションを用いて行われ得、トリボロジーテストがブリッヂマン試験機の名称で当業者(摩擦学における専門家)に知られている機械を用いて行われる。この型の機械は、特に、カールマン・ウィルスドルフらによる論文「高圧下でのブリッジマンアンビル間の塑性流動」(J.Mater.Res.,Vol.6,No12,1991年12月)に記載されている。
【0094】
ブリッジマン試験機の図および作用例は、図5に図示されている。この機械は、
選択された速度で回転駆動することができるディスクDQと、
ディスクDQの第1の面に堅固に固定されている、好ましくは円錐型の第1のアンビルEC1と、
第1の面に対向する、ディスクDQの第2の面に堅固に固定されている、好ましくは円錐型の第2のアンビルEC2と、
例えばピストンなどの、選択された軸方向圧力Pをかけることが可能な第1および第2の圧力要素EP1およびEP2と、
第1の圧力要素EP1の面に堅固に固定されている、好ましくは円柱型の第3のアンビルEC3と、
第2の圧力要素EP2の面に堅固に固定されている、好ましくは円柱型の第4のアンビルEC4と、
を備えている。
【0095】
潤滑剤組成物を試験するためには、ねじ山付き要素を構成するものと同じ材料の2つの片を覆うための組成物が、試料S1およびS2を形成するために使用される。そして、第1の試料S1は第1の自由面と第3のアンビルEC1およびEC3の間に挿入され、第2の試料S2は第2の自由面と第4のアンビルEC2およびEC4の間に挿入される。つづいて、ディスクDQが第1および第2の圧力要素EP1およびEP2各々に選択された軸方向圧力P(例えば1.5GPaのオーダーの)を適用しながら選択された速度で回転するとともに、各試料S1、S2に課された組立トルクが測定される。
【0096】
軸方向圧力、回転速度および回転角度は、組立終了時における当接面のヘルツ応力および相対速度をシミュレートするために選択される。
【0097】
上記機械の貢献により、試料S1およびS2における対応する組立トルクを測定するとともに、これにより試料S1およびS2がおよそ与えられた組立トルクプロフィールにしたがい、特にそのプロフィールに関して選択された閾値以上の肩トルク抵抗値CSBを達成することを可能にし得ることを実証するための多くの異なるペア(組立トルク、回転速度)を確かめることが可能となる。ブリッジマン試験機により行われる試験は、本発明による潤滑剤組成物により被覆された試料のために測定されたトルクと、同じ潤滑剤組成物により被覆されたねじ山付き要素の組立作業において得られる肩トルク抵抗CSBのパーセンテージとの間に相関関係を確立することを可能にすることが理解されるであろう。
【0098】
本発明による組成物の特定の選択された性質を向上させるために、組成物のマトリックスは、下記に総記的に列挙されるような追加要素を含み得る。
【0099】
向上した組成物のマトリックスの可塑性は、現場条件下での組立ておよび分解作業数に加えて粒子(debris)再凝集特性の向上の観点から優れた結果を与えるカルシウム、リチウム、アルミニウム、ビスマスおよび亜鉛の石鹸(ステアリン酸)中から選ばれる金属石鹸型の化合物の添加により達成され得る。用語「金属石鹸」は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、他の金属の石鹸などの可溶性化合物を意味するために使用されることが想起されるであろう。例として、特定の腐食防止剤による相乗作用効果を有するステアリン酸亜鉛などの金属石鹸を使用することが可能である。
【0100】
例えば、組成物によりもたらされる潤滑性を向上させるために、特に組立て分解の間に粒子がブロッキングおよび再凝集するための性質を最適化するために、マトリックスは植物、動物、無機物または合成品のワックスなどの天然脂肪性物質を含み得る。用語「ワックス」は、様々な由来(特に石油の蒸留からもたらされる無機物、植物、動物、合成品)の潤滑特性を有する可溶性物質であって、そのためのペースト状または硬い粘稠性の多少や融点に加えて滴点が、その性質によって相当な割合に変わりうるものを意味するために使用されることが想起されるであろう。例として、カルナバワックスを使用することが可能である。マトリックスは、樹脂(無機物、植物または合成品)、例えばテルペン樹脂またはその誘導体を含む際に増加した粘着力を有し得る。
【0101】
腐食防止剤の必要含有量によって、粒子をトラッピングあるいは再凝集する性質の低下が観察され得ることが想起されるであろう。その弊害を修復するために、アルキルポリメタクリレート(PAMA)、ポリブテン、ポリイソブテンおよびポリシロキサンなどの高粘性ポリマーを使用することが可能である。これにより、VISCOPLEX6−950の名称でROHMAXにより市販されている100℃における動粘度が850mm/秒のPAMAにより、優れた粒子再凝集結果を得ることができる。
【0102】
例えば、様々な型の腐食に対して組成物を覆うことで表面の保護性を向上させるために、組成物のマトリックスは腐食防止剤を含み得る。用語「腐食防止剤」は、表面に適用された液体または固体に、化学的、電気化学的あるいは物理化学的機構により表面を保護するための性能を与える添加剤を意味するために使用されることが想起されるであろう。例として、スルホン酸カルシウムまたは酸化カルシウム誘導体、より詳細にはワックス、石油またはALOX(登録商標)2211YおよびALOX(登録商標)606の名称でLUBRIZOLにより市販されている製品などにより形成された媒体において生ずる酸化カルシウムとスルホン酸カルシウムとの結合体の1つを使用することが可能である。ただし、アミン、アミノボレート、第4級アミン、ポリα−オレインにおけるスーパーアルカリ化硫酸などの他の化合物も同様に使用し得る。
【0103】
腐食に対する抵抗性は、選択された腐食防止剤を他の腐食ブロッキング機構にしたがって作用する化合物と連携させることにより、さらに向上させ得る。既に述べたように、ステアリン酸亜鉛は、特にマトリックスの潤滑特性に大きく寄与すると同時に腐食防止剤とともに相乗作用的特性を示す。
【0104】
耐腐食保護性に関する主試験は、基準ISO9227にしたがって行われるとともにマンガンを伴うリン酸化(8〜20g/mのリン酸付着量)により処理されるプレート上のISO EN2864−3にしたがったインデックスReにより評価される塩霧試験である。水中に単分散して使用される、ナノサイズ(平均200nm)の酸化亜鉛粒子を挿入することにより、基準(腐食が現れるための時間の20%内の増加)にしたがった塩霧試験における性能レベルの向上を達成することができる。
【0105】
例えば、組成物に、表面粗さにより作り出される安定したブロッキング部位を与えるとともに、表面においてせん断可能な型の連続した構造を作り出す間に表面とその拡がりへの損傷に関与する処理を阻止することを可能にさせるために、組成物は少なくとも1種の球状のフラーレンを備えている。用語「フラーレン」は、単層または多層構造の閉じられたもしくは開いた管状あるいは閉じられた球状をなす構造を含んだ分子材料を意味するために使用されることが想起されるであろう。球状フラーレンは、単層構造においては数十nmのサイズ、多層構造においては100nmより大きいサイズを伴う。それらのサイズと相互作用性のための性能のために、フラーレンは移動に対する粘性抵抗において付加的現象を導入することにより媒体のレオロジーを決定する効果を有することが示されるであろう。
【0106】
例えば、処理された表面の視覚的識別を可能にするために、組成物のマトリックスは少なくとも1種の着色剤を含み得る。提供される内容物が摩擦性能レベルを減らさない如何なる型の公知の有機着色剤をも使用し得る。着色剤は、約1%の割合で使用することが可能である。
【0107】
組成物のマトリックスは、例えば熱あるいは紫外線に曝されることによる酸化により劣化から例えば保護するために、少なくとも1種の抗酸化剤を含み得る。例えば、チバガイギーからの製品IRGANOX(登録商標)L150(ポリフェノール系およびアミノ系抗酸化剤のシステム)とIRGAFOS(登録商標)168(トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)の組み合わせを使用することが可能である。
【0108】
雄型および雌型ねじ山付き要素EMおよびEFそれぞれの潤滑された部分の表面修飾は、利点を見出し得る。実際には、組立て分解試験は、適切な転移層の確立を達成するためには、サンドブラストあるいはショットブラストなどの機械的処理、または表面で結晶化した無機堆積物に基づく反応性もしくは非反応性の処理、例えば酸を使用した化学的侵食、亜鉛もしくはマンガンを使用したリン酸化処理あるいは表面で化成被膜を導くシュウ酸化処理を用いた表面の物理的もしくは化学的修飾のいずれかにより潤滑剤組成物を吸着または吸収することを可能にするために、被覆された表面を修飾することが好ましいことを示している。これらの表面処理の中でも、リン酸化処理が、摩擦抵抗性および高い安定性があることに加えて耐腐食保護基調の転移フィルムの確立を導く、良好な結合面を達成することを可能にするため好ましい。
【0109】
また、特に、表面に存在する多孔質に挿入可能なサイズのナノ物質を注入する追加的な表面調製を行うことが望ましい。この注入作用の目的は、コーティングの良好な接着性を保ちながら腐食から表面を保護するための不活性作用を有する物質を用いて、多孔質により作り出された部位をブロックおよび飽和することである。
【0110】
組成の2つの非限定的な例は、下記に述べる。これらの例は、ヴァルレック・マンネスマンチューブのOCTG部門により編纂された技術仕様書にしたがった名目直径177.8mm(7インチ)、線密度43.15kg/m(29lb/ft)の低合金鋼のVAM TOP HC型の管状ねじ山付き接続部によく適合する。コーティング(組成)の適用に先立って、雄型ねじ山付き要素は例えば亜鉛によるリン酸化(層重量4〜20g/mの間)が課されるとともに、雌型ねじ山付き要素はマンガンによるリン酸化(層重量8〜20g/mの間)が課される。雄型および雌型ねじ山付き要素EMおよびEFはそれぞれ、予め130℃に熱せされた後、150℃で溶融状態に保たれた下記の重量組成の潤滑剤組成物の厚さ35μmの層を適用するために溶射される。
【0111】
LICOWAX(登録商標)PE520の名称でCLARIANT社により市販されているポリエチレン:9%
カルナバワックス:15%
ステアリン酸亜鉛:15%
VISCOPLEX(登録商標)6−950の名称でROHMAX社により市販されているPAMA:5%
ALOX(登録商標)606の名称でLUBRIZOL社により市販されているスルホン酸カルシウム誘導体:40%
フッ化グラファイト:3.5%
酸化亜鉛:1%
二酸化チタン:5%
三酸化ビスマス:5%
シリコン:1%
チバガイギー社より市販されている抗酸化剤
IRGANOX(登録商標)L150 0.3%
IRGAFOS(登録商標)168 0.2%
この例では、マトリックスは粘塑性型であり、固体潤滑剤は酸化亜鉛とフッ化グラファイトからなり、ブレーキ添加剤は(高いへき開力を伴う)酸化チタンと(中庸なモース硬度)三酸化ビスマスよりなる。
【0112】
変形例において、(潤滑剤)組成物は、コロフォニックエステル樹脂、例えば、LES DERIVES RESINIQUES ET TERPENIQUES(DRT)社のDERTOLYNE P2Lを、重量で1〜60%、好ましくは5〜30%含む。
【0113】
例として、組成物は、以下の物質を含み得る。
カルナバワックス:14%
ステアリン酸亜鉛:14%
樹脂デルトライン P2L:20%
ビスコプレックス 6−950(ポリアルキルメタクリレート):8%
ハロックス SZP391(カルシウムおよびストロンチウムのリンケイ酸塩):29%
フッ化グラファイト:7%
Bi:5%
PTFE:2%
窒化ホウ素:1%
【0114】
変形例において、例えば、雄型および雌型ねじ山付き要素EMおよびEFにそれぞれ、予め130℃に熱せされ、150℃で溶融状態に保たれた下記の重量組成の潤滑剤組成物の厚さ35μmの層を適用することが可能である。
LICOWAX(登録商標)PE520の名称でCLARIANT社により市販されているポリエチレン:26%
カルナバワックス:10%
ステアリン酸亜鉛:20%
VISCOPLEX(登録商標)6−950の名称でROHMAX社により市販されているPAMA:5%
ALOX(登録商標)606の名称でLUBRIZOL社により市販されているスルホン酸カルシウム誘導体:30%
フッ化グラファイト:3.5%
二酸化チタン:5%
チバガイギー社より市販されている抗酸化剤
IRGANOX(登録商標)L150 0.3%
IRGAFOS(登録商標)168 0.2%
【0115】
この変形例でも、マトリックスは粘塑性型であり、固体潤滑剤はフッ化グラファイトからなり、ブレーキ添加剤は二酸化チタンよりなる。
【0116】
上述した溶融状態における噴霧手順は、液相における高温での潤滑剤組成物の維持とサーモスタット制御されたスプレーガンを用いた噴霧を含んでいる。潤滑剤組成物は、その融点よりも10〜50℃高い温度に加熱されるとともに、表面を良好に覆うために融点より高い温度に予め加熱された表面に噴霧される。
【0117】
溶融状態における噴霧の手順を使用する代わりに、例えば水性エマルジョンの潤滑剤組成物に噴霧することが可能である。エマルジョンおよびその基質は、周囲温度であることができ、その後に乾燥時間を要する。この乾燥時間は、60〜80℃の間で潤滑剤組成物をおよび/または50〜150℃の間で表面を予め加熱することにより、相当に減らすことができる。
【0118】
本発明は、単に例として既に記載された潤滑剤組成物およびねじ山付き要素(雄型または雌型)の例に限定されないのみならず、添付の特許請求の範囲内で当業者が予想することができるすべての変形例を包含する。
【0119】
つまり、本発明は、既に記載された型(VAM TOP)以外の他のねじ山付き要素の型にも関する。例えば、内側当接部による管状ねじ山付き接続部のねじ山付き要素であって、連結されたもの(例えば型NEW VAM、VAM ACE、DINOVAM、VAM HW ST)あるいは「フラッシュ」もしくは「セミフラッシュ」の一体のもの(例えば型VAM SL、VAM MUST、VAM HP、VAM HTF)にも関する。
【0120】
本発明は、仕様書API 7あるいは特定の製造業者独自の詳細な仕様書により定義されたパイプおよび他の回転掘削コンポーネントのためのねじ山付き接続部の要素(限定されない例として、高級ねじ山付き接続部VAM EIS、VAM TAURUS、TORQMASTER TM4ならびにそれらの派生型および発展型など)にも関する。
【0121】
上述の説明は、原則として、固体粘稠性のマトリックス、1または2以上の固体潤滑剤および1または2以上のブレーキ添加剤を含んだ潤滑剤組成物を説明している。しかしながら、本発明は、ペースト状のマトリックス、化学的作用を伴う少なくとも1種の極圧添加剤および1または2以上のブレーキ添加剤を含んだセミドライ潤滑剤組成物にも関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状ねじ山付き接続部(JF)のコンポーネント(T2,T1)のねじ山付き要素(EM,EF)の少なくとも1つのねじ山(FE,FI)およびねじ込み当接部(BVM,BVF)を、前記ねじ山(FE,FI)およびねじ込み当接部(screwing abutment)(BVM,BVF)を接着させる固相のフィルムにより覆うために適したねじ山付き接続部を組み立てるためのフィルム形成用潤滑剤組成物であって、前記ねじ込み当接部(BVM,BVF)が端部組立相(terminal make up phase)において前記管状ねじ山付き接続部(JF)の他方のコンポーネント(T1,T2)の他方の当接部(BVF,BVM)に接して支えることが意図されるとともに前記潤滑剤組成物がマトリックスを含み、
前記フィルム形成用潤滑剤組成物は、前記マトリックス内に分散するとともに、潤滑性に加えて閾値以上の肩トルク抵抗値(torque on shoulder resistance value)を得るために選択された摩擦係数を、前記組成物に与えるために、選択された少なくとも1種のブレーキ添加剤をさらに含むことを特徴とする、フィルム形成用潤滑剤組成物。
【請求項2】
前記ブレーキ添加剤は、閾値以上であってAPI RP 5A3型のグリースの肩トルク抵抗参照値の70%以上の肩トルク抵抗値を得ることが可能となるように整えられていることを特徴とする、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項3】
前記ブレーキ添加剤は、閾値以上であって前記管状ねじ山付き接続部(JF)のために得られたAPI RP 5A3型のグリースの肩トルク抵抗参照値の100%以上の肩トルク抵抗値を得ることが可能となるように整えられていることを特徴とする、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項4】
前記ブレーキ添加剤は、相対的に高いへき開力値(cleaving force value)および/または強い粒子相互作用もしくは粒子間引き付け結合および/または中間ないしは高いモース硬度および/または移動に抵抗もしくは対抗するレオロジー的挙動を有する無機または有機粒子の分散液および/または溶液よりなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項5】
各ブレーキ添加剤は、少なくともビスマス酸化物、チタン酸化物、コロイダルシリカ、アクリルポリマーおよびカーボンブラックを含む群から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の潤滑剤組成物。
【請求項6】
前記ブレーキ添加剤の重量組成は、下記の通りであることを特徴とする、請求項5に記載の潤滑剤組成物。
三酸化ビスマス 25〜99%
二酸化チタン 1〜75%
【請求項7】
前記ブレーキ添加剤組成物は、カーボンブラックのみであることを特徴とする、請求項5に記載の潤滑剤組成物。
【請求項8】
前記ブレーキ添加剤組成物は、焼成球形(pyrogenic spherular)コロイダルシリカのみであることを特徴とする、請求項5に記載の潤滑剤組成物。
【請求項9】
前記フィルム形成用潤滑剤組成物は、前記ブレーキ添加剤とともに前記マトリックス内に分散した固体潤滑剤の粒子を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項10】
前記固体潤滑剤の粒子は、クラス1、2、3および4の少なくとも1種の粒子を含むことを特徴とする、請求項9に記載の潤滑剤組成物。
【請求項11】
前記固体潤滑剤の粒子は、少なくとも1種のクラス2の固体潤滑剤の粒子および少なくとも1種のクラス1の固体潤滑剤の粒子を含むことを特徴とする、請求項10に記載の潤滑剤組成物。
【請求項12】
前記固体潤滑剤の粒子は、少なくとも1種のクラス2の固体潤滑剤の粒子および少なくとも1種のクラス4の固体潤滑剤の粒子を含むことを特徴とする、請求項10に記載の潤滑剤組成物。
【請求項13】
前記固体潤滑剤の粒子は、少なくとも1種のクラス1の固体潤滑剤の粒子、少なくとも1種のクラス2の固体潤滑剤の粒子および少なくとも1種のクラス4の固体潤滑剤の粒子を含むことを特徴とする、請求項10に記載の潤滑剤組成物。
【請求項14】
前記固体潤滑剤の粒子は、酸化亜鉛および窒化ホウ素から選択される少なくとも1種のクラス1の固体潤滑剤の粒子を少なくとも含むことを特徴とする、請求項10〜13のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項15】
前記固体潤滑剤の粒子は、フッ化グラファイト、硫化スズ、硫化ビスマスおよび二硫化タングステンから選択される少なくとも1種のクラス2の固体潤滑剤の粒子を含むことを特徴とする、請求項10〜14のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項16】
前記固体潤滑剤の粒子は、クラス4の固体潤滑剤として少なくともポリテトラフルオロエチレンの粒子を含むことを特徴とする、請求項10〜15のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項17】
前記固体潤滑剤の粒子は、少なくとも1種の球状または管状の分子を少なくとも含むことを特徴とする、請求項10〜16のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項18】
前記マトリックスは、固体粘稠性(solid consistency)であってベタ付かず(not sticky to the touch)、可塑性型および粘塑性型を含む群から選択されるレオロジー的挙動を有することを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項19】
前記マトリックスは、80〜400℃の間に融点を有することを特徴とする、請求項18に記載の潤滑剤組成物。
【請求項20】
前記マトリックスは、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項18または19に記載の潤滑剤組成物。
【請求項21】
前記熱可塑性ポリマーは、少なくともポリエチレンおよびアクリルバインダーを含む群から選択されることを特徴とする、請求項20に記載の潤滑剤組成物。
【請求項22】
前記マトリックスは、少なくとも1種の熱硬化性バインダーを含むことを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項23】
前記熱硬化性バインダーは、少なくともエポキシ樹脂、ポリウレタン、シリコン、アルキドウレタンおよびフェノール樹脂を含む群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の潤滑剤組成物。
【請求項24】
前記マトリックスは、少なくとも1種の無機バインダーを含むことを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項25】
前記マトリックスは、少なくとも1種のキレート型のバインダーを含むことを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項26】
前記マトリックスは、固体粘稠性であってベタ付かず、粘弾性挙動を伴う少なくとも1種のバインダーを含むことを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項27】
前記マトリックスは、少なくとも1種の金属石鹸を含むことを特徴とする、請求項1〜26のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項28】
前記石鹸は、少なくともステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミニウムおよびステアリン酸ビスマスを含む群から選択されることを特徴とする、請求項27に記載の潤滑剤組成物。
【請求項29】
前記マトリックスは、少なくとも1種の植物、動物、無機物または合成品由来のワックスを含むことを特徴とする、請求項1〜28のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項30】
前記マトリックスは、少なくとも1種の腐食防止剤を含むことを特徴とする、請求項1〜29のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項31】
前記腐食防止剤は、少なくとも1種のスルホン酸カルシウム誘導体および酸化カルシウム誘導体を含む群から選択されることを特徴とする、請求項30に記載の潤滑剤組成物。
【請求項32】
前記マトリックスは、100℃における動粘度が850mm/秒以上である少なくとも1種の液体ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1〜31のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項33】
前記液体ポリマーは、少なくとも1種のアルキルポリメタクリレート、ポリブテン、ポリイソブテンおよびポリジアルキルシロキサンを含む群から選択されることを特徴とする、請求項32に記載の潤滑剤組成物。
【請求項34】
前記マトリックスは、着色剤を含むことを特徴とする、請求項1〜33のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項35】
前記マトリックスは、表面への結合およびコーティングの均一性を促進するために意図された少なくとも1種の表面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1〜34のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項36】
前記マトリックスは、少なくとも1種の抗酸化剤を含むことを特徴とする、請求項1〜35のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項37】
前記マトリックスの重量組成は、下記の通りであることを特徴とする、請求項1〜36のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
ポリエチレンホモポリマー 5〜96%
カルナバワックス 2〜30%
ステアリン酸亜鉛 2〜30%
スルホン酸カルシウム誘導体 0〜50%
アルキルポリメタクリレート 0〜15%
着色剤 0〜 1%
抗酸化剤 0〜 1%
【請求項38】
水性エマルジョン状の熱可塑性マトリックスの重量組成は、下記の通りであることを特徴とする、請求項1〜36のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
ポリエチレンエマルジョン 0〜50%
アクリルエマルジョン 10〜80%
スルホン酸カルシウム誘導体 1〜40%
アルキルポリメタクリレート 1〜40%
ステアリン酸亜鉛エマルジョン10〜50%
【請求項39】
前記固体潤滑剤の重量組成は、下記の通りであることを特徴とする、請求項9〜38のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
フッ化グラファイト 65〜99%
酸化亜鉛 1〜35%
【請求項40】
前記固体潤滑剤の重量組成は、下記の通りであることを特徴とする、請求項9〜38のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
フッ化グラファイト 20〜99%
窒化ホウ素 0〜30%
ポリテトラフルオロエチレン 1〜80%
【請求項41】
前記固体潤滑剤の重量組成は、下記の通りであることを特徴とする、請求項9〜38のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
硫化スズ 20〜99%
窒化ホウ素 0〜30%
ポリテトラフルオロエチレン 1〜80%
【請求項42】
前記固体潤滑剤の重量組成は、下記の通りであることを特徴とする、請求項9〜38のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
硫化ビスマス 20〜99%
窒化ホウ素 0〜30%
ポリテトラフルオロエチレン 1〜80%
【請求項43】
前記フィルム形成用潤滑剤組成物の組成は、下記の通りであることを特徴とする、請求項9〜38のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
熱可塑性マトリックス 45〜93%
固体潤滑剤 1〜25%
ブレーキ添加剤 5〜20%
【請求項44】
前記マトリックスはペースト状粘稠性(pasty consistency)であり、かつ前記フィルム形成用潤滑剤組成物は化学的作用を伴う少なくとも1種の極圧添加剤を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項45】
管状ねじ山付き接続部(JF)のコンポーネント(T2,T1)のねじ山付き要素(EM,EF)であって、前記ねじ山付き要素(EM,EF)は少なくとも1つのねじ山(FE,FI)およびねじ込み当接部(BVM,BVF)で組立終了時(end of make up)において前記ねじ山付き接続部(JF)の他方のコンポーネント(T1,T2)の他方の当接部(BVF,BVM)に接して支えるためのものを備え、
少なくとも1つの前記ねじ山(FE,FI)および前記ねじ込み当接部(BVM,BVF)は、前記ねじ山(FE,FI)および前記ねじ込み当接部(BVM,BVF)の表面に付着するとともに請求項1〜44のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物よりなる薄層により覆われていることを特徴とする、ねじ山付き要素。
【請求項46】
前記ねじ山付き要素は、少なくとも一部が厚さ10〜50μmの間の潤滑剤組成物により覆われていることを特徴とする、請求項45に記載のねじ山付き要素。
【請求項47】
前記ねじ山付き要素は、密封面(SEM,SEF)であって、前記組立作業後に他方のねじ山付き要素(EF,EM)の対応する密封面(SEF,SEM)に密封締め(sealing tightning)により接触可能であり、前記潤滑組成物により覆われるものをさらに備えることを特徴とする、請求項45または46に記載のねじ山付き要素。
【請求項48】
前記ねじ込み当接部(BVM,BVF)は、環状当接面であることを特徴とする、請求項45〜47のいずれか1項に記載のねじ山付き要素。
【請求項49】
前記潤滑剤組成物により覆われた前記表面は、前記潤滑剤組成物を吸着または吸収するために適するようにした幾何学的、物理的および/または化学的特性を有することを特徴とする、請求項45〜48のいずれか1項に記載のねじ山付き要素。
【請求項50】
前記表面は、腐食に対する保護性を有するコーティングまたはフィルムにより予め被覆することができることを特徴とする、請求項45〜49のいずれか1項に記載のねじ山付き要素。
【請求項51】
雄型ねじ山付き要素と雌型ねじ山付き要素とを備えた管状ねじ山付き接続部であって、少なくとも1つの前記ねじ山付き要素が、請求項45〜50のいずれか1項に記載のねじ山付き要素であることを特徴とする、管状ねじ山付き接続部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−523785(P2010−523785A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502543(P2010−502543)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000473
【国際公開番号】WO2008/139058
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(504255249)ヴァルレック・マンネスマン・オイル・アンド・ガス・フランス (30)
【氏名又は名称原語表記】VALLOUREC MANNESMANN OIL & GAS FRANCE
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】