説明

管状体保持具

【課題】シール性を確保でき、且つ管状体の噛み込みを防止できる管状体保持具を得る。
【解決手段】管状体保持具としてのホースクランプ10の保持部14は、管状体としてのパイプ12の全周を取り囲む形状となっている。また、保持部14の周方向に沿った少なくとも一箇所には開放部16が形成されている。保持部14の両端部の外周部には第1係合部18と第2係合部20とが凸設されている。第1係合部18と第2係合部20とが係合し、ホースクランプ10が本締め状態になると、保持部14の内周部に、弛んだパイプ12の一部が入る逃げ部40、42が凹設されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプやホース等の管状体を他の部材に接続する際に使用する管状体保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、管状体保持具としては、例えば、特許文献1がある。この従来技術の管状体保持具では、管状体の外周部の形状に沿う円形のリング部の両端部にそれぞれ接続部が形成されている。また、これらの接続部をストッパで挟持することで、管状体を元栓等の他部材にシール性を確保した状態で接続できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−113007号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、管状体が軟質材で構成されている場合には、接続部をストッパで挟持する際に、対向する接続部の間に弛んだ管状体の一部が噛み込まれる恐れがある。なお、対向する接続部の間に弛んだ管状体の一部が噛み込まれると、管状体の耐久性能が低下する。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、シール性を確保でき、且つ管状体の噛み込みを防止できる管状体保持具を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明の管状体保持具は、管状体の全周を前記管状体の外周面に沿って取り囲む形状を成し、周方向に沿った少なくとも一箇所に開放部を備えた保持部と、前記保持部の両端部の外周部にそれぞれ凸設され、前記両端部を互いに引き寄せた本締め状態で保持するための係合部と、前記両端部の少なくとも一方の内周部に凹設され、前記本締め状態で前記管状体の一部が入る逃げ部と、を有する。
【0007】
請求項1に記載の本発明の管状体保持具では、管状体を保持する際に、他部材の端部が挿入された管状体の外周面を、外周面に沿って取り囲む形状を成す管状体保持具の保持部で取り囲む。また、保持部の両端部の外周部にそれぞれ凸設された係合部を互いに係合させ、保持部の両端部を互いに引き寄せた本締め状態で保持する。このため、管状体の外周面を保持部で取り囲み締め付けることができるので、シール性が確保される。また、本締め状態とした際に、管状体の一部が弛んだ場合には、保持部の両端部の少なくとも一方の内周部に凹設され逃げ部に、弛んだ管状体の一部が入る。このため、弛んだ管状体の一部が、両端部の間に噛み込まれるのを防止できる。
【0008】
請求項2記載の本発明は請求項1に記載の管状体保持具において、前記開放部は、前記保持部における前記管状体との当接面の幅方向中間部に沿った周方向分割部と、前記周方向分割部の一端から前記当接面の幅方向に沿って伸びる第1幅方向分割部と、前記周方向分割部の他端から前記当接面の幅方向に沿って前記第1幅方向分割部と逆方向に伸びる第2幅方向分割部と、から成り、前記第1幅方向分割部と前記第2幅方向分割部とに前記逃げ部を形成した。
【0009】
請求項2記載の本発明の管状体保持具では、開放部が、保持部における管状体との当接面の幅方向中間部に沿った周方向分割部と、周方向分割部の一端から当接面の幅方向に沿って伸びる第1幅方向分割部と、周方向分割部の他端から当接面の幅方向に沿って第1幅方向分割部と逆方向に伸びる第2幅方向分割部と、から成っている。また、第1幅方向分割部と第2幅方向分割部との各々に逃げ部が形成されている。このため、第1幅方向分割部における逃げ部が形成された箇所を、第2幅方向分割部が形成された側の保持部でシールでき、第2幅方向分割部における逃げ部が形成された箇所を、第1幅方向分割部が形成された側の保持部でシールできる。この結果、逃げ部が保持部を横断することがなく、シール性が損なわれることがないので、シール性が更に向上する。
【0010】
請求項3記載の本発明は請求項1または請求項2に記載の管状体保持具において、前記逃げ部は、前記保持部の両端部の一方が先端に向かって傾斜状に切り欠いた形状となっており、前記本締め状態での形状が前記保持部の幅方向から見て三角形となっている。
【0011】
請求項3記載の本発明の管状体保持具では、逃げ部が、保持部の両端部の一方が先端に向かって傾斜状に切り欠いた形状となっており、本締め状態での形状が保持部の幅方向から見て三角形となっている。このため、逃げ部が成形し易い形状となるので、管状体保持具の生産性が向上する。
【0012】
請求項4記載の本発明は請求項2または請求項3に記載の管状体保持具において、前記保持部における前記管状体との当接面に内周側に向かって突出形成され、前記開放部では前記周方向分割部に沿って形成されており、前記本締め状態において前記管状体の周方向全域を押圧する突部を有する。
【0013】
請求項4記載の本発明の管状体保持具では、保持部における管状体との当接面に内周側に向かって突出形成された突部が、開放部では周方向分割部に沿って形成されている。このため、管状体を保持した本締め状態において、突部が管状体の周方向全域を強く押圧するので、シール性が更に向上する。
【0014】
請求項5記載の本発明は請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の管状体保持具において、前記係合部は前記保持部と一体成形された雄部と雌部とを備え、前記雄部と前記雌部とが係合することで前記本締め状態に保持する。
【0015】
請求項5記載の本発明の管状体保持具では、係合することで本締め状態に保持する係合部の雄部と雌部とを保持部と一体成形することができる。このため、管状体保持具の生産性が向上する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の本発明の管状体保持具は、上記構成としたので、シール性を確保でき、且つ管状体の噛み込みを防止できる。
【0017】
請求項2に記載の本発明の管状体保持具は、上記構成としたので、シール性を更に向上できる。
【0018】
請求項3に記載の本発明の管状体保持具は、上記構成としたので、管状体保持具の生産性を向上できる。
【0019】
請求項4に記載の本発明の管状体保持具は、上記構成としたので、シール性を更に向上できる。
【0020】
請求項5に記載の本発明の管状体保持具は、上記構成としたので、管状体保持具の生産性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る管状体保持具の仮止め状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る管状体保持具の係合部の仮止め状態を示す拡大斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る管状体保持具の本締め状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る管状体保持具の係合部の本締め状態を示す拡大斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る管状体保持具の仮止め状態を示す平面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る管状体保持具の本締め状態を示す平面図である。
【図7】図5の7−7断面線に沿った拡大断面図である。
【図8】図5の8−8断面線に沿った拡大断面図である。
【図9】図5の9−9断面線に沿った拡大断面図である。
【図10】図5の10−10断面線に沿った拡大断面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る管状体保持具の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の管状体保持具の一実施形態を図1〜図11に従って説明する。
なお、図中、同一又は対応する機能を有する部材(構成要素)には同じ符号を付して適宜説明を省略する。
【0023】
図11に示すように、本実施形態の管状体保持具としてのホースクランプ10は、管状体の一例としてのパイプ12の外周面12Aに取り付けられ、パイプ12を他の部材の一例としての配管13に固定している。また、ホースクランプ10は、例えば、樹脂材料で構成されている。
【0024】
図3に示すように、ホースクランプ10は保持部14を備えている。ホースクランプ10の保持部14は、パイプ12の全周をパイプ12の外周面12Aに沿って取り囲む円形状となっている。
【0025】
図1に示すように、ホースクランプ10の保持部14には周方向(図1の矢印A方向)に沿った一箇所に開放部16が形成されている。また、開放部16を形成する保持部14の両端部における一方の端部14Aの外周部には、係合部としての第1係合部18が一体成形で凸設されており、他方の端部14Bの外周部には、係合部としての第2係合部20が一体成形で凸設されている。
【0026】
図5に示すように、第1係合部18と第2係合部20とは互いに対向して配置されている。第1係合部18は保持部14の外周面14Cから保持部14の半径方向外側に伸びる板状の基部18Aと、基部18Aの長手方向中間部から第2係合部20に向かって伸びる板状の雄部18Bとを備えている。一方、第2係合部20は保持部14の外周面14Cから保持部14の半径方向外側に伸びる板状の基部20Aと、基部20Aの長手方向中間部から第1係合部18に向かって伸びる雌部20Bとを備えている。
【0027】
雄部18Bの先端部には係合爪22が保持部14の半径方向外側に向かって突出形成されている。一方、雌部20Bは外周側壁20Cと内周側壁20Dとを有し、開口部を第1係合部18に向けている。また、雌部20Bの外周側壁20Cの内周面には、本締め用の係合凹部24と、仮止め用の係合凹部26とが形成されており、仮止め用の係合凹部26が開口側となっている。従って、雄部18Bを雌部20Bに開口部から挿入し、雄部18Bの係合爪22を、雌部20Bの仮止め用の係合凹部26に係合させると、ホースクランプ10は図1及び図5に示す仮止め状態となる。また、雄部18Bの係合爪22を雌部20Bの本締め用の係合凹部24に係合させると、ホースクランプ10は、図3及び図6に示す本締め状態となる。
【0028】
図7に示すように、雌部20Bの外周側壁20Cにおける幅方向の一端部には、保持部14の半径方向内側に向かって凸部28が突出形成されている。一方、雌部20Bの内周側壁20Dにおける幅方向の凸部28と反対側の端部には、保持部14の半径方向外側に向かって凸部30が突出形成されている。これらの凸部28と凸部30とが雄部18Bの幅方向両端部と摺動することで、雄部18Bと雌部20Bとが幅方向にずれることを防止できるようになっている。また、凸部28における雄部18Bの幅方向両端部との摺動面28Aと、凸部30における雄部18Bの幅方向両端部との摺動面30Aとが、先端側に向かってテーパーとなっている。このため、本締め状態となったホースクランプ10を外す際に、第1係合部18と第2係合部20とをこじることで、雄部18Bと雌部20Bとの係合を容易に解除できるようになっている。
【0029】
図6に示すように、第1係合部18の基部18Aと第2係合部20の基部20Aには、それぞれ複数の滑り止め32が互いに離間する方向へ向かって突出形成されている。このため、第1係合部18の基部18Aと第2係合部20の基部20Aとを作業者が把持して、本締め状態となる方向(図6の矢印B方向)へ移動する際に、滑り止め32によって作業者の手が滑り難くなり、作業性が向上するようになっている。
【0030】
図2に示すように、ホースクランプ10の開放部16は、周方向分割部16A、第1幅方向分割部16B及び第2幅方向分割部16Cから構成されている。周方向分割部16Aは保持部14におけるパイプ12との当接面(内周面)14Dの幅方向(図2の矢印W方向)中央部に沿って形成されている。なお、周方向分割部16Aは保持部14の当接面14Dの幅方向中央部以外の中間部に沿って形成してもよい。また、第1幅方向分割部16Bは、周方向分割部16Aの一端から当接面14Dの幅方向に沿って伸びており、第2幅方向分割部16Cは、周方向分割部16Aの他端から当接面14Dの幅方向に沿って第1幅方向分割部16Bと逆方向に伸びている。
【0031】
従って、図4に示すように、ホースクランプ10が本締め状態になると、保持部14の内周部における周方向に沿って異なる位置に2つの逃げ部40、42が凹設されるようになっている。また、逃げ部40は保持部14の第1幅方向分割部16Bにおける両端部の一方が先端に向かって傾斜状に切り欠いた形状の傾斜面40Aとなっており、本締め状態での形状が保持部14の幅方向(図4の矢印W方向)から見て三角形となっている。また、逃げ部42は保持部14における第2幅方向分割部16Cの両端部の一方となる逃げ部40側が、先端に向かって傾斜状に切り欠いた形状の傾斜面42Aとなっており、本締め状態での形状が保持部14の幅方向(図4の矢印W方向)から見て三角形となっている。
【0032】
従って、図3に示すパイプ12が軟質材で構成されており、ホースクランプ10を仮止状態から本締め状態にした場合に、パイプ12の一部が弛んだ場合には、逃げ部40、42に、弛んだパイプ12の一部が入るようになっている。また、逃げ部40、42が保持部14の内周部における周方向に沿って異なる位置に形成されているため、保持部14の幅方向(図3の矢印W方向)に沿って逃げ部40、42が連続していない。即ち、逃げ部40、42が保持部14を横断していない。この結果、逃げ部40、42によって保持部14のシール性が損なわれることがないようになっている。さらに、逃げ部40、42を、保持部14の端部14A、14Bを先端に向かって傾斜状に切り欠いた形状の傾斜面40A、42Aを有し、本締め状態での形状が保持部14の幅方向から見て三角形としたため、逃げ部40、42が成形し易い形状となっている。
【0033】
図3に示すように、保持部14におけるパイプ12との当接面14Dの幅方向中央部には、保持部14の内周側に向かって突部46が突出形成されており、突部46は本締め状態において周方向に沿って連続した環状となっている。なお、突部46は当接面14Dの幅方向中央部以外の幅方向中間部に形成してもよい。
【0034】
図8に示すように、開放部16における保持部14の一方の端部14Aにおいては、突部46が周方向分割部16Aに沿って形成された断面三角形状となっている。また、図9に示すように、開放部16における保持部14の他方の端部14Bにおいては、突部46が周方向分割部16Aに沿って形成された断面三角形状となっている。そして、図7に示すように、保持部14の端部14Aと端部14Bとが保持部14の幅方向において重なると、突部46が周方向分割部16Aに沿って形成された断面山形となるようになっている。
【0035】
また、図10に示すように、保持部14における端部14A、14Bを除いた部位では、突部46が、保持部14の周方向に沿って形成された断面山形となっている。
【0036】
従って、ホースクランプ10がパイプ12を保持した本締め状態において、保持部14におけるパイプ12との当接面14Dに内周側に向かって突出形成された突部46が、パイプ12を配管13側に向かって、パイプ12の周方向全域を強く押圧するようになっている。
【0037】
(作用・効果)
次に、本実施形態の作用と効果について説明する。
本実施形態では、図11に示すように、パイプ12を配管13に接続する際に、図1及び図2に示すように、ホースクランプ10の第1係合部18に形成した雄部18Bの係合爪22を、第2係合部20に形成した雌部20Bの仮止め用の係合凹部26に係合させ仮止め状態とする。そして、仮止め状態としたホースクランプ10をパイプ12の一端の外周部に取付け、保持部14でパイプ12の外周面12Aを取り囲む。その後、配管13の端部をパイプ12の一端に挿入する。
【0038】
次に、第1係合部18の基部18Aと第2係合部20の基部20Aとを作業者が把持して、本締め状態となる方向(図6の矢印B方向)へ移動する。これにより、雄部18Bの係合爪22と雌部20Bの本締め用の係合凹部24とが係合すると、図3及び図11に示すように、ホースクランプ10が本締め状態となり、ホースクランプ10によってパイプ12が締め付けられ配管13に保持される。
【0039】
このため、本実施形態のホースクランプ10では、パイプ12の外周部を保持部14で取り囲むことができ、シール性が確保される。また、パイプ12が軟質材で構成されており、ホースクランプ10を仮止状態から本締め状態にした場合に、パイプ12の一部が弛んだ場合には、保持部14の内周部に凹設され逃げ部40、42に、弛んだパイプ12の一部が入る。このため、弛んだパイプ12の一部が、開放両端部の間に噛み込まれるのを防止できる。
【0040】
また、本実施形態のホースクランプ10では、開放部16が、保持部14におけるパイプ12との当接面14Dの幅方向(図2の矢印W方向)中央部に沿った周方向分割部16Aと、周方向分割部16Aの一端から当接面14Dの幅方向に沿って伸びる第1幅方向分割部16Bと、周方向分割部16Aの他端から当接面14Dの幅方向に沿って第1幅方向分割部16Bと逆方向に伸びる第2幅方向分割部16Cと、から構成されている。従って、図3に示すように、ホースクランプ10が本締め状態になると、保持部14の内周部における周方向に沿って異なる位置に2つの逃げ部40、42が凹設される。このため、逃げ部40が形成された箇所を、逃げ部42側の保持部14の端部14Bでシールでき、逃げ部42が形成された箇所を、逃げ部40側の保持部14の端部14Aでシールできる。即ち、保持部14の幅方向(図4の矢印W方向)に沿って逃げ部40、42が連続しない。この結果、逃げ部40、42によって保持部14のシール性が損なわれることがなく、シール性を向上することができる。
【0041】
また、本実施形態のホースクランプ10では、逃げ部40、42を、保持部14の端部14A、14Bを先端に向かって傾斜状に切り欠いた形状の傾斜面40A、42Aを有し、本締め状態での形状が保持部14の幅方向から見て三角形とした。このため、逃げ部40、42が成形し易い形状となっているので、ホースクランプ10の生産性が向上する。
【0042】
また、本実施形態のホースクランプ10では、パイプ12を保持した本締め状態において、保持部14におけるパイプ12との当接面14Dに内周側に向かって突出形成された突部46が、パイプ12を配管13側に向かって、周方向に沿って連続して強く押圧する。このため、ホースクランプ10による連結部のシール性が更に向上する。
【0043】
また、本実施形態のホースクランプ10では、雄部18Bと雌部20Bと係合することで開放部16を本締め状態に保持する第1係合部18と第2係合部20とを、保持部14と一体成形することができる。このため、ホースクランプ10の生産性が向上する。
【0044】
また、本実施形態のホースクランプ10では、図7に示すように、雌部20Bの外周側壁20Cにおける幅方向の一端部に形成した凸部28と、雌部20Bの内周側壁20Dにおける幅方向の凸部28と反対側の端部に形成した凸部30とが雄部18Bの幅方向両端部と摺動する。このため、雄部18Bと雌部20Bとが幅方向にずれることを防止できる。この結果、ホースクランプ10の仮止め状態が外れ難い。さらに、凸部28における雄部18Bの幅方向両端部との摺動面28Aと、凸部30における雄部18Bの幅方向両端部との摺動面30Aとが先端側に向かってテーパーとなっている。このため、本締め状態となったホースクランプ10を外す際に、第1係合部18と第2係合部20とをこじることで、雄部18Bと雌部20Bとの係合を容易に解除できる。
【0045】
(その他の実施形態)
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、ホースクランプ10の保持部14を円形状としたが、ホースクランプ10の保持部14の形状は、管状体の外周面に沿って取り囲む形状を成していれば、楕円形等の他の形状としてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、ホースクランプ10の保持部14における周方向に沿った1箇所に開放部16を備えた構成としたが、これに代えて、保持部14における周方向に沿った2箇所以上に開放部16を備えた構成としてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、ホースクランプ10の逃げ部40、42を、保持部14の両端部の一方を先端に向かって傾斜状に切り欠き、本締め状態での形状が保持部14の幅方向から見て三角形としている。これに代えて、逃げ部40、42を、保持部14の両端部の双方を先端に向かって傾斜状に切り欠いた形状としてもよい。また、本締め状態での逃げ部40、42の形状を、保持部14の幅方向から見て三角形以外の形状、例えば、半円形等の他の形状としてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、ホースクランプ10が本締め状態になると、保持部14の内周部における周方向に沿って異なる2箇所に逃げ部40、42が凹設される構成にしたが、これに代えて、ホースクランプ10が本締め状態になると、保持部14の内周部の1箇所または異なる3箇所以上に逃げ部が凹設される構成としてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、ホースクランプ10の第1係合部18に形成した雄部18Bの係合爪22が、第2係合部20に形成した雌部20Bの本締め用の係合凹部24または仮止め用の係合凹部26に係合する構成としたが、第1係合部18と第2係合部20との構成は、本実施形態の構成に限定されない。
【0050】
また、上記実施形態では、本発明の管状体保持具としてのホースクランプ10を管状体の一例としてのパイプ12と、他の部材としての配管13との連結部に使用したが、これに代えて、本発明の管状体保持具を、壁部に形成された開口部に設けられたジョイントと、前記開口部に挿通された管状体とを連結する等の他の連結部に使用してもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 ホースクランプ(管状体保持具)
12 パイプ(管状体)
13 配管(他の部材)
14 ホースクランプの保持部
14A 保持部の端部
14B 保持部の端部
14C 保持部の外周面
14D 保持部の当接面
16 保持部の開放部
16A 開放部の周方向分割部
16B 開放部の第1幅方向分割部
16C 開放部の第2幅方向分割部
18 第1係合部
18A 第1係合部の基部
18B 第1係合部の雄部
20 第2係合部
20A 第2係合部の基部
20B 第2係合部の雌部
22 係合爪
24 本締め用の係合凹部
26 仮止め用の係合凹部
40 逃げ部
42 逃げ部
46 突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状体の全周を前記管状体の外周面に沿って取り囲む形状を成し、周方向に沿った少なくとも一箇所に開放部を備えた保持部と、
前記保持部の両端部の外周部にそれぞれ凸設され、前記両端部を互いに引き寄せた本締め状態で保持するための係合部と、
前記両端部の少なくとも一方の内周部に凹設され、前記本締め状態で前記管状体の一部が入る逃げ部と、
を有する管状体保持具。
【請求項2】
前記開放部は、前記保持部における前記管状体との当接面の幅方向中間部に沿った周方向分割部と、前記周方向分割部の一端から前記当接面の幅方向に沿って伸びる第1幅方向分割部と、前記周方向分割部の他端から前記当接面の幅方向に沿って前記第1幅方向分割部と逆方向に伸びる第2幅方向分割部と、から成り、前記第1幅方向分割部と前記第2幅方向分割部とに前記逃げ部を形成した請求項1に記載の管状体保持具。
【請求項3】
前記逃げ部は、前記保持部の両端部の一方が先端に向かって傾斜状に切り欠いた形状となっており、前記本締め状態での形状が前記保持部の幅方向から見て三角形となっている請求項1または請求項2に記載の管状体保持具。
【請求項4】
前記保持部における前記管状体との当接面に内周側に向かって突出形成され、前記開放部では前記周方向分割部に沿って形成されており、前記本締め状態において前記管状体の周方向全域を押圧する突部を有する請求項2または請求項3に記載の管状体保持具。
【請求項5】
前記係合部は前記保持部と一体成形された雄部と雌部とを備え、前記雄部と前記雌部とが係合することで前記本締め状態に保持する請求項1〜4の何れか1項に記載の管状体保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−29170(P2013−29170A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165985(P2011−165985)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】