管状体塗装用の光反射素子及び管状体

【課題】単一の光反射素子であっても、多様な色彩を呈することとなる光反射素子、及び、その光反射素子の塗装層を有する筒状体を提供する。
【解決手段】竿体Aの表面塗装層内に混入される管状体塗装用の光反射素子であって、金属反射層3aと、金属反射層3aの反射面に形成された干渉薄膜層3bとで構成し、干渉薄膜層3bの表面を凹凸面3cに形成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状体の表面に施される塗装層を有しており、その塗装層内に光を反射することによって特定の色彩を発揮する光反射素子を有している管状体塗装用の光反射素子及びそのような光反射素子を塗装層内に有する管状体に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した管状体塗装用の光反射素子は、金属反射層の表裏両面に干渉薄膜層を形成し、干渉薄膜層の表面は平坦面であった(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−32878号公報(段落番号〔0014〕、及び、図2,3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、干渉薄膜層の表面は平坦面であるので、反射光は一方向に限定されるものであるところから、目視される色彩は一色に限定さるものとなるとともに、反射光の方向が限定されるところから、深みのある色彩感が出せなかった。
【0005】
本発明の目的は、単一の光反射素子であっても、多様な色彩を呈することとなる光反射素子、及び、その光反射素子の塗装層を有する筒状体を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、管状体の表面塗装層内に混入される管状体塗装用の光反射素子であって、反射層と、前記反射層に積層される干渉薄膜層とで構成し、前記干渉薄膜層の表面を凹凸面に形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0007】
〔作用〕
干渉薄膜層の凹凸表面で反射される光線は、一定方向ではなく、あらゆる方向に反射する。したがって、干渉薄膜層と反射層との境界面から反射される光線とが複雑に干渉する為に、単一色だけでなく多様な色彩を呈するものとなる。
【0008】
〔効果〕
したがって、色彩が豊富になり、筒状体の色彩の演出が容易になる。
【0009】
請求項2に係る発明の特徴構成は、請求項1に係る発明において、前記反射層を挟んで表裏両面に、干渉薄膜層を形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0010】
〔作用効果〕
つまり、表裏両面において発色作用が行えるので、光反射素子の向きに拘わらず発色でき、塗装層内に使用する場合にその向きを考慮する必要性が少ない。
【0011】
請求項3に係る発明の特徴構成は、請求項1又は2に係る発明において、前記干渉薄膜層の厚みを、前記干渉薄膜層の厚みを、幅方向において異なるように、又は、奥行き方向において異なるように、或いは、幅方向及び奥行き方向共に異なるように構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0012】
〔作用効果〕
つまり、厚みの異なる点で発色する色彩が異なるので、同一反射面においても多様な発色が見られ、視認できる色彩を豊富にできる。
【0013】
請求項4に係る発明の特徴構成は、筒状に形成された素材の表面に塗装層を設けるとともに、塗装層を塗料と、その塗料内に多数混入させてある請求項1〜3のうちのいずれか一つに記載の光反射素子とで構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0014】
〔作用効果〕
塗料の中に、多数の光反射素子を混入させているので、各光反射素子から夫々色光が発せられる。この場合に、各光反射素子と視認する目との位置関係が異なるので、光路差が異なるものとなり、干渉による発色が異なるところから、各光反射素子から発せられる色彩が異なったものとなり、多色発色による塗装効果が期待できる。
したがって、少ない塗装工程でありながら、奥行き感(見かけ上の塗装厚が厚く見える)のある塗装を施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
釣り竿を構成する一番竿等の竿体Aの塗装構造について説明する。図1に示すように、竿体Aは、筒状に形成された竿素材1の外周面に下塗り層2を施すとともに、下塗り層2の外周面に塗装層3を設け、塗装層3の外周面に上塗り層4を設け、3層構造の塗装構造を備えている。
塗装層3は、樹脂塗料3Aの中に多数の光反射素子3Bを混入させて、構成されている。
【0016】
竿素材1について説明する。図示してはいないが、炭素繊維等の強化繊維を引き揃え配置したものに、熱硬化性樹脂を含浸させて形成したプリプレグシートを複数枚マンドレルに巻回して筒状に形成したものであり、前記筒状材の上からセロファン等の成形テープを巻き付けた状態で焼成し、焼成後成形テープの剥離、及び、所定長さに切断して、竿素材1とする。竿素材1に対して前記した所定の研磨処理を施したものに、前記した塗装を施すこととなる。
【0017】
光反射素子3Bについて説明する。図2に示すように、光反射素子3Bは、基本的には矩形状のものであり、板状の金属反射層3aの表裏両面に干渉薄膜層3b、3bを設けて構成されている。
金属反射層3aは、アルミニューム等の金属材料で構成されている。一方、干渉薄膜層3bは、フッ化マグネシュウム、氷水晶、フッ化セリウム、一酸化ケイ素等の化合物を物理蒸着法、または、化学的蒸着法を用いて形成されている。
上記構成においては、金属反射層3aと干渉薄膜層3bとを別材料で構成する態様を示しているが、同一材料等で金属反射層3aと干渉薄膜層3bとが一体で構成されるものでもよい。
【0018】
光反射素子3Bは、図2に示すように、金属反射層3aを挟んで表裏両面に干渉薄膜層3bを夫々の所定の厚さで重ね合わせた板状のものを、幅方向の中間位置で折れ曲げた状態のものに形成してある。幅寸法Wとしては2μm〜5μm、奥行き寸法Lとしては5μm〜50μm、厚み寸法Tとしては0.05μm〜1.5μm位の寸法で形成される。
光反射素子3Bにおける反射形態は、干渉薄膜層3bの表面において反射した光線と、干渉薄膜層3bと金属反射層3aとの境界面で反射した光線とが干渉することを利用して発色させるものである。
【0019】
その原理は、次ぎのようなものである。つまり、光線の干渉は物理の公式、
nd=(2m+1)λ/4で表され、
(n:薄膜の屈折率、d:薄膜の膜厚、m:整数、λ:光線の波長)
この式を満たす波長の光線が消滅(消光)する。
尚、この公式では光線の波長の1/4の膜厚、若しくは、光線の波長の1/4の膜厚に波長の1/2の整数倍の膜厚を付加した膜厚でも干渉を生ずるものであり(この条件を満たすものでも、10μm以上の膜厚では干渉不良になる)、白色光線が干渉により黄緑色光が消滅(消光)した場合には、黄緑色の補色、即ち紫色の反射光を得るものとなる。
【0020】
図2に示すように、干渉薄膜層3bの表面には、凹凸部3cが奥行き方向に沿う状態で多数形成されている。一方、金属反射層3aは板状に形成されており、下向き湾曲状に形成されている。
このような曲り形態を採るものでは、干渉薄膜層3bの表面での光線の反射方向が多方向になるので、干渉薄膜層3bと金属反射層3aとの境界で反射された光線との干渉が複雑になり、多色発色状態を呈する。
【0021】
しかも、図2に示すように、干渉薄膜層3bが凸部と凹部とで異なる厚さとなっているので、光路長が各部分で異なり、さらに、複雑な発色形態を示めすこととなる。
【0022】
塗装層3において、多数の光反射素子3Bを混入させる樹脂塗料3Aとしては、透明又は半透明の樹脂であることが望ましく、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系の樹脂が使用される。
上塗り層4としては、塗装層3を保護する為に設けられるものであり、透明又は半透明の樹脂層であり、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系の樹脂が使用される
下塗り層2としては、竿素材1と塗装層3との密着性を向上させるためのプライマーとしての機能を発揮するものを使用し、エポキシ系の樹脂が使用される。また、この下塗り層2としては、塗装層3で反射しきれなかった光を吸収して、干渉効果を高める為に、黒色系の着色したものが最適である。
【0023】
光反射素子3Bとしては、上記したような二つ折り形態のもの、及び、後記するような3つ折り以上のもので波状に形成したものや、更に、円弧面状に形成したものなど、種々の反射形態を呈する光反射素子3Bを塗装層3に混入させることによって、個々の光反射素子3Bが異なる色の発色を呈し、塗装層3全体として、多色発色が見られる。
【0024】
〔別実施形態〕
(1) 光反射素子3Bにおける形態としては、図3に示すように、折れ曲り位置を3箇所以上に設定して、板状の光反射素子3Bを波状に形成して、干渉薄膜層3bの表面に凹凸面を形成したものでもよい。この場合には、金属反射層3aも干渉薄膜層3bの凹凸面に沿って曲げ形成してあるので、この場合の干渉薄膜層3bの厚みは一定である。
ただし、一定であっても、干渉薄膜層3bが波状のうねりを呈するので、干渉構造は複雑で、この場合にも多色発色が行われる。
(2) 図4に示すように、折れ曲り数を複数箇所に設定するとともに、光反射素子3Bの干渉薄膜層3bの厚みは奥行き方向において異なるものに設定してもよい。このように厚さを異なることとすることによって、虹色発色を期待できる。
(3) 図3に示すように、光反射素子3Bとしては、金属反射層3aの表裏一面だけに干渉薄膜層3bを形成するようにしてもよい。
(4) 干渉薄膜層3bを形成する方法としては、前記した物理的又は化学的蒸着方法以外に、樹脂塗料を扱き塗装や吹き付けで行うことができ、扱き塗装等を行った場合にも、4000Å程度の厚みに形成できる。
(5) 光反射素子3Bとともに、他の顔料を樹脂塗料の中に混入させることによって、干渉薄膜層3bの干渉による発色と他の顔料による発色とが合わさった発色を得る事が出来る。
(6) 前記した実施形態においては、下塗り層2を黒色にして塗装層3を通過した光線を吸収して塗装層3での干渉による発色効果を高めることとしているが、ここでは、下塗り層2に透明樹脂塗料(クリアー)の中に他の顔料を混入することによって、干渉薄膜層3bの干渉による発色と他の顔料による発色とが合わさった発色を得る事が出来る。
(7) 管状体としては、釣り竿以外にゴルフクラブ等のものにも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】竿素材に下塗り層、塗装層、上塗り層を形成した状態を示す縦断側面図
【図2】光反射素子を示す斜視図
【図3】折れ曲り数を複数個に設定した光反射素子を示し、かつ、金属反射層の片面だけに干渉薄膜層を形成している縦断側面図
【図4】折れ曲り数を複数個に設定した光反射素子を示し、かつ、金属反射層の表裏両面に干渉薄膜層を形成している縦断側面図
【符号の説明】
【0026】
2 下塗り層
3 塗装層
3A 塗料
3B 光反射素子
3a 金属反射層
3b 干渉薄膜層
3c 凹凸面
4 上塗り層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状体の表面塗装層内に混入される管状体塗装用の光反射素子であって、反射層と、前記反射層に積層される干渉薄膜層とで構成し、前記干渉薄膜層の表面を凹凸面に形成してある管状体塗装用の光反射素子。
【請求項2】
前記反射層を挟んで表裏両面に、干渉薄膜層を形成してある請求項1記載の管状体塗装用の光反射素子。
【請求項3】
前記干渉薄膜層の厚みを、幅方向において異なるように、又は、奥行き方向において異なるように、或いは、幅方向及び奥行き方向共に異なるように構成してある請求項1又2記載の管状体塗装用の光反射素子。
【請求項4】
筒状に形成された素材の表面に塗装層を設けるとともに、塗装層を塗料と、その塗料内に多数混入させてある請求項1〜3のうちのいずれか一つに記載の光反射素子とで構成してある管状体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−204591(P2007−204591A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−24547(P2006−24547)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】