説明

管状体

【課題】光輝性のある所望の色相が得られると共に、光輝性が滑らかに変化する管状体を提供すること。
【解決手段】入射光Eを直接反射する外側金属薄膜層18bと、この金属薄膜層18bを透過した光を反射する内側有色層18aとを有し、この金属薄膜層18bが反射する金属層反射光のほうが有色層18aが反射する有色層反射光よりも強い光輝領域から、弱い有色領域にそれぞれの反射光の強さの割合が無段階的に変化する装飾層18を形成した管状体10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は管状体に関し、特に、例えば釣竿等の釣り用品、あるいは、ゴルフシャフト、テニスラケット等のスポーツ用品に用いる管状体に関する。
【背景技術】
【0002】
このような釣用品あるいはスポーツ用品に用いる管状体には、強化繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグを巻回して管状体本体を形成し、この管状体本体の外側に種々の装飾を行うことが知られている。このような装飾の例として、管状体の外側の塗装膜の外表面を滑らかに仕上げ、あるいは薄膜材料を蒸着して膜厚が不均一の干渉薄膜を形成したものが開発されている(例えば特許文献1参照)。このような管状体では、極めて薄い干渉薄膜により、可視領域のほとんど全範囲の光を干渉させて様々な色相で発色させると共に、乱反射を抑制して高い輝度で発色させることができる。
【特許文献1】特開平7−31337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような管状体を例えばゴルフクラブ等のシャフトとして用いる場合は、全体的な光輝性だけでなく、その色相の変化が目に入りやすく、スイングの妨げとなる。また、例えば釣竿として形成した場合には、水面で反射する光と同調し、釣竿が見づらくなる等の悪影響を与える虞がある。
【0004】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、光輝性のある所望の色相が得られると共に、光輝性が滑らかに変化する管状体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明の管状体は、入射光を直接反射する外側金属薄膜層と、この金属薄膜層を透過した光を反射する内側有色層とを有し、前記金属薄膜層が反射する金属層反射光のほうが前記有色層が反射する有色層反射光よりも強い光輝領域から、弱い有色領域にそれぞれの反射光の強さの割合が無段階的に変化する装飾層を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の管状体によると、装飾層の全体が外側金属薄膜層による光輝性のある外観を呈すると共に、金属層反射光の強さの割合が大きい領域から有色層反射光の強さの割合が大きい領域に滑らかに移行するため、違和感を与えるような境界が形成され難く、全体に光輝性のある所望の色相が得られると共に、この色相を光輝性と共に滑らかに変化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1から図4は、本発明の好ましい実施形態による管状体を示す。この管状体は、図1に示すようにゴルフクラブ8用として形成してあり、先端にクラブヘッド6を取付け、天然ゴムあるいは合成ゴム等の柔軟性や軟質材料で形成したグリップ4を基端に取付けてゴルフクラブ8に形成するシャフト10として形成されている。
【0008】
本実施形態の管状体であるシャフト10は、図2に示すように、グリップ4が取付けられる基端部12からヘッド6が取付けられる先端部14に向けて先細状に縮径した全体的にテーパ状構造を有し、その外面は、基端部12側の領域Aと先端部14側の領域Bとの中間部の領域Cで、金属光沢、色彩あるいは濃淡等の外観が無段階的に滑らかに移行している。なお、図2では、それぞれの領域A,B,Cが目視可能な状態に明確な境界部を介して区切られているが、これは説明のためであり、本発明に係る管状体は、このような境界部を形成することなく、領域Aから領域Bまで、領域Cを介して滑らかに外観を形成する光沢、色彩あるいは濃淡等が変化するものである。各領域には、部分的に外観が一定な領域を有していても良く、光沢、色彩あるいは濃淡の外観が逆転する領域が生じないのが好ましい。無段階的に滑らかに移行する領域は、全長の50%以上形成するのが好ましい。全体が滑らかな外観と認識しやすい(半分以上に注視されるからである)。
【0009】
図3および図4に示すように、本実施形態のシャフト10は先端部14側に向けて縮径したシャフト本体16を有し、その外周部には、上記のような外観を形成する装飾層18が全長にわたって形成されている。このような装飾層18は、例えばグリップ4およびクラブヘッド6が取付けられる部位等の外側に露出しない部分では、省略してもよい。
【0010】
本実施形態のシャフト本体16は、カーボン繊維あるいはガラス繊維等の強化繊維に、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂あるいはポリエステル樹脂等の合成樹脂を含浸したプリプレグを芯金に巻回し、所要温度で所要時間にわたって焼成し、硬化することにより、中空薄肉構造の管状体に形成されている。なお、本体部16は、このようなプリプレグによる積層構造だけでなく、その一部を金属で形成してもよい。
【0011】
このシャフト本体16の外周部に形成される装飾層18は、シャフト本体16に近接する側から順に有色層18aと金属薄膜層18bと透明保護層18cとを積層して形成してある。この有色層18aは、顔料あるいは染料を含有する有色の合成樹脂層を例えば塗装して形成したものでもよく、このような塗装を施さない場合には、シャフト本体16であるこの素材自体の外周部で形成してもよい。この有色層18aがシャフト本体16の外周部で形成される場合には、通常は、上述のようなプリプレグの強化繊維の色(例えば黒色)あるいは金属の地色が有色層18aの色となる。
【0012】
この有色層18aの外側に配置される金属薄膜層18bは、種々の方法で形成してもよい。例えばアルミニウム、ステンレス、チタン等の所要の金属の蒸着物質を真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の物理蒸着や化学蒸着により形成することができる。このような金属薄膜層18bは、厚さが4x10−2μmを超えるとその表面の反射率すなわち入射光に対する反射光の比率が大きくなり、4x10−2μm〜5x10−1で、好ましくは8x10−2μm〜5x10−1μmの範囲で安定した反射層を形成し、この金属薄膜層18bの金属色による光輝性を得ることができる。膜厚が5x10−1μmを超えるようになると、シャフト10が重量化するため、金属薄膜層18bの厚さは5x10−1μm以下とすることが好ましい。
【0013】
このように形成される金属薄膜層18bは、その厚さを4x10−2μm以下と極めて薄くすることにより、可視光である入射光の一部がその内部にまで透過し、有色層18aに達すると、この有色層18aの表面で反射して金属薄膜層18bの外側面から外部に到達する。例えばこの金属薄膜層18bの厚さが3x10−2μm〜4x10−2μmの範囲では、この金属薄膜層18bは入射光の一部を透過させるが、その表面で反射する反射光の方が金属薄膜層18b内へと透過する透過光よりも光量が多い。更に、金属薄膜層18bの厚さを5.0x10−3μm〜4x10−2μmの範囲とすると、反射光よりも透過光の方が光量が多くなる。したがって、金属薄膜層18bの厚さが5.0x10−3μm〜5.0x10−1μmの範囲に形成されると、金属薄膜層18bの外表面で反射する金属反射光R1(図4)と、この金属薄膜層18bを透過して内表面あるいは有色層18aの外側の面で反射した有色層反射光R2(図4)とが、金属薄膜層18bの厚さに応じた強さあるいは濃淡の割合で互いに混ざり合い、金属光沢を含んだ光輝性のある外観を形成する。5.0x10−3μmより薄くなると、金属層の反射光が視認できない。
【0014】
このように、本発明における金属薄膜層18bは、膜厚が5.0x10−3μm〜5.0x10−1μmの範囲で、表面反射率が極めて高い、すなわち入射光の60%以上を反射する膜厚から、反射率がほぼ10〜40%程度でそのほとんどを内部に透過させる膜厚までを含むものである。この金属薄膜層18bの層表面における反射率、すなわち全入射光に対する金属反射光の光量の割合は、反射分光膜厚測定器等を用い、紫外から近赤外域の反射光を測定することができる。
【0015】
図3および図4に示すように、本実施形態のシャフト10は、基端部12側で金属薄膜層18bが薄く、先端部14側に向けて次第に厚さを増加させてある。このような金属薄膜18bの膜厚は、例えば物理蒸着により金属薄膜層18bを形成する際に、蒸着物質とシャフト本体16との距離を調整することにより、その全長に沿って変化させることができる。例えば、本実施形態のシャフト10のように、金属薄膜18bの膜厚を基端部12側で薄く、先端部14側で厚くするためには、この先端部12側を蒸着物質に近い位置に配置し、基端部14側を蒸着物質から離れた位置に配置することにより、その全長に沿って基端部12側から先端部14側まで無段階的かつ滑らかに膜厚が増大するように変化させることができる。これとは逆に、基端部12側で厚くかつ先端部14側で薄く形成することも可能であるが、図示の実施形態のように、細径の先端部14側の膜厚を薄く形成することで、先端部14側を細く、基端部12側を太く見え、グリップ側のしっかり感を強調することもできる。いずれの場合も、光が透過する薄い金属薄膜層18bの膜厚を変化させると、有色層18aあるいは内側の層に何等かの処置を必要とせずに、シャフト10を軽量構造の管状体として形成することができる。
【0016】
図4は、このように金属薄膜層18bの膜厚が異なる位置での入射光Eに対する反射率を模式的に示しており、膜厚が厚い先端部14側では、金属薄膜層18bの表面で反射する金属層反射光R1が、有色層反射光R2よりも大きく(R1>R2)、光輝性が強い光輝領域を形成する。また、膜厚が薄い基端部12側では、金属層反射光R1が有色層反射光R2よりも小さく(R1<R2)、光輝性が弱い有色領域を形成する。図2に示す領域Aは、光輝性の強い光輝領域であり、領域Cはその外観が光輝領域あるいは有色領域に移行する遷移領域であり、全体として大きく変化する。もちろん、外観が変化するのは、この遷移領域である領域Cに限るものではなく、領域A,Bのそれぞれの内部でも、連続的あるいは無段階的に変化する。また、これらの領域A,B,Cは、図2に示すようなほぼ等しい長さである必要はなく、中央の領域Cを他の領域A,Bと異なる大きさにし、あるいは軸方向に変位させてもよい。
【0017】
この金属薄膜層18bの外側に配置する透明保護層18cは、無色あるいは有色の透明あるいは半透明に形成され、半透明とする場合は、例えば染料を混合したカラークリア樹脂等を塗装することで形成することができる。
【0018】
このように、金属薄膜層18bの膜厚を軸方向に沿って連続的に変化させることにより、シャフト10上の領域A,B,Cを、光輝性が弱い有色領域と光輝性が強い光輝領域とその中間の遷移領域とに形成し、これらの領域A,B,C間に目視可能な境界部を形成することなく、外観をその長さ方向に沿って無段階的に変化させることができ、色相、色彩、輝きあるいは濃淡等の違和感を与える外観の急変部のない外観とすることができる。全長略1,000mm程度のゴルフクラブシャフトに金属薄膜層を形成する場合、材料をステンレス(SUS304)とし、先端膜厚を5x10−2μm、中央部を3.0x10−2μmとすると、シャフト全長を違和感のない滑らかな外観とすることができる。
【0019】
このように形成したシャフト10を用いて図1に示すようなゴルフクラブ8を形成すると、軽量構造で、外観がグリップ4からクラブヘッド6に向けて、光輝性の少ない領域Aから遷移領域である領域Cを介して光輝性に富んだ領域Bまで、その光輝性、色彩あるいは濃淡等の外観を連続的に滑らかに変化させることができる。このようなシャフト10を用いることにより、色相の変化等の目に入り易い外観の急変部が形成されないため、スイングし易いゴルフクラブ8を形成することができる。
【0020】
図5および図6は、他の実施形態によるシャフト10Aを示す。なお、以下に説明する種々の実施形態あるいは変形例は、基本的には上述の実施形態と同様であるため、同様な部位には同様な符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0021】
この実施形態のシャフト10Aは、装飾層28がシャフト本体16に近接する側から順に有色層28aと金属薄膜層28bと透明保護層28cとを積層して形成してある。本実施形態の金属薄膜層28bは、そのほぼ全長にわたって、入射光の一部を内部に透過させると共にその表面でも反射させる、例えば1.0x10−2〜4.0x10−2μmの範囲でほぼ3.0x10−2μmであるのが好ましい均一な膜厚に形成してある。また、この金属薄膜層28bを透過した光を反射させる有色層28aは、母材である透明クリア樹脂30内に、光輝性粒子32を混在させて形成してある。
【0022】
このような光輝性粒子32は、例えば薄片状のアルミニウム、ガラスフレーク、パール(酸化チタンや酸化鉄等の金属酸化物がコートされた雲母)等の光を反射する粒子状材料で形成することが好ましく、透明クリア樹脂30中には、例えば0.1wt%〜3wt%程度含有させてある。このように透明クリア樹脂30中に混入する光輝性粒子32は、先端部14に近接するほど透明クリア樹脂30に対する含有量を増大させることが好ましい。この透明クリア樹脂30中における光輝性粒子32は、例えば10〜60μm程度の大きさを有し、シャフト10Aの軸方向に沿って、例えば長さ30cm程度の間に0.1wt%程度の濃度差を形成することが好ましい。
【0023】
光輝性粒子32を含有する透明クリア樹脂30は、例えばエポキシ樹脂等の合成樹脂であってもよく、吹付け、しごき、静電塗装等の適宜の方法を用いることにより、シャフト本体16の外面に、ほぼ全長にわたって均一な厚さに形成することができる。光輝性粒子32を混入した透明クリア樹脂30をシャフト本体16に吹付けることで、有色層28aを形成する場合には、光輝性粒子32の含有量の少ない透明クリア樹脂30をシャフト本体16の全体に吹付け、この後、図2に示すように、基端部12側の領域Aを除いた領域B,Cに吹付け、更に、先端部14側の領域Bに吹付ける。これにより、有色層28aは、領域Aで光輝性粒子32の含有量が少なく、領域Bで最も多く、領域Cで中間の含有濃度とすると共に、その全長にわたって含有濃度が無段階的に滑らかに変化するものとすることができる。
【0024】
これとは異なり、領域A,B,Cのそれぞれに光輝性粒子32の含有量が異なる透明クリア樹脂30を部分的に吹付けてもよい。この場合にも、シャフト本体16の全長にわたって光輝性粒子32の含有濃度を無段階的に滑らかに変化させることが可能である。
【0025】
図6に模式的に示すように、このように金属薄膜層28bの膜厚を一定に形成すると共に、透明クリア樹脂30中の光輝性粒子32の含有量を全長に沿って変化させた装飾層28では、光輝性粒子32の含有濃度が高い先端部14側では、金属薄膜層28bの表面で反射する金属層反射光R1と光輝性粒子32が反射する粒子反射光R3との和の方が、有色層反射光R2よりも大きく(R1+R3>R2)、光輝性が強い光輝領域を形成する。また、光輝性粒子32の含有濃度が低い基端部12側では、金属層反射光R1と粒子反射光R3との和が有色層反射光R2よりも小さく(R1+R3<R2)、光輝性が弱い有色領域を形成する。
【0026】
この実施形態も、上述の実施形態と同様に、シャフト10Aの外観をその長さ方向に沿って無段階的に変化させることができ、色相、色彩、輝きあるいは濃淡等の違和感を与える外観の急変部のない外観とすることができる。更に、有色層28b内に光輝性粒子32が含まれているため、外側の薄い金属薄膜層28bが傷付いた場合でも、この金属薄膜層28bの傷が目立たず、長期間にわたって外観を維持することができる。
【0027】
図7および図8は、更に他の実施形態を示す。
【0028】
この実施形態のシャフト10Bは、装飾層40がシャフト本体16に近接する側から順に有色層38aと金属薄膜層38bと透明保護層38cとを積層して形成してある。本実施形態の金属薄膜層38bも、そのほぼ全長にわたって、入射光の一部を内部に透過させると共にその表面でも反射させる、例えばほぼ3.0x10−2μmの均一な膜厚に形成してある。そして、この金属薄膜層38bを透過した光を反射させる有色層38aは、外表面に粗面加工40を施してある。
【0029】
この粗面加工40は、シャフト本体16の先端部14側ほど表面粗度を大きく形成し、この表面粗度の大きい側の部分で乱反射させ、これにより、有色層38aの発色を抑制したものである。有色層38aが乱反射することにより、相対的に金属薄膜層38bの表面における金属反射光の比率が高くなる。
【0030】
このような粗面加工40は、表面粗度すなわち表面上の凹凸の高低差を1μm以下で、好ましくは0.5μm以下に形成する。そして、先端部14側の例えば領域B(図2)を光輝性の強い光輝領域として形成する場合には、表面粗度を0.2μm以下に形成し、軸方向に沿う10mmの間隔に沿って10%程度の比率で変化させることが好ましい。このような表面粗度は、例えばJISB0601の規定にしたがって測定することができる。例えば、凹凸の山と谷とが連続している場合には、10点平均粗さによる値で測定し、表面の山と谷が少なく、10点平均粗さで測定することが困難な場合には、基準長さ内の凹凸の最大高さを測り、測定する。
【0031】
粗面加工40を施した部位の表面すなわち有色層38aの表面に形成される凹凸の高低差は、金属薄膜層38bの膜厚よりも小さく形成し、この有色層38aの凹凸を金属薄膜層38bで平滑化し、この金属薄膜層38bの外面を滑らかな面に形成することが好ましい。一方、金属薄膜層38bの膜厚よりも凹凸の高低差が大きい場合は、透明樹脂等でこのような高低差を解消して平滑化した後、金属薄膜層38bを形成することが好ましい。
【0032】
この有色層38aの粗面加工40は、種々の方法で形成することが可能であるが、ガラスビーズショット、ケミカルバフ研磨方法などで形成することが好ましい。これは、シャフト素材を傷つけることがないようにするためである。
【0033】
図8に模式的に示すように、金属薄膜層38bの膜厚を一定に形成すると共に、有色層38aの外面に粗面加工40を施した装飾層38では、表面粗度が大きく、凹凸高低差の大きな先端部14側で有色層38aの表面からの有色層反射光R2が乱反射する比率が大きいため、金属薄膜層38bの表面で反射する金属層反射光R1の方が、有色層反射光R2よりも大きく(R1>R2)、光輝性が強い光輝領域を形成する。また、表面粗度が小さく、凹凸高低差の小さな基端部12側では、金属層反射光R1よりも有色層反射光R2のほうが大きく(R1<R2)、光輝性が弱くかつ有色層38aの色彩の影響が強くでる有色領域を形成する。
【0034】
この実施形態も、上述の実施形態と同様に、シャフト10Bの外観をその長さ方向に沿って無段階的に変化させることができ、色相、色彩、輝きあるいは濃淡等の違和感を与える外観の急変部のない外観とすることができる。金属層反射光R1の強さと有色層反射光R2の強さとの比率を、金属薄膜層38bの内側で有色層38aの外側に軸方向に沿って面粗度を無段階的に滑らかに変化させた粗面加工40により、極めて簡単に、金属層反射光の強さの割合が大きい領域から有色層反射光の強さの割合が大きい領域に滑らかに移行させることが可能となる。この粗面加工40も金属薄膜層38bおよび透明保護層38cで保護されているため、長期間にわたってこの外観を維持することができる。
【0035】
上述のような装飾層18,28,38は、シャフト10,10A,10Bの露出部の全域にわたって形成することにより、シャフト全体の装飾性を向上させることができる。また、部分的に形成する場合には、それぞれの装飾層18,28,38を適宜に組合わせて用いることもできる。
【0036】
また、上述の実施形態では、ゴルフクラブのシャフトを例にとって説明したが、魚釣用の釣竿等の種々の管状体に形成することも可能である。釣竿(図示しない)の竿管として形成した場合には、その全長にわたって外観が変化するため、一部が水面で反射する光と同調した場合であっても、他の部分は同調することがなく、したがって、釣竿が見づらくなる等の悪影響を与えることはない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるシャフトを用いたゴルフクラブの全体を示す説明図。
【図2】図1のシャフトの外観を模式的に示す説明。
【図3】図2のシャフトの内部構造を示す断面図。
【図4】図3に示すシャフトの入射光と反射光とを例示する部分拡大図。
【図5】他の実施形態によるシャフトの図3と同様な断面図。
【図6】図5に示すシャフトの入射光と反射光とを例示する部分拡大図。
【図7】更に他の実施形態によるシャフトの図3と同様な断面図。
【図8】図7に示すシャフトの入射光と反射光とを例示する部分拡大図。
【符号の説明】
【0038】
10…シャフト、12…基端部、14…先端部、16…シャフト本体、18,28,38…装飾層、18a,28a,38a…有色層、18b,28b,38b…金属薄膜層、E…入射光、R1,R2,R3…反射光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を直接反射する外側金属薄膜層と、この金属薄膜層を透過した光を反射する内側有色層とを有し、前記金属薄膜層が反射する金属層反射光のほうが前記有色層が反射する有色層反射光よりも強い光輝領域から、弱い有色領域にそれぞれの反射光の強さの割合が無段階的に変化する装飾層を形成したことを特徴とする管状体。
【請求項2】
前記金属薄膜層は、軸方向に沿って厚さが無段階的に減少する請求項1に記載の管状体。
【請求項3】
前記有色層は、光反射粒子を含有し、軸方向に沿って光反射粒子の含有量が無段階的に減少する請求項1に記載の管状体。
【請求項4】
前記有色層は、金属薄膜層側の面粗度が軸方向に沿って無段階的に小さく形成される請求項1に記載の管状体。
【請求項5】
前記装飾層が露出領域の全域にわたって形成される請求項1から4のいずれか1つに記載の管状体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−190353(P2007−190353A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−53386(P2006−53386)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000002495)ダイワ精工株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】