説明

管状体

【課題】プリプレグシートの一方向に引き揃えられた強化繊維の配向に対して交差する方向の引張強度を向上させる。
【解決手段】一方向に引き揃えてシート状とした強化繊維である炭素繊維13aからなる強化繊維シート13上に炭素繊維13aの配向に対して直交するガラス繊維15が設けられる。ガラス繊維15の向きを芯材23の軸方向に対して交差させた状態でプリプレグシート11が芯材23に巻回される。このプリプレグシート11は前記ガラス繊維15が設けられているので、プリプレグシート11はガラス繊維15の配向と同方向に対する引張強度が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、強化繊維シートにマトリックス樹脂を含侵したプリプレグシートが離形される芯材の表面に巻回することで形成される管状体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、製紙、印刷機械の紙、フィルム等の搬送ロールや巻き取りロール等の工業用ロールとして用いられる管状体は、通常、フィルム等の搬送、巻き取りに伴って高速回転されるものであり、高速回転に耐え得る曲げ強度を備え、回転慣性が小さくなるように軽量であることが好ましい。
【0003】
また、近年、フィルム等の大型化に伴い、工業用ロールの長尺化が進み、長尺の管状体が求められている。長尺の管状体は、その自重や巻き取られたフィルム等の重みで、撓みが生じ、巻き取られたフィルム等にしわが発生するという問題があった。
【0004】
このような不具合を解消するため、金属製管体と比較して、軽量、高剛性、高強度等の特徴を有する繊維強化プラスチック(FRP)製の管状体が使用されている。FRP製の管状体は、強化繊維にマトリックス樹脂を含侵したプリプレグシートを離形される芯材の表面に巻回しすることで形成される。
【0005】
FPR製の管状体を上記工業用ロールとして使用する場合、表面を平滑にする必要があるため、表面に研削加工を施した後、金属メッキを施したものが提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−321163号公報
【0007】
前記特許文献1に記載されたプリプレグシートは、強化繊維を一方向に引き揃えてシート状に形成し、その強化繊維シートにマトリックス樹脂を含浸しBステージまで硬化させたものである。このプリプレグシートをその強化繊維の配向を芯材の軸方向に揃えた状態で、芯材に巻回することにより、管状体の軸方向と強化繊維の配向が同じ方向となる。
【0008】
このように強化繊維が配向されると、管状体が巻き取られたフィルム等の重量により軸方向に対して直交する荷重を受けたとき、その荷重を強化繊維によって受けることができるので、管状体の撓みの発生を抑えることができる。
【0009】
さらに、プリプレグシートをその強化繊維の配向が芯材の軸方向に対して傾斜するように交差する角度に、芯材に巻回し、積層化して、管状体の撓みのみならずねじれに対する強度を高め、管状体としての剛性の向上をはかることが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、管状体を形成する際、特許文献1に記載されたプリプレグシートは芯材の表面と密着させるために、芯材の軸方向に対して直交方向にテンションを掛けた状態で巻回する場合がある。このとき、強化繊維の配向を芯材の軸方向に揃えた状態でプリプレグシートを巻回する場合、プリプレグシートに掛かるテンション方向は、強化繊維の配向に対して直交方向となる。
【0011】
したがって、プリプレグシートは、前記のテンション方向に対しては、強化繊維による機械的強度が十分に発揮されず、機械的強度(特に、引張強度)が不足する。このため、テンションを掛けたプリプレグシートは、一部が破れたり、裂けたりすることがあり、芯材に対して巻回することが困難となり、プリプレグシートを芯材の表面に密着させることが難しい。
【0012】
そこで、この発明の課題は、プリプレグシートの一方向に引き揃えられた強化繊維の配向に対して交差する方向の引張強度を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、この発明は、強化繊維からなる強化繊維シートにマトリックス樹脂を含浸したプリプレグシートが離形される芯材に巻回されることで形成される管状体において、前記強化繊維シートが一方向に引き揃えてシート状とした炭素繊維からなり、前記プリプレグシートは、一方向に引き揃えられ、かつ前記炭素繊維の配向に対して交差するガラス繊維を備え、そのガラス繊維の配向を前記芯材の軸方向に対して交差させた状態で前記芯材に巻回される構成を採用したのである。
ここで、炭素繊維、ガラス繊維などの繊維とは、JISに規定された糸、織物などの構成単位で、太さに比べて十分の長さをもつ、細くてたわみやすいものを意味する。
【0014】
この構成によると、プリプレグシートは、これに炭素繊維の配向に対して交差するガラス繊維が設けられているので、ガラス繊維の配向と同方向に対する引張強度が向上する。引張強度が向上したプリプレグシートは、芯材の軸方向に対して交差する方向に、すなわち、ガラス繊維の配向と同方向にテンションを掛けながら芯材に巻回させることができる。したがって、上述した従来の管状体のプリプレグシートのように、芯材に巻回する際、その一部が破れることなく、芯金の表面に密着させることが可能となる。
【0015】
前記強化繊維シートにガラス繊維が設けられた構成を採用する場合、前記ガラス繊維を強化繊維シートに設ける手段としては、強化繊維シートにガラス繊維を織り込むもの、あるいは、ガラス繊維を編み込むものなど、種々考えられるが、例えば、前記ガラス繊維が前記強化繊維シートに対して縫うことにより設けられた構成を採用することができる。また、炭素繊維をシート状に保形するために、ポリエステル繊維からなる編み糸を用いる場合、炭素繊維とともに、ガラス繊維も一体的に編み込むことにより、ガラス繊維が強化繊維シートに設けられた構成とすることができる。
【0016】
ガラス繊維を備えたプリプレグシートにおいて、前記ガラス繊維が前記マトリックス樹脂を含浸した状態で前記プリプレグシートに設けられた構成を採用することができる。このようにすると、予め、炭素繊維からなる強化繊維シートにマトリックス樹脂を含浸させてプリプレグシートを形成しておくことができるので、従来のプリプレグシートを活用することができる。
【0017】
これらの構成において、前記ガラス繊維が前記炭素繊維の配向に対して同方向に間隔をおいて複数箇所に設けられた構成を採用することができる。このようにすると、プリプレグシートは、炭素繊維の配向に対して同方向を幅方向とした場合、幅方向に間隔をおいてガラス繊維が複数箇所に設けられる。このため、より広い幅においてガラス繊維の配向と同方向に対する引張強度が高められ、芯材に巻回可能な幅を広幅にすることができ、より長尺の管状体を得ることが可能となる。
【0018】
プリプレグシートの強化繊維に含浸するマトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂の場合、不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂が好ましい。これらの樹脂は、マトリックス樹脂として一般的に適用されるエポキシ樹脂と比較して、強化繊維と樹脂との間における接着強度は劣るものの硬化速度が速く、短時間で管状体を成形することが可能であるためである。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、この発明は、プリプレグシートが一方向に引き揃えられたガラス繊維を備えているので、ガラス繊維の向きと同じ方向での引張強度が向上し、プリプレグシートをガラス繊維の向きが芯材の軸方向に対して交差する状態でテンションを掛けながら芯材に巻回可能となり、表面を平滑に仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態の管状体を示す斜視図
【図2】(a)同上のプリプレグシートを示す正面図、(b)図2(a)でのA−Aにおける断面図
【図3】同上の他の態様のプリプレグシートを示す正面図
【図4】(a)同上のプリプレグシートの変形例を示す正面図、(b)図4(a)でのB−Bにおける断面図
【図5】同上の他の態様のプリプレグシートを示す正面図
【図6】同上のプリプレグシートの巻回装置を示す概略図
【図7】同上の管状体の平巻層を成形した状態を示す正面図
【図8】同上の管状体の螺旋巻層の成形過程を示す正面図
【図9】(a)第2実施形態のプリプレグシートを示す正面図、(b)図9(a)でのA−Aにおける断面図
【図10】同上の他の態様のプリプレグシートを示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の第1実施形態を図1から図8に基づいて説明する。
この実施形態の管状体10は、プリプレグシート11を芯材の表面にテンションを掛けながら円筒状に複数層巻回し、加熱・加圧してプリプレグシート11を硬化させ、芯材を抜き取る(脱型する)ことにより成形される(図1参照)。
【0022】
プリプレグシート11は、図2(a)、(b)に示すように、強化繊維シート13にマトリックス樹脂14を含浸乾燥させ、Bステージまで硬化させたものを使用することができる。
【0023】
プリプレグシート11の基材となる強化繊維シート13は、図2(a)に示すように、一方向に引き揃えられシート状とされた強化繊維としての炭素繊維13aが、その配向に対して直交方向にポリエステル繊維13bにより編まれたものである。
【0024】
ポリエステル繊維13bからなる編み糸は、炭素繊維13aの配向に対して直交方向を長さ方向とした場合、強化繊維シート13の全長にわたって設けられる。また、炭素繊維13aの配向を幅方向とした場合、その幅方向に間隔をおいて複数箇所に設けられている。
【0025】
強化繊維シート13の表面には、図2(b)に示すように、一方向に引き揃えられ、かつ炭素繊維13aの配向に対して直交方向にガラス繊維15が設けられる。このガラス繊維15は強化繊維シート13の表面に前記幅方向に間隔をおいて複数箇所に配列されている。なお、ガラス繊維15は炭素繊維13aとともにポリエステル繊維13bからなる編み糸により一体的に編みこまれ、その炭素繊維13aと一体化されている。
【0026】
このガラス繊維15は、炭素繊維13aの配向に対して交差する方向に配向させるものであればよいが、直交方向に配向させることで、プリプレグシート11のうち、引張強度が最も低くなる前記直交方向における引張強度を向上させることが可能となる。
【0027】
また、ガラス繊維15が複数箇所に設けられると、プリプレグシート11は、前記幅方向のより広い範囲においてそのガラス繊維15の配向と同方向での引張強度が高められる。このため、芯材に巻回可能な幅を広幅とすることができ、より長尺の管状体10を得ることが可能となる。
【0028】
ここで、強化繊維シート13の炭素繊維13a、ポリエステル繊維13b及びガラス繊維15の繊維とは、JISに規定された糸、織物などの構成単位で、太さに比べて十分の長さをもつ、細くてたわみやすいものを意味する。
【0029】
また、強化繊維シート13の炭素繊維13aとしては、比重が小さく、比強度、比弾性率に優れたものが好適であり、その単繊維の繊度、フィラメント数および総繊度は、管状体の規格、用途、あるいは、管状体に要求される機械的強度等に基づいて設定される。
【0030】
さらに、ガラス繊維15はプリプレグシート11を芯材に巻回する際、プリプレグシート11に掛かるテンションに耐え得る引張強度を備えたものであれば、特に限定されないが、炭素繊維13aの平均厚みよりも小さいものが好ましい。この場合、ガラス繊維15を設けた強化繊維シート13表面の凹凸を小さくすることができる。
【0031】
ガラス繊維15が設けられた強化繊維シート13にマトリックス樹脂14が含浸乾燥され、Bステージまで硬化させることでプリプレグシート11が製作される。
【0032】
強化繊維シート13に含浸させるマトリックス樹脂14としては、熱硬化性樹脂が適用可能であるが、不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂が好ましい。これらの樹脂は、マトリックス樹脂として一般的に適用されるエポキシ樹脂と比較して、強化繊維と樹脂との間における接着強度は劣るものの、硬化速度が速く、短時間で管状体を成形することが可能であるためである。
【0033】
強化繊維シート13においては、図3に示すように、シート状とされた炭素繊維13aが、その配向に対して交差する方向に傾斜するポリエステル繊維13bにより編まれたものとすることができる。この場合、ガラス繊維15は、その配向がポリエステル繊維13bからなる編み糸と平行に設けられる。
【0034】
ポリエステル繊維13bの配向が強化繊維シート13の長さ方向と同一方向である場合、この強化繊維シート13からなるプリプレグシート11は、後述するマンドレル23に対して螺旋状に巻回される際、炭素繊維13aの配向がマンドレル23の軸方向に沿って平行とされる(図8参照)。
【0035】
この状態でプリプレグシート11が巻回されると、成形する管状体10は炭素繊維13aの配向がマンドレル23の軸方向に沿って平行となるので、管軸方向に対する引張り強度を確保することができる。
【0036】
前記強化繊維シート13はこれを基材とするプリプレグシート11が芯材に巻回される際にかかるテンションを受けることが可能な限り、適宜に変更することができる。一例として変形した強化繊維シート13を基材とするプリプレグシート11を図4(a)、(b)に示す。なお、以下においては、前述した強化繊維シート13の構成に対する相違点を中心に述べ、同一に考えられる構成に同符号を用いる。
【0037】
この変形例での強化繊維シート13は、ガラス繊維15が縫うことにより設けられたものである。すなわち、ガラス繊維15は炭素繊維13aの配向に対して直交する方向(ポリエステル繊維13bの配向に対して平行)に縫われたものである。
【0038】
縫われたガラス繊維15は、強化繊維シート13の前記幅方向に間隔をおいて複数箇所に設けられる(図4(a)参照)。なお、ガラス繊維15の縫い目の長さ、縫い目の間隔は、管状体10の規格、用途に応じて適宜設定される。
【0039】
また、この変形例においても、強化繊維シート13は、図5に示すように、シート状とされた炭素繊維13aが、その配向に対して交差する方向に傾斜するポリエステル繊維13bにより編まれたものとすることができる。この場合も、図3に示す強化繊維シート13と同様、ガラス繊維15の配向がポリエステル繊維13bからなる編み糸と平行に設けられる。この強化繊維シート13からなるプリプレグシート11は、後述するマンドレル23に対して螺旋状に巻回される際、炭素繊維13aの配向がマンドレル23の軸方向に沿って平行とされる(図8参照)。
【0040】
この実施形態の管状体10は、一般的にプリプレグシート11をシートワインディング法により、芯材に巻回し、加熱後、その芯材を抜き取ることにより成形される。
図6にシートワインディング法において使用する装置の一例を示す。すなわち、シートワインディング装置20は、図6に示すように、回転駆動される二つの支持ローラ21、22を備えており、芯材としてのマンドレル23を二つの支持ローラ21、22の上に載せて回転させる。
【0041】
この回転するマンドレル23に、予め供給ローラ24に巻き取られている図2(a)に示す強化繊維シート13からなるプリプレグシート11を供給し、そのプリプレグシート11を押圧ローラ25によりマンドレル23の外周面に押し付ける。プリプレグシート11は、炭素繊維13aの配向がマンドレル23の軸方向に平行となる状態(ガラス繊維15の配向がマンドレル23の軸方向に対して直交方向となる状態)で供給される。
【0042】
この状態のプリプレグシート11は、マンドレル23の表面に密着させるため、供給ローラ24をガラス繊維15の配向と同方向に引っ張ることによりその方向にテンションが掛けられる。このとき、プリプレグシート11は、テンション方向に対してガラス繊維15が設けられているので、引張強度が向上しており、マンドレル23の表面に密着させた状態でマンドレル23に巻回することが可能となる。
【0043】
上記ワインディング法で、マンドレル23に巻回されたプリプレグシート11により、積層した平巻層31が形成される(図7参照)。この後、図8に示すように、図3に示す強化繊維シート13からなるプリプレグシート11を、螺旋状(ヘリカル状ともいい、マンドレル23の軸方向とプリプレグシート11の炭素繊維13aが平行となる状態)に巻回して2層目の螺旋巻層32が平巻層31の外側に形成される。
【0044】
この螺旋巻層32の形成の際にも、プリプレグシート11はガラス繊維の配向と同方向に引っ張ることによりその方向にテンションを掛けることが可能である。この後、所要の厚みとなるまで、平巻層31と螺旋巻層32とを交互に形成する。
【0045】
さらに、プリプレグシート11により平巻層31、螺旋巻層32が形成されたマンドレル23に加熱処理を施し、その後、マンドレル23を抜き取ることにより、図1に示す管状体10が成形される。この管状体10は、平巻層31および螺旋巻層32が形成されているが、例えば、内側に螺旋巻層32、外側に平巻層31を形成してもよい。また、平巻層31と螺旋巻層32とを交互に積層した3層以上の構造に形成してもよい。
【0046】
なお、前記の平巻層31の形成時においては、図4(a)に示す変形例での強化繊維シート13からなるプリプレグシート11を、螺旋巻層32の形成時においては、図5に示す変形例での強化繊維シート13からなるプリプレグシート11をそれぞれ使用することもできる。
【0047】
この発明の第2実施形態を図9(a)、(b)、図10に示す。
第2実施形態に係る管状体では、プリプレグシート11に備えたガラス繊維15は、強化繊維シート13に設けられる代わりに、強化繊維シート13にマトリックス樹脂14を含浸させたプリプレグシート11に設けられている。プリプレグシート11に対してガラス繊維15を設けた位置以外の構成は、前記第1実施形態と同様であり、第1実施形態の構成と同じ構成と考えられるものには、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0048】
この実施形態における強化繊維シート13は、一方向に引き揃えられシート状とされた炭素繊維13aが、その炭素繊維13aの配向に対して直交する方向にポリエステル繊維13bにより編まれたものであり、その強化繊維シート13にマトリックス樹脂14を含浸させてプリプレグシート11が形成される。
【0049】
プリプレグシート11の表面には、図9(b)に示すように、マトリックス樹脂、例えば、不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂を含浸させた状態のガラス繊維15が設けられている。
【0050】
ガラス繊維15は、一方向に引き揃えられ、かつ強化繊維シート13の炭素繊維13aの配向に対して直交方向に設けられ、炭素繊維13aの配向と同方向(幅方向)において複数箇所に配列されている。
【0051】
ガラス繊維15がプリプレグシート11に設けられることで、予め、炭素繊維13aからなる強化繊維シート13にマトリックス樹脂14を含浸させてプリプレグシート11を形成しておくことができるので、従来のプリプレグシートを活用することができる。
【0052】
また、この実施形態において、強化繊維シート13は、図10に示すように、シート状とされた炭素繊維13aが、その配向に対して交差する方向に傾斜するポリエステル繊維13bにより編まれたものとすることができる。この場合、ガラス繊維15は、その配向がポリエステル繊維13bからなる編み糸と平行に設けられる。
【0053】
ポリエステル繊維13bの配向が強化繊維シート13の長さ方向と同一方向である場合、前述の第1実施形態の場合と同様、マンドレル23に対してプリプレグシート11が螺旋状に巻回される際、炭素繊維13aの配向がマンドレル23の軸方向に沿って平行とされる。
【0054】
このように巻回すれば、炭素繊維13aの配向がマンドレル23の幅方向に沿って平行となり、管状体10の管軸方向に対する引張り強度を確保することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 管状体
11 プリプレグシート
13 強化繊維シート
13a 炭素繊維
13b ポリエステル繊維
14 マトリックス樹脂
15 ガラス繊維
20 シートワインディング装置
21、22 支持ローラ
23 マンドリル
24 供給ローラ
25 押圧ローラ
31 平巻層
32 螺旋巻層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化繊維シートにマトリックス樹脂を含浸したプリプレグシートが離形される芯材に巻回されることで形成される管状体において、
前記強化繊維シートが一方向に引き揃えてシート状とした炭素繊維からなり、前記プリプレグシートは、一方向に引き揃えられ、かつ前記炭素繊維の配向に対して交差するガラス繊維を備え、そのガラス繊維の配向を前記芯材の軸方向に対して交差させた状態で前記芯材に巻回されることを特徴とする管状体。
【請求項2】
前記ガラス繊維が前記強化繊維シートに設けられたことを特徴とする請求項1に記載の管状体。
【請求項3】
前記ガラス繊維が前記強化繊維シートに対して編むことにより設けられたものであることを特徴とする請求項2に記載の管状体。
【請求項4】
前記ガラス繊維が前記マトリックス樹脂を含浸した状態で前記プリプレグシートに設けられたことを特徴とする請求項1に記載の管状体。
【請求項5】
前記ガラス繊維が前記炭素繊維の配向に対して同方向に間隔をおいて複数箇所に設けられたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の管状体。
【請求項6】
前記マトリックス樹脂が不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の管状体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−215338(P2010−215338A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62904(P2009−62904)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000164885)栗本化成工業株式会社 (32)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】