説明

管状開口の内壁と少なくとも部分的に開口に挿入される少なくとも1本のチューブまたはダクトとの間のスペースを封止するシステム

【課題】封止プラグをスペース内により容易に挿入可能にするシステムを提供する。
【解決手段】管状開口の内壁と、少なくとも部分的に開口に挿入される少なくとも1本のチューブまたはダクトとの間のスペースを封止し、開口の長手方向と少なくとも1本のチューブまたはダクトの長手方向とが互いに実質的に平行になるようにしたシステム。システムは、スペースに挿入される封止プラグを形成する少なくとも2つの分割縦部材を有する。縦部材は、それぞれ複数の外側部と複数の内側部を有し、複数の内側リブは長手方向において互いに隣接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状開口の内壁と、少なくとも部分的に前記開口に挿入される少なくとも1本のチューブまたはダクトとの間のスペースを封止し、前記開口の長手方向と前記少なくとも1本のチューブまたはダクトの長手方向とが互いに実質的に平行になるようにしたシステムに関する。このシステムは、スペースに挿入される封止プラグを形成する少なくとも2つの分割縦部材を有し、縦部材は、それぞれ弾性変形可能な材料からなり、外側部が設けられ、外側部は、使用中に環状接触面となる長手方向に離間した複数の外側リブを有し、これらの環状接触面は、封止プラグと開口の内壁との間を周方向に塞ぎ、さらに、縦部材にはそれぞれ、内側部が設けられ、内側部は、使用中に環状接触面となる複数の内側リブを有し、これらの環状接触面は、封止プラグと少なくとも1本のチューブまたはダクトとの間を周方向に塞ぎ、外側リブはそれぞれ、交差方向において、いずれの内側リブよりも長く、複数の内側リブはそれぞれ、長手方向に延在し、使用中に少なくとも1本のチューブまたはダクトの1本に当接する当接面を有し、各内側リブは、当接面の両側に、当接面から離れるように延在する斜面を有し、各斜面の傾斜は、分割縦部材の交差方向に対して、縦部材がスペースに挿入されるときに各内側リブが実質的に曲がらないような角度をなす。
【0002】
本発明はまた、管状開口の内壁と、少なくとも部分的に開口に挿入される少なくとも1本のチューブまたはダクトとの間のスペースを封止し、開口の長手方向と前記少なくとも1本のチューブまたはダクトの長手方向とが互いに実質的に平行になるようにしたシステムに関する。このシステムは、スペースに挿入される封止プラグを形成する少なくとも2つの分割縦部材を有し、縦部材は、それぞれ弾性変形可能な材料からなり、外側部が設けられ、外側部は、使用中に環状接触面となる長手方向に離間した複数の外側リブを有し、これらの環状接触面は、封止プラグと開口の内壁との間を周方向に塞ぎ、さらに、縦部材にはそれぞれ、内側部が設けられ、内側部は、使用中に環状接触面となる複数の内側リブを有し、これらの環状接触面は、封止プラグと少なくとも1本のチューブまたはダクトとの間を周方向に塞ぎ、外側リブはそれぞれ、交差方向において、いずれの内側リブよりも長く、縦部材のそれぞれは、開口に最初に挿入される第一端と、使用中に開口から外側に出たままとなる第端とを有し、さらに、複数の外側リブの少なくとも1つは、第二端に向かって上昇する上昇面を備え、実質的に鋸歯形状を有する。
【0003】
上記管状開口は、床、デッキ、壁またはパーティションにおける管路としてもよい。あるいは、別のチューブが少なくとも部分的に挿入されるチューブとしてもよい。また、縦部材は、シェルパーツとも呼ばれる。実質的に平行とは、開口の軸と、開口に挿入されるチューブまたはダクトの軸とがおよそ5度の角度をなす場合も含むと理解される。
【背景技術】
【0004】
このようなシステムは、例えば2本のチューブを互いに接続し、内部を流体が流れるようにしたものに適用される。2本のチューブのうちの1本は、例えば、表面接続を行い、本線またはその分岐線を形成するチューブよりも小さい直径を有する。これらのチューブは、例えば、水、ガス、油、液状化学品などの輸送に使用されうる。これらのチューブの間のスペースを、上述したシステムを用いて封止することができる。例えば、電話、電気、およびテレビのケーブルを、これらの互いに接続されたチューブに通すことも可能である。あるいは、システムを、グラスファイバーケーブルとその保護チューブとの間を封止するために使用することもできる。このシステムを、ビルの壁、とくに構造壁、および床、さらには屋根に利用してもよく、コンクリートを流し込む際に埋め込まれたプラスチックチューブ材により、ダクト、例えば水やガスのチューブ、またはケーブルを通す通路を空けておく。もちろん、ボーリング作業によってコンクリート板に通路を設けてもよい。ダクトと、埋め込まれたチューブ材または穿孔との間のスペースは、後に、このシステムにより封止される。
【0005】
さらに、このシステムを、新しい建物の構造、および船と沖合施設のメンテナンスに使用することもできる。通常、これらの構造の各部分は、造船所のドックにおいて予め決められたプランに従ってプレハブの部品を配置することによって形成される。プレハブの部品を配置する前でも、例えば溶接等により、受入用のチューブを部品内に設置することができる。ダクトを受入チューブに通した後、冒頭部分で説明したシステムを、受入チューブの内壁と挿入ダクトとの間のスペースを封止するように設置することができる。このようにして形成された封止プラグは、例えば、火災や爆発の際に、部品が変形した場合に起こりうる変形を吸収する。封止プラグは、さらに振動吸収機能も有しているので、疲労現象が避けられる。封止プラグはさらに、遮音性を有する。さらに、とくに、受入チューブ内の2つのプラグ間に空気を閉じ込めることで、断熱性を持たせることもできる。さらに、受入チューブと、挿入されるダクト、ケーブル、またはチューブとを、それぞれ異なる金属含有材料から製造することもできる。これは、受入チューブと、挿入されるダクト、ケーブルまたはチューブとが接触せず、実質的にほとんど電解腐食が起こらないためである。
【0006】
管状開口の内壁と少なくとも1本のチューブまたはダクトとの間の環状スペースは、以降、単に「スペース」と呼ぶ。スペース内に縦部材を挿入するとこは、単に「挿入」と呼ぶ。
【0007】
WO2004/111513A1には、管状開口の内壁と、少なくとも部分的に前記開口に挿入される少なくとも1本のチューブまたはダクトとの間のスペースを封止するシステムが開示されている。このシステムは、ほとんどの場合、手動で容易に挿入することができるにも関わらず、挿入後は、高圧にも耐えることができるという点で、有効である。しかし、管状開口の内壁と少なくとも1本のチューブまたはダクトとの間のスペースに、システムを適用可能、すなわち分割縦部材を挿入可能とし、ほとんどの場合に手動で、かつ容易にシステムを挿入可能としながら、より高い圧力に耐えられるようにすることが、一層有益である。システムが使用中に耐え得る圧力とは、システムの部分、すなわち最初に挿入される封止プラグの部分にかかる圧力のことを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2004/111513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、例えばWO2004/111513A1に開示されたシステムよりも一層高い効果を得られるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、請求項1のプレアンブルに記載の封止システムであって、複数の内側リブが長手方向において互いに隣接することを特徴とするシステムによって実現される。非常に驚くべきことであるが、このシステムは、一層容易に当該スペース内に挿入することができることがわかった。おおむね、このシステムは完全に手動で挿入できることがわかっている。プラグの挿入時に、追加のツールはほぼ全く必要ない。しかし、作業者によっては、好みで、素手ではなくて追加ツールを用いることもある。
【0011】
複数の内側リブが互いに隣接するので、内側部が硬くなる。
【0012】
複数の内側リブが設けられる内側部において、ある特定の部分には、実質的に必ず内側リブが設けられる。その部分は、内側リブの長手方向密度が高いといえる。
【0013】
何らかの理論に縛られるわけではないが、内側リブの長手方向密度が高いほど、挿入時の縦部材の曲げを抑えることができる。たとえわずかな曲げであっても、通常、縦部材の挿入時には余分な抵抗が発生する。曲げの減少により、本発明による一実施の形態における縦部材は、スペース内により容易に挿入可能となる。
【0014】
縦部材を挿入する際、内側リブがそれほど抵抗を発生しているとは感じられない。これは、交差方向において外側リブの長さが比較的大きく、内側リブの長手方向密度が高いことによるものと考えられる。縦部材を挿入する場合、縦部材が挿入されるスペース内に外側リブがちょうど進入しているときに、抵抗が感じられる。このとき、手動で、あるいはツールを用いる場合であっても、縦部材を挿入する作業者は、より大きな力で押し込む必要がる。より大きな力をかけることで、押込力が抵抗力を超えると、縦部材がスペース内に移動しだす。外側リブを通過させるために必要な力は、内側リブを通過させるために必要な力よりもかなり高いので、内側リブに関して押込力に余剰分が発生し、これによって作業者は抵抗の増加をそれほど感じることなく内側リブがスペース内に進入する。
【0015】
一実施の形態による縦部材を挿入する際に、次の外側リブがスペース内に進入し始めるときに、作業者が意図的に押込力を増加させれば、より容易に挿入を行うことができる。これにより、視覚的に必要とわかるときに付加的な力をかければよいので、挿入作業の作業性がよく、良好な結果を得ることができる。
【0016】
本発明によるシステムの一実施の形態においては、斜面の傾斜は、傾斜が始まる当接面から隣接する内側リブの斜面と合流する位置まで、実質的に一定である。一定の傾斜をもつ斜面を有する内側リブには、各縦部材が挿入されるときに容易に曲がってしまう箇所がない。これによって、抵抗が予想外に大きくなることなく、比較的容易でスムーズな挿入を実現できる。
【0017】
本発明によるシステムの一実施の形態において、各傾斜は実質的に同じである。これにより、縦部材の挿入時に打ち勝つ必要のある力を、ある程度予測することができ、またこの力は突然増大することもない。その結果、縦部材を挿入するときに打ち勝つ必要のある力は、縦部材の内側部によってそれほど影響を受けない。さらに、各傾斜、とくに当接面の両側の傾斜が実質的に同じである場合、当接面は、実質的に交差方向に押し出されると考えられる。このような動きに応じた力は、実質的に交差方向に作用し、縦部材の挿入を阻害するものではない。当接面に作用する通常の力に依存する摩擦力は、もちろんそのまま発生し、縦部材の挿入時にはこの摩擦力に打ち勝つ必要がある。
【0018】
本発明によるシステムの一実施の形態において、上記傾斜と長手方向とのなす角度は、60°〜80°である。これにより、縦部材をスムーズに挿入できる程度のゆるやかな傾斜となる。さらに、内側リブの折れ曲がりも抑制できる。角度は65〜77°とすることが望ましい。これにより、縦部材をよりスムーズに挿入することができる。角度は70°〜75°とすることがより望ましい。縦部材の内側部は、押込力がかけられると実際にスペース内に進入する。縦部材を挿入する作業者は、明らかに内側リブによる抵抗はほとんど感じない。スペース内に挿入されてプラグが形成された後、封止システムが耐えうる圧力は、内側リブによって低下することはない。後述するが、内側リブを感じることなく挿入が行われても、これは内側リブが抵抗を発生しないという意味ではない。ほとんど感じられないが、内側リブも挿入時に抵抗を発生することが検出された。
【0019】
本発明による封止システムは、縦部材のそれぞれは、開口に最初に挿入される第一端の内側部に内側リブを設けていないことを特徴とする。これにより、縦部材の第一端の挿入が容易になり、スペース内により深く挿入していくときに、縦部材を適切に方向付けすることができ、縦部材の折れ曲がりを抑制することができる。
【0020】
第一端に、長手方向に延在する第1の内面を設けることが望ましい。したがって、縦部材の第一端が最初に挿入されるときには、ほんのわずかな抵抗しか感じられない。
【0021】
本発明によるシステムの一実施の形態において、各分割縦部材の外側部は、隣接する2つの外側リブの間に、長手方向に延在する外面を有する。これにより、縦部材の外側において、外側リブが設けられていないスペースにおいて、外側リブ同士の間にある縦部材の部分が外側方向に移動することができる。縦部材のこの部分の変位は非常に小さいが、このように容易に実現される。
【0022】
第1の仮想交差面は、外面および当接面と交差することが望ましい。これにより、内側リブが一層容易に交差方向に押されるという利点が得られる。外面は、内側リブによって外側方向に押される部分のために利用可能なスペースを確保しており、内側リブによって押された部分は、外面に設けられたスペースに押し付けられることになる。さらに、外面の位置に対してこのように当接面を配置することにより、スペース内に外側リブが挿入されるとすぐに、内側リブがそのスペース内に進入することができる。縦部材を、外側リブが通過できるほど、すなわち外側リブがスペースにあわせて折れ曲がるほどの強い力でスペース内に押し込むと、続いて挿入される内側リブについて、内側リブを奥深く挿入することによる抵抗が増大しているとは感じられない。すなわち、内側リブはスペース内に簡単に進入すると感じられる。
【0023】
同じ仮想交差面と交差する外面および当接面は、長手方向において同様の長さを有することが望ましい。これにより、縦部材の外側部において利用可能なスペースと、長手部材の内側部から外側方向に押される材料とのバランスを大体、保つことができる。挿入中、比較的容易に縦部材を交差方向において「薄く」することができる。これにより、本発明によるシステムを、システムの挿入および耐圧性に関して最適な寸法とは異なる寸法を持つスペースにも、適用することが可能となる。
【0024】
本発明によるシステムの一実施の形態は、さらに、縦部材はそれぞれ、第二端に、使用中に開口の外側端部に対向して配置される外側カラーを有し、さらに、複数の外側リブの少なくとも1つは、第二端に向かって上昇する上昇面を備え、実質的に鋸歯形状を有することを特徴とする。このような外側リブを有する縦部材は、容易に挿入可能であり、開口の内壁とダクトまたはチューブとの間に、非常に高い圧力に耐えうるプラグを設置することができる。
【0025】
鋸歯の頂点に隣接する上昇面の部分には、頂点から離れて配置された上昇面の部分に対してレベリング部が設けられ、レベリング部は長手方向に対して角度をなすことが望ましい。このレベリング部により、開口部における寸法の許容度が高まる。その結果、システムの、ある「サイズ」、すなわち外側リブの、特定の「寸法」を、複数の異なるサイズの開口に利用することができる。これにより、システムの縦部材を製造するための型のコストが節約される。システムが開口の直径の変位にも対応できるので、開口の直径が正確に計測されていなかったとしても、必ずしも問題にはならない。さらに、例えば、造船所等における本発明によるシステムの在庫管理も容易になる。ある1つのサイズのシステムで多くのケースに適用できるので、コストを節約できる。
【0026】
本発明によるシステムの一実施の形態において、第2の仮想交差面が、2つの隣接する内側リブの間の位置と、レベリング部とに交差することを特徴とすることも可能である。これにより、各縦部材の内側部において利用可能なスペースを確保し、各縦部材が挿入されるときに、縦部材のある部分が、そのスペースの方向に押し付けられるようにすることができる。レベリング部を備える外側リブの部分は、交差方向において内側方向に押される。この移動は、2つの隣接する内側リブの間で利用可能なスペース内に収まることができる。実際には、これによって、内側リブの傾斜が若干変化するかもしれない。このとき、角度γは若干大きくなる。すなわち、縦部材の挿入時、第2の仮想交差面の位置において、縦部材を比較的容易に「薄く」することができる。さらに、レベリング部の位置および2つの隣接する内側リブが接する位置を設定することで、レベリング部を通過する、すなわち、外側リブがスペースにあわせて折れ曲がるほどの強い力で縦部材がスペース内に押し込まれると、次に挿入される別の内側リブが直ちに続く。外側リブをスペース内に進入させるのに必要な力は、通常、続く内側リブをスペース内に進入させるのにも十分な力である。結局、外側リブをスペース内に進入させるのに必要な力は、外側リブがスペース内に進入するときにもまだかけられていることが多い。
【0027】
WO2004/111513A1には、管状開口の内壁と、少なくとも部分的に開口に挿入される少なくとも1本のチューブまたはダクトとの間のスペースを封止するシステムが開示されている。このシステムは、ほとんどの場合、手動で容易に挿入することができるにも関わらず、挿入後は、高圧にも耐えられることができるという効果をもつ。しかし、管状開口の内壁と少なくとも1本のチューブまたはダクトとの間のスペースに、システムを適用可能、すなわち分割縦部材を挿入可能とし、ほとんどの場合に手動で、かつ容易にシステムを挿入可能としながら、公知のシステムよりも高い圧力に耐えられるようにすることが、一層有益である。
【0028】
本発明は、上述した点で、使用に際し、例えばWO2004/111513A1に開示されたシステムよりも一層高い効果を得られるシステムを提供することを目的とする。
【0029】
本発明の目的は、請求項20に記載された封止システムにより実現される。
【0030】
縦部材を挿入する場合、縦部材が挿入されるスペース内に外側リブが進入し始めるときに、抵抗が感じられる。このとき、手動で、あるいはツールを用いる場合であっても、縦部材を挿入する作業者は、より大きな力で押し込む必要がる。より大きな力をかけることで、押込力が抵抗力を超えると、縦部材が奥側に移動しだす。通常、外側リブがスペース内に完全に挿入されたときにも、依然として大きな押込力はかけ続けられており、これは、内側リブにおいて交差方向に最大の高さをもつ部分を挿入する際に発生する抵抗力よりも十分に大きなものである。したがって、内側リブの挿入、あるいはむしろ、内側リブの、交差方向の最大高さをもつ部分の挿入は、容易と感じられる。内側リブの最高点に起因する挿入抵抗は、外側リブの頂点による抵抗に比べて無視できる程度のものである。作業者は、外側リブがスペース内に進入し始めるのを見て、意図的に押込力を増加できるので、視覚的に必要とわかるときに付加的な力をかければよく、挿入作業を効率的に行うことができる。
【0031】
余剰分の力は、内側リブを挿入させるのに十分なものであり、作業者は視覚的に必要である場合にのみ、押込力を強めればよい。外側リブがスペース内に進入開始するたびに、力を増加させることで、うまく調和の取れた効率的な挿入動作を行うことができる。
【0032】
本発明によるシステムの一実施の形態は、鋸歯は、頂点を有し、この頂点は、長手方向において、外側リブがスペースに挿入されていないときに、頂点が、1つの内側リブの最大の交差高さをもつ部分よりも、第一端に近くなるような位置に配置されることを特徴とする。このような実施の形態の利点は、挿入時に、頂点が第端側にわずかに折れ曲がると、頂点と内側リブの最高点の両方がスペース内に一緒に進入することである。
【0033】
挿入時に、外側リブの頂点と、内側リブの最高点とが長手方向において近いほど、挿入動作の進行中に、内側リブの最高点が独立して押付力を増大させる可能性が低くなる。
【0034】
本発明によるシステムの一実施の形態における1つの内側リブは、長手方向に延在し、使用中に少なくとも1本のチューブまたはダクトの1つに当接する当接面を有し、各分割縦部材の外側部は、隣接する2つの外側リブの間に、実質的に長手方向に延在する外面を有し、第1の仮想交差面は、外側部の外面および当接面と交差する。
【0035】
この実施の形態により、内側リブが一層容易に交差方向に押されるという利点が得られる。外面は、内側リブによって外側方向に押される部分のために利用可能なスペースを確保しており、内側リブによって押された部分は、外面に設けられたスペースに押し付けられることになる。これにより、一般に、縦部材が交差方向において容易に「薄く」なることができる。これにより、本発明によるシステムを、システムの挿入および耐圧性に関して最適な寸法とは異なる寸法を持つスペースにも、適用することが可能となる。
【0036】
本発明によるシステムの一実施の形態において、鋸歯は、降下面を有してもよく、第1の交差面は、外面が外側リブの降下面と接する位置で前記外面と交差する。さらに、内側リブは、最大交差高さをもつ部分に向かって延在する斜面を有してもよく、第1の交差面は、斜面が当接面と接する位置で当接面と交差する。
【0037】
発明者は、この実施の形態における外側リブと内側リブは、管状開口、および/またはチューブまたはダクトの寸法が、システムが意図する理想的なものとは異なる場合でも、十分、柔軟に対応できる最適な相対位置関係を有していることを見出した。この場合、システムが維持できる挿入性および圧力が変化することもあるが、システムとしては十分に使用することができる。
【0038】
システムの挿入時に必要で、実感される押付力の増加については、主に外側リブによって決まると説明したが、これは、システムの挿入時に発生する抵抗に関して内側リブが何ら影響を与えないという意味ではない。これについては後に更に詳細に説明する。
【0039】
これより図面を参照して本発明のいくつかの実施の形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態によるシステムの縦部材の断面図である。
【図1.a】図1aは、図1のA部の詳細を示す図である。
【図2.a】図2aは、本発明によるシステムの一実施の形態の概略断面において、第1の部分断面図を示す。
【図2.b】図2bは、第2の部分断面図を示し、図1aに示す縦部材が、管状開口の内壁と、開口に挿入される1本のチューブまたはダクトとの間のスペースに挿入された状態を示す。
【図3】図3は、本発明によるシステムを適用した場合の斜視図である。
【図4】図4は、本発明によるシステムの第2の実施の形態の縦部材の斜視図である。
【図4.a】図4aは、本発明によるシステムの第2の実施の形態の斜視図であり、システムの完全な状態を示す。
【図4.b】図4bは、本発明によるシステムの第3の実施の形態を長手方向Lからみた概略図である。
【図4.c】図4cは、本発明によるシステムの第4の実施の形態を長手方向Lからみた概略図である。
【図4.d】図4dは、本発明によるシステムの第5の実施の形態を長手方向Lからみた概略図である。
【図4.e】図4eは、本発明によるシステムの第6の実施の形態を長手方向Lからみた概略図である。
【図5.a】図5aは、図1の断面図の一部を示し、ある実施の形態に適した寸法を付したものである。
【図5.b】図5bは、図5aのB部の詳細を示す図である。
【図5.c】図5cは、図5aのC部の詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図面において、同様の部分には同様の参照符号を付している。図面中の寸法はミリメートルであり、これらを特定の実施の形態に適用してもよい。別の寸法とすることも可能である。
【0042】
本発明によるシステムは、少なくとも2つの分割縦部材1を備える。このシステムの縦部材1の例を、図1に模式的に示す。このシステムの適用方法を図2aの第1の部分断面図と図2bの第2の部分断面図に示す。このシステムの適用方法を図3の斜視図に模式的に示す。
【0043】
縦部材1は、それぞれ弾性があり、変形可能な材料からなる。さらに、各縦部材1には、長手方向に離間した複数の外側リブ3を有する外側部2が設けられており、利用時に環状接触面4を形成するように構成されている。環状接触面4は、縦部材1によって形成された封止プラグ5と管状開口7の内壁6との間を周方向において封止する(図2a参照)。「離間」とは、リブの実体的な部分が互いにつながっていないという状態を含む。したがって、リブ同士の間にスペースが空くことになる。しかしながら、「離間」はリブ同士が互いに隣接する状態を除外するものではない。各縦部材1には、複数の内側リブ30を有する内側部29が設けられ、利用時に、封止プラグ5とチューブ17との間を周方向において封止する環状接触面31を形成するように構成されている(図2b参照)。チューブ17(ダクトとしてもよい)は開口に挿入されると、開口7の長手方向とチューブ17の長手方向は互いに平行になる。
【0044】
各外側リブ3は、交差方向Tに配置され、内側リブ30よりも長い。
【0045】
各内側リブ30は、台形であることが望ましい。各内側リブ30には、当接面32が設けられている。当接面は長手方向Lに延在し、使用中にチューブ17に接する。各内側リブ30において当接面32の両側には、当接面32から離れるように延びる斜面52が設けられている。各斜面の傾斜は、分割縦部材1の交差方向Tに対して角度γをなし、縦部材1が挿入されると各内側リブ30が実質的に曲がらないように構成されている。挿入動作については、後述する。
【0046】
斜面52の傾斜は、実質的に当接面32から連続しており、ここから、隣接する内側リブ30の斜面と交わる点まで延びている。1つの内側リブ30の斜面52の両側の傾斜は、実質的に同じである。2つの隣接する内側リブ30の斜面52は、共同でV字形の溝を形成する。図示の例では、すべての内側リブの斜面は実質的に同じである。角度γは、60°から80°の範囲内が望ましく、65°から77°の範囲内がより望ましく、70°から75°の範囲内がより一層望ましい。
【0047】
これらの内側リブは、開口内のチューブがシステムが意図する厚さよりも厚いケースにシステムを利用する場合でも、交差方向に比較的容易に押し付けられる。このようなケースでは、厚さの薄いチューブを用いたケースに比べて、接触面が長くなる。環状接触面同士の間が狭くなり、縦部材の内側部の内側リブ同士の間が接触面となる場合もある。このような状況では、チューブは第1の内面53と第2の内面56に接することになる。このようなケースでプラグが維持できる圧力は、環状接触面が互いに離間しているケースに比べてはるかに高い。
【0048】
各縦部材1において、内側部29の第一端37には内側リブ30が設けられていない。第一端37は、最初に挿入される部分である。内側部29の第一端37には、長手方向Lに延在する第1の内面53が設けられている。第1の内面53と、2つの内側リブ30の交点54と、1本の仮想直線VL1上で一致する。
【0049】
各縦部材1において、内側部29の第端55には内側リブ30が設けられていない。第端55は、使用中にも、システムが挿入される開口の外側に出たままである。内側部29の第端55には、長手方向Lに延在する第2の内面56が設けられている。第2の内面55と、2つの内側リブ30の交点54と、1本の仮想直線VL2上で一致する。第二端55付近に内側リブを設けないことで、縦部材と、開口の内壁と、チューブとの間の相互作用によって局所的な変形しか発生せず、使用中に開口の外側に残るプラグの部分にまで影響を与えないようにできる。使用中に開口の外側に残るプラグの部分は、後述するカラー9とフランジ55である。これらの部分は、開口とチューブの間に形成されるスペース内で、力のバランスが保たれていれば、変形しない。
【0050】
本発明によるシステムは、管状開口7の内壁6と、少なくとも部分的に開口7に挿入されるチューブ7、またはダクトとの間のスペース16を塞ぐ2つ以上の分割縦部材1を備え、縦部材の軸は、実質的に開口7の軸と平行である。このシステムにより封止プラグ5を形成し、スペース16内に配置することができる。封止プラグ5によって、チューブ17、またはダクトの周りを密接に囲むようにしてもよい(図2a、2b、3参照)。
【0051】
各分割縦部材1の外側部2において、2つの隣接する外側リブ3の間には、長手方向Lに延在する外面2aが設けられている。
【0052】
図5aに示すように、第1の仮想交差面Iは、外側部2の外面2aおよび内側部29の当接面32と交差する。外面2aおよび当接面32は、同じ仮想交差面Iと交差し、長手方向Lにおいて同様の長さを有する。同じ仮想交差面Iと交差する外面2aおよび当接面32は、長手方向における外面2aおよび/又は当接面32の全長にわたって、並んで配置される。
【0053】
縦部材1の第端55には、使用中に開口7の外側端部10に対向して配置される外側カラー9が設けられている。カラー9はフランジ99の一部であり、フランジ99には、縦部材1を挿入するための力がかけられる。フランジ99は、開口7の外側端部10に対向して配置されるように構成されることが望ましい。フランジの外観は設計者が望むようにどのような形状としてもよい。図4aに例を示す。挿入後、フランジはどのような使用においても目に見えた状態となる。フランジの長手方向の厚さは、安定性を保つことができる寸法である。厚さは、5mm以上であることが望ましく、プラグ自体が大きい場合は厚さも大きくなる。
【0054】
外側リブ3は、それぞれ実質的に鋸歯11の形状を有し、第二端55へ向かって上昇する上昇面12を有する。なお、1つの外側リブのみ、あるいは、全てではないがいくつかの外側リブが鋸歯形状を有するようにすることももちろん可能である。この例では、全ての外側リブが鋸歯形状を有している。鋸歯11の頂点13に隣接する上昇面12の部分14は、頂点13から離れて配置された上昇面12の部分20に対して、長手方向Lと角度をなすレベリング部15を備えている。各上昇面12は、鋸歯11の頂点に隣接する押圧面15を備えている。押圧面15は長手方向Lに対して角度αをなし、角度αは、頂点13から離れて配置された上昇面12の部分21と長手方向Lとのなす角度βよりも小さい。角度αは、どのような状況であっても、ゼロよりも大きい。
【0055】
レベリング部15と、頂点13から離れて配置された上昇面12の部分21との交点22は、上昇面12からせり出した屈曲部23を形成する。この例では、平面同士の交点で屈曲部が形成されているが、面同士の向きに関して、面同士がもっとなだらかに接続する場合の交点で屈曲部を形成することも可能である。
【0056】
鋸歯11の降下面24には、頂点13から比較的離れた位置に部分25が設けられている。部分25は、降下面24の頂点13に隣接する部分26に対して、第二端66に向かって傾斜するように形成されている。鋸歯11の頂点13に隣接する降下面24の部分26は、長手方向Lと角度θをなす。角度θは、頂点13から離れて配置された降下面24の部分25と長手方向Lとがなす角度ωよりも大きい。
【0057】
鋸歯11の頂点13に隣接する降下面24の部分26と、頂点から離れた降下面24の部分との交点27は、降下面24において凹んだ屈曲部28を形成する。上昇面12に設置された屈曲部23は、降下面24に設置された屈曲部28よりも、外側部2に対して離れた位置に配置される。屈曲部23に対して上述した構成は、屈曲部28にも適用される。すなわち、頂点に隣接する降下面の部分と、頂点から離れた降下面の部分とがなだらかに交わる場合の合流点も、本明細書における屈曲部に含まれる。さらに、鋸歯のレベリング部を含む上昇面を設けることなく、降下面に屈曲部を有する鋸歯を設けることも可能である。降下面の種々の形態について、本明細書で述べた上昇面の形態のうちの一つ以上を省略した鋸歯と組み合わせて形成してもよい。
【0058】
図2a、2bは、縦部材1がどのように開口7の内壁6、および少なくとも部分的に開口に挿入されるチューブ17と協働するかの詳細を例示的に示す図である。図2aは、管状開口7の内壁の断面図であり、縦部材1によって形成された封止プラグ5を、管状開口7の半分を省略した状態で見た図である。一般に、管状開口7の外側で、縦部材をチューブ17の周りにしっかりと装着した後、長手方向Lに沿って管状開口7とチューブ17との間のスペース16内にスライドさせる。各縦部材1は、第一端37の外側に導入リブ36を有する。導入リブ36は、第1の外周レベルまで延在する。第1の外周レベルは、交差方向において、各外側リブ3が延在する第2の外周レベルよりも近い(図5b、5cの例参照)。導入リブ36は、一番最初に管状開口7の内壁6に接触する。長手方向Lに押し込まれることで、より多くの内側リブ3が管状開口7の内壁と接触する。とくに、頂点13と、少なくともレベリング部15の表面の一部が内壁6と接する。この挿入時に発生する摩擦力に対抗するために、多くの場合、縦部材、および/または管状開口の内壁、および/またはチューブ17に、例えばワセリン(商標)や軟せっけんといった潤滑剤を塗布することが必要である。とくに、内壁がコンクリートから製造される場合、潤滑剤は高い摩擦力を低減する効果的な解決策である。縦部材は手動で挿入可能であるべきである。しかし、場合によっては、封止プラグ5を管状開口7の長手方向Lのさらに奥に移動させるために、例えばハンマーが必要になることもある。外側カラー9が開口7の外側端部10に接すると、封止プラグ5はそれ以上奥に移動することはできなくなる。すなわち、外側カラーの寸法によって長手方向Lへのさらなる移動ができなくなる。この場合、少なくとも各レベリング部15の表面の一部が管状開口7の内壁6に押しつけられる。
【0059】
図2bも、また、管状開口7の内壁6の断面を示す。管状開口7に挿入された封止プラグ5も、同じ断面図に示されている。チューブ17については、少なくとも部分的に管状開口に挿入された部分のみが示されており、複数の縦部材1から組み立てられた封止プラグ5の内側リブ30によって形成される環状接触面31も示されている。管状開口7に挿入された封止プラグ5を長手方向Lとは反対方向に移動させようとしても、環状接触面31における内側リブ30とチューブ17との摩擦、および少なくとも各レベリング部15の一部と管状開口7の内壁6との間を塞ぐ接触面4において発生する摩擦によって、移動が阻止されることは明らかである。摩擦力は頂点13において最大となる。鋸歯が第二端55方向に圧縮されると、レベリング部15によって接触面4の面積が増大し、これにより、封止プラグを管状開口7から第二端55方向に引き抜くにはより一層大きな力が必要となる。本発明によるシステムから組み立てられた封止プラグ5は、第一端37に少なくとも7barの圧力がかけられた場合にも耐えられることがわかった。
【0060】
図3は、本発明によるシステムを適用した場合の斜視図を示す。ここで、複数の縦部材1から組み立てられた封止プラグ5が、管状開口の内壁と少なくとも部分的に開口に挿入されたチューブ17との間のスペースに挿入されている。チューブ17の軸は、実質的に開口の軸と平行である。封止プラグ5の第1の前端部分に配置された外側カラーが開口の外側端部に当接しているため、開口は見えない。管状開口の外壁50のみが図示されている。この場合、管状開口は、外壁50が図示されているチューブの一部である。ただし、管状開口を壁に形成することも可能である。
【0061】
上述したように、図4は、本発明によるシステムの一実施の形態における1つの縦部材の斜視図を示す。
【0062】
本発明によるシステムは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、あるいはそれ以上の縦部材を有することも可能である。図4aは、2つの縦部材を備えるシステムにおいて、封止プラグとして組み立てられた縦部材1の第二端55を示している。図4b〜4eは、それぞれ本発明によるシステムを、3つ、5つ、6つ、および9つの縦部材から構成した場合の概略図である。各縦部材1は、少なくとも2つの内面41を有し、これらの内面41には、それぞれ長手方向Lに延在し、開口7に挿入された複数のチューブ17の1つを少なくとも部分的に収容できるような凹部42が設けられている。
【0063】
本発明によるシステムの縦部材は、互いに実質的に同じであることが望ましい。
【0064】
図5aは、図1に示した部分と同様の部分の断面図を示す。図5aに示す部分は、直径60mmの開口、および直径28mmのチューブに適したプラグを形成するシステムに好ましい寸法を示している。図5bと図5cは、図5aのB部とC部について可能な寸法の詳細を示す。
【0065】
縦部材の寸法は、開口の寸法と開口に挿入される複数のチューブの寸法に依存することは明らかである。例えば、大きなシステムほど、より多くの内側リブおよび外側リブを設けるようにできる。
【0066】
図5aには、第2の仮想交差面IIがさらに図示されており、これは、2つの隣接する内側リブの間の位置45と、レベリング部15とに交差する。
【0067】
図5aに示すように、複数の内側リブ30のそれぞれは最大の交差方向高さを持つ部分を有する。この部分は、長手方向Lにおいて、縦部材の挿入時に1つの外側リブ30がスペース16に完全に挿入されたときに、最大交差方向高さを持つ部分が少なくとも部分的にスペース16に挿入される、あるいはスペース16に挿入され始めるような位置に配置される。最大交差方向高さを持つ部分は、当接面32としてもよい。しかし、内側リブの交差方向最高点と外側リブとの位置関係は、台形以外の形状を有する内側リブに適用してもよい。外側リブと内側リブの交差方向最高点との長手方向における位置関係を、互いに隣接する内側リブをもたない実施の形態に適用することも可能である。
【0068】
図2a、2bの概略図には、内壁6、チューブ17、および内壁6とチューブ17との間のスペースに挿入されるプラグの間の相互作用を説明する図が示されている。
【0069】
なお、図2a,2bにおいて、降下面24は交差方向に対して厳密に平行であるように示されている。ただし、降下面24は実際には上昇面12とある程度平行であり、挿入時に外側リブと内壁6との間に最初に形成される外側環状接触面は、長手方向において、すぐ後に続く内側リブとチューブ17との間の内側環状接触面とオーバーラップする。
【0070】
このような実施の形態において、さらに、鋸歯が長手方向において次のような位置に頂点13を設けてもよい。すなわち、1つの外側リブ3がスペース16に挿入されていないときに、1つの内側リブ30の最大交差高さを持つ部分よりも頂点13を第一端37側に配置する。縦部材が挿入されると、頂点13は第二端55方向に押し曲げられる。このとき、頂点13と内側リブの最大交差高さ部分が、第端および第一端から同様の距離となるようにしてもよい。すなわち、挿入時に、頂点13が、内側リブの最大交差高さ部分と交差する仮想交差面と交差するようにしてもよい。これにより、挿入時に、外側リブのみが挿入動作に対して抵抗を発生しているように感じられる。縦部材を挿入する作業者は、外側リブの挿入にあわせて押付け力を増加させることができ、作業を行いやすくすることができる。
【0071】
内側リブ30に、長手方向Lに延在し、使用に際してチューブ17に接する当接面32を設けるようにしてもよい。各分割縦部材の外側部は、実質的に長手方向Lに延在する外面2aにおいて隣接する2つの外側リブ3の間に、第1の仮想交差面Iを有する。第1の仮想交差面は、外側部2の外面2aおよび当接面32と交差する。第1の仮想交差面Iは、外面2aが外側リブ3の降下面と接する位置で外面2aと交差するようにしてもよい。
【0072】
内側リブ30に、最大交差高さを有する部分に向かって延在する斜面52を設けてもよい。第1の交差面は、斜面52が当接面32と接する位置で当接面32と交差する。これらの位置関係によって、外側リブをスペースに挿入するときに作業者が作用させる押付力の余剰分を有効に利用することができる。
【0073】
上記では、長手方向の挿入時に、内側リブは挿入時に発生する抵抗には関与していないものとして感じられると説明した。実験によると、確かに、縦部材を挿入するために必要な力は、外側リブが挿入されるときに急激に増加することがわかった。このような力の増加は、内側リブの挿入時には見られなかった。しかし、複数の縦部材が、まだチューブが挿入されていない開口に最初に挿入され、つぎに、複数の縦部材によって開口内に形成されたプラグ内にチューブが押し入れられる場合は、チューブを挿入するために必要な力は、チューブが内側リブを通過するたびに急激に増加する。すなわち、内側リブは、実感されないだけで、抵抗自体は発生している。システムが、理想的に意図する直径よりも小さい直径をもつ開口に適用される場合、この現象は、より顕著に現れる。システムが、理想的に意図する直径よりも大きい直径をもつ開口に適用される場合、この現象は、それほど感じられない。すなわち、内側リブの抵抗は、わずかしか感じられない。システムが、理想的に意図する直径よりも小さい直径をもつチューブが挿入される開口を封止するために適用される場合、内側リブを感じないという現象は、より顕著に現れる。システムが、理想的に意図する直径よりも大きい直径をもつチューブが挿入される開口を封止するために適用される場合、この現象はそれほど感じられない。すなわち、内側リブの抵抗はわずかしか感じられない。
【0074】
本発明によるシステムの別の利点が、これらの実験中に明らかになった。縦部材から形成されるプラグは、チューブがプラグに挿入されたとしても移動しない。この利点は、チューブの軸方向の動きについてだけでなく、軸方向から外れた方向の運動にもあてはまる。本システムは、プラグ内でチューブが移動するようなケースにも、耐圧性やプラグまたはチューブの挿入性を損なうことなく、適用可能である。
【0075】
縦部材1は、通常、少なくともある程度、圧縮性の材料、例えばゴムから製造される。ショアA硬度で、硬度範囲が65〜75°のゴムが望ましく、さらに、68〜72°が望ましく、さらに一層、70°のゴムが望ましい。ゴムの利点は、体積がほとんど変化しないことである。本発明は、ゴムの特性を有効に活用することができる。本発明によるシステムの一実施の形態における縦部材は、使用中に、耐圧性と挿入性を向上させるために、部材によってスペースを強制的に塞ぐようにする。ゴムは、耐火性を有することが望ましい。ゴムは、温度上昇の際に膨張するようにしてもよい。また、シリコンゴムを使用することも可能である。電気伝導性のあるゴムを用いることも可能である。適した材料を用いて製造することにより、システムを気密および水密に構成してもよい。ただし、耐火性は確保しながら、気密および水密構成としてもよい。縦部材1の製造中に、通常は、これに適した成形型を利用する。このような製造処理自体は、知られている。射出成形と圧縮成形の両方を使用可能である。
【0076】
システムの可能性のある利用方法の一例として、WO
2004/111513 A1の図7およびこれに関する明細書の部分を引用する。
【0077】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。すなわち、種々の変形が可能である。外側カラーは、所望のどのような形状としてもよい。例えば、長方形の外側カラーを封止プラグに設けたり、例えば正方形で角を丸く構成してもよい。外側カラーの厚さ、すなわち、外側カラーが長手方向Lに延在する距離は、使用中にも外側カラー付近の封止プラグの形状を維持し、管状開口内に封止プラグが押し込まれることが無いようにすることが望ましい。
【0078】
上述したように、外側リブを互いに隣接するようにしてもよい。これも、離間に含まれると理解される。明示はしていないが、内側リブの形状および/または相対的な位置関係は、外側リブにも適用可能である。
【0079】
封止プラグ5は、実質的に筒状にすることが望ましいが、これから逸脱することも可能である。したがって、システムを、四角形および/又は長方形の管状開口に適したものとすることもできる。多角形の管状開口に適した実施の形態も除外されない。他の非円形、例えば楕円形の環状開口用の実施の形態も、可能である。管状開口に挿入されるケーブル、ダクトまたはチューブに関する適性についても同様である。システムを、例えば、使用中に、断面が円形以外のチューブ等を封止プラグで取り巻くように構成することもできる。必要に応じて、当業者は、本発明の範囲内で寸法を調整したり、状況に合わせた寸法設計を行うことができる。
【符号の説明】
【0080】
1 縦部材
2 外側部
3 外側リブ
4 接触面
5 封止プラグ
6 内壁
7 チューブ
9 カラー
10 外側端部
11 鋸歯
12 上昇面
15 レベリング部
16 スペース
17 チューブ
23 屈曲部
24 降下面
28 屈曲部
29 内側部
30 内側リブ
31 環状接触面
32 当接面
36 導入リブ
50 外壁
99 フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状開口の内壁と、少なくとも部分的に前記開口に挿入される少なくとも1本のチューブまたはダクトとの間のスペースを封止し、前記開口の長手方向と前記少なくとも1本のチューブまたはダクトの長手方向とが互いに実質的に平行になるようにしたシステムであって、
前記スペースに挿入される封止プラグを形成する少なくとも2つの縦部材を有し、
前記縦部材は、それぞれ弾性変形可能な材料からなり、外側部を有し、
前記外側部は、使用中に環状接触面となる長手方向に離間した複数の外側リブを有し、これらの環状接触面は、前記封止プラグと前記開口の前記内壁との間を周方向に塞ぎ、
さらに、前記縦部材にはそれぞれ、内側部が設けられ、前記内側部は、使用中に環状接触面となる複数の内側リブを有し、これらの環状接触面は、前記封止プラグと前記少なくとも1本のチューブまたはダクトとの間を周方向に塞ぎ、
前記外側リブはそれぞれ、交差方向において、前記いずれの内側リブよりも長く、
前記内側リブはそれぞれ、前記長手方向に延在し、使用中に前記少なくとも1本のチューブまたはダクトに当接する当接面を有し、
各内側リブは、前記当接面の両側に、前記当接面から離れるように延在する斜面を有し、
各斜面の傾斜は、前記縦部材の交差方向に対して、前記縦部材が前記スペースに挿入されるときに各内側リブが実質的に曲がらないような角度をなし、
前記複数の内側リブは前記長手方向において互いに隣接し、
隣り合う前記内側リブの隣接位置を通る前記交差方向の仮想交差面は、前記外側リブの中央部を通ることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記斜面の前記傾斜は、前記傾斜が始まる前記当接面から隣接する内側リブの斜面と合流する位置まで、実質的に一定であることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のシステムにおいて、
前記複数の内側リブのうちの1つの内側リブの両側にある前記斜面の前記傾斜は、それぞれ実質的に同じであることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1,2,3のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
2つの隣接する内側リブの2つの斜面は、共同でV字形の溝を形成することを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載のシステムにおいて、
すべての傾斜は実質的に同じであることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記角度は、60〜80度の間であることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1から請求項6いずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記縦部材のそれぞれは、前記開口に最初に挿入される第一端の前記内側部に内側リブを設けていないことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムにおいて、
前記第一端において、前記内側部は、前記長手方向に延在する第1の内面を有することを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムにおいて、
前記第1の内面と、2つの内側リブの交点とは、1本の仮想直線上で一致することを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記縦部材のそれぞれは、使用中に前記開口から外側に出たままとなる第二端の前記内側部に内側リブを設けていないことを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、
前記第二端において、前記内側部は、前記長手方向に延在する第2の内面を有することを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムにおいて、
前記第2の内面と、2つの内側リブの交点とは、1本の仮想直線上で一致することを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
各縦部材の前記外側部は、隣接する2つの外側リブの間に、前記長手方向に延在する外面を有することを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムにおいて、
第1の仮想交差面は、前記外側部の外面および前記内側部の当接面と交差することを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムにおいて、
同じ仮想交差面と交差する外面および当接面は、前記長手方向において同様の長さを有することを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項14または請求項15に記載のシステムにおいて、
同じ仮想交差面と交差する前記外面、および/または前記当接面の、前記長手方向における全長にわたって、前記外面と前記当接面は互いに並んで配置されることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記縦部材はそれぞれ、第二端に、使用中に前記開口の外側端部に対向して配置される外側カラーを有し、
さらに、前記複数の外側リブの少なくとも1つは、前記第二端に向かって上昇する上昇面を備え、実質的に鋸歯形状を有することを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムにおいて、
前記鋸歯の頂点に隣接する前記上昇面の部分には、前記頂点から離れて配置された前記上昇面の部分に対してレベリング部が設けられ、
前記レベリング部は前記長手方向に対して角度をなすことを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムにおいて、
隣り合う前記内側リブの隣接位置を通る前記交差方向の仮想交差面は、前記レベリング部に交差することを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記縦部材のそれぞれは、前記開口に最初に挿入される第一端と、使用中に前記開口から外側に出たままとなる第二端とを有し、
前記複数の外側リブの少なくとも1つは、前記第二端に向かって上昇する上昇面を備え、実質的に鋸歯形状を有し、
前記複数の内側リブの1つは、最大の交差方向高さをもつ部分を有し、この部分は、前記縦部材の挿入時に、前記第一端に最も近い鋸歯形状の外側リブが前記スペースにちょうど完全に挿入されたとき、少なくとも部分的に前記スペースに挿入される、あるいは前記スペースに挿入され始める位置に設けられることを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項20に記載のシステムにおいて、
前記鋸歯は、頂点を有し、この頂点は、前記長手方向において、外側リブが前記スペースに挿入されていないときに、前記頂点が、前記1つの内側リブの最大の交差高さをもつ前記部分よりも、前記第一端に近い位置に配置されることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項20または請求項21に記載のシステムにおいて、
前記1つの内側リブは、前記長手方向に延在し、使用中に前記少なくとも1本のチューブまたはダクトの1つに当接する当接面を有し、
各縦部材の前記外側部は、隣接する2つの外側リブの間に、実質的に前記長手方向に延在する外面を有し、
第1の仮想交差面は、前記外側部の外面および前記当接面と交差することを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項22に記載のシステムにおいて、
前記鋸歯は、降下面を有し、前記第1の交差面は、前記外面が前記外側リブの前記降下面と接する位置で前記外面と交差することを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項22または請求項23に記載のシステムにおいて、
前記内側リブは、前記最大交差高さをもつ前記部分に向かって延在する斜面を有し、
前記第1の交差面は、前記斜面が前記当接面と接する位置で前記当接面と交差することを特徴とするシステム。

【図1】
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【図1.a】
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【図2.a】
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【図2.b】
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【図3】
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【図4】
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【図4.a】
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【図4.b】
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【図4.c】
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【図4.d】
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【図4.e】
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【図5.a】
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【図5.b】
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【図5.c】
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【公開番号】特開2013−47568(P2013−47568A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−232094(P2012−232094)
【出願日】平成24年10月19日(2012.10.19)
【分割の表示】特願2008−520799(P2008−520799)の分割
【原出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(505338545)
【Fターム(参考)】