説明

管状雄型連結具の製造装置

【課題】長尺体の一方の端部に装着された管状弾性部材に接続部材を挿着して成る管状雄型連結具を製造することのできる管状雄型連結具の製造装置を提供すること。
【解決手段】長尺体51の一方の端部に装着された軸孔を有する管状弾性部材54に、前記軸孔に挿着される第1膨出端部67とこれよりも中央部寄りに形成された鍔部68とを有する接続部材55を、挿着して成る管状雄型連結具の製造装置であって、第1膨出端部67の反対側端部69を収納する収納部11を有し、接続部材55をその軸線Cに沿って起立状態に支持する支持部材4と、軸線方向への変位を規制した状態に管状弾性部材54を保持する固定部21を有して成り、第1膨出端部67と開口部61aとが対向するように管状弾性部材54を配置する固定部材5と、支持部材4及び/又は固定部材5を他方に向けて押進する押進部材とを備えて成ることを特徴とする管状雄型連結具の製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、管状雄型連結具の製造装置に関し、さらに詳しくは、長尺体の一方の端部に装着された管状弾性部材に接続部材を挿着して成る管状雄型連結具を製造することのできる管状雄型連結具の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、ネックレス、ブレスレット、ストラップ及びチョーカー等の長尺状の装飾品(この発明において、長尺状装飾品と称する。)には、端部同士の連結等を目的として、長尺体の端部に連結具等が装着されている。このような連結具は、通常、長尺体の一方の端部に装着され突起部を有する雄型連結具と長尺体の他方の端部に装着され前記突起部と係合する凹部を有する雌型連結具とからなり、雄型連結具と雌型連結具とを着脱自在に係合させることで、長尺体の両端部を互いに連結することができるように、なっている。このような連結具は、身体への傷害防止のため、身体に接触する部分をゴム等の弾性材料で形成されることが多い。
【0003】
前記雌型連結具の一例として、例えば図7及び図8に示される管状雄型連結具52が挙げられる。この管状雄型連結具52は、管状弾性部材54と、この管状弾性部材54に挿着され、管状弾性雌型連結具53に挿脱自在に挿嵌される接続部材55とを有して成る。この管状雄型連結具52を組立てるには、例えば、管状弾性部材54を長尺体51の一方の端部に装着した後に管状弾性部材54に接続部材55を挿着する方法がある。
【0004】
この方法を実施するにあたって、管状弾性部材を長尺体の一方の端部に装着するための方法及び装置として、例えば、特許文献1に記載された「カバーの固着方法及びその装置」等を利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4015601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、長尺体の一方の端部に装着された管状弾性部材に接続部材を挿着する方法及び装置については、これまでのところ殆ど知られてなく、手作業により接続部材を管状弾性部材に圧入する方法が考えられるにすぎない。
【0007】
この発明は、長尺体の一方の端部に装着された管状弾性部材に接続部材を挿着して成る管状雄型連結具を製造することのできる管状雄型連結具の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、長尺体の一方の端部に装着された軸孔を有する管状弾性部材に、前記軸孔に挿着される第1膨出端部と第1膨出端部よりも中央部寄りに形成された鍔部とを有する接続部材を、挿着して成る管状雄型連結具の製造装置であって、前記第1膨出端部の反対側端部を収納する収納部を有し、前記接続部材をその軸線に沿って起立状態に支持する支持部材と、前記管状弾性部材の軸線方向への変位を規制した状態に前記管状弾性部材を保持する固定部を有して成り、支持された前記接続部材の前記第1膨出端部に対して前記軸孔の開口部が対向するように前記管状弾性部材を配置する固定部材と、前記接続部材の前記軸線方向に沿って移動可能に配置された前記支持部材及び/又は前記固定部材を他方に向けて押進する押進部材とを備えて成ることを特徴とする管状雄型連結具の製造装置であり、
請求項2は、前記収納部は、前記固定部材に向かって開口する開口部と、この開口部の近傍に形成され、前記鍔部の外周面に接する内周面とを備え、前記開口部から少なくとも前記第1膨出端部が突出する深さを有する収納凹部であることを特徴とする請求項1に記載の管状雄型連結具の製造装置であり、
請求項3は、前記収納部は、前記支持部材における前記保持部材側の表面から前記収納部の軸線に沿って突出すると共に先端に向かって徐々に外径が小さくなる錐台状突出部に、凹設されて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の管状雄型連結具の製造装置であり、
請求項4は、前記固定部は、前記管状弾性部材の外面に当接して、その軸線方向への変位を規制する規制部と、前記管状弾性部材を狭持又は収容して、前記規制部で規制された状態に前記管状弾性部材を保持する保持部とを有して成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の管状雄型連結具の製造装置であり、
請求項5は、前記固定部は、前記接続部材の前記軸線に沿って貫通すると共に前記固定部材の側面に開口する縦溝状固定部であり、この縦溝状固定部は、前記支持部材側の表面に開口すると共に前記軸線に沿って延在し、前記管状弾性部材を収容して保持する保持溝と、前記管状弾性部材の外径よりも小さな溝幅で前記保持溝と軸線を共有するように前記保持溝から前記表面と反対側の表面まで延在し、前記長尺体を収容する狭小溝とを有し、前記保持溝と前記狭小溝との連設段差部が前記管状弾性部材の端面に当接する前記規制部として機能することを特徴とする請求項4に記載の管状雄型連結具の製造装置であり、
請求項6は、前記固定部材に前記接続部材の前記軸線に沿って形成され、前記支持部材に向かって開口する案内凹部と、前記支持部材における前記保持部材側の前記表面から前記保持部材に向かって突出形成され、前記案内凹部に嵌脱自在な案内突部とを有する案内部材を備えて成ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の管状雄型連結具の製造装置である。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、前記支持部材と前記固定部材と前記押進部材とを備え、管状弾性部材における軸孔の開口部と接続部材の第1膨出端部とが対向するように配置された状態を維持したまま、前記支持部材及び/又は前記固定部材を他方に向けて押進することができるから、管状弾性部材における軸孔に接続部材の第1膨出端部を圧入して所望の管状雄型連結具を組立てることができる。
【0010】
したがって、この発明によれば、長尺体の一方の端部に装着された管状弾性部材に接続部材を挿着して成る管状雄型連結具を製造することのできる管状雄型連結具の製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、この発明に係る管状雄型連結具の製造装置の一例を示す概略右側面図である。
【図2】図2は、この発明に係る管状雄型連結具の製造装置の一例における支持部材と固定部材との配置状態の一例を示す概略正面図である。
【図3】図3は、この発明に係る管状雄型連結具の製造装置の一例における支持部材を示す概略図であり、図3(a)はこの発明に係る管状雄型連結具の製造装置の一例における支持部材を示す概略上面図であり、図3(b)はこの発明に係る管状雄型連結具の製造装置の一例における支持部材を示す概略正面図であり、図3(c)は、この支持部材の収納部を示す拡大図である。
【図4】図4は、この発明に係る管状雄型連結具の製造装置の一例における固定部材を示す概略図であり、図4(a)はこの発明に係る管状雄型連結具の製造装置の一例における固定部材を示す概略正面図であり、図4(b)はこの発明に係る管状雄型連結具の製造装置の一例における固定部材を示す概略上面図であり、図4(c)はこの発明に係る管状雄型連結具の製造装置の一例における固定部材を示す概略底面図である。
【図5】図5は、この発明に係る管状雄型連結具の製造装置の一例における支持部材に接続部材を支持させた状態を示す説明図である。
【図6】図6は、この発明に係る管状雄型連結具の製造装置の一例における固定部材に保持固定された管状弾性部材と、この発明に係る管状雄型連結具の製造装置の一例における支持部材に支持された接続部材とを対向させた状態を示す説明図である。
【図7】図7は、管状雄型連結具及び管状弾性雌型連結具を備えて成る管状雄型連結具の一例である磁気ネックレスの連結状態を示す概略正面図である。
【図8】図8は、管状雄型連結具及び管状弾性雌型連結具を備えて成る管状雄型連結具の一例である磁気ネックレスの断面を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明に係る長尺状装飾品の製造装置によって製造される長尺状装飾品は長尺体の端部に連結具を装着して成る。すなわち、長尺状装飾品は、長尺体と、この長尺体の一方の端部に装着され突起部を有する雄型連結具と、前記長尺体の他方の端部に装着され前記突起部が挿脱自在に挿嵌される凹部又は穴部を有する雌型連結具とを備えている。このような長尺状装飾品として、例えば、ネックレス(この発明において磁気ネックレスを含む。)、ブレスレット(この発明において磁気ブレスレットを含む。)、ストラップ、チョーカー等が挙げられ、長尺状装身具と称することもできる。
【0013】
前記長尺体は、軸線方向に延在して前記長尺状装飾品を構成可能な長尺体であればよく、ゴム、繊維等で形成される屈曲自在な長尺体であっても、金属、プラスチック等で形成される屈曲しない又は屈曲しにくい長尺体であってもよい。このような長尺体として、例えば、ゴム磁石が樹脂で被覆されてなる屈曲自在な長尺体等が好適に挙げられる。この長尺体は用途等に応じて適宜の外径及び軸線長さに調整される。
【0014】
前記連結具としては、長尺体の両端部それぞれに装着され、その両端部を連結可能な部材であればよく、例えば、前記雄型連結具と前記雌型連結具とからなり、雄型連結具と雌型連結具とを着脱自在に係合させることで長尺体の両端部を互いに連結することができる連結具が挙げられる。このような連結具は、例えば、管体、楕円体、球体等の形状に成形され、身体への傷害防止のため、身体に接触する部分がゴム等の弾性材料で形成されている。前記雌型連結具としては、例えば、その軸線方向に貫通し前記長尺体が内挿される軸孔を有する管状体等が挙げられ、前記管状雄型連結具としては、例えば、前記軸孔に挿脱自在に挿嵌される突起部を先端部に有し、前記長尺体が内挿される軸穴を有する管状体等が挙げられる。前記雌型連結具及び前記管状雄型連結具が弾性を有している場合には、前記雌型連結具及び前記管状雄型連結具それぞれは、長尺体の外径よりも小さな径の前記軸孔及び前記軸穴を有し、自身の弾性力で長尺体の端部に固着する。
【0015】
この発明に係る管状雄型連結具の製造装置によって好適に製造される管状雄型連結具を備えた長尺状装飾品として、ゴム磁石が樹脂で被覆されてなる長尺体の端部に管状雄型連結具及び雌型連結具が装着された磁気治療具、例えば、磁気ネックレス及び磁気ブレスレット等が挙げられる。
【0016】
前記磁気ネックレスとしては、例えば、図7及び図8に示されるように、長尺体51と、長尺体51の一方の端部に装着された管状弾性部材54、及び、この管状弾性部材54に挿着され、長尺体51の他方の端部に装着された管状弾性雌型連結具53に挿脱自在に挿嵌される接続部材55を有する管状雄型連結具52とを備えて成る磁気ネックレス50が挙げられる。換言すると、この前記磁気ネックレス50は、長尺体51と、長尺体51の他方の端部に装着された管状弾性雌型連結具53と、長尺体51の一方の端部に装着された管状弾性部材54及びこの管状弾性部材54に挿着され前記管状弾性雌型連結具53に挿脱自在に挿嵌される接続部材55からなる管状雄型連結具52とを備えて成る。
【0017】
この磁気ネックレス50は、図7に示されるように、管状雄型連結具52の接続部材55を管状弾性雌型連結具53の軸孔61に内挿してこれらを挿嵌することによって長尺体51の両端を連結し、環状にして使用される。
【0018】
前記長尺体51は、ゴム磁石が樹脂で被覆されて成り、その一方の端部が管状雄型連結具52に内装され、他方の端部が管状弾性雌型連結具53に内装されている。この長尺体51は、磁石材料がゴムに分散し、一方向に延在してなる長尺状のゴム磁石が樹脂で被覆されている。ゴム磁石はゴムと磁石材料例えばフェライトとの混合物であり、ゴムと磁石材料との混合比率は磁石材料が80〜95質量%、ゴムが5〜20質量%であるのが好ましい。前記範囲の混合比率でゴム磁石が形成されていると、適当な可撓性を得ることができるので身体に装着しやすく、また、磁束密度を適切な範囲内で強くすることができるので健康増進効果が高くなる。前記ゴム及び前記磁石材料は公知のものを特に制限されることなく使用される。このゴム磁石の断面は直径約3〜8mmの円形に成形されている。前記樹脂は、公知のものを特に制限されることなく使用され、例えば、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。前記樹脂からなる樹脂層は、例えば、約0.1〜0.5mmの厚さを有している。このように長尺体51はゴム磁石及び樹脂層からなる線条中実体ともいうことができる。
【0019】
前記長尺体51の横断面において、磁石材料の粒子例えばフェライト粒子を同一方向、例えば断面上方向に磁化すると仮定すると、磁石材料の粒子同士の隣接するN極とS極が打ち消され、長尺体51の任意の横断面において仮想的に磁化される。磁化の方向は、N極から出る磁力線の向きが長尺体51の長さ方向で、例えば、互い違いであったり、螺旋状であったり、ランダムに変化するなど異なる向きであってよく、磁気効果が高くなるように変化を与えることができる。磁化の強さとして、長尺体51の表面における磁束密度が40〜70ミリテスラの範囲に調整されるのが好ましい。
【0020】
前記管状雄型連結具52は、管状弾性部材54と、この管状弾性部材54に挿着され、管状弾性雌型連結具53に挿脱自在に挿嵌される接続部材55とを有している。換言すると、前記管状雄型連結具52は、例えば、前記磁気ネックレス50を構成する長尺体51の一方の端部に装着された軸孔61を有する管状弾性部材54に、この軸孔61に挿着される第1膨出端部67と第1膨出端部67よりも軸線方向の中央部寄りに形成された鍔部68とを有する接続部材55を、挿着して組立てられている。
【0021】
前記管状弾性部材54は、図8に示されるように、弾性を有する弾性材料、例えば、ゴム等で、その軸線に沿って貫通する軸孔61を有する管状体に形成され、長尺体51の一方の端部に装着される。管状弾性部材54は、その一部が一方の端部に向かって外径が徐々に小さくなる円錐台部を有する筒状体であってもよく、その全体が均一な外径を有する筒状態であってもよい。この例において、管状弾性部材54はシリコーンゴムで形成された、その一部が一方の端部に向かって外径が徐々に小さくなる円錐台部を有する筒状体になっている。
【0022】
前記軸孔61は、図8に示されるように、内径が縮小又は拡大する内径変化部を2箇所有し、管状弾性部材54をその軸線に沿って貫通している。すなわち、軸孔61は、長尺体51の端部を内装して弾力的に保持すると共に後述する接続部材55の第1膨出部67を内装する第1軸孔62と、この第1軸孔62よりも小径で接続部材55の軸66を保持する第2軸孔63と、接続部材55の鍔部68を収容する第3軸孔64とが管状弾性部材54の軸線を共有してこの順で連設されてなり、前記第1軸孔62が管状弾性部材54の一方の端部に開口し、第3軸孔64が管状弾性部材54の他方の端部に開口している。第1軸孔62は第1膨出部67を収容可能で長尺体51の外径よりも小さな内径を有し、第2軸孔63は第1軸孔62の内径よりも小さく軸66を収容可能な内径を有し、第3軸孔64は第2軸孔63よりも大きく鍔部68を収容可能な内径を有している。
【0023】
接続部材55は、第1膨出部67が前記管状弾性部材54に挿着されて、管状弾性部材54から突出する軸66及び第2膨出部69が後述する管状弾性雌型連結具53の軸孔61に挿脱自在に挿嵌される。この接続部材55は、図8に示されるように、剛性を有する材料、例えば、金属、樹脂等で、その軸線略中央部に鍔部68を有する所謂「亜鈴状」に形成されている。すなわち、接続部材55は、一方向に延在する断面略円形の軸66と、軸66の一方の端部に外周面が半径方向に膨出する第1膨出部67と、軸66の他方の端部に外周面が半径方向に膨出する第2膨出部69と、第1膨出部67及び第2膨出部69の間の軸66に軸線に垂直に張出すリング状の鍔部68とを有している。接続部材55は、このように、第1膨出端部67と、この第1膨出端部67よりも接続部材55の軸線方向における中央部寄りに形成された鍔部68とを有しており、第1膨出端部67の反対側端部が前記第2膨出部69になっている。前記軸66は、管状弾性部材54に挿着可能で、管状弾性雌型連結具53に挿脱自在に挿嵌可能な軸線長さ及び外径を有している。特に、第1膨出部67と鍔部68との間の部分が前記第2軸孔63に収容可能な外径及び軸線長さを有し、鍔部68と第2膨出部69との間の部分が管状弾性雌型連結具53に挿嵌され、その第3軸孔64及び第2軸孔63に収容可能な軸線長さ及び外径を有している。すなわち、第1膨出部67と鍔部68との間の部分は第2軸孔63の軸線長さと略同一の軸線長さを有し、鍔部68と第2膨出部69との間の部分は管状弾性雌型連結具53の第2軸孔63及び第3軸孔64の合計軸線長さと略同一の軸線長さを有している。
【0024】
第1膨出部67は、先端が円錐台形状を成す円筒状に形成され、その鍔部68側の端面が管状弾性部材54に挿着又は嵌装されたときに第1軸孔62と第2軸孔63との内径差による段差部に係止するようになっている。
【0025】
鍔部68は、管状弾性部材54に挿着又は嵌装されたときに第3軸孔64に収容され、その第1膨出部67側の端面が第2軸孔63と第3軸孔64との内径差による段差部に係止するようになっている。すなわち、前記第1膨出部67と鍔部68とが軸孔61に挿嵌されることによって、連結部材55の軸線方向の位置が決定される。
【0026】
第2膨出部69は、先端が半球形状を成す円筒状に形成され、管状弾性雌型連結具53に挿嵌されたときに、その第3軸孔64及び第2軸孔63を通過して第1軸孔62に到達し、鍔部68側の端面が第1軸孔62と第2軸孔63との内径差による段差部に係止して管状雄型連結具52と管状弾性雌型連結具53とを連結させる。軸66、第1膨出部67、鍔部68及び第2膨出部69は管状弾性部材54又は管状弾性雌型連結具53に収容される程度の寸法を有していればよく、管状弾性部材54の軸孔61又は管状弾性雌型連結具53の軸孔61の径よりもわずかに大きな外径を有しているのがこれらの弾性力によって保持されるので好ましい。接続部材55において、前記鍔部68の外径は前記第2膨出部69の最大外径と略同一で前記第1膨出部67の最大外径よりも小さくなっている。このように前記第1膨出部67が第2膨出部69よりも大きな最大外径を有しているから、管状雄型連結具52と管状弾性雌型連結具53とを連結及び脱離しても接続部材55は管状弾性部材54に挿着された状態を保持する。
【0027】
前記管状弾性雌型連結具53は、図8に示されるように、弾性を有する前記弾性材料等でその軸線に沿って貫通する軸孔61を有する管状体に形成され、長尺体51の他方の端部に装着される。この管状弾性雌型連結具53は、前記管状弾性部材54と基本的に同様である。すなわち、管状雄型連結具52は管状弾性雌型連結具53と接続部材55とから構成されているということもできる。したがって、磁気ネックレス50は長尺体51の両端部それぞれに装着された管状弾性部材54を備え、一方の管状弾性部材54を管状弾性雌型連結具53とし、他方の管状弾性部材54に接続部材55を挿着して管状雄型連結具52としている。
【0028】
前記長尺状装飾品の一例としての図7及び図8に示される前記磁気ネックレス50に装着されている管状雄型連結具52を製造することのできる、この発明に係る管状雄型連結具の製造装置(以下、この発明に係る製造装置と称することがある。)を、図面を参酌して、具体的に説明する。なお、この発明に係る製造装置は、前記接続部材55が管状弾性部材54に挿着されて成るところの、前記磁気ネックレス50以外の前記長尺状装飾品に装着される管状雄型連結具も製造できることはいうまでもない。
【0029】
この発明に係る製造装置における一実施例の管状雄型連結具の製造装置1(単に製造装置1と称することがある。)は、図1〜図4に示されるように、支持部材4と固定部材5と押進部材6と基台8と支柱9とを備えて成る。この製造装置1は、例えば図2〜図4に示されるように、4つの管状雄型連結具52を一列に配列して一挙に製造できるように構成されている。なお、図1〜図6において、起立状態に支持された接続部材55の鍔部68から第1膨出部67に向かう方向及びその延長方向を「上方」又は「前方」と称し、接続部材55の鍔部68から第2膨出部69に向かう方向及びその延長方向を「下方」又は「後方」と称する。
【0030】
前記基台8は、図1に示されるように、支持部材4を所定の位置に載置すると共に後述する支柱9を支持する台座であり、所望の形状及び寸法に形成されている。前記支柱9は、前記基台8に略垂直に立設され、後述する押進部材6を前記支柱9の軸線方向に前後進可能に支持する。支柱9は、円柱状を成し、後述する固定部材5の幅方向略中央の後方に1本設けられている。
【0031】
前記支持部材4は、図2及び図3に示されるように、接続部材55における第1膨出端部67の反対側端部すなわち第2膨出端部69を収納する収納部11を有し、例えば図5に示されるように、接続部材55の軸線Cに沿って、前記第2膨出端部69を下方側とし、第1膨出端部67を上方側とする起立状態に接続部材55を支持する。製造装置1においては、支持部材4は所定の間隔で4つの収納部11が同一直線状に配列されている。
【0032】
前記収納部11それぞれは、このように接続部材55を支持することができればよく、製造装置1においては、後述するように円筒状の収納凹部12とされている。前記収納凹部12は、より具体的には、図3(c)に示されるように、管状弾性部材54における軸孔61の開口部61a(図6参照。)と第1膨出端部67とが対向するように支持部材4及び固定部材5が配置されたときに、固定部材5に向かって開口する開口部14と、この開口部14の近傍に形成され、前記鍔部68の外周面に接する内周面15とを備えてなる円筒状凹部である。
【0033】
前記開口部14は、前記円筒状凹部の開口であって、第2膨出部69及び鍔部68が通過可能な開口径を有していればよく、この例においては、鍔部68の外径と略同一の開口径を有している。前記内周面15は、前記開口径14の近傍であって接続部材55を収納凹部12に収納したときに接続部材55の鍔部68に接する位置に形成されていればよく、この例においては、前記開口部14を起点にして収納凹部12の深さ方向に形成されている。前記内周面15は収納凹部12における開口部14側内表面ということもできる。前記円筒状凹部すなわち収納凹部12は、底面を有する有底穴であって、その深さは接続部材55を収納したときに開口部14から第1膨出端部67が突出する深さに調整されている。この例においては、図5及び図6に示されるように、接続部材55における鍔部68の一部と第1膨出部67と鍔部68及び第1膨出部67に介在する軸66とが前記開口部14から突出する深さに調整されている。このように、前記収納凹部12は、接続部材55における第2膨出部69から鍔部68の第2膨出部69寄りの一部までを収納する。
【0034】
収納凹部12がこのように形成されていると、前記内周面15が鍔部68に接することによって接続部材55の軸線Cが変位することを防止しつつ、開口部14から少なくとも第1膨出端部67が突出するように接続部材55を起立状態に支持することができる。なお、前記開口部14は収納部11の軸線に対して垂直に開口している。
【0035】
前記構成を有する収納部11は、例えば図2及び図6に示されるように管状弾性部材54における軸孔61の開口部61aと第1膨出端部67とが対向するように配置されたときに、支持部材4における固定部材5側の表面16、すなわち、支持部材4の前記上方側に位置する表面16から収納部11の軸線すなわち前記軸線Cに沿って突出すると共に先端に向かって徐々に外径が小さくなる錐台状突出部13に、凹設されて成る。この錐台状突出部13は、略円錐台状を成しており、その先端面には前記開口部14が開口し、軸線を共有するように収納部11が形成されている。したがって、錐台状突出部13の先端面の径は開口部14と同一又はわずかに大きくなっており、錐台状突出部13の突出量は収納部11の深さと同一又はわずかに大きくなっている。収納部11が錐台状突出部13に凹設されていると、後述するように、第1膨出部67を管状弾性部材54の軸孔61に圧入しやすくなる。特に、鍔部68の一部を収納凹部12に収納しても、錐台状突出部13を介して鍔部68に管状弾性部材54を外装することができる。
【0036】
前記固定部材5は、図2及び図4に示されるように、管状弾性部材54の軸線方向への変位を規制した状態に管状弾性部材54を保持する固定部21を有して成り、例えば図6に示されるように、前記支持部材4で支持された接続部材55の第1膨出端部67に対して管状弾性部材54における軸孔61の開口部61aが対向するように管状弾性部材54を配置する。この固定部材5は、好ましくは、図6に示されるように、接続部材55の軸線C上に管状弾性部材54を配置する。
【0037】
前記固定部材5は、具体的には、図2及び図4に示されるように、後述する固定部21が形成される四角柱体とこの四角柱体の両端部にこの四角柱体よりも高い四角柱体が連結した形状になっている。換言すると、固定部材5は、横長の四角柱体における中央部に固定部21が形成される凹部を有する形状になっている。
【0038】
前記両端部の高い四角柱特にその上方側表面は、図2に破線で示されるように、後述する押進部材6の押圧板38が当接する被押圧部となっている。この四角柱が固定部21を形成する四角柱体よりも高くなっていると、図2に破線で示されるように、長尺体51の一方の端部に装着された管状弾性部材54を前記固定部21で保持して前記支持部材4側に固定部材5を相対的に押圧するときに、固定部材5を速やかに押進させると共に、固定部材5と押圧板38とで長尺体51を挟んで損傷させることを防止することができる。
【0039】
製造装置1において、固定部材5は前記収納部11に対応する4つの固定部21が同一直線状に配列されている。すなわち、固定部材5は、前記収納部11それぞれの軸線cを共有するように略平行に形成された、前記収納部11と同数の固定部21を有している。
【0040】
前記固定部21それぞれは、前記のように管状弾性部材54を固定することができればよく、製造装置1においては、管状弾性部材54の外面に当接して、その軸線方向への変位を規制する規制部22と、管状弾性部材54を狭持又は収容して、規制部22で規制された状態に管状弾性部材54を保持する保持部23とを有して成る。固定部21がこのような規制部22及び保持部23を有していると、管状弾性部材54をその軸線方向への変位を規制した状態に保持することができる。
【0041】
前記固定部21は、より具体的には、図2、図4及び図6に示されるように、管状弾性部材54における前記軸孔61の開口部61a(図6参照。)と接続部材55の第1膨出端部67とが対向するように配置されたときに、接続部材55の軸線Cに沿って前記四角柱体を貫通すると共に前記固定部材5の側面に前記軸線Cに沿って開口する縦溝状の固定部(縦溝状固定部と称する。)25とされている。
【0042】
この縦溝状固定部25は、固定部材5における前記支持部材4側の表面29aに開口すると共に接続部材55の前記軸線Cに沿って延在し、前記管状弾性部材54を収容して保持する保持溝26と、管状弾性部材54の外径よりも小さな溝幅で保持溝26と軸線を共有するように保持溝26から前記表面29aと反対側の表面29bまで延在し、前記長尺体51を収容する狭小溝27とを有している。このように、固定部21は、支持部材側の表面29aからその反対側の表面29bまで保持溝26と狭小溝27とが前記軸線Cに沿って連設され、保持溝26は管状弾性部材54をその軸線方向に沿って収容又は内装して保持し、狭小溝27は前記長尺体51を収容する。
【0043】
前記保持溝26は、前記軸線Cに垂直な断面が管状弾性部材54の断面と同一の略円形であり、その径が均一な円柱状空間となっている。前記保持溝26は、その内径が管状弾性部材54の外径と略同一又はその外径よりもわずかに小さくなっており、その軸線長さが管状弾性部材54の軸線長さよりも短くなっている。したがって、管状弾性部材54は、例えば図6に示されるように、その一部が保持溝26の開口すなわち固定部材5の表面29aから突出するように、自身の軸線方向に沿って保持溝26に収納される。このとき、保持溝26の内径が管状弾性部材54の外径よりもわずかに小さくなっていると、保持溝26、換言すると、その内周面は、管状弾性部材54をその外周面からその軸線方向に向かって圧縮保持して、管状弾性部材54の保持部として機能すると共に、管状弾性部材54の軸線方向への変位を規制する規制部としても機能する。
【0044】
前記狭小溝27は、例えば図4に示されるように、前記軸線Cに垂直な断面が矩形であり、その幅が均一な柱状空間となっている。前記狭小溝27は、管状弾性部材54の外径よりも小さく前記長尺体51の外径と略同一又はその外径よりもわずかに大きな幅を有しており、長尺体51が通過可能になっている。したがって、長尺体51は、狭小溝27内をその軸線に沿って移動可能になっている。
【0045】
前記保持溝26と前記狭小溝27とが軸線を共有して連設又は連通して成る縦溝状固定部25において、保持溝26と狭小溝27との連設段差部28は、管状弾性部材54における前記開口部61aと反対側の後方端面56(図6及び図8参照。)に当接して、管状弾性部材54の軸線方向への変位を規制する規制部22として機能する。
【0046】
前記縦溝状固定部25は、図4によく示されるように、前記保持溝26及び前記狭小溝27からこれらの軸線に沿って固定部材5の側面に開口する開口部24を有している。この開口部24は、前記側面に向かって幅が徐々に大きくなる逆テーパ状になっており、長尺体51の前記縦溝状固定部25内への収納を案内する案内部とも称することができる。したがって、開口部24は、長尺体51の収納を案内できればその形状、最大幅等は特に限定されない。この例において、前記縦溝状固定部25は、その軸線に垂直な断面において、略円形断面を有する前記保持溝26と、矩形断面を有する前記狭小溝27と、保持溝26及び狭小溝27から固定部材5の側面に向かってその幅が徐々に大きくなる開口部24とを有している。
【0047】
前記製造装置1は、図2に示されるように、接続部材55の軸線C方向に沿って移動可能に配置された前記支持部材4及び/又は前記固定部材5の前記移動を案内する案内部材7を備えている。この案内部材7は、図1及び図2に示されるように、管状弾性部材54における軸孔61の開口部61aと第1膨出端部67とが対向するように支持部材4及び固定部材5が配置された状態において、前記固定部材5の両端部に形成された四角柱の前記被押圧部に前記軸線Cに沿って形成され、前記支持部材4に向かって開口する案内凹部31と、前記支持部材4における前記固定部材5側の前記表面16から前記固定部材6に向かって突出形成され、前記案内凹部31に嵌脱自在な案内突部33とを有してなる。製造装置1がこのような案内部材7を有していると、前記支持部材4及び/又は前記固定部材5の前記軸線C方向への移動時に、前記軸線Cからわずかにすれても、このずれを効果的に修正して、管状弾性部材54への接続部材55の挿着がより正確に実施できる。
【0048】
前記案内凹部31は、前記被押圧部に凹設されていれば、有底穴であってもよく、この例において、図3に示されるように、前記被押圧部の軸線方向に貫通する貫通凹部とされている。この案内凹部31の形状、寸法等は特に限定されない。前記案内突部33は、図2及び図4に示されるように、前記案内凹部31と軸線を共有するように前記支持部材4の前記表面16から前記軸線Cに沿って突出し、4つの前記収納部11を挟むように2つ形成されている。この案内突部33は、前記案内凹部31内に嵌脱自在となる形状及び寸法を有しており、例えば、前記軸線Cに垂直な断面が前記案内凹部31の断面と同じ形状、この例においては円形断面を成し、前記案内凹部31の内径と略同一の外径を有している。この案内突部33は、前記案内凹部31への嵌入を案内する尖径先端部32を有している。
【0049】
前記支持部材4及び前記固定部材5は、少なくとも一方が支持部材4に支持された前記接続部材55の前記軸線Cに沿って前後進方向に移動可能に配置される。前記製造装置1においては、例えば図6に示されるように、支持部材4は前記基台8の所定位置に固定され、前記固定部材5が前記案内部材7によって、収納部11と固定部21とが互いに軸線を共有するように、支持部材4の前記上方に、前記軸線Cに沿って前後進可能に配置されている。この製造装置1においては、例えば図6に示されるように、接続部材55に接する弾性管状部材54で支持部材4の上方に固定部材5が積載されている。
【0050】
前記押進部材6は、接続部材55の軸線C方向に沿って移動可能に配置された支持部材4及び/又は固定部材5を前記軸線Cに沿って他方に向けて押進して、第1膨出端部67を管状弾性部材54の軸孔61に圧入して挿着させる。
【0051】
この押進部材6は、具体的には、図1に示されるように、前記支柱9の軸線方向に前後進可能となるように前記支柱9に支持された移動部材36と、支柱9の軸支部から斜め上方に延在すると共にその途中で前記移動部材36に連結して、前記軸支部を中心に回転可能に軸支されたハンドル37と、前記移動部材36における前記下方の端部に略水平となるように装着され、前記固定部材5の両端部に形成された四角柱の前記被押圧部に当接する押圧板38とを備えて成る。前記押圧板38は、その下面が前記固定部材5の前記被押圧部双方に当接する平坦な板状に形成されている。このような構成を有する押進部材6は、前記ハンドル37の回転によって前記移動部材36が前記支柱9の軸線方向に前後進可能となるように構成されていればよく、例えば、公知のドリルスタンド等に前記押圧板38を装着した装置等を利用することができる。
【0052】
前記押進部材6は、図1に示されるように、前記押圧板38が前記被押圧部の上方に位置するように、配置されていればよく、前記被押圧部双方に当接する押圧板38の下面が前記軸線Cの延長線上であって、前記固定部材5に対して前記支持部材4の反対側すなわち上方に、配置されている。
【0053】
前記製造装置1における前記押進部材6は、前記支柱9の軸線方向すなわち下方に前進して、軸線C方向に沿って配列された固定部材5及び支持部材4を押圧して、第1膨出部67を管状弾性部材54の軸孔61に圧入し、挿着する。
【0054】
前記製造装置1は、図1及び図2等に示されるように、前記固定部材5に対して、前記支持部材4と前記押進部材6とが反対側に配置される。
【0055】
製造装置1の前記各部材は、ある程度の強度を有する材料で形成されていればよく、このような材料として、各種樹脂、各種金属等が挙げられる。例えば、前記支持部材4及び固定部材5は樹脂で形成され、強い強度が要求される前記支柱9は金属で形成される。前記各部材は、成形、圧延、研削等の公知の方法で、作製されることができる。なお、基台8、支柱9及び押進部材6は公知のドリルスタンド等を利用することができる。
【0056】
以下に、前記製造装置1を用いて、管状雄型連結具及び長尺状装飾品の製造方法を説明する。
【0057】
長尺状装飾品の一例としての磁気ネックレス50を製造するには、まず、長尺体51の両端部に管状弾性部材54を装着する。長尺体51への管状弾性部材54の装着は、例えば、管状弾性部材54の軸孔61を拡径して、拡径された軸孔61に長尺体51の端部を挿入した後に、軸孔61の拡径を解除することによって、実施できる。軸孔61は、公知の方法、例えば、特許文献1に記載された「カバーの固着方法及びその装置」等で、拡径されることができる。このようにして長尺体51の一方の端部に装着された管状弾性部材54は接続部材55が挿着されて管状雄型連結具52とされ、長尺体51の他方の端部に装着された管状弾性部材54はそのままの状態で管状弾性雌型連結具53とされる。
【0058】
長尺体51の一方の端部に装着された管状弾性部材54に接続部材55を挿着するのに前記製造装置1を用いる。この製造装置1は、初期状態として、図1に示されるように、基台8上に支持部材4が配置され、押進部材6が支持部材4の上方に配置される。この初期状態においては、固定部材5は、図1に示されるように、支持部材4の上方に配置されていなくてもよい。
【0059】
次いで、図5に示されるように、基台8上に固定配置された支持部材4に形成された収納部11である収納凹部12に接続部材55の第2膨出部69を挿入する。そうすると、接続部材55は、その一部が収納凹部12に収納されて、開口部14から少なくとも第1膨出部67が突出するように、軸線に沿って起立状態に支持される。このとき、鍔部68はその第2膨出部69寄りの一部が収納凹部12に収納されて、その内周面15に接し、前記起立状態に支持された接続部材55の軸線Cはほとんど変位しなくなる。
【0060】
次いで、固定部材5に長尺体51に装着された管状弾性部材54を固定する。前記製造装置1においては、固定部材5の側面に形成された開口部24の近傍に前記接続部材55の軸線Cに沿って延在するように配置した管状弾性部材54及び長尺体51を、その状態を維持したまま平行移動して、前記開口部24から保持溝26及び狭小溝27に、挿入する。その後、管状弾性部材54及び長尺体51を前記上方に後退させて、管状弾性部材54の後方端面56を前記連設段差部28に当接させる。そうすると、狭小溝27は管状弾性部材54の外径よりも小さな幅を有しているから、管状弾性部材54が狭小溝27に進入することがなく、その結果、管状弾性部材54の軸線方向の変位が規制される。このとき、保持部23である保持溝26は、その外径が管状弾性部材54の外径と略同一又はわずかに小さくなっているから、管状弾性部材54をその軸線方向に周方向から均一な圧力で保持する。このようにして、図6に示されるように、固定部材5に管状弾性部材54及び長尺体51が固定される。
【0061】
次いで、管状弾性部材54及び長尺体51を固定した固定部材5を、図1及び図2に示されるように、前記支持部材4の上方に配置する。このとき、図6に示されるように、支持部材4で支持された接続部材55の第1膨出端部67に対して管状弾性部材54における軸孔61の開口部61aが対向している。前記製造装置1においては、固定部材5に形成された案内凹部31に支持部材4に形成された案内突部33を嵌入又は嵌装する。そうすると、図6に具体的に示されるように、第1膨出端部67の先端部分が軸孔61の第3軸孔64に進入して、接続部材55と管状弾性部材54とが軸線Cを共有して接した状態になる。このようにして固定部材5を配置すると、固定部材5は、接続部材55と管状弾性部材54とによって前記状態が保持され、接続部材55の軸線C方向に沿って移動可能になっている。なお、図6には図示されていないが、前記案内突部33は案内凹部31に嵌入している。
【0062】
このように固定部材5を配置した後に、固定部材5を支持部材4に対して押圧する。具体的には、押進部材6のハンドル37を下方に向けて回動させると、その回動量に応じて移動部材36が前記軸線Cの下方に前進して、移動部材36に設けられた押圧板38が固定部材5の被押圧部に当接すると共に固定部材5を同方向に前進させる。この押進部材6による固定部材5の押圧及び前進は、接続部材55の第1膨出端部67が管状弾性部材54の第1軸孔62に到達するまで、実施される。
【0063】
このとき、接続部材55における鍔部68の一部が収納凹部12に収納されていても、前記製造装置1においては、図5等に示されるように、鍔部68の一部が収納される錐台状突出部13の先端部はその肉厚が薄くなっていると共に、収納凹部12がこの錐台状突出部13に凹設されているから、錐台状突出部13は鍔部68と共に管状弾性部材54の第3軸孔64に進入することができる。そして、第3軸孔64に進入した錐台状突出部13は固定部材5の上方への後退によって、第3軸孔64から容易に抜脱される。
【0064】
このようにして、長尺体51に装着された管状弾性部材54に接続部材55を挿着することができる。そして、前記のように、長尺体51に装着された管状弾性部材54を用いると、管状雄型連結具52の組立完了と同時に磁気ネックレス50の製造も完了する。
【0065】
このように、前記支持部材4と前記固定部材5と前記押進部材6とを備えて成る前記製造装置1によれば、管状弾性部材54における軸孔61の開口部61aと接続部材55の第1膨出端部67とが対向するように配置された状態を維持したまま、前記支持部材4及び/又は前記固定部材5を他方に向けて押進することができるから、管状弾性部材54における軸孔61に接続部材55の第1膨出端部67を圧入して所望の管状雄型連結具52を組立てることができる。したがって、この製造装置1は、長尺体51の一方の端部に装着された管状弾性部材54に接続部材55を挿着して成る管状雄型連結具52を容易に製造することができる。
【0066】
特に、製造装置1は、管状弾性部材54と接続部材55との対向状態を維持したまま、前記支持部材4及び/又は前記固定部材5を他方に向けて押進することができるから、製造装置1によれば、接続部材55の管状弾性部材54への挿入状態がほぼ一定となり、均一な挿着状態となる管状雄型連結具52を複数製造することができる。
【0067】
前記製造装置1を、前記のように、長尺体51が装着された管状弾性部材54を用いて管状雄型連結具52を製造すると、同時に、長尺状装飾品50も製造することができる。したがって、前記製造装置1は、管状雄型連結具52及び管状弾性雌型連結具53が両端部に装着された長尺体51を容易に製造することができる。特に、前記したように、製造装置1によれば、管状弾性雌型連結具53と均一な挿着状態を有する管状雄型連結具52とが各端部に装着された長尺体51を複数製造することができる。
【0068】
この発明に係る管状雄型連結具の製造装置は、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
【0069】
例えば、前記製造装置1は、収納部11及び固定部21をそれぞれ4つ有しているが、この発明において、管状雄型連結具の製造装置は、収納部及び固定部をそれぞれ1つ有していてもよく、また、複数又は多数有していてもよい。このような製造装置は、支持部材が複数の前記収納部を有して成り、前記固定部材が前記収納部それぞれの軸線を共有するように略平行に形成された前記固定部を有して成ることを特徴とする。なお、収納部及び固定部をそれぞれ複数又は多数有する場合には、それらの配列は一列である必要はなく、碁盤目状等に配列されてもよい。
【0070】
前記製造装置1は、図1及び図2等に示されるように、前記固定部材5に対して、前記支持部材4と前記押進部材6とが反対側に配置されているが、例えば、押進部材の構成によって、支持部材と押進部材とを同じ側に配置しても、固定部材と押進部材とを同じ平面上に配置してもよい。
【0071】
前記支持部材4は、錐台状突出部13に凹設された収納部11を備えているが、この発明において、支持部材は、前記錐台状突出部を有せず、支持部材の表面に開口する開口部を有する収納凹部である収納部を備えていてもよい。この場合には、必要に応じて、接続部材の挿着状態を調整するための調整装置及び調整工程を有していてもよい。例えば、調整装置としては、平坦な板状部材等が挙げられ、前記押進部材で固定部材を板状部材に押圧すれば、接続部材が所望のように管状弾性部材に挿着される。
【0072】
前記支持部材4は、径が均一な収納部11を有しているが、挿入される接続部材55とほぼ同一形状の内壁を備えた収納部を有していてもよい。例えば、管状弾性部材54の軸孔61と同じ形状の収納部を有していてもよい。このような収納部を有する支持部材によれば、接続部材55の軸線が前記軸線により一層正確に一致するように起立状態に保持できる。
【0073】
前記固定部材5は、縦溝状固定部25を有しているが、この発明において、固定部材は前記規制部及び前記保持部を有していれば前記縦溝状固定部に限定されることはない。この発明において、前記規制部は、管状弾性部材の外面、例えば、外周面、端面等に当接して、管状弾性部材の前記変位を規制する規制面を有する部分であればよく、前記保持部は、管状弾性部材を狭持又は収容若しくは内装して、規制された状態に管状弾性部材を保持する部分であればよい。このような規制部及び保持部を有する固定部材として、例えば、長尺体の外径よりもわずかに小さな径を有する貫通孔が形成された板状部材であって、前記貫通孔に管状弾性部材を圧入することにより、管状弾性部材の軸線方向への変位を規制すると共に管状弾性部材を保持する固定部材が挙げられる。また、別の固定部材として、例えば、一部が開口したリング状挟持具、換言すると、略C字形挟持具を1又は2以上備えてなる固定部材であって、前記挟持具で管状弾性部材を挟持することにより、管状弾性部材の軸線方向への変位を規制すると共に管状弾性部材を保持する固定部材が挙げられる。なお、前記挟持具を複数備える場合には、複数の挟持具は、好ましくは、それらの各中心が同一線上になるように、配置される。
【0074】
押進部材6は、前記構成に限られず、例えば、ハンドル等のない単なる平坦な板状部材としてもよく、この場合には板状部材の端部を握持する握持部材が押進部材の水平方向に配置される。また、押進部材6は、手動のドリルスタンド等を利用することができるが、この発明において、コンピュータ等の制御装置によって制御されたドリルスタンド等を利用してもよい。
【0075】
前記製造装置1は、1本の支柱9を備えているが、この発明において、支柱は複数本が並設されても、また、壁状の支柱であってもよい。また、この発明において、前記支柱は、基台8に配置された支持部材を挟むように、支持部材に形成された複数の収納部の配列線上に、設けられてもよい。
【0076】
前記製造装置1は、前記開口部61aと前記第1膨出端部67とが対向するように固定部材5を保持又は固定する部材を有していないが、この発明において、開口部と第1膨出端部とが対向するように、固定部材を保持又は固定する部材を有していてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 管状雄型連結具の製造装置
4 支持部材
5 固定部材
6 押進部材
11 収納部
12 収納凹部
13 錐台状突出部
21 固定部
22 規制部
23 保持部
25 縦溝状固定部
26 保持溝
27 狭小溝
50 長尺状装飾品(磁気ネックレス)
51 長尺体
52 管状雄型連結具
53 管状弾性雌型連結具
54 管状弾性部材
55 接続部材
61 軸孔
61a 開口部
67 第1膨出部
68 鍔部
69 第2膨出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺体の一方の端部に装着された軸孔を有する管状弾性部材に、前記軸孔に挿着される第1膨出端部と第1膨出端部よりも中央部寄りに形成された鍔部とを有する接続部材を、挿着して成る管状雄型連結具の製造装置であって、
前記第1膨出端部の反対側端部を収納する収納部を有し、前記接続部材をその軸線に沿って起立状態に支持する支持部材と、
前記管状弾性部材の軸線方向への変位を規制した状態に前記管状弾性部材を保持する固定部を有して成り、支持された前記接続部材の前記第1膨出端部に対して前記軸孔の開口部が対向するように前記管状弾性部材を配置する固定部材と、
前記接続部材の前記軸線方向に沿って移動可能に配置された前記支持部材及び/又は前記固定部材を他方に向けて押進する押進部材と、
を備えて成ることを特徴とする管状雄型連結具の製造装置。
【請求項2】
前記収納部は、前記固定部材に向かって開口する開口部と、
この開口部の近傍に形成され、前記鍔部の外周面に接する内周面とを備え、
前記開口部から少なくとも前記第1膨出端部が突出する深さを有する収納凹部であることを特徴とする請求項1に記載の管状雄型連結具の製造装置。
【請求項3】
前記収納部は、前記支持部材における前記保持部材側の表面から前記収納部の軸線に沿って突出すると共に先端に向かって徐々に外径が小さくなる錐台状突出部に、凹設されて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の管状雄型連結具の製造装置。
【請求項4】
前記固定部は、前記管状弾性部材の外面に当接して、その軸線方向への変位を規制する規制部と、前記管状弾性部材を狭持又は収容して、前記規制部で規制された状態に前記管状弾性部材を保持する保持部とを有して成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の管状雄型連結具の製造装置。
【請求項5】
前記固定部は、前記接続部材の前記軸線に沿って貫通すると共に前記固定部材の側面に開口する縦溝状固定部であり、
この縦溝状固定部は、前記支持部材側の表面に開口すると共に前記軸線に沿って延在し、前記管状弾性部材を収容して保持する保持溝と、
前記管状弾性部材の外径よりも小さな溝幅で前記保持溝と軸線を共有するように前記保持溝から前記表面と反対側の表面まで延在し、前記長尺体を収容する狭小溝とを有し、
前記保持溝と前記狭小溝との連設段差部が前記管状弾性部材の端面に当接する前記規制部として機能することを特徴とする請求項4に記載の管状雄型連結具の製造装置。
【請求項6】
前記固定部材に前記接続部材の前記軸線に沿って形成され、前記支持部材に向かって開口する案内凹部と、前記支持部材における前記保持部材側の前記表面から前記保持部材に向かって突出形成され、前記案内凹部に嵌脱自在な案内突部とを有する案内部材を備えて成ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の管状雄型連結具の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−279405(P2010−279405A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132732(P2009−132732)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】