説明

管理システム、画像形成装置、及びその方法

【課題】 従来における顧客システムに画像形成装置を設置した際の監視サービスの開始に係る仕組みは、サービスコストを考慮する場合に改善の余地があった。
【解決手段】 本発明の画像形成装置は、顧客システムに設置された後に、前記管理サーバによる監視サービスを開始するためのユーザの操作に応じて、前記管理サーバに対して、当該画像形成装置の識別情報を含む登録確認要求の送信を行う要求手段と、前記登録確認要求に対する前記管理サーバからの応答を解析する解析手段と、前記応答の解析結果において未登録を示す場合に、前記応答に含まれるリトライ期間を記憶する記憶手段とを有し、前記要求手段が、前記記憶されたリトライ期間において、前記管理サーバから登録完了を示す応答を受信するまで、登録確認要求の再送を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の動作状態を監視、管理するシステムにおいて、管理サーバに対して画像形成装置の管理情報の登録がされたことをきっかけに監視を開始する際の処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、サービスマンによって、画像形成装置の顧客のシステム環境への設置作業、そして、設置した画像形成装置と管理サーバとの通信が正常であるかの確認作業が行われていた。こうした中、画像形成装置の操作パネルに管理システムと通信テストを行うためのボタンを設け、ボタン押下により通信テストが成功した場合に、画像形成装置の管理、監視を開始させるシステムが考えられている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−340239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原則としては、販売会社と顧客との間で利用に関する契約締結が完了し、顧客システムに画像形成装置が設置された時点から、できる限り早く、当該装置は顧客に利用可能とするべきである。それに伴い、設置された画像形成装置は監視に必要な情報を監視サーバに送り、監視サービスが開始されるべきである。しかしながら、契約に従う適切な監視サービスを提供するためには、設置された画像形成装置からの通信テストに含まれる情報と管理サーバでの管理情報との照合が確認されなければならない。したがって、管理サーバの管理情報の登録に合わせて、迅速に画像形成装置側で通信テストなどが行われ、監視サービスが開始できるようにすることが望ましいといえる。
また、近年では、サービスマンの派遣によるサービスコスト削減のため、前述した設置確認などの作業を画像形成装置の配送/設置業者や顧客システムの管理者に簡易に実施させることにより、保守専用のサービスマン出動を減らす施策が検討されている。
そこで、本発明では、サービスマン出動を減らしつつ、適切なタイミングにおける、画像形成装置の情報送信やそれに伴う監視サービスの開始の仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明の監視システムは、顧客システムに設置される画像形成装置と、当該画像形成装置を監視するための管理サーバとを含むものであって、
前記画像形成装置は、顧客システムに設置された後に、前記管理サーバによる監視サービスを開始するためのユーザの操作に応じて、前記管理サーバに対して、当該画像形成装置の識別情報を含む登録確認要求の送信を行う要求手段と、前記登録確認要求に対する前記管理サーバからの応答を解析する解析手段と、前記応答の解析結果において登録完了を示す場合に、前記監視サービスに従う情報の送信を開始する開始制御手段と、前記応答の解析結果において未登録を示す場合に、前記応答に含まれるリトライ期間を記憶する記憶手段と、前記画像形成装置において障害が発生した場合に、前記管理サーバに対して当該障害の情報を送信する送信手段と、を有し、
前記管理サーバは、前記画像形成装置から登録確認要求を受信した場合に、当該登録確認要求に含まれる識別情報が、前記監視サービスを行う対象の画像形成装置を示す管理情報として登録されているかを判断する判断手段と、前記判断手段により前記管理情報として登録されていると判断された場合には前記画像形成装置に対して登録完了を示す応答の送信を行い、前記判断手段により前記管理情報として登録されていないと判断された場合には前記画像形成装置に対して未登録を示し、さらにリトライ期間を含む応答の送信を行う応答手段と、有し、
前記要求手段が、前記記憶されたリトライ期間において、前記管理サーバから登録完了を示す応答を受信するまで、登録確認要求の再送を行い、
前記送信手段が、前記管理サーバから登録完了を示す応答を受信する前であっても、前記監視サービスの一部である特定の障害の発生に応じた障害情報の送信を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、サービスマン出動を減らしつつ、監視サービスを適切に開始するための仕組みを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】画像形成装置と管理サーバとのインターネットを介した接続関係を示す図
【図2】画像形成装置のハードウェア構成図
【図3】管理サーバのハードウェア構成図
【図4】画像形成装置のソフトウェア構成図
【図5】管理サーバのソフトウェア構成図
【図6】管理サーバが画像形成装置に関する情報を管理するためのテーブル
【図7】管理サーバが仕向けごとのリトライ期間を管理するためのテーブル
【図8】実施例1での画像形成装置の処理を説明するためのフローチャート
【図9】実施例1での管理サーバの登録確認処理を説明するためのフローチャート
【図10】実施例2で用いる重大な障害の一覧を示す図
【図11】販売会社に関する管理情報を示す図
【図12】本発明における登録確認要求の内容の一例を示す図
【図13】実施例2での画像形成装置の処理を説明するためのフローチャート
【図14】実施例2での管理サーバの登録確認処理を説明するためのフローチャート
【図15】監視サービスを開始するための操作画面の一例を示す図
【図16】監視サービスの開始に失敗した場合の操作画面の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0009】
(実施例1)
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置本体と管理サーバとのインターネットを介した接続関係を示す図である。本発明においては、画像形成装置と管理サーバとを少なくとも含むように管理システムを構築する。
【0010】
この図において101はLAN、102は画像形成装置、103はProxy Server、104はIntranetのセキュリティを高めるために設置されたFirewallを表している。画像形成装置102にはFAXやコピーなどの機能が含まれてもよい(図示しない)。105は一般のユーザがプリントなどを指示する際に使用するパーソナルコンピュータ(PC)、これらがLAN101を介して相互に接続されていることを表している。また、106は画像形成装置の稼動状態を一元的に管理する管理サーバであり、107は画像形成装置102とProxy Server103、Firewall104とがLAN101を介して相互に接続されたIntranetの環境(顧客システム)を表している。実際には複数のIntranet環境107と、管理サーバ106とがInternet108を介して相互に接続されている。
【0011】
画像形成装置102は、LAN101を介して自身の通信スケジュールに従って通信を行い、画像形成装置102のデバイス情報(カウンタ値、稼動状況ログ、および障害情報といった稼動情報や識別情報など)をInternet108経由で管理サーバ106へ送信する。この際の通信手段としては、SNMP(Simple Network Management Protocol)を介したMIB(Management Information Base)のやり取り等がある。ここで、カウンタ値とは、画像形成装置で行われた印刷した総枚数や登録部門・ユーザごとの印刷枚数、装着部品の使用回数などといった計数情報を示す。
【0012】
本実施例において、管理サーバ106への通信に関して通信プロトコルは、HTTPやHTTPSなどのプロトコルを想定しているが、とくに限定するものではない。例えば、図1の例において、画像形成装置102はHTTPSを利用してProxy Server103とFirewall104を介して、管理サーバ106にデータを送信している。
【0013】
図2は、本発明の実施に係わる画像形成装置102の構成を示す図である。画像形成装置102としては、例えば、デジタル複合機、ファクシミリ装置、レーザービームプリンタ、インクジェットプリンタ、スキャナー装置などの装置が本発明に適用することができる。
【0014】
画像形成装置102は、CPU201、RAM202、ROM203、ハードディスク装置(以後HDD)204、ネットワークI/F205、内部バス206、デバイス制御207、定着器などを含む印刷部208で構成される。
【0015】
CPU201はROM203に格納されているプログラム(後述する図4の各処理を実現するプログラムも含む)を備え、内部バス206を介して各デバイスを総括的に制御する。ROM203には、画像形成装置102が出荷される地域を意味する仕向け情報(例えば、顧客システムが存在する国などの地域情報)も格納されている。例えば、この仕向け情報に従って入出力装置210で表示する言語は決定される。RAM202は、CPU201のメモリやワークエリアとして機能する。ネットワークI/F305は、ローカルエリアネットワーク104を介して、外部のネットワーク機器あるいはパーソナルコンピュータ(PC)と肩方向または双方向にデータをやり取りし、デバイス制御207は印刷部208を制御する。CPU201は、RAM202やROM203と共にプログラムの実行処理をおこなうとともに、HDD204等の記録媒体に画像データを記録する処理を行う。HDD204は外部記憶装置として機能し、画像データ等を記憶するほか、前記バックアップRAM202に代わって、上記のカウンタ情報、システム情報及び監視情報を保存することも可能である。入出力装置210はユーザからの入力(スキャン、ボタン入力など)を受け付け、入出力I/F209によって前述した各処理部へその旨を伝える。
【0016】
図3は、本発明の実施に係わる管理サーバ106の構成を示す図である。
管理サーバ106は、ROM303に格納されているプログラム(後述する図5の各処理を実現するプログラムも含む)を実行するCPU301を備え、内部バス306を介して各デバイスを総括的に制御する。内部バス306には、RAM302、ROM303、HDD304、ネットワークI/F305、入出力I/F307が接続されている。
【0017】
また、入出力I/F307は、例えばPS2やUniversal Serial Bus(USB I/F)、アナログやデジタルのディスプレイI/Fを備える。入出力装置308は、キーボードやマウス、CRTや液晶ディスプレイであり、入出力I/F307を介して管理サーバ106と接続することができる。
【0018】
管理サーバ106はネットワークI/F305によりLAN101、Intranet環境107を介してInternet108に接続し、画像形成装置102や、PC105と通信を行うことができる。CPU301は、RAM302やROM303と共にプログラムの実行処理を行う。また、HDD304等の記録媒体に画像データを記録する処理を行う。HDD304は外部記憶装置として機能し、画像形成装置102の管理情報を記憶するほか、前記バックアップRAM302に代わって、システム情報及び処理情報を保存することも可能である。
【0019】
図4は、画像形成装置102のソフトモジュール構成を説明する図である。画像形成装置102のCPUにより本発明に係るプログラムが実行された際に、図示されたモジュールによる機能が実現される。
【0020】
通信部401は、画像形成装置102に関するデバイス情報の管理サーバ106への送信を制御する。また、管理サーバ106から送信される指示、及び情報などの受信を制御する。送受信は、SMTPやHTTP/HTTPSなどを用いて通信する。記憶部402は、RAM202、ROM203、記憶装置204の記憶領域と情報のやり取りを行う。また、画像形成装置102の動作履歴やさまざまな異常状態を表すデータなどの記憶制御も行う。記憶部402により管理される管理サーバ情報には、画像形成装置102を管理する管理サーバ106の通信情報(例えば、IPアドレスなど)が含まれる。また、後述する通信部401による登録確認要求の送信のリトライに用いるリトライ期間についても所定の記憶領域に記憶させる。
【0021】
画像形成部403は、印刷データを生成、出力を制御する機能を持つ。デバイス情報制御部404は、画像形成装置102の印刷制御や異常状態の管理などを行うとともに、カウンタ情報の管理や通知情報の管理も行う。また、色味調整や印刷モード、その他機能の設定に関する制御も行う。操作部405は、ユーザによる印刷指示をはじめとする画像形成装置102に対する操作指示を受け付け可能とするためのインターフェースである。表示部406は、ユーザなどに対して適切な情報の表示を制御する。ここで、情報とは画像形成装置の状態情報、設定情報なども含む。また、各種ボタンの表示制御も行い、ボタン押下によるユーザからの指示を検知する。コマンド生成部407は、デバイス情報制御部404などで管理されている各種情報を、管理サーバ106へ送信するための送信コマンドを生成する。解析部408は、管理サーバ106からのレスポンスデータなどを解析する。
【0022】
図5は、管理サーバ106のソフトモジュール構成を説明する図である。管理サーバ106のCPUにより本発明に係るプログラムが実行された際に、図示されたモジュールによる機能が実現される。
【0023】
通信部501は、画像形成装置102などとの通信制御を行う機能を持つ。具体的には、画像形成装置102から送信されるデバイス情報の受信制御、及び画像形成装置102へ必要な指示・情報の送信制御を行う。記憶部502は、RAM302、ROM303、記憶装置304の記憶領域と情報のやりとりを行う。管理対象の画像形成装置のデバイス情報、具体的には、管理情報としての販売会社情報、顧客情報、装置の識別情報、及び通信情報などに加え、稼働状況などを示す稼動情報を保存する。
【0024】
制御部503は、画像形成装置102を監視し、保守作業を実現するために必要な情報を管理する制御機能をもつ。ここでは、制御部503については、販売会社情報管理部505、デバイス情報管理部506、顧客情報管理部507などの機能モジュールにわけて説明を行う。
【0025】
通知管理部504は、画像形成装置の状態に応じた通知情報の生成や通知先の指定を行い、通知データを生成する。通知には画像形成装置102を保守するサービスマンへの保守依頼通知や、消耗品の補充依頼通知などがある。画像形成装置の消耗品としては、トナー/インクのカートリッジや、交換可能な構成部品ユニットなどが挙げられる。
【0026】
販売会社情報管理部505は、顧客システムに設置された画像形成装置102の管理、サポートを担当する販売会社の情報を管理する。デバイス情報管理部506は、保守対象の画像形成装置102の各種情報を管理する。デバイス情報管理部506は、画像形成装置を識別するための識別情報(シリアル番号やモデル情報)、保守履歴、画像形成装置の管理者情報、画像形成装置の消耗品管理情報、画像形成装置から送信されてきた稼動情報などを管理対象とする。顧客情報管理部507は、画像形成装置102を利用する顧客の情報を管理する。その情報の中には、販売会社との保守契約に関する情報も含まれる。消耗品在庫管理部は、トナー/インク、部品といった消耗品の在庫管理を行う。具体的には、画像形成装置102から送信されるトナー/インク残量を示す情報、部品交換を示す情報を元に顧客のもつ在庫の減算を行い、設定した閾値を跨いだ際に通知管理部と連動することで消耗品の配送依頼などの通知を行う。
【0027】
表示部509は、記憶部502に格納されたデバイス情報をWeb画面として表示する。管理サーバ106内ではWWWサーバプログラムが動作しており、これにより販売会社のサービスマン等がPC上のWebブラウザを用いて上記情報を閲覧することが可能となる。コマンド解析部510は、画像形成装置102から送信されたコマンドを解析する。解析した結果を記憶部502、制御部503、表示部509に反映させる。レスポンス生成部511は、コマンド解析部510により解析されたコマンドに対して、画像形成装置102へのレスポンスを生成する。
【0028】
図6は、管理サーバ106が保持する画像形成装置102に関して登録される管理情報の一例である。この情報は管理サーバ106の記憶装置304に保持されており、デバイス情報管理部506により扱われる。管理サーバ106には、稼動情報を収集、管理し、また保守の手配を行う対象となる画像形成装置の全てに対して、このような管理情報が登録される。
【0029】
601は、登録管理情報の各項目であり、画像形成装置の識別ID、製品名、MACアドレス、IPアドレスなどを示している。602は、それらに対応する画像形成装置の実データを示している。実データの一部に関しては、画像形成装置102からの初期通信により得られる情報が登録されるものとする。
【0030】
図7は、管理サーバ106が保持する国ごとのリトライ期間情報の一例である。この情報は、管理サーバ106の記憶装置304に保持されており、レスポンス生成部511により扱われ、後述する画像形成装置102からの登録確認要求に対するレスポンスに含まれる情報である。また、リトライ期間中の登録確認要求の送信間隔(24時間ごと、など)に関しても、管理しておき、画像形成装置102に対する応答に一緒に含ませてもよい。
【0031】
販売会社は、画像形成装置102に対する監視サービスの運用開始のために、図6で説明した画像形成装置102の管理情報を管理サーバ106へ登録する必要がある。顧客システムへの画像形成装置102の設置と、管理サーバ106への管理情報の登録に関する一連の手続きは各国販売会社によって柔軟に行えることが望ましい。そこで、後述する画像形成装置102が行う登録確認要求のリトライ期間は、各国販売会社によって異なる期間を設定可能とする。
【0032】
ここで、各国販売会社により異なる一連の手続きとしては、管理サーバ106への管理情報の登録後、数日以内に顧客システムへの設置作業を行う場合や、管理サーバ106への管理情報の登録より先に顧客システムへの設置作業を行う場合などが存在する。これは、設置すべき顧客システムの状況や存在する地域などによって、異なる運用が必要となるためである。
【0033】
また、ここでの監視サービスの運用開始とは、画像形成装置の管理サーバ106への全ての稼動情報の送信と、管理サーバ106による稼動情報を利用した画像形成装置の自動保守の手配、消耗品の自動配送、使用状況のレポーティングサービスを開始することを意味する。
【0034】
図8は、画像形成装置102がボタン押下により管理サーバ106へ登録確認要求を行い、監視サービスを開始するための処理を説明するためのフローチャートの一例である。この登録確認要求は、画像形成装置を顧客システムに設置した際に、設置業者や顧客の管理者によって指示されるものである。なお、本フローチャートで説明される処理に関わるプログラムは、画像形成装置のROMに格納されており、RAMにロードされ、CPUにより実行される。
【0035】
S801で、画像形成装置102は監視サービス開始ボタンが押下されたことを検知する。監視サービス開始ボタンは、画像形成装置102の入出力装置210の一例であるオペレーションパネルに表示されている。当該パネルにおける操作ついては、図15などを用いて後述する。
【0036】
S802で、画像形成装置102は管理サーバ106へ自身の管理情報が登録されているかどうかを確認する登録確認要求を行う。
【0037】
ここで、図12は登録確認要求の内容の一例を示している。この登録確認要求は、画像形成装置102のコマンド生成部407で生成され、通信部401によって管理サーバ106へ送信される。登録確認要求には、製品IDや製品名のほか、MACアドレスやIPアドレスが含まれている。さらに、以下の情報も含むものとする。
【0038】
1201は仕向け情報であり、画像形成装置102が設置される地域を示す。仕向け情報は画像形成装置102のRAM202に格納されており、工場出荷時に設定される。1202は最終フラグであり、画像形成装置102から管理サーバ106への登録確認要求が、後述するリトライ期間に関して最後の要求であるか否かを示す。
【0039】
S803で、画像形成装置102は管理サーバ106から返された登録確認要求の結果を示す応答を解析する。S803での解析結果において、登録完了を示す(自身の情報が管理サーバ106に登録されていた)場合にはS804に進み、未登録の場合にはS805に進む。S804では、画像形成装置102は監視サービスを開始し、本処理を終了する。これにより契約に応じた設置後の初期設定の完了し、管理サーバ106への画像形成装置の送信情報(稼動情報など)に応じた監視サービスが開始されることになる。ここで、登録確認要求の結果が成功(S803YES)するのは、販売会社による管理サーバ106への管理情報の登録後に、顧客システムへの画像形成装置の設置作業を行われた場合である。
【0040】
一方、S805では、画像形成装置102は管理サーバ106の応答にリトライ期間が含まれているかどうかを解析する。S805での解析の結果、管理サーバ106の応答にリトライ期間が含まれていた場合にはS806に進み、含まれていない場合にはS807に進む。S806では、画像形成装置102は取得したリトライ期間を記憶する。管理サーバ106から返されるリトライ期間については、図7で説明した通りである。リトライ期間が管理サーバ106の応答に含まれていない場合とは、既に管理サーバ106から指定されたリトライ期間を画像形成装置102で記憶している場合となる。
【0041】
S807では、画像形成装置102は登録確認要求のリトライ期間中であるかどうかを確認する。S807で確認した結果、リトライ期間中であった場合には、画像形成装置102は再度、登録確認要求を行うためにS802に戻る。一方、リトライ期間中でなかった場合には、S808でオペレーションパネルに管理サーバ106側の登録が完了していない旨を伝えるメッセージを表示する(図16)。ユーザは、このメッセージ表示1601を確認して、再度、登録確認要求を行うなどといった操作が必要なことを認識することになる。また、この表示と同時に登録確認要求を自動で行う本サービス(監視サービスを開始するための一連の処理に関する機能)をOFFとし、本処理を終了する。
【0042】
図9は、画像形成装置102より登録確認要求を受信した際の管理サーバ106の登録確認処理を説明するためのフローチャートの一例である。なお、本フローチャートで説明される処理に関わるプログラムは、画像形成装置のROMに格納されており、RAMにロードされ、CPUにより実行される。
【0043】
S901で、管理サーバ106は画像形成装置102から送信された情報を受信する。S902で、管理サーバ106はS901で受信した情報が画像形成装置102の登録確認要求かどうかを判断する。S902で判断した結果、画像形成装置102の登録確認要求であった場合にはS903に進み、そうでない場合にはS907に進む。S907では、画像形成装置102より受信した情報に基づいて各種情報処理を行う。ここでは、書斎の説明を割愛する。
【0044】
S903では、管理サーバ106は、登録確認要求の送信元である画像形成装置102の管理情報が、図6で示すテーブルのように登録されているか確認する。具体的には、図12で示すように登録確認要求内に識別IDなどの画像形成装置102を識別するための情報が含まれている。この情報と、管理サーバ106に登録された画像形成装置102に関する管理情報(図6)とを比較することで、管理サーバ106に登録確認要求の送信元である画像形成装置102の管理情報が既に登録されているか否かを判断する。
【0045】
S904で、管理サーバ106は画像形成装置102からの登録確認要求が初回かどうかを確認する。S904で確認した結果、画像形成装置102からの登録確認要求が初回であった場合には、S905で管理サーバ106は登録確認結果とリトライ期間を画像形成装置102へ返却して本処理を終了する。リトライ期間については上述した図7の説明の通りである。S904で確認した結果、画像形成装置102からの登録確認要求が初回でなかった場合、S906で管理サーバ106は登録確認結果を画像形成装置102へ返却して本処理を終了する。
【0046】
ここで、S905、S906において、登録済み(登録完了)を示す応答を返却した場合には、画像形成装置102の監視サービスが開始されることになる。具体的には、画像形成装置に対して、カウンタ情報の定期送信のスケジュールや、通知対象の障害情報のリストを送信して、画像形成装置に保守やレポーティングに必要な情報を送信させるための初期設定が反映されることになる。
【0047】
図15は、本発明に関する画像形成装置102の入出力装置210における表示の一例である。入出力装置210への情報表示は表示部406によって制御される。
【0048】
図15の1501は、上述した監視サービス開始ボタンを示しており、ここでの設定をOFFからONとする操作を行うことで、画像形成装置102は登録確認要求にかかる処理(図8)を開始する。また、一度ONにすると、画像形成装置102が管理サーバ106へ登録確認をしている間(リトライ期間)は、さらに押下されてもその操作を無視する。前述したように、リトライ期間が過ぎると、監視サービス機能にかかる表示はOFFに変更され、図16の1601のように、監視サービスを開始できない旨を伝えるメッセージが表示される。顧客システムの管理者は、図16の表示を確認し、再度、図15に示す表示に従い、監視サービス開始ボタンを操作することになる。
【0049】
この仕組みにより、装置の故障などの復旧作業を担当するサービスマンが顧客先へ出向かなくても、画像形成装置の設置業者や顧客システムの管理者により簡単に登録確認要求の開始処理を実行できる。また、サービスマンを派遣することなく、管理サーバ106への管理情報の登録に応じて、画像形成装置102の監視サービスを開始することができる。
【0050】
(実施例2)
実施例2では、管理サーバ106へ画像形成装置102の管理情報が登録される前においても、一部の監視サービスを開始する場合の処理を説明する。
【0051】
具体的には、顧客環境に画像形成装置が設置された時点で、登録確認が完了していない場合であっても、顧客に対して画像形成装置の利用を暫定的に認める運用とした際に、重大な障害が画像形成装置で発生した場合に復旧作業を行う必要がある。そのため、レポーティングなどの監視サービスは開始しないが、一部の障害情報(サービスコールなど)の監視とサービスマンの手配といった監視サービスのみは登録確認の完了を待たずに開始することが考えられる。
【0052】
図10は、画像形成装置102が持つ監視対象の障害コード一覧の一例を示したものである。本障害コード一覧は登録確認要求に従う登録確認が完了する前であっても、画像形成装置102が管理サーバ106へ送信する重要情報の一覧である。基本的には、図10に示す障害コード一覧は、管理サーバ106が登録確認の完了後に画像形成装置102に対して指定する障害情報のコード一覧とは別のものである。この一覧は画像形成装置102の記憶部402に保持されている。この一覧に従い、画像形成装置102の通信部401は、管理サーバ106での登録確認の完了前でも、例えば、画像形成装置102が動作しなくなるような重要障害については管理サーバ106へ送信制御することになる。また、通信部401は、画像形成装置の設置時の各種設定値、状態情報も保守に必要なため、障害発生時などに管理サーバ106に対して送信するものとする。
【0053】
図11は、管理サーバ106が持つ販売会社に関する情報テーブルの一例である。このテーブルは管理サーバ106の記憶装置304に保持されており、記憶部502、販売会社情報管理部505、表示部509により扱われる。
【0054】
1101は、販売会社のタイムゾーン、いわゆる地域を示しており、管理サーバ106はこの情報を元に時差などを決定する。1102は、販売会社の担当者メールアドレスを示しており、障害通知、消耗品(トナー/インク、部品)寿命通知など顧客の画像形成装置102をサポートしていく上で必要な情報を通知する宛先を示している。
【0055】
図13は、実施例2における、画像形成装置102がボタン押下により管理サーバ106へ登録確認要求を行い、監視サービスを開始するための処理を説明するためのフローチャートの一例である。S1301〜S1304、S1306〜S1308に係る処理は、図8で前述したS801〜S804、S805〜S807の処理と共通するため、詳細な説明を割愛する。
【0056】
S1305では、重要情報(図10で示す重大な障害の一覧)に関してのみ監視サービスを開始する。具体的には、通信部401による重大な障害の発生に応じた管理サーバ106に対する送信制御が開始される。一方で、この際には登録確認が終わっていないので、消耗品の配送サービスやレポーティングサービスといった他の監視サービスについては開始されない。
【0057】
S1308での確認の結果、登録確認要求のリトライ期間中でなかった場合、S1309に進む。S1309では、画像形成装置102は最後の登録確認要求を行う。具体的には、登録確認要求の中に、図12の1202で示すフラグを用いて、今回のリトライ期間に関しての最後の登録確認要求の再送であることを示す情報を含ませて、登録確認要求を行う。
【0058】
S1310で、画像形成装置102は管理サーバ106から返された登録確認要求の結果を示す応答を解析する。S1310での解析結果において、自身の情報が管理サーバ106に登録されていた場合にはS1304に進み、未登録の場合にはS1311に進む。S1311で、画像形成装置102はオペレーションパネルに管理サーバ106側の登録が完了していない旨を伝えるメッセージを表示する(図16)。また、この表示と同時に登録確認要求を自動で行う本サービス(監視サービスを開始するための一連の処理に関する機能)をOFFとし、本処理を終了する。
【0059】
図14は、実施例2における、画像形成装置102より登録確認要求を受信した際の管理サーバ106の登録確認処理を説明するためのフローチャートの一例である。S1401〜S1405、S1409に係る処理は、図9で前述したS901〜S805、S907の処理と共通するため、詳細な説明を割愛する。
【0060】
S1404で確認した結果、画像形成装置102からの登録確認要求が初回でなかった場合、S1406では画像形成装置102から最後の登録確認要求を受信したかどうかを判断する。ここではフラグ1202を用いて判断する。S1406での判断結果において、最後の登録確認要求であった場合にはS1407に進み、そうでない場合にはS1408に進む。S1408では、管理サーバ106は登録確認結果を画像形成装置102へ返却して本処理を終了する。
【0061】
S1407では、登録確認結果を画像形成装置102へ返却する。さらに、管理サーバ106への画像形成装置102の管理情報の登録が遅れている旨を、電子メールなどを用いて担当販売会社へ通知する。担当販売会社の宛先については、画像形成装置102から送信される登録確認要求に含まれる仕向け情報1201と、管理サーバ106が保持する販売会社情報(図11)に含まれるタイムゾーン1101から特定する。なお、宛先の特定については、画像形成装置102の仕向け情報から判断するだけでなく、画像形成装置102の設置業者に対して、オペレーションパネル(入出力装置210)より、担当販売会社の宛先を特定するための情報を、設置時に入力させる方法もある。宛先を特定するための情報とは、例えば画像形成装置を管理している販売会社のIDや、国コード、または担当者メールアドレスなどを示す。
【0062】
ここで、S1405、S1407、S1408において、登録済み(登録完了)を示す応答を返却した場合には、画像形成装置102の重大な障害の監視サービス以外の監視サービスも開始されることになる。
【0063】
本実施例により、管理サーバ106への管理情報の登録が遅れても、顧客が画像形成装置102を暫定的に利用した際に発生した重大な障害については、管理サーバ106へ送信されるようになる。したがって、それに対する復旧作業などの一部の保守サービスの提供が可能となる。また、管理情報の登録の遅れについて、適切な担当者へメールにて通知することも可能となる。
【0064】
(他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0065】
さらに、本発明には、上述した実施形態の適宜組み合わせることにより構成されたシステムやその機能も含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客システムに設置される画像形成装置と、当該画像形成装置を監視するための管理サーバとを含む監視システムであって、
前記画像形成装置は、
顧客システムに設置された後に、前記管理サーバによる監視サービスを開始するためのユーザの操作に応じて、前記管理サーバに対して、当該画像形成装置の識別情報を含む登録確認要求の送信を行う要求手段と、
前記登録確認要求に対する前記管理サーバからの応答を解析する解析手段と、
前記応答の解析結果において登録完了を示す場合に、前記監視サービスに従う情報の送信を開始する開始制御手段と、
前記応答の解析結果において未登録を示す場合に、前記応答に含まれるリトライ期間を記憶する記憶手段と、
前記画像形成装置において障害が発生した場合に、前記管理サーバに対して当該障害の情報を送信する送信手段と、を有し、
前記管理サーバは、
前記画像形成装置から登録確認要求を受信した場合に、当該登録確認要求に含まれる識別情報が、前記監視サービスを行う対象の画像形成装置を示す管理情報として登録されているかを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記管理情報として登録されていると判断された場合には前記画像形成装置に対して登録完了を示す応答の送信を行い、前記判断手段により前記管理情報として登録されていないと判断された場合には前記画像形成装置に対して未登録を示し、さらにリトライ期間を含む応答の送信を行う応答手段と、有し、
前記要求手段が、前記記憶されたリトライ期間において、前記管理サーバから登録完了を示す応答を受信するまで、登録確認要求の再送を行い、
前記送信手段が、前記管理サーバから登録完了を示す応答を受信する前であっても、前記監視サービスの一部である特定の障害の発生に応じた障害情報の送信を行うことを特徴とする管理システム。
【請求項2】
前記管理サーバが、さらに、前記画像形成装置からの登録確認要求に前記リトライ期間に関しての最後の要求であることを示す情報と仕向け情報とが含まれていた場合に、当該仕向け情報から特定される宛先に対して、前記画像形成装置の管理情報の登録が遅れている旨の通知を行う通知手段を有することを特徴とする請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
顧客システムに設置される画像形成装置と、当該画像形成装置を監視するための管理サーバとを含む監視システムにおける方法であって、
前記画像形成装置は、
顧客システムに設置された後に、前記管理サーバによる監視サービスを開始するためのユーザの操作に応じて、前記管理サーバに対して、当該画像形成装置の識別情報を含む登録確認要求の送信を行う要求工程と、
前記登録確認要求に対する前記管理サーバからの応答を解析する解析工程と、
前記応答の解析結果において登録完了を示す場合に、前記監視サービスに従う情報の送信を開始する開始制御工程と、
前記応答の解析結果において未登録を示す場合に、前記応答に含まれるリトライ期間を記憶する記憶工程と、
前記画像形成装置において障害が発生した場合に、前記管理サーバに対して当該障害の情報を送信する送信工程と、を有し、
前記管理サーバは、
前記画像形成装置から登録確認要求を受信した場合に、当該登録確認要求に含まれる識別情報が、前記監視サービスを行う対象の画像形成装置を示す管理情報として登録されているかを判断する判断工程と、
前記判断工程で前記管理情報として登録されているとの判断がなされた場合には前記画像形成装置に対して登録完了を示す応答の送信を行い、前記判断工程で前記管理情報として登録されていないとの判断がなされた場合には前記画像形成装置に対して未登録を示し、さらにリトライ期間を含む応答の送信を行う応答工程と、有し、
前記要求工程では、前記記憶されたリトライ期間において、前記管理サーバから登録完了を示す応答を受信するまで、登録確認要求の再送が行われ、
前記送信工程では、前記管理サーバから登録完了を示す応答を受信する前であっても、前記監視サービスの一部である特定の障害の発生に応じた障害情報の送信が行われることを特徴とする方法。
【請求項4】
管理サーバと通信可能な顧客システムに設置される画像形成装置であって、
顧客システムに設置された後に、前記管理サーバによる監視サービスを開始するためのユーザの操作に応じて、前記管理サーバに対して、当該画像形成装置の識別情報を含む登録確認要求の送信を行う要求手段と、
前記登録確認要求に対する前記管理サーバからの応答を解析する解析手段と、
前記応答の解析結果において登録完了を示す場合に、前記監視サービスに従う情報の送信を開始する開始制御手段と、
前記応答の解析結果において未登録を示す場合に、前記応答に含まれるリトライ期間を記憶する記憶手段と、を有し、
前記要求手段が、前記記憶されたリトライ期間において、前記管理サーバから登録完了を示す応答を受信するまで、登録確認要求の再送を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
さらに、前記画像形成装置において障害が発生した場合に、前記管理サーバに対して当該障害の情報を送信する送信手段を有し、
前記送信手段が、前記管理サーバから登録完了を示す応答を受信する前であっても、前記監視サービスの一部である特定の障害の発生に応じた障害情報の送信を行うことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記要求手段による前記リトライ期間に関しての最後の登録確認要求の再送となる場合には、当該登録確認要求に前記リトライ期間に関しての最後の要求であることを示す情報と仕向け情報とが含まれることを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
さらに、前記管理サーバから登録完了を示す応答を受信する前に前記リトライ期間を過ぎた場合には、監視サービスが開始できなかった旨を示す表示を行う表示手段を有することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
管理サーバと通信可能な顧客システムに設置される画像形成装置における方法であって、
顧客システムに設置された後に、前記管理サーバによる監視サービスを開始するためのユーザの操作に応じて、前記管理サーバに対して、当該画像形成装置の識別情報を含む登録確認要求の送信を行う要求工程と、
前記登録確認要求に対する前記管理サーバからの応答を解析する解析工程と、
前記応答の解析結果において登録完了を示す場合に、前記監視サービスに従う情報の送信を開始する開始制御工程と、
前記応答の解析結果において未登録を示す場合に、前記応答に含まれるリトライ期間を記憶する記憶工程と、を有し、
前記要求工程では、前記記憶されたリトライ期間において、前記管理サーバから登録完了を示す応答を受信するまで、登録確認要求の再送が行われることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項4乃至7のいずれか1項に記載の手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−114654(P2013−114654A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263421(P2011−263421)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】