説明

管理装置、測定装置、検査紙用容器、および検査紙の管理方法

【課題】化学薬品が塗布された検査紙の保存条件を適切に保つことができる管理装置を提供する。
【解決手段】検査紙用の容器には有効期限に関する情報を記憶した媒体が配置され、メータ1には、検査紙用の容器に配置された有効期限に関する情報を記憶したICタグからタグ情報を読み取るためのICタグリーダ123が設けられる。ICタグリーダ123は、容器が閉状態である場合には読み取られず、容器のロック機構を解除するためのメータ1の開封機構で開状態となった際に読み取られる位置に設けられる。メータ1は、開封ロック機構が解除されたときの現在日と読み取られたタグ情報に含まれる有効期限とを比較することで、検査紙用容器に保存された検査紙が有効期限内であるか否かを判断する期日判断部509と、その判断結果を表示するための表示部11とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は管理装置、測定装置、検査紙用容器、および検査紙の管理方法に関し、特に、化学薬品が塗布された検査紙の管理を行なうための管理装置、測定装置、検査紙用容器、および検査紙の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病患者は、治療・管理のために、日々、定期的に血糖計により血糖値を測定、記録する必要がある。
【0003】
侵襲式の測定装置を用いて血糖値を測定する場合、指先等を針で刺し、グルコースオキシダーゼやグルコースデヒドロゲナーゼなどのグルコースと反応する化学薬品が塗布された検査紙に血液を吸収させる。この化学薬品は、血液中のグルコースと特異的に反応して反応物(たとえばフェリシアン化カリウム)を生成する。血液を吸収した検査紙を測定装置にセットすることで、測定装置では上記酸化還元反応によって生じる電流を測定する。そして、得られた電流値をグルコース濃度に換算して血糖値を出力する。
【0004】
このように、侵襲式の測定装置で用いられる検査紙には化学薬品が塗布されているため、保管に際して、温度や、湿度や、使用期限日や、容器開封後の日数など、管理上の条件がある。特に、糖尿病患者は日々の測定に用いるために検査紙を家庭で管理するため、その管理上の条件を満たすことが重要となる。このような管理は、血糖値の測定のための検査紙の管理に限らず、尿糖の測定のための検査紙や、妊娠検査用の検査紙や、リトマス検査紙などの管理でも同様の条件が要求される。
【0005】
上記条件のうち、保存温度は室内に保存することで、湿度管理は専用容器に保存して使用時に取り出すことで、比較的に容易に管理上の条件を満たすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−271315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記条件のうちの使用期限日は、使用者自らが保存容器に記載された使用期限日を読み取り随時管理する必要がある。また、容器開封後の日数は、自ら使用開始日を記録して経過日数を管理する必要がある。そのため、これら条件は使用者が日々の使用において十分注意をしていないと満たされなくなってしまうことがある、という問題がある。
【0008】
検査紙の使用期限が過ぎたり容器開封後の日数が期限日数を過ぎたりしたことに気付いた時点で新たに検査紙を取り寄せても、使用者の手元に届くまでに日数がかかることがあり、その間は血糖値の測定ができない、という問題が発生したり、期限の過ぎた検査紙を用いると測定精度が低くなることがあり、測定値の信用度が低下する、という問題が発生したりしていた。
【0009】
なお、特開平11−271315号公報(特許文献1)は、尿自動分析装置で用いる検査紙の有効期限を管理し得る装置を開示している。開示されている尿自動分析装置には、検査紙が入ったカートリッジがセットされ、当該カートリッジに貼付された記憶媒体に予め有効期限などの情報が記憶されている。そして、当該分析装置で分析開始時にカートリッジに貼付された記憶媒体からその情報を読み取るものである。
【0010】
しかしながら、この技術は、検査紙が入ったカートリッジを尿自動分析装置にセットして分析動作が行なわれることが前提であり、使用者によって容器から検査紙が取り出されて測定に用いられる場合には、この技術を利用することができない。
【0011】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、化学薬品が塗布された検査紙の保存条件を適切に保つための管理装置、測定装置、検査紙用容器、および検査紙の管理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、管理装置は検査紙用容器に保存された検査紙の有効期限の管理を行なうための管理装置である。検査紙用容器には有効期限に関する情報を記憶した媒体が配置され、検査紙用容器は、当該検査紙用容器に対して蓋が閉状態から開状態と移行するためのロック機構を有する。管理装置は、ロック機構を解除するための解除手段と、媒体から有効期限に関する情報を読み取るための読取手段と、検査紙用容器に保存された検査紙が有効期限内であるか否かを判断するための判断手段と、判断手段での判断結果を報知するための報知手段とを備える。読取手段は、蓋が閉状態である場合には検査紙用容器に配置された媒体から有効期限に関する情報が読み取られず、開状態となった際に媒体から有効期限に関する情報を読み取られる位置に設けられ、判断手段は、解除手段によって検査紙用容器のロック機構が解除されたときに、現在日と読取手段によって媒体から読み取られた情報を解析して得られた有効期限とを比較することで、検査紙用容器に保存された検査紙が有効期限内であるか否かを判断する。
【0013】
好ましくは、有効期限に関する情報は、検査紙用容器を最初に開封した日から日数としての有効期限を特定する情報と、検査紙用容器を識別する情報とを含み、読取手段で検査紙用容器から有効期限に関する情報を最初に読み取った日を記憶するための記憶手段をさらに備え、判断手段は、解除手段によって検査紙用容器のロック機構が解除されたときに、読取手段によって媒体から読み取られた情報を解析して得られた検査紙用容器を最初に開封した日から日数としての有効期限と、検査紙用容器を最初に開封した日からの日数とを比較することで、検査紙用容器に保存された検査紙が検査紙用容器を最初に開封した日から日数としての有効期限内であるか否かをさらに判断する。
【0014】
好ましくは、有効期限に関する情報は検査紙用容器を識別する情報を含み、判断手段は、読取手段での情報の読み取りに基づいて解除手段によって検査紙用容器のロック機構が解除された回数をカウントし、解除手段によって検査紙用容器のロック機構が解除されたときに、カウントされた回数から得られる検査紙用容器内の検査紙の枚数が予め記憶されている枚数から所定範囲となっているか否かをさらに判断する。
【0015】
好ましくは、解除手段は、検査紙用容器に対する状態を第1の状態から第2の状態へと変化させることでロック機構を解除し、読取手段は、検査紙用容器に対して第2の状態であるときに媒体から有効期限に関する情報を読み取り可能な位置に設けられる。
【0016】
本発明の他の局面に従うと、測定装置は化学薬品が塗布された検査紙を用いて、当該検査紙に浸透した液体の測定を行なうための測定装置である。検査紙を保存するための検査紙用容器には有効期限に関する情報を記憶した媒体が配置され、検査紙用容器は、当該検査紙用容器に対して蓋が閉状態から開状態と移行するためのロック機構を有する。測定装置は、検査紙に浸透した液体と化学薬品との間の化学反応を測定することで、液体から測定値を得るための測定手段と、ロック機構を解除するための解除手段と、媒体から有効期限に関する情報を読み取るための読取手段と、検査紙用容器に保存された検査紙が有効期限内であるか否かを判断するための判断手段と、判断手段での判断結果を報知するための報知手段とを備える。読取手段は、蓋が閉状態である場合には検査紙用容器に配置された媒体から有効期限に関する情報が読み取られず、開状態となった際に媒体から有効期限に関する情報を読み取られる位置に設けられ、判断手段は、解除手段によって検査紙用容器のロック機構が解除されたときに、現在日と読取手段によって媒体から読み取られた情報を解析して得られた有効期限とを比較することで、検査紙用容器に保存された検査紙が有効期限内であるか否かを判断する。
【0017】
好ましくは、有効期限に関する情報は、検査紙用容器を最初に開封した日から日数としての有効期限を特定する情報と、検査紙用容器を識別する情報とを含む。測定装置は、読取手段で検査紙用容器から有効期限に関する情報を最初に読み取った日を記憶するための第1の記憶手段をさらに備える。判断手段は、解除手段によって検査紙用容器のロック機構が解除されたときに、読取手段によって媒体から読み取られた情報を解析して得られた検査紙用容器を最初に開封した日から日数としての有効期限と、検査紙用容器を最初に開封した日からの日数とを比較することで、検査紙用容器に保存された検査紙が検査紙用容器を最初に開封した日から日数としての有効期限内であるか否かをさらに判断する。
【0018】
好ましくは、有効期限に関する情報は検査紙用容器を識別する情報を含み、判断手段は、読取手段での情報の読み取りに基づいて解除手段によって検査紙用容器のロック機構が解除された回数をカウントし、解除手段によって検査紙用容器のロック機構が解除されたときに、カウントされた回数から得られる検査紙用容器内の検査紙の枚数が予め記憶されている枚数から所定範囲となっているか否かをさらに判断する。
【0019】
好ましくは、測定装置は測定手段での測定動作を制御するための制御手段をさらに備え、制御手段は、判断手段によって検査紙用容器に保存された検査紙が有効期限内でないと判断された場合に、その後の測定動作を行なわないように測定手段を制御する。
【0020】
好ましくは、測定装置は測定手段での測定結果を記憶するための第2の記憶手段をさらに備え、第2の記憶手段は、判断手段によって検査紙用容器に保存された検査紙が有効期限内でないと判断された場合に、測定結果を判断手段での判断結果を示す情報と共に記憶する。
【0021】
本発明のさらに他の局面に従うと、検査紙用容器は化学薬品が塗布された検査紙を保存するための容器であって、ボトル部と、蓋部と、ボトル部に対して蓋部が閉状態から開状態と移行するためのロック機構と、有効期限に関する情報を記憶した媒体とを備える。ロック機構は、解除手段を有する装置によって解除可能であって、解除手段を有する装置は媒体から有効期限に関する情報を読み取るための読取手段をさらに含む。媒体は、ロック機構が施錠状態である際に解除手段を有する装置に含まれる読取手段において読取可能な位置ではなく、ロック機構が開錠状態となった際に読取手段において読取可能な位置に設けられる。
【0022】
本発明のさらに他の局面に従うと、検査紙の管理方法は検査紙用容器に保存された検査紙の有効期限の管理方法であって、検査紙用容器には有効期限に関する情報を記憶した媒体が配置され、検査紙用容器は、当該検査紙用容器に対して蓋が閉状態から開状態と移行するためのロック機構を有し、ロック機構は、解除手段を有する装置によって解除可能である。解除手段を有する装置は媒体から有効期限に関する情報を読み取るための読取手段をさらに含む。媒体は、ロック機構が施錠状態である際に解除手段を有する装置に含まれる読取手段において読取可能な位置ではなく、ロック機構が開錠状態となった際に読取手段において読取可能な位置に設けられる。検査紙の管理方法は、上記装置を用いてロック機構が施錠状態から開錠状態に遷移したときに、読取手段で媒体から有効期限に関する情報を読み取るステップと、読み取るステップで情報が読み取られた日時と、読み取るステップで媒体から読み取られた情報を解析して得られた有効期限とを比較することで、検査紙用容器に保存された検査紙が有効期限内であるか否かを判断するステップと、判断するステップでの判断結果を報知するステップとを備える。
【発明の効果】
【0023】
この発明によると、化学薬品が塗布された検査紙の保存条件を適切に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態にかかるメータの外観の概要を表わした図である。
【図2】検査紙用の容器の形状の概要を表わした図である。
【図3】検査紙用の容器の蓋の構成の概要を表わした図である。
【図4】蓋がボトルに対して開錠状態であるときの施錠鍵の状態を表わした図である。
【図5】施錠状態の容器の蓋をメータに対してセットした状態を上から見た図である。
【図6】施錠状態の容器の蓋をメータに対してセットした状態を横からの断面概略図である。
【図7】施錠状態から開錠状態に至ったときの容器およびメータの状態を上から見た図である。
【図8】施錠状態から開錠状態に至ったときの容器およびメータの、横からの断面概略図である。
【図9】メータの構成の具体例を示す図である。
【図10】メータの機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図11】メータでの動作を表わすフローチャートである。
【図12】図11のフローチャートに表わされた動作に伴ってメータの表示部に表示される画面の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0026】
<構造の説明>
本実施の形態にかかる血糖値測定装置(以下、メータと称する)は、侵襲式で被験者の血糖値を測定する装置であって、血液を吸収させた、グルコースオキシダーゼやグルコースデヒドロゲナーゼなどのグルコースと反応する化学薬品が塗布された検査紙がセットされることで、上記薬品と血液中のグルコースとの酸化還元反応によって生じる電流を測定する。
【0027】
この機能構成自体は、通常の、血糖値測定装置における測定機能を採用することができる。
【0028】
図1は、本実施の形態にかかるメータ1の外観の概要を表わした図である。
メータ1の筐体は六面体形状を有し、そのうちの一面に測定結果などを表示するための表示部11が設けられる。表示部11が設けられたメータ1の一面を「正面」とする。
【0029】
図1(A)はメータ1の正面図であり、図1(B)はメータ1の左側面図であり、図1(C)はメータ1の底面図である。
【0030】
図1を参照して、メータ1の筐体には、表示部11の他、後述する検査紙用の容器2(図2参照)を開封するための開封機構12が備えられる。開封機構12はガイド121を含む。図1(C)を参照して、ガイド121は、メータ1の筐体底面から、筐体の高さHよりも低い高さhの分だけ円弧状にオフセットし、その、筐体底面から最も遠い面に半円状または略半円状の掛121Aを有する。
【0031】
開封機構12には、ガイド121のオフセット面からメータ1の筐体底面に向かって伸びる開錠脚122が含まれる。開錠脚122の先端には、その伸張方向とは異なる方向に伸びる開錠鍵122Aが設けられる。ガイド121のオフセット面から開錠脚122の先端までの長さである開錠脚122の高さは特定の高さに限定されるものではないが、メータ1を底面を下にして置いたときの安定性を考慮すると、その高さは好ましくはガイド121のオフセット高さhと同じとする。図1(C)では開錠脚122の高さがガイド121のオフセット高さhと同じである例が示されており、以降の説明でもそうであるものとする。
【0032】
ガイド121のオフセット面側に、情報読取装置としてのICタグリーダ123と、ホール素子124とが設けられる。ICタグリーダ123は、ガイド121のオフセット面に相対したICタグから情報を読み取り可能である。
【0033】
図2は、検査紙用の容器2の形状の概要を表わした図である。
図2を参照して、検査紙用の容器2は、検査紙を格納するためのボトル21と蓋22とからなる。ボトル21と蓋22とは、開状態において完全に分離する構成であってもよいし、一部が分離せずにその他の部分が分離することでボトル21内の検査紙が取り出されるだけ蓋22が開く構成であってもよい。
【0034】
ボトル21は、さらに、密閉機構21Aと収容機構21Bとからなり、密閉機構21A部分は、蓋22が閉状態となることでその内部を密閉する構成を有する。一例として、図2に示されたように、密閉機構21A部分の構成は収容機構21Bと同じ内径が蓋22側に向けて伸径する構成とすることができる。さらに、その内壁の摩擦が収容機構21Bのそれよりも高い構成としてもよい。
【0035】
ボトル21の密閉機構21Aの内側の一部には、後述する蓋22に備えられる施錠機構224の施錠鍵が入り込んで施錠状態とするための凹部211が設けられる。
【0036】
図3は、蓋22の構成の概要を表わした図である。蓋22の、ボトル21に対して閉状態としたときにボトル21から遠い側の面を「上面」とする。図3(A)は蓋22の上面図であり、図3(B)は蓋22の正面図である。
【0037】
図3(B)を参照して、蓋22はボトル21の最も大きい内径よりも大きな径を有するボトル蓋22Aと、ボトル21の密閉機構21A部分の径と対応した径を有する密閉栓22Bとから構成される。
【0038】
ボトル蓋22Aの上面側には開錠孔221が設けられ、さらに、ICタグ222およびマグネット223が配される。ここでは、後述する容器2に関する情報を記憶するための媒体としてICタグを用いる例が示されているが、当該媒体はICタグに限定されない。好ましくは、非接触で情報を読み取ることが可能な媒体であれば、たとえば光学的に非接触にて情報を読み取り可能なバーコードなどの、他の構成の媒体であってもよい。または、メータ1とボトル蓋22Aの上面とが後述する開錠状態とするための動作の過程で接触し得る形状とする場合には、接触して情報を読み取り可能な媒体であってもよい。
【0039】
開錠孔221はボトル蓋22Aの上面から密閉栓22Bに向けて削孔され、ボトル蓋22Aの上面から開錠孔221底部までの高さはメータ1の開錠脚122の高さ(つまり、ガイド121のオフセット高さh)よりも高く、蓋22自体の高さよりも低いものとする。開錠孔221のボトル蓋22Aの上面における形状は、メータ1の開錠脚122および開錠鍵122Aを概ねその高さ方向に従う方向に挿入可能な形状である。
【0040】
ボトル蓋22Aの下面には施錠機構224が設けられる。施錠機構224は、密閉栓22Bに向かう方向に伸びる施錠脚224Aと、その伸張方向とは異なる方向に伸びる施錠鍵224Bとからなる。施錠鍵224Bは、施錠脚224Aに対して、蓋22がボトル21に対して施錠状態であるときに、その一部が、直径がボトル蓋22Aに向けて伸径する密閉栓22Bの面から突出し、ボトル21の凹部211に入り込む位置に設けられる。
【0041】
施錠機構224は、ボトル蓋22Aに対する施錠脚224Aの位置は固定して施錠鍵224Bが施錠脚224Aを軸として回転可能に設けられる。
【0042】
図3(A),(B)は、蓋22がボトル21に対して施錠状態であるときの施錠鍵224Bの状態を表わし、図4(A),(B)は、蓋22がボトル21に対して開錠状態であるときの施錠鍵224Bの状態を表わしている。
【0043】
図3(A),(B)および図4(A),(B)を参照して、施錠鍵224Bは施錠脚224Aを軸として回転し、施錠鍵224Bが密閉栓22Bの面から突出した位置にあるときが施錠状態、施錠鍵224Bが密閉栓22Bの面より内側に収まり、突出しない位置にあるときが開錠状態となる。すなわち、施錠状態のときには施錠鍵224Bがボトル21の凹部211と干渉して蓋22がボトル21から上方に移動することを阻み、開錠状態のときには施錠鍵224Bがボトル21の凹部211と干渉しないために蓋22がボトル21から上方に移動することが可能となる。
【0044】
図示されたように、ボトル蓋22Aの縁部は半円状または略半円状を有し、メータ1のガイド121のオフセット面に設けられた掛121Aの形状はボトル蓋22Aの縁部の形状に対応している。また、ガイド121の円弧形状の径はボトル蓋22Aの径に一致している。これにより、メータ1のガイド121にボトル蓋22Aの一部形状を一致させてガイド121にボトル蓋22Aをセットすることで、ボトル蓋22Aの縁部がガイド121の掛121Aにかみあい、ずれを防止する。
【0045】
図5〜図8は、メータ1の開封機構12を用いて容器2を施錠状態から開錠状態にする方法を説明する図である。図5は、施錠状態の容器2の蓋22をメータ1に対してセットした状態を上から見た図であり、図6は、その状態の横からの断面概略図である。図7は、施錠状態から開錠状態に至ったときの容器2およびメータ1の状態を上から見た図であり、図8は、その状態の横からの断面概略図である。
【0046】
図5を参照して、ボトル蓋22Aから密閉栓22Bに向かう方向に設けられた施錠機構224の施錠脚224Aは、容器2が施錠状態であるときに、開錠孔221に干渉しない。
【0047】
施錠状態から開錠状態とするために、第1に、容器2の蓋22がガイド121に一致するように容器2の蓋22をメータ1に対してセットする。このとき、蓋22のボトル蓋22Aに設けられた開錠孔221からメータ1の開錠脚122および開錠鍵122Aが挿入されるようにセットする。図5には、この位置関係にあるメータ1と容器2とが表わされており、説明の簡便のため、メータ1側に設けられた構成は点線、容器2の蓋22側に設けられた構成は実線で表わされている。この位置関係にあるメータ1と容器2との状態を第1状態とも称する。
【0048】
図5を参照して、メータ1のICタグリーダ123およびホール素子124は、第1状態において、それぞれ、容器2の蓋22の上面側に設けられたICタグ222およびマグネット223と一致しない位置に設けられる。それ故、施錠状態で容器2の蓋22をメータ1に対してセットすると、ICタグリーダ123では蓋22の上面側に設けられたICタグ222の情報が読み取られず、ホール素子124ではマグネット223が検出されない。
【0049】
図6を参照して、蓋22に設けられた施錠脚224Aおよび施錠鍵224Bは、施錠状態において、施錠鍵224Bが開錠孔221から蓋22に挿入された開錠脚122の先端にある開錠鍵122Aが干渉しない位置に配される。そのため、第1状態において、開錠鍵122Aは施錠鍵224Bに干渉しないために施錠鍵224Bはボトル21の凹部211に入り込んだままとなっている。
【0050】
施錠状態から開錠状態とするために、図5のように容器2の蓋22をメータ1に対してセットした後、蓋22をメータ1に対して左回り(図中矢印A方向)、または、メータ1を蓋22に対して右回り(図中矢印B方向)に、ガイド121に蓋22の縁部を沿わせながら回転させる。
【0051】
蓋22に設けられた開錠孔221は、蓋22とメータ1とをガイド121に蓋22の縁部を沿わせながら回転させるに連れて開錠脚122が移動可能なように、少なくともその回転方向に向かって伸びる形状を有している。これにより、回転に連れて開錠脚122が開錠孔221から挿入された状態で移動する。好ましくは、開錠孔221は回転方向に向かって所定の長さを有し、開錠脚122がその終端に達して回転を終了させる。この、回転が終了した状態が図7および図8に表わされており、この位置関係にあるメータ1と容器2との状態を第2状態とも称する。
【0052】
図7および図8を参照して、メータ1のICタグリーダ123およびホール素子124は、第2状態において、それぞれ、容器2の蓋22の上面側に設けられたICタグ222およびマグネット223と一致する位置に設けられる。それ故、第2状態に達するとICタグリーダ123では蓋22の上面側に設けられたICタグ222の情報が読み取られ、ホール素子124ではマグネット223が検出される。なお、ICタグ222の情報をタグ情報とも称する。
【0053】
図8を参照して、蓋22に設けられた施錠脚224Aおよび施錠鍵224Bは、第1状態から第2状態に至る過程において施錠鍵224Bが開錠孔221から蓋22に挿入された開錠脚122の先端にある開錠鍵122Aに干渉する位置に配される。先述のように、施錠鍵224Bは施錠脚224Aを軸として回転可能に構成されている。そのため、第1状態から第2状態に至る過程において開錠鍵122Aが施錠鍵224Bに干渉して施錠鍵224Bを施錠脚224Aを軸として回転させ、図8に表わされたように、ボトル21の凹部211から施錠鍵224Bを回避させる。これによって、蓋22がボトル21から上方に移動することを阻む要因が取り除かれることになり、施錠状態となる。
【0054】
好ましくは、施錠鍵224Bには図示しないばね機構が含まれ、開錠鍵122Aからの応力を受けない状態となるとボトル21の凹部211に入り込む状態に戻る。それ故、第2状態を脱すると施錠鍵224Bはボトル21の凹部211に入り込み、施錠状態に戻る。
【0055】
なお、以上の容器2を開封するための機構は一例であり、容器2の蓋22をメータ1に対してセットしてその位置関係を第1状態から第2状態に連続的に遷移させ、その過程において施錠状態から開錠状態に移行する構成であればどのような構成であってもよい。他の構成とする場合であっても、メータ1のICタグリーダ123およびホール素子124は、第1状態では蓋22のメータ1に相対する面に設けられたICタグ222およびマグネット223とそれぞれ一致する位置になく、第1状態から第2状態に遷移する過程の開錠状態となった位置関係においてICタグ222およびマグネット223とそれぞれ一致する位置に設けられる。
【0056】
<装置構成>
図9は、メータ1の構成の具体例を示す図である。メータ1は、上述のようにユーザが容器2の開封にも用いることが想定されるものであるため、手で把持することが可能なサイズ、重量、および形状を有する。
【0057】
図9を参照して、メータ1は、上述の開封機構12としてのICタグリーダ123およびホール素子124と、血糖を測定するための血糖測定部13と、血糖値に基づく処理や後述する有効期限管理、残量管理を行なうための処理部15と、表示部11と、ボタンや数字キーなどの操作部14とを備える。
【0058】
メータ1は検査紙2Aを挿入するための図示しない挿入孔を有し、血糖測定部13は図示しない複数の電極を有する。血糖測定部13には、2つの電極間の電流を測定するための電流測定部131が含まれる。
【0059】
検査紙2Aは、グルコースオキシダーゼやグルコースデヒドロゲナーゼなどのグルコースと反応する化学薬品が塗布された検査紙であり、被測定者は指先等を針で刺し、に血液をこの検査紙2Aに吸収させる。この化学薬品は、血液中のグルコースと特異的に反応して反応物(たとえばフェリシアン化カリウム)を生成する。
【0060】
血糖測定部13の図示しない複数の電極は、上記挿入孔に挿入された検査紙2Aに接触する位置に配置される。検査紙2Aに塗布されている化学薬品と血液中のグルコースとの酸化還元反応によって、血糖測定部13の上記電極に所定の電流が流れる。血糖測定部13の電流測定部131はこの電流を測定し、電流値を処理部15に入力する。
【0061】
処理部15は、CPU(Central Processing Unit)51と、CPU51で実行されるプログラムや測定値などを記憶するためのメモリ52とを含む。
【0062】
<動作概要>
本実施の形態にかかるメータ1では、容器2内の検査紙の有効期限管理と残量管理とを行なう。
【0063】
具体的には、メータ1を用いて容器2を開封する都度、有効期限内であるか否かを判断し、それに基づく処理を行なう。また、容器2内の検査紙の残量が所定量に達しているか否かを判断し、それに基づく処理を行なう。
【0064】
<機能構成>
図10は、メータ1において上記動作を実行するための処理部15の機能構成の具体例を示すブロック図である。図10に示された各機能は、処理部15のCPU51がメモリ52に記憶されるプログラムを読み込んで実行することで、主に、CPU51上に形成されるものであるが、少なくとも一部が電気回路などのハードウェアで構成されてもよい。
【0065】
図10を参照して、処理部15は、血糖測定部13の電流測定部131から電流値の入力を受け付けるための測定値入力部501と、予め電流値から血糖値を算出するための式を記憶しておき、入力された電流値から血糖値を算出するための血糖値算出部502と、算出された血糖値をメモリ52の測定結果を記憶させるための所定領域に書き込むための測定値書込部503と、ICタグリーダ123から当該ICタグリーダ123がICタグを読み取ることで得られたタグ情報の入力を受け付けるためのタグ情報入力部504と、入力されたタグ情報をメモリ52の所定領域に書き込むためのタグ情報書込部505と、ホール素子124からのセンサ信号の入力を受け付けるためのセンサ信号入力部506と、容器2が開封されたことを判断し、開封時を特定する情報をメモリ52の所定領域に書き込むための開封判断部507と、容器2内の検査紙の残量が所定量に達したか否かを判断するための残量判断部508と、容器2内の検査紙が有効期限内であるか否かを判断するための期日判断部509と、表示部11での表示を制御するための表示処理部511とを含む。
【0066】
容器2の蓋22に設けられたICタグ222には、当該容器2の固有情報(容器ID)と有効期限を表わす情報(有効期限情報)とが記憶されている。また、当該容器2に当初に封入されていた検査紙の枚数(封入枚数)を表わす情報が記憶されていてもよい。なお、この情報は、予めメータ1のメモリ52に記憶されていてもよい。
【0067】
有効期限は、製造時に基づいて設定された使用有効期限と、当該容器2の最初の開封時に基づいて設定された開封後有効期限との2種類が想定される。前者は検査紙に塗布された化学薬品が製造時からの時間経過に従って品質劣化することに対して設けられた有効期限であり、後者は未開封状態で容器2内に充填されていた保存剤から検査紙が脱したことによって化学薬品が品質劣化することに対して設けられた有効期限である。
【0068】
メータ1のICタグリーダ123はこれら情報を読み出し、タグ情報としてCPU51に入力する。入力されたタグ情報はメモリ52の所定領域に書き込まれる。
【0069】
ホール素子124は、上述のように、第1状態から第2状態に遷移する過程において施錠状態から開錠状態に至ったときにマグネット223を検出する。そのため、開封判断部507は、ホール素子124からのセンサ信号の入力を受け付けることで、容器が開封されたことを判断することができる。
【0070】
さらに、その状態においてICタグリーダ123からタグ情報が入力される。入力されたタグ情報とメモリ52に書き込まれているその直前に開封された容器から読み込まれたタグ情報とを比較することで、直前と同じ容器の開封であるか、新たな容器の開封であるかが判断される。
【0071】
開封判断部507は、直前の容器と異なる容器が開封されたと判断した場合、メモリ52のタグ情報を書き込む領域にその開封の際に入力されたタグ情報を上書きする。
【0072】
残量判断部508は容器の開封回数をカウントするためのカウンタ508Aを含む。開封判断部507において容器の開封が判断され、その開封が直前の容器と同じ容器2の開封である場合には、残量判断部508はカウンタ508Aを1インクリメントする。そして、メモリ52の所定領域に記憶されている当該容器2からのタグ情報に含まれる封入枚数からカウント数を減じることで残量を算出し、予め記憶しているしきい値と比較することで、残量が所定量に達しているか否かを判断する。
【0073】
開封された容器が直前の容器と異なる容器である場合には、新たな容器の検査紙の使用が開始されたものとしてカウンタ508Aを初期化した上で1インクリメントする。
【0074】
期日判断部509は図示しない現在日時を得るための手段を含み、開封判断部507において容器の開封が判断されると、その開封日時とメモリ52の所定領域に記憶されている当該容器2からのタグ情報に含まれる使用有効期限とを比較することで、使用有効期限内であるか否かを判断する。
【0075】
開封判断部507において容器の開封が判断され、その開封が直前の容器と異なる容器の開封である場合には、新たな容器の検査紙の使用が開始されたものとして、期日判断部509はその開封時を記憶する。期日判断部509は、図示しない開封時からの経過日数をカウントするための手段を含み、開封判断部507において容器の開封が判断され、その開封が直前の容器と同じ容器2の開封である場合には、当該容器2の最初の開封時からの経過日数と、メモリ52の所定領域に記憶されている当該容器2からのタグ情報に含まれる開封後有効期限とを比較することで、開封後有効期限内であるか否かを判断する。
【0076】
表示処理部511は、測定結果である血糖値を表示部11に表示させる処理と、上記判断結果を表示部11に表示させる処理とを実行する。
【0077】
血糖測定部13は、期日判断部509において期日内でないと判断された場合に、その後の血糖値を測定する動作を実行しないようにしてもよい。すなわち、電流測定部131において、図示しない複数の電極間の電流の測定を実行しないようにしてもよい。血糖測定部13での測定動作は実行し血糖値算出部502で測定値の算出を行なわないようにしてもよい。
【0078】
<動作フロー>
図11は、メータ1での動作を表わすフローチャートである。図11のフローチャートに示される動作は、処理部15のCPU51がメモリ52に記憶されるプログラムを読み込んで実行し、図10の各機能を発揮させることによって実現される。
【0079】
また、図12は、図11のフローチャートに表わされた動作に伴って表示部11に表示される画面の具体例を示す図である。図12の例では、一例として表示部11に表示する例が示されているが、メータ1が図示しない通信機能を備える場合、この表示を行なわせるためのメールを予め記憶しているアドレスに対して送信してもよい。
【0080】
図11を参照して、CPU51は、ホール素子124からのセンサ信号の入力に基づいて、メータ1を用いて容器の開封がなされたことを検出する。
【0081】
開封がなされたことが検出されると(ステップS101でYES)、CPU51は、その開封と共に入力されたタグ情報に含まれる容器IDとメモリ52に記憶されているタグ情報に含まれる容器IDとを比較することで、開封された容器が直前に開封された容器と同じものであるか否か、つまり、この開封が最初の開封であるか否かを判断する。
【0082】
最初の開封である場合(ステップS103でYES)、ステップS105でCPU51は、入力されたタグ情報を、その開封時を特定する情報と共にメモリ52の所定領域に書き込む。
【0083】
次に、CPU51は、開封された容器内の検査紙が有効期限内であるか否かを判断する。
【0084】
ここで、第1の判断として、当該容器についてのタグ情報に含まれる使用有効期限と開封日時とを比較することで、開封時が使用有効期限内であるか否かを判断する。
【0085】
第2の判断として、当該容器についてのタグ情報に含まれる開封後有効期限と、カウントされている最初の開封時からの経過日数とを比較することで、開封時が開封後有効期限内であるか否かを判断する。
【0086】
上記第1の判断および第2の判断共に有効期限内と判断された場合(ステップS107でYES)、ステップS109でCPU51は、開封回数をカウントするためのカウンタ508Aを1インクリメントし、メモリ52の所定領域に記憶されている当該容器のタグ情報に含まれる封入枚数からそのカウント値を減じることで残量を算出する。
【0087】
CPU51は、予め記憶している残量のしきい値と上記ステップS109で算出された残量とを比較することで、残量が所定量に達しているか否か、つまり、残量がしきい値よりも少ないか否かを判断する。なお、上の説明では、この開封によって1枚検査紙が用いられた後の残量に基づいて判断を行なうものとしているが、上記ステップS109で1インクリメントする以前のカウント値を用いることで、この開封によって1枚検査紙が用いられる以前の残量に基づいた判断とすることもできる。
【0088】
残量がしきい値よりも少ない、つまり、所定量に達していると判断されると(ステップS113でYES)、ステップS113でCPU51は、図12(A)に示されるような画面を表示部11に表示させることで、その旨を表示部11に表示させる。図12(A)の例では、残量(YY枚残)と共に、その残量を予め記憶されている一日の使用量で除することでその残量を使用可能な日数(XX(日))を算出して表示している。
【0089】
その後、血糖値を測定する動作を実行し(ステップS115)、ステップS117で測定結果を表示部11に表示させて、一連の動作を終了する。
【0090】
なお、上記ステップS113でCPU51は、表示部11への表示に替えて、または表示に加えて、当該メータ1が通信機能を備える場合には、予め記憶されている発注先に対して自動的に検査紙を発注するメールを送信する処理を実行してもよい。この場合、図12(B)のような画面を表示部11に表示させ、残量や使用可能な日数を表示した上で発注の可否の入力を受け付けて、上記メールを送信するようにしてもよい。
【0091】
一方、上記第1の判断および第2の判断の少なくとも一方でも有効期限内にないと判断された場合、つまり、開封時が使用有効期限を過ぎている場合、および/または開封後有効期限を過ぎている場合(ステップS107でNO)、ステップS119でCPU51は表示部11に図12(C)に示されるようなエラー表示を行ない、以降の測定動作を行なわずに一連の動作を終了する。
【0092】
なお、図11の例では、上記第1の判断および第2の判断の少なくとも一方でも有効期限内にないと判断された場合、つまり、開封時が使用有効期限を過ぎている場合には、エラー表示を行なって測定動作を行なわずに終了するものとしている。このようにすることで、有効期限を過ぎた検査紙を用いて測定が行なわれることを防止することができ、測定精度を担保することができる。
【0093】
しかしながら、簡易な測定など、多少の測定精度が低下してもその検査紙を測定に用いたいという場合もある。そこで、他の例として、有効期限の条件が両方とも満たされていない場合であっても測定は実行するようにしてもよい。その場合、好ましくは、測定値をメモリ52に記憶しないようにしてもよいし、または、有効期限内にない検査紙を用いて測定された測定値であることを示す情報と共にメモリ52に記憶するようにしてもよい。
【0094】
<実施の形態の効果>
メータ1および容器2が上述のように構成されることで、容器2を開封して検査紙を用いようとするユーザは、メータ1を用いて容器2から蓋22を開錠することになる。そして、メータ1が上のように動作することで、開封動作に連動してメータ1において容器2内の検査紙の有効期限管理と残量管理と行なうことができる。つまり、ユーザの管理のための操作を必要とせずに通常の開封動作によって容器2内の検査紙の有効期限管理と残量管理と行なうことができる。
【0095】
そのため、ユーザによる管理忘れがなく、また、煩雑な操作を必要とせずに、化学薬品が塗布された検査紙の保存条件を適切に保つことができる。
【0096】
なお、以上の説明では、血糖値測定のために用いられる検査紙の有効期限管理と残量管理とを血糖値測定のための測定装置を利用して行なう例が示されている。しかしながら、この管理は血糖値測定のための検査紙の管理に限定されるものではなく、化学薬品が塗布されたことによって保存に条件を有する試料全般の管理に適用される。他の例としては、たとえば上述のように、尿糖の測定のための検査紙や、妊娠検査用の検査紙や、リトマス検査紙などの管理にも適用される。この場合にも、上の説明と同様に、測定に用いる測定装置に開封機構が設けられてそれを用いた開封動作に伴って管理がなされてもよいし、測定装置とは別の開封のための装置が用意されて、それを用いた開封動作に伴って管理がなされてもよい。つまり、開封機構が設けられた装置が測定装置である場合には、測定の際に必ず利用する装置であるためそれを用いて開封を行なうとするとユーザの利便性が高まるものであるが、必ずしも測定装置に限定されず、開封専用の装置を用意してそれを用いる構成としてもよい。
【0097】
<変形例1>
なお、以上の説明では、容器2の蓋22の上面にICタグ222およびマグネット223が配される構成が例示されている。しかしながら、この例は、図5に示されたように、メータ1を用いて開封する際に、メータ1の開封機構12を蓋22の上面に相対するようにセットする場合の例であって、メータ1の開封機構12に相対する面に備えられることが示されている。つまり、メータ1の開封機構12が、当該開封機構12を容器2の他の位置に相対するようにセットして開封する構成である場合、ICタグ222およびマグネット223はメータ1の開封機構12と相対する位置であって、施錠状態ではICタグリーダ123およびホール素子124の位置とは一致せず、施錠状態から開錠状態に遷移する過程においてICタグリーダ123およびホール素子124の位置と一致する位置に設けられていればよい。
【0098】
<変形例2>
なお、以上の例では、容器2内の検査紙の有効期限管理と残量管理とを開封に用いられた装置であるメータ1が実行するものとしている。しかしながら、他の例として、メータ1が図示しない通信機能を備えてPCなどの他の装置にデータ出力することが可能である場合、当該PCにおいてメータ1からの情報に基づいて有効期限管理と残量管理とがなされてもよい。つまり、開封に用いられる開封機構を備えた装置と、検査紙の保存条件の管理を行なう装置とが異なる装置であってもよい。
【0099】
この場合、メータ1は上述の開封機構12を備えて、図示しない通信機能を利用してICタグリーダ123で読み取ったタグ情報およびホール素子124からのセンサ信号の有無を上記PCに対して送信する。
【0100】
PCは、CPUがプログラムを実行することで図10に示された各機能を実現する。これによって、PCにおいて有効期限管理と残量管理とが実現される。なお、この場合、図12に示された表示はPCに表示されてもよいし、メータ1に表示データが送信されて表示部11に表示されてもよい。
【0101】
さらにこの場合、上記PCに図10の各機能を実現させて有効期限管理と残量管理とを実行させるためのプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびメモリカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0102】
なお、本発明にかかるプログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0103】
また、本発明にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0104】
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0105】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0106】
1 メータ、2 容器、2A 検査紙、11 表示部、12 開封機構、13 血糖測定部、14 操作部、15 処理部、21 ボトル、21A 密閉機構、21B 収容機構、22 蓋、22A ボトル蓋、22B 密閉栓、52 メモリ、121 ガイド、121A 掛、122 開錠脚、122A 開錠鍵、123 タグリーダ、124 ホール素子、131 電流測定部、211 凹部、221 開錠孔、222 ICタグ、223 マグネット、224 施錠機構、224A 施錠脚、224B 施錠鍵、501 測定値入力部、502 血糖値算出部、503 測定値書込部、504 タグ情報入力部、505 タグ情報書込部、506 センサ信号入力部、507 開封判断部、508 残量判断部、508A カウンタ、509 期日判断部、511 表示処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査紙用容器に保存された検査紙の有効期限の管理を行なうための管理装置であって、
前記検査紙用容器には有効期限に関する情報を記憶した媒体が配置され、
前記検査紙用容器は、当該検査紙用容器に対して蓋が閉状態から開状態と移行するためのロック機構を有し、
前記ロック機構を解除するための解除手段と、
前記媒体から前記有効期限に関する情報を読み取るための読取手段と、
前記検査紙用容器に保存された検査紙が前記有効期限内であるか否かを判断するための判断手段と、
前記判断手段での判断結果を報知するための報知手段とを備え、
前記読取手段は、前記蓋が閉状態である場合には前記検査紙用容器に配置された前記媒体から前記有効期限に関する情報が読み取られず、開状態となった際に前記媒体から前記有効期限に関する情報を読み取られる位置に設けられ、
前記判断手段は、前記解除手段によって前記検査紙用容器の前記ロック機構が解除されたときに、現在日と前記読取手段によって前記媒体から読み取られた情報を解析して得られた前記有効期限とを比較することで、前記検査紙用容器に保存された検査紙が前記有効期限内であるか否かを判断する、管理装置。
【請求項2】
前記有効期限に関する情報は、前記検査紙用容器を最初に開封した日から日数としての有効期限を特定する情報と、前記検査紙用容器を識別する情報とを含み、
前記読取手段で前記検査紙用容器から前記有効期限に関する情報を最初に読み取った日を記憶するための記憶手段をさらに備え、
前記判断手段は、前記解除手段によって前記検査紙用容器の前記ロック機構が解除されたときに、前記読取手段によって前記媒体から読み取られた情報を解析して得られた前記検査紙用容器を最初に開封した日から日数としての有効期限と、前記前記検査紙用容器を最初に開封した日からの日数とを比較することで、前記検査紙用容器に保存された検査紙が前記検査紙用容器を最初に開封した日から日数としての有効期限内であるか否かをさらに判断する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記有効期限に関する情報は前記検査紙用容器を識別する情報を含み、
前記判断手段は、前記読取手段での前記情報の読み取りに基づいて前記解除手段によって前記検査紙用容器の前記ロック機構が解除された回数をカウントし、前記解除手段によって前記検査紙用容器の前記ロック機構が解除されたときに、前記カウントされた回数から得られる前記検査紙用容器内の検査紙の枚数が予め記憶されている枚数から所定範囲となっているか否かをさらに判断する、請求項1または2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記解除手段は、前記検査紙用容器に対する状態を第1の状態から第2の状態へと変化させることで前記ロック機構を解除し、
前記読取手段は、前記検査紙用容器に対して前記第2の状態であるときに前記媒体から前記有効期限に関する情報を読み取り可能な位置に設けられる、請求項1〜3のいずれかに記載の管理装置。
【請求項5】
化学薬品が塗布された検査紙を用いて、当該検査紙に浸透した液体の測定を行なうための測定装置であって、
前記検査紙を保存するための検査紙用容器には有効期限に関する情報を記憶した媒体が配置され、
前記検査紙用容器は、当該検査紙用容器に対して蓋が閉状態から開状態と移行するためのロック機構を有し、
前記検査紙に浸透した前記液体と前記化学薬品との間の化学反応を測定することで、前記液体から測定値を得るための測定手段と、
前記ロック機構を解除するための解除手段と、
前記媒体から前記有効期限に関する情報を読み取るための読取手段と、
前記検査紙用容器に保存された検査紙が前記有効期限内であるか否かを判断するための判断手段と、
前記判断手段での判断結果を報知するための報知手段とを備え、
前記読取手段は、前記蓋が閉状態である場合には前記検査紙用容器に配置された前記媒体から前記有効期限に関する情報が読み取られず、開状態となった際に前記媒体から前記有効期限に関する情報を読み取られる位置に設けられ、
前記判断手段は、前記解除手段によって前記検査紙用容器の前記ロック機構が解除されたときに、現在日と前記読取手段によって前記媒体から読み取られた情報を解析して得られた前記有効期限とを比較することで、前記検査紙用容器に保存された検査紙が前記有効期限内であるか否かを判断する、測定装置。
【請求項6】
前記有効期限に関する情報は、前記検査紙用容器を最初に開封した日から日数としての有効期限を特定する情報と、前記検査紙用容器を識別する情報とを含み、
前記読取手段で前記検査紙用容器から前記有効期限に関する情報を最初に読み取った日を記憶するための第1の記憶手段をさらに備え、
前記判断手段は、前記解除手段によって前記検査紙用容器の前記ロック機構が解除されたときに、前記読取手段によって前記媒体から読み取られた情報を解析して得られた前記検査紙用容器を最初に開封した日から日数としての有効期限と、前記前記検査紙用容器を最初に開封した日からの日数とを比較することで、前記検査紙用容器に保存された検査紙が前記検査紙用容器を最初に開封した日から日数としての有効期限内であるか否かをさらに判断する、請求項5に記載の測定装置。
【請求項7】
前記有効期限に関する情報は前記検査紙用容器を識別する情報を含み、
前記判断手段は、前記読取手段での前記情報の読み取りに基づいて前記解除手段によって前記検査紙用容器の前記ロック機構が解除された回数をカウントし、前記解除手段によって前記検査紙用容器の前記ロック機構が解除されたときに、前記カウントされた回数から得られる前記検査紙用容器内の検査紙の枚数が予め記憶されている枚数から所定範囲となっているか否かをさらに判断する、請求項5または6に記載の測定装置。
【請求項8】
前記測定手段での測定動作を制御するための制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記判断手段によって前記検査紙用容器に保存された検査紙が前記有効期限内でないと判断された場合に、その後の測定動作を行なわないように前記測定手段を制御する、請求項5〜7のいずれかに記載の測定装置。
【請求項9】
前記測定手段での測定結果を記憶するための第2の記憶手段をさらに備え、
前記第2の記憶手段は、前記判断手段によって前記検査紙用容器に保存された検査紙が前記有効期限内でないと判断された場合に、前記測定結果を前記判断手段での判断結果を示す情報と共に記憶する、請求項5〜7のいずれかに記載の測定装置。
【請求項10】
化学薬品が塗布された検査紙を保存するための容器であって、
ボトル部と、
蓋部と、
前記ボトル部に対して前記蓋部が閉状態から開状態と移行するためのロック機構と、
有効期限に関する情報を記憶した媒体とを備え、
前記ロック機構は、解除手段を有する装置によって解除可能であって、
前記解除手段を有する装置は前記媒体から前記有効期限に関する情報を読み取るための読取手段をさらに含み、
前記媒体は、前記ロック機構が施錠状態である際に前記解除手段を有する装置に含まれる前記読取手段において読取可能な位置ではなく、前記ロック機構が開錠状態となった際に前記読取手段において読取可能な位置に設けられる、検査紙用容器。
【請求項11】
検査紙用容器に保存された検査紙の有効期限の管理方法であって、
前記検査紙用容器には有効期限に関する情報を記憶した媒体が配置され、
前記検査紙用容器は、当該検査紙用容器に対して蓋が閉状態から開状態と移行するためのロック機構を有し、
前記ロック機構は、解除手段を有する装置によって解除可能であって、
前記解除手段を有する装置は前記媒体から前記有効期限に関する情報を読み取るための読取手段をさらに含み、
前記媒体は、前記ロック機構が施錠状態である際に前記解除手段を有する装置に含まれる前記読取手段において読取可能な位置ではなく、前記ロック機構が開錠状態となった際に前記読取手段において読取可能な位置に設けられ、
前記装置を用いて前記ロック機構が施錠状態から開錠状態に遷移したときに、前記読取手段で前記媒体から前記有効期限に関する情報を読み取るステップと、
前記読み取るステップで前記情報が読み取られた日時と、前記読み取るステップで前記媒体から読み取られた前記情報を解析して得られた前記有効期限とを比較することで、前記検査紙用容器に保存された検査紙が前記有効期限内であるか否かを判断するステップと、
前記判断するステップでの判断結果を報知するステップとを備える、検査紙の管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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