説明

管理装置およびプログラム

【課題】複数の画像形成装置における各種動作の詳細な消費電力情報を収集し、全体で省電力化を図るための情報を提供する。
【解決手段】サーバ装置50(プリントサーバ)は、複数の画像形成装置(MFP1、プリンタ1、2)を対象にして、ジョブの設定情報と、そのジョブを実行した画像形成装置の識別情報と、そのジョブを実行した画像形成装置の該ジョブ実行時の消費電力を示す消費電力情報とを関連付けてデータベースに蓄積する。ジョブの設定情報と、画像形成装置の識別情報とは、ユーザ端末10が投入したプリントジョブから取得する。画像形成装置のジョブ実行時の消費電力は、電源コンセント46と画像形成装置の電源プラグの間に接続した電力情報収集装置45によって測定し、その電力情報収集装置45から消費電力情報を収集する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスなどにおけるドキュメント出力環境の最適化を図るための管理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複合機などの画像形成装置においては、ユーザが印刷などを行うときに消費される電力の情報を提供することで、省電力化による環境負荷の軽減を促すようにした技術が知られている。
【0003】
たとえば、省電力化に対するユーザの意識を高めるため、画像形成装置に内蔵した積算電力量計でコピーなどの印刷動作1回当たりの消費電力を測定し表示する技術がある(特許文献1参照)。また、各種の印刷設定やオプション機能などによる消費電力の変化を含め、詳細な消費電力情報を提供する技術もある。
【0004】
一方、ビルマネージメントなどの分野では、ビル全体の電源管理を行うために、ビル内の様々な電気機器の消費電力を管理することが求められる。たとえば、複数の電気機器の消費電力を管理する技術としては、電気機器毎に、電源プラグと電源コンセントの間に電力測定装置を接続して消費電力を測定し、その情報を各電力測定装置からネットワーク経由で管理装置が収集することにより、各電気機器による環境負荷の情報を統括的に管理する(特許文献2参照)、あるいは、各電気機器の電力使用状況を集中的に管理する(特許文献3参照)ものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−039443号公報
【特許文献2】特開2008−204278号公報
【特許文献3】特開2010−114967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年では、オフィスにおけるドキュメント出力環境の最適化を図るMPS(Managed Print Service)と呼ばれるソリューションサービスにおいて、プリンタや複合機の利用状況を分析し、台数や配置の適正化と省電力化など、利用効率の改善を図るフロアマネージメントが行われている。このMPSにおいては、業務における環境意識の高まりから、特にフロア全体での省電力化(総消費電力量の低減)によって環境負荷を軽減するフロアマネージメントが重要視されてきている。このため、様々なメーカーの様々な機種が導入されているオフィスにおいても、各機種の詳細な消費電力を効率的に把握し、可視化できる技術が求められている。
【0007】
これに対し、画像形成装置が自装置の詳細な消費電力を測定してその情報を提供する従来の技術では、この機能を搭載していない機種の消費電力は把握できず、フロア全体での省電力化を実現できない。仮に、フロア内の全ての機種がこの機能を搭載していたとしても、各機種から消費電力情報を収集する作業が煩雑となり、情報収集の効率が悪い。
【0008】
一方、ビルマネージメントなどに利用されている、外部接続の電力測定装置を使用して複数の電気機器の消費電力情報を収集する技術を、画像形成装置のフロアマネージメントに適用すれば、フロア内の各機種の消費電力情報を自動で収集することは可能である。しかし、個々の機種における各種設定の印刷動作毎(ジョブ毎)や電源状態毎などの詳細な消費電力情報までは収集できない。
【0009】
このように、従来は複数の画像形成装置、特に多種多様な機種を対象にして、全体での省電力化を図るために、機種毎の詳細な消費電力情報を収集して提供する技術が存在していなかった。
【0010】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、複数の画像形成装置における各種動作の詳細な消費電力情報を収集し、全体で省電力化を図るための情報を提供することができる管理装置およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0012】
[1]ジョブを実行する複数の画像形成装置に係る情報の管理を行う管理装置であって、
ジョブの設定情報を入力する設定情報入力部と、
前記ジョブを実行した画像形成装置の識別情報を入力する識別情報入力部と、
前記ジョブを実行した画像形成装置の該ジョブを実行したときの消費電力を示す消費電力情報を入力する消費電力情報入力部と、
前記入力された、ジョブの設定情報と、画像形成装置の識別情報と、消費電力情報とを関連付けて蓄積する記憶部と、
を有することを特徴とする管理装置。
【0013】
[12]ジョブを実行する複数の画像形成装置に係る情報の管理を行う情報処理装置に、
ジョブの設定情報を入力する機能と、
前記ジョブを実行した画像形成装置の識別情報を入力する機能と、
前記ジョブを実行した画像形成装置の該ジョブを実行したときの消費電力を示す消費電力情報を入力する機能と、
前記入力された、ジョブの設定情報と、画像形成装置の識別情報と、消費電力情報とを関連付けて記憶部に蓄積する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【0014】
上記発明では、複数の画像形成装置を対象にして、ジョブの設定情報と、そのジョブを実行した画像形成装置の識別情報と、そのジョブを実行した画像形成装置の該ジョブ実行時の消費電力を示す消費電力情報とを管理装置/情報処理装置に入力し、これらの情報を関連付けて記憶部に蓄積する。これらの情報を収集する構成は各種存在する。
【0015】
たとえば、ジョブ毎の消費電力を測定する機能を備えた画像形成装置であれば、その画像形成装置から識別情報とジョブの設定情報と該ジョブ実行時の消費電力情報とを全て収集することができる。収集の仕方は、ジョブ実行直後にそのジョブ分の情報のみを個別に収集するようにしてもよいし、複数ジョブ分の情報を一括して収集するようにしてもよい。
【0016】
また、上記の機能を備えていない画像形成装置であれば、外部接続の電力測定装置で画像形成装置の消費電力を測定し、その電力測定装置から消費電力情報を収集することができる。画像形成装置の識別情報とジョブの設定情報は、画像形成装置から収集したり、外部端末からプリントジョブを受信して画像形成装置に送信するプリントサーバから収集したり、当該装置がそのプリントサーバであれば、当該装置が外部端末から受信したプリントジョブに含まれている画像形成装置の識別情報とジョブの設定情報を直接収集したりすることができる。
【0017】
電力測定装置からの消費電力情報の収集の仕方は、ジョブ実行直後にそのジョブ分の情報のみを個別に収集するようにしてもよいし、複数ジョブ分の情報を一括して収集するようにしてもよい。個別収集と一括収集のいずれにするかは、電力測定装置が記憶装置を内蔵していて消費電力情報を保持できるか否か、あるいは、内蔵している記憶装置の容量に応じて、適宜選択することができる。
【0018】
また、画像形成装置やプリントサーバから、画像形成装置の識別情報とジョブの設定情報を収集する場合の収集の仕方も、ジョブ実行直後(プリントサーバの場合はジョブ送信直後)にそのジョブ分の情報のみを個別に収集するようにしてもよいし、複数ジョブ分の情報を一括して収集するようにしてもよい。
【0019】
また、電力測定装置の場合は、消費電力情報と他の情報との収集先が異なるので、これらの情報の関連付けは時間照合によって行う。たとえば、電力測定装置が消費電力情報を取得した時刻(画像形成装置の消費電力を測定した時刻)を示す時間情報をその消費電力情報に対応付けて管理し、画像形成装置がジョブを実行した時刻(プリントサーバの場合はプリントジョブを送信した時刻)を示す時間情報をそのジョブに対応付けて管理し、後に、消費電力情報に対応付けられている時間情報と、ジョブに対応付けられている時間情報とを照合することで、消費電力情報と他の情報(画像形成装置の識別情報およびジョブの設定情報)との関連付けが可能である。
【0020】
この管理装置/情報処理装置の記憶部に蓄積された情報から、どの画像形成装置がどのような設定のジョブを実行すると消費電力がどうなるかといった詳細な情報を把握できる。これにより、複数の画像形成装置における各種設定のジョブの詳細な消費電力情報を収集し、全体で省電力化を図るための情報を提供することができる。
【0021】
[2]当該管理装置は、外部端末からプリントジョブを受信して画像形成装置に送信するプリントサーバであり、
前記設定情報入力部は、前記ジョブの設定情報として、前記プリントジョブに含まれている設定情報を入力し、
前記識別情報入力部は、前記ジョブを実行した画像形成装置の識別情報として、前記プリントジョブの送信先の画像形成装置の識別情報を入力し、
前記記憶部には、前記プリントジョブに含まれている設定情報と、前記プリントジョブの送信先の画像形成装置の識別情報と、前記プリントジョブを前記送信先の画像形成装置が実行したときの消費電力を示す消費電力情報とを関連付けて蓄積する
ことを特徴とする[1]に記載の管理装置。
【0022】
[13]外部端末からプリントジョブを受信して画像形成装置に送信するプリントサーバとしての機能と、
前記ジョブの設定情報として、前記プリントジョブに含まれている設定情報を入力する機能と、
前記ジョブを実行した画像形成装置の識別情報として、前記プリントジョブの送信先の画像形成装置の識別情報を入力する機能と、
前記記憶部には、前記プリントジョブに含まれている設定情報と、前記プリントジョブの送信先の画像形成装置の識別情報と、前記プリントジョブを前記送信先の画像形成装置が実行したときの消費電力を示す消費電力情報とを関連付けて蓄積する機能と、
を前記情報処理装置に実現させることを特徴とする[12]に記載のプログラム。
【0023】
上記発明では、プリントサーバであれば、外部端末から受信したプリントジョブに含まれている設定情報と、そのプリントジョブの送信先の画像形成装置(そのプリントジョブを実行した画像形成装置)の識別情報とを関連付けて記憶することは容易であり、これに消費電力情報を関連付けて蓄積するだけでよいため、処理が簡素化される。
【0024】
[3]前記記憶部に蓄積された情報に基づいて、前記画像形成装置毎に、ジョブの設定と、該設定のジョブを実行したときの消費電力に関する情報を分析する分析部と、
前記分析部による分析結果を出力する出力部と、
を有することを特徴とする[1]または[2]に記載の管理装置。
【0025】
[14]前記記憶部に蓄積された情報に基づいて、前記画像形成装置毎に、ジョブの設定と、該設定のジョブを実行したときの消費電力に関する情報を分析する機能と、
その分析結果を出力する機能と、
を前記情報処理装置に実現させることを特徴とする[12]または[13]に記載のプログラム。
【0026】
上記発明では、管理装置/情報処理装置が出力した分析結果から、画像形成装置毎に各種設定のジョブを実行したときの消費電力に関する情報を把握することができる。消費電力に関する情報は、消費電力量自体やその消費電力量に対応するコストなどを含む。これにより、ジョブの設定に応じた消費電力量やコストの観点で、複数の画像形成装置全体で省電力化を図るためのより有用な情報を提供することができる。
【0027】
また、[2]に記載のプリントサーバや[13]に記載のプログラムであれば、ユーザが外部端末(ドライバプログラム)で行うジョブの設定時に、その設定情報を外部端末から受信し、その設定情報と記憶部に蓄積された情報とに基づいて、画像形成装置毎に、その設定情報に対応するジョブを実行したときの消費電力に関する情報を分析し、その分析結果を外部端末に送信して表示させることができる。また、ユーザがジョブの設定時にそのジョブの実行先の画像形成装置を指定した場合には、その画像形成装置の識別情報も外部端末から受信し、その画像形成装置の識別情報とジョブの設定情報と記憶部に蓄積された情報とに基づいて、その画像形成装置がその設定情報に対応するジョブを実行したときの消費電力に関する情報を分析し、その分析結果を外部端末に送信して表示させることができる。
【0028】
これにより、ジョブの設定時にユーザに対して、画像形成装置の選択やジョブの設定変更による省エネルギー化への貢献を意識させることができる。
【0029】
[4]前記分析部は、前記ジョブの設定における設定項目毎の消費電力に関する情報を分析する
ことを特徴とする[3]に記載の管理装置。
【0030】
[15]前記ジョブの設定における設定項目毎の消費電力に関する情報を分析する機能を
前記情報処理装置に実現させることを特徴とする[14]に記載のプログラム。
【0031】
上記発明では、管理装置/情報処理装置が出力した分析結果から、ジョブの設定における設定項目毎の詳細な消費電力に関する情報(消費電力量自体やその消費電力量に対応するコストなど)を把握することができる。これにより、ジョブの設定項目と、消費電力量やコストの関係の観点で、複数の画像形成装置全体で省電力化を図るためのより有用な情報を提供することができる。
【0032】
[5]前記分析部は、更に前記ジョブの設定における設定項目毎の利用状況を分析する
ことを特徴とする[3]または[4]に記載の管理装置。
【0033】
[16]更に前記ジョブの設定における設定項目毎の利用状況を分析する機能を
前記情報処理装置に実現させることを特徴とする[14]または[15]に記載のプログラム。
【0034】
上記発明では、管理装置/情報処理装置が出力した分析結果から、ジョブの設定における設定項目毎の詳細な利用状況を把握することができる。利用状況は、利用回数、利用時間、利用頻度、利用比率などを含む。これにより、ジョブの設定項目と利用状況の関係の観点で、複数の画像形成装置全体で省電力化を図るためのより有用な情報を提供することができる。
【0035】
[6]前記画像形成装置にジョブの実行を指示したタイミングに対応する期間に電力測定装置が逐次測定したその画像形成装置の消費電力を示す情報から、その画像形成装置のそのジョブを実行したときの消費電力を判定し、その消費電力を示す情報を前記消費電力情報として入力する
ことを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の管理装置。
【0036】
[17]前記画像形成装置にジョブの実行を指示したタイミングに対応する期間に電力測定装置が逐次測定したその画像形成装置の消費電力を示す情報から、その画像形成装置のそのジョブを実行したときの消費電力を判定し、その消費電力を示す情報を前記消費電力情報として入力する機能を
前記情報処理装置に実現させることを特徴とする[12]〜[16]のいずれか1項に記載のプログラム。
【0037】
上記発明では、画像形成装置の消費電力を電力測定装置で測定する場合は、画像形成装置にジョブの実行を指示したタイミングに対応する期間に電力測定装置が逐次測定した消費電力を示す情報から、その画像形成装置のそのジョブを実行したときの消費電力を判定することができる。たとえば、上記期間に逐次測定された消費電力値の推移から、所定の閾値以上の範囲をジョブの実行期間と判定し、その実行期間の消費電力を、ジョブ実行時の消費電力と判定することができる。
【0038】
これにより、電力測定装置を用いた場合でも画像形成装置によるジョブ実行時の消費電力を判定し、その消費電力を示す情報を、その画像形成装置のそのジョブを実行したときの消費電力を示す消費電力情報として入力することができる。
【0039】
[7]前記画像形成装置にジョブの実行を指示していないときに対応する期間に前記電力測定装置が逐次測定した消費電力を示す情報から、その画像形成装置のジョブを実行していないときの消費電力を判定し、その消費電力をその画像形成装置の非ジョブ実行時の消費電力として前記記憶部に記憶する
ことを特徴とする[6]に記載の管理装置。
【0040】
[18]前記画像形成装置にジョブの実行を指示していないときに対応する期間に前記電力測定装置が逐次測定した消費電力を示す情報から、その画像形成装置のジョブを実行していないときの消費電力を判定し、その消費電力をその画像形成装置の非ジョブ実行時の消費電力として前記記憶部に記憶する機能を
前記情報処理装置に実現させることを特徴とする[17]に記載のプログラム。
【0041】
上記発明では、画像形成装置にジョブの実行を指示していないときに対応する期間に、電力測定装置が逐次測定した消費電力を示す情報から、画像形成装置の非ジョブ実行時の消費電力を判定することができる。たとえば、上記期間に逐次測定された消費電力値の推移から、所定の閾値未満の範囲をジョブの非実行期間と判定し、その非実行期間の消費電力を、非ジョブ実行時の消費電力と判定することができる。この非ジョブ実行時は、待機時(通常状態における非ジョブ実行時)や省電力時(省電力状態)を含む。
【0042】
これにより、画像形成装置毎の非ジョブ実行時の消費電力情報も提供することができ、ジョブの実行時と非実行時の消費電力を総合的に考慮して、複数の画像形成装置全体で省電力化を図るためのより有用な情報を提供することができる。
【0043】
[8]前記消費電力情報入力部は、更に前記画像形成装置がジョブを実行していないときの消費電力を示す情報も入力し、
その情報が示す消費電力をその画像形成装置の非ジョブ実行時の消費電力として前記記憶部に記憶する
ことを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の管理装置。
【0044】
[19]更に前記画像形成装置がジョブを実行していないときの消費電力を示す情報も入力し、
その情報が示す消費電力をその画像形成装置の非ジョブ実行時の消費電力として前記記憶部に記憶する機能を
前記情報処理装置に実現させることを特徴とする[12]〜[16]のいずれか1項に記載のプログラム。
【0045】
上記発明では、たとえば、自装置の消費電力を測定する機能を備えた画像形成装置であれば、非ジョブ実行時(待機時など)の消費電力も測定可能であり、この画像形成装置からは非ジョブ実行時の消費電力情報を直接収集することができる。
【0046】
[9]前記消費電力情報をジョブの実行時に入力する
ことを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載の管理装置。
【0047】
[20]前記消費電力情報をジョブの実行時に入力する機能を
前記情報処理装置に実現させることを特徴とする[12]〜[19]のいずれか1項に記載のプログラム。
【0048】
上記発明では、画像形成装置によるジョブの実行時に、そのジョブを実行したときの消費電力を示す消費電力情報を管理装置/情報処理装置に入力し、記録部への蓄積を行う。これにより、消費電力情報を別途記憶管理して後に一括収集する処理や、そのための別途の記憶装置などを設けずに済む。
【0049】
[10]実行予定のジョブの設定情報と、前記記憶部に蓄積されている情報とに基づいて、前記実行予定のジョブを実行した場合に消費電力の最も少ない画像形成装置を判定し、該画像形成装置を前記実行予定のジョブの実行先に選定する
ことを特徴とする[1]〜[9]のいずれか1項に記載の管理装置。
【0050】
[21]実行予定のジョブの設定情報と、前記記憶部に蓄積されている情報とに基づいて、前記実行予定のジョブを実行した場合に消費電力の最も少ない画像形成装置を判定し、該画像形成装置を前記実行予定のジョブの実行先に選定する機能を
前記情報処理装置に実現させることを特徴とする[12]〜[20]のいずれか1項に記載のプログラム。
【0051】
上記発明では、記憶部に蓄積されている情報、すなわち、どの画像形成装置がどのような設定のジョブを実行すると消費電力がどうなるかといった情報を用いて、実行予定のジョブを実行した場合に消費電力の最も少ない画像形成装置を判定することができる。この画像形成装置をその実行予定のジョブの実行先に選定することで、複数の画像形成装置全体での消費電力を抑えることができる。
【0052】
[11]前記ジョブの設定情報は、前記画像形成装置の印刷機能に含まれる、片面印刷と、両面印刷と、モノクロ印刷と、カラー印刷と、印刷物に対する後処理とのうちの少なくとも1つの設定情報である
ことを特徴とする[1]〜[10]のいずれか1項に記載の管理装置。
【0053】
[22]前記ジョブの設定情報は、前記画像形成装置の印刷機能に含まれる、片面印刷と、両面印刷と、モノクロ印刷と、カラー印刷と、印刷物に対する後処理とのうちの少なくとも1つの設定情報である
ことを特徴とする[12]〜[21]のいずれか1項に記載のプログラム。
【0054】
上記発明では、画像形成装置の印刷機能に含まれる、片面印刷、両面印刷、モノクロ印刷、カラー印刷、印刷物に対する後処理を含むジョブを実行したときの詳細な消費電力情報を提供することができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明に係る管理装置およびプログラムによれば、複数の画像形成装置における各種動作の詳細な消費電力情報を収集し、全体で省電力化を図るための情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るシステムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るユーザ端末の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置(複合機)の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る管理装置としてのサーバ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】サーバ装置が電力情報収集装置から画像形成装置の消費電力情報をネットワーク経由で収集することを説明する図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るシステム全体の動作を示す流れ図である。
【図7】画像形成装置の消費電力の測定と分析の概略を示す図である。
【図8】消費電力情報の分析の仕方の一例を示す図である。
【図9】画像形成装置毎の詳細な消費電力の情報を一覧表示した一例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るサーバ装置によるジョブ転送機能の動作を示す流れ図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係るプリンタドライバの印刷設定画面上に消費電力情報を表示する動作を示す流れ図である。
【図12】プリンタドライバの印刷設定画面に表示された消費電力情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
【0058】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るシステム5の構成を示している。本システム5は、オフィスなどに設けられたLAN(Local Area Network)などのネットワーク2に、複数台のユーザ端末10と、複数台の画像形成装置(20、41、42)と、各画像形成装置に対応する複数の電力情報収集装置45と、管理装置としてのサーバ装置50とが接続されて構成される。本実施形態では、サーバ装置50はプリントサーバで構成した場合を例に説明する。
【0059】
画像形成装置は、コピー機能、スキャン機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能、ステープルやパンチなどの後処理機能(オプション機能)を備えた多機能の複合機20(MFP1)と、ステープルなどの後処理機能を備えたプリンタ41(プリンタ1)、後処理機能を備えていないプリンタ42(プリンタ2)などである。各画像形成装置は、メーカー(製造販売会社)が異なっている。たとえば、複合機20はA社製、プリンタ41はB社製、プリンタ42はC社製となっている。また、各画像形成装置には、自装置の各種の消費電力を測定してその情報を提供する機能が搭載されておらず、ここでは、各画像形成装置の消費電力は外付けの電力情報収集装置45を用いて測定する。
【0060】
電力情報収集装置45は、電源コンセント46(プラグ受け)と画像形成装置の電源プラグの間に接続されており、電源コンセント46から画像形成装置に供給される電力量を計測して画像形成装置の消費電力(Wh)を測定する機能と、測定した消費電力のデータ(消費電力情報)を内蔵の記憶装置に保持する機能と、ネットワーク通信機能とを備えている。この電力情報収集装置45は、汎用の電力測定器(電力測定装置)などで構成される。
【0061】
図2は、ユーザ端末10の概略構成を示している。ユーザ端末10は、画像形成装置に実行を依頼するプリントジョブをサーバ装置50に送信する機能を備えている。ユーザ端末10は、OSプログラム、複合機20とプリンタ41、42の各プリンタドライバ(ドライバプログラム)、文書や画像を作成・編集するアプリケーションプログラムなどがインストールされたパーソナルコンピュータ(PC)などで構成される。プリントジョブの投入など、サーバ装置50を介した複合機20やプリンタ41、42に対する各種の要求は、上記のプリンタドライバによって行われる。
【0062】
ユーザ端末10は、CPU(Central Processing Unit)11にバス12を介して、ROM(Read Only Memory)13と、RAM(Random Access Memory)14と、不揮発メモリ15と、ハードディスク装置16と、表示部17と、操作部18と、ネットワーク通信部19などを接続して構成される。
【0063】
CPU11は、ROM13に格納されているプログラムに従ってユーザ端末10の動作を制御したり、ハードディスク装置16に格納されているプログラムに従って各種の処理を実行したりする。ROM13には起動用のプログラムや固定データが記憶される。RAM14には、ハードディスク装置16から読み出したプログラムが記憶される。またRAM14は、CPU11がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリなどとして使用される。
【0064】
不揮発メモリ15は、電源がオフにされても記憶が保持される書き換え可能なメモリであり、当該ユーザ端末10のシステム情報(端末情報(端末ID(IDentification))、IP(Internet Protocol)アドレスなど)やユーザ情報(ユーザID)、各種の設定情報などが記憶される。ハードディスク装置16は、大容量不揮発の記憶装置であり、OSプログラム、複合機20とプリンタ41、42の各ドライバプログラム、各種アプリケーションプログラム、ファイル、データなどが保存される。
【0065】
表示部17は、液晶ディスプレイなどの表示装置で構成される。操作部18は、キーボードやマウスなどの操作入力装置で構成される。
【0066】
ネットワーク通信部19は、サーバ装置50などとネットワーク2を通じて通信し各種のデータを送受信する。
【0067】
図3は、複合機20の概略構成を示している。複合機20は、原稿の画像を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙に印刷して出力するコピー機能、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したり外部端末へ送信したりするスキャン機能、ユーザ端末10から送信されサーバ装置50を経由して受信した印刷データに基づく画像や当該複合機20に保存されている画像データに基づく画像を記録紙に印刷して出力するプリンタ機能、ファクシミリ機能、後処理機能などを備えている。
【0068】
複合機20は、当該複合機20の動作を統括制御するCPU21にバス22を介して、ROM23と、RAM24と、不揮発メモリ25と、ハードディスク装置26と、表示部27と、操作部28と、ファクシミリ通信部29と、ネットワーク通信部30と、スキャナ部31と、画像処理部32と、プリンタ部33と、後処理部34とを接続して構成される。
【0069】
CPU21ではOSプログラムをベースとし、その上で、ミドルウェアやアプリケーションプログラムなどが実行される。ROM23には各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従ってCPU21が処理を実行することでジョブの実行など複合機20の各機能が実現される。RAM24はCPU21がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像データを格納する画像メモリなどとして使用される。なお、その他の必要なプログラムはハードディスク装置26からRAM24にロードされて実行される。
【0070】
不揮発メモリ25は、電源がオフにされても記憶が保持される書き換え可能なメモリ(フラッシュメモリ)である。不揮発メモリ25には、装置固有の情報(識別情報(装置ID)、IPアドレスなど)や各種の設定情報などが記憶される。ハードディスク装置26は、大容量不揮発の記憶装置であり、プログラムのほか、たとえば、印刷データや画像データ、ジョブ履歴の保存などに使用される。
【0071】
複合機20の操作パネルは表示部27と操作部28を備えて構成される。表示部27は、液晶ディスプレイなどで構成され、初期画面、操作画面、設定画面などの各種の画面を表示する。操作部28は、ユーザからジョブの投入や設定など各種の操作を受け付ける。操作部28は、表示部27の画面上に設けられて押下された座標位置を検出するタッチパネルのほか、テンキーや文字入力キー、スタートキーなどを備えて構成される。
【0072】
ファクシミリ通信部29は、ファクシミリ機能を備えた外部装置と公衆回線を通じて画像データを送受信する。ネットワーク通信部30は、ネットワーク2を通じてサーバ装置50などと通信を行う。
【0073】
スキャナ部31は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを取得する。スキャナ部31は、たとえば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動手段と、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学系と、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備えて構成される。
【0074】
画像処理部32は、印刷データをイメージデータに変換するラスタライズ処理や、画像データに対して、画像補正、回転、拡大/縮小、圧縮/伸張など各種の画像処理を行う。
【0075】
プリンタ部33は、画像データに基づく画像を電子写真プロセスによって記録紙上に形成して出力する。プリンタ部33は、たとえば、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、入力される画像データに応じて点灯制御されるLD(Laser Diode)と、LDから射出されたレーザ光を感光体ドラム上で走査させる走査ユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有する、いわゆるレーザープリンタとして構成されている。レーザ光に代えてLED(Light Emitting Diode)で感光体ドラムを照射するLEDプリンタのほか他の方式のプリンタであってもかまわない。
【0076】
後処理部34は、プリンタ部33から出力された印刷物に、ステープル、パンチ、折りなどの後処理(フィニッシング処理)を行う。
【0077】
図1に示したプリンタ41は、ユーザ端末10から送信されサーバ装置50を経由して受信した印刷データに基づく画像を記録紙に印刷して出力する印刷機能と、ステープルなどの後処理機能を備えている。プリンタ41は、複合機20におけるプリント機能と後処理機能を実現する各部を備えた構成とされている。図示は省略するが、たとえば、図3に示したCPU21(当該プリンタ41の動作を統括制御するCPU21)にバス22を介して、ROM23と、RAM24と、不揮発メモリ25と、ハードディスク装置26と、表示部27と、操作部28と、ネットワーク通信部30と、画像処理部32と、プリンタ部33と、後処理部34とを接続して構成されている。
【0078】
プリンタ42は、ユーザ端末10から送信されサーバ装置50を経由して受信した印刷データに基づく画像を記録紙に印刷して出力する印刷機能を備えており、後処理機能は備えていない。プリンタ42は、複合機20におけるプリント機能を実現する各部を備えた構成とされている。たとえば、図3に示したCPU21(当該プリンタ42の動作を統括制御するCPU21)にバス22を介して、ROM23と、RAM24と、不揮発メモリ25と、ハードディスク装置26と、表示部27と、操作部28と、ネットワーク通信部30と、画像処理部32と、プリンタ部33とを接続して構成されている。
【0079】
また、各画像形成装置は、電力消費を抑える省電力機能を備えている。本実施形態では、2種類の省電力状態を含む3つの電源状態(電力モード)を備えている。詳細には、すべての部分に通電されてジョブを実行可能な通常モード(電源オン状態)と、通常モードより電力消費の少ないスリープモード(省電力状態1)と、スリープモードよりさらに電力消費の少ない省電力モード(省電力状態2)とを備えている。また、通常モードにおけるジョブを実行していない期間は「待機時」と呼び、この待機時の消費電力はジョブを実行しているときの消費電力よりも低くなる。また、ジョブ実行時と非ジョブ実行時に分けると、非ジョブ実行時には、通常モードにおける待機時と、スリープモードと、省電力モードとが含まれる。
【0080】
図4は、サーバ装置50の概略構成を示している。サーバ装置50は、ユーザ端末10が投入したプリントジョブを受信し、実行先の画像形成装置に送信する機能を備えたプリントサーバで構成されている。サーバ装置50は、プリントジョブに含まれている該ジョブの設定情報と、このプリントジョブの送信先の画像形成装置の識別情報と、このプリントジョブを送信先の画像形成装置が実行したときの消費電力を示す消費電力情報とを関連付けて蓄積する機能を備えている。
【0081】
サーバ装置50は、CPU51にバス52を介して、ROM53と、RAM54と、不揮発メモリ55と、ハードディスク装置56と、ネットワーク通信部57などを接続して構成される。
【0082】
CPU51は、ROM53に格納されているプログラムに従ってサーバ装置50の動作を制御したり、ハードディスク装置56に格納されているプログラムに従って各種の処理を実行したりする。ROM53には起動用のプログラムや固定データが記憶される。RAM54には、ハードディスク装置56から読み出したプログラムが記憶される。またRAM54は、CPU51がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリなどとして使用される。
【0083】
不揮発メモリ55は、電源がオフにされても記憶が保持される書き換え可能なメモリであり、当該サーバ装置50のシステム情報(IPアドレスなど)、各種の設定情報などが記憶される。ハードディスク装置56は、大容量不揮発の記憶装置であり、OSプログラム、各種アプリケーションプログラム、ファイル、データなどが保存される。
【0084】
ネットワーク通信部57は、ユーザ端末10、複合機20、プリンタ41、42、電力情報収集装置45などとネットワーク2を通じて通信し各種のデータを送受信する。
【0085】
図5に示すように、サーバ装置50は、電力情報収集装置45が測定した画像形成装置(複合機20、プリンタ41、42)の消費電力を示す情報(測定データ)を、ネットワーク2を通じて収集する。
【0086】
次に、本実施形態に係るシステム5の動作について説明する。
【0087】
図6は、システム全体の動作を示している。
【0088】
システム5の各画像形成装置(複合機20、プリンタ41、42)に対応する電力情報収集装置45は、定期的に画像形成装置の消費電力を測定し、その測定データである消費電力情報を取得する(ステップS101)。サーバ装置50は、各電力情報収集装置45から定期的に消費電力情報を収集し(ステップS102)、対応する画像形成装置の識別情報(IDなど)に関連付けてハードディスク装置56に記録する(ステップS103)。ここでは、ハードディスク装置56内に保存してあるデータベースに情報を格納することで記録を行う。
【0089】
電力情報収集装置45による消費電力の測定間隔は、予め設定された数秒間隔などの所定の周期でもよいし、サーバ装置50が電力情報収集装置45を遠隔操作して測定間隔を変更するようにしてもよい。サーバ装置50による消費電力情報の収集間隔は、電力情報収集装置45による消費電力の測定間隔と同じでもよいし(測定毎のリアルタイム収集)、その測定N回毎の間隔でもよい(測定N回毎のリアルタイム収集(N回毎以外の測定データは収集せずに無視))。また、電力情報収集装置45による消費電力の測定間隔とは異なるタイミングとし、所定期間分(数分〜数十分、数時間、1日など)または所定回数分の消費電力情報を、後にまとめて収集する一括収集としてもよい。
【0090】
画像形成装置の消費電力は、ジョブを実行していないときは低くなり、ジョブを実行しているときは高くなる。たとえば、プリントやコピーなどの印刷を行うジョブを実行していないときは、電力消費量の高いプリンタ部33や後処理部34が動作しないので消費電力は低くなり、その低いレベルで安定する。印刷を行うジョブを実行しているときは、プリンタ部33や後処理部34が動作するので消費電力は高くなり、さらに各部の動作状態が変化するので、その高いレベルで変動する。
【0091】
変動するジョブ実行中の消費電力を、そのジョブを実行している期間の消費電力の平均値によって求める場合に、精度を高めるには、消費電力の測定間隔を短くしてサンプル数を多くすることが望ましい。逆に、消費電力が安定するジョブを実行していない期間は、サンプル数が少なくても高い精度が得られるので、消費電力の測定間隔を長くしても差し支えない。
【0092】
そこで、ジョブの実行/非実行の期間に応じて、消費電力の測定間隔や消費電力情報の収集間隔を変更するようにしてもよい。
【0093】
この場合、サーバ装置50は画像形成装置にプリントジョブを送信したタイミング(画像形成装置にプリントジョブの実行を指示したタイミング)を認識しているので、このタイミングに対応する期間は測定間隔を短くし(逐次測定)、それ以外の期間(画像形成装置にプリントジョブの実行を指示していないときに対応する期間)は測定間隔を長くすることが可能である。
【0094】
たとえば、プリントジョブの送信タイミングから所定の時間は、消費電力の測定間隔を数秒とし、それ以外は数十秒〜数分などにして長くする。または、プリントジョブの送信タイミングから、消費電力の測定間隔を数秒とし、消費電力が上昇して所定の閾値を超過した後に、消費電力が所定の閾値以下になるまで、もしくは、消費電力が所定の閾値以下になってから所定時間が経過するまでは、数秒間隔での測定を継続し、それ以降は測定間隔を数十秒〜数分などにしてその時間間隔での測定を継続する。
【0095】
これを上述した測定毎のリアルタイム収集や一括収集で行う場合には、サーバ装置50が電力情報収集装置45を遠隔操作し、画像形成装置がジョブを実行していない期間(画像形成装置にプリントジョブを送信していないときに対応する期間)は消費電力の測定間隔を長くし、画像形成装置がジョブを実行している期間(画像形成装置にプリントジョブを送信したタイミングに対応する期間)は消費電力の測定間隔を短くするといった変更を行うようにしてもよい。
【0096】
サーバ装置50が電力情報収集装置45を遠隔操作しない構成であれば、電力情報収集装置45による消費電力の測定間隔は常時短くしておき、サーバ装置50がリアルタイム収集を行う際に、画像形成装置によるジョブの実行/非実行の期間に応じて、電力情報収集装置45からの消費電力情報の収集間隔を変更したり、リアルタイム収集の仕方を切り替えたりするようにしてもよい。詳細には、ジョブの非実行期間は、消費電力情報の収集間隔を長くした、測定N回毎のリアルタイム収集を行う。ジョブの実行期間は、消費電力情報の収集間隔を短くした、測定M(M<N)回毎のリアルタイム収集を行う、または、測定毎のリアルタイム収集を行う。また、一括収集の場合には、収集した情報からサーバ装置50が画像形成装置によるジョブの実行/非実行の期間に応じて、データの抽出間隔(サンプリング周期)を適宜変更すればよい。
【0097】
また、リアルタイム収集と一括収集のいずれにするかは、電力情報収集装置45内の記憶装置の記憶容量に応じて決めるようにしてもよい。たとえば、記憶容量が少ない場合はリアルタイム収集とし、記憶容量が多い場合は一括収集とする。
【0098】
また、一括収集の場合は、サーバ装置50が収集した消費電力情報が、画像形成装置のいつの状態(ジョブの実行時/非実行時)のものであるかを識別できるようにするために、消費電力の測定時刻あるいは消費電力情報の収集時刻などを示す時間情報を用いた照合が必要となる。一括収集ではこの時間情報が必須となり、サーバ装置50は収集した消費電力情報に時間情報を対応付けてデータベースに記録する。
【0099】
リアルタイム収集の場合は、サーバ装置50が収集した消費電力情報が、画像形成装置におけるその収集時点の状態(ジョブの実行時/非実行時)のものであることを即時識別できるため、時間情報を用いた照合は必要ない。ただし、後述する利用時間の算出を行う場合は時間情報が必要になるため、ここではリアルタイム収集においても一括収集と同様に、収集した消費電力情報に時間情報を対応付けてデータベースに記録する。
【0100】
たとえば、一括収集の場合は、電力情報収集装置45は、定期的に取得した消費電力情報にその取得時刻(画像形成装置の消費電力の測定時刻)を対応付けて、内蔵の記憶装置に一時的に保存し蓄積する。サーバ装置50は後に、電力情報収集装置45が蓄積した消費電力情報とそれに対応する取得時刻をまとめて収集し、データベースに記録する。リアルタイム収集の場合は、電力情報収集装置45が消費電力情報と共にその取得時刻(画像形成装置の消費電力の測定時刻)をサーバ装置50に送信し、サーバ装置50が電力情報収集装置45から収集した消費電力情報とその取得時刻を対応付けてデータベースに記録する、あるいは、電力情報収集装置45が消費電力情報のみをサーバ装置50に送信し、サーバ装置50が電力情報収集装置45から収集した消費電力情報にその収集時刻を対応付けてデータベースに記録する。
【0101】
ユーザは、ユーザ端末10を操作して、印刷を行うドキュメント(ファイル)を指定し、プリンタドライバの印刷設定画面を通じて、印刷先の画像形成装置の指定と、印刷における各種項目(パラメータ)の設定を行う。画像形成装置の指定では、複合機20またはプリンタ41またはプリンタ42などを指定する。印刷の設定では、片面/両面、モノクロ/カラー、後処理(ステープルの有無/パンチの有無)などの設定を行う。印刷先の指定および印刷内容の設定を終えると、印刷実行の指示を行う。
【0102】
ユーザ端末10(プリンタドライバ)は、印刷実行の指示を受けると、印刷先の画像形成装置の識別情報と、印刷の設定情報(ジョブの設定情報)と、ドキュメントの印刷データと、ユーザID(または端末ID)とを含むプリントジョブを生成し、サーバ装置50に送信する(ステップS201)。
【0103】
サーバ装置50は、ユーザ端末10からプリントジョブを受信すると、そのプリントジョブにジョブIDを付与する。そのプリントジョブの内容を解析し(ステップS202)、プリントジョブに含まれている画像形成装置の識別情報と、印刷の設定情報と、ユーザID(または端末ID)とをジョブIDに関連付けてハードディスク装置56内のデータベースに記録する(ステップS203)。このプリントジョブは、識別情報によって示される画像形成装置に送信する(ステップS204)。また、消費電力情報と時間情報を用いた照合を行う場合は、プリントジョブの送信時刻を示す時間情報を、このプリントジョブのジョブIDに関連付けてハードディスク装置56内のデータベースに記録する。
【0104】
画像形成装置(複合機20/プリンタ41、42)は、サーバ装置50からプリントジョブを受信すると(ステップS205)、そのプリントジョブを実行し、ドキュメントの印刷を行う。ステープルやパンチなどの後処理が設定されている場合には、ドキュメントの印刷物にその後処理を施す(ステップS206)。
【0105】
電力情報収集装置45は、定期的に画像形成装置の消費電力を測定しており、画像形成装置がプリントジョブを実行しているときの消費電力も定期的に測定し取得する(ステップS301)。
【0106】
サーバ装置50は、電力情報収集装置45から画像形成装置のジョブ実行時の消費電力情報を収集する(ステップS302)。サーバ装置50は、収集した消費電力情報を分析し、指定の画像形成装置に送信したプリントジョブをその画像形成装置が実行したときの消費電力を算出する(ステップS303)。算出した消費電力を示す消費電力情報を、ハードディスク装置56に格納されている該当のプリントジョブのジョブIDに関連付けてハードディスク装置56内のデータベースに記録する(ステップS304)。
【0107】
図7は、画像形成装置の消費電力の測定と分析の概略を示している。上述したように、電力情報収集装置45は定期的に画像形成装置の消費電力を測定し、消費電力情報(測定データ)を取得する。サーバ装置50は、電力情報収集装置45から定期的に消費電力情報を収集し、収集した消費電力情報を分析して、画像形成装置がプリントジョブを実行したときの消費電力を求め、その消費電力を示す消費電力情報をそのプリントジョブのジョブIDに関連付けてデータベースに記録する。また、上記の消費電力情報の分析で画像形成装置の非ジョブ実行時の消費電力も求め、その非ジョブ実行時の消費電力を示す消費電力情報を該当する画像形成装置の識別情報に関連付けてデータベースに記録する。非ジョブ実行時は、前述した通常モードにおける待機時と、スリープモードと、省電力モードとを含んでいる。
【0108】
サーバ装置50は、画像形成装置毎に、ユーザ端末10から実際に投入されたプリントジョブを実行したときの消費電力を求め、その情報をデータベースに記録する。また、通常モードにおける待機時と、スリープモードと、省電力モードにおける各消費電力を求め、その情報をデータベースに記録する。
【0109】
図8は、消費電力情報の分析の仕方の一例を示している。消費電力情報を分析する際には、どのジョブの実行にどの消費電力情報が対応しているのかを識別する必要がある。このジョブの実行に対応する消費電力の区切り目を識別する方法の1つとして、ジョブ間に生じる消費電力の低下を検出して識別する方法を例示する。
【0110】
通常プリントなどにおいては、後処理(フィニッシング処理)やジョブ終了後のリセット処理により、消費電力が印刷時に比べて大きく低下するタイミングがある。このタイミングを区切りとして消費電力を分割して識別することにより、たとえば、プリント以外のコピーやファクシミリなど、プリントジョブと対応していない処理が連続した場合においても、どの処理がどのジョブに該当し、そのジョブの実行にどの消費電力情報が対応しているのかを識別することが可能となる。
【0111】
詳細には、消費電力のレベル変化や閾値に基づいて、ジョブの実行期間を判定し、プリントジョブとそれ以外のジョブとを識別する。
【0112】
消費電力のレベル変化に基づいてジョブの実行期間を判定する場合は、たとえば図8に示すように、判定に用いる消費電力の基準値を予め設定しておく。この基準値は、ジョブを実行していないときの推定の消費電力(通常モードにおける待機時などの推定の消費電力)よりも少し高い値に設定する。
【0113】
電力情報収集装置45から収集した消費電力情報においては、実測の消費電力が基準値を下回っている状態から上昇して基準値を超過した場合に、その上昇が鈍化したタイミングT1(上昇直線が屈曲変化に移行したタイミング/立ち上がりの終了タイミング)を、ジョブの実行開始タイミングと判定する。その後、実測の消費電力は高い状態でレベル変動し、下降して基準値以下となった場合に、その下降を開始したタイミングT2(レベル変動から下降直線に移行したタイミング/立ち下がりの開始タイミング)を、ジョブの実行終了タイミングと判定する。このようにして判定した実行開始タイミングから実行終了タイミングまでの期間をジョブの実行期間と判定する。それ以外の期間はジョブの非実行期間と判定する。
【0114】
消費電力の閾値に基づいてジョブの実行期間を判定する場合は、たとえば、判定基準となる消費電力の閾値を予め設定しておく。この閾値は、ジョブを実行していないときの推定の消費電力(通常モードにおける待機時などの推定の消費電力)よりも少し高い値に設定する。
【0115】
電力情報収集装置45から収集した消費電力情報においては、実測の消費電力が閾値を下回っている状態から上昇して閾値を超過した場合に、その閾値を超過したタイミングを、ジョブの実行開始タイミングと判定する。その後、実測の消費電力レベルは高い状態でレベル変動し、下降して閾値以下となった場合に、その閾値以下となったタイミングを、ジョブの実行終了タイミングと判定する。このようにして判定した実行開始タイミングから実行終了タイミングまでの期間をジョブの実行期間と判定する。それ以外の期間はジョブの非実行期間と判定する。なお、実行開始タイミングの判定に用いる閾値と、実行終了タイミングの判定に用いる閾値とは、同じ値に設定してもよいし、異なる値に設定してもよい。
【0116】
また、上記のレベル変化または閾値に基づくジョブの実行期間の判定では、プリントジョブの送信後に実測の消費電力が初めて基準値または閾値を超過した場合のジョブの実行期間を、そのプリントジョブの実行期間と判定する。たとえば、図8における「ジョブ2」に示すように、プリントジョブの送信後に実測の消費電力が既に基準値(または閾値)を超過している場合は、そのジョブの実行期間は他のジョブの実行期間と判定する。その後、実測の消費電力が基準値(または閾値)以下となり、次に、基準値(または閾値)を超過した場合のジョブの実行期間を、そのプリントジョブの実行期間と判定する。
【0117】
前述したように、サーバ装置50は、収集した消費電力情報に時間情報を対応付けてデータベースに記録している。また、プリントジョブの送信時刻を示す時間情報を、そのプリントジョブのジョブIDに関連付けてデータベースに記録している。このプリントジョブの時間情報と、プリントジョブの送信先の画像形成装置に対応する電力情報収集装置45から収集した消費電力情報の時間情報とを照合することで、プリントジョブの送信タイミングと、実測の消費電力のレベル推移との関係が判明する。この時間情報の照合によって、上述したジョブの実行期間と非実行期間を識別し、プリントジョブと他のジョブを識別する。
【0118】
また、ジョブ実行時の消費電力は、ジョブの実行期間に定期的に測定されたその各測定時の消費電力の平均値を算出し、この平均値をジョブ実行時の消費電力とする。プリントジョブについては、算出した当該ジョブ実行時の消費電力を、そのプリントジョブのジョブIDに関連付けてデータベースに記録する。
【0119】
リアルタイム収集の場合には、サーバ装置50は、電力情報収集装置45からリアルタイムで収集した消費電力情報を即時に分析し、画像形成装置に送信したプリントジョブの実行期間の判定とジョブ実行時の消費電力の算出とをリアルタイムで行うことが可能である。
【0120】
サーバ装置50は、プリントジョブを画像形成装置に送信した場合には、その画像形成装置に対応する電力情報収集装置45から収集した消費電力情報に対する上記の分析によって、その画像形成装置によるプリントジョブの実行期間を判定し、そのプリントジョブ実行時の消費電力を算出してデータベースに記録する。これにより、どの画像形成装置がどのような設定のプリントジョブを実行すると消費電力がどうなるかといった詳細な情報がデータベースに記録される。そして、プリントジョブの実行数が増えるに従い、各画像形成装置が各種設定のプリントジョブを実行したときの消費電力を示す詳細な情報がデータベースに蓄積される。
【0121】
また、サーバ装置50は、消費電力情報に対する上記の分析によって、画像形成装置におけるジョブの非実行期間も判定しており、このジョブの非実行期間における実測の消費電力から、非ジョブ実行時の消費電力を求める。
【0122】
ジョブの非実行期間においては、実測の消費電力が上述した基準値または閾値以下で、かつ、定常となっている範囲を検出し、その範囲における消費電力から非ジョブ実行時の消費電力を求める。非ジョブ実行時には、通常モードにおける待機時と、待機時よりも電力消費の少ないスリープモードと、スリープモードよりも電力消費の少ない省電力モードとがある。非ジョブ実行時には、電源オフを除いてこの3段階の消費電力値が現れる。ここでは、消費電力値の高い順に、待機時、スリープモード、省電力モードの各消費電力と判定する。このようにして求めた非ジョブ実行時の消費電力、すなわち、待機時、スリープモード、省電力モードの各消費電力は、該当する画像形成装置の識別情報に関連付けてデータベースに記録する。
【0123】
図9は、サーバ装置50が分析した画像形成装置毎の詳細な消費電力の情報を一覧表示した例を示している。本例では、「MFP1」(複合機20)と、「プリンタ1」(プリンタ41)と、「プリンタ2」(プリンタ42)とにおける、「通常モード」(待機時)、「スリープモード」、「省電力モード」の各消費電力(W)と利用状況(1日当たりの利用時間(h/日)と比率(%))、および、プリントジョブの設定内容毎(「片面モノクロ印刷」、「片面カラー印刷」、「両面モノクロ印刷」、「両面カラー印刷」、「ステープル使用」、「パンチ使用」)の消費電力(W)、コスト(1ページ当たりの消費電力量(Wh)とコスト(円))、利用状況(1日当たりの利用回数(回/日)と比率(%))を一覧表にしている。
【0124】
各画像形成装置の通常モード(待機時)、スリープモード、省電力モードの各消費電力(W)は、データベースにおいて、各画像形成装置の識別情報に関連付けられている各消費電力を表示する。各モードの利用時間は、実際に利用した時間の合計であり(合計時間/累積時間)、各電力情報収集装置45から定期的に収集してデータベースに蓄積されている消費電力情報のうち、通常モード、スリープモード、省電力モードと判定した各消費電力に対応する消費電力情報を対象にして、その消費電力情報に対応付けられている時間情報を用いて算出する。
【0125】
詳細には、通常モードの利用時間(TA)は、通常モードと判定した消費電力に対応する消費電力情報を対象にして、その消費電力情報に対応付けられている時間情報から合計時間を算出して求める。スリープモードの利用時間(TB)は、スリープモードと判定した消費電力に対応する消費電力情報を対象にして、その消費電力情報に対応付けられている時間情報から合計時間を算出して求める。省電力モードの利用時間(TC)は、省電力モードと判定した消費電力に対応する消費電力情報を対象にして、その消費電力情報に対応付けられている時間情報から合計時間を算出して求める。
【0126】
また、各モードの利用比率は、以下の式によって求める。
・通常モードの利用比率=TA/(TA+TB+TC)
・スリープモードの利用比率=TB/(TA+TB+TC)
・省電力モードの利用比率=TC/(TA+TB+TC)
【0127】
プリントジョブにおける設定内容毎の1ページ当たりの消費電力(Wh)は、たとえば、印刷ページ数がNページのジョブの消費電力をそのページ数Nで除算することにより求める。
・1ページ当たりの消費電力=Nページのジョブの消費電力/N
【0128】
なお、消費電力とコストの関係は、1Wh当たり約0.033円としている。
【0129】
ステープル使用とパンチ使用の各消費電力は、それらの後処理を行ったジョブの消費電力と、後処理を行わなかったジョブの消費電力との差分から求める。以下にステープルの場合の一例を示す。
【0130】
・ジョブ1:片面モノクロ N枚 ステープル有 ⇒ A(W)
片面モノクロ+ステープル有の場合の1枚当たりの消費電力=A/N
・ジョブ2:片面モノクロ M枚 ステープル無 ⇒ B(W)
片面モノクロ+ステープル無の場合の1枚当たりの消費電力=B/M
・ステープル1枚当たりの消費電力=(A/N)−(B/M)
【0131】
プリントジョブにおける設定内容毎の利用回数は、データベースに蓄積されている実行済みプリントジョブ(ジョブID)の数を集計して求める。詳細には、画像形成装置毎に、同じ設定内容(「片面モノクロ印刷」、「片面カラー印刷」、「両面モノクロ印刷」、「両面カラー印刷」、「ステープル使用」、「パンチ使用」)のプリントジョブをジョブ毎に実行回数を集計して求める。利用比率は、画像形成装置毎に、プリントジョブの総実行回数を求め、対象となる設定内容のプリントジョブの実行回数をその総実行回数で除算することにより求める。
【0132】
なお、本例のように、各モードの利用状況(利用時間と比率)と、プリントジョブの設定内容毎の利用状況(利用回数と比率)とを、1日単位で求める場合には、特定の1日分の情報を用いて求めるようにしてもよいし、数日分について日毎の利用状況を求め、それを平均して1日分の利用状況を求めるようにしてもよい。
【0133】
また、プリントジョブの設定内容毎の消費電力については、収集するデータが多いほど、分析精度は向上する。
【0134】
このように、サーバ装置50が分析した情報(分析情報)に基づき、後処理を含むプリントジョブの設定内容毎(印刷内容毎)に、どのように電力が消費され、どのような環境負荷を生じるかを、管理下の各画像形成装置について詳細な情報を見える化し表示することが可能となる。また、複数の情報を一覧表示することで、プリントジョブの設定に応じた消費電力やコストの比較が容易になる。
【0135】
上記のような分析情報を利用することで、メーカーに関係なく各画像形成装置の詳細な消費電力の比較と分析が可能となり、オフィスの各ユーザが利用するプリントジョブの特徴と、消費電力の関係を基にしたフロア配置の提案を行うことが可能となる。
【0136】
たとえば、図9に示した一覧表の場合には、以下のようなことが分かり、それに応じたフロア配置の提案を行うことができる。
【0137】
(1)プリンタ2の片面モノクロ印刷が非常に多く利用されているが、片面モノクロ印刷の消費電力はプリンタ1の方が少ない。また、装置の稼働率(通常モードの比率)はMFP1に比べてプリンタ1、2とも低く、大きく変わらない。
【0138】
この場合、プリンタ2に対する片面モノクロ印刷のプリントジョブをプリンタ1で処理することにより、全体の消費電力を少なくし、コストダウンを図ることができる。そのため、サーバ装置50のデータベースに蓄積された「ユーザ」「ジョブ設定」「印刷先」の関係を調べ、プリンタ2で頻繁に片面モノクロ印刷を行うユーザの近くに、プリンタ1を配置するフロア配置の提案を行う。
【0139】
(2)MFP1はスリープモードなどの時間が短く、稼働率が非常に高い。また、片面カラー印刷はプリンタ2で行うほうが、消費電力が少ない。
【0140】
このことから、片面カラー印刷はプリンタ2で行うようにすることで、MFP1の稼働率を下げユーザの待ち時間などを削減するとともに、トータルの消費電力を少なくし、コストダウンを図ることができる。そのため、サーバ装置50のデータベースに蓄積された「ユーザ」「ジョブ設定」「印刷先」の関係を調べ、片面カラー印刷をMFP1で頻繁に利用するユーザから、MFP1を遠ざけるフロア配置の提案を行う。
【0141】
このように、サーバ装置50は、複数の画像形成装置を対象にして、ジョブの設定情報と、そのジョブを実行した画像形成装置の識別情報と、そのジョブを実行した画像形成装置の該ジョブ実行時の消費電力を示す消費電力情報とを関連付けてデータベースに蓄積し、この蓄積された情報に基づいて、各ユーザが利用するプリントジョブの設定(特徴)と各画像形成装置の消費電力などを分析し、その分析結果として、全体で省電力化を図るための情報を提供する。この情報によって、複数の画像形成装置全体で消費電力を抑制する適正な配置を実現できる。
【0142】
特に本実施形態では、各画像形成装置の消費電力を外付けの電力情報収集装置45を用いて測定することにより、メーカーや機種を問わず、多種多様な機種を対象にして、各種動作の詳細な消費電力情報を収集し、分析した情報を提供することができる。たとえば、消費電力測定機能を持たない画像形成装置が増設された場合でも、その画像形成装置における各種動作の詳細な消費電力情報を収集し、分析した情報を提供することができる。
【0143】
また、上記のサーバ装置50をプリントサーバで構成した場合は、ユーザ端末10から受信したプリントジョブに含まれている設定情報と、そのプリントジョブの送信先の画像形成装置の識別情報とを関連付けて記憶することは容易であり、これに消費電力情報を関連付けて蓄積するだけでよいため、処理が簡素化される。
【0144】
[第2の実施形態]
第1の実施形態で説明した分析情報に基づき、ユーザ端末10から投入されたプリントジョブの設定内容(印刷内容)に応じて、消費電力を考慮した、最もエネルギー効率の良い画像形成装置にプリントジョブを転送する機能を提供することも可能である。第2の実施形態では、このプリントジョブの最適な転送先を自動で決定し、転送する場合を説明する。
【0145】
図10は、第2の実施形態に係るサーバ装置50によるジョブ転送機能の動作を示している。
【0146】
ユーザ端末10は、ユーザから印刷を行うドキュメントの指定と、プリンタドライバの印刷設定画面を通じて、印刷における各種項目の設定を受け、印刷実行の指示を受ける。ここでは、印刷先の画像形成装置の指定は受けないものとする。これにより、印刷の設定情報(ジョブの設定情報)と、ドキュメントの印刷データと、ユーザID(または端末ID)とを含むプリントジョブを生成し、サーバ装置50に送信する(ステップS501)。
【0147】
サーバ装置50は、ユーザ端末10からプリントジョブを受信すると、プリントジョブに含まれている印刷データと設定情報(設定データ)などを分離し(ステップS502)、設定情報を解析する(ステップS503)。データベースに蓄積されている情報の中から、その設定情報(設定内容)に対応する消費電力情報(画像形成装置毎の消費電力情報)を収集する(ステップS504)。これらのうち、消費電力の最も少ない画像形成装置をプリントジョブの転送先に決定し(ステップS505)、その画像形成装置にプリントジョブ(印刷データ)を転送する(ステップS506)。
【0148】
たとえば、片面モノクロ印刷の場合には、データベースに蓄積されている情報の中から、MFP1およびプリンタ1、2におけるそれぞれの片面モノクロ印刷の消費電力情報を収集する。図9に示したように、MFP1が1000W、プリンタ1が700W、プリンタ2が1000Wであれば、消費電力の最も少ないプリンタ1を、この片面モノクロ印刷のプリントジョブの転送先に決定し、プリンタ1にプリントジョブを転送する。
【0149】
このように、第1の実施形態で説明した分析情報を使用して、消費電力の観点で各プリントジョブを最適な画像形成装置に転送することも可能である。これにより、フロア全体での消費電力を抑えることができる。
【0150】
[第3の実施形態]
第1の実施形態で説明した分析情報における消費電力情報などは、ジョブの設定時にプリンタドライバの印刷設定画面上に表示することも可能である。第3の実施形態では、この消費電力情報をジョブの設定時に画面上に表示する場合を説明する。
【0151】
図11は、第3の実施形態に係るプリンタドライバの印刷設定画面上に消費電力情報を表示する動作を示している。図12は、プリンタドライバの印刷設定画面60に表示された消費電力情報の一例を示している。
【0152】
図11では、ユーザ端末10は、表示部17に表示したプリンタドライバの印刷設定画面を通じて、ユーザから画像形成装置の指定と、印刷(プリントジョブ)におけるいずれかの項目の設定を受けると、その画像形成装置の識別情報と設定情報を含む設定内容の情報をサーバ装置50に送信する(ステップS601)。
【0153】
サーバ装置50は、ユーザ端末10から上記の情報を受信すると、その設定内容を解析する(ステップS602)。データベースに蓄積されている情報の中から、その画像形成装置における設定情報(設定内容)に対応する消費電力情報を収集し(ステップS603)、ユーザ端末10に送信する。
【0154】
ユーザ端末10は、サーバ装置50から受信した消費電力情報を、プリンタドライバの印刷設定画面上に表示する(ステップS604(図12参照))。印刷設定画面を通じて、印刷実行の指示を受けずにジョブの設定を受けた場合は(ステップS605;No)、ステップS601へ戻り、ステップS601以降を繰り返す。このように、画面上でジョブの設定毎に消費電力の表示を行うには、画面上で設定変更を行うたびに、サーバ装置50に対して設定内容の情報を送信する。
【0155】
印刷設定画面を通じて、印刷実行の指示を受けた場合は(ステップS605;Yes)、そのプリントジョブを投入する(ステップS606)。すなわち、印刷先の画像形成装置の識別情報と、印刷の設定情報(ジョブの設定情報)と、ドキュメントの印刷データと、ユーザID(または端末ID)とを含むプリントジョブを生成し、サーバ装置50に送信する。
【0156】
本実施形態では、ジョブの設定時に設定画面上(プリンタドライバの印刷設定画面上)に、その設定による予測の消費電力をリアルタイムに表示することで、ユーザに対し、設定変更による省エネルギー化への貢献を意識させることが可能となる。
【0157】
以上、本発明の実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0158】
上述の実施形態では、外付けの電力情報収集装置45を用いて画像形成装置の消費電力を測定し、その消費電力情報を収集する場合を例に説明したが、自装置の各種の消費電力を測定してその消費電力情報を提供する機能が搭載されている画像形成装置においては、その機能を利用して詳細な消費電力情報を収集するようにしてもよい。
【0159】
具体的には、上記の機能を備えた画像形成装置においては、内蔵の電力測定部を実施形態で説明した電力情報収集装置45と同様の機能で用い、内蔵の電力測定部が測定・取得した消費電力情報をサーバ装置50が収集し分析して、ジョブ毎の消費電力情報を求めるようにしてもよい。また、画像形成装置がジョブ毎や機能毎の詳細な消費電力を測定可能な構成であれば、そのジョブ毎や機能毎の詳細な消費電力を画像形成装置からサーバ装置50が直接収集するようにしてもよい。
【0160】
また、画像形成装置の各種動作における詳細な消費電力がマニュアルや仕様書などに記載されていて分かっている場合には、その情報を手動でサーバ装置50に入力するようにしてもよい。
【0161】
複数の画像形成装置が設置される場所(エリア)は、オフィスに限らず、複数のユーザが複数の画像形成装置を共用する各種の場所、たとえば、研究室や作業室などでもよい。
【0162】
また、実施形態では管理装置の機能を、プリントサーバであるサーバ装置50が備えた場合を例に説明したが、この管理装置の機能は他のサーバ装置が備えるようにしてもよい。たとえば、管理サーバがプリントサーバから各画像形成装置のジョブの履歴情報(ジョブの設定情報および実行時間情報)を取得し、各電力情報収集装置から消費電力情報を収集して、実施形態で説明した機能を実現するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0163】
2…ネットワーク
5…システム
10…ユーザ端末(PC)
11…CPU
12…バス
13…ROM
14…RAM
15…不揮発メモリ
16…ハードディスク装置
17…表示部
18…操作部
19…ネットワーク通信部
20…複合機(画像形成装置)
21…CPU
22…バス
23…ROM
24…RAM
25…不揮発メモリ
26…ハードディスク装置
27…表示部
28…操作部
29…ファクシミリ通信部
30…ネットワーク通信部
31…スキャナ部
32…画像処理部
33…プリンタ部
34…後処理部
41…プリンタ(画像形成装置)
42…プリンタ(画像形成装置)
45…電力情報収集装置
46…電源コンセント
50…サーバ装置(管理装置/プリントサーバ)
51…CPU
52…バス
53…ROM
54…RAM
55…不揮発メモリ
56…ハードディスク装置
57…ネットワーク通信部
60…印刷設定画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブを実行する複数の画像形成装置に係る情報の管理を行う管理装置であって、
ジョブの設定情報を入力する設定情報入力部と、
前記ジョブを実行した画像形成装置の識別情報を入力する識別情報入力部と、
前記ジョブを実行した画像形成装置の該ジョブを実行したときの消費電力を示す消費電力情報を入力する消費電力情報入力部と、
前記入力された、ジョブの設定情報と、画像形成装置の識別情報と、消費電力情報とを関連付けて蓄積する記憶部と、
を有することを特徴とする管理装置。
【請求項2】
当該管理装置は、外部端末からプリントジョブを受信して画像形成装置に送信するプリントサーバであり、
前記設定情報入力部は、前記ジョブの設定情報として、前記プリントジョブに含まれている設定情報を入力し、
前記識別情報入力部は、前記ジョブを実行した画像形成装置の識別情報として、前記プリントジョブの送信先の画像形成装置の識別情報を入力し、
前記記憶部には、前記プリントジョブに含まれている設定情報と、前記プリントジョブの送信先の画像形成装置の識別情報と、前記プリントジョブを前記送信先の画像形成装置が実行したときの消費電力を示す消費電力情報とを関連付けて蓄積する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記記憶部に蓄積された情報に基づいて、前記画像形成装置毎に、ジョブの設定と、該設定のジョブを実行したときの消費電力に関する情報を分析する分析部と、
前記分析部による分析結果を出力する出力部と、
を有することを特徴とする請求項1または2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記分析部は、前記ジョブの設定における設定項目毎の消費電力に関する情報を分析する
ことを特徴とする請求項3に記載の管理装置。
【請求項5】
前記分析部は、更に前記ジョブの設定における設定項目毎の利用状況を分析する
ことを特徴とする請求項3または4に記載の管理装置。
【請求項6】
前記画像形成装置にジョブの実行を指示したタイミングに対応する期間に電力測定装置が逐次測定したその画像形成装置の消費電力を示す情報から、その画像形成装置のそのジョブを実行したときの消費電力を判定し、その消費電力を示す情報を前記消費電力情報として入力する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項7】
前記画像形成装置にジョブの実行を指示していないときに対応する期間に前記電力測定装置が逐次測定した消費電力を示す情報から、その画像形成装置のジョブを実行していないときの消費電力を判定し、その消費電力をその画像形成装置の非ジョブ実行時の消費電力として前記記憶部に記憶する
ことを特徴とする請求項6に記載の管理装置。
【請求項8】
前記消費電力情報入力部は、更に前記画像形成装置がジョブを実行していないときの消費電力を示す情報も入力し、
その情報が示す消費電力をその画像形成装置の非ジョブ実行時の消費電力として前記記憶部に記憶する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項9】
前記消費電力情報をジョブの実行時に入力する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項10】
実行予定のジョブの設定情報と、前記記憶部に蓄積されている情報とに基づいて、前記実行予定のジョブを実行した場合に消費電力の最も少ない画像形成装置を判定し、該画像形成装置を前記実行予定のジョブの実行先に選定する
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項11】
前記ジョブの設定情報は、前記画像形成装置の印刷機能に含まれる、片面印刷と、両面印刷と、モノクロ印刷と、カラー印刷と、印刷物に対する後処理とのうちの少なくとも1つの設定情報である
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項12】
ジョブを実行する複数の画像形成装置に係る情報の管理を行う情報処理装置に、
ジョブの設定情報を入力する機能と、
前記ジョブを実行した画像形成装置の識別情報を入力する機能と、
前記ジョブを実行した画像形成装置の該ジョブを実行したときの消費電力を示す消費電力情報を入力する機能と、
前記入力された、ジョブの設定情報と、画像形成装置の識別情報と、消費電力情報とを関連付けて記憶部に蓄積する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項13】
外部端末からプリントジョブを受信して画像形成装置に送信するプリントサーバとしての機能と、
前記ジョブの設定情報として、前記プリントジョブに含まれている設定情報を入力する機能と、
前記ジョブを実行した画像形成装置の識別情報として、前記プリントジョブの送信先の画像形成装置の識別情報を入力する機能と、
前記記憶部には、前記プリントジョブに含まれている設定情報と、前記プリントジョブの送信先の画像形成装置の識別情報と、前記プリントジョブを前記送信先の画像形成装置が実行したときの消費電力を示す消費電力情報とを関連付けて蓄積する機能と、
を前記情報処理装置に実現させることを特徴とする請求項12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記記憶部に蓄積された情報に基づいて、前記画像形成装置毎に、ジョブの設定と、該設定のジョブを実行したときの消費電力に関する情報を分析する機能と、
その分析結果を出力する機能と、
を前記情報処理装置に実現させることを特徴とする請求項12または13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記ジョブの設定における設定項目毎の消費電力に関する情報を分析する機能を
前記情報処理装置に実現させることを特徴とする請求項14に記載のプログラム。
【請求項16】
更に前記ジョブの設定における設定項目毎の利用状況を分析する機能を
前記情報処理装置に実現させることを特徴とする請求項14または15に記載のプログラム。
【請求項17】
前記画像形成装置にジョブの実行を指示したタイミングに対応する期間に電力測定装置が逐次測定したその画像形成装置の消費電力を示す情報から、その画像形成装置のそのジョブを実行したときの消費電力を判定し、その消費電力を示す情報を前記消費電力情報として入力する機能を
前記情報処理装置に実現させることを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項18】
前記画像形成装置にジョブの実行を指示していないときに対応する期間に前記電力測定装置が逐次測定した消費電力を示す情報から、その画像形成装置のジョブを実行していないときの消費電力を判定し、その消費電力をその画像形成装置の非ジョブ実行時の消費電力として前記記憶部に記憶する機能を
前記情報処理装置に実現させることを特徴とする請求項17に記載のプログラム。
【請求項19】
更に前記画像形成装置がジョブを実行していないときの消費電力を示す情報も入力し、
その情報が示す消費電力をその画像形成装置の非ジョブ実行時の消費電力として前記記憶部に記憶する機能を
前記情報処理装置に実現させることを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項20】
前記消費電力情報をジョブの実行時に入力する機能を
前記情報処理装置に実現させることを特徴とする請求項12〜19のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項21】
実行予定のジョブの設定情報と、前記記憶部に蓄積されている情報とに基づいて、前記実行予定のジョブを実行した場合に消費電力の最も少ない画像形成装置を判定し、該画像形成装置を前記実行予定のジョブの実行先に選定する機能を
前記情報処理装置に実現させることを特徴とする請求項12〜20のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項22】
前記ジョブの設定情報は、前記画像形成装置の印刷機能に含まれる、片面印刷と、両面印刷と、モノクロ印刷と、カラー印刷と、印刷物に対する後処理とのうちの少なくとも1つの設定情報である
ことを特徴とする請求項12〜21のいずれか1項に記載のプログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図1】
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【図5】
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【図7】
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【図12】
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