説明

管理装置および管理方法

【課題】より多くの種類の情報処理システムを管理する。
【解決手段】管理装置100は、データセンタの構成要素の必要電力の情報を保持する構成情報保持部124と、新規構成要素に関する情報を取得する情報取得部と、情報取得部によって取得された情報から、新規構成要素の必要電力の情報と、新規構成要素の電力供給元要素に関する情報と、新規構成要素の必要電力を電力供給元要素の間でいかに振り分けるかについての情報と、を抽出する情報抽出部と、情報抽出部によって抽出された情報に基づいて、演算対象構成要素が必要とする電力を演算する電力演算部112と、構成情報保持部124によって保持される演算対象構成要素の必要電力の情報を電力演算部112における演算結果に基づいて更新する情報更新部122と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置および管理方法に関し、特に情報処理システムを管理する管理装置および管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
データセンタなど情報処理システムの構成は、提供するサービスの複雑化や大規模化に伴い年々複雑になってきており、またその構成要素の数も膨大となってきている。また、サーバ、ストレージ、ネットワーク機器等の構成要素について、近年の技術革新に伴ってそれらの性能の向上のスピードが増したこともあり、そのような構成要素の追加や更新なども頻繁に行われている。
【0003】
このような状況において、情報処理システムをミスなく効率的に運営すべき管理者への負担が増大している。そこで例えば特許文献1には、ネットワーク内で階層構造を持ちデータ転送を行うシステムで、階層の下位装置から順次上位装置に装置情報を伝送する事によりデータ転送の経路決定を自動的に行う構成情報の伝達方法が開示されている。また特許文献2には、自動的に構築された階層構造を利用し、全てのサーバが管理サーバと通信を行うのではなく、最上位代表サーバだけが管理サーバと管理対象サーバの管理情報を集約して通信を行う方式が提案されている。これらの手法により幾分管理者の管理負担が軽減されうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−41283号公報
【特許文献2】特開2009−171476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や特許文献2で提案される手法では基本的に、管理対象の情報処理システムの構成要素間に、ひとつの下位階層に対してひとつの上位階層しか定義されないいわゆる木構造の関係があることが前提とされている。このような手法では、それ以外の関係で構成要素間が結びつけられている情報処理システムを管理することは困難である。
【0006】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、より多くの種類の情報処理システムを管理できる管理技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は管理装置に関する。この管理装置は、情報処理システムの構成要素が必要とする電力の情報を保持する構成情報保持部と、情報処理システムの構成要素として本管理装置に新たに登録すべき構成要素を新規構成要素と呼ぶとき、新規構成要素に関する情報を取得する情報取得部と、情報取得部によって取得された情報から、新規構成要素が必要とする電力の情報と、新規構成要素に電力を供給する複数の構成要素に関する情報と、新規構成要素が必要とする電力を新規構成要素に電力を供給する複数の構成要素の間でいかに振り分けるかについての情報と、を抽出する情報抽出部と、新規構成要素に電力を供給する複数の構成要素のそれぞれを演算対象の構成要素と呼ぶとき、情報抽出部によって抽出された情報に基づいて、演算対象の構成要素が必要とする電力を演算する電力演算部と、構成情報保持部によって保持される演算対象の構成要素が必要とする電力の情報を電力演算部における演算結果に基づいて更新する情報更新部と、を備える。
【0008】
この態様によると、新規構成要素に関する情報の取得に際して、演算対象の構成要素が必要とする電力を演算し、その演算結果を構成情報保持部に反映させることができる。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、管理装置である。この装置は、情報処理システムの構成要素が必要とするリソースの情報を保持する構成情報保持部と、新規構成要素に関する情報を取得する情報取得部と、情報取得部によって取得された情報から、新規構成要素が必要とするリソースの情報と、新規構成要素にリソースを供給する複数の構成要素に関する情報と、新規構成要素が必要とするリソースを新規構成要素にリソースを供給する複数の構成要素の間でいかに振り分けるかについての情報と、を抽出する情報抽出部と、新規構成要素にリソースを供給する複数の構成要素のそれぞれを演算対象の構成要素と呼ぶとき、情報抽出部によって抽出された情報に基づいて、演算対象の構成要素が必要とするリソースを演算するリソース演算部と、構成情報保持部によって保持される演算対象の構成要素が必要とするリソースの情報をリソース演算部における演算結果に基づいて更新する情報更新部と、を備える。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を装置、方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より多くの種類の情報処理システムを管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態に係る管理装置の管理対象であるデータセンタの構成を示す模式図である。
【図2】本実施の形態に係る管理装置の機能および構成を示すブロック図である。
【図3】図2の階層情報保持部の一例を示すデータ構造図である。
【図4】図2の構成情報保持部の一例を示すデータ構造図である。
【図5】図2の関連情報保持部の一例を示すデータ構造図である。
【図6】第1参照画面の代表画面図である。
【図7】第2参照画面の代表画面図である。
【図8】第3参照画面の代表画面図である。
【図9】新規登録画面の代表画面図である。
【図10】関連登録画面の代表画面図である。
【図11】図2の管理装置における一連の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。
【0014】
図1は、実施の形態に係る管理装置の管理対象であるデータセンタ2の構成を示す模式図である。データセンタ2は、サーバやストレージやネットワーク機器やコンセントや分電盤などの構成要素からなる情報処理システムである。データセンタ2は、第1分電盤4、第2分電盤6、第1コンセント8、第2コンセント10、第1サーバ12、第1ストレージ14、第2サーバ16、第2ストレージ21、第3サーバ22、ネットワーク18、を備える。
【0015】
第1分電盤4、第2分電盤6はそれぞれ外部の送電線20と電気的に接続され、送電線20から電力の供給を受ける。第1コンセント8は第1分電盤4および第2分電盤6の両方と接続され、それらから電力の供給を受ける。第1コンセント8が必要とする電力(以下、構成要素が必要とする電力をその構成要素の必要電力と称す)は、第1コンセント8に接続される構成要素の必要電力と第1コンセント8自体の消費電力との合計である。この第1コンセント8の必要電力は、所定の振り分け規則にしたがって第1分電盤4と第2分電盤6とに振り分けられている。言い換えると、第1分電盤4が第1コンセント8に供給する電力の値は、第1コンセント8の必要電力の値に第1分電盤4に対して設定された振り分け比率を乗じた電力の値である。第2分電盤6が第1コンセント8に供給する電力の値は、第1コンセント8の必要電力の値に第2分電盤6に対して設定された振り分け比率を乗じた電力の値である。
第2コンセント10は第1コンセント8と同様の構成を有する。
振り分け規則は、振り分け比率として定義されてもよいし、振り分ける分の電力の絶対値として定義されてもよい。コンセントの差し込み口ごとにそこに電力を供給する分電盤が分かれている場合は、振り分け規則として絶対値が使用されてもよい。
【0016】
第1サーバ12、第1ストレージ14それぞれのプラグは第1コンセント8の対応する差し込み口に差し込まれ、第1サーバ12、第1ストレージ14はいずれも第1コンセント8から電力の供給を受ける。第1サーバ12、第1ストレージ14はいずれもイントラネットなどのネットワーク18に接続される。ネットワーク18はインターネットなどの外部ネットワーク(不図示)と接続される。
第2ストレージ21、第3サーバ22については、接続先が第2コンセント10である点を除いては第1ストレージ14、第1サーバ12と同様である。
【0017】
第2サーバ16は2つのプラグを有し、一方のプラグは第1コンセント8の対応する差し込み口に差し込まれ、他方のプラグは第2コンセント10の対応する差し込み口に差し込まれる。第2サーバ16の各プラグについて消費電力が設定されており、第2サーバ16の消費電力は2つのプラグに設定されている2つの消費電力の合計である。例えば、第1コンセント8に接続される方のプラグに設定されている消費電力は50(W)、第2コンセント10に接続される方のプラグに設定されている消費電力は150(W)、第2サーバ16の消費電力は50(W)+150(W)=200(W)である。第2サーバ16はネットワーク18に接続される。
【0018】
第2サーバ16については、第1コンセント8に対して設定された振り分け比率が0.25であり第2コンセント10に対して設定された振り分け比率が0.75であると見ることもできるし、第1コンセント8、第2コンセント10それぞれに対して電力の絶対値が振り分けられていると見ることもできる。
【0019】
このようにデータセンタ2には、データセンタ2において電力供給の元となる分電盤から、供給された電力が最終的に使用されるサーバやストレージに至るまでの電力供給網が形成されている。以下、データセンタ2において電力供給の元により近い側を電力供給網の上流、そうでない側を下流と定義する。
【0020】
本実施の形態に係る管理装置はデータセンタ2についての管理情報を保持し、必要に応じてユーザに提示する。管理情報は、データセンタ2の各構成要素のスペック、特性や構成要素間の相関関係を記述した情報などの、データセンタ2の構成要素を管理するための情報である。管理装置は特に構成要素間の電力のやりとりに関する情報を管理する。
【0021】
管理装置では、構成要素の種類ごとに階層が設定される。ある階層とそのひとつ上の階層との間には、ネットワーク状の電力の供給関係が設定される。すなわち、ある階層に属するひとつの構成要素に、ひとつ上の階層に属する複数の構成要素から電力を供給することが許され、またひとつ上の階層に属するひとつの構成要素から、ある階層に属する複数の構成要素に電力を供給することが許される。これにより、構成要素間の電力の供給関係がネットワーク状となっている情報処理システムであっても、その情報処理システムを電力的な側面から管理できる。
【0022】
さらに、新たな構成要素がデータセンタ2の構成要素として管理装置に登録されると、管理装置は新たな構成要素の追加によって電力的に影響を受けうる既存の構成要素についても、その構成要素が必要とする電力を演算し、その演算結果を登録する。これにより、新たな構成要素の追加によって電力的に影響を受けうる既存の構成要素についての必要電力の更新作業は、管理者自らが配線図等をたどって計算して更新するような場合と比べて、より速く正確に行われる。
【0023】
図1に示されるデータセンタ2の構成は本実施の形態を説明するための単純化した例であるが、現在、多くの情報処理システムの構成は上記の通り複雑になってきており、また構成要素の数も膨大となってきている。そのような情報処理システムの電力供給網もまた複雑、大規模化している。したがって、管理者が自ら人手で管理情報の更新作業の全てを行うのでは時間がかかりすぎ、またミスも発生しやすい。そこで本実施の形態に係る管理装置によると、そのような更新作業のうち既存の構成要素への影響に関する部分を管理装置が受け持つことにより、更新作業全体をより速く正確に行うことができる。
【0024】
本実施の形態に係る管理装置はネットワーク18または外部ネットワークに接続された管理サーバとしてデータセンタ2の内部または外部に設けられてもよい。あるいはまた、第1サーバ12や第2サーバ16や第3サーバ22が管理装置の役割を果たしてもよい。
【0025】
図2は、本実施の形態に係る管理装置100の機能および構成を示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(central processing unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0026】
管理装置100はキーボード、マウスなどの入力装置102と接続され、またディスプレイなどの表示装置104と接続される。また管理装置100はネットワーク18と接続される。
管理装置100は、登録インタフェース部110、電力演算部112、安全性判定部114、警告通知部116、参照部118、階層情報保持部120、情報更新部122、構成情報保持部124、関連情報保持部126、を備える。
【0027】
図3は、階層情報保持部120の一例を示すデータ構造図である。階層情報保持部120は、管理上、データセンタ2の構成要素に対して設定される階層に関する情報を保持する。階層は、構成要素における電力の取り扱われ方の観点から分類された構成要素の種類ごとに設定される。特に本実施の形態では、階層として、分電盤やラックなどの電力供給網の最上流に位置する供給階層と、コンセントなどの電力を仲介する仲介階層と、サーバやストレージなどの電力を消費する消費階層と、が設定される。
【0028】
階層情報保持部120は、階層を特定する階層IDと、その階層の階層名と、その階層の親となる階層を特定する親階層IDと、を対応付けて保持する。階層情報保持部120に保持される情報は、予め管理者によって登録される。
【0029】
図4は、構成情報保持部124の一例を示すデータ構造図である。構成情報保持部124は、データセンタ2の構成要素についての情報を保持する。構成情報保持部124は、構成要素を特定する構成要素IDと、その構成要素の名と、その構成要素が属する階層を特定する階層IDと、その構成要素が電力を供給できる構成要素である場合は供給できる電力の最大値(以下、最大供給電力と称す)と、その構成要素の必要電力と、その構成要素が電力を消費する場合はその消費電力と、を対応付けて保持する。図4において構成要素名のフィールド内の括弧内の符号は、対応する構成要素の符号である。
【0030】
構成要素の必要電力は、構成要素がサーバやストレージなどの電力を消費する機器の場合はその消費電力を含む。また、コンセントなどの2次電源は、分電盤から電力の供給を受けると共にサーバやストレージや他のコンセントに電力を供給する。また2次電源自身も少量であるかもしれないが電力を消費しうる。したがって、構成要素が2次電源である場合の必要電力は、その2次電源が供給すべき電力に2次電源自身の消費電力を合算した値である。
【0031】
図5は、関連情報保持部126の一例を示すデータ構造図である。関連情報保持部126は、データセンタ2における構成要素間の電力の供給関係についての情報を保持する。関連情報保持部126は、構成要素IDと、その構成要素IDが特定する構成要素に電力を供給する構成要素(以下、ある構成要素に電力を供給する構成要素をある構成要素の電力供給元要素と称す)を特定する電力供給元IDと、その電力供給元IDが特定する電力供給元要素に対して設定された振り分け比率と、を対応付けて保持する。電力供給元IDと振り分け比率との組は必要に応じてひとつの構成要素に対して複数保持される。
【0032】
例えば図5に示される関連情報保持部126の構成要素ID「1003」に着目すると、それに対応する第1電力供給元IDは「1001」でありその振り分け比率は「0.5」である。また、構成要素ID「1003」に対応する第2電力供給元IDは「1002」でありその振り分け比率は「0.5」である。したがって、データセンタ2においては、構成要素ID「1003」が特定する構成要素「コンセント1」の必要電力である320(W)は(必要電力の値は図4に示される値を使用した)、第1電力供給元要素「分電盤1」に320(W)×0.5=160(W)だけ振り分けられ、第2電力供給元要素「分電盤2」に320(W)×0.5=160(W)だけ振り分けられている。言い換えると、第1電力供給元要素「分電盤1」は構成要素「コンセント1」に160(W)供給し、第2電力供給元要素「分電盤2」は構成要素「コンセント1」に160(W)供給し、構成要素「コンセント1」はそのようにして供給される電力によって自身の必要電力320(W)を賄っている。
なお、構成情報保持部124、関連情報保持部126に保持される情報は、データセンタ2についての管理情報を構成する。
【0033】
図2に戻る。
ユーザ、この場合はデータセンタ2の管理者は、データセンタ2の構成要素として管理装置100に新たに登録すべき構成要素(以下、新規構成要素と称す)が発生すると、入力装置102またはネットワーク18を介して登録インタフェース部110に新規構成要素に関する情報を入力する。入力される情報は、新規構成要素の必要電力に関する必要電力情報と、新規構成要素の電力供給元要素に関する電力供給元情報と、新規構成要素の必要電力を電力供給元要素の間でいかに振り分けるかについての振り分け情報と、を含む。
【0034】
必要電力情報は、新規構成要素の消費電力を示す消費電力情報であってもよく、または新規構成要素によって電力が供給される構成要素(以下、ある構成要素によって電力が供給される構成要素をある構成要素の電力供給先要素と称す)に供給すべき電力の合計を導くための供給電力情報であってもよく、あるいはその両方の情報を含む情報であってもよい。
電力供給元情報は、電力供給元要素が複数ある場合はそのそれぞれを特定する情報、例えば電力供給元要素の名または電力供給元IDもしくはその両方を含む。電力供給元要素は基本的には既存の構成要素である。
振り分け情報は電力供給元要素が複数ある場合に設定され、電力供給元要素のそれぞれに対して設定される振り分け比率を含む。
なお、登録インタフェース部110は新規構成要素に関する情報を株式会社野村総合研究所が提供するSOC(Senju Operation Conductor(Senjuは登録商標))などの構成情報取得ツールを使用して自動的に取得してもよい。
【0035】
登録インタフェース部110は、入力された情報を取得する情報取得部と、情報取得部によって取得された情報から、必要電力情報と、電力供給元情報と、振り分け情報と、を抽出する情報抽出部と、を含む。情報取得部は構成情報取得部128と関連情報取得部136とを有する。情報抽出部は構成情報抽出部130と関連情報抽出部138とを有する。登録インタフェース部110はさらに親階層抽出部132と選択可要素抽出部134とを含む。
【0036】
構成情報取得部128は、新規構成要素自身の特性を示す構成情報を取得する。構成情報は、新規構成要素を特定する新規構成要素名などの特定情報と、新規構成要素が属する階層を特定する階層名などの階層情報と、消費電力情報と、新規構成要素の最大供給電力を示す最大電力情報と、を含む。特に構成情報取得部128は、管理者から入力装置102を介して登録要求を受け付けると、図9で後述する新規登録画面300を表示装置104に表示させる。構成情報取得部128は、新規登録画面300に対して管理者が入力装置102を介して入力した構成情報を取得する。
【0037】
構成情報抽出部130は、構成情報取得部128によって取得された構成情報から、特定情報と階層情報と消費電力情報と最大電力情報とを抽出する。
【0038】
親階層抽出部132は、構成情報抽出部130によって抽出された階層情報が特定する階層の親となる階層を特定する親階層IDを、階層情報保持部120から抽出する。特に階層情報は階層名または階層IDであるから、親階層抽出部132はその階層名または階層IDに対応する親階層IDを階層情報保持部120から抽出する。
【0039】
選択可要素抽出部134は、構成情報保持部124に構成要素IDが登録されている構成要素のうち、親階層抽出部132によって抽出された親階層IDが特定する階層に属する構成要素を選択可な構成要素とする。選択可要素抽出部134は、親階層抽出部132によって抽出された親階層IDに対応する構成要素IDを選択可構成要素IDとして構成情報保持部124から抽出する。
【0040】
関連情報取得部136は、新規構成要素と他の既存の構成要素との電力のやりとりに関する関連情報を取得する。関連情報は、電力供給元情報と、振り分け情報と、供給電力情報と、を含む。供給電力情報は、新規構成要素の電力供給先要素を特定する電力供給先情報を含む。
特に関連情報取得部136は、構成情報取得部128が構成情報を取得した後、図10で後述する関連登録画面400を表示装置104に表示させる。その際、関連情報取得部136は、選択可要素抽出部134によって選択可とされた構成要素のなかから電力供給元要素を選択させる。関連情報取得部136は、関連登録画面400に対して管理者が入力装置102を介して入力した関連情報を取得する。
【0041】
関連情報抽出部138は、関連情報取得部136によって取得された関連情報から、電力供給元情報と振り分け情報と電力供給先情報とを抽出する。
【0042】
例えば、図1に示されるデータセンタ2についての最新の変更が第2サーバ16の追加である場合(以下、第2サーバ16追加の場合と称する)を考える。管理者は、データセンタ2への第2サーバ16の追加が完了すると、新規登録画面300から、新規構成要素である第2サーバ16の名「サーバ2」と第2サーバ16の階層の名「消費階層」と第2サーバ16の消費電力の値「200(W)」とを入力する。
構成情報取得部128はそのように入力された情報を取得し、構成情報抽出部130は特定情報として構成要素名「サーバ2」を、階層情報として階層名「消費階層」を、消費電力情報として値「200(W)」を、最大電力情報として最大供給電力が存在しないことを示す「N/A」を、抽出する。
【0043】
管理者は関連登録画面400から、第2サーバ16の電力供給元要素である第1コンセント8の名「コンセント1」と、第1コンセント8に対して設定されるべき振り分け比率「0.25」と、を入力する。同じく管理者は関連登録画面400から、第2サーバ16のもうひとつの電力供給元要素である第2コンセント10の名「コンセント2」と、第2コンセント10に対して設定されるべき振り分け比率「0.75」と、を入力する。
関連情報取得部136はそのように入力された情報を取得し、関連情報抽出部138は電力供給元情報として第1電力供給元要素名「コンセント1」および第2電力供給元要素名「コンセント2」を、振り分け情報として第1振り分け比率「0.25」および第2振り分け比率「0.75」を、電力供給先情報として電力供給先要素が存在しないことを示す「N/A」を、抽出する。
【0044】
情報更新部122は、関連情報抽出部138によって抽出された電力供給先情報が少なくともひとつの電力供給先要素を特定する場合、その電力供給先情報に基づいて関連情報保持部126を更新する。すなわち情報更新部122は、関連情報保持部126にアクセスし、電力供給先要素を特定する構成要素IDについて、電力供給元IDを振り分け比率を維持したまま新規構成要素に対して新たに付与された構成要素IDで置き換える。
【0045】
新規構成要素について電力演算部112は、構成情報抽出部130によって抽出された消費電力情報および関連情報抽出部138によって抽出された電力供給先情報に基づいて、新規構成要素の必要電力を演算する。特に電力演算部112は、電力供給先情報が特定する電力供給先要素の必要電力の値を構成情報保持部124から抽出し、その電力供給先要素から新規構成要素に対して設定された振り分け比率を関連情報保持部126から抽出する。電力演算部112は抽出された必要電力の値に抽出された振り分け比率を乗算し、電力供給先要素から新規構成要素に振り分けられる電力の値を得る。電力演算部112は、電力供給先要素が複数ある場合はそのそれぞれについて新規構成要素に振り分けられる電力の値を同様にして得る。電力演算部112は新規構成要素に振り分けられる電力の値を複数の電力供給先要素に亘って合計し、その合計値に消費電力情報が示す消費電力の値を合算することによって、新規構成要素の必要電力の値を得る。
【0046】
第2サーバ16追加の場合、電力演算部112は新規構成要素である第2サーバ16の必要電力の値として第2サーバ16の消費電力の値である「200(W)」を得る。
【0047】
例えばデータセンタ2に自身の消費電力が「5(W)」のコンセントを追加し、その追加コンセントに既存の第2ストレージ21および第3サーバ22をつなぎ替える場合を考える。この場合、管理者は関連登録画面400の供給先要素名入力領域406に、追加コンセントの差し込み口にプラグが差し込まれる第2ストレージ21および第3サーバ22の名を入力する。
【0048】
電力演算部112は第2ストレージ21の必要電力の値「150(W)」に振り分け比率「1」を乗算した値と第3サーバ22の必要電力の値「100(W)」に振り分け比率「1」を乗算した値とを合計し、合計値「250(W)」を得る。電力演算部112は新規構成要素である追加コンセントの必要電力の値として、合計値「250(W)」に追加コンセント自体の消費電力の値「5(W)」を合算した値「255(W)」を得る。
なお、このコンセントの追加によって第2コンセント10の必要電力も変更されるが、その変更は例えば第2コンセント10を新規構成要素として変更後の接続状態で再登録することによって管理装置100に反映されてもよい。
【0049】
情報更新部122は、構成情報抽出部130によって抽出された情報および関連情報抽出部138によって抽出された情報に基づいて、構成情報保持部124および関連情報保持部126を更新する。情報更新部122は、新規構成要素に対して新たな構成要素IDを付与し、その構成要素IDと、特定情報に含まれる新規構成要素名と、階層情報に含まれる階層名に対応する階層IDと、最大電力情報が示す最大供給電力と、新規構成要素について電力演算部112によって演算された必要電力と、消費電力情報が示す消費電力と、を対応付けて構成情報保持部124に登録する。また情報更新部122は、新規構成要素の構成要素IDと、新規構成要素の電力供給元要素を特定する電力供給元IDと、その電力供給元要素に対して設定された振り分け比率と、を対応付けて関連情報保持部126に登録する。
【0050】
第2サーバ16追加の場合、情報更新部122は、第2サーバ16に対して新たな構成要素ID「1007」を付与し、構成要素ID「1007」と構成要素名「サーバ2」と階層ID「L3」と最大供給電力「N/A」と必要電力「200(W)」と消費電力「200(W)」とを対応付けて構成情報保持部124に新たに登録する。また情報更新部122は、構成要素ID「1007」と、第1電力供給元ID「1003」と、それに対する振り分け比率「0.25」と、第2電力供給元ID「1004」と、それに対する振り分け比率「0.75」と、を対応付けて関連情報保持部126に新たに登録する。
【0051】
電力演算部112は、情報更新部122によって新規構成要素に関して構成情報保持部124および関連情報保持部126が更新されると、そのように更新された構成情報保持部124および関連情報保持部126に保持される情報に基づいて、電力供給元要素などの新規構成要素から見て上流の構成要素の必要電力を演算する。
電力演算部112は、演算対象選択部140、電力供給先抽出部142、供給電力合計部144、自己消費電力合算部146、を含む。
【0052】
演算対象選択部140は、関連情報抽出部138によって抽出された電力供給元情報が特定する電力供給元要素のそれぞれに電力を供給する構成要素があれば、その構成要素の構成要素IDを関連情報保持部126から抽出する。すなわち、演算対象選択部140は、関連情報抽出部138によって抽出された電力供給元情報が特定する電力供給元要素のIDを関連情報保持部126における構成要素IDとしたときに、それに対応する新たな電力供給元IDがあればそれを抽出する。演算対象選択部140は、抽出された新たな電力供給元IDが特定する構成要素に電力を供給する構成要素がなくなるまで上記の抽出処理を繰り返す。
【0053】
すなわち、演算対象選択部140は関連情報抽出部138によって抽出された電力供給元情報が特定する電力供給元要素よりも電力供給網においてより上流の構成要素を、最上流の構成要素に到達するまで検索し、その検索で見つかった構成要素を特定する構成要素IDを抽出する。
【0054】
第2サーバ16追加の場合、関連情報抽出部138によって抽出された電力供給元情報が特定する電力供給元要素は第1コンセント8、第2コンセント10である。演算対象選択部140は、第1コンセント8のID「1003」を関連情報保持部126における構成要素IDとしたときに、それに対応する新たな電力供給元ID「1001」、「1002」が存在するのでそれらを抽出する。第2コンセント10についても同様に新たな電力供給元ID「1001」、「1002」が抽出される。演算対象選択部140は、ID「1001」、「1002」が特定する第1分電盤4、第2分電盤6に電力を供給する構成要素はいずれも登録されていないので、抽出処理を終了する。
【0055】
演算対象選択部140は、関連情報抽出部138によって抽出された電力供給元情報が特定する電力供給元要素のIDおよび演算対象選択部140によって上記のように抽出された新たな電力供給元IDのなかからひとつのIDを演算対象IDとして選択する。この際、演算対象選択部140は、演算対象IDを電力供給網の下流側から順番に選択する。以下、演算対象選択部140によって選択された演算対象IDが特定する構成要素を、演算対象構成要素と称す。
【0056】
電力供給先抽出部142は、演算対象構成要素の電力供給先要素を特定する演算対象電力供給先IDを関連情報保持部126から抽出する。特に電力供給先抽出部142は、関連情報保持部126を参照し、電力供給元IDが演算対象IDと一致する構成要素IDを演算対象電力供給先IDとして抽出し、同時に対応する振り分け比率も抽出する。
【0057】
供給電力合計部144は、演算対象構成要素の電力供給先要素の必要電力のうち演算対象構成要素に振り分けられる電力を合計する。すなわち供給電力合計部144は、演算対象構成要素が供給すべき電力を演算する。
演算対象選択部140において関連情報抽出部138によって抽出された電力供給元情報が特定する電力供給元要素のIDが演算対象IDとして選択され、かつ、演算対象構成要素が複数の電力供給先要素を有する場合、その複数の電力供給先要素は新規構成要素と他の構成要素とを含む。したがって、供給電力合計部144は、新規構成要素の必要電力のうち演算対象構成要素に振り分けられる電力と演算対象構成要素が他の構成要素に供給する電力とを合計することとなる。
【0058】
特に供給電力合計部144は、演算対象電力供給先IDに対応する必要電力の値を構成情報保持部124から抽出する。供給電力合計部144は、その演算対象電力供給先IDに対応して電力供給先抽出部142によって抽出された振り分け比率を抽出された必要電力の値に乗算し、演算対象構成要素に振り分けられる電力の値を得る。供給電力合計部144は、演算対象電力供給先IDが複数ある場合はそのそれぞれについて演算対象構成要素に振り分けられる電力の値を同様にして得る。供給電力合計部144は、演算対象構成要素に振り分けられる電力の値を複数の演算対象電力供給先IDに亘って合計する。
【0059】
自己消費電力合算部146は、演算対象構成要素の消費電力の値を構成情報保持部124から抽出する。自己消費電力合算部146は、供給電力合計部144によって得られる合計値に抽出された消費電力の値を合算することによって、演算対象構成要素の必要電力の値を得る。
【0060】
情報更新部122は、構成情報保持部124によって保持される演算対象構成要素の必要電力の情報を電力演算部112における演算結果に基づいて更新する。情報更新部122は、構成情報保持部124にアクセスし、演算対象構成要素の必要電力の値を自己消費電力合算部146によって得られた必要電力の値で書き換える。
【0061】
電力演算部112および情報更新部122は、関連情報抽出部138によって抽出された電力供給元情報が特定する電力供給元要素のIDおよび演算対象選択部140によって抽出された新たな電力供給元IDの全てについて必要電力の演算および更新が行われるまで上記の処理を繰り返す。
【0062】
第2サーバ16追加の場合、まず演算対象選択部140は、関連情報抽出部138によって抽出された電力供給元情報が特定する電力供給元要素である第1コンセント8、第2コンセント10の電力供給元ID「1003」、「1004」および演算対象選択部140によって抽出された新たな電力供給元ID「1001」、「1002」のうち、電力供給網のより下流側にある第1コンセント8を特定する電力供給元ID「1003」を演算対象IDとして選択する。
【0063】
電力供給先抽出部142は、演算対象構成要素である第1コンセント8に対して、第1演算対象電力供給先ID「1005」および第1振り分け比率「1」の組と、第2演算対象電力供給先ID「1006」および第2振り分け比率「1」の組と、第3演算対象電力供給先ID「1007」および第3振り分け比率「0.25」の組と、を関連情報保持部126から抽出する。
【0064】
供給電力合計部144は、第1演算対象電力供給先ID「1005」が特定する第1サーバ12の必要電力の値「100(W)」に第1振り分け比率「1」を乗算した値「100(W)」と、第2演算対象電力供給先ID「1006」が特定する第1ストレージ14の必要電力の値「150(W)」に第2振り分け比率「1」を乗算した値「150(W)」と、第3演算対象電力供給先ID「1007」が特定する第2サーバ16の必要電力の値「200(W)」に第3振り分け比率「0.25」を乗算した値「50(W)」と、を合計し、合計値「300(W)」を得る。
【0065】
自己消費電力合算部146は、合計値「300(W)」に第1コンセント8の消費電力の値「20(W)」を合算し、第1コンセント8の必要電力の値「320(W)」を得る。
情報更新部122は、構成情報保持部124に保持される第1コンセント8の必要電力の値を「320(W)」に書き換える。
【0066】
次に演算対象選択部140は、第2コンセント10を特定する電力供給元ID「1004」を演算対象IDとして選択する。供給電力合計部144は、第2ストレージ21の必要電力の値「150(W)」に振り分け比率「1」を乗算した値「150(W)」と、第3サーバ22の必要電力の値「100(W)」に振り分け比率「1」を乗算した値「100(W)」と、第2サーバ16の必要電力の値「200(W)」に振り分け比率「0.75」を乗算した値「150(W)」と、を合計し、合計値「400(W)」を得る。
自己消費電力合算部146は、合計値「400(W)」に第2コンセント10の消費電力の値「20(W)」を合算し、第2コンセント10の必要電力の値「420(W)」を得る。
情報更新部122は、構成情報保持部124に保持される第2コンセント10の必要電力の値を「420(W)」に書き換える。
【0067】
次に演算対象選択部140は、第1分電盤4を特定する電力供給元ID「1001」を演算対象IDとして選択する。供給電力合計部144は、第1コンセント8の必要電力の値「320(W)」に振り分け比率「0.5」を乗算した値「160(W)」と、第2コンセント10の必要電力の値「420(W)」に振り分け比率「0.5」を乗算した値「210(W)」と、を合計し、合計値「370(W)」を得る。
自己消費電力合算部146は、合計値「370(W)」に第1分電盤4の消費電力の値「0(W)」を合算し、第1分電盤4の必要電力の値「370(W)」を得る。
情報更新部122は、構成情報保持部124に保持される第1分電盤4の必要電力の値を「370(W)」に書き換える。
第2分電盤6についても同様にして必要電力の値「370(W)」が得られ、構成情報保持部124に保持される第2分電盤6の必要電力の値も「370(W)」に書き換え螺れる。
【0068】
安全性判定部114は、情報更新部122によって上記のように更新された構成情報保持部124を参照し、必要電力が最大供給電力を超える構成要素が存在する場合、その構成要素の構成要素IDおよび構成要素名を警告通知部116に渡す。
警告通知部116は、渡された構成要素IDおよび構成要素名を含む警告情報を生成し管理者に通知する。警告通知部116は警告情報を表示装置104に表示させてもよいし、ネットワーク18を介して送信してもよい。
【0069】
参照部118は、管理者から入力装置102やネットワーク18を介して管理情報の参照要求を取得すると、構成情報保持部124および関連情報保持部126に保持される情報を管理者に通知する。参照部118は、参照要求があるとまず第1参照画面500を表示装置104に表示させる。
【0070】
図6は、第1参照画面500の代表画面図である。第1参照画面500は、供給階層表示領域502、仲介階層表示領域504、消費階層表示領域506、第1供給関係表示領域508、第2供給関係表示領域510、を有する。供給階層表示領域502、仲介階層表示領域504、消費階層表示領域506にはそれぞれ供給階層、仲介階層、消費階層に属する構成要素が表示される。第1供給関係表示領域508には供給階層表示領域502に表示される構成要素と仲介階層表示領域504に表示される構成要素との間の電力供給関係を表す直線が表示される。第2供給関係表示領域510には仲介階層表示領域504に表示される構成要素と消費階層表示領域506に表示される構成要素との間の電力供給関係を表す直線が表示される。
【0071】
管理者は、第2サーバ16について電力の伝搬の様子を確認したい場合、第1参照画面500において「サーバ2」を囲む領域をクリックする。すると参照部118は第2参照画面512を表示装置104に表示させる。
【0072】
図7は、第2参照画面512の代表画面図である。第2参照画面512は、消費電力表示領域514、第1伝搬電力表示領域516、第2伝搬電力表示領域518、を有する。消費電力表示領域514にはクリックで指定された第2サーバ16の消費電力の値が表示される。第1伝搬電力表示領域516、第2伝搬電力表示領域518にはそれぞれ、第2サーバ16から第1コンセント8、第2コンセント10に振り分けられる電力の値が伝搬電力として表示される。
【0073】
管理者は、さらに第1コンセント8について電力の伝搬の様子を確認したい場合、第2参照画面512において「コンセント1」を囲む領域をクリックする。すると参照部118は第3参照画面520を表示装置104に表示させる。
【0074】
図8は、第3参照画面520の代表画面図である。第3参照画面520は、他用途電力表示領域522、第3伝搬電力表示領域524、第4伝搬電力表示領域526、を有する。他用途電力表示領域522には第1コンセント8が第2サーバ16以外の構成要素に供給する電力と第1コンセント8自身の消費電力とを合計した値が他用途電力として表示される。第3伝搬電力表示領域524、第4伝搬電力表示領域526にはそれぞれ、第1コンセント8から第1分電盤4、第2分電盤6に振り分けられる電力の値が伝搬電力として表示される。
【0075】
図9は、新規登録画面300の代表画面図である。新規登録画面300は、新規構成要素名入力領域302、階層入力領域304、消費電力入力領域306、最大供給電力入力領域308、OKボタン310、を有する。新規構成要素名入力領域302には新規構成要素の名が入力される。階層入力領域304には新規構成要素が属する階層の名がプルダウン形式などの選択形式で入力される。階層入力領域304には階層の名の代わりに階層IDが入力されてもよい。消費電力入力領域306には新規構成要素の消費電力の値が入力される。最大供給電力入力領域308には新規構成要素の最大供給電力の値が入力される。
【0076】
管理者によって必要な情報が入力されOKボタン310が押し下げられると、構成情報取得部128は、新規構成要素名入力領域302に入力された情報を特定情報として、階層入力領域304に入力された情報を階層情報として、消費電力入力領域306に入力された情報を消費電力情報として、最大供給電力入力領域308に入力された情報を最大電力情報として、取得する。
【0077】
図10は、関連登録画面400の代表画面図である。関連登録画面400は、供給元要素名入力領域402、振り分け比率入力領域404、供給先要素名入力領域406、OKボタン408、を有する。供給元要素名入力領域402には電力供給元要素の名がプルダウン形式などの選択形式で入力される。関連情報取得部136は、この選択形式における選択肢を選択可要素抽出部134によって選択可とされた構成要素に限定する。振り分け比率入力領域404には対応する電力供給元要素に対して設定すべき振り分け比率が入力される。供給先要素名入力領域406には新規構成要素の電力供給先要素の名がプルダウン形式などの選択形式で入力される。関連情報取得部136は、この選択形式における選択肢を、新規構成要素が属する階層の子階層に属する構成要素に限定してもよい。
【0078】
管理者によって必要な情報が入力されOKボタン408が押し下げられると、関連情報取得部136は、供給元要素名入力領域402に入力された情報を電力供給元情報として、振り分け比率入力領域404に入力された情報を振り分け情報として、供給先要素名入力領域406に入力された情報を電力供給先情報として、取得する。
【0079】
上述の実施の形態において、保持部の例は、ハードディスクやメモリである。また、本明細書の記載に基づき、各部を、図示しないCPUや、インストールされたアプリケーションプログラムのモジュールや、システムプログラムのモジュールや、ハードディスクから読み出したデータの内容を一時的に記憶するメモリなどにより実現できることは本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0080】
以上の構成による管理装置100の動作を説明する。
図11は、管理装置100における一連の処理を示すフローチャートである。登録インタフェース部110の情報取得部は、新規構成要素に関する情報を取得する(S202)。登録インタフェース部110の情報抽出部は、取得された情報から新規構成要素の消費電力情報、電力供給元情報、振り分け情報のそれぞれを抽出する(S204)。情報更新部122は、抽出された情報を構成情報保持部124、関連情報保持部126に登録する(S206)。電力演算部112は、必要電力を演算すべき構成要素が残っている場合(S208のY)、演算対象IDを選択する(S210)。電力演算部112は、電力供給先要素から演算対象構成要素に振り分けられる電力を合計する(S212)。電力演算部112は、合計値に演算対象構成要素自身の消費電力を合算し、演算対象構成要素の必要電力を得る。(S214)。情報更新部122は、演算された必要電力で構成情報保持部124を更新し(S216)、処理をステップS208に戻す。電力演算部112は、必要電力を演算すべき構成要素が残っていない場合(S208のN)、演算を終了する。
【0081】
本実施の形態に係る管理装置100によると、データセンタ2のようにネットワーク状の電力供給網を有する情報処理システムであっても管理対象とすることができる。したがって、木構造的なものだけでなくさまざな種類の電力供給網を有する情報処理システムの管理が可能となる。また、新規構成要素を管理装置100へ登録する際には、その登録によって必要電力が更新されなければならない既存の構成要素についても自動的に必要電力の更新がなされる。したがって、情報処理システムの管理者への管理負担を軽減できる。
【0082】
また、本実施の形態に係る管理装置100では、演算対象構成要素の必要電力の演算において、新規構成要素の必要電力のうち演算対象構成要素に振り分けられる電力と演算対象構成要素が他の構成要素に供給する電力とが合計される。このように、新規構成要素の必要電力を新規構成要素よりも上位階層の複数の構成要素に振り分ける、という概念を導入することにより、ネットワーク状の電力供給網を有する情報処理システムを電力的な側面からより好適に管理できる。
【0083】
また、本実施の形態に係る管理装置100では、演算対象構成要素の必要電力に演算対象構成要素自身の消費電力が含められる。これにより、コンセントや分電盤自身も実際は少なからず電力を消費しているのであるが、そのような実態を管理に反映させることができる。
【0084】
また、本実施の形態に係る管理装置100では、構成要素の登録の段階で階層を飛び越えた電力供給関係の設定が禁止される。実際もサーバを直接分電盤に接続するようなことはあまり生じないので、そのような実態に即した管理を実現できる。また、管理者の入力ミスを軽減できる。
【0085】
以上、実施の形態に係る管理装置100の構成と動作について説明した。この実施の形態は例示であり、その各構成要素や各処理の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0086】
実施の形態では、データセンタ2の構成要素が必要とする電力が扱われる場合について説明したが、これに限られず、情報処理システムの構成要素が必要とする量的なパラメータすなわちリソースが扱われてもよい。情報処理システムのリソースは例えば電力、CPU使用率、通信容量、通信帯域、一時メモリの記憶容量またはハードディスクドライブの記憶容量である。
【符号の説明】
【0087】
2 データセンタ、 4 第1分電盤、 6 第2分電盤、 8 第1コンセント、 10 第2コンセント、 12 第1サーバ、 14 第1ストレージ、 16 第2サーバ、 18 ネットワーク、 20 送電線、 21 第2ストレージ、 22 第3サーバ、 100 管理装置、 102 入力装置、 104 表示装置、 110 登録インタフェース部、 112 電力演算部、 120 階層情報保持部、 122 情報更新部、 124 構成情報保持部、 126 関連情報保持部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムの構成要素が必要とする電力の情報を保持する構成情報保持部と、
情報処理システムの構成要素として本管理装置に新たに登録すべき構成要素を新規構成要素と呼ぶとき、新規構成要素に関する情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部によって取得された情報から、新規構成要素が必要とする電力の情報と、新規構成要素に電力を供給する複数の構成要素に関する情報と、新規構成要素が必要とする電力を新規構成要素に電力を供給する複数の構成要素の間でいかに振り分けるかについての情報と、を抽出する情報抽出部と、
新規構成要素に電力を供給する複数の構成要素のそれぞれを演算対象の構成要素と呼ぶとき、前記情報抽出部によって抽出された情報に基づいて、演算対象の構成要素が必要とする電力を演算する電力演算部と、
前記構成情報保持部によって保持される演算対象の構成要素が必要とする電力の情報を前記電力演算部における演算結果に基づいて更新する情報更新部と、を備えることを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記電力演算部は、新規構成要素が必要とする電力のうち演算対象の構成要素に振り分けられる電力と演算対象の構成要素が他の構成要素に供給する電力とを合計することによって、演算対象の構成要素が必要とする電力を演算することを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記電力演算部は、演算対象の構成要素が必要とする電力に演算対象の構成要素の消費電力を含めることを特徴とする請求項1または2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記電力演算部は、演算対象の構成要素に電力を供給する複数の構成要素のそれぞれが必要とする電力を演算し、
前記情報更新部は、前記構成情報保持部によって保持される情報であって演算対象の構成要素に電力を供給する複数の構成要素のそれぞれが必要とする電力の情報を、前記電力演算部における演算結果に基づいて更新することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の管理装置。
【請求項5】
情報処理システムの構成要素が必要とする電力の情報を構成情報保持部に保持させるステップと、
情報処理システムの構成要素として新たに登録すべき構成要素を新規構成要素と呼ぶとき、新規構成要素に関する情報を取得するステップと、
取得された情報から、新規構成要素が必要とする電力の情報と、新規構成要素に電力を供給する複数の構成要素に関する情報と、新規構成要素が必要とする電力を新規構成要素に電力を供給する複数の構成要素の間でいかに振り分けるかについての情報と、を抽出するステップと、
新規構成要素に電力を供給する複数の構成要素のそれぞれを演算対象の構成要素と呼ぶとき、抽出された情報に基づいて、演算対象の構成要素が必要とする電力を演算するステップと、
前記構成情報保持部によって保持される演算対象の構成要素が必要とする電力の情報を演算結果に基づいて更新するステップと、を含むことを特徴とする管理方法。
【請求項6】
情報処理システムの構成要素が必要とする電力の情報を構成情報保持部に保持させる機能と、
情報処理システムの構成要素として新たに登録すべき構成要素を新規構成要素と呼ぶとき、新規構成要素に関する情報を取得する機能と、
取得された情報から、新規構成要素が必要とする電力の情報と、新規構成要素に電力を供給する複数の構成要素に関する情報と、新規構成要素が必要とする電力を新規構成要素に電力を供給する複数の構成要素の間でいかに振り分けるかについての情報と、を抽出する機能と、
新規構成要素に電力を供給する複数の構成要素のそれぞれを演算対象の構成要素と呼ぶとき、抽出された情報に基づいて、演算対象の構成要素が必要とする電力を演算する機能と、
前記構成情報保持部によって保持される演算対象の構成要素が必要とする電力の情報を演算結果に基づいて更新する機能と、をコンピュータに実現させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項7】
情報処理システムの構成要素が必要とするリソースの情報を保持する構成情報保持部と、
新規構成要素に関する情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部によって取得された情報から、新規構成要素が必要とするリソースの情報と、新規構成要素にリソースを供給する複数の構成要素に関する情報と、新規構成要素が必要とするリソースを新規構成要素にリソースを供給する複数の構成要素の間でいかに振り分けるかについての情報と、を抽出する情報抽出部と、
新規構成要素にリソースを供給する複数の構成要素のそれぞれを演算対象の構成要素と呼ぶとき、前記情報抽出部によって抽出された情報に基づいて、演算対象の構成要素が必要とするリソースを演算するリソース演算部と、
前記構成情報保持部によって保持される演算対象の構成要素が必要とするリソースの情報を前記リソース演算部における演算結果に基づいて更新する情報更新部と、を備えることを特徴とする管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−163443(P2012−163443A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24140(P2011−24140)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)