説明

管理装置及びコンピュータプログラム

【課題】所定のプロトコルに、未対応の第1種のデバイスと対応可能な第2種のデバイスとが混在する場合に、管理装置が通信対象のデバイスとの通信を迅速に行うことを目的とする。
【解決手段】今回の通信の対象である対象デバイスが、SNMPv1及びSNMPv3の両プロトコルに対応したSNMPv3対応機である場合、前回の通信に使用したプロトコルを確認し(S216)、この対象デバイスとの通信に使用するプロトコルの優先順位を、確認結果に基づき決定し(S220、S224)、決定されたプロトコルの優先順位にしたがって対象デバイスとの通信を試みることとしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信可能に接続されたデバイスとの通信に使用するプロトコルの決定に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種デバイスがネットワークに通信可能に接続されたネットワークシステムが、構築されている。このようなネットワークシステムには、各種デバイスを管理する管理装置が含まれる。管理装置が、ネットワークを介して各種デバイスと通信する際には、所定のプロトコル、例えば、SNMP(Simple Network Management Protocol)が利用される。
【0003】
昨今、ネットワークを介した通信におけるセキュリティの確保が、重要視されている。上記SNMPについても、セキュリティ機能を有する新たなSNMPv3(version 3)が策定され、一部のデバイスがSNMPv3に対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−146410号公報
【特許文献2】特表2008−503819号公報
【特許文献3】特開2008−85679号公報
【特許文献4】特開2006−85643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のように新プロトコル(例えばSNMPv3)が策定されると、それ以降に提供されるデバイスの一部は、新プロトコルに対応することができる。しかし、新プロトコルを利用している管理装置は、新プロトコルが策定される前から利用されているデバイス、又は、策定後に提供されたデバイスであるが新プロトコルに未対応のデバイスとは、新プロトコルによる通信を行うことが困難である。新プロトコルへの移行の過渡期においては、新プロトコルに未対応のデバイスと対応可能なデバイスとが混在したネットワークシステムが構築される。
【0006】
本発明は、所定のプロトコルに、未対応の第1種のデバイスと対応可能な第2種のデバイスとが混在する場合に、管理装置が通信対象のデバイスとの通信を迅速に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑みなされた本発明は、今回の通信の対象である対象デバイスが、第1プロトコル及び第2プロトコルに対応可能な第2種のデバイスである場合、この対象デバイスとの通信に使用するプロトコルの優先順位を、前回の通信に使用したプロトコルに基づき決定し、決定されたプロトコルの優先順位にしたがって対象デバイスとの通信を試みることとしたものである。
【0008】
本発明を反映した第1の課題解決手段は、第1プロトコルに対応可能であり第2プロトコルに対応不能な第1種のデバイスと、前記第1プロトコル及び前記第2プロトコルに対応可能な第2種のデバイスであって、前記第1プロトコルで通信可能であり前記第2プロトコルで通信不能な第1モードと、前記第2プロトコルで通信可能であり前記第1プロトコルで通信不能な第2モードと、を含む複数の動作モードのうちのいずれかに設定されている前記第2種のデバイスと、を管理するための管理装置であって、今回の通信の対象である対象デバイスが、前記第1種のデバイスであるか、前記第2種のデバイスであるか、を判断するデバイス判断手段と、前記デバイス判断手段によって前記対象デバイスが前記第2種のデバイスであると判断される場合に、前記対象デバイスとの前回の通信の際に使用されたプロトコルを確認し、前記対象デバイスとの前記今回の通信を試みるために使用されるべきプロトコルの優先順位を決定する使用プロトコル決定手段と、前記使用プロトコル決定手段によって決定されたプロトコルの優先順位にしたがって、前記対象デバイスとの通信を試みる通信手段と、を備え、前記使用プロトコル決定手段は、前記前回の通信が前記第2プロトコルを使用して実行された場合には、前記プロトコルの優先順位を、前記第2プロトコル、前記第1プロトコルの順序に決定し、前記前回の通信が前記第1プロトコルを使用して実行された場合には、前記プロトコルの優先順位を、前記第1プロトコル、前記第2プロトコルの順序に決定することを特徴とする管理装置である。
【0009】
これによれば、対象デバイスが第2種のデバイスである場合に、今回の通信に使用するプロトコルの優先順位を、前回の通信に使用したプロトコルに応じ適切に決定し、これに基づいた通信を適切に試みることができる。
【0010】
第2の課題解決手段は、第1の課題解決手段の管理装置であって、さらに、前記今回の通信で、前記対象デバイスに情報を設定するか、前記対象デバイスから情報を取得するか、を判断する処理判断手段を備え、前記使用プロトコル決定手段は、前記対象デバイスに情報が設定される場合には、前記対象デバイスに情報を設定するための前記前回の通信の際に使用されたプロトコルを確認し、前記対象デバイスから情報が取得される場合には、前記対象デバイスから情報を取得するための前記前回の通信の際に使用されたプロトコルを確認することを特徴とする。これによれば、今回の通信の種別(情報の設定又は取得)に応じ、対象デバイスとの通信に使用するプロトコルの優先順位を適切に決定することができる。
【0011】
第3の課題解決手段は、第1又は第2の課題解決手段の管理装置であって、前記使用プロトコル決定手段は、さらに、前記前回の通信の際に使用されたプロトコルを確認できない場合には、前記プロトコルの優先順位を、前記第1プロトコル、前記第2プロトコルの順序に決定することを特徴とする。これによれば、前回の通信に使用されたプロトコルを確認できない場合においても、対象デバイスとの通信を試みるプロトコルの優先順位を決定することができる。
【0012】
第4の課題解決手段は、第1乃至第3の課題解決手段のいずれか1つの管理装置であって、前記複数の動作モードは、前記第1モードと、前記第2モードと、前記第1プロトコル及び前記第2プロトコルで通信可能な第3モードと、を含んでおり、前記使用プロトコル決定手段は、さらに、前記前回の通信が前記第1プロトコルを使用して実行された場合に、前記対象デバイスの動作モードを判断し、前記動作モードが前記第1モードである場合には、前記プロトコルの優先順位を前記第1プロトコル、前記第2プロトコルの順序に決定し、前記動作モードが前記第3モードである場合には、前記優先順位を前記第2プロトコル、前記第1プロトコルの順序に決定することを特徴とする。これによれば、前回の通信が第1プロトコルで実行された場合において、対象デバイスの動作モードが第1モードである場合、第1プロトコルを優先した順序とすることが可能である一方、対象デバイスの動作モードが第3モードである場合、第2プロトコルを優先した順序に決定することができる。
【0013】
なお、第3モードは、例えば、第1プロトコルによる取得のための通信と、第2プロトコルによる取得及び設定のための通信と、を実行可能なモードであってもよい。
【0014】
第5の課題解決手段は、第1乃至第4の課題解決手段のいずれか1つの管理装置であって、前記使用プロトコル決定手段は、前記対象デバイスが前記第1種のデバイスであると判断される場合に、前記対象デバイスとの前記今回の通信を試みるために使用されるべきプロトコルを、前記第1プロトコルに決定することを特徴とする。これによれば、対象デバイスが第1種のデバイスである場合に、今回の通信に使用するプロトコルを第1プロトコルに決定することができ、今回の通信で第3プロトコルを使用せずに済む。
【0015】
第6の課題解決手段は、第1乃至第5の課題解決手段のいずれか1つの管理装置であって、前記使用プロトコル決定手段は、前記対象デバイスが第1種のデバイスであるか第2種のデバイスであるか不明であると判断される場合に、前記対象デバイスとの前記今回の通信を試みるために使用されるべきプロトコルの優先順位を、前記第1プロトコル、前記第2プロトコルの順序に決定することを特徴とする。これによれば、対象デバイスが第1種のデバイスであるか第2種のデバイスであるかを確認できない場合においても、対象デバイスとの通信を試みるプロトコルの優先順位を決定することができる。
【0016】
第7の課題解決手段は、第1乃至第6の課題解決手段のいずれか1つの管理装置であって、前記デバイス判断手段は、前記対象デバイスとの通信毎に、前記対象デバイスが、前記第1種のデバイスであるか、前記第2種のデバイスであるか、を判断することを特徴とする。これによれば、通信毎に、対象デバイスとの通信を試みるプロトコルを適切に決定することができる。
【0017】
第8の課題解決手段は、第1乃至第7の課題解決手段のいずれか1つの管理装置であって、前記第1プロトコルと前記第2プロトコルとは、バージョンが異なるSNMPであることを特徴とする。
【0018】
第9の課題解決手段は、第8の課題解決手段の管理装置であって、前記第1プロトコルは、SNMPv1であり、前記第2プロトコルは、SNMPv3であることを特徴とする。
【0019】
なお、この発明は、管理装置および管理方法、これらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、管理装置は、所定のプロトコルに、未対応の第1種のデバイスと対応可能な第2種のデバイスとが混在する場合に、通信対象のデバイスとの通信を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ネットワークシステム及び各デバイスの機能ブロックを示す図
【図2】SNMPv3対応機に登録されるデバイス情報と動作モードとの関係を示す図
【図3】通信制御処理のフローを示す図
【図4】管理画面を示す図
【図5】データベースを示す図
【図6】通信プロトコル決定処理のフローを示す図
【図7】比較構成に基づく通信を示す図
【図8】本実施形態の構成に基づく通信を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を反映した上記課題解決手段を実施するための実施形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。上記課題解決手段は以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。
【0023】
(システムの構成)
図1はネットワークシステムを示す図である。ネットワークシステム100は、管理装置200と、管理装置200による管理の対象のデバイスである複合機300A,300B,300C,300Dと、を含む。管理装置200と複合機300A,300B,300C,300Dとは、ネットワーク400を介して通信可能に接続されている。
【0024】
管理装置200は、自装置の制御を司る制御部210と、記憶部220と、を備え、記憶部220は、管理アプリケーション222と、デバイス情報が登録されたデータベース224と、を記憶する。制御部210は、演算処理を実行するCPUと、各種プログラムを記憶するROMと、作業領域としてのRAMと、により構成される。記憶部220は、例えば、ハードディスクで構成されている。記憶部220に記憶されるデータベース224には、制御部210がネットワークシステム100に含まれる各デバイスと通信して所定のデバイス情報を取得した際に取得されたデバイス情報が、登録される。デバイス情報については、後述する。
【0025】
また、管理装置200は、キーボード及びマウスを含み、プログラムの実行に用いられる各種データの入力インターフェース(以下、インターフェースを「I/F」という。)としての機能を実現する操作部230を備える。さらに、管理装置200は、各種情報を表示する表示部240と、ネットワーク400への接続I/FとしてのネットワークI/F250と、を備える。
【0026】
制御部210を構成するCPUが、例えば、操作部230を介して入力されたデータと、ネットワークI/F250を用いて取得したデータと、を用いて、管理アプリケーション222等をRAM上で実行することにより、各種処理が実行される。これによって各種機能手段(例えば、デバイス判断手段、使用プロトコル決定手段、通信手段)が実現される。
【0027】
次に、複合機300Aについて説明する。なお、複合機300B,300C,300Dは、複合機300Aと同様の構成を有するため、その説明を省略する。複合機300Aは、自装置の制御を司る制御部310と、MIB(Management Information Base)322を記憶する記憶部320と、を備える。ここで、制御部310は、例えば、演算処理を実行するCPUと、各種プログラムを記憶するROMと、作業領域としてのRAMと、により構成される。記憶部320は、例えば、不揮発性のメモリ(例えば、EEPROM)又はハードディスクによって構成されている。MIB322は、SNMPを用いた管理の対象であるデバイス情報が登録されたデータベースである。
【0028】
また、複合機300Aは、プリント機能とコピー機能とファクシミリ機能との実行に用いられる印刷部330と、原稿載置部(図示を省略)に置かれた原稿をスキャンするスキャナ部340と、公衆回線網に接続されてファクシミリ機能を実現するファックス(FAX)部350と、を備える。さらに、複合機300Aは、データの入力I/Fとしての機能を実現する操作部360と、各種情報を表示する表示部370と、ネットワーク400への接続I/FとしてのネットワークI/F380と、を備える。操作部360は、例えば、方向キー、文字入力が可能なテンキーボード及び確定ボタン等により構成される。
【0029】
制御部310を構成するCPUがROMに記憶されるプログラムを実行することによって、各種処理が実行され、各種機能手段が実現される。その際、RAMには、各種データ、例えば、ネットワークI/F380が受信したデータ等が入力され、保持される。CPUは、これらデータを用いた処理を実行するためにRAMにアクセスする。例えば、制御部310は、MIB322内に登録されたデバイス情報の取得要求(Get Request)に対して、取得要求で指定されたOID(Object ID)に対応するデバイス情報を、要求元のデバイス(例えば、管理装置200)に送信する(Get Response)。また、制御部310は、MIB322に登録されたデバイス情報の設定要求(Set Request)に対して、設定要求で指定されたOIDに対応するデバイス情報を、設定要求に含まれる新たなデバイス情報に変更する。そして、制御部310は、その結果を要求元のデバイスに送信する(Get Response)。
【0030】
SNMPv1及びSNMPv3の両プロトコルに対応したデバイスを、以下では「SNMPv3対応機」と呼ぶ。SNMPv3対応機は、次の第1ないし第3の動作モードに設定可能である。
【0031】
第1モードは、「SNMPv1−R/W(Read Write)」モードである。SNMPv3対応機は、この第1モードに設定されている場合、SNMPv3での取得要求及び設定要求には、全て応答することができない。しかしながら、SNMPv1での取得要求及び設定要求には、SNMPv1に関するデバイス情報についてのみ応答することができる(詳細については、図2に基づき後述する)。
【0032】
第2モードは、「SNMPv3−R/W」モードである。SNMPv3対応機は、この第2モードに設定されている場合、SNMPv3での取得要求及び設定要求には、全て応答することができる。しかしながら、SNMPv1での取得要求及び設定要求については、全て応答することができない。
【0033】
第3モードは、「SNMPv3−R/W+SNMPv1−R/O(Read only)」モードである。SNMPv3対応機は、この第3モードに設定されている場合、SNMPv3での取得要求及び設定要求には、全て応答することができる。また、SNMPv1での取得要求には、SNMPv1に関するデバイス情報についてのみ応答可能であるが、SNMPv1での設定要求には、全て応答することができない。
【0034】
ここで、各動作モードの設定は、排他的に行われる。すなわち、第1モードと第2モードと第3モードとは重複して設定されない。なお、SNMPv3に対応できず、SNMPv1にのみ対応できるSNMPv3非対応機(SNMPv1対応機)は、SNMPv3対応機が第1モードに設定されている場合と同様に、SNMPv1での取得要求及び設定要求には、全て対応することができる。
【0035】
以下では、複合機300Aは、第1モードに設定されたSNMPv3対応機として説明する。また、複合機300Bは、第2モードに設定されたSNMPv3対応機、複合機300Cは、第3モードに設定されたSNMPv3対応機として説明する。さらに、複合機300Dは、SNMPv3非対応機(SNMPv1対応機)として説明する。
【0036】
図2は、SNMPv3対応機に登録され得るデバイス情報と動作モードとの関係を示す図である。なお、これらデバイス情報はMIB322に登録されている。図2に示す各デバイス情報の詳細については、その説明を省略する。
【0037】
第1モード(SNMPv1−R/W)に設定された複合機300Aが、例えば、管理装置200からSNMPv1による取得要求及び設定要求を受信した場合、複合機300Aは、領域(a−c)のデバイス情報を、換言すれば、領域aに含まれるデバイス情報から領域cに含まれるデバイス情報を除いたデバイス情報を回答し、変更することができる。例えば、複合機300Aは、プリンタネーム(PrinterName)の問い合わせ(取得要求)に対し、複合機300Aのプリンタネームを回答する。また、短縮ダイアル(SpeedDial)の変更(設定要求)に対し、短縮ダイアルを変更する。なお、複合機300Aは、SNMPv3での取得要求及び設定要求には、全て応答せず、また、SNMPv1による取得要求及び設定要求であったとしても、領域c内のデバイス情報、例えば、「SNMPv3 UserName」については回答及び変更の処理を行わない。
【0038】
また、第2モード(SNMPv3−R/W)に設定された複合機300Bが、例えば、管理装置200からSNMPv3による取得要求及び設定要求を受信した場合、複合機300Bは、デバイス情報として、領域aに含まれるすべてのデバイス情報を回答し、変更することができる。例えば、複合機300Bは、領域b内の複合機300Bの機能制限に関する管理者パスワード(FuncLockAdminPassword)の問い合わせ(取得要求)に対し、MIB322に登録された管理者パスワードを回答する。また、領域c内のキータイプ(SNMPv3 KeyTypel)の変更(設定要求)に対し、これを変更する。なお、複合機300Bは、SNMPv1での取得要求及び設定要求には、全て応答しない。
【0039】
さらに、第3モード(SNMPv3−R/W+SNMPv1−R/O)に設定された複合機300Cが、例えば、管理装置200からSNMPv3による取得要求及び設定要求を受信した場合、複合機300Cは、上述の複合機300Bと同じ応答を実行する。また、SNMPv1による取得要求を受信し、この取得要求が領域(a−b)に含まれるデバイス情報(図2の記載に基づけばプリンタネーム)に関する場合、複合機300Cのこのデバイス情報(プリンタネーム)を回答する。これに対し、SNMPv1による取得要求が、例えば、領域bに含まれるデバイス情報に関する場合、複合機300Cは、取得要求に対して、MIB322内に取得要求に関するデバイス情報は登録されていない旨を回答する。これは、領域bには、セキュリティの確保に関するデバイス情報(例えば、Password)が含まれていることに基づき、セキュリティが確保されていないSNMPv1による取得要求には応じない構成を採用しているためである。なお、第3モードは、SNMPv1−R/O(Read Only)であるため、複合機300Cは、SNMPv1による設定要求については応答しない。
【0040】
(通信制御処理)
図3に、通信制御処理のフローを示す。この通信制御処理は、管理装置200の制御部210によって管理アプリケーション222が実行されている途中、所定の入力がなされたときに、管理アプリケーション222の処理の一部として実行される処理である。なお、管理アプリケーション222は、例えば、管理装置200の起動とともに、起動する。また、操作部230を介した起動指示に基づき起動する。管理アプリケーション222が起動したとき、制御部210は、表示部240に管理画面を表示する。
【0041】
図4は、表示部に表示される管理画面500を示す。管理画面500は、ネットワークシステム100に含まれる複合機300A,300B,300C,300Dの各デバイスの、ノードネーム(Node Name/図2においてプリンタネーム)と、機種名(Model Name)と、ステータス(Device Status)と、IPアドレス(IP Address)と、設置場所(Location)と、管理者(Contact)と、を含む。また、管理画面500は、表示された内容を更新する際に押下する更新ボタン510を含む。更新ボタン510が押下された場合、制御部210は、例えば、再上段に表示された複合機300Aから順次4台のデバイスと通信し、複合機300A等から取得した各デバイス情報をデータベース224に登録し、登録されたデバイス情報に基づき管理画面500の表示内容を更新する。ユーザは、操作部230を構成するマウス等を操作し、表示されたデバイスの少なくとも1台を選択することができる。制御部210は、少なくとも1台のデバイスが選択された状態で、選択確定の指示(例えば、ユーザがマウスをダブルクリック)をしたとき、選択されたデバイス各々と通信し、取得したデバイス情報をデータベース224に登録する。そして、制御部210は、デバイス情報が登録されたデータベース224に基づき、管理画面500の表示内容を更新する。
【0042】
図5は、各デバイス情報が登録されたデータベース224を示す。データベース224は、図4に示す管理画面500に表示される各項目の他、前回接続情報(GET)と、前回接続情報(SET)と、動作モードと、SNMPv3対応スペック(図5において「V3対応」と記載)と、を含む。ここで、前回接続情報(GET)は、対象デバイスに対し、前回実行した取得要求で通信に成功したプロトコルを登録するフィールドである。例えば、IPアドレス「192.168.0.10」が付されたノード名「MFP300A(複合機300A)」に対し、前回実行した取得要求で通信に成功したプロトコルはSNMPv1である。
【0043】
また、前回接続情報(SET)は、対象デバイスに対し、前回実行した設定要求で通信に成功したプロトコルを登録するフィールドである。例えば、IPアドレス「192.168.0.11」が付されたノード名「MFP300B(複合機300B)」に対し、前回実行した設定要求で通信に成功したプロトコルは、SNMPv3である。
【0044】
さらに、SNMPv3対応スペック(図5の「V3対応」)は、対象デバイスがSNMPv3対応機であるか否かを登録するフィールドである。例えば、IPアドレス「192.168.0.12」が付されたノード名「MFP300C(複合機300C)」は、SNMPv3対応機であるため、v3対応「有」が登録されている。また、IPアドレス「192.168.0.13」が付されたノード名「MFP300D(複合機300D)」は、SNMPv3非対応機(SNMPv1対応機)であるため、v3対応「−」が登録されている。
【0045】
なお、複合機300DのようなSNMPv1対応機では、前回接続情報(GET)と前回接続情報(SET)と動作モードとはデータベース224に登録されない構成を採用することもできる。以下に示す処理において、使用されないためである。
【0046】
先ず、制御部210は、ユーザが操作部230を介して選択した通信の対象である対象デバイス(図1に基づけば、複合機300A,300B,300C,300D)のIPアドレスを、データベース224から取得し、これを宛先アドレスとして指定する(S100)。なお、例えば、管理アプリケーション222を記憶部220にインストールし、最初に起動したような初期状態では、データベース224にデバイス情報が登録されていない。このような場合、制御部210は、S100において、所定のアドレス範囲内で、個々のIPアドレスを順次指定し、指定したIPアドレスを宛先として通信(ユニキャスト(unicast)通信)し、データベース224に、このユニキャスト通信によって取得したデバイス情報を新規に登録する。
【0047】
次に、制御部210は、S100で指定したIPアドレスに基づき、通信プロトコル決定処理を実行する(S102)。通信プロトコル決定処理では、使用すべきプロトコルや、使用すべきプロトコルの優先順位が決定される。なお、通信プロトコル決定処理については、さらに後述する。
【0048】
制御部210は、S102の処理で決定された第1番目のプロトコルについて判断する(S104)。判断の結果、第1番目のプロトコルとして通信不可能が決定されていた場合(S104:なし)、制御部210は、指定されたIPアドレスの対象デバイスとは通信できないとして、図3の処理を終了する。また、判断の結果、第1番目のプロトコルとしてSNMPv1が決定されていた場合(S104:V1)、制御部210は、ネットワークI/F250を制御し、指定されたIPアドレスを宛先としてSNMPv1による通信を実施し(S106)、処理をS110に移行する。さらに、判断の結果、第1番目のプロトコルとしてSNMPv3が決定されていた場合(S104:V3)、制御部210は、指定されたIPアドレスを宛先としてSNMPv3による通信を実施し(S108)、処理をS110に移行する。
【0049】
S110では、制御部210は、S106又はS108の通信が成功したか否かを判断する。そして、通信が成功したと判断された場合(S110:Yes)、制御部210は図3の処理を終了する。一方、通信に失敗した判断された場合(S110:No)、制御部210は、S102の処理で決定された第2番目のプロトコルについて判断する(S112)。判断の結果、第2番目のプロトコルとして通信不可能が決定されていた場合(S112:なし)、制御部210は、指定されたIPアドレスの対象デバイスとは通信できないとして、図3の処理を終了する。また、判断の結果、第2番目のプロトコルとしてSNMPv1が決定されていた場合(S112:V1)、制御部210は、ネットワークI/F250を制御し、指定されたIPアドレスを宛先としてSNMPv1による通信を実施し(S114)、処理をS118に移行する。さらに、判断の結果、第2番目のプロトコルとしてSNMPv3が決定されていた場合(S112:V3)、制御部210は、指定されたIPアドレスを宛先としてSNMPv3による通信を実施し(S116)、処理をS118に移行する。
【0050】
S118では、制御部210は、S114又はS116の通信が成功したか否かを判断する。そして、通信が成功したと判断された場合(S118:Yes)、制御部210は図3の処理を終了する。一方、通信に失敗したと判断された場合(S118:No)、制御部210は、指定されたIPアドレスの対象デバイスとは通信できないとして、図3の処理を終了する。
【0051】
なお、例えば、ユーザが選択した対象デバイスが複数台あって、S100で複数のIPアドレスが指定された場合、又は、ユニキャスト通信が実行され、S100で複数のIPアドレスが指定される場合、図3の通信制御処理は、各IPアドレスについての処理が終了する毎に、繰り返し実行される。
【0052】
(通信プロトコル決定処理)
図6に、図3のS102で実行される通信プロトコル決定処理のフローを示す。
【0053】
制御部210は、先ず、この通信プロトコル決定処理を含む通信制御処理を実行するための管理アプリケーション222に設定されたモードを取得し、取得された管理アプリケーションモードが、SNMPv1のみ有効であるモードか、SNMPv3のみ有効であるモードか、両方が有効であるモードであるかを判断する(S200)。
【0054】
S200で管理アプリケーションモードがSNMPv1のみ有効であるモードであると判断された場合(S200:V1のみ有効)、制御部210は、通信に使用するプロトコルの優先順位として第1番目をSNMPv1に決定する(S202)。なお、S202では、制御部210は、第2番目のプロトコルを決定しない。換言すれば、制御部210は、第2番目のプロトコル「なし」に決定する。このモードでは、管理アプリケーション222がSNMPv1を用いて、セキュリティを必要としない管理を行う状態に設定されているためである。
【0055】
また、S200で管理アプリケーションモードがSNMPv3のみ有効であるモードであると判断された場合(S200:V3)、制御部210は、S100で指定されたIPアドレスに一致するIPアドレスが登録されたデータベース224内のレコードから、SNMPv3対応スペック(図5)を取得する。そして、このIPアドレスが設定された対象デバイスが、SNMPv3対応機であるか否かを判断する(S204)。判断の結果、SNMPv3非対応機である場合(S204:V3非対応機)、制御部210は、処理をS206に移行する。また、SNMPv3対応機である場合(S204:V3対応機又は対応情報なし)、処理をS208に移行する。なお、制御部210は、指定されたIPアドレスに一致するIPアドレスがデータベース224内に登録されていない場合、SNMPv3対応機と判断する(S204:V3対応機又は対応情報なし)。例えば、上述したような、管理アプリケーション222がインストールした直後の初期状態である場合、過去に、図3及び図6の処理は実行されていない。この場合、データベース224には指定されたIPアドレスに対応するレコードが登録されておらず、「対応情報なし」と判断される。
【0056】
S206では、SNMPv3のみが有効に設定された管理アプリケーション222からは、SNMPv3非対応機(SNMPv1対応機)である対象デバイスとは通信することができないので、制御部210は、第1番目及び第2番目のプロトコルを「なし」に決定する。例えば、複合機300Dに対しては、このような判断及び決定がされる。また、S208では、制御部210は、通信に使用するプロトコルの優先順位として第1番目をSNMPv3に決定し、第2番目のプロトコルを「なし」に決定する。例えば、SNMPv3対応機である複合機300A〜300Cに対しては、このような判断及び決定がされる。この管理アプリケーションのモードでは、管理アプリケーション222がSNMPv3を用いて、セキュリティを必要とする管理を行う状態に設定されているためである。なお、複合機300Aに対してもこの判断及び決定がなされるのは、過去に第1モード(SNMPv1−R/W)に設定されていた複合機300Aの動作モードが、他のモード(すなわち、第2モード,第3モード)に変更されている可能性があるためである。
【0057】
さらに、S200で管理アプリケーションモードがSNMPv1及びSNMPv3の両方が有効であると判断された場合(S200:V1とV3両方有効)、制御部210は、データベース224から、指定されたIPアドレスで特定される対象デバイスのSNMPv3対応スペックを取得し、指定されたIPアドレスで特定される対象デバイスが、SNMPv3対応機であるか否かを判断する(S210)。
【0058】
S210で、指定されたIPアドレスに一致するIPアドレスがデータベース224内に登録されていないと判断される場合(S210:対応情報なし)、制御部210は、通信に使用するプロトコルの優先順位として第1番目をSNMPv1とし、第2番目をSNMPv3に決定する(S212)。SNMPv1を第1番目とするのは、広く普及しているSNMPv1を優先するためである。なお、上述した初期状態である場合、S210で「対応情報なし」と判断される。すなわち、初期状態から、図3及び図6の処理が初めて実行される場合、指定されたIPアドレスに対応するレコードは、データベース224内に未だ登録されておらず、したがって、「対応情報なし」と判断される。
【0059】
また、S210において、S100で指定されたIPアドレスで特定される対象デバイスがSNMPv3非対応機(SNMPv1対応機)であると判断された場合(S210:V3非対応機)、制御部210は、通信に使用するプロトコルの優先順位として第1番目をSNMPv1とし、第2番目のプロトコルを「なし」に決定する(S214)。例えば、SNMPv1対応機である複合機300Dは、このような判断及び決定がされる。
【0060】
さらに、S210において、S100で指定されたIPアドレスで特定される対象デバイスがSNMPv3対応機であると判断された場合(S210:V3対応機)、制御部210は、データベース224内の対応するレコードから、前回接続情報を取得し、前回の接続状態を判断する(S216)。S216では、制御部210は、今回の通信の種類を判断する。具体的には、制御部210は、今回の通信が取得要求又は設定要求のいずれであるかを判断し、この判断結果に対応する通信の種類に応じた前回接続情報を取得する。例えば、今回の通信が取得要求である場合、制御部210は、データベース224の「前回接続情報(GET)」が登録されたフィールドから前回接続情報を取得する。これに対し、今回の通信が設定要求である場合、制御部210は、データベース224の「前回接続情報(SET)」が登録されたフィールドから前回接続情報を取得する。
【0061】
S216で、データベース224内に、今回の通信の種類に応じた前回接続情報が登録されていないと判断される場合(S216:前回接続情報なし)、制御部210は、通信に使用するプロトコルの優先順位として第1番目をSNMPv1とし、第2番目をSNMPv3に決定する(S218)。SNMPv1を優先する理由については、S212と同一である。なお、例えば、取得要求に関する通信は過去に実行されたことがあるが、設定要求に関する通信は過去に実行されたことがないような場合、データベース224の対応するレコードの「前回接続情報(GET)」には図5に示すようにSNMPv1またはSNMPv3が登録済みの状態であるが、「前回接続情報(SET)」には、SNMPv1またはSNMPv3が未登録の状態である。このような状態において、今回の通信が設定要求である場合、S216で制御部210は、「前回接続情報なし」と判断する。また、S216で、データベース224に、今回の通信の種類に応じた前回接続情報としてSNMPv3が登録されていると判断される場合(S216:前回V3)、制御部210は、通信に使用するプロトコルの優先順位として、第1番目をSNMPv3とし、第2番目をSNMPv1に決定する(S220)。これは、前回の通信と同一のプロトコルにて通信を試みるためである。
【0062】
さらに、S216で、データベース224に、今回の通信の種類に応じた前回接続情報としてSNMPv1が登録されていると判断される場合(S216:前回V1)、制御部210は処理をS222に移行する。そして、S222では、制御部210は、指定されたIPアドレスで特定される対象デバイスの動作モードを、データベース224に登録された「動作モード」に基づき判断する(S222)。判断の結果、対象デバイスの動作モードが第1モード(SNMPv1−R/W)である場合(S222:V1)、制御部210は、通信に使用するプロトコルの優先順位として第1番目をSNMPv1とし、第2番目をSNMPv3に決定する(S224)。なお、第2番目をSNMPv3に決定するのは、対象デバイスの動作モードが、他の管理アプリケーション等によって、前回の通信以降に、第1モード以外のモード(第2モード又は第3モード)に変更されている可能性があるためである。
【0063】
これに対し、動作モードが第3モード(SNMPv3−R/W+SNMPv1−R/O)である場合(S222:V3+V1 Read Only)、制御部210は、通信に使用するプロトコルの優先順位として第1番目をSNMPv3とし、第2番目をSNMPv1に決定する(S226)。上述したとおり、第3モードに設定されている対象デバイスは、例えば、SNMPv1による取得要求を受信した場合、取得要求に関するデバイス情報が登録されていないと回答してしまう。具体的には、第3モードに設定された複合機300CがSNMPv1による取得要求を受信した場合、取得要求に関する特定のデバイス情報が図2に示す領域bに含まれる情報であれば、複合機300Cは、MIB322内に、取得要求に関する特定のデバイス情報が登録されていないと回答してしまう。そこで、この通信プロトコル決定処理では、S222が「V3+V1 Read Only」であると判断された場合、かかる通信による取得要求又は設定要求に対する取得又は設定の不可の誤判断を防止するため、第1番目のプロトコルをSNMPv3に決定する構成を採用している。
【0064】
なお、S202,S206,S208,S212,S214,S218,S220,S224及びS226を実行した後、制御部210は、この通信プロトコル決定処理を終了し、図3の通信制御処理のS104に処理を移行する。
【0065】
(本実施形態の構成による有利な効果)
本実施形態の構成によれば、管理装置200の制御部210は、通信の対象デバイス各々(複合機300A,300B,300C,300D)に、取得要求または設定要求を送信するに際し、対象デバイスとの通信に優先的に使用されるべきプロトコルを決定し(図3のS102。詳細は、図6のS220,S224等)、決定したプロトコルにしたがい、取得要求又は設定要求を送信する(図3のS106,108,S114,S116)。そのため、不要な通信を減少することができる。この点について、さらに、図7と図8とを用いて説明する。
【0066】
図7は、比較構成に基づく通信を示すものである。なお、比較構成において、管理装置700は、対象デバイス(複合機300A,300B,300C,300D)に対して、先ず、SNMPv1による通信を試みると仮定する。また、以下では、管理装置700から送信されるデータが取得要求であるとして説明する。
【0067】
管理装置700の制御部は、第1モード(SNMPv1−R/W)に設定された複合機300Aに、SNMPv1による取得要求を送信する。複合機300Aは、この取得要求を受信し、取得要求で指定されたOIDに対応するデバイス情報を、管理装置700を宛先として送信する。なお、管理装置700と複合機300Aとの間の通信を示す両矢の矢印は、この通信が成功したことを示すものである(以下、同じ)。
【0068】
次に、管理装置700の制御部は、第2モード(SNMPv3−R/W)に設定された複合機300Bに、SNMPv1による取得要求を送信する。複合機300Bは、この取得要求を受信するが、SNMPv1による要求であるため、これに対する応答を実行しない。制御部は、取得要求を送信後、所定の時間、待機し、その後、所定の時間が経過するとタイムアウトと判断する(図7に記載の「×」参照。)。その後、制御部は、複合機300Bに、SNMPv3による取得要求を再送信する。SNMPv3による取得要求を受信した複合機300Bは、これを受信し、受信した取得要求で指定されたOIDに対応するデバイス情報を、管理装置700を宛先として送信する。このように、管理装置700の制御部と複合機300Bとの間では、複合機300Bが応答することできないSNMPv1による通信が無駄に実行されてしまう。
【0069】
次に、管理装置700の制御部は、第3モード(SNMPv3−R/W+SNMPv1−R/O)に設定された複合機300Cに、SNMPv1による取得要求を送信する。複合機300Cは、この取得要求を受信し、受信した取得要求が応答可能なデバイス情報(すなわち図2の領域(a−b)内のデバイス情報(例えばプリンタネーム))に関するものであれば、指定されたOIDに対応するデバイス情報を、管理装置700を宛先として送信する。しかし、取得要求が、応答不可のデバイス情報(すなわち図2の領域b内のデバイス情報)であれば、指定されたデバイス情報が登録されているか否かに関わらず、指定されたデバイス情報が登録されていない旨を回答してしまう。
【0070】
このような回答を複合機300Cから受信した場合、管理装置700の制御部は、SNMPv3で取得要求を行うことによって複合機300Cからデバイス情報を取得できるのか否かを、判断することができない。仮に、SNMPv3による取得要求を行い、デバイス情報を取得することができたとしても、最初の通信は不要な通信である。また、実際、複合機300CのMIB322に登録されていないデバイス情報に関する取得要求であれば、SNMPv3による通信も不要な通信となる。なお、設定要求である場合、最初になされるSNMPv1による通信は、失敗し、不要な通信となる。
【0071】
最後に、管理装置700の制御部は、SNMPv3非対応機(SNMPv1対応機)である複合機300Dに、SNMPv1による取得要求を送信する。複合機300Dは、この取得要求を受信し、取得要求で指定されたOIDに対応するデバイス情報を、管理装置700を宛先として送信する。
【0072】
次に、本実施形態の構成に基づく通信を、図8に基づき説明する。本実施形態の構成において、管理装置200の制御部210は、上述したとおり、データベース224の登録内容に基づき、各対象デバイスとの通信に用いるプロトコルの優先順位を決定する。
【0073】
具体的には、第1モード(SNMPv1−R/W)に設定された複合機300Aに対しては、第1番目のプロトコルとして、SNMPv1を決定し(例えば、図6のS224参照)、これによる通信を実行する(図3のS106参照)。
【0074】
次に、第2モード(SNMPv3−R/W)に設定された複合機300Bに対しては、第1番目のプロトコルとして、SNMPv3を決定し(例えば、図6のS220参照)、これによる通信を実行する(図3のS108)。この場合、制御部210は、1度の通信で、第2モードに設定された複合機300Bからデバイス情報を取得することができる。
【0075】
次に、第3モード(SNMPv3−R/W+SNMPv1−R/O)に設定された複合機300Cに対しては、第1のプロトコルとして、SNMPv3を決定し(例えば、図6のS226参照)、これによる通信を実行する(図3のS108)。
【0076】
最後に、SNMPv3非対応機(SNMPv1対応機)である複合機300Dに対しては、第1番目のプロトコルとして、SNMPv1を決定し(例えば、図6のS214参照)、これによる通信を実行する(図3のS106参照)。
【0077】
このように、本実施形態の構成によれば、管理装置200の制御部210と対象デバイスとの間で、対象デバイスが応答できない通信が実行されることを防止(減少)することができる。
【0078】
(本発明と本実施形態の対応)
本実施形態の管理装置200が、本発明の管理装置に対応する。また、本実施形態の第1モードに設定されたSNMPv3対応機である複合機300Aが、本発明の第1モードの第2種のデバイスに対応する。第2モードに設定されたSNMPv3対応機である複合機300Bが、本発明の第2モードの第2種のデバイスに対応する。第3モードに設定されたSNMPv3対応機である複合機300Cが、本発明の第3モードの第2種のデバイスに対応する。そして、本実施形態のSNMPv1対応機である複合機300Dが、本発明の第1種のデバイスに対応する。
【0079】
また、図6のS210が、本発明のデバイス判断手段によって実行される処理に対応する。また、図6のS212とS214とS220とS224とS226とが、本発明の使用プロトコル決定手段によって実行される処理に対応する。さらに、図6のS216が、本発明の処理判断手段によって実行される処理に対応する。なお、本明細書において「SNMPv1」は、SNMPv1の他、SNMPv1/v2cを含む意味である。
【符号の説明】
【0080】
200 管理装置
210 制御部
220 記憶部
222 管理アプリケーション
224 データベース
250 ネットワークI/F
300A,300B,300C,300D 複合機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プロトコルに対応可能であり第2プロトコルに対応不能な第1種のデバイスと、前記第1プロトコル及び前記第2プロトコルに対応可能な第2種のデバイスであって、前記第1プロトコルで通信可能であり前記第2プロトコルで通信不能な第1モードと、前記第2プロトコルで通信可能であり前記第1プロトコルで通信不能な第2モードと、を含む複数の動作モードのうちのいずれかに設定されている前記第2種のデバイスと、を管理するための管理装置であって、
今回の通信の対象である対象デバイスが、前記第1種のデバイスであるか、前記第2種のデバイスであるか、を判断するデバイス判断手段と、
前記デバイス判断手段によって前記対象デバイスが前記第2種のデバイスであると判断される場合に、前記対象デバイスとの前回の通信の際に使用されたプロトコルを確認し、前記対象デバイスとの前記今回の通信を試みるために使用されるべきプロトコルの優先順位を決定する使用プロトコル決定手段と、
前記使用プロトコル決定手段によって決定されたプロトコルの優先順位にしたがって、前記対象デバイスとの通信を試みる通信手段と、を備え、
前記使用プロトコル決定手段は、
前記前回の通信が前記第2プロトコルを使用して実行された場合には、前記プロトコルの優先順位を、前記第2プロトコル、前記第1プロトコルの順序に決定し、
前記前回の通信が前記第1プロトコルを使用して実行された場合には、前記プロトコルの優先順位を、前記第1プロトコル、前記第2プロトコルの順序に決定することを特徴とする管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の管理装置であって、さらに、
前記今回の通信で、前記対象デバイスに情報を設定するか、前記対象デバイスから情報を取得するか、を判断する処理判断手段を備え、
前記使用プロトコル決定手段は、前記対象デバイスに情報が設定される場合には、前記対象デバイスに情報を設定するための前記前回の通信の際に使用されたプロトコルを確認し、前記対象デバイスから情報が取得される場合には、前記対象デバイスから情報を取得するための前記前回の通信の際に使用されたプロトコルを確認することを特徴とする管理装置。
【請求項3】
前記使用プロトコル決定手段は、さらに、
前記前回の通信の際に使用されたプロトコルを確認できない場合には、前記プロトコルの優先順位を、前記第1プロトコル、前記第2プロトコルの順序に決定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記複数の動作モードは、前記第1モードと、前記第2モードと、前記第1プロトコル及び前記第2プロトコルで通信可能な第3モードと、を含んでおり、
前記使用プロトコル決定手段は、さらに、
前記前回の通信が前記第1プロトコルを使用して実行された場合に、前記対象デバイスの動作モードを判断し、
前記動作モードが前記第1モードである場合には、前記プロトコルの優先順位を前記第1プロトコル、前記第2プロトコルの順序に決定し、
前記動作モードが前記第3モードである場合には、前記優先順位を前記第2プロトコル、前記第1プロトコルの順序に決定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項5】
前記使用プロトコル決定手段は、前記対象デバイスが前記第1種のデバイスであると判断される場合に、前記対象デバイスとの前記今回の通信を試みるために使用されるべきプロトコルを、前記第1プロトコルに決定することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項6】
前記使用プロトコル決定手段は、前記対象デバイスが第1種のデバイスであるか第2種のデバイスであるか不明であると判断される場合に、前記対象デバイスとの前記今回の通信を試みるために使用されるべきプロトコルの優先順位を、前記第1プロトコル、前記第2プロトコルの順序に決定することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項7】
前記デバイス判断手段は、前記対象デバイスとの通信毎に、前記対象デバイスが、前記第1種のデバイスであるか、前記第2種のデバイスであるか、を判断することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項8】
前記第1プロトコルと前記第2プロトコルとは、バージョンが異なるSNMPであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項9】
前記第1プロトコルは、SNMPv1であり、前記第2プロトコルは、SNMPv3であることを特徴とする請求項8に記載の管理装置。
【請求項10】
第1プロトコルに対応可能であり第2プロトコルに対応不能な第1種のデバイスと、前記第1プロトコル及び前記第2プロトコルに対応可能な第2種のデバイスであって、前記第1プロトコルで通信可能であり前記第2プロトコルで通信不能な第1モードと、前記第2プロトコルで通信可能であり前記第1プロトコルで通信不能な第2モードと、を含む複数の動作モードのうちのいずれかに設定されている前記第2種のデバイスと、を管理するための管理装置が読み取り可能なコンピュータプログラムであって、
前記管理装置を、
今回の通信の対象である対象デバイスが、前記第1種のデバイスであるか、前記第2種のデバイスであるか、を判断するデバイス判断手段と、
前記デバイス判断手段によって前記対象デバイスが前記第2種のデバイスであると判断される場合に、前記対象デバイスとの前回の通信の際に使用されたプロトコルを確認し、前記対象デバイスとの前記今回の通信を試みるために使用されるべきプロトコルの優先順位を決定する使用プロトコル決定手段と、
前記使用プロトコル決定手段によって決定されたプロトコルの優先順位にしたがって、前記対象デバイスとの通信を試みる通信手段と、して機能させ、
前記使用プロトコル決定手段は、
前記前回の通信が前記第2プロトコルを使用して実行された場合には、前記プロトコルの優先順位を、前記第2プロトコル、前記第1プロトコルの順序に決定し、
前記前回の通信が前記第1プロトコルを使用して実行された場合には、前記プロトコルの優先順位を、前記第1プロトコル、前記第2プロトコルの順序に決定する機能を含むコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−181965(P2010−181965A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22874(P2009−22874)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】