説明

管継ぎ手及び管の接続方法

【課題】 その外周に螺旋状凹凸条を有する螺旋管を接続するための管継手において、簡単な接続操作で螺旋管の接続が完了し、止水性能の信頼性も高い管継ぎ手、および管の接続方法を提供する。
【解決手段】 円筒状の本体部材2と、本体部材と螺合する円筒状の締付部材3と、締付部材の締め込み操作によって本体部材と締付部材との間で圧縮される止水部材4とで管継ぎ手を構成し、前記本体部材または前記締付部材の少なくとも一方の内周面には、接続される螺旋管5の螺旋状凹凸条と螺合する螺旋状凸条が設けられ、前記止水部材4は、リング状に形成された弾性部材41と、弾性部材の周囲に配設された吸水膨張性不織布42とを含み、前記吸水膨張性不織布42が、螺旋管外周と弾性部材との間ならびに、本体部材もしくは締付部材と弾性部材との間にわたって配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば地中に埋設される光ケーブル等の保護管や橋梁等に使用されるケーブル保護シース管同士を接続するのに使用される管継ぎ手、特に吸水膨張性を有する不織布素材を使用した管継ぎ手に関する。
【背景技術】
【0002】
このような管継ぎ手やその製造方法について、特許文献1に開示されたようなものが知られている。特許文献1には、図6に示すような、接続する管の外表面の螺旋状の凹凸に螺合し、継ぎ手内周面が吸水膨張性不織布4’で外周面側が合成樹脂であるような積層構造に成形一体化された管継ぎ手が開示されている。このような管継ぎ手は、接続する管の端部に管継ぎ手をねじ込む操作をすることで、管との接続が完了すると共に、内面に設けられた吸水膨張性不織布の作用により、接続部に水が来た際には、吸水膨張不織布が膨張して接続部の隙間を封止して接続部の止水性を発揮するものである。
【0003】
また、特許文献2には、管継手に関して、パッキン輪を管継手本体と押輪との間で締め付けて管の外面に密着させて管を接続する管継手構造が開示されている。
【特許文献1】特開2006−26899号公報
【特許文献2】特開2005−36932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記管継ぎ手においては、以下のような課題があった。
特許文献1に示される管継手においては、螺旋管を管継手に対して螺入することによりその接続を行うが、管継手内面の吸水膨張性不織布と螺旋管の外面との間のクリアランスが小さければその接続操作が難しく煩雑なものとなってしまう一方、クリアランスが大きすぎれば吸水膨張性不織布の膨張によってその隙間を充分に埋める事ができなくなり管継手の止水性の信頼性が低下する虞があった。また、管と管を接続する操作は、管継手のねじ込み工程とねじ戻し工程を伴うものであり、特にねじ戻し工程が難易度の高い煩雑な工程であった。
【0005】
また、特許文献2に示される管継手においては、管の外表面に螺旋状の凹凸条が設けられた螺旋管に適用しようとすると、パッキン輪の柔軟性が必ずしも充分ではなく、螺旋管の複雑な外表面へのパッキン輪の密着が不十分となったり、押輪や管継手本体との摩擦によってパッキン輪がずれたり切れたりして、止水性の信頼性が低下する虞があった。また、特許文献2に示される管継手においては、パッキン輪を押圧する押輪を複数のボルトにより締め付ける必要があり、その接続操作は煩雑なものであった。
【0006】
したがって、本発明は、簡単な接続操作で螺旋管との接続が完了し、止水性能の信頼性も高い管継ぎ手、および管の接続方法提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者は、鋭意検討の結果、締付操作により弾性変形可能な止水部材を管継手に備えさせるとともに、止水部材を弾性部材と吸水膨張性不織布とを組み合わせて構成すると、上記課題が解決できることを知見し、本発明を完成させた。
【0008】
本発明は、円筒状の本体部材と、本体部材と螺合する円筒状の締付部材と、締付部材の締め込み操作によって本体部材と締付部材との間で管継手軸方向に圧縮される止水部材とを有し、その外周面に螺旋状凹凸条を有する螺旋管を接続する管継ぎ手であって、前記本体部材または前記締付部材の少なくとも一方の内周面には、前記螺旋管の螺旋状凹凸条と螺合するような螺旋状凸条が設けられ、前記止水部材は、リング状に形成された弾性部材と、弾性部材の周囲に配設された吸水膨張性不織布とを含み、前記吸水膨張性不織布が、螺旋管外周と弾性部材との間ならびに、本体部材もしくは締付部材と弾性部材との間にわたって配設されていることを特徴とする管継手である。
【0009】
上記管継手において、弾性部材がJISのゴム硬度で5〜30デュロAのエラストマーからなることが好ましく(請求項2)、また、弾性部材が吸水膨張性不織布により包み込まれていることが好ましい(請求項3)。
【0010】
また、上記管継手において、螺旋管の螺旋状凹凸条と螺合する螺旋状凸条は、締付部材の内周面に設けられていることが好ましい(請求項4)。また、本発明は、螺旋管を請求項4に記載の管継手に接続する方法であって、締付部材を螺旋管の螺旋状凹凸条と螺合するように回転させながら、前記螺旋管外周の所定位置までねじ込む工程、止水部材を所定の位置に配置する工程、螺旋管と止水部材と締付部材とを本体部材に連結する工程、締付部材を本体部材に対して回転させて締め付け操作を行い、止水部材を圧縮して、止水部材の吸水膨張性不織布を螺旋管の外周面ならびに本体部材もしくは締付部材に密着させる工程、を有することを特徴とする螺旋管の接続方法である(請求項5)。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、螺旋管の接続の際には、止水部材と螺旋管外周の隙間を比較的大きくしておくことができるので、管を接続する操作が容易となる。また、締付部材を締め付けるという簡単な操作で止水部材が圧縮され、弾性部材によって吸水膨張性不織布が本体部材や螺旋管外周の螺旋状凹凸形状に押し付けられ、密着させられるので、止水性の信頼性を高めることができる。
【0012】
また、請求項2ないし請求項3の構成とした場合には、管継手の止水性をより高めることができる。
【0013】
また、請求項4の管継手の構成とすれば、螺旋管を本体部材に対して回転させることなく接続を行うことが可能となり、管の接続操作をさらに簡便で効率的なものとできる。さらに、請求項5の螺旋管の接続方法によれば、特許文献1に示されるような管継手の接続操作において必要であった、ねじり戻しの作業を廃止することが可能となり、螺旋管の接続操作を簡便で効率的なものとできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の管継ぎ手1を示す部分断面図である。図1では、図の上側を断面図で、図の下側を外観図で示している。本実施形態に示す管継手1は、その外周面に螺旋状に設けられた凹凸条を有する螺旋管5,5を接続するものである。略円筒状の管継ぎ手1は、略円筒状の管継手本体部材2と、その一部が本体部材2の外側に外嵌される略円筒状の締付部材3、3と、本体部材2の端部23と締付部材3との間の空間に配設された止水部材4,4で構成されている。止水部材4は、リング状に形成された弾性部材41の外周面を吸水膨張性不織布42によって包み込んで構成されている。本体部材2は合成樹脂製の略円筒状の部材であり、その内周面中央部には、螺旋管5の末端面と当接してストッパーとなるリング状の突起部22が設けられ、その外周面には、締付部材3の係合部31と螺合する螺旋状の凸条21が設けられている。
【0015】
合成樹脂製の略円筒状の締付部材3は、本体部材2に外嵌し、螺旋状凸条21と螺合可能な内周面形状に形成された係合部31と、その内周面に螺旋管5外周の螺旋状凹凸条と螺合する螺旋状凸条33を有する管固定部32と、係合部31と管固定部32との間を一体に接続すべく略半径方向に延設された立ち上がり部34とを有するように形成されている。本実施形態においては、螺旋管5の螺旋状凹凸条と、締付部材3の管固定部32の螺旋状凸条33、締付部材3の係合部31の内周面螺旋形状、及び本体部材2の螺旋状凸条21とが、同じ螺旋の巻き方向でほぼ同じピッチを有するように設けられている。従って、螺旋管5と本体部材2と締付部材3とを組み付けた状態で、締付部材2を管継手軸周りに回転させることによって、締付部材2を管継手軸方向に移動させることができる。
【0016】
吸水膨張性不織布42によってリング状弾性部材41を包み込んだ止水部材4は、本体部材2の端部23と締付部材3の立ち上がり部34との間に形成された空間に配置されている。締め付けが行われていない状態において、止水部材4の内周面の直径は、螺旋管5の最大外周部の直径よりも大きくなるようになっている。止水部材4を締付部材立ち上がり部34に粘着剤などによって固定することが好ましい。締付部材3を本体部材2に対して締め付けることによって、本体部材端面23と立ち上がり部34との間の空間(間隔)が小さくなり、止水部材4が圧縮されて変形し、吸水膨張性不織布42が弾性部材41によって周囲に押し付けられ、螺旋管5の外周面形状(螺旋状凹凸形状)や本体部材の端面形状になじんだ状態に密着して、管継手の周方向全周にわたってシールラインが形成され、管と管継手が接続・止水される。
【0017】
本発明の管継手に使用される吸水膨張性不織布42とは、不織布素材に吸水膨張性樹脂を担持させた不織布である。吸水膨張性樹脂の担持の形態は、粉末状、繊維状、含浸、コーティングなどの形態とすることができる。吸水膨張性樹脂とは、水分を吸収して膨張する性質を有する樹脂であり、ポリアクリル酸ナトリウム塩を主成分とした樹脂やアルケン(アルキレン)オキサイド変性物を主成分として含む樹脂を例示することができる。特に後者は、海水などのイオン濃度が比較的高い水分に対しても吸水膨張性を発揮するので、塩分の多い使用環境においては後者を使用することが好ましい。
市販されている吸水膨張性樹脂としては、例えば、ランシール(登録商標 東洋紡績株式会社製品)などの繊維状製品が例示できる。アルケン(アルキレン)オキサイド変性物系の吸水膨張性樹脂としては、アクアコーク(登録商標 住友精化株式会社製品)が例示できる。
【0018】
不織布素材を構成する基材繊維は特に限定されるものではないが、合成樹脂繊維であることが好ましく、ポリエステル繊維やナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維などの合成樹脂繊維が使用できる。基材繊維は、ポリプロピレン繊維やポリエチレンテレフタレート(PET)繊維のような親水性に乏しい繊維でもよいが、アクリル繊維、ナイロン繊維のような親水性の繊維であることが望ましい。不織布層に適度な弾力性が得られるよう、不織布の目付けは100〜500g/平方メートルくらいが好ましく、より好ましくは200〜300g/平方メートルが良い。
【0019】
リング状の弾性部材41は、柔軟なエラストマーにより構成することができる。エラストマーとしては、熱可塑性エラストマーやゴムが例示でき、特に柔軟性に富む熱可塑性エラストマーが好ましく使用できる。熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)やオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)が好ましく使用でき、特に、スチレンイソブチレンスチレントリブロック共重合体(SIBS)が好ましい。エラストマーには可塑剤を含有させてもよいが、地中での止水の信頼性を考慮すると可塑剤は極力少なくする、あるいは含有させないことが好ましく、その点でも、SIBSが適している。本実施形態においてはゴム硬度20デュロAのSIBSにより弾性部材41を構成した。弾性部材41に使用するエラストマーのゴム硬度は、JISのゴム硬度で5〜30デュロAであることが好ましく、8〜25デュロAであることがより好ましい。ゴム硬度が30デュロAを超えると、締付部材2を締め付けても、止水部材4が十分に螺旋管5の外周面になじまず、止水性の信頼性が不十分となる虞があり、ゴム硬度が5デュロAを下回ると、弾性部材41の取扱性が悪くなり、吸水膨張性不織布42や締付部材3などに一体化する作業が難しくなる。
【0020】
本体部材2及び締付部材3は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂などの硬質合成樹脂によって、射出成形により形成できる。これら部材に使用する合成樹脂材料は、例示した硬質合成樹脂のほか、ゴムや熱可塑性エラストマーといった比較的軟質な樹脂によって形成してもよく、硬質合成樹脂と軟質合成樹脂を組み合わせて形成しても良い。また、切削加工や圧縮成形、注型成形やブロー成形等の射出成形法以外の製造方法によって製造しても良い。
【0021】
本発明の管継手1は以下のようにして製造することができる。まず、射出成形などの成形方法により、本体部材2及び締付部材3,3を成形する。また、熱可塑性エラストマーの射出成形により、リング状の弾性部材41を形成する。弾性部材41は、所定断面を有するひも状に熱可塑性エラストマーを押出成形して、弾性部材の周長に相当する長さに切断し、リング状になるように両端部を接着して製造しても良い。そして、弾性部材41の円周方向にわたってカバーできる長さと、弾性部材41の内周面、両端面及び外周面をカバーできる幅を有する、短冊状の吸水膨張性不織布42を準備する。そして、吸水膨張性不織布42で弾性部材41を包み込んで止水部材4とする。この際、吸水膨張性不織布42の端部を互いに重ね合わせて接着したり、端部を縫合したり、接着剤や粘着剤を使ったりして、給水膨張性不織布を弾性部材41に固定しておくことが好ましい。そして、止水部材4を、締付部材立ち上がり部34に粘着剤により貼り付ける。その後に、本体部材2の端面23に止水部材4が突き当たる位置まで締付部材3を本体部材2に対してねじ込む。以上のようにして、管継手1の組立を完了する。
【0022】
以上のように組み立てられた管継手1は、以下のようにして螺旋管5に接続される。組み立てられた管継手1を、締付部材3の管取付け部32の螺旋状凸条33が螺旋管5外周の螺旋状凹凸条と螺合するように相対回転させながら、螺旋管5の端部がリング状突起22に当接するまでねじ込む。しかる後に、螺旋管5と本体部材2の位置及び姿勢を保った状態で、締付部材3を本体部材2に対して止水部材4が圧縮される方向に回転させて締め付ける。締め付けによって、圧縮された弾性部材41が、本体部材端部23や螺旋管外周の螺旋状凹凸形状に吸水膨張性不織布42を押し付け、密着させて、螺旋管5の接続が完了する。反対側の螺旋管5も同様の操作で接続する。
【0023】
本発明の管継手1によれば、螺旋管5をねじ込む際には、止水部材4と螺旋管外周の隙間を比較的大きくしておくことができるので、管をねじ込む操作が容易となるとともに、ねじ込み操作中に螺旋管端部で吸水膨張性不織布を損傷したり吸水膨張性不織布の位置ずれが起こったりして、止水性の信頼性が低下することを予防できる。
【0024】
また、本発明の管継手1によれば、止水部材4を圧縮して、弾性部材41により吸水膨張性不織布42を本体部材端面23や螺旋管外周の螺旋状凹凸形状に吸水膨張性不織布42を押し付け、密着させるので、螺旋管のような複雑な外周面を有する管であっても、止水性の信頼性を高めることができる。
【0025】
また、本実施形態の管継手1によれば、止水部材4が弾性部材41とそれを包む吸水膨張性不織布42により構成されており、本体部材端部23や螺旋管5の外周面と弾性部材41とが直接接触しないようになっているので、締付部材をねじ込んで締め付けていっても、柔軟な弾性部材41がその周囲の部材との摩擦によってねじれたりよれたり切れたりすることが防止される。従って、特許文献2に記載されたような複雑な締め付け機構を用いなくてもよくなり、螺旋管5を管継手1にねじ込んで、締付部材3を締め付けるという簡単な操作で、螺旋管5の接続が完了でき、接続作業を非常に効率化することができる。吸水膨張性不織布42としては弾性部材41よりも摩擦抵抗の少ないものを使用することが好ましい。
【0026】
また、本発明の管継手1は、図2〜図4に示すような接続方法によっても螺旋管5を接続することができる(第2の接続手順)。この接続方法では、組み立てる前の本体部材2、締め付け部材3、止水部材4を用いて螺旋管5に接続する。なお、図2ないし図4においては、止水部材4は、弾性部材41と吸水膨張性不織布42とに分けて表示せずに、簡略化し一体に表示している。まず、管取付け部32と螺旋管5が螺合するように締付部材3を回転させて、所定位置までねじ込む。また、止水部材4を締付部材の立ち上がり部34に隣接するように位置させる(図2)。そして、螺旋管5の末端部が、本体部材2中央のリング状突起22に当接する位置まで、螺旋管5を本体部材2の内周に挿入する(図3)。その後、本体部材2外周の螺旋状凸条21に締付部材3の係合部31が螺合するように締付部材3を回転させて、締付部材3を本体部材2側に移動させて連結する。さらに、止水部材4が圧縮されるように締付部材を締め付ける(図4)。以上に操作によっても、螺旋管5を管継手1に接続することができる。管継手1の反対側も同様の操作により、螺旋管5を接続できる。
【0027】
第2の接続手順によれば、本体部材2と螺旋管5を相対回転させる必要がなく、締付部材3をねじ込んで締め付けるだけで接続操作が完了し、管継手の両側で同様の操作を行うだけで、螺旋管5,5を接続できる。従って、特許文献1に示された管継手のように管継手を一方の管にねじ込んで、他方の管と螺合させながらねじ戻すというような、難しい接続操作を行う必要がない。
【0028】
図5には、本発明の第2の実施形態の管継手1’の部分断面図を示す。以下の説明においては、第1実施形態と相違する部分を中心に説明し、同じ部分については同じ符号を付けると共にその詳細な説明を省略する。管継手1’は、螺旋管5と直管7を接続する管継手であり、直管側は、本体部材2’の外周をバンド6によって締め込むことにより、直管7を接続している。
【0029】
本実施形態における螺旋管5との接続部位を詳述する。本体部材2’のリング状凸部22に隣接して、その内周に螺旋管外周面の凹凸条と螺合する螺旋状突起21’が設けられた管固定部25が設けられており、本体部材2’の端部側に、その内周に締付部材3’外周面と螺合する螺旋状凸条26が設けられた締付螺合部27が設けられており、管固定部25と締付螺合部27とは、締付螺合部27側に向かうに従って直径が拡大する傾斜立ち上がり部28によって接続されている。一方、締付部材3’にはその外周面に締付螺合部27の螺旋状凸条26と螺合する螺旋状凸条35が設けられている。
【0030】
本実施の形態においては、本体部材2’の管固定部25が螺旋管5外周と螺合し、本体部材2’の締付螺合部27内側に締付部材3’が螺合する。さらに、締付部材3’の継手奥側に位置する端部36が傾斜立ち上がり部28と対向して位置すると共に、端部36と傾斜立ち上がり部28との間に形成される空間には、止水部材4が配置されている。本実施形態においては、止水部材4は、傾斜立ち上がり部に対応した三角形断面を有するリング状の弾性部材41’と、吸水膨張性不織布42によって構成されている。吸水膨張性不織布42は、管固定部25から締付螺合部27にかけて、本体部材2’内周面および弾性部材41’を覆うように設けられ、粘着材によって本体部材2’の内周面に貼り付けられている。さらに、組み付けた状態で、螺旋管5と本体部材2’の間および、本体部材2’と締付部材3’の間には、吸水膨張性不織布42が挟みこまれるように設けられている。
【0031】
本実施の形態においても、螺旋管5を本体部材2’にねじ込んだ後に、締付部材3’を締め込むことによって、止水部材4を圧縮し、変形させて、吸水膨張性不織布42が弾性部材41’に押圧されて、螺旋管5外周の螺旋状凹凸条や締付部材3’の端部36になじむように密着させ、その止水性を高めることができる。
【0032】
本実施の形態に示したように、本体部材あるいは締付部材に設けられる立ち上がり部分(28)は、内周面側が半径方向内側を向くような傾斜を有する面であることが好ましく、このような構成とすることにより、締付部材の締め込みによる管継手軸方向の圧縮力をより有効に弾性部材41を螺旋管5の方向に変形させる力に変換することができ、吸水膨張性不織布42をしっかりと螺旋管5の外表面になじませ、密着させることができる。
【0033】
また、組み付けた状態で、螺旋管5と本体部材2’の間および、本体部材2’と締付部材3’の間には、吸水膨張性不織布42が挟みこまれるように、吸水膨張性不織布42が設けられているので、水が浸入した際に、螺合部の間でも吸水膨張性不織布42が膨張してその隙間を封止することができ、止水性の信頼性を向上させることができる。
【0034】
また、本実施形態においては、吸水膨張性不織布を本体部材2’の内周面に貼り付けることにより、弾性部材41’を固定するようにしているので、止水部材4が本体部材2’と一体化されており、施工時の取扱性に優れたものとなっている。
【0035】
本実施形態においても、組み立てた状態の管継手1’に、螺旋管5をねじ込んで、その後締付部材3’を締め込むという、簡単な接続操作で螺旋管の接続が完了し、止水性能の信頼性も高い管継ぎ手とすることができる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について例を示して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような改変を加えて実施しても良い。螺旋管5と螺合する部分を、本体部材2に設けるか、締付部材3に設けるかは、上記実施形態に示したように、適宜選択して実施できる。締付部材3側に設けると、図2〜図4に示したような接続操作を選択することも可能となるので、より好ましい。
【0037】
また、上記実施形態では、止水部材4としては、その内周面が略円筒状であってその直径が螺旋管の最大外径よりも大きく設けられたものについて説明したが、必ずしもこのようになっている必要はなく、螺旋管5の挿入・ねじ込み操作が円滑に行える範囲において、内周面の直径を小さくしたりすることもできる。また、止水部材4の内周面形状を、螺旋管外周面の螺旋状凹凸条に合致するような形状に設けておくことも、好ましい実施の様態である。
【0038】
また、図1に示した第1の実施形態において、本体部材2の内周中央部のリング状突起22を廃止しても良い。リング状突起22があれば、螺旋管5をどこまで挿入・螺入するかの判断が容易となる。一方、リング状突起22がなければ、特許文献1に示された管継手と同様の接続操作を行うこともでき、接続操作の選択の幅が広がって、施工現場でのさまざまな状況に対応しやすくなる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、簡単な接続操作で螺旋管の接続が完了し、止水性能の信頼性も高い管継ぎ手、および管の接続方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施形態の管継ぎ手を示す部分断面図
【図2】本発明の管継手による螺旋管の接続工程を示す図
【図3】本発明の管継手による螺旋管の接続工程を示す図
【図4】本発明の管継手による螺旋管の接続工程を示す図
【図5】本発明の第2の実施形態の管継ぎ手を示す部分断面図
【図6】従来の管継ぎ手の接続構造を示す図
【符号の説明】
【0041】
1、1’ 管継ぎ手
2、2’ 本体部材
21、21’ 螺旋状凸条
22 リング状突起部
23 端部
25 管固定部
26 螺旋状凸条
27 締付螺合部
28 傾斜立ち上がり部
3、3’ 締付部材
31 係合部
32 管固定部
33 螺旋状凸条
34 立ち上がり部
35 螺旋状凸条
36 末端部
4 止水部材
41、41’ 弾性部材
42 吸水膨張性不織布
5 螺旋管
6 バンド
7 直管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の本体部材と、本体部材と螺合する円筒状の締付部材と、締付部材の締め込み操作によって本体部材と締付部材との間で管継手軸方向に圧縮される止水部材とを有し、その外周面に螺旋状凹凸条を有する螺旋管を接続する管継ぎ手であって、
前記本体部材または前記締付部材の少なくとも一方の内周面には、前記螺旋管の螺旋状凹凸条と螺合するような螺旋状凸条が設けられ、
前記止水部材は、リング状に形成された弾性部材と、弾性部材の周囲に配設された吸水膨張性不織布とを含み、
前記吸水膨張性不織布が、螺旋管外周と弾性部材との間ならびに、本体部材もしくは締付部材と弾性部材との間にわたって配設されていることを特徴とする管継手。
【請求項2】
弾性部材がJISのゴム硬度で5〜30デュロAのエラストマーからなることを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
弾性部材が吸水膨張性不織布により包み込まれたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の管継手。
【請求項4】
螺旋管の螺旋状凹凸条と螺合する螺旋状凸条が、締付部材の内周面に設けられたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の管継手。
【請求項5】
螺旋管を請求項4に記載の管継手に接続する方法であって、
締付部材を螺旋管の螺旋状凹凸条と螺合するように回転させながら、前記螺旋管外周の所定位置までねじ込む工程、
止水部材を所定の位置に配置する工程、
螺旋管と止水部材と締付部材とを本体部材に連結する工程、
締付部材を本体部材に対して回転させて締め付け操作を行い、止水部材を圧縮して、止水部材の吸水膨張性不織布を螺旋管の外周面ならびに本体部材もしくは締付部材に密着させる工程、
を有することを特徴とする螺旋管の接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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