説明

管継手

【課題】E形止め輪の突出片がスリットから抜けにくくし、コンパクトな構成で、簡単に組み付け作業を行えるようにした管継手を提供する。
【解決手段】管継手は、外管11と内管12とEリング(E形止め輪)13とを備える。外管11の周壁面には、間隔を保ってスリットSが形成される。内管12の周壁面には、スリットSが開口可能な周壁溝12aが設けられる。E形止め輪13は、スリットSから外管11の管壁を通して内管12の周壁溝12aに嵌まる突出片13A〜13Cを有している。突出片13A,13Cには、内管12の周壁溝12aに収まって外管11のスリット縁部に係止可能な返し爪15,15が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手に関するもので、詳しくは、管継手のE形止め輪の係止構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
散水ノズル等のプラスチック製品の管継手には、これらの構成パーツである管体をE形止め輪によって連結するタイプのものがある。このような管継手は、例えば図15(A)に示すように、外管1に内管2が挿入され、これらの外側に弾性体からなるE形止め輪3が嵌められる(図15(B)参照)。
外管1の外周壁には、弧状のスリットSが周方向に適度な間隔を保って設けられ、内管2の外周壁には、これらのスリットSが開口可能な環状の周壁溝2aが設けられる。E形止め輪3は、その内径側に突出片3A〜3Cを有している。
E形止め輪3を拡げて外管1の外側に嵌め、突出片3A〜3CをスリットSに差し込むと、突出片3A〜3Cの先端が周壁溝2aに突き出て、外管1と内管2とを軸方向に連結する。なお、内管2の先端付近に設けられるOリング4は、外管1と内管2との隙間をシールする。
【0003】
このような管継手は、E形止め輪3が外管1とともに周壁溝2aに沿ってスライド可能であるため、外管1と内管2との間の防水性を確保しつつ、これらの管を回動可能に連結することができる。従来技術としては、例えば特許文献1,2等に同種の管継手が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平4−78458号公報
【特許文献2】特開平11−201351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の管継手は、E形止め輪3がその弾性力によって外管1の外周に保持されるものであるため、スリットSから突出片3A〜3Cが抜けやすい。例えば管内に水圧がかかった場合、水圧で外管1と内管2とが抜ける方向(長さ方向)に押されると、これらの管が反発し合って、この反発力がE形止め輪3の突出片3A〜3Cを外管31上に押し上げて浮き上がらせることがある。
また、E形止め輪3を外側に引っ張れば、スリットSから比較的簡単に突出片3A〜3Cが抜けてしまうので、管継手が誤って分解されるおそれもある。
【0006】
この対策として、特許文献1に示すように、E形止め輪の外周に環状体を取り付けて突出片の抜けを防止するものがあるが(特許文献1:図3「カバー体23」参照)、このような構成では、E形止め輪の周囲に環状体が突き出すことになるため、管継手の外径が大きくなり、部品点数の面からも不利になる。
【0007】
また、特許文献2に示すように、E形止め輪の突出片に、管継手の長さ方向に延びる突部を設けて突出片の抜けを防止するものもあるが(特許文献2:図3「突部28」参照)、このような構成の場合、管継手にE形止め輪を組み付ける際に、突部が邪魔になってその作業が面倒になりやすい。なお、特許文献2の管継手は、特許文献1と同様に、E形止め輪の外周を環状体(特許文献2:図1「筒部材17」参照)で覆う構造も有している。
【0008】
本発明は、このような現状に鑑みなされたもので、E形止め輪の突出片がスリットから抜けにくく、しかも、コンパクトな構成で、組み付け作業を簡単に行えるようにした管継手を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[第1発明]
前記課題を解決するための本発明の管継手は、
周方向に間隔を保ってスリットを有する外管と、
前記スリットが開口可能な周壁溝を有する内管と、
前記スリットから前記外管の管壁を通して前記内管の周壁溝に嵌まる突出片を備えたE形止め輪とを有する管継手において、
前記E形止め輪の突出片に、前記内管の周壁溝に収まって前記外管のスリット縁部に係止可能な返し爪を設ける構成とした。
【0010】
このような構成によれば、外管のスリットにE形止め輪の突出片を差し込むと、突出片の返し爪が外管のスリット縁部に係止されるため、スリットから突出片が抜けにくくなる。このため、水圧等で外管および内管にE形止め輪の突出片を押し上げるような力が作用しても、突出片がスリット内に止まり、E形止め輪が外管から外れるのが防止される。
【0011】
また、スリットから突出片が抜けないため、E形止め輪の周囲に環状体(特許文献1:図3符号23参照)などの別部材を取り付ける必要がない。管継手にE形止め輪を露出させたままで使用することもでき、管継手のコンパクト化を図りやすくなる。また、内管の周壁溝に返し爪が収まるため、管継手の組み付けの際に返し爪が邪魔になりにくい。
さらに、本発明の構成によれば、E形止め輪の弾性力に加えて返し爪で突出片の抜けを抑えるため、E形止め輪の厚み(図15(B)のD0参照)をより薄型にすることができる。これにより、E形止め輪をその弾性力に反して拡げやすくしてその取り付けをより簡単にすることができる。
【0012】
なお、本発明において、「E形止め輪」は、その突出片がリング両端部と中間部とに合わせて3箇所設けられる一般的な形状を含む他、これらの突出片のいずれかが存在しないもの、他の位置に突出片が設けられているものも含む。本発明を適用可能な突出片であれば、その位置や数は問わない。
【0013】
また、返し爪は、突出片の長さ方向すなわちリング周方向に延びていることが望ましい。 E形止め輪に突出片を設ける場合、その長さ方向(リング周方向)の長さが大きいと、突出片の外管と内管との接触面積が大きくなるため、これらの管の連結強度を高めることができる。しかしながら、突出片が長すぎると、外管のスリットを長くすることが必要で、外管の強度が低下しやすくなる。
上記のように、突出片の長さ方向(リング周方向)に返し爪が延びる構成によれば、返し爪が内管の周壁溝に収まって突出片とともに内管に接触し、内管の軸方向への抜けを止めることができる。この結果、外管のスリットの長さを適度な長さに保ちつつ、外管と内管との連結強度を高めることが可能になる。
【0014】
[第2発明]
E形止め輪3の突出片3A〜3Cのうち、特に、その両端部(相対向する先端部)すなわち図15(B)の突出片3A,3C付近は、外管1の周面上に浮き上がりやすい。このため、このような部分に指や構造物が引っ掛かると、E形止め輪が外管から簡単に外れてしまう。
【0015】
そこで、本発明(第2発明)の管継手構造は、第1発明の構成を備えるものであって、
前記E形止め輪の両端部に一対の突出片が設けられており、これらの突出片の周方向後端に前記返し爪が延びていることを特徴としている。
【0016】
このような構成によれば、E形止め輪の両端部が返し爪によってスリット縁部に止まるため、E形止め輪の両端部の浮き上がりを効果的に抑えることができる。
また、返し爪が周方向後端に延びているため、E形止め輪の先端を外向きまたは下向きに引っ張るなどの操作で、スリット縁部から返し爪を抜くことができる。これにより、一旦外管に組み付けたE形止め輪を、比較的簡単な作業で外管から外すことも可能になり、管の交換、掃除などのメンテナンスが容易になる。
【0017】
なお、第2発明において、返し爪の間隔については、返し爪の先端位置がE形止め輪の周方向に160゜〜250゜程度離れているとよい。この範囲よりも小さいと、返し爪がスリットから抜けやすく、また、この範囲よりも大きいと、前述したE形止め輪の取り外しの際に、スリット縁部から返し爪が抜けにくくなるためである。望ましくは200゜〜240゜程度、さらに望ましくは220゜程度離れているとよい。
【0018】
[第3発明]
本発明(第3発明)の管継手構造は、第1発明の構成を備えるものであって、
前記突出片は、前記E形止め輪の内径側に開放する切り込み溝で分断されており、かつ、前記突出片の側面には、前記外管のスリット縁部に押されて前記返し爪を前記切り込み溝側へ撓ませる傾斜面が設けられることを特徴としている。
【0019】
このような構成によれば、外管のスリットに突出片を挿入する際、突出片の傾斜面がスリット縁部に押されて返し爪が切り込み溝側に撓む。傾斜面がスリット縁部を乗り越えると、返し爪が元の状態に戻ってスリット縁部に引っ掛かる。
このように突出片に返し爪を撓ませる構成を付加することにより、E形止め輪の組み付け作業をさらに簡単にすることができる。また、突出片が複数の小片に分断されるため、E形止め輪の成形時に突出片に堕肉が生じにくくなるという付随的な効果も得られる。
【0020】
本発明(第1〜3発明)の管継手構造は、散水ノズル、ホースリール等の散水器具の管継手に適用すると効果的である。本発明(第1〜3発明)を適用した散水器具は、耐圧性が良好で、管継手にE形止め輪をコンパクトに収めることができる。
特に、散水ノズルのグリップ部とヘッド部を連結する管継手に本発明を適用すると、デザイン性の良好な耐久性に優れた製品を得ることができる。また、外管または内管の一方を回転させることで水量調整や水形切換(ジェット状、霧状など)を行うことも可能である。
また、ホースリールのドラム部や軸部の通水管と散水ホースとを連結する管継手に本発明を適用すると、ホース巻き取りの操作性が良好で、かつ、水圧で管継手が外れにくい製品を得ることができる。
その他、本発明を適用することができる散水器具としては、散水ホース同士を直結または分岐させるホース接続具、給水用の蛇口と散水ホースとを接続する蛇口接続具等が挙げられる。
【0021】
本発明(第1〜3発明)は、散水器具の他、シャワーノズル、蛇口等の洗面、浴槽周りの管継手に適用してもよいし、掃除機の吸引管やエアコンの冷媒管等の管継手に適用することも可能である。また、家具製品(ラック支柱、突っ張り棒、脚用支柱等)に用いられるパイプ材の継手に本発明を適用することもできる。
本発明(第1〜3発明)は、単独で適用してもよいし、これらの発明を必要に応じて組み合わせて適用してもよい。また、本発明(第1〜3発明)に本明細書に記載される他の発明を組み合わせてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態の管継手の分解斜視図を図1に示した。図1において、符号11は外管、符号12は内管、符号13はE形止め輪(以下、Eリングという。)である。外管11に内管12を挿入した状態で外管11を跨ぐようにEリング13を拡げて組み付ける。
【0023】
外管11の外周壁にはリング溝11aが形成される。リング溝11aは、Eリング13の先端隙間を埋める弧状の架橋部11bを残して周方向に連なっている。リング溝11aの深さは、Eリング13の厚みと同程度であり、この溝にEリング13を収めると、溝が埋まって管継手の外径が均一になる。すなわち、外管11の外周壁にEリング13が引っ掛かるような突き出し部分がなくなり、管継手の使い勝手が向上する。
【0024】
リング溝11aには外管11の壁面を貫通するスリットSが3箇所形成されている(図2参照)。スリットSは、架橋部11bの両側に2箇所、架橋部11bと反対側に1箇所設けられている。リング溝11aにEリング13を嵌めると、後述するEリング13の突出片13A〜13CがこれらのスリットSから外管11の管壁を通して内側に突き出ることになる。
【0025】
図1に示すように、内管12の外周壁には、周壁溝12a、12bが形成される。周壁溝12a、12bは、内管12の周方向に環状に連なっている。これらの周壁溝12a、12bのうち、周壁溝12aは、管継手の長さ方向で外管11のスリットSが開口可能な位置に設けられる。すなわち、外管11の先端が内管12の厚肉部12cに突き当たった状態で、周壁溝12aがリング溝11aに重なって周壁溝12aにスリットSが開口することになる。
周壁溝12bには、Oリング14が取り付けられる。このOリング14は、内管12の周壁溝12aよりも先端側で外管11の内壁面に密着し、外管11と内管12との間の隙間をシールする(図4参照)。
【0026】
Eリング13は、樹脂等の弾性材料からなるもので、リング両端部に突出片13A,13C、中間部に突出片13Bがそれぞれ内径側に突き出している。突出片13A〜13CがEリング13に一体的に形成される。
【0027】
突出片13A〜13Cは、外管11のスリットSに嵌合可能な厚みと長さをもち、これらの内径側の弧状面は、内管12の周壁溝12aに沿って形成されている。突出片13Aと13Cとの間の隙間は、外管11の架橋部11bの長さにほぼ等しい。
外管11と内管12との連結時には、突出片13A〜13CがこれらのスリットSから内管12の周壁溝12aに突き出て、これらの管の軸方向への移動を止める(図3および図4参照)。
【0028】
突出片13Aおよび13Cの周方向後端には、その長さ方向に弧状面に沿って返し爪15,15が延びている。返し爪15,15は、突出片13A〜13Cに一体に形成されており、返し爪15,15の先端には、その断面がほぼ半円形の面取りが施される。外管11のスリット縁部に返し爪15,15を止める際には、この面取り部分により爪先端がスリット縁部を乗り越しやすくなっている。
【0029】
返し爪15,15の位置関係については、図5に示すように、それぞれ突出片13Bの両側に等しい距離の位置にあり、返し爪15,15の先端位置が周方向に角度θだけ離れている。角度θは、160゜〜250゜程度、望ましくは200゜〜240゜程度、さらに望ましくは220゜程度であるとよい。このような範囲に設定すると、返し爪15,15の抜け防止機能を十分に保ちつつ、後述するように、メンテナンス等の際には返し爪15,15を比較的簡単な操作でスリットから外すことができる。
【0030】
外管11と内管12とを連結する場合、内管12の周壁溝12bにOリング14を嵌めた状態で、外管11に内管12を挿入する。このとき、内管12の周壁溝12aと外管11のリング溝11aとを長さ方向に一致させ、内管12の周壁溝12aに外管11のスリットSを開口させる。
【0031】
次いで、図6に示すように、外管11の側方でEリング13の両端を拡げてその隙間をリング溝11aへ向けて押し込む。すると、Eリング13が弾性力に反して拡がり、突出片13BがスリットSに嵌り、突出片13A,13Cが外管11(リング溝11aの溝面)を挟むような位置に来る。このとき、Eリング13の返し爪15,15よりも若干上側の部分を内向きに押さえると、図7に示すように、返し爪15,15がスリット縁部を乗り越え、突出片13A,13CがスリットSに嵌って、同時に、返し爪15,15が周壁溝12aに収まる(図8参照)。これにより、返し爪15,15が外管11のスリット縁部(外管11の内壁)に引っ掛かって突出片13A,13Cの抜けを防止する。
【0032】
一方、外管11からEリング13を外す場合は、突出片13A,13Cの先端付近にマイナスドライバの先などを差し入れ、Eリング13の先端を外側に引っ張り出すようにすると、返し爪15,15が図8の状態から図7の状態に戻り、Eリング13がリング溝11aから比較的簡単に外れる。
【0033】
このように本実施形態の管継手によれば、返し爪15,15が外管11のスリット縁部に引っ掛かって突出片13A,13Cの抜けを防止するため、水圧で外管11および内管12が長さ方向(外管11および内管12が抜ける方向)に反発し合って返し爪15,15に負荷をかけても、Eリング13の端部が浮き上がることなく、外管11と内管12との連結状態を安定的に保つことができる。また、作業者が突出片13A,13Cを引っ張るこで、Eリング13を誤って外してしまう心配もない。
【0034】
また、返し爪15,15がスリットSから突出片13A,13Cが抜けるのを防止するため、Eリング13を外側から覆う環状体等の別部材を別個に設ける必要がなく、管継手をコンパクトなデザインにすることができる。
また、リング厚みD1(図5参照)をより薄くすることで、Eリング13の柔軟性を高めて外管11への組み付けを行いやすくすることができる。
【0035】
さらに、本実施形態では、スリット縁部に返し爪15,15を一旦係止した後で比較的簡単な操作で外管11からEリング13を外すことができるため、管継手の掃除や部品交換などのメンテナンス作業も簡単になる。
【0036】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態の散水ノズルは、図9に示すように、グリップ20Aとヘッド20Bとの連結部分に前記第1実施形態と実質的に同様な構成の管継手が採用される。管継手は、グリップ20Aの前端部の外管21と、ヘッド20Bの後端部の内管22と、これらの管を連結するEリング23とからなる。
【0037】
外管21の先端にはリング溝21aが形成される。リング溝21aは、架橋部21bを残して外管21の周方向に連なり、架橋部21bの両側に2箇所、架橋部21bと反対側に1箇所、計3箇所のスリットSを有している。
内管22の周面には周壁溝22aが設けられ、周壁溝22aに平行な、図示されない周壁溝にOリング24が嵌っている。
【0038】
Eリング23の内径側には、スリットSに対応する位置に突出片23A〜23Cが延びている。突出片23A〜23Cの管継手の長さ方向の厚みは、前述した第1実施形態よりも薄く、散水ノズルのコンパクトかつ軽量化が図られている。突出片23Aと23Cの周方向後端には返し爪25,25が延びている。
【0039】
グリップ20Aとヘッド20Bとを連結する場合、外管21の内側に内管22を差し込み、内管22の周壁溝22aに外管21のスリットSを開口させる。次いで、第1実施形態と同様に、Eリング23を拡大させつつ、外管21のリング溝21aに押し込んで、突出片23A〜23Cをそれぞれ対応するスリットSに嵌め込み、周壁溝22aに突き出させる。そして、突出片23A、23Cの返し爪25,25を外管21のスリット縁部に引っかけてEリング23の外れを防止する(図8参照)。
【0040】
第2実施形態の散水ノズルによれば、外管21および内管22の管内の水圧が高まっても、返し爪25,25がスリット縁部に引っ掛かって突出片23A,23Cの抜けが防止されるため、外管21からEリング23が浮き上がらない。
また、グリップ20Aとヘッド20Bとの継手部分がコンパクトでデザイン性の良好な散水ノズルとなり、材料コストの低減にも役立つ。また、グリップ20Aとヘッド20Bとの連結部にEリング23が露出していても、散水ノズルの使用者が誤ってEリング23を外してしまう心配もない。
【0041】
さらに、Eリング23が周壁溝22a内をスライド可能であるため、グリップ20Aを持ってヘッド20Bのみを回転させて水量調整または水形切換(ジェット状、霧状など)を行うこともできる。この際、返し爪25,25は、Eリング23と一体に周壁溝22a内をスライドするため、ヘッド20Bの回転操作の邪魔にならない。
【0042】
[第3実施形態]
第3実施形態の管継手を図10〜図12に示した。本実施形態は、外管31と内管32とを六角形状のEリング33で連結するようにしたものである。なお、外管31と内管32には、Eリング33と同様な六角柱の外形の管を採用している。
【0043】
外管31の外周壁にはリング溝31aが設けられる。リング溝31aは、架橋部31b(図11参照)を残して外管31の側面に連なる。リング溝31aの架橋部31bの両隣りの面と、架橋部31bの反対側の面とに3箇所のスリットSが形成される(図11参照)。
図10に示すように、内管32の外周壁には周壁溝32aが形成される。外管31に内管32を挿入すると、リング溝31aと周壁溝32aとが管継手の長さ方向に一致する。
【0044】
Eリング33の内側にはスリットSに対応する位置に突出片33A〜33Cが延びている。突出片33A〜33Cの両側端にそれぞれ返し爪35,35が形成される。
突出片33A〜33Cの板面は、その内径側すなわち根元付近から先端側に開放する切り込み溝Kで分断される。突出片33A〜33Cの長さ方向両端の側面には、先端側に行く程幅狭になるように傾斜する傾斜面34,34が形成されている(図12参照)。
【0045】
外管31と内管32とを連結する場合、外管31に内管32を挿入し、リング溝31aに周壁溝32aを一致させて、スリットSを周壁溝32aに開口させる。この状態で、Eリング33を拡げてリング溝31aに嵌め、各スリットSに突出片33A〜33Cを押し込む。すると、突出片33A〜33Cの傾斜面34,34がスリット縁部に押されて返し爪35,35が切り込み溝K側に撓む(図12(A)参照)。そして、傾斜面34,34がスリット縁部を乗り越えると、撓みが開放されて返し爪35,35がスリット縁部(外管31の内壁)に係止される(図12(B)参照)。これにより、突出片33A〜33CがスリットSから抜けなくなり、外管31からEリング33が外れるのが防止される。
【0046】
なお、このような返し爪35,35の構成は、前述した第1実施形態または第2実施形態の突出片に採用してもよい。例えば突出片13A〜13Cまたは23A〜23Cに採用することで、Eリングの組み付け状態をより安定させることができ、耐圧性の良好な管継手を得ることができる。また、Eリングの取り外しの作業性を考慮して、中間の突出片13Bのみ、または23Bのみに採用することもできる。
【0047】
[第4実施形態]
第4実施形態の管継手を図13および図14に示した。本実施形態は、六角形状のEリング43を採用したものであって、突出片43A〜43Cの厚み方向に返し爪45,45を突出させたものである。
【0048】
外管41の外周壁にはリング溝41aが設けられる。リング溝41aに第3実施形態と同様な位置に3箇所のスリットSが形成される。
内管42の外周壁には、リング溝41aと長さ方向に重なる位置に周壁溝42aが設けられる。周壁溝42aの溝幅は、リング溝41a(スリットS)の溝幅よりも大きい(図14参照)。
【0049】
Eリング43の内径側には、スリットSに対応する位置に突出片43A〜43Cが延びている。突出片43A〜43Cの厚み方向に返し爪45,45が突出している。
突出片43A〜43Cの板面は、その長さ方向(六角形の辺方向)の切り込み溝Kにより分断される。突出片43A〜43Cの厚み方向両端の側面には、先端側に行く程幅狭になるように傾斜する傾斜面44,44が形成されている。
【0050】
外管41と内管42とを連結する場合、外管41に内管42を挿入し、リング溝41aと周壁溝42aを長さ方向に一致させて、周壁溝42aにスリットSを開口させる。次いで、Eリング43を拡げてリング溝41aに嵌め、各スリットSに突出片43A〜〜43Cを押し込む。すると、突出片43A〜43Cの傾斜面44,44がスリット縁部に押されて返し爪45,45が切り込み溝K側に倒れるように撓む。そして、傾斜面44,44がスリット縁部を乗り越えると、返し爪45,45が元の状態に戻ってスリット縁部に引っ掛かる(図14参照)。これにより、スリットSから突出片43A〜43Cが抜けなくなり、外管41からEリング43が外れるのが防止される。
【0051】
なお、第4実施形態では、外管41と内管42の内壁が断面六角形になっているため、これらが軸周りに互いに回転することはない。すなわち、外管41と内管42との長さ方向の移動とおよび軸周りへの回転が同時に止められることになる。
【0052】
以上、第1〜4実施形態を説明したが、本発明の実施形態は、これらに限られることなく、必要に応じて種々の変更を伴ってもよい。
例えば第1〜第4施形態では、Eリングの突出片をリングの両端部と中間部とに合わせて3箇所設けているが、これらの位置および数は、内管と外管との連結が可能であれば、適宜変更してもよい。
また、第1〜第4実施形態では、中空部材である外管と内管との管継手に本発明を適用したが、連結部分のみ中空構造になっていれば、シャフトなどの中実部材に本発明を適用することも可能である。
第3および第4実施形態では、外管と内管との間をシールするOリングを設けていないが、必要であれば内管の周壁溝よりも先端側に設けることができる。
外管、内管およびEリングの形状は、特に限定されず、その横断面が円形または六角形の他、楕円形や他の多角形であってもよい。外管または内管の周壁に回転防止用の係合部等を設けてもよい。
Eリングの材質は樹脂(ポリアセタール、ナイロン等)であることが望ましいが、本発明が適用可能であれば、金属等の他の弾性材料であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態による管継手を示す分解斜視図である。
【図2】同管継手の外管を示す図1のII−II線断面図である。
【図3】同管継手の接続状態を示す横断面図である。
【図4】同管継手の接続状態を示す切欠き縦断面図である。
【図5】同管継手のEリングを示す平面図である。
【図6】同Eリングの使用方法を説明するもので、管継手からEリングが外れた状態を示す横断面図である。
【図7】同Eリングの使用方法を説明するもので、管継手にEリングが嵌まる直前の状態を示す横断面図である。
【図8】同Eリングの使用方法を説明するもので、管継手にEリングが嵌合した状態を示す横断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態による管継手を備えた散水ノズルを示す分解斜視図である。
【図10】本発明の第3実施形態による管継手を示す分解斜視図である。
【図11】同管継手の接続状態を示す横断面図である。
【図12】同管継手のEリングの使用方法を説明するもので、(A)は管継手にEリングが嵌まる直前の状態を示す部分拡大断面図、(B)は管継手にEリングが嵌合した状態を示す部分拡大断面図である。
【図13】本発明の第4実施形態による管継手を示す分解斜視図である。
【図14】同管継手の接続状態を示す縦断面図である。
【図15】従来の管継手の接続状態を示すもので、(A)は縦断面図、(B)はB−B線横断面図である。
【符号の説明】
【0054】
11 外管
11a リング溝
11b 架橋部
12 内管
12a 周壁溝
13 Eリング(E形止め輪)
13A〜13C 突出片
14 Oリング
15 返し爪
21 外管
21a リング溝
21b 架橋部
22 内管
22a 周壁溝
23 Eリング(E形止め輪)
23A〜23C 突出片
24 Oリング
25 返し爪
31 外管
31a リング溝
31b 架橋部
32 内管
32a 周壁溝
33 Eリング(E形止め輪)
33A〜33C 突出片
34 傾斜面
35 返し爪
41 外管
41a リング溝
42 内管
42a 周壁溝
43 Eリング(E形止め輪)
43A〜43C 突出片
44 傾斜面
45 返し爪
K 切り込み溝
S スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に間隔を保ってスリットを有する外管と、
前記スリットが開口可能な周壁溝を有する内管と、
前記スリットから前記外管の管壁を通して前記内管の周壁溝に嵌まる突出片を備えたE形止め輪とを有する管継手において、
前記E形止め輪の突出片に、前記内管の周壁溝に収まって前記外管のスリット縁部に係止可能な返し爪を設けたことを特徴とする管継手。
【請求項2】
請求項1記載の管継手であって、前記E形止め輪の両端部に一対の突出片が設けられており、これらの突出片の周方向後端に前記返し爪が延びている、管継手。
【請求項3】
請求項2記載の管継手であって、前記返し爪の先端位置がE形止め輪の周方向に160゜〜250゜程度離れている、管継手。
【請求項4】
請求項1記載の管継手であって、前記突出片は、前記E形止め輪の内径側に開放する切り込み溝で分断されており、かつ、前記突出片の側面には、前記外管のスリット縁部に押されて前記返し爪を前記切り込み溝側へ撓ませる傾斜面が設けられる、管継手。
【請求項5】
請求項1,2,3または4記載の管継手を備えた散水ノズル。
【請求項6】
請求項1,2,3または4記載の管継手を備えたホースリール。
【請求項7】
請求項1,2,3または4記載の管継手を備えた散水器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−336764(P2006−336764A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−162474(P2005−162474)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(591167669)株式会社三洋化成 (9)
【Fターム(参考)】