説明

管継手

【課題】弁体の駆動時にも流体が外部に漏出しない継手を提供する。
【解決手段】管継手1は、流体の流入路9が設けられ、中央を貫通する貫通流路14が設けられた略球形の弁体13を収容し、弁体13を駆動する駆動部材16が貫通する開口18を有し、流体の流出路26を構成するプラグ3を受け入れる本体4と、本体4の外周に摺動可能に設けられ、駆動部材16と係合して、弁体13の貫通流路14を流入路9に連通させる開状態と、弁体13の外表面で流入路9を閉鎖する閉状態との間で弁体13を回転駆動するスリーブ5と、開口18の両側で、それぞれ、本体4とスリーブ5との間の隙間を封止するOリング19とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は管継手、詳しくは、接離自在で、切り離し時に流路を閉塞可能な管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から4に記載されているように、一端に流体の流入路が設けられ、他端に流出路の少なくとも一部分を構成するプラグが挿入される本体と、本体に本体の外周に摺動可能に設けられ、本体の内部に収容した貫通流路を有する球形の弁体を回転駆動し、本体の流入路を閉鎖可能な、ボール弁内蔵タイプの管継手が公知である。
【0003】
従来のボール弁内蔵タイプの管継手では、本体の外周に摺動可能に設けたスリーブに固定した部材で弁体の偏芯位置を駆動して、弁体を回転させる。これによって、流入路を弁体の球面で閉鎖、または、流入路と流出路とを弁体の貫通流路を介して連通させる。このとき、従来の管継手では、流入路および流出路に直接またはバルブシート(シール部材)を介して弁体を圧接することで、本体の内部空間への流体の漏出を防止している。
【0004】
しかしながら、スリーブによって弁体を回転する途中においては、貫通流路が部分的に流入路にかかり、弁体による流路の封止が不完全になって本体の内部空間に流体を漏出させる。本体には、弁体の回転軸や駆動部材が貫通する開口があるため、本体の内部空間に漏出した流体は、本体とスリーブとの間に溢れ出し、スリーブの両端から外部に漏出するという問題があった。
【特許文献1】特公昭51−47899号公報
【特許文献2】特開昭62−180193号公報
【特許文献3】特開昭64−3393号公報
【特許文献4】特開平2−154889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記問題点に鑑みて、本発明の課題は、弁体の駆動時にも流体が外部に漏出しない継手を提供すること課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明による管継手は、流体の流入路が設けられ、中央を貫通する貫通流路が設けられた略球形の弁体を収容し、前記弁体を駆動する駆動部材が貫通する開口を有し、流体の流出路を構成するプラグを受け入れる本体と、前記本体の外周に摺動可能に設けられ、前記駆動部材と係合して、前記弁体の前記貫通流路を前記流入路に連通させる開状態と、前記弁体の外表面で前記流入路を閉鎖する閉状態との間で前記弁体を回転駆動するスリーブと、前記開口の両側で、それぞれ、前記本体と前記スリーブとの間の隙間を封止するOリングとを有するものとする。
【0007】
この構成によれば、弁体の動作過程において本体の内部空間に流出した流体が本体とスリーブとの間に溢れ出しても、流体をスリーブの内部に封止して外部には漏出させない。
【0008】
また、本発明の管継手において、前記流入路と前記弁体との間にはバルブシートが設けられていてもよい。
【0009】
この構成によれば、流路を遮断して高圧の封止能力が要求される流入路と弁体との密封が可能である。また、これとは逆に、高圧の封止能力が要求されない出口側は、本体とスリーブとの間に設けたOリングが流体の外部への漏出を防止できるので、流出路と弁体とを密接させず、バルブシートも設けなくてもよい。
【0010】
また、本発明の管継手において、前記本体は、該本体の外側に突出して前記スリーブの摺動を制限する位置と、前記本体の内側に突出して前記プラグを前記本体に係止する位置との間で移動可能なラッチボールと、前記ラッチボールに当接して前記ラッチボールを外側に突出させる位置に移動するように付勢され、前記プラグを前記本体に挿入することにより押し込まれて前記ラッチボールを内側に突出可能にするラッチ環とを有し、前記スリーブは、前記ラッチボールに向かって付勢されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、プラグを本体に差し込むだけで、プラグを本体に固定しつつ、弁体を回動させて流入路と流出路とを連通させることができる。また、スリーブを摺動させれば、弁体を回動させて流路を遮断し、ラッチボールを外側に移動可能にして、プラグの引き抜きを可能にすることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、本体とスリーブとの間にOリングを設けたので、弁体の動作途中においても、流体が管継手の外部に漏出しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
これより、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態の管継手1を示す。管継手1は、ソケット2とプラグ3とからなり、容易に接続、切り離しできるものである。ソケット2は、本体4と、本体4を取り囲んで本体4上を摺動可能なように設けられたスリーブ5とからなる。
【0014】
本体4は、継手部6と、ハウジング部7と、カップリング部8とからなる。継手部6は、端部に開口する流体の流入路9と、他の管路に接続するための外ねじ10とが設けられている。
【0015】
ハウジング部7は、流入路9に連通する内部空間11を有し、内部空間11の内側に、バルブシート12と弁体13とが収容されている。弁体13は、略球形に形成され、中央を貫通する貫通流路14が設けられ、ハウジング部7に回動可能に枢支される回転軸15を有する。図1において、弁体13は、その球面をバルブシート12に当接させて流入路9を封止する閉状態にある。また、弁体13には、軸状の駆動部材16が取り付けられ、駆動部材16は、スリーブ5に嵌合して固定された駆動環17に係合している。回転軸15および駆動部材16は、ハウジング部7に設けられた開口18を貫通している。開口18は、ハウジング部7に設けた切り欠きの開放部を継手部6の端部で閉じることで形成された、内部空間11と本体4の外部とを連通させる穴である。
【0016】
本体4の開口18の両側外周、具体的には、継手部6のハウジング部7側の端部外周と、ハウジング部7の開口18を形成する切り欠きよりもカップリング部8側の外周とに、それぞれOリング19が配置され、本体4とスリーブ5との間の僅かな隙間を封止している。
【0017】
スリーブ5は、スリーブ付勢ばね20によってカップリング部8側に摺動するように付勢されている。筒状に形成されたカップリング部8の壁を貫通するように配置されたラッチボール21は、カップリング部7の内部に摺動可能に設けたラッチ環22によってカップリング部8の外側に突出させられ、スリーブ付勢ばね20の付勢力によるスリーブ5のカップリング部8側への摺動を規制する。カップリング部8の内側に設けたラッチ環付勢ばね23は、ラッチ環22をラッチボール21の内側に当接する位置に配置するように付勢している。
【0018】
プラグ3は、本体4のカップリング部8に挿入される挿入部24と、六角ナット状の外形を有するナット部25とからなる。挿入部24は、内側に流体の流出路26が形成され、外側にラッチ環22と当接する当接面27とラッチボール21の一部を受け入れ可能なラッチ溝28とが形成されている。ナット部25には、流出路26と連通するように管路を接続できる内ねじ29が形成されている。
【0019】
続いて、図2に、ソケット2とプラグ3とを接続して、導入路9と貫通流路14とが連通する開状態の管継手1を示し、その機能を説明する。
図2において、プラグ3の挿入部24は、ソケット2のカップリング部8に挿入され、当接面27にラッチ環22が当接し、ラッチ環22をラッチ環付勢ばね23の付勢力に抗してカップリング部8の奥に押し込んでいる。これによって、ラッチボール21は、カップリング部8の内側に突出可能になり、ラッチ溝28に受け入れられる。ラッチボール21がカップリング部8に収容されることで、スリーブ5は、スリーブ付勢ばね20の付勢力によって本体4上でカップリング部8側に摺動可能になる。図示するように、スリーブ5がラッチボール21上に移動した後は、ラッチボール21は、カップリング部8の外側に突出することができず、ラッチ溝28に係合してプラグ3の挿入部24のソケット2からの脱離を防止する。
【0020】
また、スリーブ5がカップリング部8側に移動すると、スリーブ5に嵌合する駆動環17もスリーブ5とともにカップリング部8側に移動する。駆動環17は、弁体13の駆動部材16を移動させることによって、弁体13を回転軸15周りに回転させる。これによって、図示するように、弁体13は、貫通流路14を流入路9に連通させ、流入路9と流出路26とを連通させる。
【0021】
ここで、内部空間11には、流入路9から流入した流体が流れ込み、内部空間11に流れ込んだ流体は、開口18から本体4の外部に溢れ出る。しかし、Oリング19は、本体4から溢れ出た流体を、本体4とスリーブ5との間の隙間に封止して、スリーブ5の両端から漏出させることがない。
【0022】
弁体13と、流出路26との間にもバルブシートを設ければ、図2の状態では、内部空間11に流体が漏出しないが、弁体13を回動させる課程において、貫通流路14が流入路9および内部空間11の両方と部分的に連通し、流入路9から流入した流体が内部空間11に漏出する状態になる。よって、弁体13と流出路26との間にバルブシートを設けたときにも、Oリング19を設けることが有効である。
【0023】
本実施形態においては、Oリング19を設けて、弁体13と流出路26との間にバルブシートを設けていないので、弁体13を回動させる際の抵抗となる摩擦が小さく、スリーブ付勢ばね20を弱くすることができる。これによって、ユーザは、小さな力でスリーブ5をスリーブ付勢ばね20の付勢力に抗して摺動させ、流入路9を封止してソケット2とプラグ3とを分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態の管継手の分離状態を示す断面図。
【図2】図1の管継手の接続状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0025】
1…管継手、 2…ソケット、 3…プラグ、 4…本体、 5…スリーブ、
6…継手部、 7…ハウジング部、 8…カップリング部、 9…流入路、
11…内部空間、 12…バルブシート 13…弁体、 14…貫通流路、
15…回転軸、 16…駆動部材、 18…開口、 19…Oリング、
20…スリーブ付勢ばね、 21…ラッチボール、 22…ラッチ環、
23…ラッチ環付勢ばね、 26…流出路、 28…ラッチ溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流入路が設けられ、中央を貫通する貫通流路が設けられた略球形の弁体を収容し、前記弁体を駆動する駆動部材が貫通する開口を有し、流体の流出路を構成するプラグを受け入れる本体と、
前記本体の外周に摺動可能に設けられ、前記駆動部材と係合して、前記弁体の前記貫通流路を前記流入路に連通させる開状態と、前記弁体の外表面で前記流入路を閉鎖する閉状態との間で前記弁体を回転駆動するスリーブと、
前記開口の両側で、それぞれ、前記本体と前記スリーブとの間の隙間を封止するOリングとを有することを特徴とする管継手。
【請求項2】
前記流入路と前記弁体との間にはバルブシートが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記本体は、該本体の外側に突出して前記スリーブの摺動を制限する位置と、前記本体の内側に突出して前記プラグを前記本体に係止する位置との間で移動可能なラッチボールと、
前記ラッチボールに当接して前記ラッチボールを外側に突出させる位置に移動するように付勢され、前記プラグを前記本体に挿入することにより押し込まれて前記ラッチボールを内側に突出可能にするラッチ環とを有し、
前記スリーブは、前記ラッチボールに向かって付勢されていることを特徴とする請求項1または2に記載の管継手。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−182919(P2007−182919A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−733(P2006−733)
【出願日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(593097203)長堀工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】